説明

円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置

【課題】切羽の山留を行わない時には山留板をコンパクトに格納できて円周拡大トンネル掘削工法に最適な山留装置を提供する。
【解決手段】円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置17であって、円周トンネル掘削機1における矩形筒状の掘削機本体2の前側内周面に支持板18をスライド可能に添設し、掘削機本体前方への進出と掘削機本体内への後退が可能となすと共に、前記支持板の前端部に山留板20の基端部を枢支し、前記支持板の進出時には山留板の先端側が掘削機本体の内方へ起立する一方後退時には掘削機本体の内周面に沿うように平伏が可能となした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設トンネルの一部を環状に拡大する円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルの分岐・合流部や非常駐車帯等を構築する際には、既設トンネルの断面を一部拡幅させる(例えばφ約12m→φ約18m)必要がある。この拡幅工法として、通常径の既設トンネルの拡大予定区域で、円周トンネル掘削機を前記既設トンネルの周囲方向に推進させ、前記既設トンネルの一部を環状に拡大する円周拡大トンネル掘削工法が特許文献1等で開示されている。
【0003】
【特許文献1】特公昭62−17072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、円周拡大トンネル掘削工法においては、その構造上、矩形の円周トンネル掘削機により、例えば縦約3m×横約11mの矩形断面の円周拡大トンネル部を掘削することになる。
【0005】
そして、このような狭い空間でトンネルを掘削するにあたっても、地山の状況においては切羽の山留を行ったり、セグメントの組立を行ったりしなければならず、円周拡大トンネル掘削工法に最適な山留装置やエレクタ装置の開発が希求されているのが現況である。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑み提案されたもので、切羽の山留を行わない時には山留板をコンパクトに格納できて円周拡大トンネル掘削工法に最適な山留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するための本発明に係る円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置は、
通常径の既設トンネルの拡大予定区域で、円周トンネル掘削機を前記既設トンネルの周囲方向に推進させ、前記既設トンネルの一部を環状に拡大する円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置であって、
前記円周トンネル掘削機における矩形筒状の掘削機本体の前側内周面に支持板をスライド可能に添設し、掘削機本体前方への進出と掘削機本体内への後退が可能となすと共に、
前記支持板の前端部に山留板の基端部を枢支し、前記支持板の進出時には山留板の先端側が掘削機本体の内方へ起立する一方後退時には掘削機本体の内周面に沿うように平伏が可能となした、
ことを特徴とする。
【0008】
また、
前記支持板は、前記掘削機本体の周方向へ複数に分割形成されて全周的に配設されると共に、これらの支持板に前記掘削機本体の周方向へ複数に分割形成されて全周的に配設される前記山留板が一以上に亙って枢支される、
ことを特徴とする。
【0009】
また、
前記支持板の内面と前記掘削機本体の内周面間に前記支持板を進退させる山留スライドジャッキを介装し、前記山留板の内面と前記支持板の内面間に前記山留板を起伏させる山留板ジャッキを介装した、
ことを特徴とする。
【0010】
また、
前記山留スライドジャッキと前記山留板ジャッキは、前記掘削機本体内に支持された掘削機械を囲繞するように該掘削機本体内に画成されたテーパ筒状の案内壁の外周囲に配設され、
前記山留板の平伏状態ではその先端部が前記案内壁の先端開口縁と連接し、前記掘削機械で掘削した土砂が前記山留板と案内壁に案内されて当該案内壁に連接するシュータへ導かれる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置によれば、掘削機械による切羽の掘削下においては、支持板を掘削機本体内へ後退させると共に山留板を掘削機本体の内周面に沿うように平伏させることで、山留板をコンパクトに格納でき、掘削機械は狭い空間でも山留板に干渉することなくその掘削動作範囲を広く確保することができる。
【0012】
一方、前記掘削機本体の推進下においては、必要に応じて、前記支持板を掘削機本体前方へ進出させると共に前記山留板を掘削機本体の内方へ起立させることで、切羽の山留を行いつつ掘削機本体を円滑に推進させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の一実施例を示す円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置を備えた円周トンネル掘削機の側断面図、図2は円周トンネル掘削機の平断面図、図3は各掘削機械における掘削範囲及び工程の説明図、図4は図1のA矢視図、図5は図1のB−B線断面図、図6は図1のC−C線半断面図、図7は円周拡大トンネル掘削工法の概念図、図8は円周拡大トンネル掘削工法に用いられるエレクタ装置の組立位置での側面図、図9はエレクタの180°旋回動作の説明図、図10はエレクタ装置の発進位置での側面図、図11は台車の左右方向移動の説明図、図12は円周トンネル掘削機とエレクタ装置との位置関係を示す平面図、図13は台車の前後方向移動及び左右方向移動の説明図、図14はエレクタにおける第2及び第3ジャッキの動作を示す図13(b)のD−D線断面図、図15はエレクタにおける第1ジャッキの動作説明図、図16はエレクタの旋回動作の説明図、図17はエレクタにおける第2ジャッキの動作説明図、図18はエレクタにおける第3ジャッキの動作説明図、図19はエレクタにおける第4ジャッキと第1グリップの作用説明図、図20はエレクタにおける第4ジャッキと第1及び第2グリップの作用説明図、図21はエレクタにおけるアタッチメントの説明図である。
【0015】
本円周拡大トンネル掘削工法は、図7に示すように、通常径(φ約12m)の既設トンネルTの拡大予定区域で、後述する円周トンネル掘削機1を前記既設トンネルTの周囲方向に推進させて既設トンネルTの一部(トンネル長さで約11m)を環状に拡大する(φ約12m→φ約18m)ものである。
【0016】
前記円周トンネル掘削機1は、図1乃至図6に示すように、左右方向に長い矩形筒状の掘削機本体2は、前胴2a,中間胴2b,後胴2cに分割形成されて、既設トンネルTの拡大予定区域における8(=L)×13mのピットP(円周トンネル掘削機の発進及び到達位置)内での組立が容易になっている(図7参照)。そして、この組立状態では既設トンネルTの外周面に沿った側面視で円弧状の外郭形状を呈している。
【0017】
前記掘削機本体2内には、左右方向に横架された角パイプ製の梁状部材3を介して4つの掘削機械4が左右方向に並設され、これらの4つの掘削機械4で掘削された掘削土砂が掘削機械4の後方に位置して左右方向に2つ並設されたシュータ5に導かれ、ここから必要時に開かれるゲート6より図示しないホースを介し既設トンネルTを経由して外部に排出されるようになっている。図1及び図2中7は土砂の溜まり具合などを点検するための点検口である。
【0018】
前記掘削機械4は、ブーム8の先端にバケット9が取り付けられており、油圧ジャッキ10によるブーム8の伸縮と油圧ジャッキ11によるブーム8の俯仰と図示しない油圧ジャッキ(図2の動作軌跡T1参照)によるブーム8の左右旋回と図示しない油圧ジャッキ(図1の動作軌跡T2参照)によるバケット9の俯仰が可能な掘削取込併用機で構成されている。
【0019】
また、前記各掘削機械4の間には仕切り壁12が設けられ、これらの仕切り壁12の前端面には上下に二本ずつフェイスジャッキ13が埋設されている。これらのフェイスジャッキ13の先端面には必要に応じて図示しない板等が取り付けられて切羽面の山押えを行い得るようになっている。
【0020】
尚、図3には各掘削機械4における掘削範囲及び工程が示され、前述したブーム8及びバケット9の所要の動作により上下方向に3段階に分けて地山の切羽を掘削するようになっている。
【0021】
また、前記掘削機本体2の内周面には前後方向に2段に亘ってフランジ状の補強板14,15が配設され、これらの補強板14,15を貫通するようにして、既設セグメントSに反力をとって掘削機本体2を推進させるシールドジャッキ16が支持される。補強板14,15は、図5及び図6に示すように、掘削機本体2(中間胴2b)とともに周方向に複数分割(図示例では10分割)されたものが溶接等により一連に結合されてなる。
【0022】
前記シールドジャッキ16は、図5及び図6に示すように、掘削機本体2の上半部側に周方向へ所定間隔離間して例えば22本配設されるのに対し、下半部側には周方向へ所定間隔離間して例えば8本と少なく配設され、掘削機本体2の推進時には推進力が適正に分配されて円形断面の既設トンネルTの外周面に沿って円滑に推進し得るようになっている。
【0023】
そして、前記掘削機本体2の前側内周部に山留装置17が組み付けられる。この山留装置17は、掘削機本体2(前胴2a)の前側内周面に支持板18を左右一対のレール19を介してスライド可能に添設し、掘削機本体前方への進出と掘削機本体内への後退が可能となすと共に、前記支持板18の前端部に方形の山留板20の基端部を左右一対のヒンジ21により枢支し、前記支持板18の進出時には山留板20の先端側が掘削機本体2の内方へ起立する一方後退時には掘削機本体2の内周面に沿うように平伏が可能となっている。
【0024】
一層詳細には、前記支持板18は掘削機本体2の周方向へ複数(図示例では18個)に分割形成されて略全周的に配設されると共に、これらの支持板18に、掘削機本体2の周方向へ複数(図示例では32個)に分割形成されて略全周的に配設される山留板20が1個又は2個宛枢支される(図4参照)。
【0025】
また、前記支持板18の内面と掘削機本体2の内周面間に支持板18を進退させる山留スライドジャッキ22が1本宛介装され、前記山留板20の内面(裏面)と支持板18の内面間に山留板20を起伏させる山留板ジャッキ23が1本宛介装される(図4参照)。
【0026】
また、前記山留スライドジャッキ22と山留板ジャッキ23は、前述した掘削機械4を囲繞するように掘削機本体2の内部に画成されたテーパ筒状の案内壁24の外周囲に配設され、山留板20の平伏状態ではその先端部が案内壁24の先端開口縁と連接し、掘削機械4で掘削した土砂が前記山留板20と案内壁24に案内されて当該案内壁24に連接する前述したシュータ5へ導かれるようになっている。
【0027】
円周トンネル掘削機1は前述したように構成されるため、掘削機械4による切羽の掘削下においては、山留装置17の支持板18を山留スライドジャッキ22の収縮により掘削機本体内へ後退させると共に山留板20を山留板ジャッキ23の収縮により掘削機本体2の内周面に沿うように平伏させる。
【0028】
これにより、山留板20は掘削機本体内へコンパクトに格納されるので、掘削機械4は狭い空間でも山留板20に干渉することなくその掘削動作範囲を広く確保することができる。特に、油圧ジャッキ11によるブーム8の俯仰(図1参照)と図示しない油圧ジャッキ(図2の軌跡T1参照)によるブーム8の左右旋回(図2参照)の動作範囲を広く確保することができる。
【0029】
一方、シールドジャッキ16を伸長させて既設セグメントSに反力をとって掘削機本体2を推進させる際は、地山の状況に応じて切羽の山留を行う必要があると判断された時に山留装置17が作動させられる。
【0030】
そして、山留装置17を作動させる際には、先ず、掘削機械4のブーム8を油圧ジャッキ10により収縮させる。次に、山留装置17の支持板18を山留スライドジャッキ22の伸長により掘削機本体前方へ進出させると共に、山留板20を山留板ジャッキ23の伸長により掘削機本体2の内方へ起立させる(図2及び図4に示した山留板20の鎖線状態参照)。
【0031】
これにより、伸長されたフェイスジャッキ13と協働で、山留板20により切羽の山留が行われ、掘削機本体2はシールドジャッキ16に伸長により円滑に推進させられる。尚、円周トンネル掘削機1の掘削機本体2が水平及び上向き状態で掘削している場合は、掘削された土砂は重力等でシュータ5に取り込まれ、これより必要時にゲート6がひらかれてホース等で既設トンネルTを経由して外部に排出されるが、下向き状態で掘削している場合は、掘削された土砂を所定の箇所まではゲート6にバキュームホース等を接続して吸引して排出する必要がある。
【0032】
前述した円周トンネル掘削機1には、図8に示すように、掘削機本体2の後部に装備した牽引ウインチ25によりエレクタ装置30が牽引される。図中26は牽引ワイヤで27は牽引反力ワイヤである。
【0033】
前記エレクタ装置30は、牽引ワイヤ26の巻出し端部が繋留された門形の折畳み可能なハンガ31とこのハンガ31の左,右両基端部が枢支された架構体状の台車32とこの台車32の前面部に組み付けられたエレクタ33とを主要部材とする。
【0034】
前記台車32は、図11に示すように、既設セグメントSの外周側内面と内周側内面に敷設された左右一対の前後方向レール34上を左右一対で前後一組の合計8個の伸縮(進退)可能な車輪35により前後方向に移動可能であると共に、セグメントの組立位置で既設セグメントSの外周側内面と内周側内面に敷設された前後一対の左右方向レール36上を前後一対で左右一組の合計16個の伸縮(進退)可能な車輪37により左右方向に移動可能である。図11中38a,38bは左右方向の牽引ウインチで39は牽引ワイヤである。
【0035】
また、前記台車32は、図12及び図13に示すように、前後方向レール34を介して既設セグメントSの中央部を形状保持装置40と干渉しないように移動可能になっていると共に、セグメントの組立位置で左右方向レール36に乗り換えてエレクタ33で把持した長尺な一般セグメントピースSa等を左右方向の所定位置に搬入して後述するエレクタ33の各種動作(図9に示す180°旋回動作や図14に示す2段階の直線移動動作等)で組み立て得るようになっている。尚、台車32の内部には各種油圧機器のパワーユニットが搭載されると好適である。
【0036】
尚、前記長尺な一般セグメントピースSa等は、図10に示すように、既設トンネルTのピットP(円周トンネル掘削機の発進及び到達位置)内に設けられた受台41上に予め既設トンネルTからクレーン等で搬入・載置されるものである。これをエレクタ装置30のみを掘削位置から前記ピットP(円周トンネル掘削機の発進及び到達位置)内に後退させて(戻して)、後述するエレクタ33の各種動作で把持した後、再びエレクタ装置30を掘削位置へ移動させるのである。
【0037】
前記エレクタ33は、図15に示すように、台車32の前面部にリニアガイド42を介して基板43が、互いに背面結合された左右一対の第1ジャッキ44により、左右方向にスライド可能に支持される。左右一対の第1ジャッキ44は所定間隔離間して二組配設される。
【0038】
前記基板43上には、図16に示すように、ベアリング45を介して旋回テーブル46が手動により旋回可能に支持されると共に、ピン47を用いて90°の旋回位置と180°の旋回位置で固定可能になっている。
【0039】
前記旋回テーブル46上には、図17に示すように、リニアガイド48を介して第1可動板49が、一対の第2ジャッキ50により、スライド可能に支持されると共に、この第1可動板49上にはリニアガイド51を介して第2可動板52が、一対の第3ジャッキ53により、第1可動板49と同一方向へスライド可能に支持される。
【0040】
図17は、第2ジャッキ50と第3ジャッキ53を共に伸長させて第2可動板52(一般セグメントピースSa等)を旋回テーブル46に対して最大の引き伸ばし位置に移動させた図(図14(c)参照)で、図18は、第2ジャッキ50を収縮させた状態のまま第3ジャッキ53を伸長させて第2可動板52(一般セグメントピースSa等)を旋回テーブル46に対して中間の引き伸ばし位置に移動させた図(図14(b)参照)で、第2ジャッキ50と第3ジャッキ53を共に収縮させて第2可動板52(一般セグメントピースSa等)を旋回テーブル46に対して引き伸ばしていない状態を図14(a)に示す。
【0041】
前記第2可動板52には、図19に示すように、直角に支持プレート54が固設され、この支持プレート54上にはリニアガイド55を介して把持プレート56が、一対の第4ジャッキ57により、第1可動板49及び第2可動板52の移動方向と直角な方向へスライド可能に支持される。
【0042】
前記把持プレート56上には、L字型のコーナセグメントピースSb等を単独で把持することができる手動ねじ式の第1グリップ機構58と、図20に示すように、長尺な一般セグメントピースSa等を前記第一グリップ58と協働で把持することができる手動ねじ式で位置調整が可能な第2グリップ機構59と、が配置されている。
【0043】
更に、把持プレート56上には、図21に示すように、必要に応じて、キーセグメントピースSc等を把持することができる手動ねじ式の第3グリップ機構60を備えたアタッチメント61を取り付け得るようにすると好適である。
【0044】
エレクタ装置30は前述したように構成されるため、既設トンネルTのピットP(円周トンネル掘削機の発進及び到達位置)内から掘削位置へ移動する際には、エレクタ33においては、図14(a)に示すように、第2ジャッキ50と第3ジャッキ53を共に収縮させて第2可動板52(一般セグメントピースSa等)を旋回テーブル46に対して引き伸ばしていないコンパクトな状態で各種セグメントピースSa,Sb,Scを把持しつつ台車32を介して牽引ウインチ25で牽引される。
【0045】
これにより、狭い空間である矩形断面の既設セグメントS内においても、各種セグメントピースSa,Sb,Scを掘削位置へ円滑に搬入することができる。この搬入後、次に組み立てる各種セグメントピースSa,Sb,Scを搬入すべく空で掘削位置へ戻る際も、エレクタ33においては前述したコンパクトな状態で移動すれば良い。
【0046】
そして、前記掘削位置では、台車32の前後方向レール34上の車輪35が引っ込む一方、左右方向レール36上を転動する車輪37が伸ばされて台車32の移動方向が切り替えられる。なお、前後方向レール34及び左右方向レール36は、各種セグメントピースSa,Sb,Scの搬入・組立時に随時敷設しても良いし、予め各種セグメントピースSa,Sb,Scに敷設しておいても良い。
【0047】
同時に、エレクタ33における旋回テーブル46の90°及び180°旋回動作により、各種セグメントピースSa,Sb,Scをセグメントの左側又は右側(図21参照)及び外周側又は内周側(図9参照)に振り分けて搬入することが可能となる。尚、図21では、エレクタ33の把持プレート56上にアタッチメント61を装着しているが、これは必要が無い場合もある。
【0048】
そして、各種セグメントピースSa,Sb,Scの所定の組立位置では、台車32の左右方向移動(図11参照)と基板43の左右方向へのスライド動作(図15参照)と第1可動板49及び第2可動板52による2段階の直線移動動作(図17及び図18参照)と把持プレート56の第1可動板49及び第2可動板52の移動方向と直角な方向へのスライド動作(図19参照)により、狭い空間である円周拡大トンネル部内においても各種セグメントピースSa,Sb,Scは迅速かつ円滑でさらには高精度に組み立てられる。
【0049】
このようにして、円周拡大トンネル部を掘削した後、既設セグメントSの内周側を既設トンネルTの拡大予定区域における既設セグメントとともに解体すれば既設トンネルTの一部が環状に拡大される。
【0050】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、円周トンネル掘削機1の掘削機械4にブーム8の先端にバケット9が取り付けられた掘削取込併用機を用いた例を示したが、これに限らず掘削専用機等を用いてもよい。また、エレクタ装置30及びエレクタ33を牽引ウインチ25,38a,38bで牽引する例を示したが、これに限らず他の牽引手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置を備えた円周トンネル掘削機の側断面図である。
【図2】円周トンネル掘削機の平断面図である。
【図3】各掘削機械における掘削範囲及び工程の説明図である。
【図4】図1のA矢視図である。
【図5】図1のB−B線断面図である。
【図6】図1のC−C線半断面図である。
【図7】円周拡大トンネル掘削工法の概念図である。
【図8】円周拡大トンネル掘削工法に用いられるエレクタ装置の組立位置での側面図である。
【図9】エレクタの180°旋回動作の説明図である。
【図10】エレクタ装置の発進位置での側面図である。
【図11】台車の左右方向移動の説明図である。
【図12】円周トンネル掘削機とエレクタ装置との位置関係を示す平面図である。
【図13】台車の前後方向移動及び左右方向移動の説明図である。
【図14】エレクタにおける第2及び第3ジャッキの動作を示す図13(b)のD−D線断面図である。
【図15】エレクタにおける第1ジャッキの動作説明図である。
【図16】エレクタの旋回動作の説明図である。
【図17】エレクタにおける第2ジャッキの動作説明図である。
【図18】エレクタにおける第3ジャッキの動作説明図である。
【図19】エレクタにおける第4ジャッキと第1グリップの作用説明図である。
【図20】エレクタにおける第4ジャッキと第1及び第2グリップの作用説明図である。
【図21】エレクタにおけるアタッチメントの説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 円周トンネル掘削機
2 掘削機本体
3 梁状部材
4 掘削機械
5 シュータ
6 ゲート
7 点検口
8 ブーム
9 バケット
10 油圧ジャッキ
11 油圧ジャッキ
12 仕切り壁
13 フェイスジャッキ
14 補強板
15 補強板
16 シールドジャッキ
17 山留装置
18 支持板
19 レール
20 山留板
21 ヒンジ
22 山留スライドジャッキ
23 山留板ジャッキ
24 案内壁
25 牽引ウインチ
26 牽引ワイヤ
27 牽引ワイヤ
30 エレクタ装置
31 ハンガ
32 台車
33 エレクタ
34 前後方向レール
35 車輪
36 左右方向レール
37 車輪
38a,38b 牽引ウインチ
39 牽引ワイヤ
40 形状保持装置
41 受台
42 リニアガイド
43 基板
44 第1ジャッキ
45 ベアリング
46 旋回テーブル
47 ピン
48 リニアガイド
49 第1可動板
50 第2ジャッキ
51 リニアガイド
52 第2可動板
53 第3ジャッキ
54 支持プレート
55 リニアガイド
56 把持プレート
57 第4ジャッキ
58 第1グリップ機構
59 第2グリップ機構
60 第3グリップ機構
61 アタッチメント
T 既設トンネル
P ピット
1 油圧ジャッキの動作軌跡
2 油圧ジャッキの動作軌跡
S 既設セグメント
Sa (長尺な)一般セグメントピース
Sb コーナセグメントピース
Sc キーセグメントピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常径の既設トンネルの拡大予定区域で、円周トンネル掘削機を前記既設トンネルの周囲方向に推進させ、前記既設トンネルの一部を環状に拡大する円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置であって、
前記円周トンネル掘削機における矩形筒状の掘削機本体の前側内周面に支持板をスライド可能に添設し、掘削機本体前方への進出と掘削機本体内への後退が可能となすと共に、
前記支持板の前端部に山留板の基端部を枢支し、前記支持板の進出時には山留板の先端側が掘削機本体の内方へ起立する一方後退時には掘削機本体の内周面に沿うように平伏が可能となした、
ことを特徴とする円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置。
【請求項2】
前記支持板は、前記掘削機本体の周方向へ複数に分割形成されて全周的に配設されると共に、これらの支持板に前記掘削機本体の周方向へ複数に分割形成されて全周的に配設される前記山留板が一以上に亘って枢支される、
ことを特徴とする請求項1に記載の円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置。
【請求項3】
前記支持板の内面と前記掘削機本体の内周面間に前記支持板を進退させる山留スライドジャッキを介装し、前記山留板の内面と前記支持板の内面間に前記山留板を起伏させる山留板ジャッキを介装した、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置。
【請求項4】
前記山留スライドジャッキと前記山留板ジャッキは、前記掘削機本体内に支持された掘削機械を囲繞するように該掘削機本体内に画成されたテーパ筒状の案内壁の外周囲に配設され、
前記山留板の平伏状態ではその先端部が前記案内壁の先端開口縁と連接し、前記掘削機械で掘削した土砂が前記山留板と案内壁に案内されて当該案内壁に連接するシュータへ導かれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の円周拡大トンネル掘削工法に用いられる山留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−106592(P2010−106592A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280715(P2008−280715)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(309036221)三菱重工メカトロシステムズ株式会社 (57)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】