説明

内視鏡

【課題】少ない部品構成でLEDが発する熱を効率良く放熱することができる内視鏡を提供する。
【解決手段】挿入部2、挿入部の基端側に接続された操作部3、及び操作部内に配設されLEDが実装された回路基板32を具備し、LEDが発する光を光ファイバ束を用いて挿入部の先端部へ導光して照明光として用いる構成を有する内視鏡であって、回路基板の実装面上に接する第1放熱部51と、回路基板の実装面とは反対側の面上に接する第2放熱部52と、を具備し、第1放熱部及び第2放熱部は、回路基板を挟持した状態で結合されており、互いに結合された第1放熱部及び第2放熱部は、操作部の先端側構造部と、操作部の基端側構造部とを結合する支持部材となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED及び光ファイバ束を用いた照明装置を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の体内や構造物の内部等の目視では観察が困難な箇所を観察するために、生体や構造物等の被検体の外部から内部に挿入可能な挿入部の先端部に、光学像を観察するための撮像装置を設けた内視鏡が、例えば医療分野や工業分野において利用されている。内視鏡の撮像部は、例えば対物レンズと、対物レンズの結像面に配設された一般にCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ等と称される撮像素子を具備してなる。
【0003】
また、一般に、内視鏡には、光学系観察部の視野を照明するための照明部が配設される。近年では、照明部の光源として、LEDが用いられることが増えている。LEDを光源とした照明部を有する内視鏡は、例えば、特開2008−11991号公報に開示されている。特開2008−11991号公報に開示されている内視鏡では、操作部に配設されたLEDが発する光を、光ファイバ束によって、挿入部の先端部にまで導いている。
【0004】
LEDは劣化の防止や発光効率の低下を防止するために、冷却されることが好ましい。このため、特開2008−11991号公報に開示されている内視鏡では、LEDを内部に収容する部材に流体を通す流路を設けることによって、流体によってLEDが発する熱を放熱する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−11991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2008−11991号公報に開示されている内視鏡のように、LEDを内部に収容する部材を冷却する場合、LEDと部材との間に空隙が生じることによって、LEDから部材への熱の伝達量が低下してしまい、効率良く放熱できない場合がある。また、特開2008−11991号公報に開示されている技術では、LED周辺に流体を流すために管路等を配設しなければならず、構成が複雑なものとなってしまう。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、少ない部品構成でLEDが発する熱を効率良く放熱することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡は、挿入部、前記挿入部の基端側に接続された操作部、及び前記操作部内に配設されLEDが実装された回路基板を具備し、前記LEDが発する光を光ファイバ束を用いて前記挿入部の先端部へ導光して照明光として用いる構成を有する内視鏡であって、前記回路基板の実装面上に接する第1放熱部と、前記回路基板の前記実装面とは反対側の面上に接する第2放熱部と、を具備し、前記第1放熱部及び前記第2放熱部は、前記回路基板を挟持した状態で結合されており、互いに結合された前記第1放熱部及び前記第2放熱部は、前記操作部の先端側構造部と、前記操作部の基端側構造部とを結合する支持部材となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少ない部品構成でLEDが発する熱を効率良く放熱することができる内視鏡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】内視鏡の構成を説明する図である。
【図2】内視鏡の挿入部の概略的な構成を説明する図である。
【図3】操作部の構成を説明する図である。
【図4】操作部の構成を説明する図である。
【図5】光源部の構成を説明する図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】第1の実施形態の第1の変形例を説明する図である。
【図8】第1の実施形態の第2の変形例を説明する図である。
【図9】第2の実施形態の光源部の構成を説明する図である。
【図10】第3の実施形態の光源部の構成を説明する図である。
【図11】第4の実施形態の光源部の構成を説明する図である。
【図12】第5の実施形態の光源部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。まず、本実施形態の内視鏡1の概略的な構成を説明する。内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2、挿入部2の基端側に設けられた操作部3、及び操作部3から延出し内視鏡1を例えば表示装置等を備えた図示しない外部装置に接続するためのケーブル4を具備して主に構成されている。なお、内視鏡1の挿入部2が挿入される被検体は、機械や建造物等の構造物であってもよいし、人体等の生体であってもよい。
【0013】
挿入部2は、先端に配設される先端部11、先端部11の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部12、及び湾曲部12の基端側に配設され操作部3の先端側に接続される変形可能な可撓管部13が連設されて構成されている。なお、内視鏡1は、挿入部2に変形可能な可撓管部13を持たない、いわゆる硬性鏡と称される形態であってもよい。
【0014】
詳しくは後述するが、先端部11には、撮像部20、及び照明光出射部21(図1には不図示)が設けられている。また、操作部3には、湾曲部12の湾曲を操作するためのアングル操作レバー5が設けられている。
【0015】
ケーブル4は、図示しないが、外部装置に着脱可能に構成されたコネクタ部を有している。外部装置は、内視鏡1に電力を供給する電力供給部や、撮像部20において撮像された画像を表示装置に表示可能なように処理する画像処理部等を具備している。なお、内視鏡1が電池を具備し、外部装置との通信を無線で行う構成を有する場合には、ケーブル4は不要である。
【0016】
図2に示すように、挿入部2の先端部11には、撮像部20及び照明光出射部21が配設されている。撮像部20は、対物レンズ20aと、対物レンズ20aの結像面に配設された一般にCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ等と称される形態を有する撮像素子20bを具備して構成されている。
【0017】
撮像部20の基端側には、信号ケーブル20cが接続されている。信号ケーブル20cは、挿入部2、操作部3及びケーブル4内に挿通されている。ケーブル4が外部装置に接続されることによって、撮像部20は信号ケーブル20cを介して外部装置に電気的に接続される。本実施形態では一例として、撮像部20は、挿入部2の長手方向に沿って先端方向を視野に収めるように、先端部11の先端面に配設されている。
【0018】
照明光出射部21は、先端部11の先端面に設けられた、ガラス等の透明な材料からなる板状又はレンズ状の部材である。照明光出射部21の基端側には貫通孔11bが設けられており、貫通孔11b内には、光ファイバ束22の先端部が挿通されている。光ファイバ束22は、挿入部2内に挿通されており、光ファイバ束22の基端部は、後述する操作部3に配設されている。
【0019】
光ファイバ束22の先端から出射された光は、照明光出射部21を透過して、先端部11の先端方向に出射される。詳しくは後述するが、照明光出射部21及び光ファイバ束22は、照明部を構成する部材である。照明部は、撮像部20の視野を照明する照明光を出射するための構成である。
【0020】
次に、挿入部2の湾曲部12及び湾曲部12を湾曲させるための構成について説明する。なお、本実施形態の湾曲部12及び湾曲部12を湾曲させるための構成は、周知の内視鏡と同様であるため、以下ではその概略を説明するのみとし、詳細な説明は省略するものとする。
【0021】
湾曲部12は、複数の湾曲駒12aが、挿入部2の長手方向(挿入方向)に沿って連結されて構成されている。複数の湾曲駒12aは、隣接する湾曲駒12a同士が、挿入部2の中心軸に略直交する軸周りに回動自在に連結されている。本実施形態では一例として、隣接する湾曲駒12a同士が相対的に回動する軸が全て略平行であり、湾曲部12は、図2中の矢印Aで示すように、2方向に湾曲変形可能である。なお、一般に知られているように、湾曲部12は、4方向に湾曲可能なものであってもよい。
【0022】
湾曲部12の基端側に設けられた可撓管部13は、帯状の金属製薄板を螺旋状に巻回してなる螺旋管を、金属製の網管によって被覆した、蛇管13aを具備して構成されている。蛇管13aは、湾曲部12の基端側と、操作部3に設けられた金属製の蛇管口金部6とを接続している。なお、図示しないが、湾曲部12及び可撓管部13の周囲は、柔軟な樹脂によって被覆されている。
【0023】
湾曲部12及び可撓管部13内には、湾曲方向に応じて複数の湾曲操作ワイヤ14が挿通されている。本実施形態では、湾曲部12の湾曲方向が2方向であるため、2本の湾曲操作ワイヤ14が、湾曲部12及び可撓管部13内に挿通されている。
【0024】
湾曲操作ワイヤ14の先端は、先端部11の基端部に固定されており、湾曲操作ワイヤ14の基端は、操作部3内に設けられた牽引機構部に接続されている。本実施形態における牽引機構部は、使用者が入力する外力により湾曲操作ワイヤ14を牽引し、湾曲部12を湾曲操作する構成を有している。このように使用者が入力する外力により湾曲部12の湾曲操作を行う方式は、一般に手動湾曲方式と称される。
【0025】
なお、牽引機構部は、使用者が入力する外力により湾曲操作ワイヤを牽引する構成に限られるものではなく、例えば電動モータ等のアクチュエータが発生する力により湾曲操作ワイヤを牽引する構成であってもよい。電動モータが発生する動力により湾曲部12の湾曲操作を行う方式は、一般に電動湾曲方式と称される。
【0026】
本実施形態では、牽引機構部は、使用者の手指によって回動されるアングル操作レバー5の回動量に応じて、2本の湾曲操作ワイヤ14を牽引するように構成されている。牽引機構部は、アングル操作レバー5が所定の第1の方向に回動された場合には、2本の湾曲操作ワイヤ14の一方を牽引し、他方を弛緩する。また、牽引機構部は、アングル操作レバー5が第1の方向とは反対である第2の方向に回動された場合には、2本の湾曲操作ワイヤ14の他方を牽引し、一方を弛緩する。このような、湾曲操作ワイヤ14の牽引弛緩に伴い、湾曲部12は、湾曲方向に湾曲変形する。
【0027】
また、湾曲操作ワイヤ14は、可撓管部13の内部において、金属製のコイルパイプ15内に挿通されている。コイルパイプ15は、曲げ方向の外力に対しては柔軟に変形するが、軸方向の圧縮力に対しては所定の剛性を有し、軸方向の圧縮に抗するように構成されている。
【0028】
コイルパイプ15の先端は、可撓管部13の先端部に固定されている。また、コイルパイプ15の基端は、操作部3に固定されている。具体的に本実施形態では、操作部3にコイルパイプ15の基端が接続されるコイルパイプ係止部8が設けられている。コイルパイプ係止部8は、操作部3の支持部材に設けられた固定部7に固定されている。
【0029】
上述したように、コイルパイプ15は、軸方向の圧縮力に抗するように構成さてれていることから、可撓管部13に軸方向の圧縮力が加えられた場合に、可撓管部13は、可撓管部13の先端部と、コイルパイプ係止部8との間の距離の変化を抑制する。すなわち、コイルパイプ15は、湾曲操作ワイヤ14に牽引力がかけられた場合における、可撓管部13の変形を防止する効果を有している。
【0030】
次に、操作部3の構成について説明する。図3及び図4は、操作部3の外装部材を取り外した状態を示している。操作部3は、操作部3の先端側(挿入部2側)を構成する先端側構造部3bと、操作部3の基端側を構成する基端側構造部3aと、先端側構造部3b及び基端側構造部3aの間に配設された光源部30と、を具備して構成されている。
【0031】
先端側構造部3bは、挿入部2の基端側に接続される部位である。先端側構造部3bは、蛇管13aが固定される蛇管口金部6、及びコイルパイプ係止部8が固定される固定部7を有して構成されている。また、基端側構造部3aは、アングル操作レバー5、及び牽引機構部を有して構成されている。
【0032】
光源部30は、詳しくは後述するが、図4に示すように、光源であるLED31を有し、LED31から出射された光を光ファイバ束22の基端面に入射させる構成を有している。すなわち、光源部30のLED31が出射された光は、光ファイバ束22によって挿入部2の先端部11へ導かれ、照明光出射部21から照明光として出射される。
【0033】
本実施形態では、光源部30は、先端側構造部3b及び基端側構造部3aを結合し、先端側構造部3b及び基端側構造部3aを固定する支持部材として配設されている。光源部30と、先端側構造部3b及び基端側構造部3aとを結合する構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、ネジ39によって、光源部30と、先端側構造部3b及び基端側構造部3aとが結合されている。
【0034】
以下に、光源部30の構成の詳細を説明する。図5及び図6に示すように、光源部30は、回路基板32に実装されたLED31と、LED31に対して光ファイバ束22の基端部を位置決めして保持する保持部40と、LED31が発する熱を放熱するための第1放熱部51及び第2放熱部52を具備して構成されている。光ファイバ束22の基端部には、光ファイバ束22の側面を覆う円筒形状の口金23が配設されている。口金23は、保持部40に設けられた案内孔41内に挿入された状態で、固定部材36により案内孔41内に固定される。
【0035】
LED31は、本実施形態では、いわゆる表面実装型のものである。LED31は、回路基板32の実装面上に実装されている。LED31は、回路基板32の実装面上に実装された状態において、実装面と対向する面とは反対側の面である上面に発光部であるLED素子を備え、上方に向けて光を出射する、いわゆる上面発光型である。なお、回路基板32の形態は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、回路基板32は、セラミック製の平板状の基板に導体からなる回路パターンが形成された形態を有している。
【0036】
なお、図示しないが、回路基板32には、LED31に電力を供給するための電力ケーブルが接続されている。なお、図面上において、LED31は、透明なシリコン等からなる集光レンズを有しているが、LED31は、集光レンズを持たない形態であってもよい。
【0037】
保持部40は、光ファイバ束22の基端部をLED31に対して所定の位置に位置決めした状態において、ネジである付勢部45によって回路基板32の実装面上に押さえつけられることによって、回路基板32に対して固定されている。付勢部45は、後述する第1放熱部51に設けられたネジ孔51bに螺合している。保持部40は、LED31の実装位置に応じて、LED31が出射する光がより多く光ファイバ束22に入射するように位置を調整された後に、回路基板32に対して固定される。なお、保持部40は、接着剤によって回路基板32の実装面上に固定される構成であってもよい。
【0038】
回路基板32は、実装面に接する第1放熱部51、及び実装面とは反対側の面に接する第2放熱部52によって挟持されている。第1放熱部51及び第2放熱部52は、回路基板32を間に挟持した状態で、ネジ53によって結合されている。第1放熱部51及び第2放熱部52は、例えばアルミニウム合金等の金属からなり、回路基板32に実装されたLED31が発する熱を放熱する効果を有する。
【0039】
第1放熱部51は、保持部40及び保持部40に固定された光ファイバ束22の基端部との干渉を避けて、回路基板32の実装面に接する形状を有している。第1放熱部51は、保持部40の回路基板32上における位置の変化、及び保持部40の位置の変化に応じた光ファイバ束22の基端部の位置の変化を妨げないように、回路基板32の実装面に接する形状を有している。
【0040】
具体的には、第1放熱部51は、回路基板32の実装面に接する底面に、保持部40との干渉を避けるための凹部51aを有している。凹部51aは、回路基板32の実装面上における保持部40の位置の変化量の最大値を考慮して、保持部40の外形よりも所定の値だけ大きく形成されている。また、第1放熱部51は、保持部40に固定された光ファイバ束22を挿通させるための貫通孔51cを有している。貫通孔51cは、保持部40の位置の変化に応じて移動する光ファイバ束22に干渉しない内径を有している。
【0041】
また、第1放熱部51には、保持部40の上面に覆い被さる部分に、回路基板32の実装面に直交する軸に沿って穿設されたネジ孔51bが設けられている。ネジ孔51bには、上方から下方に向かって、ネジである付勢部45が螺合している。付勢部45は、保持部40の上面に接する長さを有している。
【0042】
本実施形態では、保持部40は、回路基板32の実装面と、付勢部45との間に挟持され固定される。すなわち本実施形態では、接着剤を用いることなく、保持部40を、回路基板32の実装面上に固定することができる。したがって、本実施形態によれば、接着剤から発生するガスによって生じ得るLED31の劣化を防止することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、保持部40と第1放熱部51を別の部材として設けているが、これらは一体に構成される形態であってもよい。すなわち、第1放熱部51に光ファイバ束22の基端部が挿通される案内孔41が設けられ、第1放熱部51がLED31の実装位置に応じて回路基板32に対する固定位置を変更可能な構成であってもよい。
【0044】
第1放熱部51は、ネジ39によって、基端側構造部3aに結合されている。第2放熱部52は、回路基板32の実装面とは反対側の面に接する形状を有している。第2放熱部52は、ネジ39によって、先端側構造部3bに結合されている。
【0045】
以上に述べた光源部30は、基端側から先端側に向かって、第1放熱部51、回路基板32、第2放熱部52の順で配設されており、これらがネジ53によって結合されて構成されている。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡1は、照明光の光源であるLED31と、LEDが実装された回路基板32と、LED31が発する熱を放熱する金属製の第1放熱部51及び第2放熱部52を有してなる光源部30を、操作部3内に具備している。第1放熱部51及び第2放熱部52は、回路基板32に直接接しているため、LED31が発する熱を効率良く放熱することができる。
【0047】
また、本実施形態の光源部30においては、第1放熱部51及び第2放熱部52は、回路基板32を挟持した状態で結合されている。そして、光源部30は、操作部3の先端側構造部3b及び基端側構造部3aを結合する支持部材として機能している。このように、第1放熱部51及び第2放熱部52によって、操作部3の支持部材を構成することにより、操作部3の内部空間において、第1放熱部51及び第2放熱部52の表面積をより大きくすることができる。また、第1放熱部51及び第2放熱部52によって操作部3の支持部材を構成することにより、LED31が発する熱を、第1放熱部51及び第2放熱部52を介して先端側構造部3b及び基端側構造部3aに伝えることができる。
【0048】
したがって、本実施形態の内視鏡1は、小型かつ少ない部品点数で、操作部3内に配設されたLED31が発する熱を効率良く放熱することができる。本実施形態によれば、例えば、操作部3の大きさを従来の内視鏡と同等とした場合には、LED31が発する熱を従来よりも多く放熱することができるため、LED31をより高出力なものとすることができる。また、本実施形態の、例えばLED31の出力を従来の内視鏡と同等とした場合には、LED31が発する熱を放熱するための構成を小型かつ少ない部品点数とすることができるため、操作部3を小型かつ安価な構成とすることができる。
【0049】
なお、例えば図7に示すように、本実施形態において、LED31が実装された回路基板32にグランド配線33を接続すれば、LED31が発する熱がグランド配線33に伝わるため、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0050】
また、例えば図8に示すように、本実施形態において、信号ケーブル20cを、第1放熱部51及び第2放熱部52に沿って配索すれば、LED31から第1放熱部51及び第2放熱部52に伝わった熱は、さらに金属線を有する信号ケーブル20cに伝わるため、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第1の実施形態に比して、第1放熱部51及び第2放熱部52の構成のみが異なる。したがって、以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0052】
本実施形態では、第1放熱部51及び第2放熱部52の少なくとも一方の、回路基板32とは接触しない面上に、複数の溝が形成されている。本実施形態では一例として、図9に示すように、第1放熱部51及び第2放熱部52のそれぞれの外周部に、周方向に彫設された1つ又は複数の溝51e及び52eが形成されている。
【0053】
以上のような構成を有する本実施形態によれば、溝51e及び52eを設けることによって、第1放熱部51及び第2放熱部52の表面積を第1の実施形態に比してより大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第1の実施形態に比して、第1放熱部51及び第2放熱部52の構成のみが異なる。したがって、以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0055】
本実施形態では、第1放熱部51及び第2放熱部52の少なくとも一方に、基端側から先端側に延在する複数の溝が形成されている。本実施形態では一例として、図10に示すように、第1放熱部51及び第2放熱部52のそれぞれに、基端側から先端側に延在する2つの溝51d及び52dが形成されている。
【0056】
溝51d及び52dは、基端側から先端側に向かって連続するように設けられている。すなわち、光源部30の全体を見た場合、溝51d及び52dが連接してなる2本の溝が、基端側から先端側に延在するように設けられている。この、溝51d及び52dが連接してなる2本の溝の内部には、アングルワイヤ14が1本ずつ挿通されている。
【0057】
以上のような構成を有する本実施形態によれば、溝51d及び52dを設けることによって、第1放熱部51及び第2放熱部52の表面積を第1の実施形態に比してより大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0058】
また、本実施形態では、溝51d及び52dが連接してなる2本の溝の内部には、アングルワイヤ14が1本ずつ挿通されていることから、牽引機構部によってアングルワイヤ14の牽引弛緩操作をする場合に、アングルワイヤ14同士が干渉することがない。このため、アングルワイヤ14同士が干渉することによって生じる音の発生を防止することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0059】
なお、本実施形態では、第1放熱部51及び第2放熱部52の双方にアングルワイヤ14を挿通する溝を設けているが、溝は、第1放熱部51及び第2放熱部52の一方に形成される形態であってもよい。このような形態であっても、上述した効果を得られることはいうまでもない。
【0060】
また、溝51d及び52dは、3本以上形成される形態であってもよく、またこの場合には、アングルワイヤ14が挿通されない溝51d及び52d内に、光ファイバ束22及び信号ケーブル20cの少なくとも一方が挿通される形態であってもよい。さらに、金属線を有する信号ケーブル20cを溝51d及び52d内に挿通すれば、信号ケーブル20cを介して放熱することができる。
【0061】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第1から第3の実施形態に比して、第2放熱部52の構成のみが異なる。したがって、以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0062】
図11に示すように、本実施形態では、コイルパイプ係止部8が操作部3に固定される部位である固定部7が、第2放熱部52と一体に形成されている。このような本実施形態によれば、LED31が発する熱を、固定部7及びコイルパイプ係止部8を介して、コイルパイプ15の基端に伝えることができる。
【0063】
コイルパイプ15は、金属製であり、挿入部2内に挿通された細長の部材であるから、基端から先端に熱を伝えながら効率良く放熱することができる。すなわち、本実施形態によれば、LED31が発する熱を放熱するための部材の表面積を第1の実施形態に比してより大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0064】
なお、本実施形態の光源部30は、第3の実施形態と同様に、第1放熱部51及び第2放熱部52の少なくとも一方に、基端側から先端側に延在する複数の溝が形成される形態であってもよい。この場合、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態を説明する。本実施形態は、上述した第4の実施形態に比して、第2放熱部52の構成のみが異なる。したがって、以下では第4の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第4の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0066】
図12に示すように、本実施形態では、第2放熱部52の先端側に、蛇管口金部6を固定するための蛇管口金固定部52aが一体に形成されている。このような本実施形態によれば、LED31が発する熱を、蛇管口金部6を介して蛇管13aの基端に伝えることができる。
【0067】
蛇管13aは、金属製であり、挿入部2内に挿通された表面積の大きい部材であるから、基端から先端に熱を伝えながら効率良く放熱することができる。すなわち、本実施形態によれば、LED31が発する熱を放熱するための部材の表面積を第4の実施形態に比してより大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、LED31が発する熱をより効率良く放熱することができる。
【0068】
なお、本実施形態の光源部30は、第3の実施形態と同様に、第1放熱部51及び第2放熱部52の少なくとも一方に、基端側から先端側に延在する複数の溝が形成される形態であってもよい。この場合、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上述のように、本発明は、操作部内にLEDを備える内視鏡に対して好適である。
【符号の説明】
【0071】
1 内視鏡、
2 挿入部、
3 操作部、
3a フレーム、
4 ケーブル、
5 アングル操作レバー、
6 蛇管口金部、
7 固定部、
8 コイルパイプ係止部、
11 先端部、
11b 貫通孔、
12 湾曲部、
12a 湾曲駒、
13 可撓管部、
13a 蛇管、
14 アングル操作ワイヤ、
15 コイルパイプ、
20 撮像部、
20a 対物レンズ、
20b 撮像素子、
20c 信号ケーブル、
21 照明光出射部、
22 光ファイバ束、
23 口金、
30 光源部、
31 LED、
32 回路基板、
33 グランド配線、
35 電源ケーブル、
36 固定部材、
39 ネジ、
40 保持部、
41 案内孔、
45 付勢部、
51 第1放熱部、
51a 凹部、
51b ネジ孔、
51c 貫通孔、
51d 溝、
51e 溝、
52 第2放熱部、
52a 蛇管口金固定部、
52d 溝、
52e 溝、
53 ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部、前記挿入部の基端側に接続された操作部、及び前記操作部内に配設されLEDが実装された回路基板を具備し、前記LEDが発する光を光ファイバ束を用いて前記挿入部の先端部へ導光して照明光として用いる構成を有する内視鏡であって、
前記回路基板の実装面上に接する第1放熱部と、
前記回路基板の前記実装面とは反対側の面上に接する第2放熱部と、
を具備し、
前記第1放熱部及び前記第2放熱部は、前記回路基板を挟持した状態で結合されており、
互いに結合された前記第1放熱部及び前記第2放熱部は、前記操作部の先端側構造部と、前記操作部の基端側構造部とを結合する支持部材となる
ことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記第1放熱部及び前記第2放熱部の少なくとも一方の、前記回路基板とは接しない面に溝が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記挿入部に設けられた湾曲部と、
前記操作部から前記湾曲部にかけて挿通され、前記湾曲部を牽引弛緩することによって前記湾曲部を湾曲変形させるための複数の湾曲操作ワイヤと、
を具備し、
前記溝は、基端側から先端側に延在するように複数設けられ、
前記複数の溝内には、前記複数の湾曲操作ワイヤが1本ずつ挿通されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部内に配設され、前記湾曲操作ワイヤが挿通されるコイルパイプを具備し、
前記第2放熱部は、コイルパイプの基端が固定される固定部と一体に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記挿入部の外周部に配設される金属製の蛇管を具備し、
前記第2放熱部は、前記蛇管の基端が固定される固定部と一体に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第1放熱部は、前記光ファイバ束の基端部を、前記LEDに対して位置決めして保持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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