説明

再封可能な包装袋

【課題】 その目的とするところは密封された包装袋について、開封後、内容物を必要なだけ取り出した後、チャックや再封性積層テープ等の別途部品を用いることなく、開口部近傍の積層体を折り曲げて繰り返し再封可能な包装袋を提供することにある。
【解決手段】 最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体を使用し、該積層体の熱接着性樹脂層面を対向して重ね合わせ、その周縁を熱接着して周縁熱接着部を設け内容物を密封する包装袋において、周縁熱接着部が少なくとも上端縁熱接着部と、側端縁熱接着部と、側端縁熱接着部と上端縁熱接着部の両端を連結する斜め端縁熱接着部とで構成され、積層体の一方の内面に、左右に形成された側端縁熱接着部に交差する方向に帯材を重ね合わせ、帯材の周縁が積層体の内面に熱接着され、積層体の帯材に対応する領域に開封線が設けられた構成からなる開口部折曲保持部が形成されている再封可能な包装袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や非食品等の内容物を包装後に開封し、開封口を折り曲げることにより繰り返し再封可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層体を使用し、内容物を充填した後、熱接着して密封した包装袋は、開封後、内容物を開口部より必要なだけ取り出した後、クリップや輪ゴムなどの道具を使用して開口部を固定して再封することが行われていた。しかし、この操作は再封するためにクリップや輪ゴム等の道具を必要とするので面倒なものであった。そこで、これらの再封操作を簡単に行える包装袋として、合成樹脂製の雌雄爪型チャックを開口部の内側面に設けた包装袋が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、表と裏の二枚の積層材料からなり、袋本体部の一方の辺に上部シール部を有し、反対辺に開口部を有し、両サイドにサイドシール部を有し、上部シール部と一方のサイドシール部が交叉するコーナー部にからす口状の未シール部を有し、未シール部側の上部シール部に近接するサイドシール部の端に切り込みを有し、切り込みの先端から他方のサイドシール部の端まで上部シール部と平行に延びるミシン目線を有してなり、該未シール部が表と裏の二枚の積層材料で再封性積層テープを両側からサンドイッチ状に挟んだ状態のものからなり、該上部シール部と両サイドのサイドシール部が各々表と裏の二枚の積層材料で再封性積層テープを両側からサンドイッチ状に挟み、かつ、シールした状態の再封性包装袋が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1のチャックを開口部に設けた包装袋では、チャックが別途部品として必要となるので部品代がかかり、さらにチャックを取付けるエリアが必要となるので、取付けエリア分だけ包装袋のサイズを余分に大きくしなければならないという問題がある。また、特許文献2の再封性包装袋によると、再封性積層テープが別途部品として必要となるので部品代がかかり、さらに再封性積層テープを取付けるエリアが必要となるので、取付けエリア分だけ包装袋のサイズを余分に大きくしなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−154558号公報
【特許文献2】特開2006−199343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは内容物を充填し熱接着して密封された包装袋について、開封後、内容物を必要なだけ取り出した後、チャックや再封性積層テープ等の別途部品を用いることなく、開口部近傍の積層体を折り曲げて積層体の剛性による反発力を封じる手段を講じることにより繰り返し再封可能な包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体を使用し、該積層体の熱接着性樹脂層面を対向して重ね合わせ、その周縁を熱接着して周縁熱接着部を設け内容物を密封する包装袋において、前記周縁熱接着部が少なくとも上端縁熱接着部と、対向して左右に形成された側端縁熱接着部と、左右に形成された前記側端縁熱接着部と前記上端縁熱接着部の両端を連結する斜め端縁熱接着部とで構成され、前記積層体の一方の内面に、左右に形成された前記側端縁熱接着部に交差する方向に帯材を重ね合わせ、前記帯材の周縁が前記積層体の内面に熱接着され、前記積層体の前記帯材に対応する領域に開封線が設けられた構成からなる開口部折曲保持部が形成されていることを特徴とする再封可能な包装袋である。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の再封可能な包装袋において、前記積層体からなる2枚の壁面シートと1枚の底シートで形成され、2枚の壁面シートの前記熱接着性樹脂層側を対向させて配置し、底シートの熱接着性樹脂層面を外面にして内側に折り込んで2枚の壁面シート間の下端部に挿入し、周縁を熱接着して周縁熱接着部を設けた自立袋であり、前記周縁熱接着部が2枚の前記壁面シートの上端部を熱接着した上端縁熱接着部と、2枚の前記壁面シート間の下端部に前記底シートを挿入して熱接着した底部熱接着部と、2枚の前記壁面シートの左右端縁を熱接着した側端縁熱接着部と、左右に形成された前記側端縁熱接着部と前記上端縁熱接着部の両端を連結する斜め端縁熱接着部とで構成され、一方の前記壁面シートの内面に、前記開口部折曲保持部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、積層体の一方の内面に、左右に形成された側端縁熱接着部に交差する方向に帯材を重ね合わせ、帯材の周縁が積層体の内面に熱接着され、積層体の帯材に対応する領域に開封線が設けられた構成からなる開口部折曲保持部が形成されている構成とすることにより、開封線より積層体を開封すると開口部折曲保持部に差込口が形成され、包装袋を上端縁熱接着部に沿って開封し上端縁熱接着部を切取ることにより開口部を形成した後、再封に際し、積層体の開口部近傍の積層体を折り曲げ先端部分を差込口に差込むことにより、積層体の剛性による反発力を封じることができ、包装袋の再封が可能となる。また、帯材は積層体の内面に設けられているので包装された商品のハンドリングや輸送中等において引っ掛かることがないので包装袋の破損が防げる。
【0009】
また、開封線を左右に形成された側端縁熱接着部間に亘り設け、上端縁熱接着部の左右の長さを側端縁熱接着部の内縁間の左右の長さより小さくする構成とすることにより、上端縁熱接着部に沿って開封し上端縁熱接着部を切取ることにより形成された開口部の左右の寸法が、開封線より積層体を開封することにより開口部折曲保持部に形成された差込口の左右の寸法より小さくできるので開口部の先端部分の差込口への差込操作が容易となる。
【0010】
開口部折曲保持部は積層体の一方の内面に形成されているので別途取付けエリアを設ける必要がないので従来の別途部品を取り付けるエリアを必要とする包装袋に比べて、包装袋の面積を少なくできコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る包装袋の第一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図と要部拡大断面図である。
【図3】本発明に係る包装袋の開封後、開口部を折り曲げて再封する状態を説明する斜視図である。
【図4】本発明に係る包装袋の第二実施形態を示す正面図である。
【図5】図4のB−B線断面図と要部拡大断面図である。
【図6】第二実施形態の包装袋の開封後、開口部を折り曲げて再封する状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係る包装袋の第一実施形態を示す正面図、図2は(イ)が図1のA−A線断面図と要部拡大断面図で(ロ)が積層体の部分拡大図、図3は本発明に係る包装袋の開封後、開口部を折り曲げて再封する状態を説明する斜視図、図4は本発明に係る包装袋の第二実施形態を示す正面図、図5は図4のB−B線断面図と要部拡大断面図、図6は第二実施形態の包装袋の開封後、開口部を折り曲げて再封する状態を説明する斜視図であり、図中の1は再封可能な包装袋、1’は自立袋、2は積層体、3は周縁熱接着部、4は上端縁熱接着部、5は側端縁熱接着部、6は斜め端縁熱接着部、7は底部熱接着部、8は帯材、8uは上部の周縁熱接着部、8dは下部の周縁熱接着部、9は開封線、10は開口部折曲保持部、11は小袋、12は差込口、13はノッチ、14は開口部、20は基材層、21は印刷層、22は中間層、23は熱接着性樹脂層、24は壁面シート、25は底シート、26は底部熱接着部をそれぞれ示す。
【0013】
図1は本発明に係る包装袋の第一実施形態を示す正面図、図2は図1のA−A線断面図と要部拡大断面図であって、図1、図2に示すように本発明の第一実施形態の再封可能な包装袋1は最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体2を使用し、該積層体2の熱接着性樹脂層面を対向して重ね合わせ、その周縁を熱接着して周縁熱接着部3を設け内容物を密封するものである。
【0014】
再封可能な包装袋1は、周縁熱接着部3が少なくとも上端縁熱接着部4と、対向して左右に形成された側端縁熱接着部5,5と、左右に形成された側端縁熱接着部5,5と上端縁熱接着部4の両端を連結する斜め端縁熱接着部6とで構成され、斜め端縁熱接着部6,6は略ハの字に形成され、上端縁熱接着部4の左右の長さが側端縁熱接着部5,5の内縁間の左右の長さより小さい構成とされ、さらに一方の積層体2(図1では表面の積層体)には開口部折曲保持部10が形成されている。
【0015】
開口部折曲保持部10は、積層体2の一方の内面(図1では表面の積層体の内面)に、左右に形成された側端縁熱接着部5,5に交差する方向に上端縁熱接着部4に沿って帯材8を重ね合わせ、帯材8の周縁が積層体2の内面に熱接着され、小袋11状に区画されており、積層体2の帯材8に対応する領域に開封線9が設けられた構成である。開口部折曲保持部10を形成する位置は側端縁熱接着部5,5に跨って形成されていれば任意であり、側端縁熱接着部5と斜め端縁熱接着部6の連結部分に跨って形成されていてもよい。開封線9は側端縁熱接着部5,5に内接ないし外接して形成されている。特に開口部折曲保持部10を側端縁熱接着部5と斜め端縁熱接着部6の連結部分に跨って形成する場合には開封線9が斜め端縁熱接着部6にかからないようにすることが肝要である。開封線9は積層体2を貫通する切線やミシン目あるいはハーフカットで形成される。また、開封線9は2本にすることもできる。
【0016】
さらに図2(イ)を参照しながら開口部折曲保持部10の構造を説明する。
図2(イ)の円内の要部拡大図に示すように積層体2の一方の内面に、帯材8を重ね合わせ、帯材8の周縁が積層体2の内面に熱接着されている。図2には帯材8の積層体2に熱接着された周縁のうち、上部の周縁熱接着部8uと下部の周縁熱接着部8dが示され、図示しないが左右の周縁熱接着部は積層体2の側端縁熱接着部5,5と共有しており、開口部折曲保持部10は積層体2と帯材8で周縁が熱接着された小袋11となっており、積層体2の帯材8に対応する領域に開封線9が設けられている。開封線9が設けられた部分の積層体2は水蒸気透過度や酸素ガス透過度等のガスバリア性が低下するが、開封線9の内側には帯材8が存在し、しかも周縁が積層体2に熱接着され外気とは遮断されているので再封可能な包装袋1の袋内は密封状態を保持でき、帯材8にガスバリア性を有する素材を用いることにより、再封可能な包装袋1としてのガスバリア性に影響を及ぼすことがない。なお、帯材8は包装袋の下縁まで下部を延長して設けることもでき、さらには上部を上端縁熱接着部まで延長して設けることもできる。帯材8の上部および下部を包装袋の下縁および上端縁熱接着部まで延長した場合は、帯材8の周縁熱接着部と再封可能な包装袋1の周縁熱接着部3が共有され、帯材8で2室に仕切られたいわゆる二重袋の形態となる。
【0017】
図2(ロ)は積層体の積層例を示す部分拡大図であり、積層体2は外側から袋内となる内側に向かって、基材層20、印刷層21、中間層22、最内層に熱接着性樹脂層23が順に積層されている。積層体に要求される物性、ガスバリア性、包装適性、包装された商品の輸送条件、経済性等を考慮して各層に使用される材料が適宜決定されるものである。もちろん、印刷層、中間層、または印刷層と中間層は要求される条件により省略できる。
【0018】
次に図1、図3を参照しながら本発明の再封可能な包装袋1の使用方法を説明する。
図1に示すように内容物(図示しない)が充填され密封された再封可能な包装袋1の上部に設けられたノッチ13より積層体2を引裂いて開封する。開封して形成された開口部14(図3参照)より、必要なだけ内容物を取り出した後、再封に際しては、まず、積層体2に設けられたミシン目からなる開封線9近傍の積層体2の上部と下部を指で摘み相反する方向に引張って開封し、差込口12を形成する。次に開口部折曲保持部10と開口部14の間で包装袋を折り曲げ、開口部14の先端部分を開口部折曲保持部10に形成された差込口12に差し込むことにより、折り曲げられた積層体2の剛性による反発力を封じることができ、包装袋1の再封が可能となる。
【0019】
本発明は、左右に形成された側端縁熱接着部5,5と上端縁熱接着部4と上端縁熱接着部4の両端を連結する略ハの字の斜め端縁熱接着部6,6とで構成され、上端縁熱接着部4の左右の長さが側端縁熱接着部5,5の内縁間の左右の長さより小さく、特に上端縁熱接着部4を切り取り形成された開口部14の左右の長さが側端縁熱接着部5,5の内縁間の左右の長さより小さくし、開封線9を開封し側端縁熱接着部5,5の内縁間に差込口12を形成することにより、開口部14の左右の長さより差込口12の左右の長さが広くなることが重要であり、そうすることにより開口部の先端部分の差込操作が容易となる。
【0020】
図4は本発明に係る包装袋の第二実施形態を示す正面図であり、第二実施形態の再封可能な包装袋は自立袋1’の形態である。
図4に示すように自立袋1’は、積層体2からなる2枚の壁面シート24と底シート25(図5参照)で形成され、2枚の壁面シート24の熱接着性樹脂層側を対向させて配置し、底シート25の熱接着性樹脂層面を外面にして内側に折り込んで2枚の壁面シート24,24間の下端部に挿入し、周縁を熱接着して周縁熱接着部3を設けた形態である。
【0021】
図4、図5に示すように自立袋1’は周縁熱接着部3が2枚の壁面シート24,24の上端部を熱接着した上端縁熱接着部4と、2枚の壁面シート24,24間の下端部に底シート25を挿入して熱接着した底部熱接着部26と、2枚の壁面シート24の左右端縁を熱接着して側端縁熱接着部5と、左右に形成された側端縁熱接着部5と上端縁熱接着部4の両端を連結する略ハの字の斜め端縁熱接着部6とで構成され、一方の壁面シート24(図4では表面側の壁面シート)には開口部折曲保持部10が形成されている。
【0022】
開口部折曲保持部10は、壁面シート24の一方の内面(図4では表面の積層体の内面)に、左右に形成された側端縁熱接着部5,5に交差する方向に上端縁熱接着部4に沿って帯材8を重ね合わせ、帯材8の周縁が壁面シート24の内面に熱接着され、小袋11状に区画されており、壁面シート24の帯材8に対応する領域に開封線9が設けられた構成である。開口部折曲保持部10を形成する位置は側端縁熱接着部5,5に跨って形成されていれば任意であり、側端縁熱接着部5と斜め端縁熱接着部6の連結部分に跨って形成されていてもよい。開封線9は側端縁熱接着部5,5に内接ないし外接して形成されている。特に開口部折曲保持部10を側端縁熱接着部5と斜め端縁熱接着部6の連結部分に跨って形成する場合には開封線9が斜め端縁熱接着部6にかからないようにすることが肝要である。開封線9は壁面シート24を貫通する切線やミシン目あるいはハーフカットで形成される。
【0023】
第二実施形態の再封可能な包装袋は、自立袋の形態である以外は、第一実施形態と同様であり、同符号を付し、図5の円内の要部拡大図および図6の説明は省略する。また、包装袋の使用方法も同じであり、説明を省略する。
【0024】
次に積層体2の各層について説明する。
積層体2の基材層20としては、再封可能な包装袋1、自立袋1’を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等フィルムやセロハンや出発原料を植物由来とする例えばポリ乳酸系の二軸延伸フィルム等を用いることができる。あるいは、上記のフィルムにポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のガスバリア性樹脂組成物を塗布してガスバリア層を設けたもの、あるいは、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物を蒸着して蒸着層を設けたものを用いることができる。また、これらのフィルムとしては、未延伸フィルム、一軸方向ないし二軸方向に延伸したフィルムが使用できるが延伸フィルムの方が好適である。この理由としては、通常、基材層20には印刷が施されることが多く、印刷適性が求められるからである。また、基材層20を構成するフィルムの厚さとしては、基本素材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよいのであって、コストなどを勘案して決めればよいが、通常、9〜50μm程度である。
【0025】
また、中間層22としては、剛性や遮光性あるいはガスバリアー性等が包装条件、輸送条件、内容物の保護機能条件により要求される場合に設けるものであり、上記基材層に用いられるフィルム、上記ガスバリア層又は蒸着層を設けた上記フィルム、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、紙、合成紙及び紙等が使用できる。また、これらのフィルム等を一種以上組合わせて積層したものでもよい。
【0026】
また、積層体2の熱接着性樹脂層23としては、熱により溶融して相互に溶着し得る熱接着性樹脂から形成された層であればよく、包装袋に要求される物性により適宜選択して用いればよいものであり、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、非晶性ポリエステル系等の樹脂を用いて形成することができる。
上記基材層、中間層、熱接着性樹脂層を包装される内容物に対して要求されるガスバリア性(酸素遮断性、水蒸気遮断性等)、遮光性や物理的性質(引張強度、ヒートシール強度、衝撃強度、突刺し強度、落下強度等)、輸送条件や経済性等を勘案し適宜、選択し積層すればよい。
【0027】
基材層20、中間層22、熱接着性樹脂層23を積層する方法は、例えば、ウレタン系等のドライラミネート用接着剤を用いて積層するドライラミネーション法やポリエチレン樹脂等を熱溶融押出しして積層する押出しラミネーション法が使用できる。基材層20または中間層22には通常のグラビア印刷あるいはフレキソ印刷により印刷層21を設けることができ、該印刷に使用される印刷インキとしては公知のグラビアインキ、フレキソインキを用いることができ、基材層20または中間層22に用いる素材により素材と良好に接着するビヒクルを適宜選定し、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いる。
【0028】
帯材8としては、両面とも積層体2の最内層の熱接着性樹脂層23と熱接着可能であることが必要であり、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱接着性樹脂フィルム単体もしくは両面に熱接着性樹脂層が積層された積層体が用いられ、熱接着性樹脂層/基材層/熱接着性樹脂層、熱接着性樹脂層/基材層/中間層/熱接着性樹脂層なる積層体が例示できる。熱接着性樹脂層、基材層、中間層には、積層体2と同じ素材を用いることができる。
また、開封線9が設けられる積層体の熱接着性樹脂層23と対向する側の帯材8の熱接着性樹脂層の接着力は弱接着であってもよく、基材層と熱接着性樹脂層または中間層と熱接着性樹脂層は共押出しフィルムも使用できる。この場合、熱接着性樹脂層の厚さは通常、40μm以下である。また、基材層または中間層にヒートシール剤を塗布して形成したものも使用できる。ヒートシール剤としては、オレフィン系、塩素化ポリエレフィン系、アクリル系、アクリル−塩ビ系、エチレン−酢酸ビニル系等の樹脂を主成分としたエマルジョンタイプあるいは溶液タイプが使用され、塗布量は1〜15μm(乾燥状態)である。また、ベースポリマー成分に例えば、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジェンブロック共重合体、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ビニル芳香族と共役ジエンのブロック共重合体およびその水添物、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリエステル樹脂等などを単独もしくは複数ブレンドしたホットメルト等が使用でき、塗布量は通常30μm以下である。
【0029】
本発明の再封可能な包装袋は、三方製袋機、四方製袋機、自立袋製袋機を用いて、製造される。ただし、帯材を製袋時に設けるので積層体の巻取を繰り出す給紙部以外にロール状に巻かれた帯材の巻取を繰り出す給紙部を付帯設備として取付けが必要である。そして、ロール状に巻かれた積層体と帯材を繰り出しながら積層体の所定位置に開封線を施し、該開封線部分が帯材で覆われるように積層体と帯材との位置合せを行い、帯材の流れ方向の両端縁を積層体の熱接着性樹脂層面に熱接着して積層体に帯材を筒状に取付ける。その後、周知の手順で製袋される。
【0030】
次に実施例を挙げて本発明を詳述する。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
図1、図2に示すように、基材層20として、片面コロナ処理した厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(PET)を用い、コロナ処理面にグラビア印刷にて印刷層21を形成した後、中間層22に厚さ7μmのアルミニウム箔(AL)、熱接着性樹脂層23に厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、図示しないが接着剤にポリエステルポリオール−イソシアネート系の主剤と硬化剤とからなる2液タイプのドライラミネート用接着剤(DL)を用いてドライラミネート法により積層し、PET12μm/印刷層/DL/AL7μm/DL/LLDPE50μmなる積層体2を作製した。
一方、基材層として片面にアルミニウム蒸着した厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(ALVMPET)を用い、熱接着性樹脂層として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、ドライラミネート法により上記接着剤(DL)を介して積層し、LLDPE30μm/DL/ALVMPET12μm/DL/LLDPE30μmなる積層体を作製し、帯材8とした。
上記積層体2、帯材8を用いて、周縁を熱接着し、図1、図2に示すように斜め端縁熱接着部5と側端縁熱接着部6の連結部分に帯材8の上端が位置するようにして再封可能な包装袋1を作製した。なお、再封可能な包装袋の形態は上端縁熱接着部4に対向する側は開口部とした四方シール袋の形態とした。開口部は該部より内容物を充填した後、密封シールされ下端縁熱接着部になるものである。再封可能な包装袋の寸法は以下の通りとした。
天地・左右外寸法 :190mm×140mm
側端縁熱接着部の天地寸法(高さ):130mm
上端縁熱接着部の左右外寸法 :100mm
帯材の天地・寸法 : 50mm×140mm
周縁熱接着部のシール幅 : 10mm
開封線の形状 :切目の長さ40mm、非切目の長さ1mmのミシン目
【0032】
(実施例2)
図4、図5示すように、舟形状の底部熱接着部26を備えた自立袋1’を作製した。壁面シート24、底シート25には実施例1で作製した積層体2を用いた。但し、底シート25はPETに印刷層を設けず無地とした。帯材8には、基材層として片面に厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(PET)、中間層として厚さ7μmのアルミニウム箔(AL)、熱接着性樹脂層として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、ドライラミネート法により実施例1で用いた上記接着剤(DL)を介して積層し、LLDPE30μm/DL/PET12μm/DL/AL7μ/DL/LLDPE30μmなる積層体を作製して用いた。帯材8の位置は実施例1と同様の位置とした。なお、上端縁熱接着部4は内容物を充填する前は未シールの開口部となっており、該部より内容物を充填した後、密封シールされて上端縁熱接着部4となるものである。その他は実施例1と同様とした。
天地・左右外寸法 :190mm×140mm
側端縁熱接着部の天地寸法(高さ):130mm
上端縁熱接着部の左右外寸法 :100mm
底材の折込寸法 : 30mm
帯材の天地・寸法 : 50mm×140mm
周縁熱接着部のシール幅 : 10mm
開封線の形状 :切目の長さ40mm、非切目の長さ1mmのミシン目
【0033】
実施例1の四方シール袋の開口部より内容物として粒状のキャンディを充填した後、熱接着して下端縁熱接着部を形成し密封した。実施例2の自立袋の開口部より内容物として粒状のキャンディを充填した後、熱接着して上端縁熱接着部を形成し、密封した。
【0034】
その後、上端縁熱接着部の近傍を開封し開口部を形成し、内容物を所定量取り出した後、開封線の上部を片方の手で、下部を他方の手で摘み相反する方向に引張ると容易に積層体を引裂くことができ、実施例1および実施例2とも差込口を形成することができた。
さらに、開口部の近傍を折り曲げて先端部分を差込口に差し込むと包装袋は折り曲げた状態を保持することができ、実施例1、実施例2とも再封することができた。
【符号の説明】
【0035】
1 再封可能な包装袋
1’ 自立袋
2 積層体
3 周縁熱接着部
4 上端縁熱接着部
5 側端縁熱接着部
6 斜め端縁熱接着部
7 底部熱接着部
8 帯材
8u 上部の周縁熱接着部
8d 下部の周縁熱接着部
9 開封線
10 開口部折曲保持部
11 小袋
12 差込口
13 ノッチ
14 開口部
20 基材層
21 印刷層
22 中間層
23 熱接着性樹脂層
24 壁面シート
25 底シート
26 底部熱接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体を使用し、該積層体の熱接着性樹脂層面を対向して重ね合わせ、その周縁を熱接着して周縁熱接着部を設け内容物を密封する包装袋において、
前記周縁熱接着部が少なくとも上端縁熱接着部と、対向して左右に形成された側端縁熱接着部と、左右に形成された前記側端縁熱接着部と前記上端縁熱接着部の両端を連結する斜め端縁熱接着部とで構成され、
前記積層体の一方の内面に、左右に形成された前記側端縁熱接着部に交差する方向に帯材を重ね合わせ、前記帯材の周縁が前記積層体の内面に熱接着され、前記積層体の前記帯材に対応する領域に開封線が設けられた構成からなる開口部折曲保持部が形成されていることを特徴とする再封可能な包装袋。
【請求項2】
前記包装袋が、前記積層体からなる2枚の壁面シートと1枚の底シートで形成され、2枚の壁面シートの前記熱接着性樹脂層側を対向させて配置し、底シートの熱接着性樹脂層面を外面にして内側に折り込んで2枚の壁面シート間の下端部に挿入し、周縁を熱接着して周縁熱接着部を設けた自立袋であり、
前記周縁熱接着部が2枚の前記壁面シートの上端部を熱接着した上端縁熱接着部と、2枚の前記壁面シート間の下端部に前記底シートを挿入して熱接着した底部熱接着部と、2枚の前記壁面シートの左右端縁を熱接着した側端縁熱接着部と、左右に形成された前記側端縁熱接着部と前記上端縁熱接着部の両端を連結する斜め端縁熱接着部とで構成され、
一方の前記壁面シートの内面に、前記開口部折曲保持部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の再封可能な包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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