説明

再生装置、再生方法、プログラム、および記録媒体

【課題】再生装置の能力に応じた3D再生を行うことができるようにする。
【解決手段】記憶部24は、ディスク11に記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグを記憶する。制御部22は、記憶部24に記憶されている1プレーンオフセット能力フラグと2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードを設定する。本発明は、例えば、再生装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置、再生方法、プログラム、および記録媒体に関し、特に、再生装置の能力に応じた3D再生を行うことができるようにした再生装置、再生方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
BD(Blu-Ray(登録商標) Disc)では、BD-J(BD Java(登録商標))を扱うことが可能であり、BD-Jによって、高度なインタラクティブ機能を提供することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、BD-ROMを再生するBDプレーヤは、BD-ROMの再生に関する情報を記憶するPSR(Player Setting Register)を有している。
【0004】
図1に示すように、PSRのうちのPSR24のb5には、BD-J Capability during Stereoscopic Output Modeというフラグ(以下、BD-J能力フラグという)が記憶される。このBD-J能力フラグは、BD-Jオブジェクト実行時に3D再生を行うことができるかどうかを表すフラグである。
【0005】
また、BD-ROMには、図2のシンタックスを含むプログラムが記録されており、BDプレーヤは、そのプログラムにしたがって、PSR24(PSR_3D_CAPABILITY)の値が、「0x20」であるかどうか、即ちBD-J能力フラグが1であるかどうかを判定する。そして、BDプレーヤは、そのBD-J能力フラグに応じた再生処理を行う。
【0006】
一方、BD-ROMで採用されている3D再生時の再生モードには、1プレーンオフセットモード(1plane+offset presentation type)と、2プレーンモード(Stereoscopic (two planes) presentation type)という2種類のモードがある。1プレーンオフセットモードとは、BD-ROMに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力する1プレーンオフセット3D再生を行うモードである。2プレーンモードとは、BD-ROMに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力する2プレーン3D再生を行うモードである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2005/052940号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、BD-ROMで採用されている3D再生時の再生モードは、2種類存在するが、BD-J能力フラグは、BD-Jオブジェクト実行時に3D再生を行うことができるかどうかを表している。
【0009】
従って、BD-Jオブジェクト実行時に1プレーンオフセットモードでの3D再生または2プレーンモードでの3D再生のいずれか一方のみ行うことが可能なBDプレーヤでは、BD-J能力フラグによりBDプレーヤの3D再生の能力を正確に表すことはできない。よって、BDプレーヤの能力に応じた3D再生を行うことは困難である。
【0010】
その結果、BDプレーヤの製造者は、BD-Jオブジェクト実行時に1プレーンオフセットモードおよび2プレーンモードの両方の再生モードで3D再生を行うことが可能なBDプレーヤ、または、いずれの再生モードであっても3D再生を行うことができないプレーヤしか製造することができなかった。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、再生装置の能力に応じた3D再生を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の再生装置は、ディスクに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、前記ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記1プレーンオフセット能力フラグと前記2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードを設定する設定手段とを備える再生装置である。
【0013】
本発明の一側面の再生方法、プログラム、および記録媒体に記録されているプログラムは、本発明の一側面の再生装置に対応する。
【0014】
本発明の一側面においては、記憶手段に記憶されている、ディスクに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、前記ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードが設定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、再生装置の能力に応じた3D再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のPSR24に記憶されている情報の一例を示す図である。
【図2】従来のプログラムのシンタックスの一例を示す図である。
【図3】本発明を適用した再生装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】PSRに記憶される情報の第1の構成例を示す図である。
【図5】PSRに記憶される情報の第2の構成例を示す図である。
【図6】PSRに記憶される情報の第3の構成例を示す図である。
【図7】再生装置の能力とフラグとの関係の第1の例を示す図である。
【図8】再生装置の能力とフラグとの関係の第2の例を示す図である。
【図9】再生装置の能力とフラグとの関係の第3の例を示す図である。
【図10】再生装置の能力とフラグとの関係の第4の例を示す図である。
【図11】3D再生モード設定処理を説明するフローチャートである。
【図12】再生装置が図4のPSRを有する場合のシンタックスの例を示す図である。
【図13】再生装置が図4のPSRを有する場合のシンタックスの例を示す他の図である。
【図14】再生装置が図5のPSRを有する場合のシンタックスの例を示す図である。
【図15】再生装置が図5のPSRを有する場合のシンタックスの例を示す他の図である。
【図16】再生装置が図6のPSRを有する場合のシンタックスの例を示す図である。
【図17】再生装置が図4のPSRを有する場合の他のシンタックスの例を示す図である。
【図18】再生装置が図5のPSRを有する場合の他のシンタックスの例を示す図である。
【図19】再生装置が図6のPSRを有する場合の他のシンタックスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<一実施の形態>
[再生装置の一実施の形態の構成例]
図3は、本発明を適用した再生装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図3の再生装置20は、入力部21、制御部22、再生部23、記憶部24、通信部25、およびドライブ26により構成される。再生装置20は、BD-ROMなどのディスク11に対する2D再生機能および1プレーンオフセットモードでの3D再生機能を有している。
【0019】
具体的には、入力部21は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。入力部21は、ユーザからの指令を受け付け、制御部22に供給する。制御部22は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成される。制御部22は、所定のプログラムを実行することにより、入力部21からの指令に応じて再生部23を制御する。例えば、制御部22は、入力部21からのディスク11の再生の指令に応じて、ドライブ31を制御し、ディスク11に記録されている各種のファイルを読み出す。また、制御部22は、ディスク11から読み出されたファイルに含まれるナビゲーションコマンドやアプリケーションにしたがって再生部23を制御する。
【0020】
再生部23は、ドライブ31、読み出しバッファ32、PIDフィルタ33、ビデオ生成部34、グラフィックス生成部35、表示データ生成部36、およびオーディオ生成部37により構成される。
【0021】
ドライブ31は、制御部22の制御にしたがって、装着されたディスク11を駆動する。これにより、ドライブ31は、ディスク11に記録されているインデックスファイル、ムービーオブジェクトファイル、BD-Jオブジェクトファイル、プレイリストファイル、ストリームファイルなどを読み出す。
【0022】
インデックスファイルとは、ディスク11に記録されているタイトル番号の一覧と、そのタイトル番号に対応して実行されるオブジェクトの種類および番号が記述される。オブジェクトの種類としては、ムービーオブジェクト(Movie Object)とBD-Jオブジェクト(BD-J Object)の2種類がある。ムービーオブジェクトファイルとは、ナビゲーションコマンドが記述されるムービーオブジェクトのファイルである。BD-Jオブジェクトファイルとは、BD-Jアプリケーションが記述されるBD-Jオブジェクトのファイルである。
【0023】
プレイリストファイルとは、ムービーオブジェクトまたはBD-Jオブジェクトによってのみ読み出されるファイルであり、これらのオブジェクトで再生されるAVストリームに関する情報が記述される。ストリームファイルは、AVストリームのファイルである。
【0024】
なお、本実施の形態では、AVストリームは、MPEG2,MPEG-4 AVC(Advanced Video Coding),VC1などに準拠して符号化され、ISO13818-2に準拠して多重化された、映画などの主画像を表示するための左目用のビデオデータおよび右目用のビデオデータ、並びに、それに対応するオーディオデータ、副画像としての字幕を表示するための字幕データ、および、副画像としてのメニューボタンを表示するためのメニューデータのTS(Transport Stream)パケットにより構成される。
【0025】
ドライブ31は、読み出されたインデックスファイル、ムービーオブジェクトファイル、BD-Jオブジェクトファイル、プレイリストファイルなどを制御部22に供給する。また、ドライブ31は、読み出されたストリームファイルとしてのAVストリームを読み出しバッファ32に供給する。
【0026】
読み出しバッファ32は、制御部22の制御にしたがって、ドライブ31から供給されるAVストリームを保持したり、保持しているAVストリームを読み出してPIDフィルタ33に供給したりする。
【0027】
PIDフィルタ33は、読み出しバッファ32からのAVストリームの各パケットのパケットID(PID)に基づいて、そのAVストリームに含まれる左目用のビデオデータ、右目用のビデオデータ、字幕データ、メニューデータ、およびオーディオデータのパケットをそれぞれ抽出する。なお、PIDとは、パケットを構成するデータの種類ごとに固有のIDであり、パケットに付加されている。
【0028】
PIDフィルタ33は、抽出された左目用のビデオデータ、右目用のビデオデータ、字幕データ、メニューデータ、オーディオデータのパケットから、それぞれ、PES(Packetized Elementary Stream)パケットを抽出する。そして、PIDフィルタ33は、ビデオデータのPESパケットをビデオ生成部34に供給し、字幕データおよびメニューデータのPESパケットをグラフィックス生成部35に供給する。また、PIDフィルタ33は、オーディオデータのPESパケットをオーディオ生成部37に供給する。
【0029】
ビデオ生成部34は、PIDフィルタ33から供給される左目用のビデオデータと右目用のビデオデータのPESパケットを復号し、その結果得られる左目用のビデオデータと右目用のビデオデータを表示データ生成部36に供給する。なお、PIDフィルタ33から供給される左目用のビデオデータと右目用のビデオデータは同一である。
【0030】
グラフィックス生成部35は、字幕生成部41とメニュー生成部42により構成される。字幕生成部41は、PIDフィルタ33から供給される字幕データのPESパケットを用いて字幕データを生成し、表示データ生成部36に供給する。
【0031】
メニュー生成部42は、ムービーオブジェクトの実行中には、PIDフィルタ33から供給されるメニューデータのPESパケットを用いてメニューデータを生成する。一方、メニュー生成部42は、BD-Jオブジェクトの実行中には、メニューデータのPESパケットを無視し、制御部22からの制御にしたがってメニューデータを生成する。そして、メニュー生成部42は、生成されたメニューデータを表示データ生成部36に供給する。
【0032】
表示データ生成部36は、ビデオ生成部34から供給される左目用のビデオデータおよび右目用のビデオデータ、並びに、グラフィックス生成部35から供給される字幕データおよびメニューデータから、左目用の表示データと右目用の表示データを生成する。
【0033】
具体的には、表示データ生成部36は、2D再生を行う場合、ビデオ生成部34から供給される左目用のビデオデータまたは右目用のビデオデータのいずれか一方、字幕生成部41から供給される字幕データ、およびメニュー生成部42から供給されるメニューデータを合成する。そして、表示データ生成部36は、合成の結果得られるビデオデータを左目用のビデオデータおよび右目用のビデオデータとする。
【0034】
また、表示データ生成部36は、1プレーンオフセットモードで3D再生を行う場合、ビデオ生成部34から供給される左目用のビデオデータを、所定のオフセット値だけ左右方向のいずれか一方向にシフトさせ、右目用のビデオデータを他方向にシフトさせる。また、表示データ生成部36は、字幕生成部41から供給される字幕データを、所定のオフセット値だけ左右方向のいずれか一方向にシフトさせて左目用の字幕データとし、他方向にシフトさせて右目用の字幕データとする。表示データ生成部36は、字幕データと同様に、メニューデータから左目用のメニューデータと右目用のメニューデータを生成する。そして、表示データ生成部36は、生成された左目用のビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータを合成し、左目用の表示データを生成する。また、表示データ生成部36は、生成された右目用のビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータを合成し、右目用の表示データを生成する。
【0035】
表示データ生成部36は、以上のようにして得られる左目用の表示データと右目用の表示データを3D表示データとして表示部51に供給する。
【0036】
オーディオ生成部37は、PIDフィルタ33から供給されるオーディオデータのPESパケットを復号し、その結果得られるオーディオデータをスピーカ52に供給する。
【0037】
表示部51は、3Dディスプレイなどにより構成される。表示部51は、表示データ生成部36から供給される3D表示データに基づいて出力を行う。その結果として、ユーザは、3D画像を見ることができる。
【0038】
スピーカ52は、オーディオ生成部37から供給されるオーディオデータに対応する音声を出力する。
【0039】
記憶部24(記憶手段)は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどにより構成され、記憶部24の一部はPSRを構成する。記憶部24は、再生に関する情報、制御部22により実行されるプログラム、制御部22による処理によって生成される情報などを記憶する。通信部25は、ネットワークカード等で構成される。
【0040】
なお、制御部22により実行されるプログラムは、記憶部24のROMに記憶されるようにすることもできるし、記憶部24のハードディスクやドライブ26に装着されるリムーバブルメディア53に記録され、記憶部24のRAMにロードされることにより実行されるようにすることもできる。
【0041】
リムーバブルメディア53としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0042】
また、制御部22により実行されるプログラムは、上述したようなリムーバブルメディア53から再生装置20にインストールする他、通信網や放送網を介して、再生装置20にダウンロードし、記憶部24のハードディスクにインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して再生装置20に無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、再生装置20に有線で転送することができる。
【0043】
[PSRに記憶される情報の構成例]
図4は、PSRに記憶される情報の第1の構成例を示す図である。
【0044】
図4の例では、PSRのうちのPSR24のb7に、BD-J Capability during 1plane+offset presentationという、BD-Jオブジェクト実行時に1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表すフラグ(以下、1プレーンオフセット能力フラグという)が記憶される。また、PSR24のb5に、従来のBD-J能力フラグに代えて、BD-J Capability during Stereoscopic presentationという、BD-Jオブジェクト実行時に2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表すフラグ(以下、2プレーン能力フラグという)が記憶される。
【0045】
図5は、PSRに記憶される情報の第2の構成例を示す図である。
【0046】
図5の例では、PSRのうちのPSR24のb7に1プレーンオフセット能力フラグが記憶され、PSR24のb8に2プレーン能力フラグが記憶される。なお、PSRのうちのb5には、従来通りBD-J能力フラグが記憶される。
【0047】
図6は、PSRに記憶される情報の第3の構成例を示す図である。
【0048】
図6の例では、図4の場合と同様に、PSRのうちのPSR24のb5に、従来のBD-J能力フラグに代えて、2プレーン能力フラグが記憶される。また、PSRXX(XXは24以外の任意の値)のb0に1プレーンオフセット能力フラグが記憶される。
【0049】
以上のように、再生装置20では、PSRにおいて、1プレーンオフセット能力フラグと2プレーン能力フラグが記憶されるので、再生装置20は、自分自身の3D再生の能力を正確に認識することができる。
【0050】
具体的には、再生装置20は、2D再生機能および1プレーンオフセットモードでの3D再生機能を有しているので、1プレーンオフセット能力フラグとして、3D再生が可能であることを表す1を記憶し、2プレーン能力フラグとして、3D再生が可能ではないことを表す0を記憶する。従って、再生装置20は、1プレーンオフセット能力フラグと2プレーン能力フラグとに基づいて、自分自身の3D再生の能力が1プレーンオフセットモードでのみ3D再生を行うことが可能な能力であることを認識することができる。
【0051】
[再生装置の能力とフラグの関係]
図7乃至図10は、ディスク11を再生する再生装置の能力と1プレーンオフセット能力フラグおよび2プレーン能力フラグとの関係の例を示す図である。
【0052】
図7に示すように、ビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータの全てに対して、2D再生、1プレーンオフセット3D再生、および2プレーン3D再生を行うことが可能な再生装置では、ディスク11に対して、2D再生、1プレーンオフセットモードでの3D再生、および2プレーンモードでの3D再生を行うことができる。従って、このような再生装置のPSRには、1プレーンオフセット能力フラグおよび2プレーン能力フラグとして、3D再生が可能であることを表す1が記憶される。
【0053】
また、図8に示すように、ビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータの全てに対して、2D再生と1プレーンオフセット3D再生を行うことができるが、ビデオデータ以外の字幕データとメニューデータに対しては、2プレーン3D再生を行うことができない図3の再生装置20のような再生装置では、ディスク11に対して、2D再生と1プレーンオフセットモードでの3D再生のみ行うことができる。従って、このような再生装置のPSRには、1プレーンオフセット能力フラグとして1が記憶され、2プレーン能力フラグとして0が記憶される。
【0054】
さらに、図9に示すように、ビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータの全てに対して、2D再生と2プレーン3D再生を行うことができるが、ビデオデータ以外の字幕データとメニューデータに対しては、1プレーンオフセット3D再生を行うことができない再生装置では、ディスク11に対して、2D再生と2プレーンモードでの3D再生のみ行うことができる。従って、このような再生装置のPSRには、1プレーンオフセット能力フラグとして0が記憶され、2プレーン能力フラグとして1が記憶される。
【0055】
また、図10に示すように、ビデオデータ、字幕データ、およびメニューデータの全てに対して、2D再生を行うことができるが、1プレーンオフセット3D再生および2プレーン3D再生を行うことができない再生装置では、ディスク11に対して、2D再生のみ行うことができる。従って、このような再生装置のPSRには、1プレーンオフセット能力フラグおよび2プレーン能力フラグとして0が記憶される。
【0056】
[再生装置の処理の説明]
図11は、図3の再生装置20による3D再生モード設定処理を説明するフローチャートである。この3D再生モード設定処理は、例えば、ディスク11がドライブ31に装着され、制御部22がBD-Jオブジェクトを実行することによりディスク11を3D再生するときに、BD-Jオブジェクトまたはムービーオブジェクトを実行することにより行われる。
【0057】
図11のステップS11において、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを判定する。
【0058】
具体的には、再生装置20が図4に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図12のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」であるかどうか、即ちb7とb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」である場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定する。また、制御部22は、例えば、図13のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0x20」であるかどうか、即ちb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0x20」である場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」および「0x20」ではない場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0059】
また、再生装置20が図5に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図14のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0x1A0」であるかどうか、即ちb8,b7、およびb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0x1A0」である場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定する。また、制御部22は、例えば、図15のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0x120」であるかどうか、即ちb8とb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0x120」である場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSR24に記憶されている情報が「0x1A0」および「0x120」ではない場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0060】
さらに、再生装置20が図6に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図16のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0x20」であるかどうか、即ちb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0x20」である場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSR24に記憶されている情報が「0x20」ではない場合、制御部22は、2プレーンモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0061】
ステップS11で2プレーンモードでの3D再生が可能であると判定された場合、ステップS12において、制御部22(設定手段)は、再生モードを2プレーンモードに設定し、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS11で2プレーンモードでの3D再生が可能ではないと判定された場合、ステップS13において、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを判定する。
【0063】
具体的には、再生装置20が図4に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図17のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0x80」であるかどうか、即ちb7に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0x80」である場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSR24に記憶されている情報が「0x80」ではない場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0064】
また、再生装置20が図5に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図18のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」であるかどうか、即ちb7とb5に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」である場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSR24に記憶されている情報が「0xA0」ではない場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0065】
さらに、再生装置20が図6に示したPSRを有する場合、制御部22は、例えば、図19のシンタックスが記述されたオブジェクトを実行することにより、PSRXXに記憶されている情報が「0x01」であるかどうか、即ちb0に1が記憶されているかどうかを判定する。そして、PSRXXに記憶されている情報が「0x01」である場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であると判定する。一方、PSRXXに記憶されている情報が「0x01」ではない場合、制御部22は、1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能ではないと判定する。
【0066】
ステップS13で1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であると判定された場合、ステップS14において、制御部22は、再生モードを1プレーンオフセットモードに設定し、処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS13で1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能ではないと判定された場合、ステップS15において、制御部22は、再生モードを、2D再生を行う2Dモードに設定する。そして、処理は終了する。
【0068】
以上のようにして再生モードが設定された後、制御部22は、BD-Jオブジェトを実行することにより、再生部23を制御し、設定された再生モードでの再生を行う。具体的には、再生装置20の1プレーンオフセット能力フラグは1であり、2プレーン能力フラグは0であるので、制御部22は、再生モードを1プレーンオフセットモードに設定し、1プレーンオフセットモードで3D再生を行う。
【0069】
以上のように、再生装置20は、1プレーンオフセット能力フラグと2プレーン能力フラグをPSRに記憶し、1プレーンオフセット能力フラグと2プレーン能力フラグとに基づいて3D再生時の再生モードを設定する。従って、再生装置20は、再生装置20の能力に応じた1プレーンオフセットモードでの3D再生を行うことができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、再生装置が、2D再生機能および1プレーンオフセットモードでの3D再生機能を有したが、本発明は、2D再生機能および2プレーンモードでの3D再生機能を有する再生装置や、2D再生機能、1プレーンオフセットモードでの3D再生機能、および2プレーンモードでの3D再生機能を有する再生装置にも適用することができる。
【0071】
そして、これらの再生装置においても、再生装置20と同様に、再生装置の能力に応じた3D再生を行うことができる。その結果、ディスク11を再生する再生装置の製造者は、BD-Jオブジェクト実行時に1プレーンオフセットモードでのみ3D再生が可能である再生装置や、2プレーンモードでのみ3D再生が可能である再生装置を製造することができる。
【0072】
なお、上述した説明では、AVストリームは、符号化された左目用のビデオデータおよび右目用のビデオデータ、並びに、それに対応するオーディオデータ、字幕データ、およびメニューデータが多重化されることにより構成されたが、AVストリームは、符号化された左目用のビデオデータ、右目用のビデオデータ、オーディオデータ、字幕データ、およびメニューデータだけでなく、主画像の背景画像のデータである背景データが多重化されることにより構成されるようにしてもよい。
【0073】
本明細書において、プログラム記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0074】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
20 再生装置, 22 制御部, 24 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、前記ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記1プレーンオフセット能力フラグと前記2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードを設定する設定手段と
を備える再生装置。
【請求項2】
前記ディスクは、BD-ROM(Blu-Ray Disc Read Only Memory)であり、
前記記憶手段は、PSR(Player Setting Register)である
請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記1プレーンオフセット能力フラグは、BD-Jオブジェクト実行時に1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表し、
前記2プレーン能力フラグは、BD-Jオブジェクト実行時に2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表し、
前記設定手段は、BD-Jオブジェクト実行中の前記3D再生時の再生モードを設定する
請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
設定手段は、前記2プレーン能力フラグが前記2プレーンモードでの3D再生が可能であることを表す場合、前記3D再生時の再生モードを前記2プレーンモードに設定し、前記2プレーン能力フラグが前記2プレーンモードでの3D再生が可能ではないことを表し、かつ、前記1プレーンオフセット能力フラグが前記1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であることを表す場合、前記3D再生時の再生モードを前記1プレーンオフセットモードに設定する
請求項1に記載の再生装置。
【請求項5】
ディスクに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、前記ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグを記憶する記憶手段を備える再生装置が、
前記記憶手段に記憶されている前記1プレーンオフセット能力フラグと前記2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードを設定する設定ステップ
を含む再生方法。
【請求項6】
ディスクに記録されている画像を水平方向にシフトすることにより得られる2枚の画像のうちの一方を左目用の画像とし、他方を右目用の画像として出力するモードである1プレーンオフセットモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す1プレーンオフセット能力フラグと、前記ディスクに記録されている左目用の画像と右目用の画像をそのまま出力するモードである2プレーンモードでの3D再生が可能であるかどうかを表す2プレーン能力フラグを記憶する記憶手段を備える再生装置を制御するコンピュータに、
前記記憶手段に記憶されている前記1プレーンオフセット能力フラグと前記2プレーン能力フラグとに基づいて、3D再生時の再生モードを設定する設定ステップ
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−85206(P2012−85206A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231403(P2010−231403)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】