説明

再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートおよびその製造方法

【課題】焼成後に有色なトナー画像を乱すことなく且つ糊層の水溶性を阻害することなく定着することができ、さらには剥離されたフィルム基体を再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを提供する。
【解決手段】耐水性のフィルム基体22と、フィルム基体22の上に形成された水溶性の糊層24と、糊層24の上に形成され、焼成後に有色であるトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含む泡状定着液によって定着されたトナー画像層14と、定着されたトナー画像層14が形成された糊層24の上に形成された樹脂皮膜16とを備え、耐水性のフィルム基体22を再利用可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像を有するフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートに関し、特に、乾式電子写真法などによって、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像層を、陶磁器、硝子、琺瑯、タイル、石等の耐熱性固体の表面に転写して焼き付けするのに有用な、トナー画像層上に皮膜を形成した、再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートおよびその製造方法に関する。本発明は、さらに、再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを用いて、耐熱性固体の表面に絵柄を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窯業製品等の耐熱性固体の表面に絵柄を形成する方法としては、無機顔料および釉薬成分からなる絵の具を用いて、筆などにより耐熱性固体の表面上に絵柄を直接手書きし、それを通常750〜1300℃で焼き付ける方法が行なわれている。この方法によれば、焼き付けにより、絵の具中の灰化する成分が灰化し、絵の具中の釉薬成分が溶解し、ついで室温まで冷却される際に無機顔料が釉薬成分により耐熱性固体の表面上に固定化され、耐熱性固体の表面上に手書きされた絵柄が形成される。この方法による場合には、同一の絵柄を有する複数の窯業製品を得るために、簡単な絵柄においても熟練した作業員が必要になる。
【0003】
そこで、同一の絵柄を有する多数の窯業製品を作製する場合には、スクリーン印刷法により転写紙上に絵柄を形成した後、転写紙から絵柄を剥離して窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が一般に行なわれている。
【0004】
この方法は、例えば、特許文献1、2(特開昭49−35407号公報、特開2002−166699号公報)に開示されているように、基体上に水溶性の糊層を有する転写紙基材上に、スクリーン印刷法により無機顔料等を含有するインクで画像を形成し、ついで、このインク画像上にビニル系またはセルロース系の非水溶性樹脂皮膜を形成した後、この転写紙を水に浸すことにより転写紙の糊層を溶解させて、インク画像を保持した樹脂皮膜を転写紙から剥離し、インク画像を保持した樹脂皮膜を、窯業製品の表面、例えば皿等の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法である。
【0005】
スクリーン印刷法により同一絵柄のインク画像を有する多数の転写紙を作成し、そのインク画像を多数の窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付けることにより、同一絵柄を有する多数の窯業製品を得ることができる。
【0006】
しかしながら、スクリーン印刷法による場合には、絵柄用のインク画像を形成するための版を作る工程が複数あり、膨大な時間と労力が必要となり、即時性に欠けるばかりでなく、少ロットで多品種の製品を作製する場合には製品1個あたりの単価が高くなるという難点がある。また、印刷の際には有機溶剤を大量に使用するので、作業環境が悪いなどの不具合もある。
このようなスクリーン印刷法による問題を解決する方法として、電子写真法を用いて基体上に水溶性の糊層を有する転写紙基材上に絵柄形成用のトナー(有機重合体、無機顔料およびガラス成分からなる複合粉体、結着樹脂、および窯業用顔料を含有する、焼成後に有色である絵柄用のトナーなど)による絵柄用の画像層を形成し、その絵柄形成用のトナー画像層を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が、例えば、特許文献3〜5(特開平8−011496号公報、特許第3849355号公報、特開2008−284882号公報)などに開示されている。
【0007】
この方法によれば、絵柄形成用のトナー画像層を容易に形成することができ、スクリーン印刷法に比べ工程が飛躍的に簡易化され、即時性に優れていると共に、少ロット多品種の製品を容易に作製することができる。
【0008】
電子写真法によって基体上に水溶性の糊層を有する転写紙基材上に絵柄用のトナー画像層を形成させる際には、熱定着方式が採用されていた。しかしながら、熱定着方式の場合、基体上に水溶性の糊層を有する転写紙基材上への絵柄形成用のトナーの定着性が悪く、歩留まりが悪いという課題を有していた。
【0009】
また、基体上に水溶性の糊層を持たない通常のオフィス使用の一般紙へのオフィス使用トナーの定着方式において、熱定着方式は広く用いられている方式であるが、電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上を熱定着方式の加熱に費やされており、昨今の環境問題の観点から加熱温度を下げるか、全く加熱させないで定着させる非加熱定着方式が種々提案されている。
【0010】
特許文献6(特公昭59−119364号公報)には、シリコーンオイルに溶解する溶媒にてトナーを溶解させる方法が提案されている。
【0011】
特許文献7(特許第3290513号公報)には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶である有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液剤として調合した液体を、未定着のトナーが所定位置に配設された紙などの被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方法が提案されている。
【0012】
これらの方法により、トナーを非加熱にて定着させることができるものと推測できる。しかしながらこれらの方法では、定着液を塗布あるいは噴霧する際や、塗布後の液体の表面張力の影響により未定着トナーが移動してしまい、トナー画像が大幅に乱れてしまう不具合や、さらに水分除去が必要となり実用的ではないと考えられる。
【0013】
この他、特許文献8(特開2009−008967号公報)には、トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有した泡状定着液を調合し、泡状定着液を均一塗布することにて、トナー画像を乱すことなく非加熱定着させる方法が提案されている。この方法により、トナー画像を乱すことなく且つ紙などの被定着物に熱を加えることなくトナーを定着させることは可能になる。
【0014】
しかしながら、被定着物として基体上に水溶性の糊層を有する転写紙基材上に、絵柄形成用のトナー画像層を形成させる場合には、糊層の機能低下が懸念されるが、詳細な検討はなされていないものの、絵柄形成用のトナー画像層の形成後に樹脂皮膜を形成させ、このトナー画像層を保持した樹脂皮膜を施した絵柄形成用転写紙を水に浸すことにより、基体上の糊層が溶解することで、トナー画像層を保持した樹脂皮膜を転写紙から剥離させることが可能となり、トナー画像層を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面に貼り付けた後、それを焼き付けることが可能であると考えられる。
【0015】
しかし、非加熱定着用の定着液あるいは泡状定着液には水分が多く含まれており、糊層の変質や機能低下を考慮した非加熱定着方式に関しては、いまだ十分な検討がなされていない状況にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本出願人は、上記従来技術の問題点を解決し、焼成後に有色なトナー画像を乱すことなく且つ糊層の水溶性を阻害することなく定着することができる焼成絵柄画像形成用転写用紙を既に提案している(特願2009−111912号)。
【0017】
しかし、この提案に係る転写用紙の転写紙基体には、広葉樹などを抄造したノーサイズ紙が用いられているが、この紙基体は再利用することができない為、廃棄処分されており、環境の側面からも好ましくない。
【0018】
本発明の目的は、剥離されたフィルム基体を再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、このような再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを作成する方法であって、焼成後に有色なトナー画像を乱すことなく且つ糊層の水溶性を阻害することなく定着することができる、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シート作成方法を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを用いて、陶磁器、硝子、琺瑯、タイル、石等の耐熱性固体の表面へ絵柄を焼き付ける焼成画像形成方法を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを用いて、耐熱性固体の表面へ絵柄を焼き付ける際に、剥離されたフィルム基体を再利用してフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを作成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の態様は、耐熱性固体の表面へ絵柄を形成するためのフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートである。この転写シートは、耐水性のフィルム基体と、フィルム基体の上に形成された水溶性の糊層と、焼成後に有色であるトナーにより糊層の上に形成されたトナー画像層と、糊層の上に形成された樹脂皮膜とを備えることを特徴とする。このような転写シートは、耐水性のフィルム基体を再利用することが可能となる。
【0023】
本発明の第2の態様は、再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを作成する方法である。この再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法は、耐水性のフィルム基体を準備する工程と、フィルム基体の上に、水溶性の糊層を形成する工程と、糊層の上に、焼成後に有色であるトナーによりトナー画像層を電子写真方式で形成する工程と、トナー画像層を、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する泡状定着液によって定着する工程と、定着されたトナー画像層が形成された糊層の上に、樹脂皮膜を形成する工程とを含み、トナー画像層を泡状定着液によって定着させる定着温度が、水の沸点温度より低い温度であることを特徴とする。
【0024】
本発明の第3の態様は、本発明のフィルム焼成絵柄画像形成転写シートを用いて、耐熱性固体の表面へ絵柄を焼き付ける焼成画像形成方法である。この焼成画像形成方法は、フィルム焼成絵柄画像形成転写シートを水に浸し、糊層を溶解させて、フィルム基体から定着されたトナー画像層を保持した樹脂皮膜を剥離する工程と、剥離された樹脂皮膜を耐熱性固体の表面に貼り付けた後、焼き付ける工程とを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の第4の態様は、剥離されたフィルム基体を再利用して、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを作成する方法である。このフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法は、焼成画像形成方法の過程において剥離されたフィルム基体を回収する工程と、回収されたフィルム基体の上に水溶性の糊層を形成する工程と、糊層の上に、焼成後に有色であるトナー画像層を電子写真方式で形成する工程と、トナー画像層を、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含む泡状定着液によって定着する工程と、定着されたトナー画像層の上に、樹脂皮膜を形成する工程とを含み、トナー画像層を泡状定着液によって定着させる定着温度が、水の沸点温度より低い温度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、耐水性のフィルム基体の上に水溶性の糊層を形成し、形成された糊層の上にトナー画像層を定着し、樹脂皮膜を形成しているので、耐熱性固体の表面へ絵柄を形成する際に剥離された耐水性のフィルム基体を廃棄することなく再利用することが可能になる。
【0027】
また、本発明によれば、トナー画像層を、焼成後に有色なトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する泡状定着液によって定着し、定着温度を水の沸点温度より低い温度としているので、トナー画像層を乱すことなく且つ糊層の水溶性を阻害することなく定着することができる。したがって、耐熱性固体の表面へ画像濃度が高く鮮明な絵柄を焼き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】既提案に係る焼成絵柄画像形成用転写用紙の層構造を示す斜視図である。
【図2】転写紙基材と普通紙との吸水量を測定した結果を示すグラフである。
【図3】水が全て気化したと仮定した場合の転写紙基材の体積変化を算出した結果を示すグラフである。
【図4】本発明のフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの層構造を示す斜視図である。
【図5】泡状定着液を用いた場合の定着方法の一例を説明するための定着装置の概略構成図である。
【図6】塗布ローラおよびブレードの拡大斜視図である。
【図7】樹脂皮膜をフィルム基体から剥離した状態を示す図である。
【図8】樹脂皮膜をタイルの表面に貼り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明するが、まず本発明の原理を説明する。
【0030】
図1に、前述した本出願人の提案に係る焼成絵柄画像形成用転写用紙10の層構造を示す斜視図を示す。この焼成絵柄画像形成用転写用紙10は、転写紙基材12上に、焼成後に有色なトナーで形成されたトナー画像層14と樹脂皮膜16とを有している。
【0031】
転写紙基材12は、カール防止の為のバックコート層1上に形成されたノーサイズ原紙基体2上に、三種のコート層を有する。原紙基体2は広葉樹などから抄造したノーサイズ原紙基体であり、その上にピグメントを有する第一コート層3を塗布する。塗布液にはクレー、軽質炭酸カルシウム、重炭酸カルシウムなどのピグメント他、各種ラテックス、潤滑剤、保水剤を含有させることもできる。その上の第二コート層4および第三コート層5は、それぞれ遅水溶性再湿糊層と速水溶性再湿糊層からなっている。
【0032】
遅水溶性再湿糊層の第二コート層4としては、吸水性を抑制するための可溶性デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、デキストリン、アラビアゴムなどの水溶性樹脂が用いられる。
【0033】
速水溶性再湿糊層の第三コート層5としては、黄色デキストリンまたはカルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の合成系水溶性接着剤、酸化デンプン、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、これらをフラッシュ乾燥して得られる冷水可溶性澱粉等の天然系水溶性接着剤、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等の疎水性樹脂エマルジョンを使用することができる。これら水溶性接着剤単独、あるいは疎水性樹脂エマルジョンと2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
この焼成絵柄画像形成用転写用紙10を水に浸すと、上述の転写紙基材12の第二コート層4と第三コート層5は水に溶解する。この為、トナー画像層14は、樹脂皮膜16に保持された状態で第一コート層3から分離する。樹脂皮膜16に保持されたトナー画像層14を、陶磁器製品などの耐熱性固体の表面に貼り付け、焼き付けることにより、耐熱性固体の表面に焼成画像を得ることができる。
【0035】
電子写真方式で静電潜像を現像して得られたトナー画像層14を、転写紙基材12に定着させる場合、通常120〜160℃程度の定着ローラーの熱にてトナーを可塑化させて定着させる方式が一般的である。しかし、水溶性の糊層を有する転写紙基材12の場合、定着したトナー画像層14が脱離するという不具合を有する。この現象は通常のオフィス用紙では全く観測されない現象である為、トナー画像層の脱離は、転写紙基材に原因があることは明白である。
【0036】
図2は、図1の転写紙基材12において、A4サイズに裁断した原紙基体2の裏面にカール防止の為のバックコート層1を持たない転写紙基材と普通紙との吸水量を測定した結果を示すグラフである。製造直後の転写紙基材と普通紙とを、温度28℃、湿度75%の環境下に3時間放置し、経過時間における重量増加分を測定した。重量増加分は吸水量を示すが、転写紙基材の吸水量は普通紙の2倍程度以上であることが分かった。
【0037】
次に、吸水量を測定した転写紙基材と普通紙とを、温度40℃、湿度60%の環境下に一昼夜放置した後、それぞれの重量変化量を測定した。その結果、転写紙基材の重量変化量は殆どなく、一方、普通紙の重量変化量は製造直後程度まで減量していた。
【0038】
これらの結果から、転写紙基材は製造後に高湿環境下にさらされると水分を吸収し、一旦吸収した水分は普通紙の場合とは異なり、40℃程度の環境下では放出されないことが分かった。
【0039】
また電子写真方式の熱定着において、定着温度は100℃以上であるが、水は通常の圧力下において100℃を超えると気化することは広く知られている。
【0040】
図3は、吸水量を測定した転写紙基材の180分(3時間)後の吸水量0.13gが100℃以上になった時、水が全て気化したと仮定した場合の体積変化を算出した結果を示すグラフである。水の気化による体積変化に基づく1cmあたりの高さ方向変化量は、例えば100℃の場合7.1mm、200℃の場合には7.6mm程度であり、転写紙基材表面とトナー画像層の面との間に空間が生ずることが分かる。
【0041】
上述の如く、水溶性の糊層を有する転写紙基材のトナー画像層脱離の現象には、100℃以上のトナー定着工程にて転写紙基材の吸水成分の気化による体積変化が関与していることが検証された。
【0042】
本発明は、以上のような検証に基づいてなされたものである。図4に、本発明の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート20の層構造の斜視図を示す。この転写シート20は、耐水性のフィルム基体22上に前述の遅水溶性再湿糊層と速水溶性再湿糊層の両方、あるいは速水溶性再湿糊層のみからなる糊層24を有する。フィルム基体22と糊層24とにより、フィルム基材26を形成する。フィルム基材26上には、電子写真方式により、焼成後に有色であるトナーで静電潜像を現像してトナー画像層14を形成し、定着した後、樹脂皮膜16を形成する。
【0043】
耐水性のフィルム基体22としては、再利用可能なPET、PE、PVCなどのプラスチックフィルムやOHPシートなど耐水性フィルムであれば特に制限なく使用可能である。サイズはA3以内であれば良いが、電子写真方式で用いる為、フィルム基材26の厚さは、糊層24を含め5mm程度以下が好ましい。糊層としては、前述した材料を用いることができる。
【0044】
焼成後に有色であるトナーとは、450℃以上に加熱したときに灰化しない着色剤を含有するトナーである。このようなトナーは、例えば、周期律表の1族のCu、Ag、Au、2族のCd、4族のTi、5族のV、Sb、6族のSe、Cr、Mo、W、U、7族のMn、8族のFe、Co、Ni、Ir、Pt等の元素の酸化物などを、単独あるいは配合(混合)して使用した窯業用顔料などの着色剤および熱可塑性樹脂を含有するものである。
【0045】
従来の窯業用顔料は一般に顔料自身の吸光係数が低い為、着色剤としてこれら窯業用顔料を含有するトナーを用いて画像濃度の高いフルカラー画像を形成させるには、トナー付着量を多くすることが必要となる。
【0046】
トナーにおける着色剤としては、特に、上記金属あるいはその酸化物を複数配合(混合)し、これを1000〜1200℃に加熱して溶融し、複数金属の合金化処理を施した合金顔料が好ましい。
この合金顔料は吸光係数が高く、着色剤としてこの合金顔料を含有するトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度の高いフルカラー画像を形成させることができる。複数金属の合金化により着色度が高くなる理由としては、単体の金属のときには縮重していた金属元素のd軌道が複合金属の影響でスプリットすることにより、電子遷移可能な軌道数が増加し、見かけ上の振動子強度が増加するためであると推定される。
【0047】
トナーに用いる熱可塑性樹脂としては、既知のトナーに使用されている結着樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、エポキシ系、エポキシポリオール系、テルペン系などの樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。具体的には、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−n−ブチル共重合体などを挙げることができる。
【0048】
特に、熱可塑性樹脂の灰化温度は、280〜360℃のものが好ましい。また、トナー中の熱可塑性樹脂の含有量としては、10〜40wt%が好ましい。
【0049】
熱可塑性樹脂の含有量が、10wt%より小さいと軟化剤でのトナー定着が困難になり、40wt%より大きいと顔料含有率が低くなる為、トナーの着色度が低くなる。
【0050】
さらに、トナーには、着色剤および熱可塑性樹脂と共に釉薬フリットを含有させることが好ましい。釉薬フリットは、耐熱性固体の表面上に転写されたトナー画像を焼き付ける際に、耐熱性固体の表面にトナー中の着色剤を焼結する役割を果たすものであり、焼き付け時に溶解あるいは半溶解状態となり、室温に冷却されると完全に固化し、着色剤を耐熱固体表面上に焼結させるものである。
【0051】
トナー中に釉薬フリットを含有させる方法としては、例えば、着色剤と釉薬フリットとの混合物を用いる方法、着色剤と釉薬フリットとの混合物を加熱溶融した後冷却し、それを粉砕して着色剤として用いる方法などがある。
【0052】
特に、複数金属の合金化処理した合金顔料と釉薬フリットとを所定量で混合し、それを例えば650〜800℃で加熱溶融した後冷却し、それを粉砕し着色剤として用いることが好ましい。
【0053】
トナー中における釉薬フリットの含有量としては、着色剤と釉薬フリットとの重量割合で2/8〜6/4が好ましく、特に3/7〜5/5が好ましい。釉薬フリット成分を2/8の重量割合よりも増やすと、トナーの着色度が低くなり、釉薬フリット成分を6/4の重量割合よりも減らすと、トナー画像を耐熱性固体の表面上に焼き付けた際に、焼き付けた絵柄が耐熱性固体の表面から脱離する場合が生じるようになる。
【0054】
釉薬フリットとしては、水酸化リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、塩化アルミニウム、ほう酸、およびアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のメタほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のピロりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の珪酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタ珪酸塩、珪酸ジルコニウム、骨灰、棚砂、メタバナジン酸アンモニウム、酸化タングステンや五酸化バナジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化モリブデン等の金属酸化物、フッ化カルシウムやフッ化アルミニウム等の金属フッ化物、ガラスレットなどを基本材料として、これらの単独または複数混合したものが挙げられる。
【0055】
釉薬フリットの結合を強める方法として、石灰長石やカリ長石、ソーダ長石、ベタライト(リチウム長石)等の長石類、カオリン、珪石、アルミナ、シリカ、石英、酸化チタン、酸化鉛、シャモット、土灰類、石灰石、マグネサイト、タルク、ドロマイト等の天然鉱物や炭酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウムなどを基本材料として、これら予め混合した後溶解させ、それをトナーに含有させてもよい。
【0056】
さらに、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有させてもよい。この様な帯電制御剤としては既知のものが使用可能であり、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、Cr含金染料、Zn含金染料、Fe含金染料、モリブデン酸キレート染料、フッ素変成四級アンモニウム塩等が帯電極性に応じて適宜選択して用いられる。
【0057】
帯電制御剤の使用量は、熱可塑性樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、およびトナー中の分散方法を含めたトナー製造方法により異なるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が適当であり、特に2〜6重量部が好ましい。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し、トナー飛散、地肌汚れ等の不具合が発生する。10重量部を越える場合には、後述するキャリアとの静電的付着力が強くなる為、現像剤の流動性が低下したり、現像量が少なくなる等の不具合の原因となる。この他、トナーの流動性を向上させるために必要に応じて、疎水性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化チタンなどの既知の添加剤を添加してもよい。
【0058】
本発明において用いるトナーは、トナー単独の現像剤として静電潜像を顕像化する、いわゆる一成分現像剤として用いることができ、またトナーとキャリアとを混合してなる二成分現像剤として用いることができる。二成分現像剤として用いる場合のキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズなど既知のキャリアを用いることができ、キャリアはポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコン樹脂等で被覆されたものでもよい。トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100重量部に対してトナー1〜30重量部程度が適当であり、8〜16重量部が好ましい。
【0059】
以上のようなトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で、画像濃度が高く鮮明なフルカラーのトナー画像層を、フィルム基材26上に形成することができる。
【0060】
フルカラーのトナー画像層は、未定着のトナー画像層として次工程において定着される。水の沸点温度である100℃より低い温度におけるトナー定着方法としては、各種非加熱定着方式を単独あるいは併用して採用することができる。特に、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を用いる方式が好ましい。光照射によりトナーを可塑化させる方式も有効であるが、光照射により発生した熱が局所的に吸水成分の気化を促進することが確認されているので、定着温度が100℃より低い温度であっても、定着部位を加熱しないことが望ましい。
【0061】
非加熱定着方式において用いられる軟化剤としては、脂肪族エステルが知られている。この脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性または膨潤性に優れている。また本発明のフィルム基材の糊層を変質させることが無いものが好ましく、脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって糊層の水溶性への悪影響は無い。この他、脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0062】
上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、これらも脂肪族モノカルボン酸エステル同様に、糊層の水溶性への悪影響はない。
【0063】
上述の軟化剤は、水を主成分として泡状にした後、未定着のトナー画像層に付与することで、トナー画像を乱すことなく未定着トナーを定着させることが知られている。しかし、本発明のフィルム基材26には水溶性の糊層24が含まれており、この糊層の変質は軟化剤を含む泡状の定着液の溶媒が水であることから、泡状定着液のかさ密度に留意する必要があることが分かった。
【0064】
泡状定着液のかさ密度に着眼し、フィルム基体22上の糊層24の変質に関して検討した結果、かさ密度が0.04〜0.1g/cm3の範囲にあると、糊層の変質に影響がでないことが分かった。かさ密度が0.041g/cm3より小さいと、泡状定着液の媒体である水成分が多い為に糊層を溶解してしまい、定着後の樹脂皮膜16の分離に支障をきたすことがある。かさ密度が0.1g/cmより大きい場合には、未定着トナー画像層を定着する際にトナー画像が乱れる場合があり好ましくない。
【0065】
このかさ密度は、軟化剤液に増粘剤、起泡剤、表面張力調整剤のうちの少なくとも一種を定量調合することで調節することができる。これら増粘剤、起泡剤、表面張力調整剤は、軟化剤と同様に、糊層24を変質させないことが重要である。
【0066】
軟化剤液の表面張力調整剤としては、例えば、アクリル系、シリコン系、ビニル系、フッ素系、他、溶媒としても使用可能なアルコール類、グリコール類がある。表面張力が40mN/m以下であり、25℃における粘度が100mPa・s以下のアルコール等としては、例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、n−ブチルカルビトール等が挙げられる。本発明では、上記表面張力調整剤のうち、2−n−ブトキシエタノールや1−ブタノールを用いることが、糊層の水溶性特性を維持させるという機能観点からも好ましい。
【0067】
図5は、泡状定着液を用いた場合の定着方法の一例を説明するための定着装置30の概略構成図である。定着装置30は、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段31と、フィルム基材26上に電子写真方式により形成されたトナー画像層14に所望の微小な泡の泡状定着液38を塗布する泡状定着液塗布手段33とにより構成される。
【0068】
泡状定着液塗布手段33は、塗布ローラ32と、塗布ローラ32に対向する位置に設けられた加圧ローラ34を備え、塗布ローラ面に液膜厚制御用ブレード36が圧接されている。塗布ローラ32と加圧ローラ34との間には、トナー画像層14が保持されたフィルム基材26が、搬送される。このとき、ブレード36により、未定着のトナー画像層14上に塗布される所望の微小な泡の泡状定着液38の最適な膜厚の制御を行っている。
【0069】
図6の部分拡大斜視図に示すように、塗布ローラ32上には泡状定着液38の層が液膜厚制御用ブレード36を通して形成される。このとき、液膜厚制御用ブレード36によって、泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度および塗布加圧力、並びに未定着トナー画像層14の層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー画像層への浸透時間に対して最適化した定着液層の膜厚となる。
【0070】
以上のような泡状定着液塗布手段31によって塗布される泡状定着液を用いることにより、トナー画像層14は塗布ローラ32上にオフセットしないことが確認されている。
【0071】
また、泡状定着液は、トナー画像層14が形成されたフィルム基材26に厚く塗布されたとしても、泡状定着液のかさ密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した定着液をトナー粒子の層へ微量付与することができ、未定着トナー画像は乱れることがない。また、フィルム基体22上の糊層24の水溶性への悪影響は殆どないことが分かった。
【0072】
所望の微小な泡の泡状定着液38は、図5に示す定着装置30において、大きな泡を生成する大きな泡生成部と、大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成される泡状定着液生成手段31で生成される。
【0073】
泡状定着液生成手段31では、保存容器40に貯留された液状定着液42を、液搬送パイプ44および液搬送ポンプ46により、微細孔シート48を備える気体・液体混合部50に搬送される。この気体・液体混合部50は、前述の大きな泡生成部を構成している。
【0074】
気体・液体混合部50で、液状定着液42は空気口51から供給される空気と混合されて、大きな泡の泡状定着液を生成する。この大きな泡の泡状定着液は、回転軸55に固定された回転内側円筒52と外側円筒53とを備える二重円筒部54で、大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する。この二重円筒部54は、前述の微小な泡生成部を構成している。微小な泡は、液供給口56より、上述したように液膜厚制御用ブレード36と塗布ローラ32との間に滴下され、フィルム基材26の上に泡状定着液層が形成され、未定着のトナー画像層14が定着される。
【0075】
以上のように泡状定着液により定着されたトナー画像層14が形成されたフィルム基材26の上に、樹脂の溶液を塗布して樹脂皮膜16を形成し、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シート20を完成する。
【0076】
なお、本発明における樹脂皮膜16の形成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、これらの共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂や、それら混合物樹脂からなる。この樹脂の液としては、上記樹脂をソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレンの他、エーテル類や工業用ガソリンに溶解して調合される。
【0077】
これらの樹脂液は、支持体サイズに合わせスクリーン印刷、ワイヤーバー、ドクターブレードなどによって、トナー画像上に皮膜層として形成され、フィルム焼成絵柄画像形成用転写シート20が完成する。
【0078】
なお、この樹脂皮膜16の膜厚は、10〜3000μmが適正な膜厚である。10μmより小さいと、後述するように、樹脂皮膜16を窯業製品等の耐熱性固体の表面に貼り付ける際、破れたり伸びたりすることがあり、好ましくない。逆に3000μmより大きいと、膜の可塑性が損なわれ、曲面への張り付けが困難となり好ましくない。この様な平滑性、膜厚を有するための好ましい樹脂液の粘度は、70〜10000mPa・sである。70mPa・s以下の場合には樹脂液の粘性が低すぎて、トナー画像層の裏面に樹脂液が回り込み、本発明の焼成絵柄画像形成用転写シートの分離に支障をきたすことがある。一方、10000mPa・s以上の場合は粘度が高いため、スクリーンメッシュの目詰まりを発生させ、平滑性の良い樹脂皮膜を得ることが困難になる。
【0079】
樹脂溶液中に焼成後に灰化する着色物を混入させることで、透明な樹脂皮膜の有無を目視確認できる。この為に、基本構造が有機物質からなる顔料あるいは染料が用いられる。樹脂溶液中への溶解性を考慮すると、染料が好ましい。この染料としては、特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性染料は、耐熱性固体の表面上への焼成絵柄画像形成用転写シートの転写工程において、転写シートを水に浸す際に染料が水中に溶け出し、作業性を劣化させるため、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に、油溶性染料が好ましい。この様な染料としては、例えば、以下のような染料が挙げられる。
C.I.SOLVENT YELLOW(6,6,17,31,35,100,102,103,105)
C.I.SOLVENT orange(2,7,13,14,66)
C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)
C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)
C.I.SOLVENT BULE(22,63,78,83,84,85,86,91,94,95,104)
C.I.SOLVENT GREEN(24,25)
C.I.SOLVENT BROWN(3,9)など。
【0080】
市販品では、例えば保土ヶ谷化学工業社製の愛染SOT染料Yellow-1.3,4、orange-1.2,3、Scarlet-1、Red-1.2,3、Brown-2、Blue-2、Violet-1、Green-1.2,3や、BASF社製のSudan染料、Yellow-14.0,150、Orange-220、Red-290.380、Blue-670や、三菱化成社製のダイシアン、Yellow-3G,F,H2G,HC,HL、orange-HSBlue-J,G,N,K,P,H3G,4Gや、オリエント化学社製のオイルカラーや、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GCや、日本化薬社製のカヤロン、カヤセットRed-Bなどを使用することができる。これらは、組み合わせで適時選択することもできる。これら着色剤を皮膜形成樹脂液に含有させることにより、目視にて樹脂被膜層の有無の他、平滑性、膜厚を確認することが可能になる。
【0081】
なお、焼付け用転写シートの樹脂被膜層を形成するための皮膜形成樹脂液は、その吸収スペクトルが、360〜830nmに吸収ピークを有し、石英1cmセルにおける吸収ピークの吸光度が、0.1以上であることが望ましい。
【0082】
以上のようにして作製されたフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート20を用いて、陶磁器製品などの耐熱性固体の表面に絵付けするには、転写シート20を水に浸すことにより、フィルム基材26の水溶性の糊層4を溶解させて、トナー画像層14を保持した樹脂皮膜16を、フィルム基体22から剥離し、トナー画像層を保持した樹脂皮膜を耐熱性固体の表面に貼り付け、それを焼き付ければよい。この場合に、樹脂皮膜16を構成する樹脂の灰化温度は、トナー中の熱可塑性樹脂より低い方が好ましい。
【0083】
耐熱性固体の表面への焼き付け方法は、耐熱性固体の表面の近傍に焼き付けるか、表面からより深く焼き付けるかによって適時選定されるが、いずれの場合も電気炉あるいはガス炉を用いて行なうことができる。
【0084】
耐熱性固体の表面の近傍に焼き付けを行なう場合は、例えば室温から200℃/1時間程度の昇温条件で徐々に温度を上げ、750〜850℃で約30分〜1時間この温度に保ち、その後室温まで温度を下げて電気炉あるいはガス炉から取り出すことにより行なわれる。これにより、トナー中の着色剤が釉薬フリットで耐熱性固体の表面に焼結され、絵付けされた陶磁器製品などの耐熱性固体製品が得られる。
【0085】
また、耐熱性固体の表面の奥深くに焼き付けを行ないたい場合には、室温から200℃/1時間程度の昇温条件で1100〜1300℃まで徐々に温度を上げ、その後室温まで温度を下げる方法が採用される。この時、昇温開始温度は室温に限定されるものではないが、昇温時および冷却時において急激な温度変化を与えると、耐熱性固体によっては、耐熱性固体の厚さや材質により若干の差はあるものの、割れ、形状変化が発生する場合があるので、焼き付けを行なう場合の温度変化は、50〜500℃/1時間が好ましい。
【0086】
50℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を遅くすると、焼き付け時間が遅くなり効率が悪くなる。500℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を早くすると、焼きムラの発生や耐熱性固体の形状変化が発生する場合がある。昇温時あるいは冷却時の温度変化の条件としては、100〜300℃/1時間が特に好ましい。
【0087】
以上説明したように、本発明のフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを用いて、陶磁器製品などの耐熱性固体の表面に絵付けするには、転写シートを水に浸すことにより、フィルム基材26の水溶性の糊層4を溶解させて、図7に示すように、トナー画像層14を保持した樹脂皮膜16を、フィルム基体22から剥離し、図8に示すように、トナー画像層14を保持した樹脂皮膜16を、耐熱性固体、例えばタイル60の表面に貼り付け、それを焼き付ける。
【0088】
以上のようにして、耐熱性固体の表面へ画像濃度が高く鮮明な絵柄を焼き付けることができる。
【0089】
また本発明によれば、図7に示したように分離されたフィルム基体22の再利用が可能である。すなわち、分離されたフィルム基体22に糊層24を施すことで、フィルム基材26を作成できるので、フィルム基体を繰り返し使用することが可能となる。したがって、本発明のフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートは、再利用可能なものとすることができる。
【0090】
(実施例)
以下、実施例により本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。
【0091】
〈フィルム基材26の作成〉
対水性のフィルム基体22にリコー社製OHPシート(タイプJ300)を用い、ヒドロキシアルキルエーテル化澱粉の「ソルファレックス2350」(松谷化学工業株式会社製)56%に、デキストリンの「アベデックスW−90」(松谷化学工業株式会社製)39%、ピロリドンカルボン酸ソーダ(味の素株式会社製)5%を加えた混合液を、エアーナイフコーターを用いて乾燥膜厚が5μmとなるように塗布し、フィルム基材26とした。
【0092】
〈焼成後に有色なトナー現像剤の作成〉
まず、下記のようにして製造した釉薬フリットを用い、各色着色剤を製造し、それぞれの各色着色剤を用いて、焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を下記のようにして製造した。
【0093】
〈釉薬フリットの製造〉
Al(80g)、SiO(370g)、NaO(50g)およびPbO(500g)を配合し、スタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1200℃で焼成し、粉砕して釉薬フリットを製造した。
【0094】
〈ブラック着色剤の製造〉
Cr(110g)、MnO(270g)、Fe(112g)およびCo(508g)を配合し、スタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するブラック着色剤を製造した。
【0095】
〈イエロー着色剤の製造〉
CuO(10g)、ZnO(190g)およびSb(800g)を配合しスタンプミルで粉砕した後、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するイエロー着色剤を製造した。
【0096】
〈マゼンタ着色剤の製造〉
Fe(160g)、NiO(40g)、CuO(40g)およびAuO(760g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するマゼンタ着色剤を製造した。
【0097】
〈シアン着色剤の製造〉
Cr(170g)、Fe(10g)、Co(690g)およびZnO(130g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するシアン着色剤を製造した。
【0098】
上記の各着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造した。
【0099】
〈焼成後に有色であるブラックトナーを含有するブラック現像剤の製造〉
ポリエステル樹脂(Tg=60℃)100重量部とサリチル酸亜鉛誘導体(ボントロンE84、オリエント化学社製)4重量部および前記ブラック着色剤230重量部をミキサーで混合した後、2本ロールで溶融混練した。混練物を圧延冷却した後、粉砕分級を行ない、体積平均粒子径9.5μmのブラックトナーを製造した。さらに、疎水性シリカ(R972、日本アエロジェル社製)をブラックトナーに0.5wt%添加し、ミキサーで攪拌した。
【0100】
一方、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製)100重量部、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製)3重量部、およびトルエン100重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製し、この被覆層形成液および平均粒子径70μmの球状フェライトキャリア1000重量部を用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。
【0101】
次に、上記トナー90gおよびキャリア910gをボールミルに入れ30分間攪拌してブラック現像剤を製造した。
【0102】
〈焼成後に有色であるイエロートナーを含有するイエロー現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤の製造におけるブラック着色剤の代わりに、前記イエロー着色剤を用いて、体積平均粒子径9.4μmのイエロートナーを製造し、そのイエロートナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤の製造と同様にしてイエロー現像剤を製造した。
【0103】
〈焼成後に有色であるマゼンタトナーを含有するマゼンタ現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤の製造におけるブラック着色剤の代わりに前記マゼンタ着色剤を用いて、体積平均粒子径9.6μmのマゼンタトナーを製造し、そのマゼンタトナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤の製造と同様にしてマゼンタ現像剤を製造した。
【0104】
〈焼成後に有色であるシアントナーを含有するシアン現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤の製造におけるブラック着色剤の代わりに前記シアン着色剤を用いて、体積平均粒子径9.5μmのシアントナーを製造し、そのシアントナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤の製造と同様にしてシアン現像剤を製造した。
【0105】
〈樹脂皮膜用樹脂液の調合〉
1gのSOLVENT BULE94を伊勢久株式会社のスクリーン印刷用品カバーコート(83454−ID)500gに添加し、皮膜形成樹脂液とした。
【0106】
実施例1
<定着液の処方と調合>
◇軟化剤を含有する定着液
希釈溶媒:イオン交換水 65wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
ステアリン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。上記成分比にて、まず、液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した定着液(泡化する前の原液)を作製した。
【0107】
<泡状定着液生成手段31>
◇大きな泡生成部(気体・液体混合部50)
液状定着液の保存容器40:PET樹脂からなるボトル
液搬送ポンプ46:チューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:
シリコーンゴム)
液搬送パイプ44:内径2mmのシリコーンゴムチューブ
微細孔シート48:#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)
◇微細な泡生成部(二重円筒部54)
二重円筒部54の回転内側円筒52は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。二重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒53の内径:10mm・長さ120mm、回転内側円筒52の外径:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。
【0108】
<未定着トナー画像層の形成>
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)に上記現像剤を装着し、先に作製したフィルム基材26上に未定着トナー画像層14を形成した。
【0109】
<定着液の塗布>
上記の泡状定着液生成手段31を用いて、所望の泡径の泡状定着液を作成し、泡状定着液塗布手段33の液膜厚制御用ブレード36に供給する構成とした。液膜厚制御用ブレード36と塗布ローラ32とのギャップは、40μmにて実施した。
【0110】
未定着トナー画像層を図5に示す定着装置30において、以下の定着条件にて定着させる検討を行なった結果、トナー層よりも厚い泡状定着層の塗布にて良好な定着が行なえることを確認できた。
【0111】
<定着条件>
加圧ローラ34:アルミ製ローラ(φ30mm)
塗布ローラ32:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)
液膜厚制御用ブレード36:SUS製シート
未定着トナー付着フィルム基材搬送速度:150mm/s
加圧ローラ34と塗布ローラ32との間の加重:片側10N
次に、定着トナー画像層に上記樹脂皮膜用樹脂液をスクリーン印刷(70メッシュ使用)し、一昼夜乾燥させた。これを水槽に入れ樹脂皮膜に保持されたトナー画像層を剥離したところ良好な剥離が確認された。また、本発明により、未定着トナー画像を乱すことなく定着させることが可能であり、且つフィルム基材26の糊層24の機能も失われていないことが確認できた。
【0112】
実施例2
実施例1で用いた定着液を以下の処方に変える以外は、実施例1と同様の方法で定着トナー画像層上に樹脂皮膜を形成させた。この場合も、樹脂皮膜に保持されたトナー画像層を良好に剥離することが確認できた。
【0113】
<定着液の処方と調合>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM) 0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
【0114】
比較例1
実施例1にて用いた定着液を泡状定着液とせず、塗布ローラ全面に定着液0.9gをそのまま塗布する以外は、実施例1の定着条件と同様の条件にて、フィルム基材26のみを定着装置30に通した。次に、実施例1と同様、上記樹脂皮膜用樹脂液をスクリーン印刷(70メッシュ使用)し、一昼夜乾燥させた。これを水槽に入れ樹脂皮膜のみを剥離しようとしたところ、樹脂皮膜はフィルム基材から剥離できなかった。
【0115】
比較例2
比較例1で塗布した定着液を0.9gから0.1gに減らし、且つ塗布ローラの中心のみとした。比較例1と同様に樹脂皮膜の剥離を試みたところ、フィルム基材先端中央部以外は剥離したが、先端中央部は剥離しなかった。
【0116】
実施例2では良好な剥離が観測され、比較例2では観測されなかったことから、液状の定着液の場合、フィルム基材上の糊層が液状定着液に溶解し、回転するローラ表面に糊層が移行する為、剥離が阻害される一方、定着液を泡状にすると塗布量が減る為に、糊層の移行が少ないと考えられる。
【0117】
実施例3
実施例2で樹脂皮膜に保持されたトナー画像層14を剥離した後のフィルム基体22のOHPシートに再度エアーナイフコーターにて糊層を塗布し、フィルム基材を作成した。このフィルム基材を用い、実施例2と同様の方法にて定着トナー画像層上に樹脂皮膜を形成した。このフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートも、トナー画像層保持した樹脂皮膜を良好に剥離できることが確認できた。
【符号の説明】
【0118】
1 バックコート層
2 原紙基体
3 第一コート層
4 第二コート層
5 第三コート層
10 焼成絵柄画像形成用転写用紙
12 転写紙基材
14 トナー画像層
16 樹脂皮膜
20 フィルム焼成絵柄画像形成用転写シート
22 フィルム基体
24 糊層
26 フィルム基材
30 定着装置
31 泡状定着液生成手段
32 塗布ローラ
33 泡状定着液塗布手段
34 加圧ローラ
36 液膜厚制御用ブレード
38 泡状定着液
40 保存容器
42 液状定着液
44 液搬送パイプ
46 液搬送ポンプ
48 微細孔シート
50 気体・液体混合部
51 空気口
52 回転内側円筒
53 外側円筒
54 二重円筒部
56 液供給口
60 タイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開昭49−35407号公報
【特許文献2】特開2002−166699号公報
【特許文献3】特開平8−011496号公報
【特許文献4】特許第3849355号公報
【特許文献5】特開2008−284882号公報
【特許文献6】特公昭59−119364号公報
【特許文献7】特許第3290513号公報
【特許文献8】特開2009−008967号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性固体の表面へ絵柄を形成するためのフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートにおいて、
耐水性のフィルム基体と、
前記フィルム基体の上に形成された水溶性の糊層と、
焼成後に有色であるトナーにより前記糊層の上に形成されたトナー画像層と、
前記糊層の上に形成された樹脂皮膜と、
を備えることを特徴とするフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート。
【請求項2】
前記耐水性のフィルム基体は、プラスチックフィルムよりなることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート。
【請求項3】
再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートを作成する方法において、
耐水性のフィルム基体を準備する工程と、
前記フィルム基体の上に、水溶性の糊層を形成する工程と、
前記糊層の上に、焼成後に有色であるトナーによりトナー画像層を電子写真方式で形成する工程と、
前記トナー画像層を、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する泡状定着液によって定着する工程と、
前記定着されたトナー画像層が形成された前記糊層の上に、樹脂皮膜を形成する工程とを含み、
前記トナー画像層を前記泡状定着液によって定着させる定着温度が、水の沸点温度より低い温度であることを特徴とする再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法。
【請求項4】
前記トナー画像層を前記泡状定着液によって定着させる際に、定着部位を加熱しないことを特徴とする、請求項3に記載の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート作成方法。
【請求項5】
前記トナー画像層を前記泡状定着液によって定着させる際に、加圧することを特徴とする、請求項3または4に記載の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート作成方法。
【請求項6】
前記泡状定着液のかさ密度を、0.04〜0.1g/cm3とすることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法。
【請求項7】
前記泡状定着液のかさ密度を、前記糊層を変質させない表面張力調整剤、増粘剤、起泡剤のうちの少なくとも一種を前記泡状定着液に含有させることにより調節することを特徴とする、請求項6に記載の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法。
【請求項8】
前記耐水性のフィルム基体は、プラスチックフィルムよりなることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の再利用可能なフィルム焼成絵柄画像形成用転写シート作成方法。
【請求項9】
請求項1に記載のフィルム焼成絵柄画像形成転写シートを用いて、前記耐熱性固体の表面へ絵柄を焼き付ける焼成画像形成方法において、
前記フィルム焼成絵柄画像形成転写シートを水に浸し、前記糊層を溶解させて、前記フィルム基体から前記定着されたトナー画像層を保持した樹脂皮膜を剥離する工程と、
剥離された前記樹脂皮膜を前記耐熱性固体の表面に貼り付けた後、焼き付ける工程と、
を含むことを特徴とする焼成画像形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の焼成画像形成方法の過程において剥離された前記フィルム基体を回収する工程と、
回収されたフィルム基体の上に水溶性の糊層を形成する工程と、
前記糊層の上に、焼成後に有色であるトナー画像層を電子写真方式で形成する工程と、
前記トナー画像層を、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含む泡状定着液によって定着する工程と、
前記定着されたトナー画像層の上に、樹脂皮膜を形成する工程とを含み、
前記トナー画像層を前記泡状定着液によって定着させる定着温度が、水の沸点温度より低い温度であることを特徴とするフィルム焼成絵柄画像形成用転写シートの作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−62817(P2011−62817A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212709(P2009−212709)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】