説明

内部接続要素を有するブリスター布

編構造または織構造のブリスター布(740)は、ニードルパンチされて、隣接層の糸の中および/または間に伸びる糸由来のフィラメントまたは繊維(741、746)の内部接続部を生じさせ得る。分離した層の間の繊維の相互接続部は、第一層に挿入され、次いで、布のブリスター内で第一層から第二隣接層まで繊維を運ぶ針によって製造される。このような布中の多層を架橋または橋渡しする相互接続繊維は、ブリスター布を強化して該布を摩耗力に対してより耐性にするのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年11月15日に出願された、ボイドらの「内部接続要素を有するブリスター布」と表題が付けられた出願番号第10/298,476号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、布構造を安定化するのに役立つ内部接続要素または繊維を有する布に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの方法および手順が、編布または織布の構造を安定化するために使用されてきた。コーティングは、糸が互いに対して動くことを防ぐために付与されてきた。しかしながら、コーティングだけでは、布内にさらなる所望の特性を与えることはできない。
【0004】
最近、水流絡合として知られる加工が用いられ、織布を安定化している。水流絡合は、流体ジェットを使用して、糸の主体から伸びる繊維を別の糸の主体から伸びる繊維と強制的に絡ませる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水流絡合加工は、時々、流体ジェットによる絡合を作るために必要な多数の自由繊維に起因して、布の審美性に望ましくない影響を及ぼす。他の方法または手順によって安定化された布に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(詳細な説明)
ここで図面(特に図1〜2)を参照して、本発明の一実施態様を例示するブリスター布10を示す。ブリスター布10は、ブリスター帯100とベース帯200の交互の帯を有する。ブリスター帯100は、第二材料の上方ブリスター層120から独立した第一材料の下方ブリスター層110を有する。ベース帯200は、材料の統合層である。
【0007】
例示されるように、ブリスター布10は、ベース糸11とブリスター糸12から形成される。一実施態様において、ブリスター布10は、約600デニールまでの大きさを有する糸から形成される。別の実施態様において、ブリスター布10は、少なくとも約15デニールの大きさを有する糸から形成される。好適な一実施態様において、ベース糸11とブリスター糸12を形成する繊維は、共に、フィラメント糸を含んでなり得る。ここで使用されるように、フィラメント糸にはマルチフィラメント糸が含まれる。別の実施態様において、ベース糸11とブリスター糸12は、共に、スパン糸を含んでなり得る。さらなる別の実施態様において、ベース糸11は、フィラメント糸を含んでなり得、そしてブリスター糸12は、スパン糸を含んでなり得る。さらなる別の実施態様において、ベース糸11は、スパン糸を含んでなり得、そしてブリスター糸12は、フィラメント糸を含んでなり得る。また、本発明は、フィラメント繊維とステープル繊維とを組み合わせた糸で実施することも意図される。フィラメント繊維とステープル繊維を組み合わせた糸は、上記組合せにおけるフィラメント糸および/またはスパン糸のいずれかの代用物として、ベース糸11および/またはブリスター糸12において使用され得る。本発明におけるフィラメント糸および/またはスパン糸の繊維は、天然または人造材料から形成され得る。例えば、天然材料としては、繊維として使用される動物、植物、または鉱物起源の材料を挙げることができる。人造材料としては、化合物から合成されたポリマー、変性されたまたは変質された天然ポリマーおよび鉱物を挙げることができる。
【0008】
図1〜2をなお参照して、例示されるように、ブリスター布10の下方ブリスター層110は、ベース糸11のジャージ編物であり、そしてブリスター布10の上方ブリスター層120は、ブリスター糸12のジャージ編物である。また例示されるように、ベース糸11は、ベース帯200中の統合二重層ジャージ編物を形成し、そしてブリスター糸12は、ベース帯200中のベース糸11の統合二重層ジャージ編物の間に挟まれる。ブリスター布10は、全ての編布として例示されるけれども、ブリスター布は、織布、または編布および織布の組合せであり得ることが意図される。さらに、統合ベース帯200は、一緒に編まれた部分として例示されるけれども、統合ベース帯は、加工(例えば、ウィービング、ステッチング、ボンディングなど)によって形成され得ることが意図される。
【0009】
ここで図2を参照して、ブリスター布10の拡大断面領域を示す。例示されるように、ブリスター帯接続部130は、ブリスター帯100の一つの層中の糸から、ブリスター帯110の他の層の糸の中および/または間を通る、ブリスター帯100の一つの層中の糸由来の繊維の部分によって、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に形成される。下方ブリスター層接続部131は、下方ブリスター層110中の糸から、上方ブリスター層120の糸の中および/または間を通る、下方ブリスター層110中の糸由来の繊維の部分によって、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に形成される。上方ブリスター層接続部132は、上方ブリスター層120中の糸から、糸または下方ブリスター層100の糸の中および/または間を通る、上方ブリスター層120中の糸由来の繊維の部分によって、上方ブリスター層120と下方ブリスター層110との間に形成される。下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132は、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に固定体(securing tie)を与える。
【0010】
図2をなお参照して、下方ブリスター層接続部131の一つを形成する繊維は、下方ブリスター層110中の糸に由来し、次いで、上方ブリスター層120中に突出する。下方ブリスター層接続部131を形成する下方ブリスター層110由来の繊維は、上方ブリスター層120中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。下方ブリスター層接続部131を形成する繊維の部分は、上方ブリスター層120中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。下方ブリスター層接続部131を形成する繊維の別の部分は、上方ブリスター層120の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。上方ブリスター層接続部132の一つを形成する繊維は、上方ブリスター層120中の糸に由来し、次いで、下方ブリスター層110中に突出する。上方層接続部132を形成する上方ブリスター層120由来の繊維は、下方ブリスター層110中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。上方ブリスター層接続部132を形成する繊維の部分は、下方ブリスター層110中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。上方ブリスター層接続部132を形成する繊維の別の部分は、下方ブリスター層110の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。これらのタイプの接続部は、布を処理する多くの水流絡合方法で経験されたような、一つの糸から大体外側に、そして少なくとも部分的に放射状に伸びる繊維と、別の糸から大体外側の方向に、そして少なくとも部分的に放射状の方向に伸びる繊維との絡合によって、糸と層との間に形成された接続部と対照をなす。
【0011】
多くの下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132は、対応する受取層中に挿入する、各々の起源層由来の繊維のループである。繊維のループは、二つの接続部を作り、各接続部は、同一糸中に由来するループの半分であり、次いで、同一受取層中に突出する。幾つかの例において、上方ブリスター層接続部131および/または下方ブリスター層接続部132は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合する、繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、上方ブリスター層接続部131または下方ブリスター層接続部132を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する層の繊維でさらに固定され得る。
【0012】
一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、下方ブリスター層を上方ブリスター層に固定する、1平方インチ当たり合計少なくとも約275個の総接続部(すなわち、特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約520,000個の総接続部を有する。編布の一実施態様において、ブリスター帯は、合計1平方インチ当たり約350個の総接続部ないし1平方インチ当たり約1,050個の総接続部を有する。さらに、編布の他の実施態様は、1平方インチ当たり約750個の総接続部を有し得る。
【0013】
接続部の起源は糸内に由来するため、そして接続部は糸も固定するため、糸の距離当たりの総接続部の数を理解することは有益である。また、ここでは、特定糸に由来する接続部およびその特定糸によって受け取られる接続部の合計は、接続部「末端」または接続点としても記載する。例えば、編布におけるような一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯における上方ブリスター層または上方ブリスター層を形成する糸は、糸を固定する、最小で糸1インチ当たり少なくとも約1.1個の総接続部(または接続部末端)、最大で糸1インチ当たり約1,650個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯の下方ブリスター層または上方ブリスター層を形成する糸は、糸1インチ当たり約1.4個の総接続部ないし糸1インチ当たり約4.2個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約2.8個の総接続部を有する。
【0014】
糸の繊維は接続部の起源であるため、異なる糸は、接続部用の繊維の異なる利用性、そして糸の繊維含量に基づく接続部の量についての異なる要求を有する。フィラメント距離の測定値は、糸束中のフィラメントの数を乗じたフィラメントを有する糸の長さである。したがって、本発明に組み込まれる布の部分についての糸のフィラメント距離当たりの総接続部の数(特定糸に由来する接続部およびその特定糸に受け取られた接続部の両方の合計)を理解することが有益である。
【0015】
以下に与える実施例において、布は両側からニードルパンチされた。しかし、本発明の他の実施態様は、布の一の側のみからニードルパンチする工法を使用し得る。
【0016】
また、図2を参照して、ベース帯200が、下方ベース層部分210と、上方ベース層部分220と、上方ベース層部分210と上方ベース層部分220との間を通る捕捉糸230を有する単一構造である編布を示す。例示される実施態様において、下方ベース層部分210および上方ベース層部分220は、ベース糸11によって形成され、そしてブリスター糸12は、二つの層の間の捕捉糸230を形成する。例示されるように、ベース層接続部240は、下方ベース層部分210と上方ベース層部分220との間に形成される。また、捕捉糸接続部250は、下方ベース層210と捕捉糸230との間、および上方ベース層部分220と捕捉糸部分230との間に形成される。
【0017】
図2をなお参照して、ブリスター帯接続部230と同様に、ベース層接続部240は、ベース帯200の一つの層中の糸からベース帯200の他の層中を通る、ベース帯200の一つの層中の糸由来の繊維の部分によって、下方ベース層210と上方ベース層220との間に形成される。下方ベース層接続部241は、下方ベース層210中の糸に由来する繊維によって形成され、次いで、上方ベース層220の糸の中および/または間に突出する。下方ベース層接続部241を形成する下方ベース層210由来の繊維は、上方ベース層220中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。下方ベース層接続部241を形成する繊維の部分は、上方ベース層220中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。下方ベース層接続部241を形成する繊維の別の部分は、上方ベース層220の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。上方ベース層接続部242は、上方ベース層220中の糸に由来する繊維によって形成され、次いで、下方ベース層210中に突出する。上方ベース層接続部242を形成する上方ベース層220由来の繊維は、下方ベース層210中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。上方ベース層接続部242を形成する繊維の部分は、下方ベース層210中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。上方ベース層接続部242を形成する繊維の別の部分は、下方ベース層210の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242は、下方ベース層210と上方ベース層220との間に、固定体を与える。
【0018】
下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132と同様に、多くの下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242は、対応する受取層に挿入する各々の起源糸中の繊維のループである。幾つかの例において、下方ベース層接続部241および/または上方ブリスター層接続部242は、各々の起源糸に一つの末端のみにて結合した繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、下方ベース層接続部241または上方ベース層接続部242を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する受取層の繊維でさらに固定され得る。ベース層接続部240は、下方ベース層210と上方ベース層220との間に固定体を与え、これによりベース帯200をより安定化された摩耗抵抗布にする。
【0019】
一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、下方ベース層を上方ベース層に固定する、1平方インチ当たり合計少なくとも約57個の総接続部(特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約109,110個の総接続部、より好適には1平方インチ当たり約150個の総接続部を有する。一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯の上方ベース領域の下方ベース層を形成する糸は、糸を固定する、最小で糸1インチ当たり少なくとも約0.6個の総接続部、最大で1インチ当たり約11.61個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約1.6個の総接続部を有する。一実施態様において、接続部を形成する糸は、フィラメント1インチ当たり約28.8個の接続部ないしフィラメント1インチ当たり約557個の接続部を有する。
【0020】
図2をなお参照して、捕捉糸接続部250は、下方ベース層210または上方ベース層220中の糸の主体の中および/または間を通る、捕捉糸230由来の繊維の部分によって、および/または、捕捉糸230中を通る、下方ベース層210または上方ベース層200中の糸由来の繊維によって、捕捉糸230と下方ベース層210との間および捕捉糸230と上方ベース層220との間に形成される。下方ベース捕捉糸接続部251は、下方ベース層210中の糸から捕捉糸230の主体中を通る、下方ベース層210中の糸由来の繊維の部分によって、および、捕捉糸230から下方ベース層210の糸の主体中および/または間を通る、捕捉糸由来の繊維によって、捕捉糸230と下方ベース層210との間に形成される。上方ベース捕捉糸接続部252は、上方ベース層220中の糸から捕捉糸230の主体中を通る、上方ベース層220中の糸由来の繊維の部分によって、および、捕捉糸230から上方ベース層220の糸の主体中および/または間を通る、捕捉糸230由来の繊維によって、捕捉糸230と上方ベース層220との間に形成される。
【0021】
下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242と同様に、多くの下方ベース捕捉糸接続部251および上方ベース捕捉糸接続部252は、対応する受取糸または層中に挿入する各々の起源糸中の繊維のループである。幾つかの例において、下方ベース捕捉糸接続部251および/または上方ベース捕捉糸接続部252は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合した繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみに結合した、下方ベース捕捉糸接続部251または上方ベース捕捉糸接続部252を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する受取糸または層の繊維でさらに固定され得る。
【0022】
捕捉糸接続部250は、捕捉糸230と下方ベース層210との間、および捕捉糸230と上方ベース層220との間に固定体を与え、これによりベース帯200をより安定化された摩耗抵抗布にする。一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯の捕捉糸を形成する糸は、糸を固定する、最小で少なくとも糸1インチ当たり約0.6個の総接続部、最大で糸1インチ当たり約11.61個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約1.6個の総接続部を有する。一実施態様において、捕捉糸は、フィラメント1インチ当たり約28.8個の接続部ないしフィラメント1インチ当たり約557個の接続部を有する。
【0023】
また、一実施態様において、ニードルドブリスター布10は、下方ブリスター層110および下方ベース層210の裏面に配置された裏面コーティングを含む。裏面コーティングはニードルドブリスター布10の反対側の摩耗抵抗をさらに改善することが見出された。裏面コーティングは、任意のポリマー材料(例えば、ラテックス、ポリ酢酸ビニルなど)であり得る。裏面コーティングは、編基材、織基材、または他の基材に付与され得、そして約0.25oz/yd〜約5oz/yd程度で付与され得る。一般に、裏面コーティングは、編布、織布、または本発明の実施に用いられる任意の他の布のタイプに用いられ得る。
【0024】
ここで図3を参照して、本発明の別の実施態様を示す布複合体20の拡大断面を示す。布複合体20は、多層クロス(例えば、ダブルクロス、トリプルクロスなど)である。布は、少なくとも第一層21と第二層22を含んでなる。第一層21および第二層の少なくとも一つは、編布である。図3に例示される実施態様において、第一層21は、第一層糸23から形成され、そして第二層22は、第二層糸24から形成される。一実施態様において、第一層糸23および/または第二層糸24は、約600デニールまでの大きさの糸を有する。別の実施態様において、第一層糸23および/または第二層糸24は、少なくとも約15デニールの糸の大きさを有する。好適な一実施態様において、第一層糸23および第二層糸24の両方は、フィラメントを含んでなる。別の実施態様において、第一層糸23は、フィラメント糸であり、そして第二層糸24は、スパン糸である。さらなる別の実施態様において、第一層糸23および第二層糸24の両方がスパン糸である。さらに、第一層糸23および/または第二層糸24がフィラメント繊維とステープル繊維との組合せから形成された糸を含み得ることが意図される。
【0025】
接続部25は、二つの層中の糸のフィラメントによって、第一層21と第二層22との間に形成される。第一層接続部26は、第二層22中に突出する第一層21中の繊維の部分によって形成される。第一層接続部25は、第二層糸24の主体の繊維によって固定される。第二層接続部27は、第一層21中に突出する第二層22中の繊維の部分によって形成される。第二層接続部27は、第一層糸23の主体の繊維によって固定される。本発明の接続部25は、複合布20全体または不連続帯中を横切って形成され得ることが意図される。
【0026】
多くの第一層接続部26および第二層接続部27は、対応する受取層中に挿入する各々の起源層由来の繊維のループである。繊維のループは、二つの接続部を作り、各接続部は、同一糸に由来し、次いで同一受取層中に突出するループの半分である。幾つかの例において、第一層接続部26および/または第二層接続部27は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合する繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、第一層接続部26または第二層接続部27を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する層の繊維でさらに固定され得る。
【0027】
一実施態様において、複合布または本発明に組み込まれる複合布の帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、第一層を第二層に固定する、合計少なくとも1平方インチ当たり約275個の総接続部(特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約520,000個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、合計1平方インチ当たり約350個の総接続部ないし1平方インチ当たり約1,050個の総接続部、より好適には1平方インチ当たり約750個の総接続部が存在する。
【0028】
さらなる別の実施態様において、本発明に組み込まれる複合布の第一層または第二層を形成する糸は、糸を固定する、最小で少なくとも糸1インチ当たり約1.1個の総接続部、最大で糸1インチ当たり約1,650個の総接続部を有する。編布を用いる一実施態様において、これらの糸は、糸1インチ当たり約1.4個の総接続部ないし糸1インチ当たり約4.2個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約2.8個の総接続部を有する。
【0029】
一実施態様において、本発明に組み込まれる複合布の第一層または第二層を形成する糸は、少なくともフィラメント1インチ当たり約0.02個の総接続部、最大でフィラメント1インチ当たり約6.4個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、これらの糸は、フィラメント1インチ当たり約0.022個の総接続部ないしフィラメント1インチ当たり約0.07個の総接続部、より好適にはフィラメント1インチ当たり約0.04個の総接続部を有する。
【0030】
(編布)
編布である本発明の一実施態様において、下方ブリスター層(またはブリスター帯中の下方ブリスター層)を形成する糸は、少なくともフィラメント1インチ当たり約0.02個の総接続部、最大でフィラメント1インチ当たり約6.4個の総接続部を有する。さらなる別の実施態様において、ブリスター帯の上方ブリスター層または下方ブリスター層を形成する糸は、フィラメント1インチ当たり約0.022個の総接続部ないしフィラメント1インチ当たり約0.07個の総接続部であり、他の例においては、フィラメント1インチ当たり約0.04個の総接続部である。
【0031】
(織布)
織布である本発明のさらに別の実施態様において、ブリスター帯中の(合計)二層布全体を形成する糸は、少なくとも織布の1平方インチ当たり約9,000個の総接続部(接続末端)と約65,000個までの接続末端を有する。
【0032】
さらなる別の実施態様において、織布は、布の1平方インチ当たり約4×10個の第一および第二接続繊維末端を含む。他の実施態様は、織布の1平方インチ当たり約24,000個の第一および第二接続繊維末端を含む。
【0033】
他の適用は、二部ブリスター層を有する織布をもたらす。ここで、全般的な二部ブリスター層は、全体として糸1インチ当たり約100個を超える接続繊維末端を与える。他の適用において、該布中の糸1インチ当たりの接続繊維末端の数は、少なくとも約4×10である。幾つかの実施態様において、フィラメント1インチ当たりの接続繊維末端の数は、少なくとも約0.3である。
【0034】
(さらなる詳細な説明)
本発明の一製造方法において、さらに加工される布は、形成され、次いでニードリング加工を受ける。一実施態様において、布は、フィラメント糸の標準ニッティングまたはウィービング技術によって形成されたブリスター布であり得る。ブリスター布は、編材料の二つの分離した層を有する領域と、二重層ジャージ編物の層の間に挟まれた二つの分離した層の一つ由来の糸を有する二重層ジャージ編物の領域を含む。別の実施態様において、加工される布は、後の加工において結合されるべき二つの層である。加工される多層布中の少なくとも一つの層は、編布であり、両方の層は、編布であり得る。好適な実施態様において、加工される布を形成する糸は、フィラメント糸である。しかしながら、糸は、短繊維を含み得るか、または、フィラメントを有するか、もしくは有しないスパン繊維糸であり得ることが意図される。
【0035】
加工される形成された布は、針床を布中に挿入することによって布を針で縫うニードリング機械に送られる。典型的に、ニードリング機械は、布の表面に大体垂直な方向にて、針を布に挿入し、そして針を引き出す。受板(示さず)は、針床の反対側にて布に支持を与え、そして針が布を完全に通ることを可能にする開口部を有する。針は、布のいずれかの側か、または布の両側にて、挿入され、引き出され得る。一つの側のみから針を挿入することによって、接続部は、加工される布の針が挿入される側にのみ生じる。針床の一回の挿入によって与えられ得るよりも、平方領域当たり多くの針挿入が要求される場合、針床は布の特定領域中に一回よりも多く挿入され得るか、または、複数の針床が使用され、同一領域中に挿入され得る。
【0036】
一実施態様において、ニードリング機械は、布が機械中に、機械を通って移動し、そして機械から出てくる際、直線方向(機械方向)の針床と布との間の相対運動をほとんど生じないか、または生じないように、針を布中に挿入する。針床と布との間の相対直線運動の欠如は、針が布に挿入され、そして布から除かれる際、針床を布の運ばれる方向に動かすことによって達成され得る。布が針で縫われた後、裏面コーティングは、種々の既知の方法(例えば、ナイフコーティング、発泡コーティング、ラミネーション、スプレーコーティング、または他の同様の方法)によって布に付与され得る。
【0037】
ここで図4を参照して、本発明に使用される針400の一つの一実施態様の部分拡大図を示す。針400は、鋭末端410と、針400の長さに沿ってノッチ420を有する。針400の鋭末端410は、糸および布層を通る針400の通過を可能にする。針400のノッチ420は、針400が糸および布層を通過する際、糸の繊維を拾い上げまたは「フック」する。針400が隣接糸および/または布層を通過し続ける際、針400のノッチ420によって予めフックされた繊維は、隣接糸の主体および/または布層中に移動される。針400による繊維の運動は、起源となる糸から繊維を引き伸ばすか、または引っ張る。針400付近の自由末端を有する繊維について、繊維は、繊維の自由末端がノッチ420を通過するか、または針400がその運動の末端に到達するまで、そして繊維が隣接糸および/または布層中に配置されるまで、針400のノッチ420について行く。他の繊維について、繊維は、針400がその運動の末端に到達するか、または繊維中の緊張がノッチ420から繊維を自由にするか、あるいは繊維がちぎれるまで、隣接糸および/または層中を通る。針について行き、そして針から自由になるか、またはちぎれる繊維の部分は、繊維のその部分を隣接糸および/または層中に置く。
【0038】
布のニードルパンチングに関して、本発明の他の適用は、図4に示されるものと異なる針を用い得る。例えば、非三角形である断面(例えば、「涙滴形状」、または「ピンチブレード」形状である断面、または他の断面形状など)を含む針が用いられ得る。多くの断面形状が既知であり、布への針の適用において使用され、そして本発明の特定の適用において用いられ得る。さらに、図4にみられるようなノッチ420は、異なるコンフィギュレーションであり得る。ここで、ノッチ(またはバーブ)は、三角形針の一つのエッジに沿って全てのノッチまたはバーブが与えられるか、または所定の基材布に対して実行可能と判明するであろう任意の他のノッチ/エッジの組合せで与えられる。したがって、針上のノッチ(バーブ)の数およびコンフィギュレーションは、特定の適用に適合するように変化され得る。本発明は、任意の特定針またはニードリング手順の使用に限定されない。
【0039】
ここで図6を参照して、織布701の平面図を示す。織布701は、縦糸方向725(機械方向としても既知)および垂直に位置したフィル方向730(横方向としても既知)を含む。織布701は、複数の相互接続したベース帯を含む。これらは、例えば図6において、ベース帯702、703、および704として示される。図6において、これらのベース帯702〜704は、図6の底部から図6の頂部に伸び、そしてブリスター帯710と711との間に比較的狭い帯を形成する。図6に示される特定の実施態様において、ブリスター帯(710、711)は、図6の下端に沿って示される長さと、図6の左下方部分上で「W」によって指示される広さを有する。したがって、図6は、頂部から底部までに約4個のブリスター帯を含有し、そして、図6に示されるように、左側から右側までに合計約3個のブリスター帯を含有する。さらに、図6に示されるように、これらのブリスター帯は、それら内に相互接続したベース帯のグリッドを含む。したがって、ブリスター帯710および711は、相互接続したグリッド内に配置される。図6において、縦糸方向725は、横糸方向(またはフィル方向)730に対して大体垂直に配向され、そしてベース帯702、703、および704は、縦糸方向および横糸方向に沿って伸びる。ベース帯はグリッド内で互いに接続し、そしてブリスター帯710および711はグリッド内に配置される。
【0040】
図6に示される特定織布701は、二つのプライまたは層を有する布である。これらの二つのプライまたは層は、図7に示され得る。図7は、図6に示される切片7−7によって指示されるような織布701の部分の断面図を示す。図7において、織布701は拡大図で示される。ここでブリスター帯711は、図の中央に示される。この特定実施態様は、ブリスター帯711を作り上げるか、含んでなる、二つの層、下方ベース層715および上方ブリスター層716を含む。上方ブリスター層716は、糸718を含んでなり、そして下方ベース層715は、糸717を含んでなる。さらに、比較的多数の接続繊維720が下方ベース層715から上方ブリスター層716まで伸びるのがみられる。この特定実施態様において、織布701は両側から針で縫われ、したがって、接続繊維720は、上方ブリスター層716から移動して下方ベース層715まで下方に伸びた;さらに、他の接続繊維は、下方ベース層715から移動して上方ブリスター層716まで上方に伸びた。本発明の他の実施態様は、織布701の一つの側のみ由来のニードルパンチングを含み得る。
【0041】
また、図8は、図7の左側上に示されるインセット740を示す織布701のさらなる拡大図を示す。このインセット740は、織布701の拡大断面図を示し、そしてブリスター帯711に隣接して横たわるベース帯704の詳細図を表す。さらに、縦糸722の切断末端は、図8の中央に示される。ブリスター帯711内の縦糸721の切断末端は、図8に示される。さらに、相互接続繊維741は、図8に示され、それらの各々は第一末端742および第二末端743を含む。図8において、第一末端742は、下方ベース層715内に置かれまたは配置され、一方、第二末端743は、上方ブリスター層716内に配置される。
【0042】
図8の左側付近に、別の繊維746が示される。これは図に示されるように接続末端745aおよびbを含む。一般に、相互接続繊維741および746の使用は、布が摩耗に対して強化されるように、そして、例えば自動車のシート用途を含む種々の用途における、そのような繊維製品の使用に必要な厳格な標準を合格する可能性をより大きくし得るように、全般的な織布701を強化するのに役立つ。
【0043】
基材布が織られている本発明の幾つかの用途において、またはいわゆる「ポケット」織またはブリスター布を用いる場合、幾つかの異なるタイプのウィービング機械を使用することができる。例えば、実施例2は、ジャカードタイプの織機を、二つのプライを一緒にポケット織またはブリスター布材料に形成する際に用いる。本発明の他の用途において、他のタイプの織機(例えばドビータイプ織機)、またはポケットウィーブ、ブリスタータイプ織布を達成し得る任意の他の織機を使用することができる。本発明は、いずれの特定織機タイプ、またはウィービング手順にも限定されない。
【0044】
本発明に用いられ得る糸のタイプに関して、実施例2に示されるようなパッケージ染色フィラメント糸を使用することができるであろう。一方、他の用途においては、スパン糸を使用することが適しているであろう。以下の実施例1は、パッケージ染色糸を用いる。幾つかの用途おいて、ピース染色糸を使用することができるであろう。ここで糸は、布が織られた後に染色される。パッケージ染色糸例において、糸は、ウィービングの前に予備染色される。さらに、溶液染色糸を用いることができる。ここで糸は、ウィービングの前に染色される。
【0045】
用いられる糸の化学組成に関して、ポリエステル、レーヨン、綿、羊毛、または工業において糸の製造に用いられる糸の状態の任意の他の組成または基材を使用することができるであろう。
【0046】
本発明の幾つかの用途において、隣接層の間に相互接続部(または接続部)を形成するための他の手段を使用することが適し得る。繊維を一つの層から動かして隣接層中にそれらを置く本質的に任意の機械的または水力学的手段が用いられ得る。
【0047】
本発明の多層布のニードルパンチングによって達成された結果は、特定糸の繊維またはフィラメントの部分の一つの層からの隣接糸の主体または隣接布層中への直接的な正の動きまたは移動を典型的に含み、これによりこのような繊維またはフィラメントは、その後に、直接隣接糸の主体または布層内にアンカーを作り出し得る。隣接糸内で移動した繊維またはフィラメントは、布層または布層の糸の間に接続部を形成する。
【0048】
(計数手順)
以下の相互接続部または接続部計数評価手順を使用して、本発明の実施にしたがって布をニードリングすることによって形成された繊維接続末端の数を評価した。まず、現今する既知の技術を使用して、布の所定の平方部分中の相互接続部の実際に計数した数を提供することは、実際的でない、そして不可能でさえあり得ることに留意し得る。しかしながら、このような所定の空間を占める相互接続部(または接続末端)の実数の評価を提供する以下の評価方法を用いることによって、布のニードリングからの所望の効果を測定することが便利であることが判明した。
【0049】
本発明にしたがって製造され、ニードルパンチされた布は、例えば、横糸方向に切断され得る。切断後、ニードルパンチされた織布は、適当な倍率(幾つかの場合、約20×と40×との間に見出される)を有する走査型電子顕微鏡(SEM)下に試験される。次いで、実数は、切断部に沿った布の一つの直線状エッジに沿った接続部(繊維末端は、後の層中に移動される)からなる。幾つかの場合、約20〜25mmの直線長さに沿った第一層から第二層までの移動からもたらされるこのような繊維接続部を計数することが便利であることが判明した。
【0050】
一般に、平方単位および領域中の相互接続部の数を決定するための評価方法に使用され得る式は以下のようなものである:
【0051】
【数1】

【実施例】
【0052】
〔実施例1〕
(編布)
本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解され得る。布は、ベース糸について異なる色の二つの1/200/48糸と、布のブリスター領域に用いられる糸について2/150/50糸から形成されたブリスター布である。ブリスターを有する布は、図5Aおよび5B中に示されるようなニッティングパターンを有する二床回転式ニッティング機械で形成される。布の裏面において、二つのベース糸が使用されて交互のコースに編まれた二つの異なる色が作製される。各糸は、それぞれ1インチ当たり18コース(組み合わされて1インチ当たり約36コースとなる)および1インチ当たり約13ウェール(組み合わされて1インチ当たり約26ウェールとなる)を有する。ブリスター糸は、布の裏面に編まれない。ブリスター帯中の布の表面上で、ブリスター糸は、1インチ当たり約32コースおよび1インチ当たり約28ウェールを有する、ジャージ編物を形成する。また、表面上で、しかし、ベース領域において、二つのベース糸は、交互のコースに編まれる。各糸は、それぞれ1インチ当たり約18.25コース(組み合わされて1インチ当たり約36.5コースとなる)および1インチ当たり約14ウェール(組み合わされて1インチ当たり約28ウェールとなる)を有する。
【0053】
次いで、ブリスター布をニードリング加工して布中に接続部を形成した。Dilo Hyperpunch Double Needle Loom(Dilo Manufacturing Co.)を使用して、布と針床との間の機械方向の相対運動をほとんど有しないか、有しないニードリング運動によって布を針で縫った。針床は、6個のノッチ(針のコーナーエッジ当たり2個)を有する三角形針であるGroz-Beckert F222針を含有した。布の1平方センチメートル当たり約900回の針の挿入がなされるのに十分な時間、針床を布に挿入した。このニードリング加工は、ブリスター帯における布の1平方インチ当たり約350個の接続部をもたらすことが判明した。これは、糸1インチ当たり約1.4個の接続部およびフィラメント1インチ当たり約0.022個の接続部であった。次いで、ニードルド布を、約3oz/ydのラテックスで裏面コートした。
【0054】
針で縫わなかったサンプル、およびニードルドサンプルについて、布の表面を、1000グラム重量を有するH−18ウィールを使用して、200サイクルの間、SAE J948によるテーバーほつれ試験を行った。針で縫わなかった布について、布の表面は3.0の評点を受けた。ニードルド布について、布の表面は3.5の評点を得た。
【0055】
〔実施例2〕
(織布)
このさらなる実施例は、以下の説明を参照して理解され得る。この実施例において、布は織られ、編まれない。布は、縦糸およびフィル糸の両方、a2/300/136から形成されたブリスター布である。この実施例において、縦糸およびフィル糸は同一であるが、他の実施例では、糸が同一でないものが提供され得る。一般に、本発明は、糸の任意の特定のコンフィギュレーションまたは同一性に限定されない。この特定実施例において、縦糸およびフィル糸の両方は、二つのプライからなり、プライ当たり300デニールを有する。各プライ中には、提供された136本のフィラメントが存在した。フィラメント糸を使用した。これはウィービング前に染色された糸を意味するパッケージ染色糸であった。布を、ジャカードタイプウィービング機械で織った。
【0056】
布において、1インチ当たり約38個のピックおよび1インチ当たり約60個の末端が存在した。布についてのブリスターの領域において、残された二つの層は、ウィービング後(ポケット領域において)、本質的に分離する。ベース帯または周辺領域(「束縛」領域としても既知)において、二つの層を一緒に強固に織った。
【0057】
「ポケットウィーブ」布を、ニードリング加工した。ここで針を、ブリスター帯中に突き通し、繊維を置き換えて、このような繊維を、それらが織布の二つの層の間に伸びるか、または二つの層を橋渡しする位置に移動させることによって、相互接続部を部分的に形成した。Dilo Hyperpunch double needle loom(Dilo Manufacturing Company)を使用して、布と針床との間の機械方向の相対運動をほとんど含まないか、含まない針運動で、織布を針で縫った。
【0058】
この特定タイプのニードリング方法において、針は楕円運動で移動し、その結果、針は、針が布中に絡まれる間の期間、布と一緒に動く。これは、布の製造において、より速い運転速度を可能にする。
【0059】
針床は、Groz-Beckert Companyによって製造され、配布されたF222針を含有した。これは、約6ノッチ(針のコーナーエッジ当たり2個)を有する三角形針を含んだ。この特定実施例について、針床を、布の1平方センチメートル当たり約300回の挿入がなされるのに十分な時間、織布中に挿入した。
【0060】
本明細書に詳述した計数手順を使用したことで、本実施例において(約40×のSEM倍率下)、ニードリング加工は、ブリスター帯(ポケットウィーブ帯としても既知)内に、織布中約40,854個の接続部/平方インチを生じさせたことが判明した。約22×のみの倍率下では、計数は、1平方インチ当たり約27,530個の接続部の評価となった。この数は、より高い倍率にて達成される計数よりも幾分少なく、このように、より低い倍率下での実際の相互接続繊維を観察するための乏しい能力に依存して、少なくなると考えられる。したがって、より高い倍率下で得られる計数は、より正確であると考えられる。
【0061】
明らかに、ポケット織布を使用するこの実施例において、ニードリング加工手順は、有意な量のより多くの1平方単位当たりの接続部を生じるようにみえ得る。そしてこの実施例において、例えば実施例1にみられる編布よりも、100倍(またはそれより多く)を超える1平方単位当たりの接続部が生じた。
【0062】
この実施例において、糸の評価を行い、布中に形成された布内の糸1インチ当たりの接続部の数(接続末端)、および布中に形成されたフィラメント1インチ当たりの接続部の数(接続末端)を評価した。この特定実施例において、織布1インチ当たり約60個の縦糸末端、および1インチ当たり約38個のピックが存在し、合計で完成布の1平方インチ当たり約98個の糸末端が生じたことに留意し得る。したがって、この特定実施例において、各単糸ストランドについて272本のフィラメントが用いられ、約26,656個のフィラメント接続末端/布平方インチの評価総量となった。
【0063】
次いで、この特定実施例において、フィラメント1インチ当たりの接続部の数は、約1.53と評価された。さらに、完成布中の糸1インチ当たり約417個の接続部が存在した。
【0064】
針で縫わなかったサンプル、および針で縫ったサンプルについて、完成布の表面を、1000グラム重量を有するH−18ウィールを使用して、1000サイクルで、SAE J948試験手順によるテーバーほつれ試験を行った。針で縫わなかった布について、布の表面は約3.0のみの評点を受けた。本発明の実施例および方法にしたがって針で縫った布について、布の表面は約6.0の評点を得た。より高いスコアは、全般的な布を摩耗力に対して安定化および強化するのに役立つ隣接層内の繊維末端の形成に少なくとも部分的に起因していると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明の一実施態様を例示するブリスター布の上面図である。
【図2】図2は、切断線2−2で切断した図1のブリスター布の拡大断面図である。
【図3】図3は、布の二つの分離した層の複合体を使用する本発明の別の実施態様の拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明に使用した針の部分拡大図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施例に使用したステッチを例示する図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施例に使用したステッチを例示する図である。
【図6】図6は、ブリスター織布の平面図である。
【図7】図7は、図6の線7−7に沿って切断した、図6のブリスター織布の部分断面図である。
【図8】図8は、図6〜7のブリスター織布のさらなる部分断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)相互接続した、単層を有する複数のベース帯と、
(b)該ベース帯の間に位置した、少なくとも以下:
i)複数の繊維束を含んでなる糸を含んでなる下方ベース層と、
ii)複数の繊維束を含んでなる糸を含んでなる上方ブリスター層と
を含んでなる複数のブリスター帯と、
(c)該下方ベース層と該上方ブリスター層の間に伸びる接続繊維と
を含んでなる布。
【請求項2】
縦糸方向および横糸方向をさらに含んでなり、該縦糸方向は該横糸方向に大体垂直に配向し、該ベース帯は該縦糸方向および該横糸方向に沿って縦に伸び、該ベース帯はグリッド状に接続し、該ブリスター帯は該グリッド内に位置する、請求項1に記載の布。
【請求項3】
(a)少なくとも二つの相互接続した、織単層を有するベース帯と、
(b)該ベース帯の間に位置した、さらに
(i)第一の複数の繊維を含んでなる織糸を含んでなる下方ベース層と、
(ii)第二の複数の繊維を含んでなる織糸を含んでなる上方ブリスター層と
を含んでなる複数のブリスター帯と、
(c)該下方ベース層と該上方ブリスター層の間に伸びる接続繊維であって、該接続繊維は第一末端と反対側の第二末端を有し、該第一末端は該下方ベース層内に位置し、そして該第二末端は該上方ブリスター層内に位置する、接続繊維と
を含んでなる、織布。
【請求項4】
前記織布は2プライ布から本質的になり、該二つのプライは該下方ベース層と該上方ブリスター層を含んでなり、該織布は織布1平方インチ当たり約9,000個と約65,000個の間の第一および第二接続繊維末端を与える、請求項3に記載の織布。
【請求項5】
前記織布は、織布1平方インチ当たり約24,000個の第一および第二接続繊維末端を与える、請求項4に記載の織布。
【請求項6】
前記布は、布1平方インチ当たり約4×10個の第一および第二接続繊維末端を与える、請求項5に記載の織布。
【請求項7】
前記織布は、3を超えるSAE J 948によるテーバーほつれ試験評価を達成し得る、請求項4に記載の織布。
【請求項8】
糸1インチ当たりの接続繊維末端の数は、約100個を超える、請求項3に記載の布。
【請求項9】
前記布中の糸1インチ当たりの接続繊維末端の数は、少なくとも約4×10個である、請求項8に記載の布。
【請求項10】
前記布中のフィラメント1インチ当たりの接続繊維末端の数は、少なくとも約0.3である、請求項3に記載の布。
【請求項11】
ニードルド織布の製造方法であって、
(a)相互接続した、織単層を有する複数のベース帯を与える工程と、
(b)該ベース帯の間に位置した、さらに
(i)第一の複数の繊維を有する第一織糸を含んでなる下方ベース層と、
(ii)第二の複数の繊維を有する第二織糸を含んでなる上方ブリスター層と
を含んでなる、複数のブリスター帯を与える工程と、
(c)該織布の該ブリスター帯に針を突き通す工程と、
(d)該層の一つ由来の繊維を別の層に置き換える工程と
を含んでなる、方法。
【請求項12】
布上にブリスター帯を与える多層布の製造方法であって、
(a)少なくとも部分的に相互接続した、単層を有する複数のベース帯を与える工程と、
(b)該ベース帯の間に位置した、
i)複数の繊維束を含んでなる第一糸を含んでなる下方ベース層と、
ii)複数の繊維束を含んでなる第二糸を含んでなる上方ブリスター層と
を含んでなる、少なくとも一つのブリスター帯を与える工程と、
(c)該ブリスター帯に針を付与する工程と、
(d)該下方ベース層または上方ブリスター層の一つ由来の繊維を他の層に置き換える工程であって、該置き換えられた繊維は第一末端と第二末端を有する接続繊維として定義される、工程と、
(e)該接続繊維を部分的に含んでなる布を形成する工程であって、該接続繊維は該下方ベース層内の該第一末端と該上方ブリスター層内の該第二末端にて保持される、工程と
を含んでなる、方法。
【請求項13】
布の製造の間、該布を機械方向に動かし、さらに付与工程(c)の間、針が布に絡む間の該布に対する該針の相対運動が最小となるように、該針を該機械方向に動かす、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−511733(P2006−511733A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570364(P2004−570364)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/033846
【国際公開番号】WO2004/046437
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(500524682)ミリケン・アンド・カンパニー (23)
【Fターム(参考)】