説明

再生装置及び再生方法

【課題】複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツの再生を停止した後、再生を再開する際に、適切な視点で映像を再生可能な再生装置及び再生方法を提供すること。
【解決手段】記録再生装置1は、複数視点映像又は任意視点映像を再生する機能を有する。視点情報記憶部19は映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶する。制御部17は、映像の再生を再開する際、中断期間に行われたユーザの操作指示動作や中断期間の長さに応じて、第1の視点又は再生映像について予め指定される第2の視点を選択し、当該視点の映像を再生するように制御する。制御部17は視点切替制御部11に対して視点切替を指示し、GUI制御部12には、ユーザへの視点切替通知を出すように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数視点又は任意視点の映像データを再生する再生装置及び再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送を受信可能なテレビ(デジタルテレビジョン装置)が普及している。現在、本格的なデジタル放送時代を迎え、様々な次世代放送システムの研究開発が行われている。その中の1つとして、複数のカメラの視点からを視聴者が視点を選択できる「複数視点映像」(例えば、多視点映像)や、視点を任意に指示できる「任意視点映像」の表示技術が注目されている。特許文献1には、放送用の映像と該映像に対する視点情報を含む放送ストリームを受信する装置が開示されている。この装置では、任意視点映像の配信要求を行う際に、任意視点映像の視点の初期値として放送ストリームから抽出した視点情報を利用する。
今後、次世代のデジタル放送サービスとして、多視点映像や任意視点映像の提供が普及すると予想され、次世代の記録再生装置では、多視点映像や任意視点映像に係るデータを記録再生可能な装置が要望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―150747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数視点映像や任意視点映像の再生装置において、映像データを再生した後、中断期間をおいて再生を再開する場合、視聴者が中断期間中に別の番組やコンテンツを視聴してしまうと以下のような問題が起こり得る。例えば、視聴者が中断後に再生した番組が多視点映像の番組であることを忘れてしまう可能性や、多視点映像の再生画面を通常の放送番組の視点と勘違いして視聴しつづけてしまうといった可能性がある。その結果、視聴者は通常放送の視聴や、他の多視点映像を見る機会を見逃してしまい、多視点映像放送サービスを有効に利用できなくなる虞がある。また視点によっては、全体の様子を視聴者が把握できなくなる視点もあり、中断期間が長いほど、番組全体の流れや時間的な前後関係がわからなくなってしまうことも起こり得る。
【0005】
そこで本発明は、複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツの再生を停止した後、再生を再開する際に、適切な視点で映像を再生可能な再生装置及び再生方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明に係る装置は、複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツを視聴する際に、指定された視点の映像を再生可能な再生装置であって、前記映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶する視点情報記憶手段と、前記映像の再生を再開する際、再生の中断期間に他のコンテンツを視聴する操作指示動作が行われたか否かを判定し、前記操作指示動作が行われた場合、前記映像について予め指定される第2の視点の映像を再生し、前記操作指示動作が行われない場合、前記視点情報記憶手段から読み出した情報の示す前記第1の視点の映像を再生するように制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、映像の再生を再開する際に、適切な視点で映像を再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図2及び3と併せて本発明の第1実施形態に係る記録再生装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】コンテンツ再生時の出力となる映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【図3】視点情報をユーザに通知するGUI表示例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態における映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態における映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第4実施形態における映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第5実施形態における映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第6実施形態における映像の視点切替制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、複数視点映像の一例としての多視点映像、又は任意視点映像の処理装置及び方法を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る記録再生装置の構成例を示す機能ブロック図である。本装置は複数視点映像や任意視点映像に係るデータを記録して再生するが、本発明は複数視点映像や任意視点映像を再生可能な各種装置に適用可能である。第1実施形態では、映像の再生が中断した場合、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点又は再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。
【0011】
記録再生装置1は、映像データの入出力処理に関するインターフェイス(以下、「I/F」と記す)及びユーザ操作のためのユーザI/Fを有する。RF(Radio frequency)I/F部2は、放送波のRF信号を受信するためのインターフェイスであり、不図示の外部アンテナからRF信号を受信する。通信I/F部3は、インターネット等のネットワークを通じてデータを受信し又は放送局のサーバからネットワーク経由で送られてくる、放送番組の映像データ及びその他の情報を受信するためのインターフェイスである。通信I/F部3は制御部17と接続されており、ネットワークからの制御データを制御部17に転送する。また通信I/F部3は、制御部17からのデータを、ネットワーク経由で放送局のサーバに送信する。
【0012】
受信部4は、RFI/F部2及び通信I/F部3から送られてきた信号を、TS(トランスポートストリーム)信号へ戻す。また受信部4は制御部17の指示に従って、受信する放送局のチャンネルを選択する。
DEMUX(デマルチプレクサ)部5は、TS信号から映像信号及び音声信号のパケット信号のブロックに分割し、映像信号、音声信号、番組データ等に分離する。番組データは番組情報取得・予約部16及び記録・再生制御部6へ送られ、映像信号及び音声信号は記録・再生制御部6及び映像切替制御部8へ送られる。
【0013】
記録・再生制御部6は、DEMUX部5からの映像信号、音声信号、番組データを、制御部17の指令に基づき、データ記録部7へ記録するよう指示する。また記録・再生制御部6は制御部17の指示に基づき、データ記録部7に指示し、番組の映像データ及び番組情報のデータの読み出しを制御する。番組情報はコンテンツのジャンル等を示すデータを含む。記録・再生制御部6はデータ記録部7から読み出した映像データを映像切替制御部8へ送り、読み出した番組情報データを制御部17へ送る。データ記録部7は、記録・再生制御部6の指示を受けてデータを格納し、また保存しているデータを読み出して、記録・再生制御部6へ送出する。
【0014】
映像切替制御部8は、DEMUX部5からの映像信号及び音声信号、記録・再生制御部6からの映像信号及び音声信号、番組情報取得・予約部16からの番組表や番組ガイド等の映像信号を、制御部17の指示に従って選択して後段のデコード部9へ送る。デコード部9は、符号化された映像信号(MPEGやH.264、AVCHD等)、及び音声信号の復号化(デコード)を行い、ビデオフォーマット信号や音声信号に変換し、後段の任意視点映像生成部10、視点切替制御部11に送る。また、符号化されていない映像信号の場合、映像切替制御部8はデコード処理せずに後段の任意視点映像生成部10、視点切替制御部11に映像信号を送る。
【0015】
任意視点映像生成部10は、ユーザの希望する視点の映像データを、デコード部9から送られてくる任意視点用の映像信号と、視点情報、並びに制御部17から送られてくる所望の視点の位置及び角度の情報に基づいて生成する。視点切替制御部11は制御部17の指示に従って、デコード部9から送られてくる多視点映像、又は任意視点映像生成部10から送られてくる任意視点映像を選択して出力する。多視点映像の場合、視点切替制御部11は制御部17の指示に基づき、複数の視点から1つ以上の視点の映像に係るデータを選択して後段のブレンド部13に送る。また視点切替制御部11は制御部17の指示に基づき、映像の選択後、指定された視点の映像に係る縮小又は拡大処理を行ってから後段のブレンド部13に送る。
【0016】
GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)制御部12は、制御部17の指示を受け、グラフィックスデータを作成する。該データはチャンネル表示、多視点映像や任意視点映像の視点ごとのカメラアングルやカメラの位置等のグラフィックス表示、番組表、記録されたコンテンツの一覧等に用いるデータであり、作成されたグラフィックスデータはブレンド部13へ送られる。ブレンド部13は、視点切替制御部11からの映像データと、GUI制御部12からのグラフィックデータを受け、制御部17の指示に基づいて映像を合成する。ブレンド部13は合成後の映像信号を入出力I/F部15へ送る。
【0017】
ユーザI/F部14は、ユーザからの操作指示を受け付けて制御部17に伝える入力機能をもつ。ユーザはリモートコントローラ等の操作手段を用いて、例えばチャンネル切替え、番組予約や番組の記録又は再生や停止、コンテンツ消去、視点の指定や選択等を指示する。入出力I/F部15は、不図示の外部装置に対する出力機能と、外部装置からの信号を受け付ける入力機能をもつ。入出力I/F部15は、ブレンド部13から出力された映像信号を、外部装置へ出力する。また入出力I/F部15は表示装置との接続時に、表示装置から入出力I/F部15に送信される操作指示信号(表示装置側のチャンネル切替の指示信号等)やステータス信号を中継して制御部17に送信する。入出力I/F部15はまた、制御部17から表示装置へ指示を送信するインターフェイス部でもある。
【0018】
番組情報取得・予約部16は、DEMUX部5から受けたデータから、番組表や番組情報を取得してメモリに記録する。また番組情報取得・予約部16は制御部17の指示を受け、番組表や番組情報を出力する。この他、番組情報取得・予約部16は制御部17の指示を受けて、番組表からの予約を受け付ける。
制御部17は、ユーザI/F部14や入出力I/F部15から操作指示信号を受け、符号3、4、6、8、10乃至16に示す各構成部や、後述の記憶部18、19を制御する。
【0019】
次に、本発明における特徴的な構成要素である、ユーザアクション記憶部18及び視点情報記憶部19について説明する。
ユーザアクション記憶部18は、ユーザI/F部14から受けた、ユーザの操作指示動作(以下、ユーザアクションという)を示すデータを、操作時の時刻情報とともに記憶する。ユーザアクションとしては、例えばチャンネル切替や、入力切替、再生、一時停止、停止、早送り、巻き戻し、視点切替、任意視点指定、番組予約、番組表の表示、コンテンツ一覧確認、電源OFF操作等が挙げられる。ユーザアクションには、映像変更等に係るボタンやスイッチの操作に限らず、操作指示の意図でユーザが行うジェスチャ等、撮像及び解析の対象となる広義の操作指示動作も含む。ユーザアクションのデータは、ユーザI/F部14から制御部17を介してユーザアクション記憶部18に送られる。また表示装置等からの操作指示のデータについては、入出力I/F部15から制御部17を介してユーザアクション記憶部18に送られて保存される。ユーザアクション記憶部18は、制御部17の指示を受けて、記憶済みのユーザアクションのデータを読み出して制御部17へ送る。
【0020】
視点情報記憶部19は、多視点映像で記録したコンテンツにおいて、視聴者が最後に視聴した時又は再生中断時点での視点情報を記憶する。この視点情報は制御部17から視点情報記憶部19に送られる。視点情報記憶部19は制御部17の指示に基づいて、記憶した視点情報を制御部17へ送る。
【0021】
次に、図2のフローチャートを用いて視点切替動作の制御を説明する。これは、コンテンツ視聴の中断状態に応じて、コンテンツの再生を再開する際に自動的に視点を切り替える動作であり、制御部17が実行するプログラムに従って行われる。
S100でユーザが再生の停止指示を出すと、ユーザI/F部14は指示信号を受信し、制御部17が指示内容を確認する。S101で制御部17は、ユーザから再生停止の指示を受け付けた時点でのタイムコード、視点情報、停止時刻の情報を保存する。制御部17の指示に従って視点情報記憶部19は視点情報を記憶し、記録・再生制御部6がタイムコードを記憶し、ユーザアクション記憶部18は停止時刻の情報を、再生停止の操作指示情報とともに記憶する。
【0022】
S102で制御部17は、再生の中断期間におけるユーザアクションのデータを取得してユーザアクション記憶部18に保存する。表示装置との接続時には、記録再生装置1に関するユーザアクションだけでなく、表示装置側で行われたユーザアクションのデータも制御部17が取得して、ユーザアクション記憶部18に記憶させる。
S105でユーザI/F部14は、ユーザが再生の再開指示を出したことを受信する。ユーザI/F部14はユーザの操作指示を受信し、制御部17は再生の再開指示を確認する。このとき、ユーザから視点の指示があった場合、その確認も制御部17が行う。S106で、視聴の中断期間におけるユーザアクションの情報を読み込む処理が行われる。制御部17はユーザアクション記憶部18に要求を出し、前記S102で保存しておいた情報、つまり中断期間中のユーザアクションの履歴情報を読み込む。
【0023】
S107は、ユーザが所望の視点を指定したか否かの判断処理であり、ユーザI/F部14がユーザの操作指示を受け付け、制御部17がその確認及び判断を行う。ユーザ操作により視点が指定された場合、S111へ進み、視点が指定されない場合、S108へ進む。
S108で制御部17は、中断期間内に行われたユーザアクションを調べ、他のコンテンツを視聴する操作や行為等がユーザによってなされた否かを判断する。他のコンテンツを視聴する操作や行為とは、設定されているチャンネルの切り替え、他の記録されたコンテンツを視聴する操作や行為、表示装置のチャンネルの切り替え、表示装置で他に接続された装置の画像を視聴する操作や行為等である。そのような操作や行為がなされたと判断された場合、S109へ進むが、他のコンテンツを視聴する操作や行為が無かったと判断された場合にはS112に進む。
【0024】
S109では、前記S101で記憶した直前の再生時の視点情報、タイムコード、停止時刻等、再生状態を示す情報の読み込み処理が行われる。制御部17は、記録・再生制御部6、ユーザアクション記憶部18、視点情報記憶部19へアクセスし、タイムコード、停止時刻、視点情報をそれぞれ取得する。S110では、通常の視点でコンテンツデータの再生が再開し、直前の再生時のタイムコードが示す時点から再生が開始する。「通常の視点」とは、放送局やコンテンツ製作者が指定するデフォルトの視点を表す。制御部17は記録・再生制御部6へ再生指示を出し、視点切替制御部11に対して再生時の視点の指示を送り、必要な視点の映像データを後段のブロックに選択して出力させ、S113に進む。なお、ユーザから任意視点の指示が行われた場合、制御部17は任意視点映像生成部10へ指示を出して画像データを生成させる。また制御部17は視点切替制御部11に対し、任意視点映像生成部10からの映像データを後段に出力するよう指示を出す。
【0025】
S111では、ユーザが指定した視点でコンテンツデータの再生が開始する。再生の開始時点は、直前の再生時のタイムコードが示す時刻である。そしてS114へ進む。またS112では、直前の再生時に設定されていた視点でコンテンツデータの再生が開始する。再生の開始時点は、直前の再生時のタイムコードが示す時刻である。そしてS114へ進む。
【0026】
S113は、視点の切替や、直前の視点情報をユーザにメニュー画面等で通知する処理である。ユーザは、この通知により、前記S109で視点を切り替えて通常の視点でコンテンツデータが再生されていること、及び直前の視点情報等を、GUI画面や図等を見て把握する。図3は視点情報に係るGUI画面例として、サーキットコースにおけるカメラ配置を概略的に示す。カメラの記号で示す視点50乃至65は、ユーザがカメラの撮影画像を視聴可能な視点を示す。視点55は再生中断の直前における視点を示し、視点54は前記した通常の視点を示す。このような表示により、ユーザは、視点が切り替わったことや、切替前後における視点の配置、視聴可能な他の視点の存在等を、視覚的に把握できる。制御部17は、GUI制御部12へ指示を出してGUIデータを作成させ、該データはブレンド部13へ送られる。ブレンド部13は制御部17の指示を受けて、コンテンツの映像データと、GUI制御部12が生成したGUIデータを合成して、映像信号を出力する。画面合成方法については、2画面で合成する方法、或いはコンテンツの映像に上書きするようにGUIデータの映像を合成する方法がある。また再生後の一定時間(例えば1分間)だけGUIデータを表示し、一定時間の経過後に、視点情報の図及び直前の視点の映像を画面から消去し、通常の視点の映像のみに切り替える方法を用いることもできる。
【0027】
S111乃至113の後、S114に進み、制御部17の指示を受けた入出力I/F部15は、ブレンド部13からの映像信号を不図示の表示装置に出力する。
第1実施形態によれば、ユーザアクションに応じて、再生中断後の再開時の視点を通常の視点とするか、又は直前の視点とするが決定されて映像の再生が開始する。そして多視点や任意視点の情報をユーザに通知することにより、ユーザが多視点又は任意視点のコンテンツであることを忘れて視聴し続けてしまう事態が起きないよう防止できる。よってユーザには、多視点又は任意視点のコンテンツを有効に視聴できる機会が与えられるので、利便性が高まる。
【0028】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では映像の再生が中断した場合、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点又は再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。コンテンツの視聴中断期間の長さに応じて、コンテンツの再生が再開する際に自動で視点が切り替わる。なお装置の構成は第1実施形態の場合と同様であり、以下、図4のフローチャートを用いて動作を説明する。図2との相違点は、S101(再生状態保存)からS105を経てS107に進むこと、及びS107からS109の後に続くS206乃至208のステップである。よって第1実施形態と同様の処理については説明を省略し、以下では主に相違点を説明する。
【0029】
S101の後、S105に進み、ユーザは再生の開始指示を出し、制御部17はユーザI/F部14から指示信号を受信する。次のS107では、ユーザが映像を見たい視点を指定したか否かが判断され、所望の視点が指定された場合、S111へ進むが、視点の指定がなければS109に進む。ここで、記憶した直前の再生時の視点情報、タイムコード、停止時刻の情報が、再生状態を示す情報として読み込まれた後、S206へ進む。
S206で制御部17は、タイムコードがコンテンツのスタートの位置であるか否かを判断する。タイムコードがスタートの位置を示す場合、S110に進む。タイムコードがスタートの位置でなく、コンテンツの途中位置である場合にはS207へ進む。ここで制御部17は再生の中断期間を演算する。「中断期間」とは、直前の再生停止時刻から再生再開時刻までの期間であり、その期間長は両時刻間の差分時間を表す。
【0030】
S208で制御部17は、前記S207にて算出した中断期間の長さを、予め指定された期間(以下、指定中断期間といい、Btと記す)と比較する。その結果、中断期間の長さがBt以上であると判定された場合、S110に進んで通常の視点でコンテンツの再生が開始し、次のS113にて視点情報がユーザに通知される。一方、中断期間の長さがBt未満であると判定された場合にはS112へ進み、直前の再生時の視点でコンテンツの再生が開始する。
【0031】
第2実施形態によれば、算出した中断期間の長さに応じて、再生中断後の再開時の視点を通常の視点とするか、又は直前の視点とするが決定されて映像の再生が開始する。すなわち中断期間の長さが所定の基準時間未満の場合には、中断直前の視点で再生が開始する。そして多視点や任意視点情報をユーザに通知することにより、ユーザが多視点又は任意視点のコンテンツであることを忘れて視聴し続けてしまう事態が起きないように防止できる。
【0032】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点、又は該第1の視点及び再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。つまり装置はユーザアクションに応じて、再生中断後の再開時における視点を、中断直前の視点として再生すするか、又は通常の視点及び直前の視点として映像を2画面で再生し、多視点又は任意視点情報をユーザに通知する。装置の構成は第1実施形態の場合と同様であり、以下、図5のフローチャートを用いて動作を説明する。なお図2と相違するS310、S313を説明する。
【0033】
S109の後、S310に進み、通常の視点及び直前の視点で映像の再生が開始する。再開の時点は、直前の再生時のタイムコードが示す時刻である。制御部17は記録・再生制御部6へ再生の指示を出す。そして制御部17は視点切替制御部11に対し、再生時の視点の指示を送り、該視点の映像データを選択してブレンド部13へ出力するように制御する。直前の視点が任意視点の場合、制御部17は任意視点映像生成部10へ指示を出して画像データを生成させる。制御部17は視点切替制御部11に対し、任意視点映像生成部10からの映像データと、通常の視点の映像データをブレンド部13に出力するように指示する。そしてS313に進む。
【0034】
S313では、直前の視点と通常の視点の情報が、図3に示すGUI画面等を用いてユーザに提示される。ブレンド部13は、直前の視点の映像と、通常の視点の映像と、視点情報を示す作成済み映像を表示画面に表示できるよう、映像を合成して入出力I/F部15に出力する。制御部17がGUI制御部12に対し、視点情報を図で通知する表示映像の作成指示を出し、GUI制御部12は該表示映像のデータを作成してブレンド部13に送る。ブレンド部13は制御部17の指示に従い、画面上にて直前の視点の映像、通常の視点の映像、GUI制御部12が生成した視点情報に係る表示映像を合成する。ブレンド部13は必要に応じて、各視点の映像を縮小して合成する。また一定時間(例えば、1分間)の経過後、ユーザからの要求がない場合、通常の視点の映像のみが、入出力I/F部15から出力される。
【0035】
第3実施形態によれば、中断期間におけるユーザアクションに応じて、直前の視点及び通常の視点の映像が同時に再生されるか、又は直前の視点で映像の再生が開始する。中断期間にユーザにより他のコンテンツを視聴する操作や行為がなされた場合、再開時には、直前の視点及び通常の視点の映像が2画面で一定時間に亘って再生されるため、ユーザは多視点又は任意視点の映像を比較して見ることができる。よって多視点又は任意視点の映像効果をユーザに伝える機会が増える。
【0036】
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点、又は該第1の視点及び再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。本装置は、コンテンツ視聴の中断期間の長さに応じて、再生を再開する時の視点を、中断直前の視点として再生するか、又は通常の視点及び直前の視点として各視点の映像を2画面で再生する。その際、多視点情報又は任意視点情報がユーザに通知される。装置の構成は第1実施形態の場合と同様であり、以下、図6のフローチャートを用いて動作を説明する。なお図4と相違するS409、S412のみを以下に説明する。
【0037】
S208にて中断期間の長さがBt以上であると判定された場合、S409に進み、通常の視点及び直前の視点で映像の再生が開始する。再開の時点は、直前の再生時のタイムコードが示す時刻である。次にS412に進み、直前の視点と通常の視点の情報が、図3に示すGUI画面等を用いてユーザに提示される。そしてS114に進む。
【0038】
第4実施形態によれば、中断期間の長さが基準時間以上であると判定された場合、中断後の再生時に、直前の視点及び通常の視点の映像が同時に再生されて、2画面で表示される。その際、多視点又は任意視点の情報がユーザに通知される。よって第3実施形態と同様にユーザの利便性がさらに高まる。
【0039】
(第5実施形態)
次に本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態では、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点、又は再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。本装置はユーザアクション、及びコンテンツ視聴の中断期間長に応じて、コンテンツの再生を再開する際に自動で視点を切り替える。装置の構成は第1実施形態の場合と同様であり、以下、図7のフローチャートを用いて動作を説明する。図2との相違点はS506と、S108に続くS207及び208であり、以下では、これらの処理を主に説明する。
S105の後、S506にてユーザアクションのデータ、及び視点情報、タイムコード、再生の停止時刻の情報について読み込み処理が行われる。これは、図2のS106及びS109を一括で行う処理である。
【0040】
S108でユーザによって他のコンテンツを視聴する操作や行為がなされたと判断された場合、S207に進み、再生の中断期間が算出され、S208で中断期間の長さが前記Btと比較される。その結果、中断期間の長さがBt以上であればS109に進み、中断期間の長さがBt未満であれば、S112に進む。なお本例ではS208とS110との間に、S109(再生状態読み込み)の処理が位置するが、S208で中断期間の長さがBt以上であると判定された場合、S109を省略してS110に進んでもよい。
【0041】
第5実施形態によれば、再生の中断期間におけるユーザアクション及び中断期間長に応じて、再生の再開時における視点を通常の視点とするか、又は直前の視点とするかが決定されて、映像の再生が開始する。よって第1実施形態及び第2実施形態の効果が得られる。
【0042】
(第6実施形態)
次に本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態では、再生を再開する際、中断前に指定されていた第1の視点、又は再生映像について予め指定される第2の視点が選択される。本装置はコンテンツのジャンルと、直前の視聴時の視点と、再生の中断期間長に応じて、コンテンツ再生を再開する際の視点を自動で切り替える。装置の構成は第1実施形態の場合と同様であり、以下、図8のフローチャートを用いて動作を説明する。図4との相違点はS207とS110の間にあるS608乃至610であり、これらの処理を説明する。
【0043】
S608では、再生するコンテンツのジャンル及び直前の視点とその視点情報を読み込む処理が行われる。制御部17は記録・再生制御部6に要求を出し、コンテンツのジャンル及び視点情報を記録・再生制御部6から取得する。記録・再生制御部6は制御部17から要求を受けると、データ記録部7から、再生するコンテンツのジャンルと視点及び視点情報を受け取る。また制御部17は視点情報記憶部19に要求を出し、直前の視点及び視点情報を受け取る。
S609で制御部17は指定中断期間(Btk)を算出する。Btkは第2実施形態で説明した指定中断期間Btに対し、コンテンツのジャンルに応じて決定される係数k1、及び直前の視点とその視点情報から決定される係数k2を乗算した下式から算出される。
【0044】
【数1】


係数k1、k2の値は予め決められた固定値でもよいし、また許容範囲内でユーザの指定や必要性に応じた変更も可能である。
視聴するジャンルと係数k1との関係を表1に例示する。
【0045】
【表1】

【0046】
上表1は、コンテンツのジャンルとその詳細情報、視点判別の必要性の有無、中断期間係数1(係数k1)について一例を示す。本例ではスポーツ番組の係数値が他の番組よりも大きい。また視点判別の必要性が「無」の場合に比較して、「有」の場合の方が大きい係数値が設定されている。
視点及びその視点情報と係数k2の関係を表2に例示する。
【0047】
【表2】

【0048】
上表2は、視点種別及びその視点位置と中断期間係数2(係数k2)の関係や、視点方向と中断期間係数2(係数k2)の関係を例示する。なお、本例では2つの係数を用いたBtkの算出例を説明したが、必要に応じて係数の種類を増やすといった各種形態での実施が可能である。例えば、再生する映像のジャンル及び視点等に応じた調整用係数を、k1、k2、・・・kn(n≧1)と記すとき、Btkの算出式は、これらの係数を予め決められた時間Btに乗算した下式に一般化される。
【0049】
【数2】

【0050】
S610で制御部17は、S207にて算出した中断期間の長さを前記Btkと比較する。中断期間の長さがBtkより短いと判定された場合、S112に進み、中断期間の長さがBtk以上であると判定された場合、S110に進む。
第6実施形態によれば、ユーザが視聴するコンテンツのジャンル、視点や視点情報、再生の中断期間長に応じて、通常の視点又は直前の視点で映像再生が開始する。コンテンツのジャンルに応じて中断期間長の判定基準値が変更されるので、視聴映像の種別に応じて、より詳細な視点の切替制御が可能となる。
【0051】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0052】
1 記録再生装置
6 記録・再生制御部
11 視点切替制御部
12 GUI制御部
17 制御部
18 ユーザアクション記憶部
19 視点情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツを視聴する際に、指定された視点の映像を再生可能な再生装置であって、
前記映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶する視点情報記憶手段と、
前記映像の再生を再開する際、再生の中断期間に他のコンテンツを視聴する操作指示動作が行われたか否かを判定し、前記操作指示動作が行われた場合、前記映像について予め指定される第2の視点の映像を再生し、前記操作指示動作が行われない場合、前記視点情報記憶手段から読み出した情報の示す前記第1の視点の映像を再生するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツを視聴する際に、指定された視点の映像を再生可能な再生装置であって、
前記映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶する視点情報記憶手段と、
前記映像の再生を再開する際、再生の中断期間の長さを判定し、該中断期間の長さが基準時間以上である場合、前記映像について予め指定される第2の視点の映像を再生し、前記中断期間の長さが基準時間未満である場合、前記視点情報記憶手段から読み出した情報の示す前記第1の視点の映像を再生するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作指示動作が行われた場合、前記第1及び第2の視点を指定して2画面で各視点の映像の再生を再開させることを特徴とする、請求項1記載の再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記中断期間の長さが前記基準時間以上である場合、前記第1及び第2の視点を指定して2画面で各視点の映像の再生を再開させることを特徴とする、請求項2記載の再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記映像のジャンルに応じた前記基準時間を用いて前記中断期間の長さを判定することを特徴とする、請求項2又は4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記映像のジャンル又は視点に応じた複数の調整用係数の乗算によって前記基準時間を算出することを特徴とする、請求項5に記載の再生装置。
【請求項7】
視点の切り替えをユーザに通知するために、前記第1及び第2の視点の情報を示す映像データの生成手段を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項8】
前記制御手段が指定した視点の映像信号を出力する視点切替制御手段と、
再生の中断期間に受け付けた操作指示動作の情報を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項記載の再生装置。
【請求項9】
複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツを視聴する際に、指定された視点の映像を再生可能な再生装置により実行される再生方法であって、
ユーザの操作指示を受け付けるステップと、
前記映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶するステップと、
前記映像の再生を再開する際、再生の中断期間に他のコンテンツを視聴する操作指示動作が行われたか否かを判定するステップと、
再生の中断期間に前記操作指示動作が行われた場合、前記映像について予め指定される第2の視点の映像を再生し、前記操作指示動作が行われない場合、記憶しておいた前記第1の視点の映像を再生するステップを有することを特徴とする再生方法。
【請求項10】
複数視点映像又は任意視点映像のコンテンツを視聴する際に、指定された視点の映像を再生可能な再生装置により実行される再生方法であって、
前記映像の再生が中断された場合に、中断前に指定されていた第1の視点の情報を記憶するステップと、
前記映像の再生を再開する際、再生の中断期間の長さを判定し、該中断期間の長さが基準時間以上である場合、前記映像について予め指定される第2の視点の映像を再生し、前記中断期間の長さが基準時間未満である場合、前記ステップで記憶した情報の示す前記第1の視点の映像を再生するステップを有することを特徴とする再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−211338(P2011−211338A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74966(P2010−74966)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】