説明

再生評価装置、ストリームデータ処理方法

【課題】トリックプレイ(早送り、巻き戻し、逆スロー等)を組み合わせた複雑な再生を適切に評価すること
【解決手段】復号部12は、ストリームデータに含まれる第1データに対し、通常再生にかかる復号を行った第1復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第1シナリオデータに従った復号を行った第2復号データを生成する。特徴抽出部13は、第1復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第1通常再生情報と、第2復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第1評価再生情報と、を生成する。フレーム検索部16は、特徴値同士の比較判定から、第1通常再生情報の再生位置と、第1評価再生情報の再生時刻と、を含む第1評価データを生成する。評価部17は、第1シナリオデータ、第1評価データに基づいて前記評価用再生の評価を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生評価装置、及びストリームデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画を復号化する装置(例えばデジタルテレビ、ポータブルAVプレーヤー等)において、再生時に所望の動画が閲覧できているかを評価する必要がある。ここで、評価の際に、トリックプレイ(早送り、巻き戻し、逆スロー)をも考慮した評価を行えることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、通常再生時に映像及び音声を同期させる技術が開示されている。すなわち、映像と音声が所望のタイミングで再生されているかを評価(照合)することができる。特許文献1にかかるストリームデータ処理装置は、同期制御を無効にした状態でストリームデータをデコードした非同期データを1フレーム単位でデータ圧縮して期待値データとする。続いて、当該ストリームデータ処理装置は、同期制御を有効にし、ストリームデータをデコードした同期データを期待値データと照合する。
【0004】
当該照合処理を概略すると、ストリームデータ処理装置は、取得した評価データを期待値と1フレームごとに先頭から順に照合して、一致しなかった場合は期待値を1フレーム分前後にずらして再照合する処理を繰り返す。これにより、映像と音声が所望のタイミングで再生されているかを評価(照合)する。
【0005】
図16は、当該ストリームデータ処理装置による照合処理を示すフローチャートである。ストリームデータ処理装置は、期待値データをメモリ上に展開し、1フレーム毎に圧縮データを取得する。取得した圧縮データと期待値データを比較し、一致しない場合にはSTC値とPTS値を読み出して比較する。この比較結果に応じて再度の照合処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−279014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び関連する技術ではトリックプレイ(早送り、巻き戻し、逆スロー等)を組み合わせた複雑な再生を適切に評価できないという問題があった。以下に、当該問題の詳細を説明する。
【0008】
特許文献1にかかるストリームデータ処理装置は、前述のように照合処理が不一致の際に期待値を1フレーム分前後にずらして再照合を行う。そのため、当該ストリームデータ処理装置は、早送りや巻き戻しを行った際に生じるフレームスキップ(1フレームを超えるフレームの変化)に対応できないという問題がある。
【0009】
早送りの評価に当該ストリームデータ処理装置を応用した例を説明する。ここで、期待値として図17に示すデータを用いる。また、早送りの再生により取得したデータを図18に示す。図18に示すように、早送り処理により2フレームのスキップが生じている。
【0010】
初めに、圧縮データ(a)と、期待値データ(a)を読み込み、これらの一致判定を行う。この場合、一致するため正常に同期していると判定する。続いて、圧縮データ(d)と、期待値データ(b)と、を読み込む。この場合、圧縮データと期待値データは異なるため、評価データ(図18)からSTC値(3)、期待値データ(図17)からPTS値(1)を読み出す。ここで、STC値が2フレームだけ早いため、図16のST410のいずれの分岐条件にも当てはまらず、評価を行うことができない。
【0011】
同様に巻き戻しの評価に当該ストリームデータ処理装置を応用した例を説明する。巻き戻しの再生により取得したデータを図19に示す。なお、図19に示すように巻き戻しであるため、STC値と圧縮データは逆方向に進んでいる。期待値データは、早送りの評価と同様に図17のデータを用いる。
【0012】
初めに、圧縮データ(m)と、期待値データ(a)を読み込み、これらの一致判定を行う場合、圧縮データと期待値データは異なるため、評価データ(図19)からSTC値(12)、期待値データ(図17)からPTS値(0)を読み出す。STC値が12フレーム早いため、図16のST410のいずれの分岐条件にも当てはまらず、評価を行うことができない。
【0013】
特許文献1に記載のストリーム処理装置は、逆スロー再生も同様に評価を行うことができない。以上のように、特許文献1に記載のストリーム処理装置では、トリックプレイを含む再生の評価を行うことができない。
【0014】
トリックプレイを組み合わせた複雑な再生を行う場合、ユーザが目視確認により評価する必要性がある。しかしながら、ユーザによる目視確認は、ユーザの手間がかかる上に、精度の高い評価ができない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる再生評価装置の一態様は、
ストリームデータの再生評価を行う再生評価装置であって、
前記ストリームデータに含まれる第1データに対し、通常再生にかかる復号を行った第1復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第1シナリオデータに従った復号を行った第2復号データを生成する復号部と、
前記第1復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第1通常再生情報を生成するとともに、前記第2復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第1評価再生情報を生成する特徴抽出部と、
特徴値同士の比較判定から、前記第1通常再生情報の再生位置と、前記第1評価再生情報の再生時刻と、を含む第1評価データを生成するフレーム検索部と、
前記第1シナリオデータ、及び前記第1評価データに基づいて前記評価用再生の評価を行う評価部と、を備える、ものである。
【0016】
本発明にかかるストリームデータ処理方法の一態様は、
ストリームデータに含まれる第1データに対し、通常再生にかかる復号を行った第1復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第1シナリオデータに従った復号を行った第2復号データを生成し、
前記第1復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第1通常再生情報を生成し、
前記第2復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第1評価再生情報を生成し、
前記第1シナリオデータ、前記第1通常再生情報、及び前記第1評価再生情報に基づいて前記評価用再生の評価を行う、ものである。
【0017】
本発明では、再生評価装置は、トリックプレイを含む評価用再生を行った場合の理想値であるシナリオデータと、実際の動作データを照合することにより、再生評価を行っている。このように、再生評価装置は、トリックプレイを考慮したシナリオデータを基に評価を行うため、さまざまな種類の再生に対応した評価を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、トリックプレイ(早送り、巻き戻し、逆スロー等)を組み合わせた複雑な再生を適切に評価できる再生評価装置、及び再生評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1にかかる再生評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかるシナリオデータを示す図である。
【図3】実施の形態1にかかる通常再生情報を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかる評価再生情報を示す図である。
【図5】実施の形態1にかかるフレーム検索部の処理を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1にかかるフレーム検索部の動作概念を示す図である。
【図7】実施の形態1にかかる評価データを示す図である。
【図8】実施の形態1にかかる評価部による評価を示す図である。
【図9】実施の形態1にかかる再生評価装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1にかかる再生評価装置の評価対象を示す図である。
【図11】実施の形態2にかかる再生評価装置の構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2にかかる評価部の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態2にかかる正規化部の処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2にかかる評価部による評価を示す図である。
【図15】実施の形態2にかかる評価部による評価を示す図である。
【図16】特許文献1にかかるストリームデータ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】特許文献1にかかるストリームデータ処理装置が用いる理想値を示す図である。
【図18】特許文献1にかかるストリームデータ処理装置における評価データである。
【図19】特許文献1にかかるストリームデータ処理装置における評価データである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる再生評価装置の構成を示すブロック図である。再生評価装置1は、再生制御部11と、復号部12と、特徴抽出部13と、記憶媒体14と、記憶媒体15と、フレーム検索部16と、評価部17と、を備える。再生評価装置1の一例として、デジタルテレビ受像機、ブルーレイディスク(登録商標)プレーヤー、ポータブルオーディオビジュアルプレーヤーが挙げられる。
【0021】
再生制御部11は、復号部12の復号処理を制御する処理部である。通常再生を行う場合、再生制御部11は、通常再生時の復号データを生成するように復号部12を制御する。トリックプレイを含む評価用の再生を行う場合、再生制御部11は、外部から入力されたシナリオデータが示す再生タイミングと合致するように復号部12を制御する。
【0022】
シナリオデータとは、トリックプレイを含む再生を行った場合の経過時刻と、再生位置(先頭からの再生位置を示す時間情報)と、をテーブルの形式にした情報である。図2にシナリオデータの一例を示す。
【0023】
例えば、評価用の再生を行ってから30s後には、通常再生時の25s経過時のデータが再生されるべきことを示している。図2の例では、評価用の再生を行ってから45s〜65s時には、早送り再生を行うことが規定されている。このように、シナリオデータは、一定時間間隔毎(図2では5s)の経過時刻と、当該経過時刻の際に表示されるべき再生位置と、を対にした情報である。
【0024】
復号部12は、再生制御部11の制御に応じて入力されたストリームデータを復号化し、復号化した復号データを特徴抽出部13に供給する。復号データとして、映像データまたは音声データが挙げられる。以下の説明では、音声データを例に説明を行う。
【0025】
特徴値抽出部13は、通常再生時の各経過時間のフレームの特徴値を抽出し、抽出した特徴値を記憶媒体14に格納する。特徴値は、フレームの特性を認識できるものであれば特にその形式や抽出方法は問わない。特徴値には、ミュートを示す値も含まれる。記憶媒体14に格納されるデータの例を図3に示す。なお、この通常再生時の特徴値と再生時間を対にした情報を、通常再生情報と呼称する。
【0026】
さらに、特徴値抽出部13は、シナリオデータに沿って再生した場合の各経過時間のフレームの特徴値を抽出し、抽出した特徴値を記憶媒体15に格納する。記憶媒体15に格納されるデータの例を図4に示す。なお、この評価再生時の再生時刻と特徴値とを対にした情報を、評価再生情報と呼称する。
【0027】
フレーム検索部16は、上述の通常再生情報(図3)と、評価再生情報(図4)から、後述の評価部17が用いる評価用の評価データを生成する処理部である。フレーム検索部16の処理を図5のフローチャート、及び図6の動作概念図を参照して説明する。
【0028】
フレーム検索部16は、予め記憶媒体14及び15から通常再生情報、評価再生情報を読み出しておく。フレーム検索部16は、評価再生情報(図4)のデータ列を読み出し、当該データ列の特徴値を読み出す(S11)。フレーム検索部16は、データ末尾である場合には処理を終了する(S12:Yes)。
【0029】
フレーム検索部16は、通常再生情報(図3)から特徴値を全て読み出す(S13)。フレーム検索部16は、S11にて読み出した特徴値が、通常再生情報(図3)に存在するか否かを判定する(S14)。
【0030】
特徴値が存在する場合(S14:Yes)、フレーム検索部16は、評価再生情報の再生時刻と、検索された通常再生情報のデータ列の再生位置と、を抽出して評価データのデータ列とする(S15)。例えば、図6の例では、フレーム検索部16は、評価再生情報の1行目の再生時刻と、通常再生情報の1行目と、から評価データの1行目を生成している。同様に、フレーム検索部16は、評価再生情報の8行目の再生時刻と、通常再生情報の6行目と、から評価データの8行目を生成している。
【0031】
特徴値が存在しない場合(S14:No)、フレーム検索部16は、S11にて読み出した特徴値がミュートを示すものであるか否かを判定する(S16)。特徴値がミュートである場合(S16:Yes)、フレーム検索部16は、評価データの再生位置にミュートを示す特徴値を代入する(S17)。特徴値がミュートではない場合(S16:No)、フレーム検索部16は、評価データの再生位置に復号結果がNGであった旨を代入する(S18)。
【0032】
なお、図5の処理フローでは、ミュートに関する判定を行ったが、映像データを扱う場合には当該判定は不要である。すなわち、S16及びS17の処理が不要となる。
【0033】
フレーム検索部16が、図3に示す通常再生情報と、図4に示す評価再生情報と、から生成した評価データを図7に示す。フレーム検索部16は、生成した評価データを評価部17に供給する。
【0034】
図1の説明に戻る。評価部17は、フレーム検索部16が生成した評価データと、シナリオデータと、から評価再生時の動作が所望の動作であるか否かを評価する処理部である。評価部17は、評価結果を任意の表示装置等に出力する。
【0035】
評価部17による評価方法を図8の概念図を参照して説明する。評価部17は、シナリオデータと、評価データと、の同一再生時刻における再生位置の差分を算出する。例えば、評価部17は、再生時刻5sの再生位置が互いに5sであるため、差分を0と算出する。同様に、評価部17は、再生時刻55sの再生位置は45sと50sであるため、差分を5と算出する。
【0036】
評価部17は、算出した各再生時刻での差分と、所定の閾値E(例えば2s)と、を比較する。評価部17は、所定の閾値Eよりも大きい差分がある場合には、評価再生時の動作が所望の動作ではないと判定する。
【0037】
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる再生評価装置の動作について改めて説明する。ユーザは、トリックプレイを含む再生の評価を行うためのシナリオデータを作成し、作成したシナリオデータをストリーム処理装置1に入力する(S21)。
【0038】
特徴抽出部13は、通常再生情報を生成する(S22)。同様に、特徴抽出部13は、評価再生情報を生成する(S23)。フレーム検索部16は、通常再生情報と、評価再生情報と、から評価データを生成する(S24)。評価部17は、フレーム検索部16が生成した評価データと、シナリオデータと、から評価再生時の動作が所望の動作であるか否かを評価する(S25)。
【0039】
続いて、本実施の形態にかかる再生評価装置の効果について説明する。再生評価装置は、トリックプレイを含む評価用再生を行った場合の理想値であるシナリオデータと、実際の動作データを照合することにより、再生評価を行っている。このように、再生評価装置は、トリックプレイを考慮したシナリオデータを基に評価を行うため、適切にさまざまな種類の再生に対応した評価を行うことができる。
【0040】
ここで、図10を参照して本実施の形態にかかる再生評価装置1が評価対象とするトリックプレイについて説明する。図示するように、本実施の形態にかかる再生評価装置1は、通常再生、早送り、巻き戻し、スロー再生、逆スロー再生、ポーズ、及びこれらを組み合わせた再生を評価することができる。一方、特許文献1のストリームデータ処理装置等では、早送り、巻き戻し、逆スロー再生を扱う評価を行うことはできない。
【0041】
特徴抽出部13は、復号されたデータから自動的に特徴値を抽出することができ、フレーム検索部16は、上述の図5の処理フローに従って自動的に評価データを生成する。評価部17は、評価データとシナリオデータを比較することにより再生評価を行うことができる。換言すると、ユーザはシナリオデータの作成のみを行えばよく、目視による再生評価、評価用のデータ取得を行う必要性がない。
【0042】
<実施の形態2>
本実施の形態にかかる再生評価装置は、映像と音声の同期を評価することを特徴とする。本実施の形態にかかる再生評価装置について、実施の形態1と異なる点を図11を参照して説明する。なお、同一名称、同一符号を付した処理部であって、以下に説明を行わない処理部は、概ね実施の形態1と同様の処理を行う。
【0043】
図11は、本実施の形態にかかる再生評価装置の構成を示すブロック図である。再生評価装置1は、図1の構成に加えて多重分離部21と、同期制御部22と、同期評価部23を備える。なお、復号部12、特徴抽出部13、記憶媒体14及び15、及びフレーム検索部16は、音声を扱う処理部(12−1、13−1、14−1、15−1、16−1)と映像を扱う処理部(12−2、13−2、14−2、15−2、16−2)が備えられている。また、ユーザは、映像及び音声のシナリオデータを作成して、再生評価装置1に入力する。
【0044】
再生制御部11は、多重分離部21、復号部(12−1、12−2)、同期制御部22の制御を行う。再生制御部11は、通常再生時の制御、またはトリックプレイを含む評価用再生を行う場合に各種制御を行う。再生制御部11は、評価用再生を行う際に、音声用及び映像用のシナリオデータを復号部(12−1、12−2)に供給する。
【0045】
多重分離部21は、入力されたストリームデータを音声ストリームと、映像ストリームに分離する処理部である。多重分離部21は、音声ストリームを音声復号部12−1、映像ストリームを映像復号部12−2に供給する。同期制御部22は、再生制御部11の制御に応じて、復号部(12−1、12−2)の制御を行う。
【0046】
復号部12、特徴抽出部13、フレーム検索部16は、実施の形態1と略同一の処理を行う。
【0047】
同期評価部23は、フレーム検索部16−1及び16−2から上述の評価データが供給され、これらから映像と音声の同期を評価する。同期評価部23の構成、及び同期評価の手法は、後述する。本実施の形態にかかる同期評価部23の構成を図12に示す。同期評価部23は、正規化部231と、判定部232と、を備える。
【0048】
正規化部231は、入力された評価データの正規化、すなわち、映像にかかる評価データと音声にかかる評価データの時間間隔をそろえる処理部である。一般に、映像を符号化したフレームと、音声を符号化したフレームと、の時間間隔は異なる。そのため、両評価データの再生時刻の間隔が異なる場合が多い。正規化部231は、当該時間間隔を同一にする。正規化部231の処理を図13を参照して説明する。
【0049】
図13は、正規化処理の流れを示すフローチャートである。正規化部231は、所望の時間間隔をdとし、変数nを0とする。正規化部231は、映像にかかる評価データと音声にかかる評価データのいずれか一方を入力データとする。正規化部231は、正規化後の時刻t(t=d*n)をte(入力データの末尾の再生時刻)と比較する(S31)。入力データの末尾に到達した場合(S31:Yes)、正規化部231は処理を終了する。
【0050】
入力データの末尾に到達していない場合(S31:No)、正規化部231は、入力データ(例えば映像にかかる評価データ)内の再生時刻の情報にtと等しい値があるかを検索する(S32)。
【0051】
tと等しい値が存在する場合(S33:Yes)、正規化部231は、この等しい値に対応する再生位置を正規化後の再生時刻tの再生位置に決定する(S34)。tと等しい値が存在しない場合(S33:No)、正規化部231は、入力データから再生時刻tに近い2つの時刻情報t0及びt1を抽出する。正規化部231は、当該時刻情報t0及びt1に対応する特徴値を記憶媒体14または15から読み出す。正規化部231は、t0、t1に対応する特徴値がミュートまたは復号化が失敗であったことを示す値か否かを判定する(S35)。
【0052】
特徴値がミュートや復号化の失敗ではなかった場合(S35:No)、正規化部231は、以下の式から再生時刻tにおける再生位置を決定する。なお、P0をt0における再生位置、P1をt1における再生位置とする(S36)。
P=P0+(P1−P0)/(t1−t0)*(t−t0)
【0053】
特徴値がミュートや復号化の失敗であった場合(S35:Yes)、正規化部231は、再生時刻tにおける再生位置をミュートまたは復号化失敗が示す値とする(S37)。
【0054】
S34、S36、S37のいずれかの処理の終了後に、正規化部231はnの値を1増加させ(S38)、S31から処理を繰り返す。なお、映像にかかる評価データの正規化を行う場合には、ミュートに関する処理は実行されない。
【0055】
図12の説明に戻る。判定部232には、正規化処理の終わった映像及び音声の評価データが入力される。判定部232は、映像の評価データと、音声の評価データと、の同一再生時刻における再生位置の差分を算出する。判定部232は、算出した各再生時刻での差分と、所定の閾値E(例えば2s)と、を比較する。判定部232は、所定の閾値Eよりも大きい差分がある場合には、音声と映像が正しく同期していないと判定する。図14は、判定部232による判定処理の具体例を示す概念図である。図示するように、判定部232は、算出した各再生時刻での差分と、所定の閾値E(例えば2s)と、を比較し、例えば再生時刻48sに差分が閾値以上になっているため同期ずれが生じていると判定する。
【0056】
なお、再生位置にミュート等の情報が代入されている場合、判定部232は正しく差分をとれない。この場合、例えば図15に示すように判定を行う。すなわち、判定部232は、再生位置にミュートが設定されている場合、自動的に判定が成功とする。判定部232は、再生位置に復号化の失敗が設定されている場合、自動的に判定が失敗とする。
【0057】
続いて本実施の形態にかかる再生評価装置の効果について説明する。上述のように、特徴抽出部13は、トリックプレイを含むシナリオデータに基づいて、映像及び音声の特徴値の抽出を行っている。再生評価装置は、この特徴値を基に音声と映像の同期判定を行っているため、トリックプレイを含む複雑な再生の同期判定を適切に行うことができる。
【0058】
なお、上述の例では、映像と音声の同期判定を行ったが、映像と字幕、音声と字幕、主音声と副音声、ピクチャーインピクチャー再生における第1の映像と第2の映像、等の同期判定を行っても良い。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 再生評価装置
11 再生制御部
12 復号部
13 特徴抽出部
14 記憶媒体
15 記憶媒体
16 フレーム検索部
17 評価部
21 多重分離部
22 同期制御部
23 同期評価部
231 正規化部
232 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリームデータの再生評価を行う再生評価装置であって、
前記ストリームデータに含まれる第1データに対し、通常再生にかかる復号を行った第1復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第1シナリオデータに従った復号を行った第2復号データを生成する復号部と、
前記第1復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第1通常再生情報を生成するとともに、前記第2復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第1評価再生情報を生成する特徴抽出部と、
特徴値同士の比較判定から、前記第1通常再生情報の再生位置と、前記第1評価再生情報の再生時刻と、を含む第1評価データを生成するフレーム検索部と、
前記第1シナリオデータ、及び前記第1評価データに基づいて前記評価用再生の評価を行う評価部と、を備える再生評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、同一再生時刻における、前記第1評価データの再生位置と、前記シナリオデータの再生位置と、にずれが生じているか否かに基づいて前記評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の再生評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、同一再生時刻における、前記第1評価データの再生位置と、前記第1シナリオデータの再生位置と、の差分を抽出し、当該差分が所定閾値を超えている場合に所望のデータ再生がなされていないと評価することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再生評価装置。
【請求項4】
同期評価部を更に備え、
前記復号部は、前記ストリームデータに含まれる第2データに対し、通常再生にかかる復号を行った第3復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第2シナリオデータに従った復号を行った第4復号データを生成し、
前記特徴抽出部は、前記第3復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第2通常再生情報を生成するとともに、前記第4復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第2評価再生情報を生成し、
前記フレーム検索部は、特徴値同士の比較判定から、前記第2通常再生情報の再生位置と、前記第2評価再生情報の再生時刻と、を含む第2評価データを生成し、
前記同期評価部は、前記第1及び前記第2評価データに基づいて、前記第1データと前記第2データが同期しているか否かを評価する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の再生評価装置。
【請求項5】
前記同期評価部は、前記第1及び第2評価データの正規化処理を行った後に、前記第1評価データの再生位置と、前記第2評価データの再生位置と、の差分を抽出し、当該差分が所定閾値を超えている場合に前記第1データと前記第2データが同期していないと評価することを特徴とする請求項4に記載の再生評価装置。
【請求項6】
前記第1データ及び前記第2データは、音声データ、映像データ、字幕データのいずれかであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の再生評価装置。
【請求項7】
前記トリックプレイは、早送り、巻き戻し、及び逆スロー再生の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の再生評価装置。
【請求項8】
ストリームデータに含まれる第1データに対し、通常再生にかかる復号を行った第1復号データを生成するとともに、トリックプレイを含む評価用再生をした場合の再生時刻と再生位置を関連付けた第1シナリオデータに従った復号を行った第2復号データを生成し、
前記第1復号データから再生位置と特徴値とを関連付けた第1通常再生情報を生成し、
前記第2復号データから再生時刻と特徴値とを関連付けた第1評価再生情報を生成し、
前記第1シナリオデータ、前記第1通常再生情報、及び前記第1評価再生情報に基づいて前記評価用再生の評価を行う、再生評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−195839(P2012−195839A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59444(P2011−59444)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】