説明

再生回路

【課題】 LSIがDSDデータのフォーマットに対応していなくても、D/A変換用ICが、そのDSDデータをD/A変換できるようにする。
【解決手段】 変換回路32に、ステレオDSDデータを、左チャンネルおよび右チャンネルのDSDデータに分離するとともに、その分離した左チャンネルおよび右チャンネルのDSDデータを同時に出力するシフトレジスタを設ける。ステレオPCMデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、インターフェイス回路31から出力されるステレオPCMデータをそのままD/Aコンバータ回路33に供給する。ステレオDSDデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、出力回路31から出力されるステレオDSDデータを、変換回路32により分離および同時化の処理をしてからD/Aコンバータ回路33に供給する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は再生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルオーディオ機器におけるデジタルオーディオデータは、一般にPCM変調により得られる2の補数形式を標準としている(以下、このデジタルオーディオデータを「PCMデータ」と呼ぶ)。例えば、CDにおけるPCMデータは、もとのアナログオーディオ信号を、サンプリング周波数が44.1kHzで、1サンプルが16ビットに量子化したデジタルデータである。
【0003】
図5において、符号PCM_DATAは、デジタルオーディオ用のLSIから出力されるPCMデータの一例を示す。すなわち、このPCMデータPCM-DATAは、LSIからシリアルに出力されるもので、複数のワードから構成されるとともに、その1ワードが1サンプルに対応する。図5の例においては、1サンプルが32ビットの場合であり、したがって、1ワードが32ビットである。
【0004】
そして、このPCMデータPCM_DATAは、左チャンネルのデジタルオーディオデータのビットL0〜L31と、右チャンネルのデジタルオーディオデータのビットR0〜R31とを1ワードごとに交互に有するとともに、各ワードはLSBファーストとされている。
【0005】
このようなPCMデータPCM_DATAに対し、図6に示すように、もとのアナログオーディオ信号(図6A)を、ΔΣ変調によりシリアルな1ビットのデータ列(図6B)に変換したデジタルデータが知られている。
【0006】
このΔΣ変調により得られるデジタルデータ(図6B)は「DSDデータ」と呼ばれているが、このDSDデータDSD_DATAは、もとのアナログオーディオ信号の振幅に比例してパルスの密度が変化するパルス密度変調信号でもある。そして、このDSDデータDSD_DATAは、楽曲データ(楽曲として再生されるデジタルオーディオデータ)をSACDに記録・再生するときのデータ形式として採用され、高音質な記録・再生を実現している。
【0007】
そして、D/A変換用のICとして、PCMデータPCM_DATAと、DSDデータDSD_DATAとの両方に対応したものがある。この両方に対応したD/A変換用のICでD/A変換を行う場合には、例えば図7に示すようにデジタルデータを供給する。すなわち、図7において、符号33はそのD/A変換用のICを示し、図7AはPCMデータPCM_DATAをD/A変換する場合、図7BはDSDデータDSD_DATAをD/A変換する場合である。
【0008】
そして、PCMデータPCM_DATAをD/A変換する場合には、図7Aに示すように、IC33には、PCMデータPCM_DATAを供給するとともに、図5に示すようなチャンネルクロックLRCKと、ビットクロックBCKとを供給する。この場合、チャンネルクロックLRCKは、PCMデータPCM_DATAのワードが左チャンネルのとき“1”となり、右チャンネルのとき“0”となるものである。また、ビットクロックBCKは、PCMデータPCM_DATAのビットL0〜L31、R0〜R31に同期したクロックである。
【0009】
さらに、IC33には、マスタークロックMCKも供給する。なお、もとのアナログオーディオ信号に対するサンプリング周波数を周波数fsとすれば、チャンネルクロックLRCKは周波数fs、ビットクロックBCKは周波数64fs、マスタークロックMCKは周波数128fsである。
【0010】
このようにすると、IC33において、PCMデータPCM_DATAの左チャンネルのワードと、右チャンネルのワードとが、チャンネルクロックLRCKおよびビットクロックBCKにより同時化され、その同時化されたワードがマスタークロックMCKによりD/A変換されてアナログオーディオ信号L、Rが出力される。
【0011】
一方、DSDデータDSD_DATAをD/A変換する場合には、図7Bに示すように、IC33には、左チャンネルのDSDデータDSD_Lと、右チャンネルのDSDデータDSD_Rとを供給するとともに、ビットクロックBCKおよびマスタークロックMCKを供給する。なお、ビットクロックBCKは周波数32fs、マスタークロックMCKは周波数128fsである。
【0012】
このようにすると、IC33において、左チャンネルのDSDデータDSD_Lおよび右チャンネルのDSDデータDSD_Rが、それぞれ積分されてアナログオーディオ信号L、RにD/A変換され、この信号L、Rが出力される。
【0013】
なお、上記ようなD/A変換用のIC33として、例えばCirrus Logic社の「CS4391」やBurr-Brown社の「PCM1702」がある。
【0014】
また、先行技術文献として例えば以下のものがある。
【非特許文献1】著者不明、“スーパーオーディオCD -スーパーオーディオCDとは”、[Online]、2005年10月14日、ソニー株式会社HENCオーディオ事業本部スーパーオーディオCD事業室、[2005年12月28日検索]、インターネット(URL:http://www.super-audiocd.com/aboutsacd/format.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、D/A変換用のIC33は、PCMデータPCM_DATAでもDSDデータDSD_DATAでも適切にD/A変換ができる。また、デジタルオーディオ用のLSIからは、そのD/A変換用のIC33に適したフォーマットのPCMデータPCM_DATAを得ることができる。
【0016】
ところが、そのデジタルオーディオ用のLSIからDSDデータDSD_DATAが出力されるとき、そのDSDデータDSD_DATAは、図8に示すように、左チャンネルのDSDデータDSD_Lと、右チャンネルのDSD_Rとが、32ビットずつ交互に配列されたデータとなる。したがって、LSIから出力されるDSDデータをそのまま図7により説明したD/A変換用のIC33に供給することはできない。もちろん、図7のD/A変換用のIC33に適したPCMデータPCM_DATAと、DSDデータDSD_L、DSD_Rとの両方を出力できるデジタルオーディオデータ用のLSIもあるが、そのようなLSIは限られていて高価である。
【0017】
この発明は、このような問題点を解決し、LSIから出力されるDSDデータDSD_DATAが図8に示すようなDSDデータであっても、図7のD/A変換用のIC33により適切にD/A変換できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明においては、
シリアルなステレオPCMデータとシリアルなステレオDSDデータとを選択的に出力する出力回路と、
デジタルオーディオデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するD/Aコンバータ回路と、
変換回路と
を有し、
上記ステレオPCMデータは、左チャンネルのPCMデータと、右チャンネルのPCMデータとを、1ワードごとに交互に有し、
上記ステレオDSDデータは、左チャンネルのDSDデータと、右チャンネルのDSDデータとを、1ワードごとに交互に有し、
上記D/Aコンバータ回路は、
上記ステレオPCMデータが供給されたときには、そのステレオPCMデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換し、
上記左チャンネルのDSDデータおよび右チャンネルのDSDデータが供給されたときには、その左チャンネルのDSDデータおよび右チャンネルのDSDデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換する
ものであり、
上記変換回路は、上記ステレオDSDデータを、上記左チャンネルのDSDデータと、上記右チャンネルのDSDデータとに分離するとともに、その分離した左チャンネルおよび右チャンネルのDSDデータを同時に出力するシフトレジスタを有し、
上記ステレオPCMデータを上記左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、上記出力回路から出力される上記ステレオPCMデータをそのまま上記D/Aコンバータ回路に供給し、
上記ステレオDSDデータを上記左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、上記出力回路から出力される上記ステレオDSDデータを、上記変換回路により上記分離および同時化の処理をしてから上記D/Aコンバータ回路に供給する
ようにした再生回路
とするものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、LSIがDSDデータのフォーマットに対応していなくても、D/A変換用のICによりD/A変換することができ、このとき、高価なLSIを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
〔1〕 システム全体の構成の例
図1は、家庭などにおけるオーディオ用のクライアント・サーバシステムの一例を示し、符号10はサーバ、符号20はクライアント、符号40はLANなどのネットワークである。そして、詳細は後述するが、この発明はクライアント20に適用され、このクライアント20において、PCMデータPCM_DATAおよびDSDデータDSD_DATAがD/A変換されて楽曲の再生が行われる。
【0021】
すなわち、サーバ10は、プログラムを実行するCPU11と、各種のプログラムが書き込まれているROM12と、ワークエリア用のRAM13とを有し、これらCPU11およびメモリ12、13はシステムバス19に接続されている。さらに、システムバス19には、大容量のストレージとしてハードディスク装置14が接続されている。
【0022】
このハードディスク装置14は、クライアント20に提供する楽曲の楽曲データを蓄積しているものであり、その楽曲データは、PCMデータPCM_DATAのファイルあるいはDSDデータDSD_DATAのファイルの状態でハードディスク装置14に蓄積されている。
【0023】
また、ハードディスク装置14にはテーブルが用意され、このテーブルに、ハードディスク装置14が蓄積している楽曲およびその楽曲データについての情報、例えば、アルバム名、曲名、アーティスト名、PCMデータPCM_DATAおよびDSDデータDSD_DATAのどちらであるか、サンプリング周波数、チャンネル数、ビット数などの情報が蓄積されている。この情報は、例えばクライアント20から楽曲のダウンロードの要求があったときに使用される。
【0024】
さらに、サーバ10は通信インターフェイス15を有する。この通信インターフェイス15は、TCP/IPによりサーバ10をネットワーク40を通じてクライアント20に接続するものである。このため、通信インターフェイス15は、システムバス19に接続されるとともに、ネットワーク40に接続されている。また、サーバ10は、楽曲管理者用のユーザインターフェイスとして、各種の操作キー16およびLEDなどの表示手段17を有し、サーバ10の操作や状態のモニタなどができるようにされている。
【0025】
一方、クライアント20は、プログラムを実行するCPU21と、各種のプログラムが書き込まれているROM22と、ワークエリア用のRAM23とを有し、これらCPU21およびメモリ22、23はシステムバス29に接続されている。
【0026】
さらに、クライアント20は通信インターフェイス25を有する。この通信インターフェイス25は、TCP/IPによりクライアント20をネットワーク40を通じてサーバ10に接続するものである。このため、通信インターフェイス25は、システムバス29に接続されるとともに、楽曲のダウンロード時、ネットワーク40に接続される。また、クライアント20は、ユーザインターフェイスとして、各種の操作キー26およびLCDなどの表示手段27を有し、クライアント20の操作やモニタなどができるようにされている。
【0027】
そして、この例においては、インターフェイス回路31を通じて変換回路32がシステムバス29に接続されるとともに、変換回路32にD/Aコンバータ回路(D/A変換用のIC)33が接続されている。この場合、インターフェイス回路31は、通信回路25などとともにLSI化されているものである。また、変換回路32は、詳細は後述するが、DSDデータDSD_DATAをD/Aコンバータ回路33によりD/A変換できる形式に変換するためのものであり、PCMデータPCM_DATAから楽曲を再生する場合には、バイパスされる。
【0028】
また、D/Aコンバータ回路33は、PCMデータから左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオデータをD/A変換できるとともに、変換回路32により変換されたDSDデータから左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオデータをD/A変換できる構成とされている。そして、D/Aコンバータ回路33のアナログ出力端が、アンプ34L、34Rを通じてスピーカ35L、35Rが接続される。
【0029】
〔2〕 動作
サーバ10に保存されている楽曲を再生する場合には、ユーザはその楽曲をクライアント20からサーバ10に指定する。この指定方法は、一般に実施されている方法を採ることができ、例えば、ユーザが目的とする楽曲の曲名をキー26により直接入力する方法、あるいはアーティスト名やアルバム名などの条件を入力するごとに楽曲の曲名が階層式に絞られていき、最後に目的とする楽曲の曲名を決定する方法などがある。
【0030】
そして、目的とする楽曲を指定すると、サーバ10において、ハードディスク装置14におけるテーブルを参照することにより、指定された楽曲が対応するDSDファイルのファイル名に変換され、このファイル名によりハードディスク装置14から目的とする楽曲のファイル(PCMデータPCM_DATAあるいはDSDデータDSD_DATAのファイル)が読み出される。この読み出されたファイルは、サーバ10からネットワーク40を通じてクライアント20へと送信される。
【0031】
すると、クライアント20においては、そのファイルの中身がPCMデータPCM_DATAの場合と、DSDデータDSD_DATAの場合とに応じて、次のように処理されて楽曲が再生される。
【0032】
〔3−1〕 PCMデータPCM_DATAの場合
この場合には、インターフェイス回路31から、図5に示すPCMデータPCM_DATA、チャンネルクロックLRCK、ビットクロックBCKおよびマスタークロックMCKが出力され、これらが変換回路32の処理をバイパスしてそのままD/Aコンバータ回路33に供給される。
【0033】
そして、D/Aコンバータ回路33においては、PCMデータPCM_DATAの左チャンネルのビットL0〜L31と、右チャンネルのビットR0〜R31とがチャンネルクロックLRCKおよびビットクロックBCKにより分離されるとともに、同時化され、その同時化されたデータがアナログオーディオ信号L、RにD/A変換される。そして、このオーディオ信号L、Rがアンプ34L、34Rにより増幅されてスピーカ35L、35Rに供給され、楽曲として再生される。
【0034】
〔3−2〕 DSDデータDSD_DATAの場合
この場合には、インターフェイス回路31から、図8に示すDSDデータDSD_DATA、チャンネルクロックLRCK、ビットクロックBCKおよびマスタークロックMCKが出力され、これらが変換回路32に供給される。そして、変換回路32において、DSDデータDSD_DATAが、左チャンネルのDSDダイナミックレンジDSD_Lと、右チャンネルのDSDデータDSD_Rとに分離されるとともに、同時化され、この同時化されたDSDデータDSD_L、DSD_RがD/Aコンバータ回路33に供給される。 したがって、D/Aコンバータ回路33において、DSDデータDSD_L、DSD_Rがアナログオーディオ信号L、RにD/A変換される。そして、このオーディオ信号L、Rがアンプ34L、34Rにより増幅されてスピーカ35L、35Rに供給され、楽曲として再生される。
【0035】
〔4〕 変換回路32の構成および動作
図2および図3において、インターフェイス回路31は、通信回路25などの他の回路とともにLSI化されているものであり、これを図2および図3においては、LSI31として示す。そして、このLSI(インターフェイス回路)31は、クロックジェネレータ311と、出力バッファ312とを有する。
【0036】
また、変換回路32は、CPU21の切り換え制御により、PCMデータPCM_DATAから楽曲を再生する場合には、図2の状態に切り換えられ、DSDデータDSD_DATAから楽曲を再生する場合には、図3の状態に切り換えられる。
【0037】
そして、PCMデータPCM_DATAあるいはDSDデータDSD_DATAから楽曲を再生する場合、変換回路3において、次のような処理が行われる。
【0038】
〔4−1〕 PCMデータPCM_DATAから再生する場合
この場合には、変換回路32はCPU21により図2の状態に切り換えられる。そして、出力バッファ312からPCMデータPCM_DATAが取り出され、このPCMデータPCM_DATAが変換回路32を通じるがそのままD/A変換用のIC33に供給される。また、クロックジェネレータ311からチャンネルクロックLRCK、ビットクロックBCKおよびマスタークロックMCKが取り出され、これらクロックも変換回路32を通じてそのままD/A変換用のIC33に供給される。つまり、今の場合、変換回路32はバイパスされることになる。
【0039】
したがって、〔3−1〕により説明したように、IC33において、PCMデータPCM_DATAが左チャンネルおよび右チャンネルのオーディオ信号L、RにD/A変換され、これら信号L、RがIC33から出力される。
【0040】
〔4−2〕 DSDデータDSD_DATAから再生する場合
この場合には、変換回路32はCPU21により図3の状態に切り換えられる。すなわち、変換回路32には、32ビットの直列入力並列出力のシフトレジスタ321L、321Rと、32ビットの並列入力直列出力のシフトレジスタ322L、322Rとが設けられ、シフトレジスタ321L、321Rの出力端にシフトレジスタ322L、322Rの入力端が並列接続される。
【0041】
そして、出力バッファ312からDSDデータDSD_DATAが取り出され、このDSDデータDSD_DATAが、シフトレジスタ321L、321Rにデータ入力として供給される。また、クロックジェネレータ311からチャンネルクロックLRCKおよびビットクロックBCKが取り出され、ビットクロックBCKがアンド回路323に供給されるとともに、チャンネルクロックLRCKがインバータ323を通じてアンド回路323に供給され、そのアンド出力がシフトレジスタ321Lにクロックとして供給される。
【0042】
したがって、図4A、Bに示すように(図4Aは図8と同じ)、LRCK=“0”の期間になると、この期間のDSDデータDSD_DATA、すなわち、左チャンネルのDSDデータDSD_Lがシフトレジスタ321Lに1ビットずつ順に書き込まれていく。
【0043】
また、クロックジェネレータ311からのビットクロックBCKがアンド回路324に供給されるとともに、チャンネルクロックLRCKがアンド回路324に供給され、そのアンド出力がシフトレジスタ321Rにクロックとして供給される。したがって、図4A、Bに示すように、LRCK=“1”の期間になると、この期間のDSDデータDSD_DATA、すなわち、右チャンネルのDSDデータDSD_Rがシフトレジスタ321Rに1ビットずつ順に書き込まれていく。
【0044】
つまり、図4Bに示すように、シフトレジスタ321L、321Rには、左チャンネルのDSDデータDSD_Lと、右チャンネルのDSDデータDSD_Rとが分離されて書き込まれていく。
【0045】
さらに、クロックジェネレータ311からのチャンネルクロックLRCKが、シフトレジスタ322L、322Rにロードパルスとして供給され、図4Cに示すように、チャンネルクロックLRCKの立ち下がりごとに、シフトレジスタ321L、321Rの内容がシフトレジスタ322L、322Rにロードされる。
【0046】
そして、クロックジェネレータ311からのビットクロックBCKが分周回路326に供給されて1/2の周波数(周波数32fs)に分周され、この分周パルスがシフトレジスタ322L、322Rにクロック入力として供給される。したがって、図4Dに示すように、シフトレジスタ322L、322Rからは、左チャンネルのDSDデータDSD_Lと、右チャンネルのDSDデータDSD_Rとが、同時に、かつ、それぞれが連続して出力される。そこで、この出力されたDSDデータDSD_L、DSD_RがD/A変換用のIC33に供給される。
【0047】
したがって、〔3−2〕により説明したように、IC33において、DSDデータDSD_L、DSD_Rが左チャンネルおよび右チャンネルのオーディオ信号L、RにD/A変換され、これら信号L、RがIC33から出力される。
【0048】
〔5〕 まとめ
上述のように、変換回路32によれば、LSI31から出力されるDSDデータDSD_DATAが図8に示すようなフォーマットであっても、すなわち、LSI33がDSDデータのフォーマットに対応していなくても、D/A変換用のIC33によりアナログ信号L、RにD/A変換することができる。そして、このとき、高価なLSIを必要としない。
【0049】
〔6〕 その他
上述においては、サーバ10から送信されてくるPCMデータPCM_DATAやDSDデータDSD_DATAをリアルタイムで楽曲として再生する場合であるが、クライアント20にハードディスク装置や不揮発性メモリなどのストレージを設け、送信されてきたPCMデータPCM_DATAやDSDデータDSD_DATAをそのストレージにいったん保存し、これを任意のときに再生する場合にも、同様にこの発明を適用できる。
【0050】
あるいは他の記録媒体からPCMデータPCM_DATAやDSDデータDSD_DATAを取り出してそのまま再生する場合や、いったんストレージに保存してから再生する場合にも、この発明を適用できる。また、変換回路32をCPU21の処理やDSPにより実現することもできる。さらに、変換回路32をLSI31に内蔵させることもできる。
【0051】
〔7〕 略語の一覧
CD :Compact Disc
CPU :Central Processing Unit
D/A :Digital to Analog
DSD :Direct Stream Digital
DSP :Digital Signal Processor
IC :Integrated Circuit
LAN :Local Area Network
LCD :Liquid Crystal Display
LED :Light Emitting Diode
LSB :Least Significant Bit
LSI :Large Scale Integration
PCM :Pulse Code Modulation
RAM :Random Access Memory
ROM :Read Only Memory
SACD:Super Audio CD
TCP/IP:Transmission Control Protocol/Internet Protocol
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の適用例を示す系統図である。
【図2】この発明を説明するための系統図である。
【図3】この発明の一形態を示す系統図である。
【図4】図3の回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図5】この発明を説明するための波形図である。
【図6】この発明を説明するための波形図である。
【図7】この発明を説明するための図である。
【図8】この発明を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0053】
10…サーバ、14…ハードディスク装置、15…通信インターフェイス、20…クライアント、25…通信インターフェイス、31…インターフェイス回路(LSI)、32…変換回路、33…D/Aコンバータ回路(D/A変換用のIC)、321L〜322R…シフトレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルなステレオPCMデータとシリアルなステレオDSDデータとを選択的に出力する出力回路と、
デジタルオーディオデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するD/Aコンバータ回路と、
変換回路と
を有し、
上記ステレオPCMデータは、左チャンネルのPCMデータと、右チャンネルのPCMデータとを、1ワードごとに交互に有し、
上記ステレオDSDデータは、左チャンネルのDSDデータと、右チャンネルのDSDデータとを、1ワードごとに交互に有し、
上記D/Aコンバータ回路は、
上記ステレオPCMデータが供給されたときには、そのステレオPCMデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換し、
上記左チャンネルのDSDデータおよび右チャンネルのDSDデータが供給されたときには、その左チャンネルのDSDデータおよび右チャンネルのDSDデータを左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換する
ものであり、
上記変換回路は、上記ステレオDSDデータを、上記左チャンネルのDSDデータと、上記右チャンネルのDSDデータとに分離するとともに、その分離した左チャンネルおよび右チャンネルのDSDデータを同時に出力するシフトレジスタを有し、
上記ステレオPCMデータを上記左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、上記出力回路から出力される上記ステレオPCMデータをそのまま上記D/Aコンバータ回路に供給し、
上記ステレオDSDデータを上記左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号にD/A変換するときには、上記出力回路から出力される上記ステレオDSDデータを、上記変換回路により上記分離および同時化の処理をしてから上記D/Aコンバータ回路に供給する
ようにした再生回路。
【請求項2】
請求項1に記載の再生回路において、
上記PCMデータは、アナログオーディオ信号を2の補数形式でデジタル化したデジタルオーディオデータであり、
上記DSDデータは、アナログオーディオ信号をΔΣ変調によりデジタル化したデジタルオーディオデータである
ようにした再生回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−195079(P2007−195079A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13306(P2006−13306)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】