説明

冊子の製造方法

【課題】左右のページの位置合わせや丁合作業をしなくても、中央の見開きページ以外にも左右のページに跨る写真を掲載できる冊子の提供。
【解決手段】紙基材を備え、一面は記録面であり、他面は感圧性接着剤層を備えた接着面である記録用紙を記録手段に給紙して、記録面に記録を行う記録工程と、記録面同士が対向する向きで記録用紙が折られる谷折線と、接着面同士が対向する向きで記録用紙が折られる山折線とを交互に配置する折線配置工程と、配置された谷折線と前記山折線に沿って記録用紙を折る折曲工程を行う。ついで、折曲工程により対向した接着面同士を加圧により接着する(接着工程)。この方法において、谷折線および山折線Y1〜Y3の方向は、記録用紙の記録手段への給紙方向に垂直とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォトアルバムなどの冊子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冊子を製本する方法として、中綴じ製本、無線綴じ製本、糸綴じ製本などの製本方法がある。中綴じ製本は、両面印刷された用紙を複数枚重ね、用紙の中央部分を針金で綴じる方法である。この方法は、カタログ、パンフレットなどの製本や、週刊誌などの製本に採用されることが多い。糸綴じ製本は、針金の代わりに、糸で綴じる製本方法である。無線綴じ製本は、丁合された折丁の背を、ホットメルト接着剤などの接着剤を使って接合する方法である。
これらの方法で製本された冊子は、各ページを「のど」まで開くことができるため、左右のページに跨る写真を掲載することが多いフォトアルバムなどの冊子の製本に好適であると考えられる。
【0003】
ところが、このような方法で製本された冊子の場合、冊子を開いた際の左側のページと右側のページとは、中央の見開きページでは同じ用紙から構成されるが、それ以外のページでは別々の用紙から構成される。そのため、中央の見開きページ以外に、左右のページに跨る写真を掲載しようとすると、左側のページの画像と右側のページの画像とがずれないように、用紙を厳密に位置合わせして綴じる必要があった。このような厳密な位置合わせには困難が伴うため、これら従来の製本方法による冊子では、左右のページに跨る写真は中央の見開きページのみに掲載される場合が多かった。
【0004】
一方、特許文献1には、一面が記録面で、他面が感圧性接着剤層を備えた接着面である用紙を用いて、冊子を製本する方法が開示されている。この方法では、まず、特許文献1の図1に示されているように、用紙の記録面に印刷、複写などを施した後、この用紙を見開き状態の大きさに裁断する。ついで、記録面が内側、接着面が外側になるように、用紙をその抄紙方向に沿って2つ折りにする。その後、このように2つ折りされた折丁をページ順どおりに複数枚重ねて丁合し、加圧することにより、接着面同士を接着させている。この方法によれば、冊子をどの部分で開いても、左側のページと右側のページとは同じ用紙から構成されることになる。そのため、上述した困難な位置合わせをすることなく、左右のページに跨る写真を全ページにおいて掲載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−158847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、印刷後の用紙を所定の大きさに裁断し、折った後、各折丁をページ順通りに積層する丁合作業が不可欠であり、落丁や乱丁の虞もあった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、左右のページの位置合わせや丁合作業をしなくても、中央の見開きページ以外にも左右のページに跨る写真を掲載できる冊子の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冊子の製造方法は、紙基材を備え、一面は記録面であり、他面は感圧性接着剤層を備えた接着面である記録用紙を記録手段に給紙して、前記記録面に記録を行う記録工程と、前記記録面同士が対向する向きで前記記録用紙が折られる谷折線と、前記接着面同士が対向する向きで前記記録用紙が折られる山折線とを交互に配置する折線配置工程と、前記谷折線と前記山折線に沿って前記記録用紙を折る折曲工程と、前記折曲工程により対向した前記接着面同士を加圧により接着する接着工程とを有し、前記谷折線および前記山折線の方向は、前記記録用紙の前記記録手段への給紙方向に垂直であることを特徴とする。
前記給紙方向は、前記紙基材の抄紙方向であることが好適である。
前記折線配置工程では、給紙方向の最も一端側には谷折線を配置し、最も他端側には山折線を配置するとともに、前記折曲工程では、前記記録用紙の他端側の部分を一端側に折り返して、前記一端側と前記他端側の接着面同士を対向させることが好適である。
前記記録工程後に、前記折線配置工程を行うことが好適である。
前記記録面は、インクジェット記録が可能な面とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冊子の製造方法によれば、左右のページの位置合わせや丁合作業をしなくても、中央の見開きページ以外にも左右のページに跨る写真を掲載できる冊子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の製造方法で製造されたフォトアルバム(冊子)の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のフォトアルバムの製造に使用された記録用紙の構成を示す断面図である。
【図3】記録工程を説明する斜視図である。
【図4】折線配置工程および折曲工程を説明する斜視図である。
【図5】接着工程を説明する斜視図である。
【図6】本発明の他の製造方法例について説明する斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の製造方法例について説明する斜視図である。
【図8】比較例の製造方法について説明する斜視図である。
【図9】冊子の「のど」の部分の引張り強さの測定方法について、その手順を説明する斜視図((a)〜(d))である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の製造方法で製造されたフォトアルバム(冊子)10の一例を示す斜視図である。このフォトアルバム10は、図2に示す記録用紙20から、表紙11と裏表紙12と背表紙13と、冊子状の部分14とが一体に製造されたものである。
図2の記録用紙20は、紙基材21を備えて構成され、その一面には、インクジェット記録適性を有する塗工層(記録層)22が設けられ、写真、文字などの画像が記録される記録面20aが形成されている。他面には、感圧性接着剤を含有する感圧性接着剤層23が設けられ、接着面20bが形成されている。まず、以下に記録用紙20について説明する。
【0012】
[記録用紙]
(紙基材)
紙基材21は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤などを含有して形成され、また、必要に応じて、サイズプレス等による表面処理がなされたり、顔料、接着剤を主成分とする塗工層、あるいは、樹脂を主成分とする被覆層などが設けられたりして、形成される。具体的には、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙、レジンコート紙などが例示される。また、抄紙方法の点からは、酸性紙、中性紙のいずれをも適宜使用することができる。このような紙基材21は、記録体としての取扱性に優れるとともに廃棄しやすい点においても好適であり、特に上質紙や塗工層を備えたものなど、透気性を有する紙基材を使用すると、記録に使用されるインク中の溶媒成分が長時間残留しにくくなり、残留溶媒などによる記録画像に対する悪影響を低減させる点でも好ましい。
木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプなどを制限なく使用でき、例えば、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプや、これらクラフトパルプを漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好適に使用できる。また、これらのパルプにおいて、その漂白工程で塩素の影響を取り除いた、いわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。上記のような木材パルプは、叩解機による処理を行い、紙力、抄紙適性などに応じて、叩解度を調節することもできる。
【0013】
紙基材21は、長網抄紙機などの抄紙機により製造され、坪量としては、40〜400g/m程度のものが好ましい。また、その厚さには制限はなく、必要に応じて50〜500μmの範囲で適宜選択され、好適には80〜250μmの範囲とされる。上記範囲未満では、製造される冊子の質感が軽くなりすぎ、上記範囲を超えると、後述の折曲工程で記録用紙を折った場合に、その部分で塗工層の割れや剥がれが発生しやくなる。
【0014】
(記録面)
この例では、紙基材21の一面には、インクジェット記録適性を有する塗工層22が設けられて記録面20aが形成されている。塗工層22は、少なくとも1層のインク受容層を有して形成される。記録用紙が光沢タイプのものであれば、紙基材21上にインク受容層を設け、さらにその上に、記録面の最表面を形成する光沢発現層を設けて、2層構造の塗工層22とすることが好ましい。インク受容層は1層に限定されず、2層以上設けられてもよい。また、紙基材21上にインク溶媒を吸収する下塗り層(吸収層)を設け、この下塗り層の上にインク染料定着層を設けて、塗工層22を構成してもよい。また、紙基材21上にインク溶媒を浸透させない、または遅らせる下塗り層(バリア層)を設け、この下塗り層の上にインク受容層を設けて、塗工層22を構成してもよい。このようにインクジェット記録適性を有する塗工層22の構成には特に制限はない。
【0015】
インク受容層は、顔料と、これを保持する接着剤とを含んで構成され、さらに好適には、インク中の染料や顔料をよりよく定着させるためのカチオン性のインク定着剤を含む。
顔料としては、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物などからなり、平均粒子径が10nm〜3μmの微細2次顔料が使用される。好ましい顔料は、シリカ、なかでも気相法シリカである。より好ましくは、シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を使用する。カチオン性化合物はインク定着剤として作用するため、シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子はインク定着剤としての作用を有しているが、必要に応じて、別途、インク受容層にインク定着剤を含有させることもできる。シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、粉砕、分散されて使用される。
接着剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの水分散系接着剤、ポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性接着剤を使用でき、これらを併用してもよい。
【0016】
インク受容層は、顔料と、これを保持する接着剤とを少なくとも含有するインク受容層塗工液を各種塗工装置で塗布し、これを乾燥することにより形成できる。好ましくは、塗布と同時に、または、塗布された塗液層の乾燥途中、この塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗液層を増粘または架橋させて成膜する方法が好適である。例えば、インク受容層塗工液に含有させる接着剤として、電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を用い、塗布と同時に、または、塗布された塗液層の乾燥途中、この塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線を照射する方法が挙げられる。あるいは、接着剤との架橋性を有する化合物を用いて、この化合物と接着剤とを架橋させる方法、感温性高分子化合物を用いる方法など、公知の方法が挙げられる。
【0017】
インク受容層の乾燥塗工量には制限はないが、2〜50g/mが好ましく、5〜40g/mがより好ましい。この範囲であると、高精細・高速のインクジェットプリンタにおけるインク吸収性が充分であり、また、インク受容層のひび割れが起こりにくい。
【0018】
光沢発現層は、光沢発現層を形成するための塗工液(光沢発現層塗工液)を各種塗工装置で塗工して乾燥した後、光沢化処理が施されることによって、光沢面となる層であって、記録面の最表面を構成する。光沢発現層は、コロイダルシリカなどのコロイド状粒子、PVAなどの接着剤を主成分とし、必要に応じて、離型剤、インク定着剤、分散剤、架橋剤、増粘剤(流動変成剤)、消泡剤、耐水化剤(印刷適性向上剤)、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、着色剤などの各種添加剤を適宜含有することができる。光沢発現層の乾燥塗工量は、0.1〜5g/mであると、記録用紙の生産性が優れるとともに、記録工程においてより鮮明な画像を得ることができる。
【0019】
光沢化処理としては、スーパーカレンダーを用いた処理でもよいが、キャスト加工を採用することによって、より高い光沢を発現させることができる。
キャスト加工とは、鏡面を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム。)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等に、塗工層を圧接し、鏡面を塗工層上に写し取り、平滑で光沢のある塗工層表面を得る加工法である。加熱した鏡面を有するキャストドラムにより光沢化処理を行う具体的方法としては、ウェットキャスト法、リウェットキャスト法、ゲル化キャスト法、プレキャスト法が挙げられる。
【0020】
ウェットキャスト法は、塗工された光沢発現層が湿潤状態にあるうちに、光沢発現層をキャストドラムの加熱した鏡面に圧接、乾燥して仕上げる方法であり、リウェットキャスト法は、塗工された光沢発現層を一旦乾燥した後、再度湿潤させ、光沢発現層をキャストドラムの加熱した鏡面に圧接、乾燥して仕上げる方法である。また、ゲル化キャスト法は、光沢発現層をゲル化してゲル状塗工層とし、これをキャストドラムの加熱した鏡面に圧接、乾燥して仕上げる方法であり、プレキャスト法は、キャストドラムの加熱した鏡面に光沢発現層を形成するための塗工層を塗工、乾燥させて、鏡面上に光沢発現層を形成した後、この光沢発現層を紙基材側に圧接して転移させる方法である。
これらの方法では、キャストドラムの鏡面の加熱温度は、例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃とされる。
【0021】
(接着面)
紙基材21の他面は、感圧性接着剤を含有する感圧性接着剤層23を備え、接着面20bが形成されている。この接着面20bは、常圧では接着力を有さず、ある程度の圧力を加えることによって接着力が発揮するように形成された面であり、例えば、23℃、50%RHの条件において、0.5MPa以上の圧力を加えることにより接着力が得られるよう、形成されたものが好ましい。
【0022】
感圧性接着剤としては、例えば天然ゴム系、ロジン系樹脂およびその誘導体、アクリル系樹脂などからなる接着剤が使用できる。
また、感圧性接着剤層23には、感圧性接着剤とともに接着力コントロール剤が含まれていてもよい。接着力コントロール剤が含まれると、後述する接着工程において、対向する接着面20b同士を加圧した際には確実に接着するが、接着工程よりも前段側の各工程や、記録用紙20の製造後の巻取り時には接着性を発現しない感圧性接着剤層23が形成されやすい。接着力コントロール剤としては、公知の無機顔料および有機顔料が使用できる。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム、シリカ、ゼオライト、プラスチックピグメント、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素系樹脂、澱粉粒子などが挙げられるが、なかでも、酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント、澱粉粒子を使用すると、感圧性接着剤層23の不透明度が高まり、記録された画像の裏写りが抑制され好ましい。また、これら例示の材料は、接着力コントロール剤として単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。このような接着コントロール剤は、感圧性接着剤層23中の含有量が10〜50質量%となる範囲で使用されることが好ましい。このような範囲であると、記録用紙20の製造後の巻取り時におけるブロッキングをより抑制でき、かつ、接着工程において、接着面20b同士をより確実に接着することができる。
【0023】
感圧性接着剤層23は、感圧性接着剤と必要に応じて接着力コントロール剤とを含有する感圧性接着剤層塗工液を各種塗工装置で塗工し、乾燥することにより形成でき、その塗工量は、接着性と、感圧性接着剤に要するコストとの観点から、5〜30g/mが好ましい。
【0024】
このように紙基材21の一面に塗工層22が設けられ、他面に感圧性接着剤層23が設けられて製造された記録用紙20は、長尺なロール状の巻回物の形態とされることが多い。その場合、この巻回物は適当な長さに断裁されて、小型のロール状とされ、冊子の製造に供される。
【0025】
[冊子の製造方法]
次に、図2の記録用紙20を用いて、図1のフォトアルバム10を製造する方法について説明する。
まず、小型のロール状とされたロールタイプの記録用紙20から、記録用紙20を図示略のインクジェットプリンタ(記録手段)に連続給紙して、図3に示すように、その記録面20aに複数枚(この例では4枚。)の写真P1〜P4を連続的に記録する記録工程を行う。ついで、最後に記録された4枚目の写真P4の記録終了後、位置Qにおいて、記録用紙20を切断する。
図中矢印Aは、例えば長網抄紙機などの抄紙機で紙基材21を抄造する際の抄紙方向を示すものであり、抄紙方向は紙基材21を構成するパルプ繊維の方向に相当する。記録工程では、抄紙方向に沿って、記録用紙20を記録手段に給紙し、連続記録する。この例では、抄紙方向と給紙方向は一致している。
【0026】
記録工程の後には、記録用紙20を図示略のヒータ、温風などで加温して、インクに含まれる水などの溶媒を蒸発、乾燥させる乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程を行い、溶媒を乾燥させることによって、印字濃度が安定するとともに、記録された写真の滲みを防ぐことができる。また、相対するページに溶媒が移行する、いわゆるゴーストを抑制でき、写真の保存性も向上する。
【0027】
ついで、図4(a)〜(c)に示すように、給紙方向に垂直な複数本(この例では6本。)の折線を配置する折線配置工程と、折線に沿って記録用紙を蛇腹折りする折曲工程を行う。
この例の折線配置工程では、写真P1〜P4が記録された記録面20a同士が対向する向きで記録用紙20が折られる3本の谷折線T1〜T3と、接着面20b同士が対向する向きで記録用紙20が折られる3本の山折線Y1〜Y3とから折線を構成し、谷折線T1〜T3と山折線Y1〜Y3とを交互に、かつ、隣り合う折線の距離がLaとなるように、各折線を等間隔に配置している。また、給紙方向(抄紙方向)の最も一端側(一端20cの方。)には谷折線T1を配置し、最も他端側(他端20dの方。)には山折線Y3を配置している。以下、最も一端側に形成された谷折線T1を「一端側谷折線」といい、最も他端側に形成された山折線Y3を「他端側山折線」という場合もある。
そして、この例では、一端側谷折線T1から記録用紙20の一端20cまでの距離を各折線の間隔と等しい距離Laとし、他端側山折線Y3から記録用紙20の他端20dまでの距離を距離Lbに設定している。ここでLb=2La+αであり、αは、図1に示すように、最終的に得られるフォトアルバム10の厚みに相当する値である。また、この例では、各谷折線T1〜T3を各写真P1〜P3の中央部に配置し、各山折線Y1〜Y3を各写真間に配置している。
【0028】
このように折線配置工程において、谷折線T1〜T3と山折線Y1〜Y3とを交互に配置し、次の折曲工程において、これらの折線に沿って、記録用紙20を折ることにより、記録用紙20が蛇腹折りされ、その結果、図4(b)に示すように、記録面20a同士、接着面20b同士がそれぞれ対向する。
また、この例では、上述のとおり、距離Lbを距離Laよりも長く、距離Laの2倍以上に設定しているため、このように蛇腹折りした際には、記録用紙20の他端側は、対向する接着面が存在しない延出部分Lとなる。そこで、この例の折曲工程では、図4(c)に示すように、この延出部分Lを記録用紙20の一端側に折り返すことにより、延出部分Lの接着面20bと、一端側の接着面(具体的には、一端側谷折線T1から一端20cまでの部分の接着面20b。)20bとを対向させる。
【0029】
ついで、図5に示すように、折曲工程により対向した各接着面20b同士が接触するように加圧して、これらを接着する接着工程を行う。接着工程においては、使用する感熱性接着剤や折曲工程後の状態にもよるが、例えば、23℃、50%RHの条件において、0.5MPa以上の圧力を加えて行うことができる。これにより、図1に示すフォトアルバム10が得られる。
このフォトアルバム10は、冊子状の部分14だけでなく、他端側山折線Y3から他端20dまでの部分によって一括形成された表紙11、裏表紙12、背表紙13を備えたものとなる。冊子状の部分14には、写真P1〜P3が左右のページに跨ってそれぞれ掲載され、表紙11、裏表紙12、背表紙13には、これらの部分に跨って写真P4が掲載される。このフォトアルバム10においては、各谷折線T1〜T3が「のど」に相当し、各山折線Y1〜Y3が「小口」に相当する。
図1では、「小口」を化粧断ちしていない状態を示している。なお、この後、フォトアルバム10の「天」、「地」、「小口」の各部分を化粧断ちしてもよい。「小口」を化粧断ちしても、フォトアルバム10を構成している記録用紙20の接着面20b同士は全面接着されているため剥がれることはない。
【0030】
このような製造方法では、1枚の連続した記録用紙20に写真P1〜P4を記録した後、記録用紙20を蛇腹折りすることで、フォトアルバム10の全ページを構成している。そのため、記録後の記録用紙20を例えばページごとに裁断し、さらに、裁断された各記録用紙20をページ順通りに積層する丁合作業が不要である。また、左右のページが連続した記録用紙20から構成されているため、位置合わせをすることなく、左右のページに跨る写真を各ページに掲載できる。また、出来上がったフォトアルバム10においては、記録順どおりに写真が掲載される。そのため、たとえ掲載する写真を追加したり削除したりした後でも、いずれかのページが落ちる落丁や、ページ順が乱れる乱丁などの不具合は発生しないし、完成後のフォトアルバム10におけるレイアウトをイメージしやすく、レイアウトの検討や変更の作業を行いやすい。
また、このような製造方法では、各ページが1枚の連続した記録用紙20により形成されているため、例えば従来の無線綴じ製本のように、経時的に硬くなったり接着強度が弱くなったりする欠点のあるホットメルト接着剤を背糊に使用して各ページを留める必要がない。また、背糊を使用しない方法であるため、カッティングやラフニングなどの処理も不要である。
【0031】
また、この例の製造方法では、谷折線T1〜T3および山折線Y1〜Y3からなる各折線を抄紙方向に対して垂直方向に設定している。そのため、得られたフォトアルバム10において、紙基材21を構成するパルプ繊維の方向は、このフォトアルバム10を開いた際の左右方向(「のど」と「小口」とを結ぶ方向。)に相当する。そのため、このフォトアルバム10は、左右方向の強度が上下方向(「天」と「地」とを結ぶ上下方向。)の強度よりも大きくなり、何度も繰り返してページがめくられた場合でも、「のど」の位置でページが切れたり、各ページの傷みが顕著になったりすることが少なく、十分な耐久性を備えるものとなる。そのため、何度も繰り返してページがめくられるフォトアルバムなどの製造に特に適している。
【0032】
また、この例の製造方法では、フォトアルバム10の冊子状の部分14だけでなく、表紙11、裏表紙12、背表紙13も同じ1枚の連続した記録用紙20から一体に製造している。そのため、表紙11、裏表紙12、背表紙13を構成する別部材の用意や、この別部材と冊子状の部分14と接合させる工程が不要であるし、冊子状の部分14の「のど」の部分が強化され、その強度が高まる。
【0033】
以上説明した例では、上述のとおり、抄紙方向の最も一端側には谷折線T1を配置し、最も他端側には山折線Y3を配置するとともに、記録用紙20の他端側の延出部分Lを一端側に折り返して、一端側の接着面20dと、他端側の接着面20dとを対向させ、接着している。そのため、この方法によれば、1枚の連続した記録用紙20から、冊子状の部分14だけでなく、表紙11、裏表紙12、背表紙13をも一体に形成することができる。
しかしながら、表紙、背表紙、裏表紙を別途用意し、その後、冊子状の部分と一体化してもよい。その場合には、例えば図6に示すように、折線配置工程では、抄紙方向の最も一端側と最も他端側の折線がともに山折線Yとなるように折線を配置し、折曲工程では、折線に沿って記録用紙20を蛇腹折りし、その後、接着工程により、対向する各接着面20b同士を加圧して接着し、記録用紙20を冊子状にする。ついで、この冊子状の部分14と、表紙、裏表紙、背表紙が一体に形成された別部材15とを接着剤などで接合してもよい。
また、その他には、例えば図7に示すように、折線配置工程では谷折線Tと山折線Yとを1本ずつ配置し、折曲工程ではこれらに沿って記録用紙20を折り、接着工程において、対向する接着面20b同士を接着する。ついで、これに、表紙および背表紙が一体に形成された別部材16を接着剤などで接合してもよい。
【0034】
なお、上述した図1のフォトアルバム10の製造方法では、記録工程において、左右のページに跨って掲載されるように、写真P1〜P4をレイアウトしたが、写真のレイアウトには制限はなく、また、日付、コメント、日記スペースなどをレイアウトしてもよい。また、表紙11、裏表紙12、背表紙13に相当する部分に、適当な文字を記録するなど、写真以外の画像を記録してもよく、記録される画像の内容にも特に制限はない。
また、この例では、折線配置工程において、隣り合う折線の距離がLaとなるように、等間隔に折線を配置することにより、各ページの幅が同じサイズになるようにしているが、デザイン上の観点などから、折線の間隔を等間隔とせずに、各ページの幅に変化をもたせてもよい。
【0035】
また、以上説明した例では、ロールタイプの記録用紙に対して、まず記録工程を行ってから、折線配置工程、折曲工程を順次行ったが、折線配置工程を先に行って、折線を設けてから、記録工程、折曲工程を順次行ってもよい。
その場合には、まず、記録用紙に谷折線と山折線とを交互に配置する折線配置工程を行った後、このように折線が配置された記録用紙を記録手段に給紙して、記録工程を行う。そして、先の折線配置工程で配置された折線に沿って、記録用紙を折る折曲工程を行い、その後、接着工程を行う。この場合、折線配置工程の後、記録用紙を一旦ロール状にしてから記録工程に給紙してもよいし、折線配置工程の後、記録用紙を一旦折線で折り、いわゆるゼット折りの状態にしてから記録工程に給紙してもよい。
しかしながら、記録工程で写真などを記録してから折線配置工程を行う方が、例えば掲載する写真を追加したり削除したりした場合などでも、それに応じて谷折線および山折線を適切に配置することができ、フォトアルバムの構成の自由度が大きい点で好適である。
【0036】
また、この例では、紙基材21の一面にインクジェット記録適性を有する記録層が塗工層22として設けられて記録面20aが形成されている。しかしながら、記録面20aはこのような形態に限定されず、例えば、感熱記録、電子記録、転写記録、昇華記録などの記録適性を有する記録層が設けられて形成された記録面であってもよく、記録工程での記録方式もインクジェット記録に限定されず、上記に例示したような記録層の記録適性に応じた記録方式を採用することができる。
【0037】
また、以上の例では、冊子としてフォトアルバム10を例示し、その製造方法について説明したが、フォトアルバムに限定されず、カタログ、パンフレット、プログラム、画集、歌集、楽譜、文集なども例示できる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」および「質量%」を示す。
【0039】
(紙基材AおよびB)
木材パルプ(LBKP:ろ水度400mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて、坪量80g/mの紙基材Aと、坪量160g/mの紙基材Bをそれぞれ製造した。
【0040】
(吸収層塗工液)
水に、分散剤(東亜合成(株)製、商品名:アロンSD−10)0.5部、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ1407K)0.05部、カチオン性樹脂(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M)10部を添加し、更に平均粒子径7μmの無定形シリカ(グレースジャパン(株)製、商品名:サイロジェットP407)100部を添加、分散した。この分散液に対して、加熱して水に溶解させた変性PVA((株)クラレ製、商品名:PVA R−1130)10部を添加し、蛍光染料(住友化学(株)製、商品名:ホワイテックスBP−S)2部、紫染料(大日精化(株)製、商品名:DC−VioletXRN)0.1部、青染料(大日精化(株)、商品名:DC−Blue XB)0.05部を添加し、固形分濃度20%の吸収層塗工液を調製した。
【0041】
(カチオン性シリカ微粒子)
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径 約8nm)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10%のシリカの水分散液を調製した。
この10%水分散液100部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M、分子量30万)10部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.10μmのシリカ−カチオン性化合物の12%水分散液を調製した。
【0042】
(インク受容層塗工液)
カチオン性シリカ微粒子100部に対して、接着剤としてPVA((株)クラレ製、商品名:PVA−145、重合度4500、ケン化度99%)10部、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777)0.1部を混合、攪拌し、固形分濃度12%のインク受容層塗工液を調製した。
【0043】
(ホウ砂液の調製)
水にホウ砂(シオノギ製薬(株)製、商品名:硼砂)100部と濡れ剤(ライオン(株)、商品名:レオックス2160C)0.05部を混合、攪拌し、固形分濃度4%の硼砂液を調製した。
【0044】
(光沢発現層塗工液)
水に、コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスAK−L、平均粒子径:45nm、1次粒子)100部、接着剤として完全ケン化PVA(クラレ(株)製、商品名:PVA124、ケン化度=98%)10部、アクリル系樹脂(サイデン化学(株)製、商品名:サイビノールE67)5部、染料定着剤としてカチオン性樹脂(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M)10部を含有する組成液を混合し、さらにゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:G−0667K)5部、ポリオキシエチレンラウリルアミン(日本油脂(株)製、商品名:ナイミーンL−207、エチレンオキサイドユニット=7)5部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ライオン(株)製、商品名:レオックス2008C)5部を添加、混合し、固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液を調製した。
【0045】
(感圧性接着剤層塗工液)
水に、アクリル系接着剤(中央理化(株)製、製品名:リカボンドAP−215)100部、接着力コントロール剤として澱粉粒子(未クッキングの酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製、商品名:エースA))10部と、無定形シリカ((株)トクヤマ製、商品名:ファインシールX−30)15部を混合、攪拌し、固形分濃度20%の感圧性接着剤層塗工液を調製した。
【0046】
[インクジェット記録用紙Aの製造]
上記紙基材Aの一面側に、インク受容層塗工液を乾燥塗工量が8g/mとなるように塗工、乾燥した。
さらに、形成されたインク受容層の上に、光沢発現層塗工液を乾燥塗工量が2g/mになるように塗工した後、これを、オクタデカン酸および酸化アルミニウム微粉末で予めバフ掛け処理された表面温度が95℃のキャストドラムの鏡面に直ちに圧接して乾燥し、剥離させて、光沢発現層を形成した。
ついで、他面側に、感圧性接着剤層塗工液を乾燥塗工量が10g/mになるように塗工、乾燥し、裏面側が接着面とされ、表面側が光沢を有するキャストタイプ(光沢タイプ)の記録面とされたインクジェット記録用紙Aを得た。
【0047】
[インクジェット記録用紙Bの製造]
上記紙基材Bの一面側に、吸収層塗工液を乾燥塗工量が8g/mとなるように塗工、乾燥した後、ホウ砂液を乾燥塗工量が1g/mとなるように塗工、乾燥した。そして、さらに、インク受容層塗工液を乾燥塗工量が8g/mとなるように塗工、乾燥した。
さらに、形成されたインク受容層の上に、光沢発現層塗工液を乾燥塗工量が1g/mになるように塗工した後、これを、オクタデカン酸および酸化アルミニウム微粉末で予めバフ掛け処理された表面温度が95℃のキャストドラムの鏡面に直ちに圧接して乾燥し、剥離させて、光沢発現層を形成した。
ついで、他面側に、感圧性接着剤層塗工液を乾燥塗工量が10g/mになるように塗工、乾燥し、裏面側が接着面とされ、表面側が光沢を有するキャストタイプ(光沢タイプ)の記録面とされたインクジェット記録用紙Bを得た。
【0048】
(実施例1)
ロールタイプのインクジェット記録用紙A(以下用紙Aという。)から、用紙Aをインクジェットプリンタに抄紙方向に沿って連続供紙して、記録面に写真を連続記録した(記録工程)。
ついで、抄紙方向(給紙方向)に垂直な方向に形成された折線(山折線と谷折線とが交互に合計7本)に沿って、用紙Aを等間隔で蛇腹折りした(折線配置工程および折曲工程)。
ついで、折曲工程により対向した接着面同士が接触するように加圧することにより、これらを接着した(接着工程)。なお、加圧(プレス)の条件は、5MPa、5分間とした。
ついで、得られた冊子状物について、「天」、「地」、「小口」の各部分をギロチンで化粧断ちして、小冊子1を製造した。
なお、この例では、得られた冊子状物に、表紙、裏表紙、背表紙が一体に形成された別部材を接合しなかった。
【0049】
(実施例2)
ロールタイプの用紙Aから、用紙Aをインクジェットプリンタに抄紙方向に沿って連続給紙して、記録面に写真を連続記録した(記録工程)。
ついで、図4に示すように、抄紙方向(給紙方向)に垂直な方向に形成された折線(山折線Y1〜Y3と谷折線T1〜T3とが交互に合計6本)に沿って、用紙Aを等間隔で蛇腹折りした。なお、一端側谷折線T1から記録用紙20の一端20cまでの距離を各折線の間隔と等しい距離Laとし、他端側山折線Y3から記録用紙20の他端20dまでの距離を距離Lbに設定し、Lb=2La+α(ただし、αは、最終的に得られる小冊子2の厚みに相当する値。)とした。そして、延出部分Lを記録用紙20の一端側(一端20cの方。)に折り返して、延出部分Lの接着面20dと一端側の接着面20dとを対向させた(折線配置工程および折曲工程)。
ついで、図5に示すように、折曲工程により対向した接着面20b同士が接触するように加圧し、これらを接着した(接着工程)。なお、加圧(プレス)の条件は、5MPa、5分間とした。
ついで、「天」、「地」、「小口」の各部分をギロチンで化粧断ちして、小冊子2を製造した。
【0050】
(実施例3)
用紙Aをインクジェット記録用紙Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、小冊子3を製造した。
【0051】
(比較例1)
用紙Aをインクジェットプリンタに給紙して記録面に印字した後、用紙Aを小判に断裁した。そして、記録面が内側、接着面が外側になるように、小判に断裁された各用紙をその抄紙方向(給紙方向)に沿って2つ折りして折丁とした。ついで、図8に示すように、各折丁31をページ順通りに重ねる丁合作業を行って、接着面31a同士を対向させ、接触させた。その後、加圧して、接着面31a同士を接着した。なお、加圧(プレス)の条件は、5MPa、5分間とした。
ついで、「天」、「地」、「小口」の各部分をギロチンで化粧断ちして、小冊子4を製造した。
【0052】
(比較例2)
用紙Aをインクジェット記録用紙Bに変更した以外は、比較例1と同様にして、小冊子5を製造した。
【0053】
[評価]
(1)坪量、紙厚、剛度
上記各例で製造された小冊子1〜5を構成する任意のページのうちの1ページから、縦250mm×横200mmの四角形の小片を切り出してサンプル1A〜5Aとした。各サンプル1A〜5Aは、2枚の用紙が接着面により接着している小片であって、縦方向が各小冊子を開いた際の上下方向(「天」と「地」とを結ぶ上下方向。)に相当し、横方向が左右方向(「のど」と「小口」とを結ぶ方向。)に相当するように切り出されたものである。これらサンプルと、用紙AおよびBについて、「坪量」、「紙厚」、「剛度」を下記のようにして測定した。
(坪量)
用紙AおよびBと、サンプル1A〜5Aについて、ISO536に準じて測定し、単位g/mで記載した。
(紙厚)
用紙AおよびBと、サンプル1A〜5Aについて、ISO534に準じて測定し、単位μmで記載した。
(剛度)
用紙AおよびBと、サンプル1A〜5Aについて、ガーレースティフネステスターにより測定し、単位mgで記載した。ただし、サンプルの向きは、各小冊子においてページをめくる方向に沿う向き、すなわち、サンプル1A〜5Aの短辺(横200mmの辺)の方向に沿って測定した。
【0054】
(2)「のど」の部分の引張り強さ
各小冊子1〜5を図9(a)〜(b)に示すように開いて、各小冊子から、図9(c)に示すように、「のど」の部分(図中符号B)が横方向の中央に位置するように縦15mm×横100mmのサイズの小片Sを切り出した。これらをサンプル1B〜5Bとした。これらサンプルについて、「のど」の部分の「引張り強さ」をISO1924−2に準じて次のように測定した。結果を表1に示す。
すなわち、図9(d)に示すように、サンプル1B〜5Bを長辺(横100mmの辺)の方向に沿って引張速度10mm/分の条件で矢印方向に引張り、「のど」の部分で破断するまでの最大引張り荷重を測定し、その値を幅1m当たりに換算して、単位N/mで記載した。
なお、サンプル1B〜5Bのうち、サンプル2Bは、冊子状の部分だけでなく、表紙、裏表紙、背表紙も同じ1枚の連続した記録用紙20から一体に製造された小冊子2から切り出されたものである。このサンプル2Bについて、「のど」の部分の引張り強さを測定するにあたっては、表紙、裏表紙、背表紙に対応する部分を取り去ることなく、表紙、裏表紙、背表紙に対応する部分を備えた状態のままで、測定に供した。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例および比較例で得られた各小冊子は、いずれも、左右のページの位置合わせをせずに、左右のページに跨る記録(写真)を掲載できた。
しかしながら、各比較例では、折丁をページ順通りに重ねる丁合作業が必要であり、手間がかかった。
また、表1に示すように、各実施例の小冊子は、同じ用紙を用いて製造された各比較例の小冊子に比べて、剛度および「のど」の部分の引張り強さが優れた。このことから、実施例の小冊子は、比較例の小冊子に比べて、何度も繰り返してページをめくった場合に「のど」の位置でページが切れたり、各ページをなす用紙の傷みが顕著になったりする可能性が少なく、耐久性が優れることが示唆された。
また、実施例2の小冊子2は、同じ1枚の連続した用紙Aから一体に製造された表紙、裏表紙、背表紙を備えているため、特に「のど」の強度が優れていた。
【符号の説明】
【0057】
10 フォトアルバム
20 記録用紙
20a 記録面
20b 接着面
20c 抄紙方向の一端
20d 抄紙方向の他端
21 紙基材
22 塗工層
23 感圧性接着剤層
T1〜T3 谷折線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材を備え、一面は記録面であり、他面は感圧性接着剤層を備えた接着面である記録用紙を記録手段に給紙して、前記記録面に記録を行う記録工程と、
前記記録面同士が対向する向きで前記記録用紙が折られる谷折線と、前記接着面同士が対向する向きで前記記録用紙が折られる山折線とを交互に配置する折線配置工程と、
前記谷折線と前記山折線に沿って前記記録用紙を折る折曲工程と、
前記折曲工程により対向した前記接着面同士を加圧により接着する接着工程とを有し、
前記谷折線および前記山折線の方向は、前記記録用紙の前記記録手段への給紙方向に垂直であることを特徴とする冊子の製造方法。
【請求項2】
前記給紙方向は、前記紙基材の抄紙方向であることを特徴とする請求項1に記載の冊子の製造方法。
【請求項3】
前記折線配置工程では、給紙方向の最も一端側には谷折線を配置し、最も他端側には山折線を配置するとともに、前記折曲工程では、前記記録用紙の他端側の部分を一端側に折り返して、前記一端側と前記他端側の接着面同士を対向させることを特徴とする請求項1または2に記載の冊子の製造方法。
【請求項4】
前記記録工程後に、前記折線配置工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冊子の製造方法。
【請求項5】
前記記録面は、インクジェット記録が可能な面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冊子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161900(P2011−161900A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30463(P2010−30463)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)