説明

再生経路解析装置及び再生経路解析方法

【課題】インタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムの再生経路の解析を効率的に行う。
【解決手段】画像データと音声データを記録する記録媒体12に蓄積された、画像・音声のコンテンツデータ15を含むインタラクティブなコンテンツの再生を行う再生制御プログラム13による再生経路の解析表示を行う再生経路解析装置11。再生制御プログラム13による再生経路の解析用に前記再生制御プログラムを実行する解析用実行手段17と、解析用実行手段17によって実行された再生制御プログラム13の再生経路を解析する解析手段18と、解析手段18によって解析された解析結果を出力する出力手段19とを備え、解析用実行手段17は、コンテンツが含む画像・音声のコンテンツデータ15のいずれも再生することなく解析用に再生制御プログラム13を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブなコンテンツに実装される再生制御プログラムによる再生経路解析装置及び再生経路解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD等の記録媒体である各種のメディアに記録されたインタラクティブなコンテンツには、画像や音声等のデータとその再生手順の制御を行う再生制御プログラムとが実装されている。
【0003】
上記のインタラクティブなコンテンツの再生経路の確認、解析については、従来インタラクティブなコンテンツに含まれる画像・音声の各データを再生経路に基づいて出力することで、再生経路の手順の確認やその解析をおこなってきた。
【0004】
例えば、利用者毎に異なった設定に基づいて再生可能な技術を提供する再生装置については、それぞれ利用者毎に設定された内容について再生経路の解析を行う必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−265470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため上記の確認、解析によれば、再生制御プログラム解析の実行のたびに、画像と音声の出力を伴うため、コンテンツが持つ画像・音声の再生に要する時間を必要とし、その結果相当の時間と労力を要していた。
【0006】
また、再生経路の確認、解析は、実際に画像・音声の出力を行った再生制御プログラムに限られるため、多岐におよぶ再生手順のプログラムを実装し得るインタラクティブなコンテンツにおいては、実装している再生制御プログラムの全ての再生経路に対して画像・音声を出力する必要があり、解析時間に多大な時間と労力を要するものとなっている。
【0007】
本発明は、インタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムの再生経路の解析を効率的に行う技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コンテンツが備える画像データ及び音声データのいずれも再生することなく、インタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムを実行することによって、前記課題の解決を図ったものである。
【0009】
すなわち、前記目的を達成するために本発明が提案するものは、画像・音声データを記録する記録媒体に蓄積された、画像・音声データを含むインタラクティブなコンテンツの再生を行う再生制御プログラムの再生経路の解析表示を行う再生経路解析装置であって、前記再生制御プログラムの再生経路の解析用に前記再生制御プログラムを実行する解析用実行手段と、該解析用実行手段によって実行された前記再生制御プログラムの再生経路を解析する解析手段と、該解析手段によって解析された解析結果を出力する出力手段とを備え、前記解析用実行手段は、前記コンテンツが含む画像・音声データのいずれも再生することなく解析用に前記再生制御プログラムを実行することを特徴とする再生経路解析装置である。
【0010】
このように前記コンテンツが含む画像・音声データのいずれも再生することなく解析用に前記再生制御プログラムを実行するので、効率良く再生制御プログラムの再生経路を解析することができる。すなわち画像・音声データの再生に要する時間が省略できることになった。
【0011】
ここでインタラクティブなコンテンツとは、例えばDVD−VideoやBD−Video等が該当し、これらには静止又は動画の画像・音声データとこれらの各データを再生する再生制御プログラムが含まれる。
【0012】
また前記コンテンツが含む画像・音声データのいずれも再生することなく解析用に前記再生制御プログラムを実行するとは、映像と音声の出力をすることなく再生経路の解析用に再生制御プログラムだけを実行することであり、さらに再生経路の分岐部分におけるユーザのメニュー選択については自動的に選択実行するものである。
【0013】
再生経路の解析とは、再生経路が例えば途中でリンクが切れている等の支障が無いかの確認を行うものである。
【0014】
また前記解析手段が、前記再生制御プログラムの再生経路を時系列に解析すると共に、この解析による解析結果を前記出力手段が時系列に出力することが好ましい。
【0015】
すなわち再生制御プログラムを構成する各データを、時系列に、すなわち再生順に並べて出力することで、再生制御プログラムを構成する各データを容易に認識することができるものである。再生制御プログラムを構成する各データは、例えばそのタイトルごとに区分けされて、時系列に順に並べて出力されるようにできる。
【0016】
さらに前記解析結果は、前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて出力することが好ましい。
【0017】
すなわち前記再生経路上のデータ位置を、コンテンツのフォーマット上のデータ配列と対応付けて出力することで、それぞれ対比可能となり、再生中に発生した不具合のデータがコンテンツのフォーマット上のどこに記録されているかの特定が容易になるので、修正等に有益な情報を提供できることになる。
【0018】
前記再生経路上のデータ位置を、コンテンツのフォーマット上のデータ配列と対応付けて出力には、再生経路上のデータ位置に対応するコンテンツのフォーマット上のデータ配列をアドレス情報やプログラムの行番号等で表示出力することが含まれる。
【0019】
再生制御プログラムを構成する各タイトルごと再生制御プログラムが再生する画像音声の各データのフォーマット上の位置情報を主力することもできる。
【0020】
また前記解析結果は、修正変更した前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて、別途出力することが好ましい。
【0021】
たとえばコンテンツ制作者が意図しない再生順序や分岐を含んだ再生制御プログラムになっていた場合、正しい再生順序に修正する必要がある。データの修正と解析結果の即時反映可能なことにより、修正のための調査をオーサリングすることなく行えるため、従来の修正方法に比べ効率良く修正ができる。すなわちデータの変更結果を、オーサリングし直すこと無しに再生経路の変更された状態が確認可能となる。
【0022】
さらにまた本発明が提案するものは、画像・音声データを記録する記録媒体に蓄積された、画像・音声のデータを含むインタラクティブなコンテンツの再生を行う再生制御プログラムの再生経路の解析表示を行う再生経路解析装置による再生経路解析方法であって、前記再生制御プログラムの再生経路の解析用に、前記コンテンツが含む画像・音声データのいずれも再生することなく前記再生制御プログラムを実行する第1のステップと、実行された前記再生制御プログラムの再生経路を解析する第2のステップと、解析された解析結果を出力する第3のステップとを備えてなることを特徴とする再生径路解析方法である。
【0023】
そしてこの再生経路解析方法においては再生経路を時系列に解析すると共に、この解析による解析結果を前記出力手段が時系列に出力することが好ましい。
【0024】
さらに前記解析結果は、前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて出力することが好ましい。
【0025】
また前記解析結果が修正変更した前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて、別途出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、インタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムの再生経路の解析を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0028】
図1は発明に係る再生経路解析装置を含む全体概略構成図、図2はインタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムの各タイトル毎に分けた再生手順の概略図、図3はこの再生制御プログラムを実行、解析する手順を示したフロー図である。
【0029】
図1に示すように、再生制御プログラムを解析する再生経路解析装置11は、インタラクティブなコンテンツであるDVD−Video等を記録する記録媒体12に、前記コンテンツの一部として記録されている再生制御プログラム13による再生経路を確認のために解析する装置である。
【0030】
記録媒体12には、コンテンツの画像・音声データ15と、この画像・音声データを再生するための上記再生制御プログラム13とが蓄積、記録されている。
【0031】
再生経路解析装置11は、再生制御プログラム13を解析のために実行する解析用実行手段17と、この解析用実行手段17によって実行された再生制御プログラムの再生経路の確認等を目的に解析する解析手段18、この解析手段18によって解析された懐石結果を出力する出力手段19と、を備えている。
【0032】
解析用実行手段17は、画像・音声データ15の再生出力をすることなく、再生制御プログラム13を実行するものであり、具体的には再生制御プログラム13の再生経路の手順を確認、実行するものである。すなわち画像・音声データ15の再生なしに、再生制御プログラム13の再生経路の手順を確認、実行することで、後述する解析手段によって再生経路を迅速かつ効率的に解析するものである。
【0033】
解析手段18は、再生制御プログラム13が再生経路に従って適切に構成されているかの分析、解析を行うものである。
【0034】
出力手段19は、解析手段18によって解析された解析結果を表示装置に表示するために情報出力するものである。
【0035】
この再生経路解析装置11は、解析専用機を使用してもよいが、汎用機であるパーソナルコンピュータ等に、本実施形態に用いる所定の解析用プログラムを作動させることで上記した各手段の機能を発揮することができる。
【0036】
表示装置20は、再生制御プログラム13の解析結果を表示するものであり、液晶ディスプレイ等の装置が相当する。
【0037】
図2は、再生制御プログラム13をタイトル毎に区分けし、(説明便宜のためT1からT4まで)再生順、すなわち時系列に並べたものである。タイトルはインタラクティブなコンテンツを構成するコンテンツ内容に応じたものである。なお説明上の便宜のためT1からT4までのタイトルに区分けしたものである。
【0038】
その内容はT1、T2と再生手順に従って再生されるもので、T2から以降はユーザの選択できるメニュー(再生経路の分岐部分での選択)が用意されており、ここでは本実施形態における解析用プログラムが自動的にメニューをそれぞれ順に選択するようになっている。すなわちT3aとT3bのそれぞれを順に選択した後、両者とも再生後はT4の再生段階に合流し、この再生によって再生制御プログラム13の全体が再生されて、終了するようになっている。
【0039】
次に図3を参照して、本発明に係る再生経路解析装置の動作、すなわち再生経路解析装置による再生経路解析方法について説明する。
【0040】
記録媒体12に記録された画像・音声データ15を再生する再生制御プログラム13の再生経路について、再生経路解析装置11により解析するものである。再生経路解析装置11の解析用実行手段17は、画像・音声データ15を再生出力することなく、再生制御プログラム13の再生経路の手順を時系列に辿るものである。
【0041】
そして解析手段18は、この再生経路が途切れることなく実行されるか否か、リンクが正確になされるか否か、を解析する。この解析結果は出力手段19によって外部の表示装置20に出力されて表示される。
【0042】
再生制御プログラム13のT1部分の経路が上記したように解析用実行手段17によって再生される(S21)。この再生経路について解析手段18が解析し、例えば経路のリンクが途切れていないかを解析し、出力手段19によって解析結果が表示装置20に送られて画面上に表示される(S22)。
【0043】
表示内容は、T1部分の再生経路が途切れている場合は、途切れた旨の表示と、途切れた再生プログラムのフォーマット上のアドレス情報、又はプログラム行番号等が表示される。
【0044】
そして次に再生プログラム13のT2部分に進み、上記同様に経路の再生(S23)、解析そして解析結果表示がなされる(S24)。
【0045】
そして本来、ユーザが行うメニュー選択では、解析用実行手段17がT3a又はT3bのいずれかを本実施形態における解析用プログラムにしたがって選択する(S25)。先にT3aが自動選択されたときは、T3aの経路が上記同様に再生され(S26)、解析結果が表示される(S27)。
【0046】
T3aの解析結果が表示された後は、メニュー選択終了か否かを解析用実行手段17が判断する(S28)。すなわちすでにT3bが選択されていてその経路再生と再生結果が表示済みのときは、メニュー選択終了として次のT4再生に移行する。
【0047】
ここではT3bの再生が未だなされていないため、終了はしていないとしてメニュー選択(S25)に戻り、こんどはT3bが選択される。そして上記同様T3bの経路再生と、解析結果が表示される(S30)。
【0048】
そしてメニュー選択終了の判断においては(S31)、選択終了と判断される。その後は上記同様にT4の経路再生(S32)、解析結果表示(S33)を経て再生制御プログラム13の再生経路解析が終了する。
【0049】
このように、再生制御プログラム13を画像・音声データ15の再生出力を伴わずに、その再生経路を解析することができるので、従来のように画像・音声データの再生に要する時間が不要となり、映像・音声の再生時間に影響を受けることなく、迅速かつ効率的に行うことができる。
【0050】
解析結果は、再生制御プログラムを時系列的、すなわち再生順に行い、かつコンテンツのフォーマット上のデータ配列と対応して行うので、再生に不備が生じたとする解析結果が生じたときには、フォーマット上の位置の特定が容易になる。
【0051】
その結果、修正が迅速に行え、さらに修正結果の即時反映が可能になるので、修正のためのオーサリングすることなく行うことができる。
【0052】
なお本実施形態においては、再生制御プログラムの各タイトルごとに経路再生と解析結果を表示したが、これに限定することなく、再生制御プログラム全体の経路の再生を行い、その後に解析結果を表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る再生経路解析装置を含む全体概略構成図。
【図2】インタラクティブなコンテンツが実装する再生制御プログラムの各タイトル毎に分けた再生手順の概略図。
【図3】再生制御プログラムを実行、解析する手順を示したフロー図。
【符号の説明】
【0054】
11 再生経路解析装置
12 記録媒体
13 再生制御プログラム
15 画像・音声データ
17 解析用実行手段
18 解析手段
19 出力手段
20 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像・音声データを記録する記録媒体に蓄積された、画像・音声のデータを含むインタラクティブなコンテンツの再生を行う再生制御プログラムの再生経路の解析表示を行う再生経路解析装置であって、
前記再生制御プログラムの再生経路の解析用に前記再生制御プログラムを実行する解析用実行手段と、
該解析用実行手段によって実行された前記再生制御プログラムの再生経路を解析する解析手段と、
該解析手段によって解析された解析結果を出力する出力手段とを備え、
前記解析用実行手段は、前記コンテンツが含む画像・音声データのいずれも再生することなく解析用に前記再生制御プログラムを実行することを特徴とする再生経路解析装置。
【請求項2】
前記解析手段が、前記再生制御プログラムの再生経路を時系列に解析すると共に、この解析による解析結果を前記出力手段が時系列に出力することを特徴とする請求項1に記載の再生径路解析装置。
【請求項3】
前記解析結果は、前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生経路解析装置。
【請求項4】
前記解析結果は、修正変更した前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて、別途出力することを特徴とする請求項1又は3のいずれか一項に記載の再生経路解析装置。
【請求項5】
画像・音声データを記録する記録媒体に蓄積された、画像・音声のデータを含むインタラクティブなコンテンツの再生を行う再生制御プログラムの再生経路の解析表示を行う再生経路解析装置の再生経路解析方法であって、
前記再生制御プログラムの再生経路の解析用に、前記コンテンツが含む画像データ及び音声データのいずれも再生することなく前記再生制御プログラムを実行する第1のステップと、
実行された前記再生制御プログラムの再生経路を解析する第2のステップと、
解析された解析結果を出力する第3のステップとを備えてなることを特徴とする再生径路解析方法。
【請求項6】
前記第2のステップで前記再生制御プログラムの再生経路を時系列に解析すると共に、前記第3のステップで前記解析結果を時系列に出力することを特徴とする請求項5に記載の再生経路解析方法。
【請求項7】
前記第3のステップでは、前記解析結果が前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて出力することを特徴とする請求項5又は6の再生経路解析方法。
【請求項8】
前記第3のステップでは、前記解析結果が修正変更した前記再生経路上のデータ位置をコンテンツ上の位置と対応付けて、別途出力することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の再生経路解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−176842(P2008−176842A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7777(P2007−7777)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(301026365)オープンテクノロジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】