説明

内視鏡装置

【課題】爆発性雰囲気環境下で安全に使用できる内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】先端2aと基端2bとを有する挿入部2と、前記挿入部2の基端2bに取り付けられた操作部32と、前記挿入部2の先端2aに一端が配され前記操作部32の内部に他端が配された導電部材と、を備え、操作部32は、操作者と接触しうる外面を有し表面抵抗が1GΩ以下の樹脂材料からなる外装樹脂部材33と、前記外装樹脂部材33に設けられ前記導電部材の他端が取り付けられる取付点34と、を有し、前記外面上の点と前記取付点34との間の抵抗値が前記外面の何れの位置においても1GΩ以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察対象物の内部など、観察者が直接目視することが困難な場所を観察するための内視鏡装置が知られている。内視鏡装置は、長尺な挿入部と、挿入部の先端に設けられた画像取得部とを備えている。
内視鏡装置は、人体の内部を観察する医療用内視鏡と、機械の内部を観察する工業用内視鏡とに大別される。これらの内視鏡装置には、軽量化をするために、あるいは光学特性を最適化するために、樹脂等の非金属材料が採用されている。これらの非金属材料は、内視鏡装置の使用中に帯電する場合があった。
【0003】
ところで、工業用内視鏡は、ボイラー、化学プラント、および自動車や航空機のエンジンなど、爆発性雰囲気が充満している可能性のある環境下で使用される場合がある。たとえば特許文献1には、可燃性のガス又は粉塵に囲まれた環境下で使用されることが想定された内視鏡装置が開示されている。
特許文献1に記載の内視鏡装置は、内視鏡装置の操作部と操作者との間に電荷が溜まらないようになっている。これにより、特許文献1に記載の内視鏡装置は、爆発性雰囲気下において、静電気によるスパークが発生することを防止して安全に作業をすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−143821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡装置の挿入部には、樹脂製の光学部品、絶縁体、及び接着剤など、帯電し得る材料が採用されている場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡装置は、操作部における帯電は考慮されているものの、挿入部に帯電する場合について考慮されていなかった。また、挿入部は、観察対象物の内部など手の届かない部分へと案内されて使用されるものであり、特許文献1に記載の内視鏡装置では、内視鏡装置の使用中に挿入部における静電気を除去するのは困難であった。このため、爆発性雰囲気下における安全性が不十分となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、爆発性雰囲気環境下で安全に使用できる内視鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡装置は、先端と基端とを有する挿入部と、前記挿入部の基端に取り付けられた操作部と、前記挿入部の先端に一端が配され前記操作部の内部に他端が配された導電部材と、を備え、前記操作部は、操作者と接触しうる外面を有し表面抵抗が1GΩ以下の樹脂材料からなる外装樹脂部材と、前記外装樹脂部材に設けられ前記導電部材の他端が取り付けられる取付点と、を有し、前記外面上の点と前記取付点との間の抵抗値が前記外面の何れの位置においても1GΩ以下であることを特徴とする内視鏡装置である。
【0008】
また、前記導電部材は、前記挿入部内に配され電力若しくは電気信号を伝送する配線を被覆する管状のシールドからなることが好ましい。
【0009】
また、前記導電部材は、前記挿入部の先端において導電性接着剤によって前記挿入部に固定されていることが好ましい。
また、前記導電部材は、前記挿入部の中心軸線に対して蛇行していることが好ましい。
また、前記導電部材は撚り線若しくは編み線であることが好ましい。
【0010】
また、前記導電部材の内径は前記配線の外径よりも大きく、前記導電部材と前記配線との間に径方向に隙間が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記挿入部は、前記操作部からの操作によって湾曲される湾曲部を前記先端側に有し、前記挿入部の内部であって前記湾曲部の基端には、前記導電部材を前記配線の外面に固定する固定部材が設けられており、前記導電部材は、前記湾曲部内では前記配線の外面に密着され、前記湾曲部よりも基端側においては前記配線との間に径方向に隙間が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記操作部は、前記操作者の手によって把持される把持部を外装樹脂部材の一部に有し、前記取付点は、前記把持部に設けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記操作部は、前記操作者からの操作を受け付ける押しボタンスイッチを備え、前記取付点は、前記押しボタンスイッチに設けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記取付点は、前記外装樹脂部材の中央近傍に配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記外装樹脂部材は、複数の樹脂部材が組み合わされて構成されており、前記取付点は、前記複数の樹脂部材の繋ぎ目部分に配置されていることが好ましい。
【0016】
また、前記外装樹脂部材は、複数の樹脂部材が組み合わされて構成されており、前記複数の樹脂部材の間には、抵抗値が1GΩ以下の材料からなるパッキンが設けられており、前記取付点は、前記パッキンに設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記挿入部は、金属製の平板が螺旋状に巻かれたフレックスチューブと、前記フレックスチューブの外側に設けられた編み線からなる内側ブレードと、前記内側ブレードの外側に配された樹脂筒と、前記樹脂筒の外側に配された外側ブレードと、前記外側ブレードに被覆され前記挿入部の最外部を構成する被覆層と、を備え、前記被覆層の外面と前記外側ブレードの外面との間の距離は0.2mm以下であることが好ましい。
【0018】
また、前記挿入部は、金属製の平板が螺旋状に巻かれたフレックスチューブと、前記フレックスチューブの外側に設けられた編み線からなる内側ブレードと、前記内側ブレードの外側に配された樹脂筒と、前記樹脂筒の外側に配された外側ブレードと、前記外側ブレードに被覆され前記挿入部の最外部を構成する被覆層と、を備え、前記被覆層は、抵抗値が1GΩ以下の材料からなることが好ましい。
また、前記樹脂筒は抵抗値が1GΩ以下の材料からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の内視鏡装置によれば、爆発性雰囲気環境下で安全に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡装置を示す全体図である。
【図2】同内視鏡装置の内部構造を示すための断面図である。
【図3】同内視鏡装置の挿入部における先端構成部を示す断面図である。
【図4】同内視鏡装置の挿入部における可撓管部を示す断面図である。
【図5】図4の一部の拡大図である。
【図6】同内視鏡装置の操作部を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の内視鏡装置における除電ケーブルの構成を示す図で、除電ケーブルの中心軸線に直交する断面で示す断面図である。
【図8】同実施形態の内視鏡装置における他の除電ケーブルの構成を示す図で、当該除電ケーブルの中心軸線に直交する断面で示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の内視鏡装置における除電ケーブルの構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第4実施形態の内視鏡装置における挿入部の内部構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態の内視鏡装置における操作部の内部構造を示す断面図である。
【図12】本発明の第6実施形態の内視鏡装置におけるスイッチ部の構成を示す模式図である。
【図13】本発明の第7実施形態の内視鏡装置における外装樹脂部材の組み合わせ状態を示す模式図である。
【図14】同実施形態の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の内視鏡装置1について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置1を示す全体図である。図2は、内視鏡装置1の内部構造を示すための断面図である。図3は、内視鏡装置1の挿入部2における先端構成部3を示す断面図である。図4は、内視鏡装置1の挿入部2における可撓管部25を示す断面図である。図5は、図4に符号Xで示す部分の拡大図である。図6は、内視鏡装置1の操作部32を拡大して示す断面図である。
【0022】
図1に示す内視鏡装置1は、観察対象物の内部など、観察者が直接目視することが困難な場所を観察するための装置であり、挿入部2と操作部32とを備える。
【0023】
図1及び図2に示すように、挿入部2は、先端2aと基端2bとを有し、可撓性を有する長尺部材である。挿入部2には、先端2a側から基端2b側へ向かって、先端構成部3、湾曲部22、及び可撓管部25がこの順に設けられている。
【0024】
図3に示すように、先端構成部3は、光学アダプタ4と、光学アダプタ4が取り付けられる先端硬質部10とを有している。
【0025】
光学アダプタ4は、観察窓部5と、観察対象物に対して照明光を照射するための照明部7とを備える。また、光学アダプタ4の基端側は筒状に形成されており、光学アダプタ4の基端側の内面には、先端硬質部10の外面に係合する2つのねじ溝6が形成されている。観察窓部5及び照明部7は、いずれも光学アダプタ4の先端面に配されている。
【0026】
照明部7は、光学アダプタ4の先端面から前方へと照明光を発する発光ダイオード(光源)8と、光学アダプタ4内に配されたアダプタ側接点9とを備える。発光ダイオード8は、光学アダプタ4内に配され、アダプタ側接点9と電気的に接続されている。
【0027】
先端硬質部10は、筒状に形成された先端金属部材11と、先端金属部材11内に設けられた対物光学系13、画像取得部14、照明電源線18、及び除電ケーブル21(導電部材)を備える。
先端金属部材11の外周面には、光学アダプタ4のねじ溝と係合するねじ山12が形成されている。
【0028】
対物光学系13は、例えば複数のレンズ群を備えた光学系であり、光学アダプタ4の観察窓部5を透過した外光が入射する。なお、光学アダプタ4の観察窓部5にレンズが設けられている場合には、光学アダプタ4が先端硬質部10に取り付けられた状態において、対物光学系13の光軸と当該レンズの光軸とが一致するようになっていることがこのましい。
【0029】
画像取得部14は、対物光学系13を透過した光を検出するイメージセンサ15と、イメージセンサ15を制御する制御ユニット16と、制御ユニット16に接続された信号線17とを備える。
【0030】
イメージセンサ15は、たとえばCCDやCMOSなどのエリアイメージセンサであって、観察対象物の画像を取得することができる。
制御ユニット16は、イメージセンサ15によって取得された画像を映像信号に変換し、信号線17を通じて操作部32側へと出力する。
イメージセンサ15及び制御ユニット16は、樹脂によって被覆されている。これにより、イメージセンサ15及び制御ユニット16は照明電源線18から絶縁され、また、外部の熱や振動からイメージセンサ15及び制御ユニット16が保護されている。
【0031】
信号線17は、複数の被覆線が樹脂製の被覆管によって束ねられた配線である。被覆線は、いわゆる同軸ケーブルとなっている。すなわち、被覆線は、映像信号を伝送する導体からなる芯線と、芯線を被覆する筒状の絶縁体と、絶縁体の外周に沿って配される編み線と、編み線を被覆する絶縁被覆とを備える。これにより、芯線を通じて伝送される信号にノイズが混入しにくいようになっている。
【0032】
照明電源線18は、先端硬質部10の先端に配された端子19と、端子に接続されたリード線20とを備える。リード線20は、芯線が樹脂被覆されることにより絶縁された線であり、挿入部2の内部を通じて後述する操作部32(図6参照)へと延び、操作部32内の照明回路に接続されている。
【0033】
除電ケーブル21は、図3に示すように先端金属部材11に先端21aが電気的に接続され、図6に示すように基端21b側の一部が後述する操作部32に固定された導電部材である。本実施形態では、除電ケーブル21の先端21aと先端金属部材11とは、半田付けによって固定されている。なお、除電ケーブル21の先端21aと先端金属部材11とは、溶接、ネジ止め、かしめなど、先端金属部材11と除電ケーブル21とが直接接する他の公知の接続方法によって接続されていてもよい。また、除電ケーブル21と先端金属部材11とは、例えば除電ケーブル21の先端21aに丸型端子が圧着され、丸型端子が先端金属部材11にネジ止めされるなど、他の導体を介して電気的に接続されていてもよい。また、除電ケーブル21と先端金属部材11とは、導電性接着剤によって接着されていてもよい。
【0034】
除電ケーブル21は、複数の線材が一方向に撚られた撚り線となっており、柔軟に形成されている。これにより、挿入部2が曲げられたときに除電ケーブル21も曲がるようになっている。
【0035】
除電ケーブル21の材質は、電気抵抗が低い材質であることが好ましい。例えば、除電ケーブル21の材料としては、銅やステンレス鋼などを採用することができる。また、除電ケーブル21は、大気中の水分や、酸またはアルカリなどによる腐食に対して耐性を有していてもよい。本実施形態では、除電ケーブル21は電気抵抗が低く且つ熱伝導性が高い材料によって構成されている。すなわち、除電ケーブル21は、照明部7や画像取得部14において電子部品が発熱したときの熱を操作部32側へと拡散させる放熱経路としても機能している。
【0036】
湾曲部22は、筒状の節輪又は湾曲駒(以下、「節輪等23」と称する。)がその中心軸線方向に整列された連結された管状部である。湾曲部22は、各節輪等23がそれぞれの連結部分において屈曲することにより、全体として湾曲されるようになっている。湾曲部22における最も先端側に位置する節輪等23には、湾曲部22を湾曲動作させるためのアングルワイヤ24(図4参照)が固定されている。アングルワイヤ24は、例えば節輪等23の中心軸線回りに90°おきに計4本設けられており、アングルワイヤ24が基端側に牽引されることによって湾曲部22を湾曲動作させることができるようになっている。
【0037】
図4に示すように、可撓管部25は、先端構成部3を観察対象物まで案内するために必要な長さを有する長尺の筒状部材であり、湾曲部22の基端22bに連結されている。図5に示すように、可撓管部25は、内輪から外側へ向かって、フレックスチューブ26、内側ブレード27、樹脂筒28、外側ブレード29、被覆層30を有する。
【0038】
フレックスチューブ26は、金属製の平板が螺旋状に巻かれたコイル状部材である。フレックスチューブ26の内部には、径方向断面が円形をなす空間がある。フレックスチューブ26の内部空間は、信号線17、照明電源線18、アングルワイヤ24、及び除電ケーブル21の通り道となっている。フレックスチューブ26内において、除電ケーブル21は、フレックスチューブ26の中心軸線(すなわち挿入部2の中心軸線)に対して蛇行して配置されている。すなわち、フレックスチューブ26の中心軸線方向の全長は、フレックスチューブ26内に収容される除電ケーブル21の全長よりも僅かに短い。これにより、フレックスチューブ26内で除電ケーブル21が蛇行し、図4に示すように、除電ケーブル21の外周面のうちの複数個所がフレックスチューブ26の内面に接する。これにより、除電ケーブル21の外周面とフレックスチューブ26の内面とは少なくとも一箇所において導通するようになっている。フレックスチューブ26と除電ケーブル21との接触箇所は、フレックスチューブ26から除電ケーブル21へ静電気を逃がす経路となる。
【0039】
内側ブレード27は、複数の金属線が編まれて筒状に形成された編み線からなる。内側ブレード27は、可撓管部25の先端から基端まで一続きに配置されている。内側ブレード27は、フレックスチューブ26の外面に接触可能であり、内側ブレード27とフレックスチューブ26とが接したときに内側ブレード27とフレックスチューブ26とは導通する。内側ブレード27とフレックスチューブ26との接触箇所は、内側ブレード27からフレックスチューブ26へ静電気を逃がす経路となる。
【0040】
樹脂筒28は、抵抗値が1GΩ以下の材料からなる樹脂製の筒状部材である。樹脂筒28の内周面側において、樹脂筒28は内側ブレード27に接している。樹脂筒28は、外周面側から内周面側へと静電気を逃がすことができるようにする目的で上述の通り抵抗値が1GΩ以下となる材料が採用されている。樹脂筒28の材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、バイトン(登録商標)などに、例えば、カーボンフィラーなどの導電性のフィラーが混入された材料などを採用することができる。
【0041】
外側ブレード29は、複数の金属線が編まれて筒状に形成された編み線からなる。外側ブレード29は、可撓管部25の先端から基端まで一続きに配置されている。外側ブレード29は、樹脂筒28の外面に接している。外側ブレード29は、可撓管部25の中心軸線方向に静電気を逃がし、外側ブレード29と樹脂筒28との接触部分において静電気を樹脂筒28へと逃がすようになっている。
【0042】
被覆層30は、外側ブレード29を被覆する樹脂部材であり、挿入部2の最外部を構成する層である。被覆層30は、溶融した樹脂部材を外側ブレード29に付着させることにより形成され、外側ブレード29と密着されている。被覆層30の外面と外側ブレード29の外面との間の距離は0.2mm以下とされている。被覆層30の材料としては、たとえばバイトン(登録商標)を採用することができる。
被覆層30は、被覆層30の外面に帯電した静電気を外側ブレード29へと逃がすようになっている。
【0043】
このように、フレックスチューブ26、内側ブレード27、樹脂筒28、外側ブレード29、及び被覆層30が設けられていることにより、可撓管部25の外面(被覆層30の外面)に帯電した静電気を除電ケーブル21へと逃がすことができる。これは、例えば操作者が操作部32を手に持ち、被覆層30に手が触れていない状態で内視鏡装置1が使用される場合など、被覆層30が人を介して接地されていない場合の除電経路となる。
【0044】
なお、フレックスチューブ26、内側ブレード27、樹脂筒28、外側ブレード29、及び被覆層30は、上述の説明とは逆の経路にて、除電ケーブル21を流れる静電気を被覆層30の外面へと逃がすこともできる。これは、例えば被覆層30の外面を操作者が手に持って内視鏡装置1を使用している場合など、被覆層30が人を介して接地されている場合の除電経路となる。
【0045】
可撓管部25の基端25bは、操作部32に固定されており、可撓管部25内に配された信号線17、照明電源線18、アングルワイヤ24、及び除電ケーブル21は、操作部32内へと延びている。
可撓管部25の基端25bの外面には、折れ止めチューブ31が設けられている。折れ止めチューブ31は、可撓管部25の基端を補強し、可撓管部25と操作部32との接続部分において可撓管部25が折れるのを防止するために設けられている。
【0046】
本実施形態では、挿入部2に設けられた各部には、光学特性を最適化したり軽量化したりする目的で、樹脂が採用されている。また、先端硬質部10内では、各部品を固定するために樹脂被覆や接着剤が使用されている箇所がある。樹脂や接着剤は、金属と比べて帯電しやすいので、挿入部2において、樹脂や接着剤が使用されている部分には、静電気が溜まる場合がある。
【0047】
図2および図6に示すように、操作部32は、可撓管部25の基端25b(挿入部2の基端2b)に固定された外装樹脂部材33と、外装樹脂部材33の一部に形成された把持部33aとを備える。
【0048】
外装樹脂部材33は、中空構造を有し、側面視において略三角形の輪郭をなす(図2参照)。外装樹脂部材33の外面は、例えば上記把持部33a等において操作者と接触可能となっている。
外装樹脂部材33は、抵抗値が1GΩ以下の樹脂材料によって形成されている。なお、本明細書において、内視鏡装置1の各部に適用される材料の抵抗値とは、特に明記しない限り、IEC規格に規定された試験方法によって測定される電気抵抗値を指す。
【0049】
図6に示すように、外装樹脂部材33の内面には、除電ケーブル21と外装樹脂部材33とを電気的に接続するための取付点34が設けられている。取付点34は、外装樹脂部材33を構成する樹脂材料が円筒形に成形されたボスによって形成されている。本実施形態では、ボスは外装樹脂部材33の一部として一体成形されている。ボスには、除電ケーブル21がねじ止めにより固定されている。取付点34が形成される位置は、外装樹脂部材33の内面のどこであっても構わないが、取付点34は外装樹脂部材33の中央近傍に形成されていることが好ましい。
【0050】
また、外装樹脂部材33の外面上の一点と取付点34との間の抵抗値の大きさは、外装樹脂部材33の外面の何れの点においても1GΩ以下とされている。なお、本実施形態では、これに加えて、挿入部2の外表面と取付点34との間の抵抗値も1GΩ以下とされており、さらに、外装樹脂部材33の外面上の2点間の抵抗値は何れの2点においても1GΩ以下とされている。本実施形態の場合、挿入部2の先端と取付点34とは、例えば銅やステンレス鋼などの導電性の除電ケーブルによって接続されているので、挿入部2の外表面と取付点34との間の抵抗値は殆どなく、実用上無視できる。すなわち、本実施形態では、内視鏡装置1の外面において互いに離間する2点間の表面抵抗が1GΩ以下とされている。
なお、挿入部2の外表面と取付点34との間の抵抗値が無視できない大きさである場合には、当該抵抗値の大きさに応じて、外装樹脂部材33の外面上の一点と取付点34との間の抵抗値を小さくすることにより、内視鏡装置1の外面において互いに離間する2点間の表面抵抗が、どのような2点をとっても1GΩ以下とされている。
【0051】
図2に示すように、外装樹脂部材33には、画像処理部35と、メイン制御部36と、表示部37と、照明制御部40と、スイッチ部41と、湾曲操作入力部42と、バッテリー46とが取り付けられている。画像処理部35、メイン制御部36、表示部37、及び照明制御部40は、バッテリー46からの電力供給によって動作する。外装樹脂部材33に形成された把持部33aは、表示部37とバッテリー46とを繋ぐように筒状に延びている。
【0052】
画像処理部35は、画像取得部14(図3参照)と電気的に接続された電子回路を有している。画像処理部35は、画像取得部14の制御ユニット16から出力された映像信号を受信して、NTSCやPALなどの規格に準拠したビデオ信号を生成し、メイン制御部36へと出力する。
【0053】
メイン制御部36は、外装樹脂部材33の内部空間に設けられており、画像処理部35、表示部37、スイッチ部41、及びバッテリー46に電気的に接続されている。メイン制御部36は、表示部37を介して操作者に提示する各種情報を生成する。各種情報とは、たとえば、メニュー画面や、各種計測結果などである。メイン制御部36は、画像処理部35から出力されたビデオ信号や、メイン制御部36にて生成された各種情報を表示部37に表示させる。また、本実施形態では、メイン制御部36のグランドには、除電ケーブル21の基端21b側の一部が電気的に接続されている。すなわち、本実施形態では、除電ケーブル21は、メイン制御部36のグランド電位と同電位となっている。
【0054】
表示部37は、メイン制御部36と電気的に接続された表示回路38と、表示回路38に電気的に接続された液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネル39とを備える。表示パネル39には、表面抵抗が1GΩ以下となる表面処理が施されている。なお、表示パネル39には、表面抵抗が1GΩ以下である反射防止コーティングが施されていてもよい。
【0055】
照明制御部40は、バッテリー46の電力を用いて発光ダイオード8(図3参照)を発光させるための照明信号を生成する電子部品である。本実施形態では、照明制御部40は、メイン制御部36と同じ基板上に実装されている。照明制御部40は、例えば発光ダイオード8を間欠的に発光させるパルス発光信号を生成して出力したり、発光ダイオード8の光量を変化させたりすることができる。
【0056】
スイッチ部41は、メイン制御部36の動作を操作者が指定したり、各種パラメータを入力あるいは選択したりするために設けられている。本実施形態では、スイッチ部41は、抵抗値が1GΩ以下の樹脂材料若しくは金属材料によって形成されており、表示部37と把持部33aとの間に配置されている。
【0057】
湾曲操作入力部42は、外装樹脂部材33に固定された金属や導電性複合材からなるフレーム43と、フレーム43に取り付けられた揺動体44と、揺動体44に取り付けられたジョイスティック45とを備える。
【0058】
フレーム43は、ジョイスティック45が操作部32の外側へ突出された状態で湾曲操作入力部42を外装樹脂部材33に固定する部材であり、挿入部2の基端にも固定されている。フレーム43には、除電ケーブル21の基端側の一部がネジ止めにより固定されており、フレーム43と除電ケーブル21とは電気的に接続されている。また、フレーム43と外装樹脂部材33とは固定されており、除電ケーブル21と外装樹脂部材33とはフレーム43を介して電気的に接続されている。
【0059】
図6に示すように、揺動体44には、上述のアングルワイヤ24の基端が接続されており、ジョイスティック45が傾倒されることによりアングルワイヤ24を牽引することができるようになっている。
【0060】
バッテリー46は、外装樹脂部材33に対して着脱可能となるように外装樹脂部材33に接続されている。バッテリー46の外面と外装樹脂部材33とは電気的に接続されており、バッテリー46の外面に静電気が帯電した場合に、静電気がバッテリー46から外装樹脂部材33へと逃げるようになっている。
【0061】
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用について説明する。
内視鏡装置1の使用時には、観察対象物の内部など、操作者が観察することを所望する場所まで挿入部2の先端が案内される。挿入部2の先端2aが案内される過程において、可撓管部25は湾曲されることがある。この場合、可撓管部25の内部に配された除電ケーブル21は、湾曲された部分においてフレックスチューブ26の内面の一部に押し付けられる(図4参照)。このとき、撚り線からなる除電ケーブル21を構成する複数の線の一部がフレックスチューブ26の内面に接するので、除電ケーブル21とフレックスチューブ26とは複数の接点によって電気的に接続された状態となる。
【0062】
挿入部2における可撓管部25の外面を操作者が把持して挿入部2を移動させる場合には、挿入部2の外面に発生した静電気は、被覆層30や外側ブレード29を通じて操作者の体へと流れ、操作者の体を通じて大地へと流れる。このため、挿入部2の外面に静電気が溜まることが抑えられている。また、挿入部2の内部に発生した静電気は、除電ケーブル21を流れ、フレックスチューブ26、内側ブレード27、樹脂層、外側ブレード29、及び被覆層30を通じて操作者の体へと流れ、上述の説明と同様に大地へと流れる。
【0063】
また、挿入部2の外面及び内部に発生した静電気は除電ケーブル21を通じて操作部32の外装樹脂部材33へも流れる。例えば操作部32に設けられた把持部33aを操作者が把持していた場合には、外装樹脂部材33へ流れた静電気は把持部33aを把持する操作者の体へと流れ、操作者の体を通じて大地へと流れる。
【0064】
ところで、内視鏡装置1の使用時には、操作部32にも静電気が発生する場合がある。この場合においても、例えば操作者が外装樹脂部材33の外面に触れていれば、操作部32に発生した静電気は操作者の体を通じて大地へと逃げることができる。また、操作者が可撓管部25を把持している場合には、操作部32に発生した静電気は、外装樹脂部材33に接続された除電ケーブル21を通じて可撓管部25の外面(被覆層30の外面)へと流れ、可撓管部25を把持した操作者の体を通じて大地へと逃げることができる。
【0065】
したがって、操作部32若しくは挿入部2に操作者が触れていれば、内視鏡装置1に発生した静電気は人を介して大地へ逃げ、内視鏡装置1は除電される。すなわち、本実施形態では、内視鏡装置1の外面のどこかに操作者が触れていれば、内視鏡装置1に発生した静電気は好適に除電される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡装置1は、内視鏡装置1に静電気が溜まることがないので、爆発性雰囲気環境下で安全に使用することができる。
【0067】
また、除電ケーブル21が挿入部2の中心軸線に対して蛇行しているので、除電ケーブル21が挿入部2の内面(本実施形態ではフレックスチューブ26の内面)の複数個所で接する可能性が高まる。さらに、除電ケーブル21はフレックスチューブ26の内面には固定されていないので、可撓管部25を曲げたときに除電ケーブル21とフレックスチューブ26とが可撓管部25の中心軸線方向に相対移動し得る。これにより、可撓管部25が曲がりやすく、より柔軟な可撓管部25とすることができる。
【0068】
また、除電ケーブル21が撚り線となっているので、除電ケーブル21が単線である場合と比較して除電ケーブル21とフレックスチューブ26との接点数を多くすることができる。本実施形態では、除電ケーブル21とフレックスチューブ26との接触は、例えば可撓管部25を曲げたときなどに偶然に起こるものなので、フレックスチューブ26の内面と接し得る部位が多い方が、静電気を逃がす経路を確保しやすい。
【0069】
(変形例)
次に、上述の第1実施形態の内視鏡装置の変形例について説明する。
本変形例では、被覆層30の材質が、抵抗値が1GΩ以下の樹脂材料とされている点が異なっている。また、本変形例では、被覆層30の外面と外側ブレード29の外面との間の距離は、0.2ミリメートル以下であってもよいし、0.2ミリメートル以上であってもよい。本変形例の場合、被覆層30の外面に帯電した静電気をさらに効果的に外側ブレード29へ逃がすことができる。また、この場合、被覆層30の外面における静電気の発生を低減することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態の内視鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、重複する説明を省略する。図7および図8は、本実施形態の内視鏡装置1における除電ケーブルの構成を示す図で、除電ケーブルの中心軸線に直交する断面で示す断面図である。
【0071】
本実施形態の内視鏡装置1A(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態の内視鏡装置1と同様である。内視鏡装置1Aは、除電ケーブル21に代えて、除電ケーブル21A及び除電ケーブル21Bを備える。
【0072】
除電ケーブル21Aは、たとえば信号線17の外周を覆う編み線によって形成されている。本実施形態では、除電ケーブル21Aによって、複数の信号線17が束ねられている。
【0073】
除電ケーブル21Bは、照明電源線18の外周を覆う編み線によって形成されている。
除電ケーブル21A及び除電ケーブル21Bは、それぞれ外界からのノイズを遮蔽するシールドとしても機能している。
【0074】
除電ケーブル21Aおよび除電ケーブル21Bは、第1実施形態で説明した除電ケーブル21と同様に、操作部32の外装樹脂部材33と電気的に接続されている。このため、本実施形態の内視鏡装置1Aは、第1実施形態で説明した内視鏡装置1と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態では、内視鏡装置1Aには、除電ケーブル21Aと除電ケーブル21Bとの少なくとも何れかが設けられていればよい。
【0075】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の内視鏡装置について説明する。図9は、本実施形態の内視鏡装置における除電ケーブルの構成を示す模式図である。
図9に示すように、本実施形態の内視鏡装置1B(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態の内視鏡装置1と同様である。本実施形態の内視鏡装置1Bは、上述の第2実施形態で説明した除電ケーブル21Aに代えて、除電ケーブル21A2を備えている。また、図示していないが、本実施形態では、除電ケーブル21Bに代えて、除電ケーブル21B2を備えている。
【0076】
除電ケーブル21A2は、除電ケーブル21Aと同様に編み線によって形成されている。除電ケーブル21A2の内径は、信号線17の外径よりも大きく、除電ケーブル21A2と信号線17との間に径方向に隙間が設けられている。
【0077】
除電ケーブル21B2は、除電ケーブル21Bと同様に編み線によって形成されている。除電ケーブル21B2の内径は、照明電源線18の外径よりも大きく、除電ケーブル21A2と照明電源線18との間に径方向に隙間が設けられている。
【0078】
本実施形態では、可撓管部25が湾曲されたとき、除電ケーブル21A2及び除電ケーブル21B2は、それぞれフレックスチューブ26(図4参照)の内面に接する。また、除電ケーブル21A2と除電ケーブル21B2とが互いに接する場合もある。
このとき、除電ケーブル21A2及び除電ケーブル21B2が撓んでフレックスチューブ26の内面形状に沿う。このため、除電ケーブル21A2とフレックスチューブ26との接触箇所と、除電ケーブル21B2とフレックスチューブ26との接触箇所とは、何れも上記第2実施形態よりも多くなる。このため、除電ケーブル21A2や除電ケーブル21B2を通じて安定して静電気を逃がすことができる。
【0079】
なお、本実施形態では、内視鏡装置1Bには、除電ケーブル21A2と除電ケーブル21B2との少なくとも何れかが設けられていればよい。
【0080】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態の内視鏡装置について説明する。図10は、本実施形態の内視鏡装置における挿入部の内部構造を示す断面図である。
本実施形態の内視鏡装置1C(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態で説明した内視鏡装置1と同様である。本実施形態の内視鏡装置1Cは、図10に示すように、第3実施形態で説明した除電ケーブル21A2を信号線17の外面に固定する固定部材47が設けられている点で、第2実施形態の内視鏡装置1Aと構成が異なっている。
【0081】
固定部材47は、挿入部2において湾曲部22の基端近傍に配置されている。固定部材47が設けられていることにより、除電ケーブル21A2は、湾曲部22内では信号線17の外面に密着され、湾曲部22よりも基端側においては信号線17との間に径方向に隙間が設けられている。固定部材47は、例えば熱収縮チューブなどを用いて形成することができる。
本実施形態の内視鏡装置1Cでは、湾曲部22を構成する節輪等23に除電ケーブル21A2が挟まれることがないので、湾曲部22を湾曲させやすい。また、本実施形態の内視鏡装置1Cによれば、製品寿命において、湾曲部22の湾曲性能の劣化を防止することができる。
【0082】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態の内視鏡装置について説明する。図11は、本実施形態の内視鏡装置における操作部の内部構造を示す断面図である。
本実施形態の内視鏡装置1D(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態で説明した内視鏡装置1と同様である。内視鏡装置1Dは、図11に示すように、取付点34が把持部33a内に配置されている点が異なっている。
【0083】
すなわち、把持部33aは筒状であって、把持部33aの内面には、取付点34として、第1実施形態で説明したボスと同様のボスが形成されている。把持部33aに形成されたボスには除電ケーブル21が固定されている。
【0084】
本実施形態では、把持部33aは、操作部32の外面のうち、内視鏡装置1Dが操作されるときに操作者が触れる可能性が高い面である。このため、把持部33a内に取付点34が配置されていることにより、取付点34から操作者まで静電気が流れる経路が短い。
これにより、内視鏡装置1Dに発生した静電気を好適に除電することができる。
【0085】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態の内視鏡装置について説明する。図12は、本実施形態の内視鏡装置におけるスイッチ部の構成を示す模式図である。
本実施形態の内視鏡装置1E(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態で説明した内視鏡装置1と同様である。内視鏡装置1Eは、図12に示すように、第1実施形態で説明したスイッチ部41に代えて、除電ケーブル21と電気的に接続されたスイッチ部41Aを備えている点が異なっている。
【0086】
スイッチ部41Aは、除電ケーブル21と直接、もしくは金属製部材を介して接続された押しボタンスイッチ48を有する。図12においては、スイッチ部41Aの押しボタンスイッチ48は、除電ケーブル21と、丸型端子48aを介して接続されている。
本実施形態では、スイッチ部41Aに設けられた押しボタンスイッチ48が第1実施形態で説明した取付点34に相当する。
【0087】
内視鏡装置1Eの使用時には、操作者が所望する操作入力を行なう場合に、押しボタンスイッチ48を押下するなど、スイッチ部41Aを操作することがある。本実施形態では、内視鏡装置1に発生した静電気が、操作者がスイッチ部41Aに触れたときに、スイッチ部41Aから操作者の体へと流れることにより除電される。
このような構成であっても上述の第1実施形態の内視鏡装置1と同様の効果を奏する。
また、スイッチ部41Aが金属製部材を有しているので、除電ケーブル21からスイッチ部41Aを通じて操作者に至るまでの電気抵抗が小さい。
【0088】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態の内視鏡装置について説明する。図13は、本実施形態の内視鏡装置における外装樹脂部材の組み合わせ状態を示す模式図である。
本実施形態の内視鏡装置1F(図1参照)は、外観形状は、第1実施形態で説明した内視鏡装置1と同様である。内視鏡装置1Fは、図13に示すように、操作部32の外装樹脂部材33が、複数の樹脂部材が組み合わされることにより構成されている。複数の樹脂部材の間には、抵抗値が1GΩ以下の樹脂材料からなるパッキン49が挟み込まれている。パッキン49は、複数の樹脂部材の隙間を埋め、外装樹脂部材33を水密な中空容器とする目的で設けられている。
【0089】
本実施形態では、複数の樹脂部材が、抵抗値が1GΩ以下の樹脂材料からなるパッキン49によって電気的に接続されている。パッキンは各樹脂部材に密着しているので、例えばネジ止めや爪により複数の樹脂部材を連結する場合と比較して、複数の樹脂部材を横断して静電気が流れる経路が多い。外装樹脂部材33の一部に静電気が発生しても迅速に除電することができる。
【0090】
(変形例)
次に、上述の第7実施形態の変形例について説明する。図14は、上述の内視鏡装置1Fの変形例を示す模式図である。
図14に示すように、本変形例では、第1実施形態で説明した取付点34に代えて、パッキン49と一体成形された取付点34Aを有する。なお、本変形例では、外装樹脂部材33は、取付点34Aを有するパッキン49を間に挟んで二分割された構造となっている。
【0091】
本変形例では、除電ケーブル21が取付点34Aに固定されており、例えば挿入部2に発生した静電気は、除電ケーブル21から外装樹脂部材33へ、パッキン49を介して流れる。
例えば、外装樹脂部材33を構成する一方の樹脂部材(図14に符号33−1で示す)から他方の樹脂部材(図14に符号33−2で示す)へと静電気が流れる場合、一方の樹脂部材33−1とパッキン49との間の接触抵抗と、パッキン49と他方の樹脂部材33−2との間の接触抵抗の和が、一方の樹脂部材33−1から他方の樹脂部材33−2へと静電気が流れる際の電気抵抗となる。従って、外装樹脂部材33を構成する一方の樹脂部材33−1に取付点34が設けられている場合には、除電ケーブル21から取付点34へ静電気が流れたときに、取付点34から上記一方の樹脂部材33−1へ静電気が流れるときの電気抵抗よりも、取付点34から上記他方の樹脂部材33−2へ静電気が流れるときの電気抵抗が大きくなる。
【0092】
これに対して、パッキン49に取付点34Aが設けられた本変形例の構成では、取付点34から上記一方の樹脂部材33−1へ静電気が流れるときの電気抵抗と、取付点34から上記他方の樹脂部材33−2へ静電気が流れるときの電気抵抗とは互いに等しい。
これにより、外装樹脂部材33全体における電気抵抗の偏りを少なくすることができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 内視鏡装置
2 挿入部
3 先端構成部
4 光学アダプタ
5 観察窓部
7 照明部
8 発光ダイオード
9 アダプタ側接点
10 先端硬質部
11 先端金属部材
13 対物光学系
14 画像取得部
15 イメージセンサ
16 制御ユニット
17 信号線
18 照明電源線
19 端子
20 リード線
21、21A、21A2、21B、21B2 除電ケーブル
22 湾曲部
23 節輪等
24 アングルワイヤ
25 可撓管部
26 フレックスチューブ
27 内側ブレード
28 樹脂筒
29 外側ブレード
30 被覆層
32 操作部
33 外装樹脂部材
33a 把持部
34、34A 取付点
35 画像処理部
36 制御部
37 表示部
38 表示回路
39 表示パネル
40 照明制御部
41、41A スイッチ部
42 湾曲操作入力部
43 フレーム
44 揺動体
45 ジョイスティック
46 バッテリー
47 固定部材
48 押しボタンスイッチ
49 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と基端とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端に取り付けられた操作部と、
前記挿入部の先端に一端が配され前記操作部の内部に他端が配された導電部材と、
を備え、
前記操作部は、
操作者と接触しうる外面を有し表面抵抗が1GΩ以下の樹脂材料からなる外装樹脂部材と、
前記外装樹脂部材に設けられ前記導電部材の他端が取り付けられる取付点と、
を有し、
前記外面上の点と前記取付点との間の抵抗値が前記外面の何れの位置においても1GΩ以下である
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記導電部材は、前記挿入部内に配され電力若しくは電気信号を伝送する配線を被覆する管状のシールドからなることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内視鏡装置であって、
前記導電部材は、前記挿入部の先端において導電性接着剤によって前記挿入部に固定されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記導電部材は、前記挿入部の中心軸線に対して蛇行していることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記導電部材は撚り線若しくは編み線であることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項2に記載の内視鏡装置であって、
前記導電部材の内径は前記配線の外径よりも大きく、前記導電部材と前記配線との間に径方向に隙間が設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項2に記載の内視鏡装置であって、
前記挿入部は、前記操作部からの操作によって湾曲される湾曲部を前記先端側に有し、
前記挿入部の内部であって前記湾曲部の基端には、前記導電部材を前記配線の外面に固定する固定部材が設けられており、
前記導電部材は、前記湾曲部内では前記配線の外面に密着され、前記湾曲部よりも基端側においては前記配線との間に径方向に隙間が設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記操作部は、前記操作者の手によって把持される把持部を外装樹脂部材の一部に有し、
前記取付点は、前記把持部に設けられている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記操作部は、前記操作者からの操作を受け付ける押しボタンスイッチを備え、
前記取付点は、前記押しボタンスイッチに設けられている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記取付点は、前記外装樹脂部材の中央近傍に配置されている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記外装樹脂部材は、複数の樹脂部材が組み合わされて構成されており、
前記取付点は、前記複数の樹脂部材の繋ぎ目部分に配置されている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項12】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記外装樹脂部材は、複数の樹脂部材が組み合わされて構成されており、
前記複数の樹脂部材の間には、抵抗値が1GΩ以下の材料からなるパッキンが設けられており、
前記取付点は、前記パッキンに設けられている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項13】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記挿入部は、
金属製の平板が螺旋状に巻かれたフレックスチューブと、
前記フレックスチューブの外側に設けられた編み線からなる内側ブレードと、
前記内側ブレードの外側に配された樹脂筒と、
前記樹脂筒の外側に配された外側ブレードと、
前記外側ブレードに被覆され前記挿入部の最外部を構成する被覆層と、
を備え、
前記被覆層の外面と前記外側ブレードの外面との間の距離は0.2mm以下である
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記挿入部は、
金属製の平板が螺旋状に巻かれたフレックスチューブと、
前記フレックスチューブの外側に設けられた編み線からなる内側ブレードと、
前記内側ブレードの外側に配された樹脂筒と、
前記樹脂筒の外側に配された外側ブレードと、
前記外側ブレードに被覆され前記挿入部の最外部を構成する被覆層と、
を備え、
前記被覆層は、抵抗値が1GΩ以下の材料からなることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項15】
請求項13に記載の内視鏡装置であって、
前記樹脂筒は抵抗値が1GΩ以下の材料からなることを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−88505(P2013−88505A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226755(P2011−226755)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】