説明

内視鏡チューブ連結機構

【課題】連結強度を確保でき、作業性を向上でき、小型な内視鏡チューブ連結機構を提供すること。
【解決手段】連結機構50は、内視鏡のチューブ75と口金61とを連結する。連結機構50は、連結環51と、口金61とを有している。連結環51は、リング形状で内周縁53bから外周縁53cに向かう斜面部67を有し、チューブ75と口金61とを連結する。口金61は、リング形状で内周縁67bから外周縁67cに向かう斜面部67を有している。チューブ75が連結環51に嵌め込まれ、口金61に連結環51が嵌め込まれた、連結環51と口金61とが連結する際に、チューブ75の端部75a側は、口金61の斜面部67によって折り返され、連結環51の斜面部53と口金61の斜面部67とによって挟み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に配設されているチューブと口金とを連結する内視鏡チューブ連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に内視鏡は、体腔内に液体や気体を送気・送水する送気・送水チューブと、送気・送水動作を操作する送気・送水スイッチと、送気・送水スイッチ側に配設され送気・送水チューブと連結する送気・送水口金とを有している。
【0003】
例えば特許文献1には、チューブの端部が口金等の連結部材側の端部から抜けるおそれがなく、チューブと口金との間を確実に接続する接続装置が開示されている。特許文献1において、口金のテーパ角と押えリングのテーパ角とが異なり、締め付けナットなどの固定部材が押えリングと口金とに係合している。これにより、チューブに対する口金と押えリングとの抜けを防止する摩擦面積と押圧力とが増し、連結強度が向上する。
【0004】
また例えば特許文献2には、チューブを狭いスペースでも接続管に対して容易且つ確実に接続固定できる内視鏡の配管接続部が配設されている。チューブはチューブ押え管に挿し込まれ、接続管はチューブ押え管に挿し込まれチューブと連結する。なお接続管とチューブとは、接続管をチューブに容易に挿し込めるように、それぞれテーパを有している。これらテーパの長さは、連結強度を確保するため、つまりチューブからの接続管の抜けを防止するために長くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−20706号公報
【特許文献2】特開2006−6761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1において、固定部材を押えリングと口金とに係合させる必要があり、内視鏡内の狭いスペースでは、作業性が向上できない虞が生じる。
【0007】
また特許文献2では、接続管はチューブ押え管に挿し込むだけで、作業性は向上する。しかし、テーパの長さを長くする必要があり、連結機構が大型化してしまい、内視鏡内に収容されない虞が生じる。また連結機構を小型化するために、テーパの長さを短くすると、連結強度が落ち、接続管がチューブから抜けてしまう。
【0008】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、連結強度を確保でき、作業性を向上でき、小型な内視鏡チューブ連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は目的を達成するために、内視鏡の可撓性のチューブと口金とを連結する内視鏡のチューブ連結機構であって、リング形状で内周縁から外周縁に向かう斜面部を有し、前記チューブと前記口金とを連結する連結環と、リング形状で端部に内周縁から外周縁に向かう斜面部を有する前記口金とを具備し、前記チューブが前記連結環の内周に嵌め込まれ、前記連結環と前記口金とが連結する際、前記チューブの端部は、前記口金の前記斜面部によって折り返され、前記連結環の前記斜面部と前記口金の前記斜面部とによって挟み込まれることを特徴とする内視鏡のチューブ連結機構を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連結強度を確保でき、作業性を向上でき、小型な内視鏡チューブ連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡の概略図である。
【図2A】図2Aは、送気・送水チューブの端部と連結環と口金の端部との斜視図である。
【図2B】図2Bは、連結環の断面図である。
【図2C】図2Cは、口金の端部側の断面図である。
【図3A】図3Aは、チューブが連結環に嵌め込まれる際の概略図である。
【図3B】図3Bは、チューブの端部側を冶具によってテーパ形状に形成する際の概略図である。
【図3C】図3Bは、チューブの端部側を冶具によってテーパ形状に形成する際の概略図である。
【図3D】図3Dは、口金抜け防止部が開き、連結環が口金に嵌め込まれる際の概略図である。
【図3E】図3Eは、斜面部がチューブの端部を斜面部に向けて折り返す際の概略図である。
【図3F】図3Fは、口金とチューブとが連結環によって連結した際の概略図である。
【図4】図4は、口金の斜面部と連結環の斜面部との変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図3Eと図3Fとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、内視鏡システム10は、例えば所望する観察対象物を撮像する内視鏡12を有している。この観察対象物とは、被検体(例えば体腔)内における患部や病変部等である。
【0013】
図1に示すように内視鏡12には、患者の体腔内に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作部30とが配設されている。
【0014】
挿入部20は、挿入部20の先端部側から基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部20の先端部及び内視鏡12の先端部であり、硬い。
【0016】
湾曲部23は、後述する湾曲操作部37の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。湾曲部23は、図示しない節輪が挿入部20の長手軸方向に沿って回動可能に連結されていることで、構成されている。節輪は例えば図示しない網状管によって被覆され、図示しない網状管は樹脂やゴム等の例えば図示しない外皮によって被覆されている。
【0017】
可撓管部25は、所望な可撓性を有しており、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部30の後述する本体部31から延出されている管状部材である。
【0018】
操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33と接続しているユニバーサルコード41とを有している。
【0019】
本体部31には、処置具挿入口35aが配設されている。処置具挿入口35aには、図示しない処置具挿通チャンネルの基端部が連結している。処置具挿通チャンネルは、挿入部20内において、可撓管部25から先端硬質部21に渡って配設されている。処置具挿入口35aは、図示しない内視鏡用処置具を処置具挿通チャンネルに挿入するための挿入口である。図示しない内視鏡用処置具は、処置具挿入口35aから処置具挿通チャンネルに挿入され、先端硬質部21側まで押し込まれる。そして内視鏡用処置具は、先端硬質部21に配設されている処置具挿通チャンネルの図示しない先端開口部から突出される。
【0020】
把持部33には、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37が配設されている。
【0021】
また把持部33には、処置具挿通チャンネルを兼ねる図示しない吸引チューブのための吸引スイッチ39aと、図示しない送気・送水チューブのための送気・送水スイッチ39bとを有するスイッチ部39が配設されている。スイッチ部39は、把持部33が術者に把持された際に、術者の手によって操作される。吸引スイッチ39aは、上述した先端開口部を兼ねる吸引開口部から吸引チューブ(処置具挿通チャンネル)を介して、粘液や流体等を内視鏡12が吸引するときに操作される。送気・送水スイッチ39bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野(観察窓)を確保するために送気・送水チューブから流体を送気・送水するときに操作される。吸引チューブと、送気・送水チューブとは、操作部30と挿入部20とを挿通している。流体は、水や気体を含む。
【0022】
ユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出されている。
【0023】
また内視鏡12は、把持部33の内部に配設され、送気・送水スイッチ39bから突設された金属製の図示しない送気接続管と、把持部33の内部に配設され、送気接続管の端部に配設され図2Aに示すような送気口金61とを有している。
また内視鏡12は、操作部30と挿入部20とに配設され、挿入部20の先端部に送気する図2Aに示すような送気チューブ75を有している。
また内視鏡12は、把持部33の内部に配設され、図2Aと図3Fとに示すように送気チューブ75と送気口金61とを連結する内視鏡チューブ連結機構50を有している。
【0024】
以下にて、送気チューブ75と、送気口金61と、内視鏡チューブ連結機構50とを順に説明する。
なお以下において、簡略化のため、送気チューブ75をチューブ75と称し、送気口金61を口金61と称し、内視鏡チューブ連結機構50を連結機構50と称する。
【0025】
まずチューブ75について説明する。図2Aに示すように、チューブ75は、可撓性を有し、円筒形状を有している。図3Fに示すように、チューブ75の内径と口金61の内径とは、略同一である。図2Aと図3Aとに示すように、チューブ75の端部75a側は、後述する連結環51に嵌め込まれる。チューブ75は、例えば樹脂によって形成され柔軟性を有している。そのためチューブ75の端部75a側は、図3Bと図3Cと図3Dとに示すように、例えば三角錐状の先端部81aを有する冶具81が端部75aに差し込まれることで、冶具81によって、外側に向かって拡径するようにテーパ状に形成されることが可能である。また端部75a側は、図3Eと図3Fとに示すように、チューブ75の円形形状の内周面75bが口金61(チューブ75の軸方向前方)に向かって露出するように、径方向においてチューブ75の中心軸側から外側に向かって折り返し可能となっている。このときチューブ75の端部75a側は、チューブ75の外周面75c同士が当接するように、チューブ75の軸方向後方に向かって折り返し可能である。
【0026】
次に口金61について説明する。図2Aと図3Dとに示すように、口金61には、後述する連結環51が嵌め込まれる。口金61は、例えば金属などの硬質部材によって形成される。図2Aと図2Cとに示すように、口金61の外形は、凸形状を有している。そのため口金61の端部63の外径は他の部分よりも太径となっており、口金61には段差部65が配設されている。この段差部65には、図3Fに示すように、口金61の端部63に連結環51が嵌め込まれた際に、後述する口金抜け防止部55が引っ掛かる。
また、図2Aと図2Cとを示すように、口金61は、口金61の端部63に配設される端面である斜面部67を有している。斜面部67については、後述する。
【0027】
次に連結機構50について説明する。
連結機構50は、チューブ75が一方から嵌め込まれ、口金61に他方から嵌め込まれることでチューブ75と口金61とを連結する連結環51(図2Aと図2Bとを参照)とを有している。
【0028】
図2Aと図3Aとに示すように連結環51において、チューブ75の端部75a側が一方から嵌め込まれ、図2Aと図3Dと図3Eとに示すようにこの状態で連結環51は口金61に端部75aとは反対側の他方から嵌め込まれる。このとき図3Fに示すように、連結環51は、チューブ75の端部75a側と口金61の端部63とを固定及び保持し、チューブ75の端部75a側と口金61の端部63とを連結する。図2Bに示すように、連結環51は、チューブ75が嵌め込まれる嵌め込み孔51aと、嵌め込み孔51aよりも口金61側に配設され、口金61の端部63に連結環51が嵌め込まれた際に、口金61の端部63が配設される空間部51bとを有している。嵌め込み孔51aは、連結環51の中心軸に沿って配設されており、空間部51bと連通している。空間部51bは、連結環51の軸方向において外部に向けて開口している。このような連結環51は凹形状の断面を有しており、嵌め込み孔51aは連結環51の軸方向に沿って凹の底面を貫通するように配設されている。図3Dに示すように嵌め込み孔51aの大きさは、チューブ75の外径と略同一であり、空間部51bの径よりも小さい。
【0029】
また図2Bに示すように、連結環51は、径方向に沿ってリング形状に形成される斜面部53を内部に有している。斜面部53は、平面であり、空間部51bと接触している。また斜面部53は、リング形状を有しているために、開口部53aと内周縁53bと外周縁53cとを有している。開口部53aは、嵌め込み孔51aと略同一の大きさを有し、嵌め込み孔51aと空間部51bとに連通している。図3Bと図3Cと図3Dとに示すように、開口部53aには、チューブ75が挿通する。図2Bに示すように、斜面部53は、斜面部53の内周縁53bから外周縁53cに向かって傾斜している傾斜部となっている。また斜面部53は、図3Fに示すようにチューブ75の端部75a側が斜面部53に引っ掛かり、連結環51の軸方向において内周縁53bが外周縁53cよりも口金61側に突出して位置するように、配設されている。
【0030】
図3Eと図3Fとに示すように、この斜面部53には、チューブ75の端部75a側が嵌め込み孔51aと開口部53aとを挿通し、チューブ75の端部75a側が空間部51bにおいて口金61の斜面部67によって上述したように折り返された際、チューブ75の端部75a側が引っ掛かり当接する。図2Bに示すように、斜面部53は、図3Fに示すようにチューブ75の端部75a側が斜面部53に向かって折り返された際に、チューブ75の折り返し部75eに引っ掛かり(喰い込み)、連結環51からのチューブ75の抜けを防止するチューブ抜け防止部53eを有している。チューブ抜け防止部53eは、例えば内周縁53bである。
【0031】
なお図3Fに示すように、斜面部53の傾斜角度θ、つまり折り返されたチューブ75の端部75a側における外周面75c同士の角度は、例えば90度以下である。
【0032】
また図2Bに示すように、連結環51は、口金61に連結環51が嵌め込まれた際に、連結環51からの口金61の抜けを防止する口金抜け防止部55を端部に有している。口金抜け防止部55は、口金61の段差部65に引っ掛かる爪部を有している。口金抜け防止部55は、図3Fに示すように口金61の端部63に連結環51が嵌め込まれた際に、端部63の斜面部67が斜面部67によって折り返されたチューブ75の端部75a側を斜面部53と共に隙間無く密着して挟み込み、チューブ75の端部75a側が斜面部67に引っ掛かり、斜面部67がチューブ75の端部75a側を斜面部53に押圧するように、連結環51に口金61を位置決めする。またこのとき口金抜け防止部55は、連結環51の軸方向における口金61とチューブ75との位置を固定する。
【0033】
図2Bに示すように、口金抜け防止部55は、口金61の端部63の段差部65に引っ掛かるように連結環51の外周面から内周面(連結環51の中心軸)に向かって折れ曲がっている。図2Aに示すように口金抜け防止部55同士は、周方向に沿って等間隔に離れて配設されている。口金抜け防止部55は、口金61の端部63に連結環51が嵌め込まれる際に図3Dと図3Eとに示すように外側に向かって開き、口金61の端部63に連結環51が嵌め込まれた後、図3Fに示すように段差部65に引っ掛かるように閉じる。
【0034】
連結環51の軸方向において、口金抜け防止部55の長さは、チューブ75の厚みと、口金61の端部63の長さとの和よりも短い。
【0035】
図2Cに示すように、口金61において、斜面部67は、口金61の径方向に沿って配設され、リング形状に形成されている。斜面部67は、リング形状を有しているために、開口部67aと、内周縁67bと、外周縁67cとを有している。開口部67aは、チューブ75の内径と略同一の大きさを有している。斜面部67は、平面であり、口金61に連結環51が嵌め込まれた際に斜面部53に対向する。
【0036】
斜面部67は、斜面部53と略同一の大きさを有している。図3Fに示すように、この斜面部67は、斜面部67の内周縁67bから外周縁67cに向かって傾斜している端面である。斜面部67は、斜面部53の傾斜角度θと同一の傾斜角度を有している。斜面部67は、外周縁67c側から内周縁67b側に向かって凹むように傾斜している。斜面部67は、外周縁67c側から内周縁67b側に向かって縮径している円錐台形状の周面に該当しており、傾斜しているテーパとなっている。
【0037】
チューブ75が連結環51に嵌め込まれ、口金61に連結環51が嵌め込まれ、連結環51と口金61とが連結する際に、チューブ75の端部75a側は、口金61の斜面部67によって折り返され、連結環51の斜面部53と口金61の斜面部67とによって挟み込まれる。つまり図3Eに示すように、斜面部67は、チューブ75の端部75a側を斜面部53に向けて上述したように折り返す。そして図3Fに示すように、斜面部67は、折り返したチューブ75の端部75a側を斜面部53と共に隙間なく密着してチューブ75の端部75a側を挟み込み、チューブ75の端部75a側を斜面部67に引っ掛け、折り返したチューブ75の端部75a側を斜面部53に押圧し、折り返したチューブ75の端部75a側を斜面部53に抑える抑え面として機能する。
【0038】
また内周縁67bは、チューブ75の端部75a側が口金61の斜面部67によって折り返され連結環51の斜面部53と口金61の斜面部67とによって挟み込まれた際、連結環51からのチューブ75の抜けを防止するために、折り返されたチューブ75の根本である折り返し部75eを連結環50の内周縁53bに向かって押圧する押圧部として機能する。
【0039】
またチューブ75の端部75a側が折れ返されると、連結環51の軸方向において、内周縁67bと折り返し部75eとの間に図示しない隙間が形成される。この隙間を埋め、図3Fに示すように、チューブ75の内周面75bと口金61の内周面61bとが連続した平面となり、内周面75bと内周面61bとが平滑化して繋がれるように、斜面部67の内周縁67bは、図2Cと図3Fとに示すように、連結環51の軸方向において、チューブ75に向かって突出している。
【0040】
次に本実施形態の連結方法について図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図3Eと図3Fとを参照して説明する。
図3Aと図3Bとに示すように、チューブ75の端部75a側は、連結環51を貫通するように、嵌め込み孔51aを介して連結環51に嵌め込まれる。
【0041】
図3Bと図3Cとに示すように、冶具81の先端部81aが端部75aに差し込まれ端部75a側を押し広げることで、端部75a側がテーパ状に形成される。このとき、端部75a側のテーパの長さ(折り返し部75eから端部75aまでの長さ)は、斜面部53の内周縁53bから外周縁53cまでの長さと略同一か、それよりも短い。なお、先端部81aは、樹脂製のチューブ75に対してテーパを形成しやすくするために、加熱されている。
【0042】
次に図3Dに示すように連結環51は、チューブ抜け防止部53e(内周縁53b)がチューブ75の折り返し部75eに当接するように、チューブ75に沿って端部75a側にまで移動する。
次に図3Dに示すように、端部75a側のテーパ部は、連結環51と共に、斜面部67に向かって移動し口金61に向かって押し込まれる。これによりチューブ75の端部75a側は、図3Eに示すように折り返し部75eを中心に斜面部53に向かって折り返される。
同時に、口金抜け防止部55は、口金61の端部63によって押し広がり端部63の外周面をスライドする。これにより、口金61の端部63は、空間部51bに配設される。
【0043】
そして図3Fに示すように、口金61に連結環51が嵌め込まれる。このとき口金抜け防止部55は、閉じて段差部65に引っ掛かり、連結環51からの口金61の抜けを防止する。これにより、口金抜け防止部55は、連結環51の軸方向における口金61とチューブ75との位置を固定する。またこのとき、口金抜け防止部55は、口金61の斜面部67が斜面部67によって折り返されたチューブ75の端部75a側を斜面部53と共に隙間無く密着して挟み込み、チューブ75の端部75a側が斜面部67に引っ掛かり、斜面部67がチューブ75の端部75a側を斜面部53に押圧するように、口金61の端部63を連結環51に位置決めする。
【0044】
なお連結環51の軸方向において、口金抜け防止部55の長さは、チューブ75の厚みと、口金61の端部63の長さとの和よりも短い。そのため斜面部67は、折り返したチューブ75の端部75a側を斜面部53に押圧し、折り返したチューブ75の端部75a側を斜面部53に抑える。
【0045】
これによりチューブ75の端部75a側は、斜面部67と斜面部53とによって隙間無く密着して挟み込まれて、斜面部67に引っ掛かり、斜面部67によって斜面部53に押圧される。そのためチューブ75は、引っ張られても連結環51からの抜けを防止される。またチューブ75の端部75a側が斜面部53に向かって折り返された際に、チューブ抜け防止部53e(内周縁53b)がチューブ75の折り返し部75eに引っ掛かるために、チューブ75は連結環51からの抜けをさらに防止される。
【0046】
また内周縁67bは、折り返されたチューブ75の根本である折り返し部75eを連結環50の内周縁53bに向かって押圧する。これにより、チューブ75は連結環51からの抜けをさらに防止される。
【0047】
またチューブ75の内周面75bと口金61の内周面61bとは、内周縁67bによって、連続した平面となり、内周面75bと内周面61bとが平滑化して繋がれる。
【0048】
これによりチューブ75と口金61とは、連通した状態で連結する。
【0049】
このように本実施形態では、連結環51によってチューブ75と口金61とを連結する際に、連結環51に斜面部53を配設し、口金61の端部63に斜面部53の傾斜角度と同一の傾斜角度を有する斜面部67を配設している。また本実施形態では、斜面部53において、内周縁53bを外周縁53cよりも口金61側に配設し、チューブ75の端部75a側をこのような斜面部53に引っ掛けている。また本実施形態では、チューブ75の端部75a側を、斜面部67と斜面部53とによって隙間無く密着して挟み込み、斜面部67によって斜面部53に押圧している。
【0050】
これにより本実施形態では、チューブ75が引っ張られても、チューブ75が連結環51から抜けることを防止でき、チューブ75と口金61との連結強度を確保できる。また本実施形態では、チューブ75の端部75a側を、上述したように斜面部67と斜面部53とによって隙間無く密着して挟み込み、チューブ75の端部75a側をこのような斜面部53に引っ掛け、斜面部67によって斜面部53に押圧しているため、径方向における斜面部53の長さと斜面部67の長さとを長くする必要なく、上述した連結強度を確保した状態で、小型にできる。また本実施形態では、口金61に連結環51を嵌め込むことで、チューブ75と口金61とを連結できるために、作業性を向上することができる。
【0051】
また本実施形態では、内周縁67bが折り返し部75eを連結環50の内周縁53bに向かって押圧するため、連結環51からのチューブ75の抜けをさらに防止できる。
【0052】
また本実施形態では、チューブ抜け防止部53e(内周縁53b)をチューブ75の折り返し部75eに引っ掛けることができるために、連結環51からのチューブ75の抜けをさらに防止できる。
【0053】
また本実施形態では、口金抜け防止部55によって、口金61に連結環51を嵌めこむのみで連結環51からの口金61の抜けを防止でき、また斜面部67が端部75a側を斜面部53に向けて押圧する押圧力を確保できる。
【0054】
また本実施形態では、冶具81によって容易にチューブ75の端部75a側をテーパ形状に形成できる。また本実施形態では、テーパ形状の端部75a側を斜面部67に押し当てることで、折り返し部75eを中心に斜面部53に向かって端部75a側を容易に折り返すことができる。
【0055】
また本実施形態では、突出している内周縁53bによって、内周縁53bと折り返し部75eとの間に形成される隙間を埋めることができ、チューブ75の内周面75bと口金61の内周面61bとを連続した平面として形成でき、内周面75bと内周面61bとを平滑化して繋ぐことができ、隙間に汚れが溜めることを防止できる。
【0056】
また本実施形態では、口金抜け防止部55の長さを、チューブ75の厚みと、口金61の端部63の長さとの和よりも短くすることで、斜面部67が端部75a側を斜面部53に向けて押圧でき、チューブ75の端部75a側を端面と斜面部53とによって隙間無く密着して挟み込むことができる。
【0057】
なお本実施形態では、図4に示すように、斜面部53と斜面部67との少なくとも一方は、チューブ75の端部75a側を挟み込んだ際に、連結環51からのチューブ75の抜けを防止するために、突起部69を有していてもよい。突起部69は、例えばそれぞれの外周縁53c,67c側に向かって突出しており、チューブ75の端部75a側に食い込む。
【0058】
なお本実施形態では、送気チューブ75と送気口金61とを例として説明したが、図示しない吸引チューブと図示しない吸引口金との構成についてもこれらと略同様である。
【0059】
また本実施形態の内視鏡12は、送気・送水スイッチ39bから突設された金属製の図示しない給気・給水接続管と、吸引スイッチ39aから突設された金属製の図示しないコード側吸引接続管とを有している。給気・給水接続管の端部には図示しない給気・給水口金が配設されており、コード側吸引接続管の端部には図示しないコード側吸引口金が配設されている。
また内視鏡12は、ユニバーサルコード側に配設され、ユニバーサルコード側から給気・給水する図示しない給気・給水チューブと、ユニバーサルコード側に配設され、ユニバーサルコード側に向かって吸引する図示しないコード側吸引チューブとを有している。給気・給水チューブは給気・給水口金と連結しており、コード側吸引チューブはコード側吸引口金と連結している。送気チューブ75と送気口金61とを例として説明したが、図示しない給気・給水チューブとコード側吸引チューブとの構成は送気チューブ75の構成と略同様であり、図示しない給気・給水口金とコード側吸引口金との構成は送気口金61の構成と略同様である。
【0060】
そのため内視鏡チューブ連結機構50は、上述したように、給気・給水チューブと給気・給水口金とを連結し、コード側吸引チューブとコード側吸引口金とを連結する。
このように、内視鏡チューブ連結機構50は、内視鏡に配設されているチューブと、パイプなどの口金を連結すればよい。
【0061】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0062】
10…内視鏡システム、12…内視鏡、50…内視鏡チューブ連結機構、51…連結環、53…斜面部、53a…開口部、53b…内周縁、53c…外周縁、53e…チューブ抜け防止部、55…口金抜け防止部、61…口金、63…端部、65…段差部、67…斜面部、67a…開口部、67b…内周縁、67c…外周縁、75…チューブ、75a…端部、75b…内周面、75c…外周面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の可撓性のチューブと口金とを連結する内視鏡のチューブ連結機構であって、
リング形状で内周縁から外周縁に向かう斜面部を有し、前記チューブと前記口金とを連結する連結環と、
リング形状で端部に内周縁から外周縁に向かう斜面部を有する前記口金と、
を具備し、
前記チューブが前記連結環の内周に嵌め込まれ、前記連結環と前記口金とが連結する際、前記チューブの端部は、前記口金の前記斜面部によって折り返され、前記連結環の前記斜面部と前記口金の前記斜面部とによって挟み込まれることを特徴とする内視鏡のチューブ連結機構。
【請求項2】
前記チューブが前記連結環の内周に嵌め込まれ、前記連結環と前記口金とが連結し、前記チューブの端部が前記連結環の斜面部と前記口金の斜面部に挟み込まれる際に、折り返される前記チューブの根本を押圧し、前記口金の前記内周縁に配設されている押圧部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡のチューブ連結機構。
【請求項3】
前記押圧部は、前記チューブの内面と前記口金の内面とを平滑化して繋ぐことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡のチューブ連結機構。
【請求項4】
前記連結環の前記斜面部と、前記口金の斜面部との少なくとも一方は、前記チューブの抜けを防止する突起部を有していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡のチューブ連結機構。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−231887(P2012−231887A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101466(P2011−101466)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】