説明

写真プリント装置及び写真アルバム冊子の作製方法

【課題】印刷出力する画像数が少ない場合であっても、ハードカバーなどの写真アルバム冊子を良好かつ効率的に作製できる写真アルバム冊子の作製技術を提供する。
【解決手段】画像形成された記録紙であるページシートで構成された写真アルバム冊子のページシートを印刷出力する写真プリント装置において、厚さに関して少なくとも一種類以上の記録紙を装填すると共に、この記録紙及びこの記録紙を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙の厚さ情報を種類毎に格納する厚さ情報格納部63と、作製される写真アルバム冊子の冊子厚さに適正値が設けられている場合、ページシートの総枚数と厚さ情報とに基づいて、作製に用いられる記録紙及び中間紙の総厚さがこの適正値と略同一となるように、使用すべき記録紙及び中間紙の種類の組合せを算出する組合せ算出部64とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成された記録紙であるページシートで構成された写真アルバム冊子のページシートを印刷出力する写真プリント装置、及び、この写真アルバム冊子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
写真プリント店においては顧客に対して多様な写真サービスが提供されているが、この写真サービスの一つとして、旅行などで撮影された写真をアルバムの形態でひとまとめにした写真アルバム冊子を作製するサービスが行われている。このような写真アルバム冊子を作製するための写真プリント装置として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この写真プリント装置は、写真アルバム冊子を構成する頁シートとカバーシートとをシート状記録媒体に画像形成して出力するものであり、カバーシートの背表紙の幅を自動的に調整する背表紙幅設定部と、頁シートのプリントサイズと背表紙の幅とに基づいて決定されるプリントサイズに応じて、カバーシートのデータを編集するシートデータ編集部とを備えている。この背表紙幅設定部により、シート状記録媒体の厚さなどの情報に基づいて背表紙の幅が自動的に調整されるので、頁シートの枚数を柔軟に設定することができる。
【0003】
また、製本作業の容易な写真アルバム及びその製作方法として、例えば特許文献2の技術が知られている。この写真アルバムは、一対の構成頁とこの一対の構成頁を接合しうる接合部材により製本単位を形成し、この製本単位を一対の構成頁が見開きとなる状態で、厚さ方向に複数貼り合わせて形成されている。ここで、この複数の製本単位は、各製本単位間に配置されている接合用紙を介して、各製本単位の裏面側において貼り合わされており、これにより写真アルバムの厚さ寸法及び厚さ方向の強度を調節することができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−58392号公報(段落0009〜0012)
【特許文献2】特開2006−315376号公報(段落0013、0031〜0032)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハードカバーの写真アルバム冊子の場合、冊子厚さ、すなわち表表紙と裏表紙の間の距離は略固定されており、また、各頁シートの厚さも一定であるため、綴じ部の強度の確保及び外観上の観点から、用いるべき適正な頁シート(画像形成された記録紙)の数も略固定されたものであった。例えば、ハードカバーに挿入する頁シートの数がこの適正数より少なく冊子厚さに達しないと、写真アルバム冊子の背表紙の折れや頁シートが剥離し易くなるなどの問題が生じ得るため、印刷出力する画像が少ない場合、その適正数の頁シートに達するように顧客にとって必要以上の写真印刷を強いることになっていた。
【0006】
この点に関して、上記特許文献2のように、接合用紙を用いて厚さ寸法を調整することもできるが、この場合、冊子厚さと略同一となるようにその都度適切な厚さの接合用紙を作成することは、写真アルバム冊子の作製者に負担を強いることになる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に着目してなされたものであり、その目的は、印刷出力する画像数が少ない場合であっても、ハードカバーなどの写真アルバム冊子を良好かつ効率的に作製できる写真アルバム冊子の作製技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
画像形成された記録紙であるページシートで構成された写真アルバム冊子の前記ページシートを印刷出力する写真プリント装置において、上記課題を解決するため、本発明においては、厚さに関して少なくとも一種類以上の記録紙を装填すると共に、前記少なくとも一種類以上の記録紙、又は、前記少なくとも一種類以上の記録紙及び当該記録紙を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙の厚さ情報を種類毎に格納する厚さ情報格納部と、作製される前記写真アルバム冊子の冊子厚さに適正値が設けられている場合、前記ページシートの総枚数と前記厚さ情報とに基づいて、作製に用いられる前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の総厚さが前記冊子厚さの適正値と略同一となるように、前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の種類の組合せを算出する組合せ算出部と、算出された前記組合せを出力する出力制御部とを備えた。
【0009】
ここで、写真アルバム冊子のページ構成部材(冊子の中身1枚)は、ページシートの裏面同士を貼着して構成しても良いし、中間紙の表裏両面夫々にページシートの裏面を貼着して構成しても良い。すなわち、ページ構成部材としては、中間紙を用いるタイプと用いないタイプとが可能であり、作製される写真アルバム冊子は、いずれか一方のタイプ、或いは、その両方のタイプのページ構成部材を用いて構成することが可能である。
【0010】
そして、上述した構成によれば、カバーシートとしてハードカバーなどが用いられ、冊子厚さに適正値が設けられている写真アルバム冊子を作製する場合であっても、記録紙と中間紙とが厚さに関して少なくとも一種類以上備えられると共に、組合せ算出部により、作製に用いる記録紙、又は、記録紙及び中間紙の総厚さ(ページ構成部材の総厚さ)が冊子厚さの適正値と略同一となるように、その記録紙、又は、記録紙及び中間紙の種類の組合せが自動的に算出され、その組合せ結果が出力されるので、作製者はこれを参照することにより、写真アルバム冊子の作製に使用する記録紙、或いは、記録紙及び中間紙の種類を容易に選択することができる。
【0011】
すなわち、印刷出力する画像数が少ない場合であっても、厚さの異なる記録紙や中間紙の種類を算出された組合せに基づいて選択することによって、ページ構成部材の総厚さが冊子厚さの適正値と略同一となるように調整されるので、顧客に対して必要以上の数の写真印刷を強いることなく、また、作製に際して作製者の負担も軽減され、写真アルバム冊子を良好かつ効率的に作製できるものとなる。
【0012】
なお、算出された組合せ結果の出力形態として、本発明の好適な実施形態の1つでは、算出された前記組合せが前記記録紙に印刷出力される。これにより、写真アルバム冊子の作製者は、作製場所などにおいてこの記録紙に印刷された組合せを参照しながら作業を行うことができ、作業を効率的に進めることができる。
【0013】
上述した写真プリント装置に加え、写真アルバム冊子の作製方法も本発明の主題である。すなわち、本発明に係る写真アルバム冊子の作製方法の特徴は、画像形成された記録紙であるページシートで構成され、冊子厚さに適正値が設けられている写真アルバム冊子の作製方法において、前記ページシートの総枚数と、少なくとも一種類以上の記録紙、又は、少なくとも一種類以上の記録紙及び当該記録紙を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙の厚さ情報とに基づいて、作製に用いられる前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の総厚さが前記冊子厚さの適正値と略同一となるように、前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の種類の組合せを算出するステップと、前記組合せを出力すると共に、当該組合せに基づいて前記ページシートを印刷出力するステップと、印刷出力された前記ページシートを用いて前記写真アルバム冊子を作製するステップと、を有している。このような写真アルバムの作製方法もまた、上述した写真プリント装置と同様の作用効果を伴うものであり、上述した種々の付加的な特徴構成を備えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る写真アルバム冊子を作製するための写真プリント装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る写真プリント装置の外観図である。この写真プリント装置はデジタルミニラボとも称せられるものであり、印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行う写真プリンタとしてのプリントステーション1Bと、現像済み写真フィルム2aやデジタルカメラ用メモリカード2bなどの撮影画像記録媒体から取り込んだ撮影画像を処理してプリントステーション1Bで使用されるプリントデータの生成・転送などを行う操作ステーション1Aとから構成されている。
【0015】
図2は、プリントステーション1Bの構成を示す模式図である。図2に示すように、プリントステーション1Bは2つの印画紙マガジン11a,11bに納めたロール状の印画紙P(記録紙の一例)を引き出してシートカッター12で指定されたプリントサイズに切断する。そして、通常の写真プリントの場合は、このように切断された印画紙Pに対し、バックプリント部13で色補正情報やコマ番号などのプリント処理情報を印画紙Pの裏面に印字するとともに、プリント露光部14で印画紙Pの表面に撮影画像の露光を行う。なお、本実施形態においては、印画紙Pの裏面に、後述する写真アルバム冊子を作製するために使用する印画紙及び中間紙の種類の組合せ情報が印刷される。また、印画紙Pの表面には撮影画像データだけでなくイラストや文字等を元にしたプリントデータを露光する。次に、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した処理槽ユニット15に送り込んで現像処理する。現像処理後の印画紙Pは、乾燥された後に装置上部の横送りコンベア16からソータ17に送られる。そして、図1に示すように、画像形成された印画紙P、つまりページシートは、このソータ17の複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される。
【0016】
図2に示すように、プリントステーション1Bには、上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために印画紙搬送機構18が敷設されている。印画紙搬送機構18は、印画紙搬送方向に関してプリント露光部14の前後に配置されたチャッカー式印画紙搬送ユニット18aを含む複数の挟持搬送ローラ対から構成されている。
【0017】
プリント露光部14には、副走査方向に搬送される印画紙Pに対して、主走査方向に沿って操作ステーション1Aからのプリントデータに基づいてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザ光線の照射を行うライン露光ヘッドが設けられている。処理槽ユニット15は、発色現像処理液を貯留する発色現像槽15aと、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽15bと、安定処理液を貯留する安定槽15cとを備えている。
【0018】
また、印画紙マガジン11aと11bが装着される装着部には印画紙マガジン11aと11bに付与されている印画紙IDコードを読み取るIDコードリーダ19が設けられている。この印画紙IDコードは印画紙Pの種別を一義的に特定するものであり、この印画紙IDコードを認識することにより、印画紙マガジン11aと11bに収納されている印画紙Pの種別が認識されることになる。
【0019】
なお、プリントステーション1Bとして、印画紙Pに対し、プリント露光部14で撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを現像処理して画像を形成する、いわゆる銀塩写真プリント方式に代えて、フィルムや紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリント方式や感熱転写シートを用いた熱転写方式などの写真プリント方式のものを採用してもよい。
【0020】
図1に示すように、操作ステーション1Aのデスク状コンソールの上部位置には、撮影画像記録媒体としての写真フィルム2aの撮影画像コマから撮影画像データを取得するフィルムスキャナ20が配置されている。また、デジタルカメラ等に装着される撮影画像記録媒体2bとしての各種半導体メモリやCD−Rなどから撮影画像データを取得するメディアドライブ21は、この写真プリント装置のコントローラ3として機能する汎用パソコンに組み込まれている。この汎用パソコンには、さらに各種情報を表示するモニタ23、各種設定や調整を行う際に用いるキーボードやマウスといった操作入力デバイス24も接続されている。
【0021】
〔コントローラのシステム構成〕
この写真プリント装置のコントローラ3は、CPUを中核部材として、写真プリント装置の種々の動作を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築している。図3に示すように、本発明に特に関係する機能部としては、以下のようなものがある。
【0022】
画像入力部31は、フィルムスキャナ20やメディアドライブ21によって読み取られた撮影画像データを取り込んで次の処理のために必要な前処理を行う。前処理とは、読み取られた撮影画像データを用いて編集処理などを行うためのデータベース化や、撮影画像データの一覧表示のためのサムネイル画像データ(低解像度画像データ)の生成などである。例えば、撮影画像記録媒体がフィルム2aの場合、プレスキャンモードと本スキャンモードとのスキャンデータを別々にメモリ30に送り込む。即ち、プレスキャンモードで得たスキャンデータはサムネイル画像データとして用いられ、本スキャンモードで得たスキャンデータは、写真プリントのために用いられる。また、撮影画像記録媒体がメモリカード2bの場合でも、同様のことを行う。すなわち、取り込んだ撮影画像データにサムネイル画像データが含まれている場合はモニタ23での一覧表示などの目的で使用するため、撮影画像の本データ(高解像度データ)とは別にメモリ30に送り込む。しかし、サムネイル画像データが含まれていない場合は、本データから縮小画像を作り出してサムネイル画像データとしてメモリ30に送り込む。
【0023】
GUI部32は、モニタ23に表示される各種ウィンドウや各種操作ボタンなどを含むグラフィック操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力(キーボードやマウスなどの操作入力デバイス24による)から制御コマンドを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)である。
【0024】
プリントデータ生成部33は、画像処理や各種アプリケーションによる編集が完了した処理済み画像データに基づいてプリントステーション1Bに装備されているプリント露光部14に適したプリントデータを生成する。ここで作成されたプリントデータが、プリントステーション1Bにおいて印画紙Pに画像形成されて出力される。また、顧客の要望に応じて生の画像データや画像処理が完了した処理済み画像データ、アプリケーションのデータ等をCD−Rなどに書き込むための形式にフォーマットするフォーマッタ部34も備えられている。
【0025】
プリント管理部35は、GUI部32から送られてきた制御コマンドや直接操作入力デバイス24から入力された操作命令に基づいて所望のプリントデータを生成するために画像入力部31からメモリ30に転送された撮影画像データ自身に対する画像処理や、これら撮影画像データを用いた各種アプリケーションのデータ編集を行う機能を有している。ここで、各種アプリケーションとは、例えば、アルバムのページシート作成やカレンダーシート作成、はがきシート作成等である。このような各種画像処理やデータ編集を施したりするため、プリント管理部35は画像処理ユニット50を備えている。そして、この画像処理ユニット50には、写真アルバム冊子を構成するページシート(画像形成された印画紙P)の画像データを編集・生成するための写真アルバム画像生成モジュール60が備えられている。また、IDコードリーダ19によって読み取られた印画紙IDコードから装填されている印画紙マガジン11aと11bに収納されている印画紙Pの種類を特定する印画紙種別認識部51も備えられている。
【0026】
〔写真アルバム画像生成モジュール〕
次に、写真アルバム画像生成モジュール60の詳細について図4を用いて説明する。この写真アルバム画像生成モジュール60は、撮影画像データとテンプレート画像データとを合成するなどしてページシート画像データの編集・生成処理などを行うページシート画像生成部61、このページシート画像データの生成の際に用いるテンプレート画像を格納しているテンプレート画像格納部62、印画紙Pの厚さ情報や、ページシート(画像形成された印画紙P)を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙などの厚さ情報をその種類毎に記憶する厚さ情報格納部63と、作製する写真アルバム冊子のページシートの総枚数と厚さ情報格納部63に格納されている各種厚さ情報とに基づいて、使用する印画紙や中間紙の種類の組合せを算出する組合せ算出部64とを備えている。
【0027】
ページシート画像生成部61は、さらに、冊子厚さや綴じ方などの異なる複数種類のアルバムタイプの中から作製する写真アルバム冊子のタイプを選択するアルバムタイプ選択部61a、ページシートに用いるテンプレート画像データをテンプレート画像格納部62を参照して選択するテンプレート画像選択部61b、入力された撮影画像データの中からページシートに用いる撮影画像データを選択する撮影画像選択部61cを備えており、選択されたテンプレート画像と撮影画像とが合成されてページシートの画像データが生成される。なお、テンプレート画像を用いない形態ももちろん可能である。
【0028】
厚さ情報格納部63には、IDコードリーダ19と印画紙種別認識部51により特定された印画紙Pの種類に基づいて、装填されている印画紙マガジン11aと11bに収納されている印画紙の種類(その種類を印画紙A、印画紙Bとする)の厚さが夫々求められ、その厚さ情報が格納されている。また、ページシートを貼着するため別途に用意されている複数種類の中間紙の夫々の厚さと、アルバムタイプ毎の冊子厚さの適正値も格納されている。このように印画紙Pの厚さ情報はIDコードリーダ19からの情報に基づいて得られ、中間紙やアルバムタイプの厚さ情報については操作入力デバイス24により予め入力されるものである。
【0029】
ここで、本実施形態においては写真アルバム冊子のページ構成部材(冊子の中身1枚)は、2枚のページシートの裏面を中間紙の表裏両面夫々に貼着することにより作成されるものとする。さらに上述したように、本実施形態においては、厚さに関して2種類の印画紙Pが備えられており(印画紙A,印画紙B)、また、中間紙については、厚さの異なる3種類の中間紙(中間紙X,中間紙Y,中間紙Z)が用意されているものとする。
【0030】
上述したように、アルバムタイプが選択されるとその冊子厚さの適正値が定まる。そして、生成されるページシートの画像データの数、すなわち印刷出力されるページシートの総枚数が定まると、組合せ算出部64は、このページシートの総枚数から使用する中間紙の総枚数を算出する。ここでは、ページシートの総枚数の半分が中間紙の総枚数となる。そして、このページシート及び中間紙の総枚数と、印画紙及び中間紙の種類毎の厚さ情報とから、作製に用いられる印画紙及び中間紙の総厚さ(ページ構成部材の総厚さ)が当該適正値と略同一となるように、その記録紙及び中間紙の種類の組合せが算出される。
【0031】
〔写真アルバム冊子の作製処理の流れ〕
次に写真アルバム冊子の作製処理の流れについて図5を用いて説明する。なお、ここでは顧客からの注文に基づいてオペレータ(写真アルバムの作製者)が全ての処理を行う場合を説明するが、撮影画像やテンプレート画像などの選択については別途設けられた受付端末(図示せず)から顧客自身が行う形態ももちろん可能である。
【0032】
まず、メディアドライブ21などに撮影画像記録媒体をセットして撮影画像データを読み込み、撮影画像データを取得する(#01)。そして、ページシートの画像データを生成するため、取得した撮影画像データの中から必要な撮影画像を選択すると共に、当該撮影画像データと合成するテンプレート画像データを選択する(#02)。この処理は、注文に係る撮影画像が全て選択されるまで行われる(#03No分岐)。この選択処理が終了すると(#03Yes分岐)、印刷出力されるページシートの総枚数と、このページシートを貼着する中間紙の総枚数とが算出される(#04)。
【0033】
次に、このページシートを用いて作製可能なアルバムタイプを選択する(#05)。たとえば、ページシートの総枚数が18枚であり、アルバムタイプとして10枚用、20枚用などが用意されている場合、20枚用のアルバムタイプが選択される。そして、厚さ情報格納部63から、選択されたアルバムタイプの冊子厚さの適正値が読み出され、また、印画紙及び中間紙の厚さが種類毎に読み出される(#06)。そして、算出されたページシート及び中間紙の総枚数と、印画紙及び中間紙の種類毎の厚さとから、作製されるページ構成部材の総厚さが読み出された冊子厚さの適正値と略同一となるように、印画紙と中間紙との種類の組合せ(組合せパターン)が算出される(#07)。なお、算出される組合せパターンは複数あっても良い。
【0034】
このようにして算出された組合せパターンはモニタ23に表示される(#08)。図6には、この組合せパターンの表示画面の一例が示されている。この用紙選択情報表示画面70のパターン表示欄71は、横方向に印画紙及び中間紙の種類欄71Aが設けられ、縦方向には算出された組合せパターンのパターン番号表示ボタン71Bが設けられている。例えば、パターン3では、印画紙Aをa3枚、中間紙Xをx3枚、中間紙Yをy3枚用いる場合が示されている。このパターン番号表示ボタン71Bを操作することにより、対応する組合せパターンが選択可能に構成されている。
【0035】
オペレータはこの表示結果を参照して組合せパターンを選択する(#09)。そして、使用する印画紙が装填された印画紙マガジン11から印画紙が引き出されて露光処理が行われ、プリント出力が行われる。特に、印画紙を2種類用いる組合せパターンが選択された場合、プリント出力の途中でプリント出力する印画紙の切り替えが行われる。例えば、図6において、パターン3を選択すれば印画紙Aを用いた印刷が行われ、パターン4を選択すれば印画紙Bを用いた印刷が行われる。また、パターン1を選択すれば印画紙Aでの印刷がa1枚終了したところで印画紙Bに切り替えられ、印画紙Bでの印刷がb1枚行われる。
【0036】
次にプリント出力されたページシートから写真アルバム冊子を作製するまでの処理について図7を用いて詳細に説明する。ここでは、図6のパターン3が選択された場合を例に説明する。上述したように、本実施形態においては中間紙80が3種類(中間紙X,中間紙Y,中間紙Z)用意されており、これを夫々80a、80b、80cとする(図7(a)参照)。また、これらの中間紙は80a,80b,80cの順に厚さが増している。
【0037】
まず、この中間紙80(80a又は80bのいずれか)の表裏両面夫々にプリント出力されたページシート90(P)を貼着することにより、写真アルバム冊子のページ構成部材(冊子の中身1枚)110が作製される(図7(b)参照)。
【0038】
ここで、図7(b)に示すように、ページシート90(P)の裏面には、選択された組合せパターンにおいて用いるべき中間紙の種類と枚数がバックプリントされており、オペレータはかかる表示を見ながらページ構成部材の作製を進めることができる。なお、表示形態はこれに限定されるものではなく、当該ページシート90(P)を貼着すべき中間紙の種類を表示するものとしても良い。例えば、中間紙Yに貼着すべきページシート90(P)の場合、裏面にYとバックプリントする。
【0039】
そして、このように作製されたページ構成部材110を、ハードカバー120に挿入して貼着することにより写真アルバム冊子100が完成する(図7(c)参照)。
【0040】
図8には、作製された写真アルバム冊子の断面図が示されている。図8を見てわかるように、写真アルバム冊子の表表紙120A側では、中間紙80aが使用されており、裏表紙120B側ではそれより厚めの中間紙80bが用いられている。このように印画紙や中間紙の厚さを調整することにより、ページ構成部材110の総厚さが冊子厚さDと略同一となり、隙間がなく、かつ、ページシート全てに所望の写真が形成された写真アルバム冊子を作製することができる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上述した実施形態においては、厚さに関して印画紙を2種類、中間紙を3種類備え るものとしたが、もちろんこれに限定されるわけではなく、任意の数の種類の印画紙或 いは中間紙を用いることができる。
(2)上述した実施形態においては、中間紙を用いるタイプのページ構成部材を採用した が、中間紙を用いないタイプのページ構成部材を用いても良い。また、一の写真アルバ ム冊子のページ構成部材のうち、一部は中間紙を用いるタイプ、残りは中間紙を用いな いタイプとしても良い。また、必ずしも両面に貼着する形態でなくても良い。
(3)本発明に係る写真アルバム冊子は、冊子厚さに適正値を有するものであればよく、 その綴じ方はハードカバーに限定されず、これ以外にも例えば取り外し不可のリング部 材などの綴じ具を用いても良い。
(4)算出された組合せパターンは、モニタに必ずしも出力する必要はなく、モニタ或い は記録紙のいずれか一方のみでも良い。また、記録紙に印刷出力する場合、バックプリ ントではなく、記録紙の表面にかかる組合せパターンのみを印刷する形態としても良い 。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る写真プリント装置の外観図
【図2】図1のプリントステーションの構造を示す模式図
【図3】図1の写真プリント装置の機能ブロック図
【図4】写真アルバム画像生成モジュールの機能ブロック図
【図5】写真アルバム冊子を構成するページシートの出力処理を示すフローチャート
【図6】用紙情報表示画面を示す図
【図7】写真アルバム冊子の作製の工程を示す説明図
【図8】写真アルバム冊子の断面図
【符号の説明】
【0043】
35 プリント管理部
50 写真アルバム画像生成モジュール
61 ページシート画像生成部
63 厚さ情報格納部
64 組合せ算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成された記録紙であるページシートで構成された写真アルバム冊子の前記ページシートを印刷出力する写真プリント装置において、
厚さに関して少なくとも一種類以上の記録紙を装填すると共に、
前記少なくとも一種類以上の記録紙、又は、前記少なくとも一種類以上の記録紙及び当該記録紙を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙の厚さ情報を種類毎に格納する厚さ情報格納部と、
作製される前記写真アルバム冊子の冊子厚さに適正値が設けられている場合、前記ページシートの総枚数と前記厚さ情報とに基づいて、作製に用いられる前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の総厚さが前記冊子厚さの適正値と略同一となるように、前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の種類の組合せを算出する組合せ算出部と、
算出された前記組合せを出力する出力制御部とを備えた写真プリント装置。
【請求項2】
算出された前記組合せが前記記録紙に印刷出力される請求項1に記載の写真プリント装置。
【請求項3】
画像形成された記録紙であるページシートで構成され、冊子厚さに適正値が設けられている写真アルバム冊子の作製方法において、
前記ページシートの総枚数と、少なくとも一種類以上の記録紙、又は、少なくとも一種類以上の記録紙及び当該記録紙を貼着する少なくとも一種類以上の中間紙の厚さ情報とに基づいて、作製に用いられる前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の総厚さが前記冊子厚さの適正値と略同一となるように、前記記録紙、又は、前記記録紙及び中間紙の種類の組合せを算出するステップと、
前記組合せを出力すると共に、当該組合せに基づいて前記ページシートを印刷出力するステップと、
印刷出力された前記ページシートを用いて前記写真アルバム冊子を作製するステップと、を有する写真アルバム冊子の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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