説明

再生装置

【課題】記録媒体のガイド穴に挿入されて記録媒体の位置決めをするガイド手段に関し、部品点数の削減等によりコストの低減を図ると共にガイド手段のメカシャーシの主面部に対する位置精度の向上を図る。
【解決手段】記録媒体が装着されるメカシャーシの主面部に記録媒体が挿入される挿入端側へ傾いたガイド手段を板金材料から一体成形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生装置に関する。詳しくは、記録媒体のガイド穴に挿入されて記録媒体の位置決めをする再生装置であって、部品点数の削減等によりコストの低減を図ると共にガイド手段のメカシャーシの主面部に対する位置精度の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録又は再生、或はこれらの双方が為される記録再生媒体、例えば、MD(ミニディスク)についての記録、再生を行うMD記録再生装置がある。通常、MDはカセットケース内にディスクが配置されて成り、上記したMD記録再生装置においては、MDのディスクをメカシャーシに設けられた装着部(ターンテーブル)に適正に装着するために、カセットケースをメカシャーシの所定の位置に位置決めする必要がある。
【0003】
装着部に対するMDのディスクの装着は、メカシャーシに離接自在に支持されMDを保持しているホルダーをメカシャーシ側に移動させ、ホルダーがメカシャーシに丁度接したときに行われるようにしている。そして、メカシャーシに対するMDのカセットケースの位置決めは、ホルダーがメカシャーシ側へ移動するときに、メカシャーシに突出して設けられた複数のガイド軸がカセットケースの底面に形成された各位置決め穴にそれぞれ相対的に挿入されることにより行われるようになっている。
【0004】
そして、メカシャーシが板金材料により形成されている場合にガイド軸をメカシャーシに設けるには、従来、例えば、切削加工により別体で形成したガイド軸をネジ止めによりメカシャーシに取り付けることにより行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、メカシャーシが板金材料により形成されている場合に、別体のガイド軸を取り付ける従来の方法では、別体のガイド軸をメカシャーシへ取り付けるための取付ネジが必要となり、部品点数が多くなってしまうといった問題がある。
【0006】
また、メカシャーシに対する取付をネジ止めにより行うため、例えば,装置の使用時の振動等により取付ネジの緩み等が生じてしまった場合に、ガイド軸のメカシャーシに対する位置ずれを発生させてしまうことがあり、ガイド軸のメカシャーシに対する良好な位置精度を確保することが難しいといった不都合もある。
【0007】
さらに、メカシャーシにガイド軸を取り付けるためのネジ止めによる組付工程を行う必要があり、その分の作業時間が必要となってしまうという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、記録媒体のガイド穴に挿入されて記録媒体の位置決めをするガイド手段に関し、部品点数の削減等によりコストの低減を図ると共にガイド手段のメカシャーシの主面部に対する位置精度の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明再生装置は、上記した課題を解決するために、記録媒体が装着されるメカシャーシの主面部に一体成形された軸の傾いたガイド手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
したがって、メカシャーシとは別にガイド手段を形成し、これをメカシャーシの主面部に取り付ける必要がなく、また、取付のための取付ネジも必要ないため、部品点数の削減を図ることができ、これによりコストの低減に寄与する。
【0011】
また、ガイド手段はメカシャーシの主面部に一体に形成されるため、ガイド手段の主面部に対する位置ずれが発生しずらく、ガイド手段の主面部に対する良好な位置精度を確保することができる。さらに、メカシャーシの加工時にガイド手段の加工を行うことができ、また、ガイド手段がメカシャーシの主面部に一体に形成されるため、ガイド手段を主面部に取り付けるための組付作業を行う必要がなく、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。尚、図示した実施の形態は本発明を携帯型のMD(ミニディスク)再生装置に適用したものである。
【0013】
尚、本明細書においては、図1における矢印Fで示す方向を前、矢印Bで示す方向を後、矢印Uで示す方向を上、矢印Dで示す方向を下、矢印Lで示す方向を左、矢印Rで示す方向を右として説明をする。
【0014】
先ず、MD再生装置1の外観について説明する。
【0015】
外筐2は上下2つのケース体、即ち、上側ケース体3と下側ケース体4とを備え、これらケース体3、4が上下で合体されることによって前端が開口した外筐主部5が形成される。外筐主部5の前端には前側ケース体6が配置され、これによって、前面のほぼ上側3分の1の部分と上面の前端部とが開口された外筐2が形成される。
【0016】
外筐2の前端部に形成されMDの挿脱口となる上記開口7を開閉するカバー体8が回動自在に配設される。該カバー体8は、図1に示すように、上記開口7を閉塞した閉塞位置と、図2に示すように、開口7を開放した開放位置との間を回動されるようになっている。また、該カバー体8には、後述するように、閉塞位置へ向けての回動力が弾発的に付勢されている。
【0017】
そして、上記前側ケース体6の前面部上端面9、即ち、上記開口7の下側開口縁は前下がりの傾斜面とされ、、また、カバー体8の下端面10が前上がりの傾斜面とされ、これによって、カバー体8が、上記閉塞位置にある状態において、前側に向かってほぼV字状に開いた挿入凹部11が形成される。
【0018】
MD(ミニディスク)12の装着は以下のようにして為される。
【0019】
MD12の挿入先端を上記挿入凹部11に挿入してから、MD12を押し込む。すると、該押込力がカバー体8の傾斜面を押して、カバー体8に開放位置へ向けての回動力が加えられ、これによって、開口7が開口されて、MD12はそのまま中へと挿入される。そして、MD12がほとんど挿入されると、後は、自動的に引き込まれ、カバー体8が閉塞位置へと移動し、また、MD12は所定の装着位置に装着される。
【0020】
外筐2内にメインシャーシ(筐体)100が配置され、該メインシャーシ100にメカシャーシ200がフローティング支持されている。
【0021】
メインシャーシ100は板金材料を折り曲げて形成され、天板部110と、該天板部110の右側縁から垂設された右側面部120と、天板部110の左側縁から垂設された左側面部130とが一体に形成されて成る(図4参照)。そして、右側面部120及び左側面部130の前端部のほぼ上半部並びに天板部110の前端部が切り欠かれ、更に、右側面部120と左側面部130の前端間に前面部140が架け渡され、これによって、メインシャーシ100の前端部に上方及び前方に開口した開口部111が形成される。更に、天板部110はその右側縁の後端部に切欠部112が形成され、右側面部120は該切欠112の前縁に対応したところまで形成されている。更にまた、天板部110の後縁の右端部には取付片113が垂設されている。
【0022】
また、天板部110の後端寄りの部分の中央から僅かに右に寄った位置に支持片114が垂設され、該支持片114には支持孔114aが形成されている。
【0023】
そして、上記前面部140の左右両端寄りの位置には後方へ突出した支持軸141、141が固着され、該支持軸141、141に弾性材料、例えばブチルゴムから成るダンパー部材142、142が外嵌状に被着されている。ダンパー部材142は、細長い円錐状の外形をした被支持部となる主部142aと該主部142aの底部側外周面に突設され弾接部として機能するフランジ部142bとが一体に形成されており、底面に開口した穴142cを有し、該穴142cに上記支持軸141が軽く圧入された状態で該支持軸141に被着される(図5参照)。
【0024】
メカシャーシ200も板金材料を折り曲げて形成されており、主面部210の4縁には所々に下方へ折曲形成された折曲縁211、211、・・・が形成されている。そして、前側に位置した折曲縁211、211の左右両側縁寄りの位置には円形の支持孔212、212が形成されている。また、後側の折曲縁211の中央から僅かに右に寄った位置には支持軸213が後方へ向けて突設されている。
【0025】
そして、上記支持軸213には上記ダンパー部材142と同様のダンパー部材214が外嵌状に被着されている。該バンパー部材214は、ブチルゴムのような弾性材料により、細長い円錐状の外形をした被支持部となる主部214aと該主部214aの底部側外周面に突設され弾接部として機能するフランジ部214bとが一体に形成されており、底面に開口した穴214cを有し、該穴214cに上記支持軸213が軽く圧入された状態で該支持軸213に被着される。
【0026】
しかして、メインシャーシ100に設けられたダンパー部材142、142の主部142a、142aがメカシャーシ200の支持孔212、212にフランジ部142b、142bが折曲縁211、211に当接するまで嵌合され、更に、メカシャーシ200に設けられたダンパー部材214の主部214aがメインシャーシ100の支持孔114aにフランジ部214bが支持片114に当接するまで嵌合され、これによって、メカシャーシ200がメインシャーシ100に3つのダンパー部材142、142、214を介してフローティング支持される。即ち、それぞれの支持軸141、141、213に直交する方向の振動はダンパー部材142、142、214の主部142a、142a、214aが受け、また、支持軸141、141、213の延びる方向の振動はダンパー部材142、142、214のフランジ部141b、141b、214bが受けることになり、これによって、あらゆる方向の振動がメカシャーシ200に伝わり難くなる。
【0027】
メカシャーシ200の主面部210の中央部にはスピンドルモータ220が配設され、該スピンドルモータ220の回転軸221にMD12の装着部であるターンテーブル222が取着されている(図6及び図7参照)。
【0028】
メカシャーシ200の主面部210の中央部左側部において光学ピックアップ230が左右方向に、即ち、上記ターンテーブル222上に載置されたMD12の半径方向に移動自在に支持されている。
【0029】
メカシャーシ200の主面部210のうちスピンドルモータ220が配置された部分の左側に中央部から左側縁の手前までの間に矩形の大きな開口部215が形成されており、該開口部215内に移動体である光学ピックアップ230が左右方向に移動可能に配置されている。
【0030】
即ち、移動ベース231に光学ピックアップ230が支持され、該移動ベース231がガイド軸232と補助ガイドレール233とによって左右方向へ移動可能に支持される。
【0031】
上記ガイド軸232は上記開口部215の後縁に沿って延びるように形成され、該ガイド軸232が上記移動ベース231の後端部に形成された被案内部234に摺動自在に挿通され、これによって、移動ベース231の後端部がガイド軸232に摺動自在に支持されている。
【0032】
補助ガイドレール233は上記開口部215の前縁部にメカシャーシ200と一体に形成されている(図8参照)。即ち、横断面形状がクランク状をした部分の上端が被加工物であるメカシャーシ200のベース部である主面部210に形成された開口部215の前縁に連続するように一体に形成し、該クランク状をした部分の後端部の上下両端面を横断面形状で凸の円弧状を成すように成形して補助ガイドレール233が形成されている。
【0033】
該補助ガイドレール233の形成方法を図9乃至図11によって詳細に説明する。
【0034】
先ず、上記開口部215を打抜くときに、基部となるL字状に折り曲げられた部分233aを形成する(図9参照)。次いで、該部分233aの先端部を更に下方へ折り曲げて、折曲片(折曲部)233bを形成する(図10参照)。最後に、上記折曲片233bの上下両端面233c、233dを同時に凸の円弧面にする加工を行う(図11参照)。この時、上側の円弧面233cが部分233aの上面より上方に位置するように、該部分233aのうち水平な部分の基部寄りの部分から折曲片233bに接した部分までの間233eを下方へプレスするようにし、これにより部分233eの上面側に凹部が形成される。このようにして、補助ガイドレール233が形成され、しかも、このような加工は、メカシャーシ200をプレス成形する過程において同時に為すことができる。尚、L字状に折り曲げられた部分233aには折曲片233bが形成された端部を除いた部分に補強用リブである補強用の凹凸233f、233f、・・・が形成されている。このような補強用の凹凸233f、233f、・・・はL字状に折り曲げられた部分233aを形成するときに同時に形成される。
【0035】
また、図12乃至図14に示すように、上記補助ガイドレール233と別の形態の補助ガイドレール240をメカシャーシ200と一体に形成することもできる。
【0036】
即ち、先ず、上記開口部215を打抜くときに、基部となるL字状に折り曲げられた部分241を形成する(図12参照)。次いで、該部分241の先端部を下方から折り返して、折返し片(折曲部)242を形成する(図13参照)。それから、該折返し片242と上記部分241とが密着するようにプレスして(図14参照)、補助ガイドレール240を形成する。このような補助ガイドレール240も、メカシャーシ200をプレス成形する過程において同時に形成することが出来る。従って、部品点数の削減及び組立工数の削減を図ることが出来る。
【0037】
光学ピックアップ230の移動ベース231の前端部には、上下に離間して前方へ向けて平行に突出し補助ガイドレール233に係合する係合部である被案内片235、235が突設され、これら被案内片235、235が上記補助ガイドレール233の上下両面233c、233d、即ち、摺動面に各別に当接される(図8参照)。以上のようにして、光学ピックアップ230は、ガイド軸232と補助ガイドレール233とによって上記開口部215内で左右方向へ移動可能に支持される。
【0038】
上記光学ピックアップ230はピックアップ送り機構250によって左右方向へ移動される(図6、図7及び図15参照)。
【0039】
ピックアップ送り機構250はモータ251と該モータ251によってギヤ列252を介して回転される送りネジ253と上記光学ピックアップ230の移動ベース231に支持され上記送りネジ253と係合するナット部材254とを有する。
【0040】
上記送りネジ253は2つの軸受部255及び256によってメカシャーシ200の主面部210の下面のうち上記開口部215の後縁に沿って延びる位置に回転自在に支持されている。
【0041】
上記2つの軸受部255及び256は何れもメカシャーシ200に一体に形成されている。
【0042】
軸受部255は次のようにしてメカシャーシ200に一体に形成される(図16乃至図18参照)。
【0043】
先ず、板金材料(メカシャーシ200の材料)に2本の平行なスリット255a、255aを形成する(図16参照)。次いで、スリット255a、255aの間に位置した部分(スリット間部分)255bの端部を除いた部分を何度かに分けて絞ってほぼU字状に形成する(図17参照)。この絞り加工と平行して、上記スリットの一方255aに隣接した位置の中央部をU字状部分255bが突出されている側に打ち出して突出部として受部255cが形成される(図18参照)。このようにして、軸受部255が形成され、そのU字状部255b送りネジ253の左側の端部が挿入され、また、該U字状部分255bに挿入された部分のすぐ右側の部分が上記受部255cによって受けられる。
【0044】
また、軸受部256は次のようにしてメカシャーシ200に一体に形成される(図19乃至図21参照)。
【0045】
この場合も、先ず、板金材料(メカシャーシ200の材料)に2本の平行なスリット256a、256aが形成される(図19参照)。次いで、スリット256a、256aの間に位置した部分(スリット間部分)256bを何度かに分けて絞って幅の広いほぼU字状に形成する(図20参照)。それから、両端部を除いた部分を主面部210の方へと絞りながら半円状に成形して受部256cとし、軸受部256が形成される(図21参照)。そして、該受部256cに送りネジ253の右端寄りの部分が支持される。
【0046】
上記した軸受部255及び256は、何れも、メカシャーシ200を形成する際のプレス加工によって同時に形成することが出来る。従って、部品点数の削減及び組立工数の削減をすることが出来る。
【0047】
ナット部材254は板バネ材料で形成され、弾接片254aを有し、該弾接片254aには打ち出し状に係合突条254bが形成されている(図15参照)。このようなナット部材254は、移動ベース231の後端部下面に弾接片254aが後方へ突出するように固定され、弾接片254aの係合突条254bが送りネジ253の螺条253aに下方から弾発的に係合する。
【0048】
メカシャーシ200には板バネ材料から成る予圧バネ257が固定される(図15参照)。該予圧バネ257には上記送りネジ253をスラスト方向に弾発的に押圧する予圧部257aと送りネジ253をメカシャーシ200の主面部210側に弾発的に押圧する押圧部257bとが形成されており、、該予圧バネ257の予圧部257aの先端部が上記送りネジ253の右端に弾接され、これによって送りネジ253はスラスト方向のガタつきが防止される。尚、送りネジ253の左端はメカシャーシ200の左側の側面部である折曲縁211の内面に弾接され、該折曲縁211がスラスト受けの機能を果たす。
【0049】
また、予圧バネ257の押圧部257bが送りネジ253の右端に隣接した部分にそれをメカシャーシ200の主面部210の方へ押圧するように弾接され、これによって、送りネジ253の右端寄りの部分はその上側に位置した部分のみが軸受部256によって受けられているだけでそのガタつきが防止される。
【0050】
上記メカシャーシ200には上記MD12を保持するホルダーとして機能するメディアホルダー300が上下動可能に支持される(図22及び図23参照)。
【0051】
メディアホルダー300の後端部とメカシャーシ200の後端部との間には支点レバー310が介在される(図6、図7、図22乃至図25参照)。支点レバー310は板金材料から成り、左右方向に延び側面部として形成された連結部311と該連結部311の左右両端部に連結されほぼ前方へ延びる腕片312、312とを有する。そして、腕片312、312の先端部がメカシャーシ200の後端部に回動自在に連結されている。左側の腕片312の後端部には摺動軸(第2の摺動軸)313が突設されている。
【0052】
メディアホルダー300は板金材料によって形成されており、天板部301と該天板部301の左右両側縁から下方へ突出され側面部として形成された側板部302、302とこれら側板部302、302の下縁から互いに近づく方へ突出された支え片303、303とを備えている(図22乃至図25参照)。メディアホルダー300の側板部302、302の後端からは連結脚片304、304が垂設されており、該連結脚片304、304の先端部が支点レバー310の腕片312、312の基端部、即ち、連結部311側の端部に回動自在に連結されている。尚、このメディアホルダー300の支点レバー310に対する回動軸は支点レバー310に設けられた上記摺動軸313の軸と一致している。
【0053】
メディアホルダー300の右側の支え片303の前端寄りの一部が下方へ切り起こされて、後述するトグルバネの一端部を支持する第2の弾性体支持片であるバネ掛け片305が形成されている。
【0054】
また、メディアホルダー300の左側の側板部302の前後方向におけるほぼ中間の部分の外面には摺動軸(第1の摺動軸)306が突設されている。
【0055】
上記のようなメディアホルダー300は前後方向に移動する直線運動体であるスライダー320によってメカシャーシ200に対して上下動される(図22及び図23参照)。
【0056】
スライダー320は板金材料で形成され、メカシャーシ200の左側の折曲縁211に前後方向へ摺動自在に支持され、該スライダー320に形成されたバネ掛け片321と折曲縁211に形成されたバネ掛け片211aとの間に張設された引張コイルバネ322によって前方へ向けての移動力が付勢されている。
【0057】
スライダー320には前後に離間してカムスリット323、324が形成されている。前側のカムスリット(第1のスリット)323は前側のほぼ水平に延びる水平部323aと該水平部323aの後端に連続しそこから下方且つ斜め後方へ延びる傾斜部323bとから成り、後側のカムスリット(第2のスリット)324は前側のほぼ水平に延びる前側水平部324aと該前側水平部324bの後端に連続しそこから下方且つ斜め後方へ延びる傾斜部324bと該傾斜部324bの後端に連続しそこから後方へ水平に延びる後側水平部324cとから成る。
【0058】
そして、上記支点レバー310に設けられた摺動軸313が後側のカムスリット324に摺動自在に係合され、また、メディアホルダー300に設けられた摺動軸306が前側のカムスリット323に摺動自在に係合される。
【0059】
従って、スライダー320が前後方向に摺動されることによって、メディアホルダー300がメカシャーシ200に対して上下される。
【0060】
即ち、スライダー320がその移動範囲の前端にあって、摺動軸313が後側水平部324cに位置し、摺動軸306が傾斜部323bの後端に位置している状態では、メディアホルダー300は下降した状態、即ち、メカシャーシ200の主面部210にもっとも近接した状態となっている(図22参照)。メディアホルダー300がMD12を保持してこの状態となっているときがローディング状態(この状態におけるメディアホルダー300の位置を「ローディング位置」と言う。)である。
【0061】
この状態から、スライダー320が後方へ移動していくと、摺動軸313、306はそれぞれ傾斜部324b、323bを相対的に上方へ移動していき、スライダー320が移動範囲の後端に達すると、摺動軸313が前側水平部に、また、摺動軸306が水平部323aにそれぞれ位置し、メディアホルダー300は最も上昇した状態、即ち、メカシャーシ200の主面部210から最も離間した状態となっている(図23参照)。この状態が待機状態(MD12を保持していないとき)又はアンローディング状態(MD12を保持しているとき)(この状態におけるメディアホルダー300の位置を「待機位置」または「アンローディング位置」と言う。)である。
【0062】
上記したように、メディアホルダー300を支点レバー310によってメカシャーシ200と連結することによって、摺動軸306、313をカムスリット323、324とのみ係合させるだけで(前後への動きを抑えるために上下方向に延びるスリットと係合させる必要がない。)ほぼ上下方向にのみ移動させることが出来ると共に前後方向の寸法を小さくすることが出来る。
【0063】
また、上記したように、メディアホルダー300を片側(左側)だけで上下方向に移動させるようにすることによって、幅方向の寸法を小さくすることが出来る。
【0064】
上記したように、メディアホルダー300はその左側を支点レバー310とスライダー320を介して2点で、また、右側の後端の1点を支点レバー310を介してメカシャーシ200に支持されている構造である。
【0065】
そこで、メディアホルダー300はその右側のもう1点をトグルバネ330を介してメカシャーシ200に支持される(図24及び図25参照)。
【0066】
メカシャーシ200の主面部210の右側縁寄りの前後方向における中央から僅かに前寄りの位置に後述するトグルバネの他端部を支持する第1の弾性体支持片であるバネ掛け片216が下方へ向けて突設され、該バネ掛け片216及びメディアホルダー300のバネ掛け片305それぞれに前後方向に長いトグルバネの支持部であるバネ掛け孔(第1の支持部)216a、バネ掛け孔(第2の支持部)305aが形成されている。
【0067】
トグルバネ330はコイル部331と2つの腕片332、333を有し、各腕片332、333の先端には係止部334、334が形成されている。そして、一方の腕片332はL字状に形成されている。
【0068】
トグルバネ330の一方の腕片332の係止部334がメディアホルダー300のバネ掛け片305のバネ掛け孔305aに係止され、また、他方の腕片333の係止部334がメカシャーシ200のバネ掛け片216のバネ掛け孔216aに係止される。
【0069】
しかして、メディアホルダー300が待機状態又はアンローディング状態にあるときは、図24に示すように、バネ掛け孔305aがバネ掛け孔216aより上の位置にあり、腕片332の係止部334がバネ掛け孔305aの前端に位置し、腕片333の係止部334がバネ掛け孔216aの後端に位置し、この状態で、トグルバネ330の弾発力はメディアホルダー300を上方へ持ち上げるように作用する。
【0070】
図24に示した状態からメディアホルダー300が下降していき、バネ掛け孔305aの位置がバネ掛け孔216aより下側になると、今度はトグルバネ330の弾発力はメディアホルダー300をメカシャーシ200の主面部210に押し付けるように作用する(図25参照)。
【0071】
上記したように、メディアホルダー300の右側部が後端部の1点のみで支持されていると、前寄りの部分の位置が不安定になるが、この部分を上記したようにトグルバネ330によって支持し、該トグルバネ330の弾発力が作用する方向の転換を利用して、メディアホルダー300が待機状態又はアンローディング状態にあるときには、メディアホルダー300が所定の高さを保つように作用させ、一方、メディアホルダー300がローディング状態にあるときには、メディアホルダー300がメカシャーシ200の主面部210に押し付けるように作用させて、メディアホルダー300のそれぞれの位置における状態を安定させることが出来る。
【0072】
次に、MD12がメディアホルダー300内に挿入されてきたときに、メディアホルダー300を下降させる機構及び、MD12のイジェクト時に、MD12をメディアホルダー300から突出させる機構について説明する(図6、図7、図26乃至図31参照)。
【0073】
メカシャーシ200の主面部210の後端部左側の部分に回動運動体であるイジェクトレバー340が回動自在に支持されている(図6、図26及び図27参照)。イジェクトレバー340は板金材料を加工してアーム部341と被制御部342とが一体に形成されて成る。アーム部341は被制御部342の右端部からほぼ右方へ延び、その先端部に前方へ凸に湾曲した当接部341aが形成されている。そして、この当接部341aはその上端部がアーム部341の他の部分より上方へ突出されていて、その上端が上記ローディング状態にあるメディアホルダー300の天板部301の後端縁に形成された切欠301a内に位置し、また、上記待機状態又はアンローディング状態にあるメディアホルダー300の支え片303、303より上方に位置するようになっている(図26参照)。
【0074】
また、アーム部341の基端部341bは下方へ突出されており、その下端部が被制御部342の右端部に連結されている。そして、このようなイジェクトレバー340はアーム部341がメカシャーシ200の主面部210より上方に、また、被制御部342が上記主面部210より下側に位置する。
【0075】
被制御部342は上方から見てほぼL字状をしており、メカシャーシ200の主面部210の下面側に位置した状態でそのL字の屈曲部が主面部210に軸342aによって回動自在に支持されている(図28乃至図31参照)。被制御部342のL字に屈曲された部分の内側屈曲点にバネ掛け片343が垂設され、該バネ掛け片343とメカシャーシ200の主面部210に垂設されたバネ掛け片217との間に引張コイルバネ344が張設され、これによって、イジェクトレバー340には上方から見て反時計回り方向への回動力が付勢されている。
【0076】
被制御部342のほぼ後方に延びる部分の後端縁345は緩やかな円弧状をしたストッパ縁(ストッパ部)とされ、また、該後方に延びる部分の右側縁346はほぼ前後方向に延びている。被制御部342の左側縁に沿って被押圧片(被押圧部)347が垂設されている。該被押圧片347は後半部347aと前半部347bとが連続して形成されており、上記アーム部341がほぼ左右方向に延びるようになっている状態において、前半部347bがほぼ前後方向に真直に延び、後半部347aが前半部347bの後端から後方やや左方向に向かって延びるように形成されている。
【0077】
上記スライダー320の後端部下縁には右方へ突出し支持部として形成された支持板325が一体に形成されている(図28乃至図31参照)。該支持板325は上記イジェクトレバー340の被制御部342の下側に位置している。
【0078】
上記支持板325の後縁の右端部に被ストッパ片(被ストッパ部)326が上方へ向けて突設されている。そして、該被ストッパ片326の左端部327は後方へ向けて直角に折り曲げられている。また、上記被ストッパ片326の左端からやや左に寄った位置の上面にはカラー328が回転自在に支持されている。
【0079】
しかして、スライダー320が移動範囲の後端に位置した状態、即ち、メディアホルダー300が待機状態又はアンローディング状態にあるときは、イジェクトレバー340は最も反時計回り方向に回動した位置にあり、また、スライダー320の被ストッパ片326がイジェクトレバー340のストッパ縁345に前方から当接され、スライダー320は移動範囲の後端に位置した状態にロックされている(図28参照)。
【0080】
そこで、メディアホルダー300内にMD12が挿入されて来ると、その先端によってイジェクトレバー340の当接部341aが後方へ向けて押圧され、これによって、イジェクトレバー340が上方から見て時計回り方向へ回動される。イジェクトレバー340が時計回り方向へ回動されると、そのストッパ縁345はほぼ左方へ向けて移動して行き、やがて、ストッパ縁345の右端がスライダー320の被ストッパ片326の左端327に対応した位置に来る(図29参照)。そして、この時、スライダー320のカラー328はイジェクトレバー340の被押圧片の後半部347aの右側面にやや後方から対向した位置にある(図29参照)。
【0081】
そして、イジェクトレバー340のストッパ縁345の右端がスライダー320の被ストッパ片326の左端327から左方へ外れると、スライダー320は引張コイルバネ322の引張力によって前方へ向けて移動し、そのカラー328がイジェクトレバー340の被押圧片347の後半部347aの右側面に当接する(図30参照)。
【0082】
カラー328が被押圧片347の後半部347aの右側面に当接してからスライダー320が更に前方へ移動することによって、カラー328が該後半部347aの右側面を左方へ向けて押圧するように作用するので、イジェクトレバー340はやや時計回り方向へ回動される。これは、メディアホルダー300は、その後端部が支点レバー310を介してメカシャーシ200と連結されていて、ローディング時には支点レバー310がそのメディアホルダー300と連結された後端がメカシャーシ200の主面部210からやや上方に位置した状態から該主面部210とほぼ同じ高さまで下がるように回動してその後端部がやや後方へ移動するため、それにつられてメディアホルダー300もやや後方へ移動するので、イジェクトレバー340がそのままであると、メディアホルダー300の後方への移動によってMD12がイジェクトレバー340によって前方へ押されてしまう。そこで、イジェクトレバー340を上記したように更に時計回り方向へ回動させて、その当接部341aが後方へ移動して来るMD12の先端と共に後方へ逃げるようにしている。また、このイジェクトレバー340の回動によりスライダー320のストッパ縁326の左端部327はイジェクトレバー340のストッパ縁345に続く右側縁346から離間する。
【0083】
スライダー320がその移動範囲の前端に達すると、カラー328はイジェクトレバー340の被押圧片347の前半部347bの右側面と当接した状態となり、イジェクトレバー340は被押圧片347の前半部347bの右側面がカラー328に当接することによって反時計回り方向への回動、即ち、ローディングされた状態にあるMD12を前方へ押圧するような回動を阻止される(図31参照)。
【0084】
そして、その間に、メディアホルダー300はローディング状態となる。この時、支点レバー310が後方へ倒れるように回動するので、メディアホルダー300はやや後方へ引き込まれながらローディング位置まで下降し、これによって、途中まで人手によってメディアホルダー300内へ挿入されて来たMD12が途中から自動的に引き込まれるようになる。
【0085】
スライダー320がその移動範囲の前端から後方へ向けて移動されると、上記したように、メディアホルダー300がアンローディング位置へ向けて上昇される。そして、被ストッパ片326の左端部327がイジェクトレバー340のストッパ縁346に続く右側縁347の後端より後ろにいくと、イジェクトレバー340は引張コイルバネ344の引張力によって上方から見て反時計回り方向へ回動し、そのストッパ縁345がスライダー320の被ストッパ片326と係合してスライダー320をその移動範囲の後端にロックすると共に、アーム部341の当接部341aがMD12を押圧して、その一部をメディアホルダー300から前方突出させて、該突出した部分を把持して外部へ取り出すことができるようにする。
【0086】
上記したように、スライダー320を前方へ移動させてメディアホルダー300をローディング位置へ向けて下降させ始めるタイミングは、イジェクトレバー340のストッパ縁345の右端とスライダー320の被ストッパ片326の左端との相対的位置関係によって決定されるので、精確なタイミングを取ることができる。また、イジェクトレバー340のアーム部341の当接部341aの後退はスライダー320のカラー328がイジェクトレバー340の被押圧片347の後半部347aの右側面を押圧することによって為されるので、そのために要する力量は軽いもので済むことになる。
【0087】
MD12がローディングされるときに、該MD12を所定の装着位置へとガイドするガイド軸218及びMD12を所定の位置に位置決めするための位置決め突起219がメカシャーシ200の主面部210に突設されている(図6、図32乃至図34参照)。
【0088】
ガイド軸218は主面部210の前端部の左寄りの位置に突設されており、平面形状で円形をしたベース部218aと該ベース部218a上から突出したガイド部とから成り、ガイド部はベース部218aより一回り小さい外径を有する短い円筒状をした円筒部218bと該円筒部218bの上に連続しほぼ円錐状をした円錐部218cとから成る。そして、円錐部218cはその軸が僅かに前側に倒れた如き形状に形成されている。
【0089】
位置決め突起219は主面部210の後端部の左寄りの位置に突設されており、平面形状で円形をしたベース部219aと基部の外径がベース部219aより一回り小さく背の低い円錐状をした円錐部である位置決め部219bとから成り、ガイド軸としての機能をも有するものである。
【0090】
しかして、MD12を保持したメディアホルダー300が上記したローディング位置に来る過程で(図32参照)、先ず、ガイド軸218の円錐部218cの先端が被案内物となるMD12の底面に形成されたガイド穴として機能する円形の位置決め孔12aに相対的に挿入されていく(図33参照)。メディアホルダー300が更に下降していく過程で、位置決め孔12aがガイド軸218の円錐部218cによって案内されて最終的に円筒部218bと係合する(図34参照)。また、位置決め孔12aが円筒部218bと係合すると同時に、MD12の底面のうち上記位置決め孔12aの形成位置と反対側に形成され前後方向に長いガイド穴として機能する位置決め孔12bが位置決め突起219の位置決め部219bに案内されながら最終的にその基部と係合し、これらによって、MD12はメカシャーシ200の主面部210に対して位置決めされる(図34参照)。
【0091】
そして、MD12がメディアホルダー300に挿入される過程においてそのシャッター12cが開かれ、そして、メディアホルダー300が上記ローディング位置に来ると、MD12のディスク12dがターンテーブル222上に載置保持される。
【0092】
上記したガイド軸218及び位置決め突起219はメカシャーシ200をプレス成形する際に、同時にプレス成形によって形成することが出来る。即ち、ガイド軸218に例を取れば、図35乃至図39に示すように、何段階かに分けて絞ることによって、複雑な形状のガイド軸218でも容易に形成することが出来る。しかも、別部材をメカシャーシに取り付けてガイド軸を形成する場合に比較してメカシャーシ200に対する位置精度が高く成り、また、切削加工によっては成形が困難である複雑な形状、例えば、上記ガイド軸218のように、円錐部218cの軸が傾斜しているようなものも容易に形成することが出来る。
【0093】
上記スライダー320のイジェクト方向、即ち、後方への移動は外筐2の左側面部に前後方向に移動自在に支持されたイジェクト摘子350を後方へ移動することによって、上記メインシャーシ100の左側面部130に前後方向に移動自在に支持された中継スライダー360を介して為される(図46乃至図49参照)。
【0094】
中継スライダー360は板金材料で形成され、上記左側面部130の内面に前後方向に移動自在に支持され、該左側面部130との間に張設された引張コイルバネ361によって前方へ向けての移動力を付勢されている。そして、該中継スライダー360の後端部上縁には内方へ突出した押圧突片362が形成されている。また、中継スライダー360の前端縁には外方へ突出した被押圧片363が形成されている。そして、該被押圧片363はメインシャーシ100の左側面部130に形成された前後方向に長い開口131(図3参照)を通して該左側面部130の外側へ突出されている。
【0095】
上記イジェクト摘子350の内面には前後に離間して2つの押圧突起351、352が突設されており、後側の押圧突起352が上記中継スライダー360の被押圧片363の前面に当接している(図46参照)。また、上記スライダー320の後端寄りの部分の上端には外方へ突出した被押圧片329が形成されており、スライダー320が移動範囲の前端にある状態、即ち、メディアホルダー300がローディング位置にある状態で、上記被押圧片329は上記中継スライダー360の押圧突片362に後方から接している。
【0096】
しかして、ローディングされているMD12のイジェクトは、上記イジェクト摘子350を後方へ移動させることによって為される。即ち、イジェクト摘子350が後方へ移動されると、その押圧突起352に押圧されて中継スライダー360が後方へ移動し(図47乃至図49参照)、その押圧突片362がスライダー320の被押圧片329を後方へ押圧し、これによって、該スライダー320が後方へ移動してメディアホルダー300が上昇せしめられ、アンローディング位置まで移動し、これによって、MD12のイジェクトが為される。
【0097】
次に、上記カバー体8の開閉について説明する(図40乃至図54参照)。
【0098】
カバー体8はメインシャーシ100に回動自在に支持されている。カバー体8は金属部材で形成され、外筐2の開口7を閉塞する本体部400と該本体部400の左右両側部からほぼ後方へ向けて突出された腕部401、402とから成る(図40参照)。そして、腕部401、402の後端部がメインシャーシ100の左側面部130及び右側面部120の前端部に回動自在に支持されている。また、右側の腕部402の後端寄りの部分の下縁からはバネ掛け片403が後方へ向けて突設されており、該バネ掛け片403とメインシャーシ100の右側面部120の前端寄りの部分の下縁に突設されたバネ掛け片121との間に引張コイルバネ404が張設され(図4及び図40参照)、これによって、カバー体8には左方から見て反時計回り方向の、即ち、上記開口7を閉じる方向への回動力が付勢されている。尚、この回動力はそれほど強いものではなく、カバー体8を上記開口7を閉塞する閉塞位置へと回動させるのに十分なものであれば良い。
【0099】
左側の腕部401の左側面の前端部下縁には被ロック部として機能する係合片405が突設され、また、該係合片405より上方の位置で下方を向いた押圧面406が形成されている。更に、該押圧面406の後端に連続して下方を向き且つ後ろ下がりに傾斜した被押圧面(第2の被押圧部)407が形成されている。
【0100】
更に、本体部400の内面には左右にほぼ等間隔に3つのリブ408、408、408が突設されており、これらリブ408、408、408の下縁408a、408a、408aが被押圧縁(第1の被押圧部)となっている。
【0101】
メインシャーシ100の左側面部130の内面にロック手段たるロックスライダー410が前後方向に移動自在に支持されている(図41乃至図54参照)。該ロックスライダー410はそれに形成された長孔411、412が左側面部130に植設された支持ピン132、133によって前後方向に移動自在に支持されている。前側の長孔411は前側部分411aと該前側部分411aの後端に連続した後側部分411bとから成り、後側部分411bは前側部分411aよりやや上方に位置している。
【0102】
ロックスライダー410の後端部下縁にはバネ掛け片413が突設されており、該バネ掛け片413とメインシャーシ100の左側面部130の下縁に突設されたバネ掛け片134との間に引張コイルバネ420が張設され、これによって、ロックスライダー410には前方へ向けての移動力が付勢されている。従って、ロックスライダー410は、それに後方へ向けての移動力が加えられていない状態では、その移動範囲の前端に位置している(図41参照)。
【0103】
ロックスライダー410の前端部にはカバー体8をロックするロック部として機能するロック片414が設けられている。即ち、ロックスライダー410の前端部上縁から上方へ向けてロック片414が突設され、該ロック片414の上端部から前方へ向けてロック爪414aが突設されている。
【0104】
また、ロックスライダー410の後端部には上方へ向けて被押圧片415が突設され、該被押圧片415の前端に被押圧部415aが形成されている。更に、ロックスライダー410の上縁のうち後端よりやや前側の位置にストッパ片(第1のストッパ部)416が上方へ向けて突設されている。そして、上記スライダー320の上縁の前端寄りの位置には外方へ、即ち、左方へ向けて突出したストッパ片417が突設されている。
【0105】
更に、メインシャーシ100の左側面部130の前端部には一時停止片135が内方へ向けて、即ち、右方へ向けて突設されている。
【0106】
しかして、メディアホルダー300がローディング位置にある状態で、カバー体8は開口7を閉塞した閉塞位置にロックされている。即ち、スライダー320はその移動範囲の前端に位置し、中継スライダー360及びロックスライダー410も共にその移動範囲の前端に位置している。また、イジェクト摘子350も中継スライダー360に付勢されている移動力を中継スライダー360の被押圧片363、押圧突起352を介して受けて、その移動範囲の前端に位置している。ロックスライダー410がその移動範囲の前端に位置している状態においては、その前側の長孔411の後側部分411bが支持ピン132と係合しており、そのロック爪414aがカバー体8の係合片405と係合し、これによって、カバー体8はその閉塞位置にロックされた状態となっている(図41及び図46参照)。
【0107】
このように、MD12がローディングされている状態では、ロックスライダー410のロック爪414aがカバー体8の係合片405と係合し、これによって、カバー体8はその閉塞位置にロックされた状態となっているので、カバー体8が不用意に開放位置へ回動してしまうようなことはない。
【0108】
更に、メディアホルダー300がローディング位置にある状態において、スライダー320の被押圧片329は中継スライダー360の押圧突片362に後方から近接乃至当接し、中継スライダー360の被押圧片363はイジェクト摘子350の押圧突起352に後方から近接乃至当接し、ロックスライダー410の被押圧部415aはイジェクト摘子350の押圧突起351に後方から当接し、また、ロックスライダー410のストッパ片416はスライダー320のストッパ片417に後方から近接している(図46参照)。
【0109】
そして、MD12をイジェクトするときは、イジェクト摘子350を後方へ移動させる。
【0110】
イジェクト摘子350が後方へ移動すると、その押圧突起352が中継スライダー360の被押圧片363を後方へ向けて押圧して中継スライダー360が後方へ移動され、また、イジェクト摘子350の押圧突起351がロックスライダー410の被押圧部415aを後方へ向けて押圧してロックスライダー410が後方へ移動される。これによって、ロックスライダー410のロック爪414aがカバー体8の係合片405から後方へ外れ、カバー体8に対するロックが解除される(図42及び図47参照)。この間に、メディアホルダー300がアンローディング位置に移動し、MD12はイジェクトされる。
【0111】
MD12がイジェクトされるとき、カバー体8はそれに回動力を付勢している引張コイルバネ404の弾発力に抗して開口7を開放するように回動される。
【0112】
メディアホルダー300がアンローディング位置へ向けて上昇されて来ると、該メディアホルダー300に保持されているMD12によって、カバー体8のリブ408、408、408の下縁、即ち、被押圧縁408a、408a、408aが上方へ向けて押圧され、これによって、カバー体8が開口7を開放する開放位置へ向けて回動される(図43乃至図48参照)。
【0113】
カバー体8がある程度開放されると、後方へ移動している途中のロックスライダー410のロック片414の上端縁後端がカバー体8の被押圧面407に当接し(図44参照)、そこから更にロックスライダー410が後方へ移動することにより、ロック片414の上端縁後端が被押圧面407を押圧して、これによって、カバー体8は開放位置まで回動される(図45及び図49参照)。従って、この場合にはロックスライダー410が押圧手段として機能し、ロック片414が押圧部として機能する。そこで、MD12は上記イジェクトレバー340によってその一部が開口7から外部へ突出される。
【0114】
このように、MD12のイジェクト時に、カバー体8を開放位置へ回動させるのに、上昇して来るMD12によってカバー体8が途中まで回動されるようにし、そのあとのカバー体8の回動をロック片414が被押圧面417を押圧することによって行うようにすることによって、装置の大きさを大きくすること無しに、MD12にかかる負荷を小さくすることができ、MD12のスムースなイジェクトを可能とする。
【0115】
イジェクト摘子350は、それを後方へ押圧していた力が除かれると、中継スライダー360に付勢されている引張コイルバネ361による前方への移動力を中継スライダー360の被押圧片363、イジェクト摘子350の押圧突起352を介して受け、その移動範囲の前端に戻る。
【0116】
イジェクト摘子350がその移動範囲の前端に移動すると、その押圧突起351がロックスライダー410の被押圧部415aから前方へ離間するので、ロックスライダー410は引張コイルバネ420の引張力によって前方へ移動する。しかしながら、上記したように、スライダー320はその移動範囲の後端まで移動した状態をロックされているので、そのストッパ片417も後方へ移動しており、前方へ戻ろうとするロックスライダー410のストッパ片416が途中でスライダー320のストッパ片417に当接し、それ以上の前方への移動を阻止される(図50参照)。従って、この場合にはスライダー320はロックスライダー410の移動を阻止する停止手段(第1の停止手段)として機能し、ストッパ片417はストッパ部(第1のストッパ部)として機能する。
【0117】
そして、ロックスライダー410のストッパ片416がスライダー320のストッパ片417に当接してロックスライダー410がそれ以上の前方への移動を阻止された状態では、ロックスライダー410のロック片414はカバー体8の被押圧面407より前方に位置しているので、MD12がMD再生装置1から取り出されると、カバー体8を開放位置に保持しておくものがなくなるので、カバー体8はそれに付勢されている引張コイルバネ404による回動力によって閉塞位置へと回動され、これによって、外筐2の開口7が閉塞される(図51参照)。
【0118】
MD12がイジェクト(排出)されている状態では、上記したように、メディアホルダー300は待機位置に位置し、カバー体8は引張コイルバネ404による付勢力のみで閉塞位置にある(図51参照)。従って、MD12の挿入先端を上記挿入凹部11に挿入してから、MD12を押し込むと、該押込力がカバー体8の傾斜面を押して、カバー体8に開放位置へ向けての回動力が加えられ、これによって、開口7が開口されて、MD12はそのまま中へと挿入される(図52参照)。
【0119】
そして、MD12がほとんど挿入されると、上記したように、後は、自動的に引き込まれ、カバー体8が閉塞位置へと移動し、また、MD12は所定の装着位置に装着される。
【0120】
この過程で、カバー体8が閉塞位置にロックされる動作について説明する(図52乃至図54参照)。
【0121】
即ち、メディアホルダー300内にMD12が挿入されてきて(図52参照)、該MD12によってイジェクトレバー340が回動され、イジェクトレバー340のストッパ縁345によるスライダー320に対するロックが解除されて、スライダー320が引張コイルバネ322による付勢力によって前進すると共にメディアホルダー300がローディング位置に向かって下降する。
【0122】
スライダー320の前進によりそのストッパ片417が前方へ移動すると、ロックスライダー410は引張コイルバネ420による付勢力によって前方へ移動する。しかしながら、ロックスライダー410はその前側の長孔411はその前側部分411aと後側部分411bとの境部分が支持ピン132と係合していて且つ引張コイルバネ420の引張力が及んでいるバネ掛け片413の位置の関係からロックスライダー420には長孔412と支持ピン133との係合部を回動軸としてその前端が上方へ変位する方向への回動力が付勢され、そのためロックスライダー410の前端縁(第2の被ストッパ部)418がメインシャーシ100の一時停止片135に当接してそれ以上の前方への移動を阻止され、スライダー320のストッパ片417と離間した状態で位置される(図53参照)。従って、この場合にはメインシャーシ100はロックスライダー410を停止させる停止手段(第2の停止手段)として機能し、一時停止片135はストッパ部8第2のストッパ部)として機能する。
【0123】
そこで、MD12がローディングされることによって、カバー体8が閉塞位置へと回動されてくると、そのロックを解除する解除部として機能する押圧面406がロックスライダー410のロック片414の上縁を下方へ向けて押圧し(図54参照)、これによって、ロックスライダー410はその前端が下方へ移動するように回動し、その前端縁418がメインシャーシ100の一時停止片135から下方へ外れ、引張コイルバネ420の引張力によって前進し、そのロック爪414aが閉塞位置に来ているカバー体8の係合片405に係合し、カバー体8をその閉塞位置にロックする(図46参照)。
【0124】
メインシャーシ100の後端部には後述する電池を収納する電池収納ケースたる電池ケース500が支持されている(図55参照)。
【0125】
ケース本体510は絶縁材料、例えば、合成樹脂で形成され、左右両端が開口された筒状をしている(図55及び図56参照)。即ち、上下に扁平で左右方向に長い角筒状をした部分の下面に半円筒状の部分が連続された形状をしており、電池を収納する収納空間である上側の角筒状の空間511と下側の半円筒状の空間512とが連続している。
【0126】
そして、このようなケース本体510がビス止め等によりメインシャーシ100の後端部に固定される。
【0127】
ケース本体510の右側の開口513が蓋部520によって開閉される(図55乃至図58参照)。蓋部520は合成樹脂製の蓋本体530と導電性材料から成るヒンジ体540と同じく導電性性材料から成るマイナス接点板550とから成り、導電性材料から成る支点板560を介してケース本体510に取り付けられる。
【0128】
蓋本体530はケース本体510の開口端とほぼ同じ大きさの主部531と該主部531の内面のうち前端縁(蓋部520に関し、こちら側の部分を「基端部」という。)を除いた周縁から突設された周壁部532とを有し、該周壁部532のうち後端縁(蓋部520に関し、こちら側を「先端部」という。)に位置する部分の上下両端部の内面で且つ主部531から隔たった位置に係合片533、533が突設されている。
【0129】
また、主部531の内面のうち前後方向におけるほぼ中央部の上下両縁寄りの位置に前後方向に延びる被支持片534、534が突設されている。これら被支持片534、534の主部531からの突出量は周壁部532のそれとほぼ同じであり、その突出端側の互いに対向する面には前後方向に延びる被支持溝534a、534aが形成されている。また、主部531の内面のうち被支持片534、534よりやや基端部側の位置に抜け止め片535が突設されている。更に、該抜け止め片535よりやや先端側の部分に圧迫突起536が突設され、該圧迫突起536の基端側の面536aは先端側に行くに従って突出量が多くなる傾斜面に形成されている。
【0130】
ヒンジ体540は上記蓋本体530より一回り小さい枠状に形成され、その基端部の上下両端に外方へ突出した被支持片541、541が形成され、該被支持片541、541に被支持孔541a、541aが形成されている。また、先端部からは基端部側へ且つやや外方へ向かって弾性片542が突設されている。
【0131】
しかして、ヒンジ体540はその上下両縁が蓋本体530の基端部側からその被支持溝534a、534aに摺動自在に係合される。そして、ヒンジ体540が蓋本体530の先端部側へ移動されていくと、その弾性片542が蓋本体530の抜け止め片535によって内方へ撓みながらこれを乗り越えていき、抜け止め片535を先端側へ乗り越えたところで撓んでいたのが元へ戻り、その先端が抜け止め片535の先端側面と係合し、これによって、蓋本体530とヒンジ体540とが互いに前後方向に移動自在に、しかしながら、抜け止め片535と弾性片542との係合によって互いに抜け止めされた状態で結合される(図57参照)。
【0132】
マイナス接点板550は上下幅が上記ヒンジ体540の基端部の上下幅とほぼ同じ上下幅を有する基部551の先端部側の縁からマイナス側端子部として機能する弾性片552が先端部側に向かって突設され、該弾性片552の先端部には接点ピン553が内方へ向けて突設されている。また、基部551の下縁からは接続片554が外方へ向けて突設されており、該接続片554には挿通孔554aが形成されている。
【0133】
そして、マイナス接点板550はその基部551がヒンジ体540の基端部内面にスポット溶接により固定され、それにより、弾性片552はヒンジ体540が形作る枠の内側に且つマイナス側の端子である接点ピン553が蓋部520のほぼ中央に位置し、また、接続片554がヒンジ体540の下側の被支持片541の下側に重なって位置し、その挿通孔554aがヒンジ体540の下側の被支持片541の被支持孔541aと整合した状態となる。
【0134】
支点板560は左右方向に延びるほぼ板状をした主部561の右端部の上下両縁から前方へ突出した支持片562、563を有し、各支持片562、563にはそれぞれ支持孔562a、563aが形成されている。また、下側の支持片563の前縁からは接続片564が前方へ向けて突設されている。
【0135】
しかして、支点板560はその主部561がケース本体510の前面壁の右端部にビス止めにより固定され、また、接続片564がメインシャーシ100に固定される図示しないプリント配線基板の電源回路に半田付けされる。
【0136】
そして、ヒンジ体540の被支持片541、541及びマイナス接点板550の接続片554が支点板560の支持片562、563にそれぞれ重ね合わされる。尚、このとき、マイナス接点板550の接続片554は支点板560の下側の支持片563の上側に重ね合わされる。それから、ヒンジ軸555が支持孔562a、被支持孔541a、541a、挿通孔554a、支持孔563aに挿通され、これによってヒンジ体540が支点板560に回動自在に支持される。また、マイナス接点板550は支点板560を介して図示しないプリント配線基板の電源回路に接続される。
【0137】
上記ケース本体510の開口端面、即ち、右端面の後縁部には係合部514が外方へ向けて突設されている。該係合部514の上下幅は上記蓋本体530の周壁部532の上下の間隔よりやや小さくされている。そして、該係合部514の上下両端部にはそれぞれスリット514a、514aが形成されている。
【0138】
蓋部520によってケース本体510の開口513を閉塞するときは、蓋本体530をヒンジ体540に対して先端側へ移動させた状態にしておき(図58参照)、その状態で開口513を閉塞するように支点板560に対して回動させる。これによって、開口513が蓋本体530によって閉塞され、その周壁部532の前端部側の部分がケース本体510の係合部514を覆った状態となる。この状態から、蓋本体530をヒンジ体540に対して基端側へ移動させると、その係合片533、533がケース本体510のスリット514a、514aに係合され、この間に、ヒンジ体540の弾性片542が蓋本体530の圧迫突起536の傾斜面536aを先端側へ迫って行って左方へ撓まされ、これによって、該弾性片542と傾斜面536aとの間の摩擦力が増大し、これによって、蓋部520はケース本体510の開口513を閉塞した状態にロックされる(図59参照)。
【0139】
また、ケース本体510の開口513を開放する場合は、蓋本体530をヒンジ体540に対して先端部側へ移動させてその係合片533、533をケース本体510のスリット514a、514aから抜け出させると共にヒンジ体540の弾性片542と蓋本体530の圧迫突起536の傾斜面536aとの圧接状態を解除する(図58参照)。これによって、蓋部520の閉塞位置へのロックが解除されるので、蓋部520を回動させて開口513を開放することが出来る。
【0140】
ケース体510の左端部には端子ブロック570が左右方向に摺動自在に配置されている。
【0141】
プラス側端子部として機能する端子ブロック570は絶縁材料から成る端子ホルダー580と該端子ホルダー580に支持されたプラス端子板590とを備えている(図60参照)。
【0142】
端子ホルダー580は絶縁材料、例えば、合成樹脂から成り、平面形状で四角形の板状をしたベース部581と該ベース部581の前後両縁から上方へ突出した側面部582、582とベース部581の左側縁及び側面部582、582の左端部間に架け渡すように設けられた左側面部583とベース部581の右側縁の前端部を除いた部分から下方へ突出された右側面部584とが一体に形成されて成る。側面部582、582はその左端部がベース部581の左側縁より僅かに左方へ突出されており、該左端部の上縁と左側面部583の上縁とを架け渡すように庇部585が一体に形成されている。
【0143】
側面部582、582の左端部の互いに対向した面には上下方向に延びる突条582a、582aが突設され、それによって、左側面部583との間に溝582b、582bが形成されている。また、側面部582、582のうち該溝582b、582bが形成された部分の上端部には係合孔582c、582cが形成されている。更に、側面部582、582の左端部外面の上下方向におけるほぼ中央の位置には被案内突起582d、582dが突設されている。
【0144】
後側の側面部582の下端部はやや下方へ突出され、また、ベース部581の下面のうち右側面部584の前端に対応したところから左端まで延びる突条581aが形成され、これによって、ベース部581の下面に配置凹部581bが形成される。また、上記突条581a及び側面部582の右端部は更に下方へ突出され、該下方へ突出された部分に被案内突起581c、581cが外方へ向かって突設されている。
【0145】
右側面部584の上端部中央には臨ませ孔584aが形成され、また、右側面部584の左側面の下端部にはストッパ突起584bが突設されている。そして、臨ませ孔584aはその外形が後述するガム型電池及び単三型電池のプラス電極が挿入可能な大きさに形成されている。
【0146】
左側面部583の中央部には臨ませ孔583aが形成されており、該臨ませ孔583aも臨ませ孔584aと同様にその外形がガム型電池及び単三型電池のプラス電極が挿入可能な大きさに形成されている。
【0147】
プラス端子板590は導電性を有する金属板で形成され、平面形状でほぼ長方形をした中間部591と該中間部591の右縁から下方へ突出され後述する単三型電池のプラス側の端子となる単三型用端子部592と中間部591の左縁から上方へ突出され後述するガム型電池のプラス側の端子となるガム型用端子部593とが一体に形成されている。
【0148】
そして、中間部591は端子ホルダー580の上記配置凹部581bにぴったり収まる大きさに形成され、単三型用端子部592は端子ホルダー580の右側面部584の大きさ内に収まる大きさに形成され、且つ、その上縁中央部には中間部591の上面より僅かに上方に突出した突部592aが形成されている。また、ガム型用端子部593は端子ホルダー580の左側面部583より一回り小さい大きさに形成されている。
【0149】
そして、該プラス端子板590は、その単三型用端子部592が端子ホルダー580の右側面部584の左側面に密接するように配置され、その突部592aは端子ホルダー580のベース部581の前端に当接した状態となり、更に、単三型端子部592の下縁が端子ホルダー580の右側面部584の左側面に形成されたストッパ突起584bと係合し、これらによって、プラス端子板590は左方及び下方への移動を阻止された状態となる。また、その一部が上記右側面部584に形成された臨ませ孔584aから右方へ臨まされる。
【0150】
また、ガム型用端子部593は端子ホルダー580の左側面部583の左側面に密接されその一部が該左側面部583に形成された臨ませ孔から右方へ臨まされる。
【0151】
そして、プラス端子板590には図示しないプリント配線基板の電源回路に接続されたフレキシブルプリント配線板が接続される。
【0152】
上記のように、プラス端子板590が装着された端子ホルダー580の左端部に押え板586が取着される。該押え板586は絶縁材料、例えば、合成樹脂によって形成され、左側面部583より一回り小さい板状をしており、その前後両側縁の下端部から上方へ向けて係合片586a、586aが突設され、該係合片586a、586aの上端部にはそれぞれ前方及び後方へ突出した係合爪586b、586bが形成されている。また、該押え板586の左側面のほぼ中央部には位置決め突起586cが突設されている。
【0153】
そして、押え板586は端子ホルダー580の左端部に形成された溝582b、582bに上記プラス端子板590のガム型用端子部593の左側に位置するように下方から挿入される。そして、溝582b、582bに所定の位置まで挿入されると、その係合爪586b、586bが端子ホルダー580の係合孔582c、582cに係合し、これによって、押え板586の端子ホルダー580からの脱落が防止される。このようにして、プラス端子板590のガム型用端子部593の左側が押え板586によって押えられ、これによっても、プラス端子板590の端子ホルダー580に対する左方への移動が阻止される。このようにして、端子ブロック570が形成される。
【0154】
ケース本体510の角筒状空間511の前後両内面には左端からやや右方まで延びる案内溝511a、511aが形成され、また、半円筒状空間512の前側内面の角筒状内面511に近接した部分には左端からやや右方まで延びる案内溝512a、512aが形成されている。
【0155】
しかして、上記端子ブロック570は、その被案内突起582d、582dがケース本体510の案内溝511a、511aに摺動自在に係合され、また、被案内突起581c、581cがケース本体510の案内溝512a、512aに摺動自在に係合され、これによって、ケース本体510に案内溝511a、511a、512a、512aの長さの範囲で左右方向に移動自在に支持される。そして、メインシャーシ100の左側面部130の後端部内面と端子ブロック570の押え板586の左側面との間に位置決め突起586cに外嵌状に支持された圧縮コイルバネ587が縮設され、これによって、端子ブロック570には右方へ向けての移動力が付勢される。
【0156】
上記した電池ケース500には扁平な角柱状をした、いわゆるガム型電池601及び単三型電池602を選択的に装着することが出来る。
【0157】
ガム型電池601は角筒状空間511内にプラス電極601aを左側にした向きで装着される(図61参照)。ガム型電池601が角筒状空間511内に挿入されて蓋部520が閉じられると、蓋部520に設けられたマイナス端子板550の接点ピン553がガム型電池601のマイナス電極601bに弾接し、また、ガム型電池601のプラス電極601aが端子ブロック570のガム型用端子部593に臨ませ孔583aを介して当接し、且つ、これを左方へ押圧するので、端子ブロック570は圧縮コイルバネ587を圧縮しながら左方へ移動する。このようにして、ガム型電池601はそのプラス電極601aとマイナス電極601bの両方から弾発的に保持され、これによって、図示しないプリント配線基板の電源回路に確実に接続される。
【0158】
単三型電池602は半円筒状空間512と角筒状空間511とから成る空間内にプラス電極602aを左側にした向きで装着される(図62参照)。単三型電池602が上記空間511、512内に挿入されて蓋部520が閉じられると、蓋部520に設けられたマイナス端子板550の接点ピン553が単三型電池602のマイナス電極602bに弾接し、また、単三型電池602のプラス電極602aが端子ブロック570の単三型用端子部592に臨ませ孔584aを介して当接し、且つ、これを左方へ押圧するので、端子ブロック570は圧縮コイルバネ587を圧縮しながら左方へ移動する。このようにして、単三型電池602はそのプラス電極602aとマイナス電極602bの両方から弾発的に保持され、これによって、図示しないプリント配線基板の電源回路に確実に接続される。
【0159】
上記したように、この電池ケース500にあっては、ガム型電池601と単三型電池602を選択的に使用することが出来、また、端子ブロック570が左右方向に、即ち、これら電池601、602の長手方向に移動自在であるので、電池601、602の大きさのバラツキを吸収することが出来る。また、電池601、602のプラス電極601a、602a及びマイナス電極601b、602bにそれぞれの端子部593、592及び接点ピン553が弾接した状態となるので、外部的ショックにより電池601、602が瞬間的に動いた場合でも、それぞれの端子部593、592及び接点ピン553が電池601、602の端子601a、602a及び601b、602bに瞬時に追従し、瞬間的な電源切れを防止することが出来る。
【0160】
また、上記したように、端子ホルダー580の左側面部583に臨ませ孔583aを、また、右側面部584に臨ませ孔584aを形成し、これらの臨ませ孔583a、584aの外形をガム型電池601及び単三型電池602のプラス電極601a、602aが挿入可能な大きさに形成しているのは、臨ませ孔583a、584aにガム型電池601又は単三型電池602をそのマイナス電極601b、602bを対向する向きで間違って挿入してしまった場合に、マイナス電極601b、602bがプラス端子板590のガム型用端子部593又は単三型用端子部592に接しないようにするためである。従って、このようにガム型電池601又は単三型電池602を間違って挿入した場合でも、ショートを引き起こしてしまうようなことがない。従って、この場合には、端子ホルダー580の左側面部583又は右側面部584は絶縁部としての役割を果たす。
【0161】
尚、上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際しての具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図2乃至図62と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図はMDを挿脱するための開口を閉じた状態のMD再生装置の外観を示す概略斜視図である。
【図2】MDを挿脱するための開口を開いた状態のMD再生装置の外観を示す概略斜視図である。
【図3】MD再生装置の分解側面図である。
【図4】メカシャーシとメインシャーシが結合された状態を示す底面図である。
【図5】ダンパー部材とそれが支持される支持孔とを示す拡大断面図である。
【図6】メカシャーシの平面図である。
【図7】メカシャーシの底面図である。
【図8】補助ガイドレールの拡大斜視図である。
【図9】図10及び図11と共に補助ガイドレールの形成方法を示すものであり、本図はL字折曲部が形成された状態を示す拡大断面図である。
【図10】折返片が形成された状態を示す拡大断面図である。
【図11】L字折曲部の一部がプレスされて補助ガイドレールが形成された状態を示す拡大断面図である。
【図12】図13及び図14と共に別の補助ガイドレールの形成方法を示すものであり、本図はL字折曲部が形成された状態を示す拡大断面図である。
【図13】折返片が形成された状態を示す拡大断面図である。
【図14】折曲片がL字折曲部に接するように折り曲げられて補助ガイドレールが形成された状態を示す拡大断面図である。
【図15】メカシャーシに送りネジが支持された状態を示す拡大底面図である。
【図16】図17及び図18と共に軸受部の形成方法を示すものであり、本図はスリットが形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図17】U字状部分が形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図18】受部が形成されて軸受部が形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図19】図20及び図21と共に別の軸受部の形成方法を示すものであり、本図はスリットが形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図20】U字状部分が形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図21】受部が形成されて軸受部が形成された状態を示す拡大斜視図である。
【図22】図23と共にメディアホルダーの移動機構を示すものであり、本図はメディアホルダーがローディング位置にある状態を示す左側面図である。
【図23】メディアホルダーが待機位置又はアンローディング位置にある状態を示す左側面図である。
【図24】図25と共にトグルバネの作用を示すものであり、本図はトグルバネがメカシャーシとメディアホルダーとを離間させる方向に作用している状態を示す右側面図である。
【図25】トグルバネがメカシャーシとメディアホルダーとを近づける方向に作用している状態を示す右側面図である。
【図26】メディアホルダーが待機位置又はアンローディング位置にある状態を示す背面図である。
【図27】メディアホルダーがローディング位置にある状態を示す背面図である。
【図28】図29乃至図31と共にイジェクトレバーの動作を示すものであり、本図はイジェクトレバーが回動される前の状態を示す拡大平面図である。
【図29】イジェクトレバーが回動されてストッパ縁の右端が被ストッパ片の左端に対応した位置に来た状態を示す拡大平面図である。
【図30】スライダーが前進してそのカラーがイジェクトレバーの被押圧片の後半部を押圧している状態を示す拡大平面図である。
【図31】イジェクトレバーがさらに回動された状態を示す拡大平面図である。
【図32】図33及び図34と共にMDのメカシャーシに対する位置決めの動作を示すものであり、本図はメディアホルダーにMDが挿入される状態を示す断面図である。
【図33】メディアホルダーにMDが完全に挿入され位置決め孔がガイド軸に挿入される直前の状態を示す断面図である。
【図34】MDがメカシャーシに対して位置決めされた状態を示す断面図である。
【図35】図36乃至図39と共にガイド軸の形成方法の一例を示すものであり、本図はメカシャーシの主面部が加工される前の状態を示す拡大断面図である。
【図36】図35に引き続き絞り加工が行われた状態を示す拡大断面図である。
【図37】図36に引き続き絞り加工が行われた状態を示す拡大断面図である。
【図38】図37に引き続き絞り加工が行われた状態を示す拡大断面図である。
【図39】図38に引き続き絞り加工が行われガイド軸が形成された状態を示す拡大断面図である。
【図40】カバー体の拡大底面図である。
【図41】図42乃至図45と共にカバー体の開閉機構を示すものであり、本図はカバー体がロックされている状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図42】ロックスライダーが後方に移動してカバー体のロックが解除されると共にMDが上昇してカバー体の被押圧縁に当接した状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図43】ロックスライダーがさらに後方に移動すると共にMDがさらに上昇してカバー体の被押圧縁を押圧してカバー体を回動させている状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図44】ロックスライダーがさらに後方に移動しカバー体の被押圧面がロック片に押圧されてカバー体がさらに回動されている状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図45】ロックスライダーがさらに後方に移動しカバー体が完全に開放された状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図46】図47乃至図51と共にMDがイジェクトされるときの各スライダーの動作を示すものであり、本図はカバー体がロックスライダーにロックされた状態を示す側面図である。
【図47】イジェクト摘子の操作によりロックスライダーとスライダーが後方に移動されはじめた状態を示す側面図である。
【図48】ロックスライダーとスライダーがさらに後方に移動されカバー体が稍回動された状態を示す側面図である。
【図49】ロックスライダーとスライダーが後方側の移動端に移動されカバー体が完全に開放されMDが装置から突出した状態を示す側面図である。
【図50】イジェクト摘子の操作が解除されロックスライダーと中継スライダーが前方に移動された状態を示す側面図である。
【図51】MDが取り出されてカバー体が閉塞された状態を示す側面図である。
【図52】図53及び図54と共にMDが挿入されるときの各スライダーの動作を示すものであり、本図はMDが挿入されカバー体が開放された状態を示す側面図である。
【図53】MDが挿入されロックスライダーが前方に移動してその前端縁がメインシャーシの一時停止片に当接した状態を示す側面図である。
【図54】カバー体が閉塞位置へ向けて回動されその押圧面にロックスライダーのロック片が押圧される状態を示す側面図である。
【図55】図56乃至図62と共に電池ケースを示すものであり、本図はメインシャーシに取り付けられた状態を示す拡大水平断面図である。
【図56】蓋部と支点板とケース本体の一部を示す拡大分解斜視図である。
【図57】蓋部が開放された状態を示す拡大背面図である。
【図58】図59と共に蓋部を閉塞位置にロックする動作を示すものであり、本図は蓋本体がヒンジ体に対して先端側へ移動している状態を示す拡大断面図である。
【図59】蓋本体がヒンジ体に対してスライドされ蓋部が閉塞位置にロックされた状態を示す拡大断面図である。
【図60】端子ブロックとケース本体の一部を示す拡大分解斜視図である。
【図61】ガム型電池が収納された状態を示す垂直断面図である。
【図62】単三型電池が収納された状態を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0163】
12…MD(記録媒体)、200…メカシャーシ、210…主面部、218…ガイド軸(ガイド手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が装着されるメカシャーシの主面部に一体成形された軸の傾いたガイド手段を備えた
ことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記ガイド手段は記録媒体が挿入される挿入端側へ傾いている
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記ガイド手段は記録媒体の挿入端近傍に一体成形される
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項4】
上記メカシャーシは板金材料から成る
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2006−99953(P2006−99953A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314825(P2005−314825)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【分割の表示】特願平9−174611の分割
【原出願日】平成9年6月30日(1997.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】