説明

内視鏡用鉗子栓

【課題】多様な処置具に対して処置具挿入の円滑性と汚液の飛散等の完全防止との両立を実現する内視鏡用鉗子栓を提供する。
【解決手段】処置具を挿通するために内視鏡2に設けられた挿通チャネル19に連通する口金24に装着して使用される内視鏡用鉗子栓25であって、一端側に口金24に装着される装着部、他端側に筒状に突出した蓋装着部を備えるとともに、装着部と蓋装着部との間に常閉性のスリット32が形成された閉鎖膜33が設けられ、処置具の挿入によりスリット32が押し開かれて処置具を貫通させる本体部26と、可撓性を有する帯状部27,28によって本体部26に各々が連結されるとともに、各々の中央部に処置具挿通用の互いに内径が異なる挿通孔38a,38bが一つずつ形成され、前記蓋装着部に択一的に着脱可能な複数の蓋部29,30と、を有することを特徴とする内視鏡用鉗子栓である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の処置具挿通チャネルに処置具を挿通する際に、その導入口に設けられた口金に装着して使用される内視鏡用鉗子栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の内視鏡は、体内の状態を観察するだけではなく、体内に病変部等が存在する場合には、その組織細胞を採取したり、所定の処置を施したりできる構成となっている。例えば、内視鏡の制御下で処置具を体内に挿入するために、内視鏡は、その挿入部に鉗子その他の処置具を挿通する処置具挿通チャネルが設けられる。この処置具挿通チャネルの基端部は本体操作部に設けた処置具導入部に通じており、また先端は挿入部の先端面や先端側面に設けた観察部等と共に処置具導出口として開口している。
【0003】
従来の鉗子栓の技術については、例えば、特許文献1に示す特開2009−28197号公報に開示されている技術がある。該特許文献1においては、内部にスリットが形成された閉鎖膜を設けた本体部と、内部に挿入孔が形成された閉鎖膜を設けた蓋部がそれぞれ一つずつ設けられ、前記本体部と前記蓋部が変形可能な連結紐状部材で繋がれている鉗子栓の構成が提案されている。この発明では、ある径の処置具に対して、処置具挿入の円滑性と、患者のゲップ等による処置具挿通チャネル内の圧力の急上昇(いわゆる水撃現象)に伴う汚液の飛散等(以下、汚液の飛散等、と略す)を完全に防止することとを両立している。
【0004】
前記問題点を解決する技術については、例えば、特許文献2に示す特開平10−192229号公報に開示されている技術が挙げられる。該特許文献2においては、本体部に二以上の挿入孔またはスリットを設けた閉鎖膜を有する鉗子栓の構造が提案されている。この発明では、多種の処置具に対して、汚液の飛散等を完全に防止することとの両立を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−28197号公報
【特許文献2】特開平10−192229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内視鏡を用いた手術の多様化や複雑化等の要求に応じるべく、多様な処置具に対して有効な内視鏡の鉗子栓が求められる。しかし、先行技術には以下のような問題があった。
該特許文献1における鉗子栓を用いた場合には、一連の手術を行う際に複数の処置具を用いることが必要な際、ある径の処置具を除く処置具に対して、処置具挿入の円滑性と、汚液の飛散等を完全に防止することとの両方が不十分であるという問題点がある。
該特許文献2における鉗子栓を用いた場合には、本体部内の閉鎖膜に複数の処置具挿入部位を設けるために設計上閉鎖膜を大きくする必要性があるために鉗子栓を特別に大きく設計しなくてはならないという問題点と、口金と鉗子栓の挿通孔が同心軸上にないために処置具挿入の円滑性が不十分である問題点と、閉鎖膜に複数の処置具挿入部位を設けることに伴い閉鎖膜が破損しやすくなり閉鎖膜の破片が患者の体内に落下する可能性があるという問題点と、がある。
【0007】
鉗子栓を特別に大きく設計することなく、鉗子栓が破損しやすくなったり、などの新たな問題点を発生させたりすることなく、多様な処置具に対する、処置具挿入の円滑性と、汚液の飛散等の完全防止との両立を実現するという課題解決の手段が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するための本発明は、処置具を挿通するために内視鏡に設けられた挿通チャネルに連通する口金に装着して使用される内視鏡用鉗子栓であって、一端側に前記口金に装着される装着部、他端側に筒状に突出した蓋装着部を備えるとともに、前記装着部と蓋装着部との間に常閉性のスリットが形成された閉鎖膜が設けられ、前記処置具の挿入により前記スリットが押し開かれて処置具を貫通させる本体部と、可撓性を有する帯状部によって前記本体部に各々が連結されるとともに、各々の中央部に処置具挿通用の互いに内径が異なる挿通孔が一つずつ形成され、前記蓋装着部に択一的に着脱可能な複数の蓋部と、を有することを特徴とする内視鏡用鉗子栓である。
【0009】
本発明における鉗子栓は、内視鏡の口金に常閉性のスリットを設けた閉鎖膜を有する本体部を装着し、処置具に最適な内径の挿入孔が形成された蓋部を選択し前記本体部に装着することで用いられる。ここでは、前記最適な内径の挿入孔とは、処置具挿入の円滑性と汚液の飛散等の完全防止との両立に最適な内径の挿入孔のことを指す。また、本発明における鉗子栓は、本体部と蓋部に分かれているので、処置具を変更する際には、本体部を着脱することなく、処置具のサイズに応じて、適宜最適な内径の挿入孔が設けられた蓋部に付け替えることが可能である。
【0010】
内視鏡の口金が複数の又に分かれている場合には、前記本体部を前記又の数だけ設け、前述と同様に蓋部を設けた鉗子栓を用いることができる。本発明における鉗子栓は、本体部と蓋部に分かれているので、処置具を変更する際には、本体部を着脱することなく、処置具のサイズに応じて、適宜最適な内径の挿入孔が形成された蓋部に付け替えることが可能である。
【0011】
而して、前記帯状部の各々に対応する蓋部に形成された挿通孔の内径に対応する表示を設けることで、より的確により迅速に処置具に最適な蓋部を選択し本体部に装着させることが可能となる。
【0012】
而して、前記蓋部の各々が異なる着色が施されることで、より的確により迅速に処置具に最適な蓋部を選択し本体部に装着させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中央部に処置具挿通用の互いに内径が異なる挿通孔が一つずつ形成された各々の蓋部が可撓性を有する帯状部によって本体部に連結されているため、多種の処置具に対して、本体部を内視鏡の口金から着脱させることなく、処置具挿入の円滑性と汚液の飛散等の完全防止との両立が可能となる。
また、本体部の閉鎖膜に常閉性のスリットを設けたため、症例中に蓋の種類を変更する際には、鉗子の挿入されていないスリットを有する本体部の閉鎖膜が液漏れを防止する。
【0014】
而して、前記帯状部の各々に対応する蓋部に形成された挿通孔の内径に対応する表示を設けることで、より的確により迅速に処置具に最適な蓋部を選択し本体部に装着させることが可能になるため、多種の処置具に対して、本体部を内視鏡の口金から着脱させることなく、さらに処置具挿入の円滑性と汚液の飛散等の完全防止との両立が可能となる。
【0015】
而して、前記蓋部の各々が異なる着色が施されることで、より的確により迅速に処置具に最適な蓋部を選択し本体部に装着させることが可能になるため、多種の処置具に対して、本体部を内視鏡の口金から着脱させることなく、さらに処置具挿入の円滑性と汚液の飛散等の完全防止との両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る内視鏡システムの模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る鉗子栓の斜視図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る鉗子栓の断面図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る鉗子挿入状態における鉗子栓の断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る鉗子栓の斜視図
【図6】本発明の第3の実施形態に係る鉗子栓の斜視図
【図7】本発明の第4の実施形態に係る鉗子栓の斜視図
【図8】本発明の第5の実施形態に係る鉗子栓の斜視図
【図9】本発明の第5の実施形態に係る鉗子栓の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、内視鏡2は、ユニバーサルコード3やケーブル4などにより光源装置5と内視鏡プロセッサ6に接続して使用される。内視鏡2を通して得られた画像は画像表示用のモニタ7で観察することができる。内視鏡2は、アングルノブ9,送気・送水ボタン10,吸引ボタン11などが設けられた手元操作部12と、手元操作部12に連設され、体腔内に挿入される挿入部14とを備えている。挿入部14は、手元操作部12に近い基端側から順に、軟性部15,アングルノブ9の操作に連動して湾曲する湾曲部16、そして光学系及び撮像素子を含む撮像装置などが組み込まれた先端硬性部17を備えている。
【0018】
患部の画像をモニタ7で観察しながら患部に対して適宜の処置を行うことができるように、内視鏡2には処置具挿通用の挿通チャネル19が設けられている。この挿通チャネル19には、生検鉗子のほか、高周波メスや高周波スネアなど内視鏡用に予め用意された様々な処置具を挿通して使用することができる。これらの処置具の中から、例えば患部に対する処置に応じて鉗子20が選択されると、この鉗子20は手元操作部12に設けられた鉗子口22を通して挿通チャネル19に挿入される。
【0019】
鉗子20は、先端側から順に、生検採取用のカップ20a、可撓性のある挿入部20b,操作ハンドル及びリンク機構が組み込まれた操作部20cを備えている。カップ20aは先端硬性部17の先端面に設けられた導出口17aから突出し、また操作部20cは鉗子口22から外部に露出する。術者は、モニタ7で患部の観察とともにカップ20aの動作を確認しながら操作部20cを操作して適宜の処置を行うことができる。
【0020】
鉗子20を使用するときに、その導出口17aから流入して挿通チャネル19を逆流した水や空気あるいは体液が鉗子口22から噴出することがないように、鉗子口22には外部に筒状に突出する口金24が設けられ、そして口金24には図2に示す鉗子栓25が取り付けられる。鉗子栓25はゴムあるいはエラストマーなどの柔軟性及び弾性に富む材料で作られ、口金24との装着部から流体が漏れ出ることがないように隙間なく密着して装着される。
【0021】
第1の実施形態では、図2(A)に示すように、鉗子栓25は、全体として筒状になった本体部26と、その両側に帯状部27,28を介して連結された第一蓋部29と第二蓋部30とを備えている。第一,第二蓋部29,30は、帯状部27,28の上方に突出するように、同一形状をもった筒状の挿入部29a,30aを有しており、露呈した開口29c,30cの内径も同一である。なお、図示の例では、本体部26、帯状部27,28、第一,第二蓋部29,30の全体が一体成形で作られているが、本体部26の一体成形品に、帯状部27と第一蓋部29との一体成形品と、帯状部28と第二蓋部30との一体成形品を連結してもよい。
【0022】
本体部26の開口26aには、図2(C)に示すように、第一,第二蓋部29,30のいずれかの挿入部29a,30aが選択して挿入され、また開口26aの奥には挿入された挿入部29a,30aに弾性的に係合して保持する保持部26bが設けられている。結果的に、この本体部26の開口26a及びその内部に設けられた保持部26bは、第一,第二蓋部29,30の蓋装着部として機能する。本体部26の内部には、さらに中央部に常閉性のスリット32を有する閉鎖膜33が設けられている。スリット32は閉じ方向に付勢されており、外力で押し開かれることによって閉鎖膜33が開放される。
【0023】
図2(B)には鉗子栓25の底面側が示され、本体部26の底面には口金24が挿入される開口35が露呈している。開口35の奥には口金24の段差部に弾性的に密着して係合する係合部36が設けられ、開口35及び係合部36は鉗子栓25を口金24に装着する装着部となっている。なお、開口35を通し、前述したスリット32付きの閉鎖膜33も底面側から観察される。また、第一,第二蓋部29,30の底面側には、鉗子20をその先端側から挿入する開口37a,37bが露呈している。これらの開口37a,37bの内径は互いに等しく、挿通チャネル19に挿通してこの内視鏡2とともに利用可能な種々の処置具の外径よりも大きくしてある。
【0024】
開口37a,37bの奥には、それぞれ内径が異なる挿通孔38a,38bの開口が露呈している。挿通孔38a,38bの内径は、この鉗子栓25とともに好適に使用することができる処置具の挿入部20bの外径に応じて決められ、該当する外径寸法を表す表示40a,40bがそれぞれの帯状部27,28の表裏に表されている。したがって、今回使用する鉗子20の挿入部の外径寸法が1.8mmであるときは、表示40aを確認した上で、図2(C)に示すように、選択して本体部26に装着すればよい。なお、帯状部27の長さを節約する上では、帯状部27を捩じったりすることなく、図示のように帯状部27を反転・屈曲させて第一蓋部29を本体部26に装着するのが有利である。
【0025】
図3に示すように、鉗子栓25は鉗子口22に強固に固定された口金24に装着される。口金24の上端にフランジ部24aが設けられ、このフランジ部24aの下側の段差部に鉗子栓25の本体部26に設けられた係合部36が入り込み、口金24は本体部26によって包まれるように密着して連結される。本体部26の上方に露呈した蓋装着部に、鉗子20に応じて選択した第一蓋部29を装着する。この装着にあたっては、挿入部29aを本体部26の開口26aから押し込めばよい。図示のように、本体部26に設けられた保持部26bが挿入部29aに形成された段差部に弾性的に係合し、第一蓋部29は本体部26の上を密封するように固定される。
【0026】
本体部26に第一蓋部29を装着した後に、第一蓋部29の開口37aから鉗子20を挿入する。鉗子20は、先端側に設けられたカップ部20aの方が挿入部20bよりも大径である場合もあるが、その部分の長さが短いので挿通孔38aの挿通操作は比較的容易に行うことができる。さらに鉗子20を押し込むと、カップ部20aが閉鎖膜33のスリット32を押し開き、本体部26及び口金24を貫通して挿通チャネル19に達する。以後は、挿通チャネル19の内壁によるガイド作用により、鉗子20は容易に挿通チャネル19内に送り込むことができる。
【0027】
鉗子20を規定の長さだけ送り込んだ以降は、図4に示すように、蓋部材29の挿通孔38a内に鉗子20の挿入部20bが挿通された状態となっている。挿通孔38aの内径は、鉗子20の挿入部20bの外径に応じて決められ、挿入操作がしやすく、しかも挿入部20と挿通孔38aとの間にほとんど隙間が生じないようにしてある。したがって、鉗子20の使用中、あるいは鉗子20の使用を終えて挿通チャネル19から引き出し操作を行っているときなどに、挿通チャネル19を逆流してきた水や体液、または細かな異物などが鉗子口22から噴出することはほとんどない。
【0028】
また、本体部26の内部には閉鎖膜33が設けられ、スリット32が弾性力で撓んだ状態で挿入部20bの外周面に接触してこの部分でも隙間が十分に狭められているから、逆流してきた水や体液が直接的に挿通孔38aと挿入部20bとの隙間に直射するおそれも少なく、施術中や後処理中に周囲が汚染される可能性を十分に低く抑えることができる。もちろん、処置具の挿入部の外径が2.6mmである場合には、この外径に適した内径の挿通孔38bをもつ第二蓋部30を本体部26に装着すればよい。この場合にも、閉鎖膜33は全く同様に作用し、ほとんど同等の効果を得ることができる。
【0029】
第2の実施形態では、図5に示すように、前述した第1の実施形態の一部に着色を施したもので、形状や寸法は全く共通であり、共通部分には同符号を付してある。この実施形態では、第一,第二蓋部29,30のうち、挿通孔38a,38bの内径が大きい方に着色部42を設けてある。着色部42は一般的な塗装で施すほかに、この鉗子栓の成形時に二色成形で対応することも可能である。こうして注意を喚起すれば、単に寸法の表示40a,40bだけを付しておくよりは、誤用を防ぐ上で有効である。
【0030】
第3の実施形態では、図6に示すように、本体部26に120°間隔で三種類の蓋部を一体化したもので、図2に示す実施形態と全く同様の帯状部27,28と第一,第二蓋部29,30のほかに、帯状部44と第三蓋部45が設けられている。第三蓋部45の基本的な形態は第一,第二蓋部29,30と共通で、処置具が挿通される挿通孔45aの内径が外径1.2mmの処置具挿入部の外径に最適のサイズにしてある。また、帯状部44にはその表示40cも付されている。したがってこの鉗子栓によれば、挿入部の外径が1.2mm、1.8mm、2.6mmの三種類の処置具のいずれが用いられる場合でも、その外径に応じて最適の蓋部を用いることによって、先の実施形態と同様、施術中や後処理時の不用意な汚染を防ぐことができる。なお、さらに異なる内径の挿通孔を設けた第四蓋部あるいはそれ以上の蓋部を帯状部とともに本体部26に連結し、4種類以上の処置具に対応できるようにすることも可能である。
【0031】
第4の実施形態では、図7に示すように、本体部26に帯状部51を介して本体部48を一体に連結したものである。本体部26,48は互いに形状及びサイズが全く共通で、それぞれ二種類の蓋部が連結されている。帯状部27,28,44を介して連結された第一蓋部29,30,45は図6に示すものと共通であり、本体部48には新たに帯状部46と第四蓋部47が設けられ、帯状部46には新たな表示40dが付されている。第四蓋部47の挿通孔47aの内径は、処置具の挿入部外径3.2mmのものに最適な寸法にしてあるから、口金24に本体部48を装着した上で第四蓋部47を使用すれば、挿入部の外径が3.2mmである処置具も利用することができる。
【0032】
さらに、この鉗子栓は、挿通チャネル19が途中から分岐し、あるいは鉗子口22の部分で分岐して二つの口金24が突出している内視鏡にあっては、各々の口金24に本体部26,48を装着することができる。そして、それぞれの蓋挿入部に適宜の蓋部を装着することによって、二つの口金24を利用して同時に二種類の処置を有効に使用することも可能となる。
【0033】
第5の実施形態では、図8に示すように、本体部53の上面に蓋装着部53aを突出させ、蓋部56,57をその上に被せて装着することができるようにしている。本体部53にはこれまでの実施形態と同様、スリット32が形成された常閉性の閉鎖膜33が設けられている。本体部53には、帯状部54,55により蓋部56,57が一体に連結されている。蓋部56,57の開口56a,57aの奥には、本体部53の蓋装着部53aの凹凸に係合する保持部56b,57bが形成されている。また、それぞれの蓋部56,57の内部には、挿通される処置具の挿入部の外径が1.8mm,2.6mmである場合に好適な内径サイズをもった挿通孔56c,57cが形成されている。
【0034】
図9に示すように、蓋部56を本体部53に装着すると、本体部53の上方に小径の筒状に突出した蓋装着部53aを包み込むように蓋部56の太径の筒状部が係合する。そして蓋部56の挿通孔56cは、本体部53の閉鎖膜33の中央に形成されたスリット32の真上に位置決めされるようになる。したがって、挿入部20bの外径が1.8mmである鉗子20を、挿通孔56cに無理なく挿入することができる。また、挿通チャネル19を逆流した液体や異物などは、これまでの実施形態と同様に挿通孔56cと鉗子20の挿入部20bとの隙間から漏れ出ることはない。
【0035】
また、蓋部56を本体部53の蓋装着部53aに装着するときに、蓋装着部53aが外周側から蓋部56で押圧されるから、鉗子20の挿入部20bが挿通されることによって押し開かれたスリット32には閉じ方向の付勢力が加わり、閉鎖膜33による遮断能力が高められる。なお、挿入部の外径が2.6mmの処置具を使用するにあたっては、蓋部56に代えて蓋部57を本体部53に装着して使用すれば、全く同様の機能が得られることはもちろんである。
【0036】
以上のように、第1の実施形態から第5の実施形態について説明したが、これに限ることなく、同様の技術的思想に基づいた設計をしても構わない。
【符号の説明】
【0037】
2 内視鏡
12 手元操作部
14 挿入部
15 軟性部
16 湾曲部
17 先端硬性部
17a 導出口
19 挿通チャネル
20 鉗子
24 口金
25 鉗子栓
26 本体
27 帯状部
28 帯状部
29 第一蓋部
29a 挿入部
30 第二蓋部
30a 挿入部
33 閉鎖膜
38a 挿通孔
38b 挿通孔
40a〜40d 表示
42 着色部
44 帯状部
45 第三蓋部
46 帯状部
47 第四蓋部
48 本体
51 帯状部
53 本体部
54 帯状部
55 帯状部
56 第一蓋部
57 第二蓋部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置具を挿通するために内視鏡に設けられた挿通チャネルに連通する口金に装着して使用される内視鏡用鉗子栓であって、
一端側に前記口金に装着される装着部、他端側に筒状に突出した蓋装着部を備えるとともに、前記装着部と蓋装着部との間に常閉性のスリットが形成された閉鎖膜が設けられ、前記処置具の挿入により前記スリットが押し開かれて処置具を貫通させる本体部と、
可撓性を有する帯状部によって前記本体部に各々が連結されるとともに、各々の中央部に処置具挿通用の互いに内径が異なる挿通孔が一つずつ形成され、前記蓋装着部に択一的に着脱可能な複数の蓋部と、
を有することを特徴とする内視鏡用鉗子栓。
【請求項2】
前記本体部と前記帯状部と前記蓋部とが弾性を有する材料で一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用鉗子栓。
【請求項3】
前記蓋部は、前記帯状部を反転し湾曲させることによって前記蓋装着部に装着されることを特徴とする請求項2記載の内視鏡用鉗子栓。
【請求項4】
前記帯状部の各々に、対応する蓋部に形成された挿通孔の内径に対応する表示を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の内視鏡用鉗子栓。
【請求項5】
前記蓋部の各々に互いに異なる着色が施されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の内視鏡用鉗子栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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