説明

内視鏡

【課題】LEDで発生する熱の放熱を速やかに行って、観察性能に優れた細径で小型の内視鏡を提供すること。
【解決手段】挿入部2の先端部2aから被検体を照明するLED18を備える内視鏡において、LED18をカーボンナノチューブ複合体によって構成される放熱部材本体に対して直接又はLED基板12を介して固設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部先端部に発光素子であるLEDを配設した内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野及び工業分野において内視鏡が利用されている。
医療分野において使用される内視鏡は、挿入部を被検体内に挿入することによって観察を行うことができ、処置具挿通チャンネル内に処置具を挿入して各種処置を施すことができる。
【0003】
一方、工業用分野において使用される内視鏡では、挿入部をエンジン、或いは工場配管等の内部に挿入することによって傷の検査、腐蝕の発見等を行え、処置具挿通チャンネル内に工具を挿入して傷、腐食部の補修等を行える。
【0004】
これら内視鏡の挿入部が挿入される観察対象部位は、暗所であるのが普通である。このため、内視鏡においては、挿入部を速やかに観察対象部位に挿入するため、及び挿入後に所望の観察を行えるように周囲を照明する光源が必要となる。
【0005】
内視鏡装置においては、内視鏡の外部装置として光源装置を用意するのが一般的である。光源装置は、装置内にランプを備え、ランプで発光した照明光は、内視鏡内に挿通されたライトガイドファイバー束を介して挿入部の先端部まで伝送される。そして、先端部まで伝送された照明光は、先端部に設けられている照明窓を通して観察対象部位に出射される。
【0006】
近年、挿入部の先端部に発光ダイオード(LED)等の発光素子を照明光源として設け、この発光素子で観察対象部位を照射する構成の内視鏡が種々提案されている。一般に、光源としてのLEDは、通常の照明光源である電球等のランプに比較して長寿命、低消費電力である。
【0007】
しかし、LEDは、熱を発しその発生する熱によって高温になる。このため、LEDを配設した内視鏡においては、高温になることにより、長時間の使用が困難になるおそれがある。加えて、LEDから発する熱が先端部に設けられた撮像素子に伝導されると、撮像素子の温度が上昇し、内視鏡画像にノイズを発生する等、内視鏡画像に不具合を生じさせる要因になる。
このため、LEDを使用する内視鏡においては、このLEDから発生する熱を外部に放熱することが課題になっている。
【0008】
例えば、特許文献1には、LEDにて発生する熱を適切に排出する内視鏡装置が示されている。この内視鏡装置においては、LEDで発生する熱を排出するために電気接続回線を利用することが記載され、その電気接続回線として同軸ケーブルを用い、同軸ケーブルを構成する導電体のうち少なくとも1つをLEDと直接的又は間接的に熱伝導可能に接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−083617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の内視鏡装置においては、同軸ケーブルの可撓性を確保しつつ熱伝導率と共に導電体の断面積を最適化することが難しい。加えて、内視鏡の細径化及び小型化に伴って、配線スペース等に制約が生じ、同軸ケーブルによる十分な放熱が困難になるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、LEDで発生する熱の放熱を速やかに行って、観察性能に優れた細径で小型の内視鏡を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様における内視鏡は、挿入部先端部から被検体を照明するLEDを備える内視鏡であって、前記LEDをカーボンナノチューブ複合体によって構成される放熱部材本体に対して直接又はLED基板を介して固設している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LEDで発生する熱の放熱を速やかに行って、観察性能に優れた細径で小型の内視鏡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】熱伝導部材として高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブによって形成されたアダプター本体を備える内視鏡の構成例を説明する図
【図2】アダプター本体のLED配設穴と、LED配設穴に配置されるLEDとを説明する図
【図3】LED配設穴内に配置され、カーボンナノ充填剤を充填してLED配設穴内に固設されたLEDを説明する図
【図4】図4−図6は、先端アダプターの変形例に係り、図4はアダプター端子を設ける代わりに、第1接点と接触する第1端子部を設けた細長な端子片を備えるLED基板を有する内視鏡の構成例を説明する図
【図5】アダプター端子を設ける代わりに、第1接点と接触する第1端子部を設けた細長な端子片を備えるLED基板および第2接点と接触する第2端子部を設けた細長な帯状フレキシブル基板を有する内視鏡の構成例を説明する図
【図6】アダプター端子を設ける代わりに、第1接点と接触する第1端子部を設けた細長な端子片を備えるLED基板および第2接点と接触する第2端子部を設けた細長な帯状フレキシブル基板とLEDの発光面側およびアダプター本体の先端面に透明電極を有する内視鏡の構成例を説明する図
【図7】アダプター本体の熱を放熱する放熱部材を説明する図
【図8】放熱部材を設けたアダプター本体の構成例を説明する図
【図9】カーボンナノチューブシートと絶縁シートを交互に積層して構成したアダプター本体を説明する図
【図10A】図9のアダプター本体に配設されるLEDを有する照明を説明する図
【図10B】LEDを有する照明の構成を説明する断面図
【図11】第1接続端子と、その軸部に配置される絶縁リングとを説明する図
【図12A】LEDユニットを構成する短辺部と長辺部とを有するシート体を説明する図
【図12B】円環部と帯状部とを備えるLEDユニットを説明する図
【図13】LEDユニットのカバー部材への取り付けを説明する図
【図14】LEDユニットの円環部カバー部材に配置して構成されたアダプター本体を説明する図
【図15】カバー部材内にカーボンナノチューブ複合体製のアダプター本体を配設し、複数のLEDを実装したLED基板をアダプター本体の先端面上に配設する内視鏡構成例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1に示すように本実施形態の内視鏡1は、挿入部2の先端側に先端アダプター3が着脱自在に配置される構成である。挿入部2の先端側に配置された先端アダプター3は、挿入部先端部を構成し、本実施形態の先端アダプター3は、観察範囲を挿入部長手軸方向に設定した直視の対物光学系を備えた直視型先端アダプターとしている。
なお、先端アダプターは、直視型先端アダプター3に限定されるものではなく、観察範囲を挿入部長手軸方向に対して直交する方向に設定した側視の対物光学系を備えた側視型先端アダプター等であってもよい。
【0016】
先端アダプター3は、アダプター本体11と、LED基板12と、対物光学部13と、アダプター端子14と、本体補助部材15と、カバー部材16と、アダプター側着脱リング部材(以下、リング部材と略記する)17とで主に構成されている。符号18はLEDである。LED18は、発光素子である発光ダイオードを備えて構成され、アダプター先端面に複数配列されている。
【0017】
アダプター本体11は、挿入部先端部本体であって、本実施形態において、第1熱伝導部材である。アダプター本体11は、高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブ複合体、或いは、複数のカーボンナノチューブ複合体シート(以下、カーボンナノチューブシートと記載)を積層して断面形状が略環状の管状部材の放熱部材本体として構成される。アダプター本体11には、中央貫通孔11a、端子用孔11b、LED配設穴11c、及び接点用穴11dと、接続部11eとが設けられている。
【0018】
複数のカーボンナノチューブシートを積層してアダプター本体11を形成する構成において、各シートにはそれぞれ中央貫通孔11aを形成するための貫通孔、端子用孔11bを形成するための貫通孔が設けられている。また、各シートのうち複数のシートには、中央貫通孔11a及び端子用孔11bに加えて、さらに、LED配設穴11cを形成するための貫通孔、又は接点用穴11dを形成するための貫通孔が形成されている。
【0019】
中央貫通孔11aは、アダプター本体11の長手方向中心軸に対して形成されている。端子用孔11bは、中央貫通孔11aに平行であり、アダプター本体11の予め定めた位置に形成されている。
【0020】
LED配設穴11cは、アダプター本体11の先端面側であって、中央貫通孔11aの周囲に複数配列して設けられている。LED配設穴11cには、LED18が収容される。LED配設穴11cの内径寸法及び深さ寸法は、LED18の外形寸法および高さ寸法を考慮して設定される。
接点用穴11dは、アダプター本体11の基端面側であって、端子用孔11b近傍に1つ設けられている。
【0021】
接続部11eは、端子用孔11b近傍でアダプター本体11に固設されている。接続部11eは、絶縁部材で構成された例えば円柱形状の接続部本体11fを備えている。接続部本体11fには段付き孔11hが形成されている。段付き孔11hの太径穴内には導電性を有するスプリング11g及び接触板11jが配置される。大径穴と外部とを連通する細径孔である連通孔内には後述する第2接点22bが配置される。スプリング11gの一端は、アダプター本体11に当接配置され、他端は接触板11jに当接配置される。接触板11jは、グランド側の端子である。
【0022】
LED配設穴11cには、図2の矢印に示すようにLED18が配置される。LED18は、LEDチップ18aと、チップ搭載基板18bとを備えて構成され、チップ搭載基板18bの予め定めた位置には、第1電極18cと、第2電極18dと、図示しない導電パターンとが備えられている。
【0023】
本実施形態において、LED18は、図3に示すようにLED配設穴11c内に配置され、その後、カーボンナノ充填剤11kを充填してLED配設穴11c内に固設される。この固設状態において、カーボンナノ充填剤11kは、LED18を構成するLEDチップ18aの発光面である上面及びチップ搭載基板18bの第2電極18dを設けた上面以外の全面に密着する。この結果、第2電極18dは、アダプター本体11の先端面側に露出して配置される。一方、第1電極18cは、アダプター本体11に直接、或いはカーボンナノ充填剤11kを介して電気的に接続される。この構成においては、アダプター本体11は、配線部としての機能を有する。
【0024】
LED基板12は、例えばフレキブル基板で環状に形成されている。LED基板12は、アダプター本体11の先端面上に配置される。LED基板12の両面は絶縁部であり、内部に導電パターンを有している。LED基板12の表面にはLED18に対応する複数のLED接点部(不図示)及びアダプター端子14の一端に対応する端子接点部(不図示)が露出して設けられている。第2電極18dは、例えばLED接点部近傍で突出して配置され、半田によってLED接点部に電気的に接続されている。また、アダプター端子14の接点部14cは、例えば端子接点部内において突出して配置され、半田によって端子接点部に電気的に接続される。
【0025】
なお、LED18の照射方向側は、透明又は半透明の封止剤(図1の符号18f参照)によって覆われている。言い換えれば、LED接点部と第2電極18dとの接続、端子接点部と接点部14cとの接続は、封止材18fによって電気的、機械的に保持されている。
【0026】
図1に示すように対物光学部13は、レンズ枠13aと、レンズ枠13aに固設された例えば3つの光学レンズ13b、13c、13dとを備えて構成されている。レンズ枠13aは、ステンレス等の耐食性に優れ、熱伝導率の低い金属部材で形成され、中央貫通孔11a内に配設される。レンズ枠13aの外表面は絶縁部として構成されている。
【0027】
アダプター端子14は、絶縁筒14aと、接続ピン14bとを備えて主に構成されている。接続ピン14bは、アルミ、真鍮、鉄等の導電部材で形成され、その一端側に接点部14cを備え、他端側に当接部14dを備えている。接続ピン14bは、絶縁筒14a内に配置されて、アダプター本体11と電気的に接触することが防止されている。アダプター端子14は、例えば電源側の端子である。
【0028】
なお、絶縁筒14aに配置される接続ピン14bを二分割して、その間にコイルバネを配設する構成にしてもよい。この構成において、当接部14dは、コイルバネの付勢力に抗して後退し、コイルバネの付勢力で絶縁筒14aに対して前進する。
【0029】
本体補助部材15は、細径部15aと太径部15bとを備える段付き形状の管状部材である。細径部15aは、アダプター本体11に外嵌配置され、例えば接着によって一体的に固定される。細径部15aの内表面は、絶縁部として構成されている。
【0030】
カバー部材16は、アダプター本体11を保護するカバー部と支持部とを兼用する。具体的に、カバー部材16を本体補助部材15に外嵌配置することによって、アダプター本体11の外周面はカバー部材16によって覆われ、LED基板12及びリフレクター19がアダプター本体11の先端面から脱落することなく配設される。符号16aは、内面側突起であり、アダプター本体11の先端面に配置されたLED基板12及びリフレクター19を支持する。
【0031】
カバー部材16の内表面は、絶縁部として構成されている。リフレクター19は、LED18から出射された照明光を効率よく観察部位に向けて出射するようにLED基板12の表面側に配置される、或いは表面に一体に固定されている。
【0032】
リング部材17は、本体補助部材15の太径部15bに対して回動自在に配置される。このリング部材17の内周面には雌ネジ部17aが形成されている。リング部材17は、本体補助部材15の細径部15aと太径部15bとの間に形成された段部15cに配置される折曲部17bを有している。
【0033】
図1を参照して挿入部先端側の構成を説明する。
挿入部2の先端部2aは、対物光学系受け部20、観察光学部21、及び挿入部端子部22を備えて主に構成されている。
【0034】
対物光学系受け部20は、第2熱伝導部材であって熱伝導率の高い例えば銅、アルミ等の金属部材で形成されている。この対物光学系受け部20には、中央貫通孔20a、電線挿通孔20b、及び先端アダプター取付部20cが設けられている。
【0035】
先端アダプター取付部20cは、その外周面に雌ネジ部17aと噛合する雄ネジ部20d、20eを備えている。第1雄ネジ部20dは、先端アダプター3を挿入部装着中に脱落することを防止する仮止め用の雄ネジ部である。第2雄ネジ部20eは、先端アダプター3を挿入部2に固定するための締結用雄ネジ部である。
【0036】
中央貫通孔20aには、観察光学部21が挿通配置される。観察光学部21内には図示しない光学レンズ、CCD等の撮像素子及び回路基板等を含む撮像装置が備えられている。又観察光学部21の外表面は絶縁部として構成されている。符号23は、信号ケーブルであり、撮像装置から延出している。
【0037】
電線挿通孔20bは、中央貫通孔20aに平行であり、アダプター端子14及び接続部11eに対応する位置に形成されている。電線挿通孔20b内にはLED18に電力を供給する電線24が挿通される。符号20fは、配設穴であり、挿入部端子部22が配設される。
【0038】
挿入部端子部22は、第1接点22aと第2接点22bとを備えている。第1接点22aは、アダプター端子14の当接部14dに接触するように予め定めた位置に設けられている。第2接点22bは、段付き孔11hの細径孔内に配置されて接触板11jに当接するように予め定めた位置に設けられている。
【0039】
ここで、内視鏡1の作用を説明する。
観察者は、先端アダプター3を先端部2aに取りつけ内視鏡観察を開始する。即ち、LED18が発光状態になると共に、撮像装置が観察状態になって、図示しない表示装置の画面上に内視鏡画像が表示される。
【0040】
内視鏡観察中、LED18は、発光に伴い発熱する。LED18から発生した熱は、LED18の周囲を覆うように充填されたカーボンナノ充填剤11k、カーボンナノチューブ複合体で形成されたアダプター本体11、銅製或いはアルミ製の対物光学系受け部20を介して放熱される。つまり、アダプター本体11は、LED18から発生した熱を放熱するカーボンナノチューブ複合体で構成された放熱部本体である。
【0041】
このように、本実施の形態においては、先端アダプター3を構成するアダプター本体11を高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブ複合体で形成する。また、カーボンナノチューブ複合体で形成したアダプター本体11の先端面側にLED18を収容するためのLED配設穴11cを形成する。LED配設穴11cにLED18を配置し、このLED18の周囲にカーボンナノ充填剤11kを充填する。この結果、LED18がアダプター本体11にカーボンナノ充填剤11kを介して一体固定される。したがって、LED18で発生した熱が、発光面側を除いた側面及び底面からカーボンナノチューブ複合体製のアダプター本体11に伝達されて、LED18の熱が速やかに対物光学系受け部20を介して外部に放熱することができる。
【0042】
以下、図4−図6を参照して先端アダプター3の変形例を説明する。
図4に示す先端アダプター3Aのアダプター本体11Aには、中央貫通孔11a、端子片用外周溝11m、及びLED配設穴11cが設けられている。この先端アダプター3Aにおいては、アダプター端子14を設ける代わりにLED基板12Aに細長な端子片12bを設け、その端子片12bの端部に第1接点22aと接触する第1端子部(不図示)を設けている。
【0043】
端子片12bは、環状のフレキブル基板の外周から突出した帯状片であり、端子片用外周溝11mに配置されて先端アダプター3Aの基端面上に延出される。基端面上に延出された端子片12bの端部の一面側には第1端子部及び第2接点22bに接触する第2端子部(不図示)が設けられ、他面側にはアダプター本体11Aに接触する接触面部が設けられている。
【0044】
本実施形態のアダプター本体11Aは、複数のカーボンナノチューブシートを積層してアダプター本体11Aを形成する構成において、各シートにはそれぞれ中央貫通孔11aを形成するための貫通孔、端子片用外周溝11mを形成するための切欠が設けられている。また、各シートのうち複数のシートには、中央貫通孔11a及び端子片用外周溝11mに加えて、さらに、LED配設穴11cを形成するための貫通孔が形成されている。
【0045】
端子片用外周溝11mは、中央貫通孔11aに平行であり、アダプター本体11の予め定めた位置に形成されている。
本実施形態において、アダプター本体11Aの外周面は、全面に渡って本体補助部材15Aの内面に配置されている。また、カバー部材16に内面側突起16aを形成する代わりに、押さえ板25を設けてアダプター本体11の先端面に配置されるLED基板12A及びリフレクター19を支持している。
【0046】
この構成によれば、アダプター端子14を不要にして上述した実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
なお、その他の構成は、図1に示した先端アダプター3と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略している。また、端子片12bの端部の一面側には第1端子部だけを設け、第2接点22bをアダプター本体11Aに直接当接させるように構成してもよい。
【0047】
図5に示す先端アダプター3Bのアダプター本体11Bには、中央貫通孔11a、端子片用外周溝11m、帯状フレキシブル基板用内周溝11n及びLED配設穴11cが設けられている。この先端アダプター3Bにおいては、帯状フレキシブル基板12Cを設け、この帯状フレキシブル基板12Cによって、第2接点22bとLED18の第1電極18cとを電気的に接続する。つまり、帯状フレキシブル基板12Cは、一端部に第1電極18cに接続される端子部を備え、他端部に第2接点22bに接触する第2端子部(不図示)を備えている。
【0048】
本実施形態のアダプター本体11Bは、複数のカーボンナノチューブシートを積層してアダプター本体11Bを形成する構成において、各シートにはそれぞれ中央貫通孔11aを形成するための貫通孔、端子片用外周溝11mを形成するための切欠、及び帯状フレキシブル基板用内周溝11nを形成するための切欠が設けられている。また、各シートのうち複数のシートには、中央貫通孔11a、端子片用外周溝11m及び帯状フレキシブル基板用内周溝11nに加えて、さらに、LED配設穴11cを形成するための貫通孔が形成されている。
【0049】
端子片用外周溝11m及び帯状フレキシブル基板用内周溝11nは、中央貫通孔11aに平行であり、アダプター本体11の予め定めた位置に形成されている。
この構成によれば、アダプター端子14を不要にして上述した実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
なお、その他の構成は、図1に示した先端アダプター3と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略している。
【0050】
図6に示す先端アダプター3Cは、中央貫通孔11a、端子片用外周溝11m、帯状フレキシブル基板用内周溝11n及びLED配設穴11cが設けられている。この先端アダプター3Cにおいては、LED18の発光面側およびアダプター本体11Aの先端面に透明電極26を配置している。透明電極26が備える配線(不図示)は、第2電極18dに接続されている。そして、透明電極26は、端子片用外周溝11mに配置される第2帯状電極12Dの一端部と電気的に接続されている。
【0051】
この構成によれば、LED基板12A、封止材18f及びリフレクター19を不要にして上述した実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
その他の構成は、図1に示した先端アダプター3と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略している。
なお、上述した実施形態においては、LED18で発生した熱を、カーボンナノチューブ複合体製のアダプター本体11に伝達し、LED18の熱を速やかに対物光学系受け部20を介して外部に放熱するようにしている。しかし、図7に示すように構成した放熱部材を、図8に示すように挿入部内に設けてLED18で発生した熱を放熱部材によって外部に放熱するようにしてもよい。
【0052】
図7及び図8を参照してアダプター本体に伝達された熱を放熱する放熱部材を備えた内視鏡について説明する。
図7に示す放熱部材30は、ストレート部30aと、螺旋形状部30bとを有している。放熱部材30は、ステンレスパイプ31と、カーボンナノロッド束線32とを備えて構成されている。
【0053】
ステンレスパイプ31は、例えば断面形状が長方形形状で、断面形状が長方形形状の角孔31aを有する角形パイプである。カーボンナノロッド束線32は、カーボンナノ線を複数束ねて構成され、角孔31a内に挿通配置される。カーボンナノロッド束線32の先端部32aは、ステンレスパイプ31の先端31bから予め定めた長さ突出している。
【0054】
角孔31a内にカーボンナノロッド束線32を挿通したステンレスパイプ31は、図7に示す形状に加工される。ステンレスパイプ31の表面には、予め、絶縁被膜が形成されている。
【0055】
図8に示すようにアダプター本体11の所定部位にはカーボンナノロッド線束先端部配設穴(以下、ロッド線配設穴)11pが形成されている。ロッド線配設穴11pには、ステンレスパイプ31の先端31bから突出したカーボンナノロッド束線32の先端部32aが配設される。先端部32aは、例えばカーボンナノ充填剤によってアダプター本体11に一体固定される。
【0056】
対物光学系受け部20にはストレート部挿通孔20hが形成されている。ストレート部挿通孔20hは、貫通孔であり、ストレート部挿通孔20h内には放熱部材30のストレート部30aが遊嵌状態で挿通される。放熱部材30の螺旋形状部30bは、先端アダプター取付部20c内、挿入部2内に配置される。
なお、ストレート部挿通孔20hの中心軸とロッド線配設穴11pの中心軸とは同軸となるように配置される。
【0057】
この構成によれば、LED18で発生してた熱は、カーボンナノチューブ複合体製のアダプター本体11に伝達された後、カーボンナノ充填剤によってアダプター本体11に一体固定された先端部32aを介してカーボンナノロッド束線32に伝達されて、カーボンナノロッド束線32の基端部およびカーボンナノロッド束線32を被覆するステンレスパイプ31を介して外部により効率良く放熱される。
【0058】
上述した実施形態において、アダプター本体は、高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブ複合体、或いは、複数のカーボンナノチューブシートを積層して断面形状が略環状の管状部材として構成している。しかし、アダプター本体を図9に示すようにカーボンナノチューブシートと絶縁シートを積層して断面形状が略環状の管状部材として構成ようにしてもよい。
【0059】
図9に示すように本実施形態の内視鏡1は、挿入部2の先端側に先端アダプター3Dが着脱自在に配置される構成である。
先端アダプター3Dは、アダプター本体11Dと、対物光学部13と、外周面形成絶縁板40と、絶縁板41と、カバー部材16と、リング部材17とを主に備えて構成されている。符号18はLEDであり、アダプター先端面に複数配列されている。
【0060】
本実施形態のアダプター本体11Dは、複数のカーボンナノチューブシート4Aと、複数の絶縁シート5Aとを交互に積層して断面形状が略環状の管状部材として構成される。アダプター本体11Dの外周面及び先端面の一部は、可撓性を有する外周面形成絶縁板40によって覆われている。
【0061】
アダプター本体11Dには、第1実施形態で示した中央貫通孔11a及びLED配設穴11cに加えて、LED端子孔11r、11sと接続端子用孔11t、11uとが予め定めた位置に設けられている。LED端子孔11r、11s及び接続端子用孔11t、11uは、それぞれアダプター本体11Dの中央貫通孔11aに対して平行である。
【0062】
アダプター本体11Dにおいては、例えば、複数のカーボンナノチューブシート4Aを予め積層して予め定めた厚さ寸法に形成したカーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3と、絶縁シート5Aの厚み寸法をそれぞれ予め定めた厚みに設定した絶縁シート5A1、5A2、5A3とを積層して形成されている。
なお、カーボンナノチューブ積層体および絶縁シートの層数は、それぞれ3つに限定されるものではなく、それ以上であってもよい。
【0063】
各積層体4A1、4A2、4A3、及び各絶縁シート5A1、5A2、5A3にはそれぞれ中央貫通孔11aを形成するための貫通孔が設けられている。
【0064】
そして、各シート4A1、4A2、4A3、5A1、5A2、5A3のうち第1カーボンナノチューブ積層体4A1を形成する各カーボンナノチューブシート4Aおよび第1絶縁シート5A1には中央貫通孔11aに加えて、LED配設穴11cを形成するための貫通孔が形成されている。
【0065】
第2カーボンナノチューブ積層体4A2を形成するカーボンナノチューブシート4Aには中央貫通孔11aに加えて第1LED端子7Aが通過する挿通孔が形成されると共に、第2LED端子7Bの先端部が配置される接続穴または第1接続端子6Aの先端部が配置される接続穴を形成するための貫通孔の何れかが形成されている。
第2絶縁シート5A2には中央貫通孔11aに加えて、第1LED端子孔11r、第1接続端子用孔11tをそれぞれ形成するための貫通孔が形成されている。
【0066】
第3カーボンナノチューブ積層体4A3を形成するカーボンナノチューブシート4Aには中央貫通孔11aに加えて、第1接続端子6Aが通過する挿通孔が形成されると共に、第1LED端子7Aの先端部が配置される接続穴または第2接続端子6Bの先端部が配置される接続穴を形成するための貫通孔の何れかが形成されている。
第3絶縁シート5A3には中央貫通孔11aに加えて、第1接続端子用孔11t、第2接続端子用孔11uをそれぞれ形成するための貫通孔が形成されている。
【0067】
なお、絶縁板41は、円板形状であってアダプター本体11Dの基端面に配置される。絶縁板41の予め定めた位置には、第1接続端子6Aが挿通される第1接続端子用孔11tを構成する貫通孔と、第2接続端子6Bが挿通される第2接続端子用孔11uを構成する貫通孔とが形成されている。
【0068】
また、カーボンナノチューブシート及び絶縁シースに形成する端子孔は、LED端子の外径、接続端子の外径よりも小さく形成され、端子を差し込んだ際に拡張されるものである。接続穴は、端子を押し当てて導電接続するためのものである。
【0069】
本実施形態においてLED18は、図10A、10Bに示すようにLED本体7に一体で、LED本体7は第1LED端子7Aと、第2LED端子7Bとを備えて構成されている。LED端子7A、7Bは、LED本体7の一面からそれぞれ突出している。
【0070】
LED本体7は、絶縁部材で構成されたケース体7cと、第1電極7dと、第2電極7eと、第1絶縁筒7fと、第2絶縁筒7gとを備えて構成されている。第1電極7dの一面側は、第1LED端子7Aと電気的に接触し、他面側はLED18の予め定めた電気接点に電気的に接続されている。第2電極7eの一面側は第2LED端子7Bと電気的に接触し、他面側はLED18の予め定めた電気接点に電気的に接続されている。第1絶縁筒7fは、第1LED端子7Aの軸部7A1を被覆し、第2絶縁筒7gは、第2LED端子7Bの軸部7B1を被覆する。符号7A2は、第1LED端子7Aの導通部であり、符号7B2は第2LED端子7Bの導通部である。
【0071】
図9に示すようにLED本体7のケース体7cをLED配設穴11c内に配置した状態において、第1LED端子7Aの導通部7A2は、第1LED端子孔11rを構成する第3カーボンナノチューブ積層体4A3に配置される。このとき、第1LED端子7Aの軸部7A1を被覆する第1絶縁筒7fは、第1LED端子孔11rを構成する第2カーボンナノチューブ積層体4A2及び第2絶縁シート5A2に配置される。このことによって、第1LED端子7Aは、第3カーボンナノチューブ積層体4A3と電気的に接続される。
【0072】
一方、第2LED端子7Bの導通部7B2及び軸部7B1を被覆する第2絶縁筒7gは、第2LED端子孔11sを構成する第2カーボンナノチューブ積層体4A2に配置される。このことによって、第2LED端子7Bは、第2カーボンナノチューブ積層体4A2と電気的に接続される。
【0073】
図11に示すように第1接続端子6Aの軸部には予め定めた長さ寸法に設定された絶縁リング6cが被覆される。そして、図9に示すように、第1接続端子6Aの絶縁リング6cから露出された軸部先端部は、第1接続端子用孔11tを構成する第2カーボンナノチューブ積層体4A2に配置される。このとき、第1接続端子6Aを被覆する絶縁リング6cは、第1接続端子用孔11tを構成する第3カーボンナノチューブ積層体4A3、第3絶縁シート5A3及び絶縁板41に配置される。このことによって、第1接続端子6Aは、第2カーボンナノチューブ積層体4A2と電気的に接続される。
【0074】
一方、第2接続端子6Bの軸部先端部は、第2接続端子用孔11uを構成する第3カーボンナノチューブ積層体4A3に配置される。このとき、第2接続端子6Bの他の軸部は、第3絶縁シート5A3及び絶縁板41に配置される。このことによって、第2接続端子6Bは、第3カーボンナノチューブ積層体4A3と電気的に接続される。
その他の構成は上述した実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0075】
なお、上述した構成においては、2つのLED18を対称に配置した構成を示している。しかし、LED18を3つ、4つ等に増やしてもよく、その場合、追加したLED18の端子を積層された導電層に対して適宜差し込めばよい。
【0076】
また、複数の導電層を積層しているので、端子を接続する導電層を複数の導電層の中から選択的に選ぶようにしても良い。この結果、選択的に1つのLED18或いは複数のLED18を点灯させることが可能になる。この場合、LED18の数と、選択的に切り替えるパターンの数とを考慮して導電層と絶縁層の数を変更する必要がある。
【0077】
さらに、導電層及び絶縁層に端子用の貫通した孔を設けることなく、端子を差し込むことでこの端子を導電層及び絶縁層に対して貫通させるようにしてもよい。
【0078】
ここで、先端アダプター3Dを備える内視鏡1の作用を説明する。
観察者は、先端アダプター3Dを先端部分2aに取りつけ内視鏡観察を開始する。即ち、LED18が発光状態になると共に、撮像装置が観察状態になって、図示しない表示装置の画面上に内視鏡画像が表示される。
【0079】
内視鏡観察中、LED18は、発光に伴い発熱する。LED18から発生した熱は、アダプター本体11Dを構成するカーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3、銅製或いはアルミ製の対物光学系受け部20を介して放熱される。
【0080】
このように、本実施の形態においては、先端アダプター3Dを構成するアダプター本体11Dに高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3を設けたことによって、LED18の熱を速やかにカーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3、対物光学系受け部20を介して外部に放熱することができる。
【0081】
また、アダプター本体11Dをカーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3と、絶縁シート5A1、5A2、5A3と、を交互に積層して、カーボンナノチューブ積層体4A1、4A2、4A3に放熱機能に加えて配線機能を持たせて、アダプター本体11Dの組立性の向上を図ることができる。
【0082】
上述した実施形態においては、高熱伝導特性を有するカーボンナノチューブ複合体で略環状のアダプター本体を構成する、或いは、複数のカーボンナノチューブ積層体と複数の絶縁シートとを交互に積層して略環状のアダプター本体を構成している。しかし、図12Bに示すようにLEDユニットを構成し、このLEDユニットをカバー部材に配設して、図14に示す先端アダプター3Eを構成するようにしてもよい。
【0083】
図12Bに示すLEDユニット50は、図12Aに示すシート体50Aによって構成される。図12Aに示すようにシート体50Aは、複数のLED18Bと、短辺部50Sと長辺部50Lとが直交する略L字形状の第1カーボンナノシート51、第2カーボンナノシート52、第1絶縁シート53、第2絶縁シート54及び第3絶縁シート55とで構成されている。
【0084】
短辺部50Sは、環状に形成してアダプター本体として構成され、カーボンナノシート51、52の長辺部50Lは放熱部として構成されている。カーボンナノシート51、52及び絶縁シート53、54、55は、予め定めた可撓性を有している。
なお、複数のLED18Bは、第1LED端子(図14の符号61参照)及び第2LED端子(図14の符号62参照)を備えている。
【0085】
第1カーボンナノシート51の短辺部50Sの一面側には複数のLED18Bが配列される。この第1カーボンナノシート51には、LED18Bの第1LED端子61を被覆する絶縁筒(不図示)が挿通可能な貫通孔58と第2LED端子62が配置される接続穴59とが予め定めた位置に複数設けられている。そして、第2カーボンナノシート52には、LED18Bの第1LED端子61が配置される接続穴が予め定めた位置に複数設けられている。
【0086】
第1絶縁シート53は、第1カーボンナノシート51と第2カーボンナノシート52との間に配置される。第1絶縁シート53には、第1LED端子を被覆する絶縁筒が挿通可能、または、第1LED端子が挿通可能な貫通孔58が形成されている。そして、第2絶縁シート54は、第1絶縁シート53に対向して第1カーボンナノシート51の一面側に配置される。
【0087】
第2絶縁シート54は、第1カーボンナノシート51に配設された各LED18Bの発光部のみを露出させるように複数のLED18Bを覆い包んで固設される。一方、第3絶縁シート55は、第1絶縁シート53に対向して第2カーボンナノシート52の他面側に配置されて固設される。
即ち、シート体50Aは、第2絶縁シート54、第1カーボンナノシート51、第1絶縁シート53、第2カーボンナノシート52、第3絶縁シート55の順に積層されている。
【0088】
カーボンナノシート51、52の短辺部50S及び絶縁シート53、54、55の短辺部50Sは、第3絶縁シート55が内周面となるように円環状に曲げ加工可能され、その後、接着によって一体固定される。この結果、図12Bに示すように円環部56と、帯状部57とを備えるLEDユニット50が構成される。符号60は接着部である。
【0089】
なお、帯状部57の周囲には破線に示す絶縁チューブが全長に渡って被覆される。そして、絶縁チューブの基端側から導出される第1カーボンナノシート51及び第2カーボンナノシート52には、挿入部2内を挿通する電線63の先端部に設けられた接続部64が電気的に接続されるようになっている。
【0090】
図13、図14に示すようにLEDユニット50の帯状部57は、先端アダプター3Eを構成するカバー部材16Eの帯状部挿通孔16hに挿通され、円環部56は先端面側空間16sに収容される。なお、先端面側空間16sに収容された円環部56は、例えば接着によってカバー部材16Eに一体固定される。
【0091】
ここで、先端アダプター3Eを備える内視鏡1の作用を説明する。
観察者は、先端アダプター3Eを先端部2aに取りつけ内視鏡観察を開始する。内視鏡観察中、LED18Bは、発光に伴い発熱する。LED18Bから発生した熱は、LEDユニット50を構成する短辺部50Sのカーボンナノシート51、52及び長辺部50Lのカーボンナノシート51、52を介して放熱されていく。
【0092】
このように、本実施の形態においては、先端アダプター3Eを構成するカバー部材16Eの先端面側空間16sに円環部56を配設し、帯状部挿通孔16hに帯状部57を挿通させることによってLED18Bで発生した熱を、速やかにカーボンナノシート51、52を介して外部に放熱することができる。
【0093】
また、円環部56と帯状部57とを備えるLEDユニット50を構成し、その円環部56をカバー部材16の先端面側空間16sに配設し、帯状部57を帯状部挿通孔16hに挿通させることによって、先端アダプター3Eの組立性の向上を図ることができる。
【0094】
上述した実施形態において、LED18をLED配設穴11c内に収容して、LED18で発生する熱をより効率良く放熱させる構成にしている。しかし、図15に示すように先端アダプターを構成するカバー部材16内にカーボンナノチューブ複合体製のアダプター本体71を配設し、複数のLED72を実装したLED基板73をアダプター本体71の先端面71a上に配設するようにしてもよい。符号74a、74bは、端子挿通孔であり、LED基板73から延出する一対の端子75がそれぞれ挿入して配置される。
【0095】
この構成によれば、アダプター本体71をカーボンナノチューブ複合体製にしたことによって、LED72で発生した熱をアダプター本体71、対物光学系受け部20を介して速やかに外部に放熱することができる。
【0096】
なお、上述した実施形態においては、内視鏡を発光素子を備えた先端アダプターを挿入部の先端部に着脱自在に取り付け可能な構成としている。しかし、内視鏡は、挿入部の先端部に先端アダプターを取りつける構成に限定されるものではなく、アダプター本体の代わりに挿入部の先端部を構成する先端部本体の先端面等に照明光学系としてLEDを配設する構成の内視鏡であってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、挿入部先端部にLEDを光源として設けた場合の課題を出発点として検討した。そのため、各実施形態において挿入部先端部本体に光源を設ける構成に着目して説明している。しかし、光源を設ける部分は、挿入先端部本体に限定されるものではなく、例えば、操作部内部に設けた放熱部本体或いは装置本体内部に設けた放熱部本体に光源を設け、その光源の照明光をライトガイドファイバーで挿入部先端まで導くように構成した内視鏡装置に転用可能である。そして、操作部内部の放熱部本体或いは装置本体内部の放熱部本体に光源を設けた内視鏡装置においても上述と同様の放熱効果を期待できる。
【0098】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…内視鏡 2…挿入部 2a…先端部
3、3A、3B、3C、3D、3E…先端アダプター
4A…カーボンナノチューブシート 4A1…第1カーボンナノチューブ積層体
4A2…第2カーボンナノチューブ積層体 4A3…第3カーボンナノチューブ積層体
5A…絶縁シート 5A1…第1絶縁シート 5A2…第2絶縁シート
5A3…第3絶縁シート 6A…第1接続端子 6B…第2接続端子 6c…絶縁リング
7…LED本体 7A…第1LED端子 7A1…軸部 7A2…導通部
7B…第2LED端子 7B1…軸部 7B2…導通部 7c…ケース体
7d…第1電極 7e…第2電極 7f…第1絶縁筒 7g…第2絶縁筒
11、11A、11B、11D…アダプター本体 11a…中央貫通孔
11b…端子用孔 11c…LED配設穴 11d…接点用穴 11e…接続部
11f…接続部本体 11g…スプリング 11h…段付き孔 11j…接触板
11k…カーボンナノ充填剤 11m…端子片用外周溝
11n…帯状フレキシブル基板用内周溝 11p…ロッド線配設穴
11r…第1LED端子孔 11s…第2LED端子孔 11t…第1接続端子用孔
11u…第2接続端子用孔 12、12A…LED基板 12C…帯状フレキシブル基板
12D…第2帯状電極 12b…端子片 13…対物光学部 13a…レンズ枠
13b、13c、13d…光学レンズ 14…アダプター端子 14a…絶縁筒
14b…接続ピン 14c…接点部 14d…当接部 15、15A…本体補助部材
15a…細径部 15b…太径部 15c…段部 16、16E…カバー部材
16a…内面側突起 16h…帯状部挿通孔 16s…先端面側空間 17…リング部材
17a…雌ネジ部 17b…折曲部 18、18B…LED 18a…LEDチップ
18b…チップ搭載基板 18c…第1電極 18d…第2電極 18f…封止材
19…リフレクター 20…対物光学系受け部 20a…中央貫通孔
20b…電線挿通孔 20c…先端アダプター取付部 20d…第1雄ネジ部
20e…第2雄ネジ部 20f…配設穴 20h…ストレート部挿通孔
21…観察光学部 22…挿入部端子部 22a…第1接点 22b…第2接点
23…信号ケーブル 24…電線 25…押さえ板 26…透明電極 30…放熱部材 30a…ストレート部 30b…螺旋形状部 31…ステンレスパイプ 31a…角孔 31b…先端 32…カーボンナノロッド束線 32a…先端部
40…外周面形成絶縁板 41…絶縁板 50…LEDユニット 50A…シート体
50L…長辺部 50S…短辺部 51…第1カーボンナノシート
52…第2カーボンナノシート 53…第1絶縁シート 54…第2絶縁シート
55…第3絶縁シート 56…円環部 57…帯状部 58…貫通孔 59…接続穴
60…接着部 61…第1LED端子 62…第2LED端子 63…電線
64…接続部 71…アダプター本体 71a…先端面 72…LED
73…LED基板 74a、74b…端子挿通孔 75…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部先端部から被検体を照明するLEDを備える内視鏡において、
前記LEDをカーボンナノチューブ複合体によって構成される放熱部材本体に対して直接又はLED基板を介して固設したことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記放熱部材本体は、前記挿入部先端部を構成するカーボンナノチューブ複合体で構成された挿入部先端部本体であって、該挿入部先端部本体に前記LEDを実装したLED基板を配設したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記放熱部材本体は、前記挿入部先端部を構成するカーボンナノチューブ複合体で構成された挿入部先端部本体であって、該挿入部先端部本体にLED配設穴を設け、該LED配設穴内に前記LEDを収容したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部先端部本体を、カーボンナノチューブ複合体シートを積層して構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記挿入部先端部本体を、カーボンナノチューブ複合体シートと絶縁シートとを交互に積層して構成したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記挿入部先端部本体は、短辺部と長辺部とを有するL字形状のカーボンナノチューブ複合体シート及び絶縁シートとを交互に積層して構成したシート体の短辺部を円環状に形成して構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブ複合体は、放熱機能に加えて配線機能を有することを特徴とする請求項3−6の何れか1項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記挿入部先端部本体にカーボンナノロッド束線を備える放熱部材の一端部を接続したことを特徴とする請求項2−4の何れか1項に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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