説明

写真プリント装置

【課題】できるだけ印画紙を無駄なく使い切る写真プリント装置を提供する。
【解決手段】撮影コマ画像とプリントサイズとをリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求を待ち行列化して管理するプリント要求管理部37と、印画紙マガジン11から引き出された印画紙Pを用いてプリント要求に基づいて所定のプリント長さを有するとともに所定の撮影コマ画像を形成した写真プリントを作製するプリント出力部1Bと、シートマガジン11に収納されている未使用時の印画紙Pの公称長さと使用されたプリント長さとから残り長さを推定するシート残量推定部38とが備えられ、シート残量推定部38によって残り長さが所定値以下と推定された場合最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求が優先してプリント出力部1Bに与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成シートをロール状に収納しているシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて所定プリントサイズの写真プリントを作製する写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような写真焼付装置では、シートマガジンから引き出された画像形成シートは撮影コマ画像形成の前又は後でプリントサイズに応じて適当な長さにカットされ、最終的な写真プリントの形状となる。プリントサイズの一方の長さは印画紙幅に規定され、プリントサイズの他方の長さは送り長さ(プリント長さ)によって規定されるので、一方の長さが一定で他方の長さが異なる種々のプリントサイズの写真プリントを1種類の長尺画像形成シートから作り出すことが可能である。その際、シートマガジンにロール状に収納されている長尺画像形成シートを有効に使い切るためには、シートマガジンに残存している画像形成シートの長さを正確に知ることが必要である。このため、画像形成シートの一例としてのロール状印画紙には公称の全長がメーカー側から与えられているので、その値を基準として、この印画紙の累積使用量から常にその印画紙の残量を管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、最初に設定される公称長さは、メーカー側で提示する値で、実際の長さはこれよりある程度のプラス側に余裕をもった値となっており、その誤差は少なくない。従って、この技術で提示される印画紙残量に基づいてロール状印画紙の後端ぎりぎりまで無駄なく写真プリント作製を実施することは極めて困難である。
【0003】
確実に残りのシート(印画紙)長さを把握するため、マガジンから引き出される印画紙の後端を検出する検出器を設け、この後端検出に基づいて印画紙の残り長さを算出し、この残り長さが処理対象のプリントサイズ(プリント長さ)より短ければ、撮影コマ画像の露光は行わずマガジン交換を行うモードと、残り長さが処理対象のプリントサイズ(プリント長さ)より長ければ撮影コマ画像の露光を行うモードのいずれかを選択できる写真処理装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この写真処理装置では、印画紙の後端を検出した後、その残り長さが処理対象のプリントサイズ(プリント長さ)より長ければ撮影コマ画像の露光を行って写真プリントを作製することが可能となり、特許文献1のものよりは印画紙を無駄なく使い切る可能性が高くなるが、印画紙の後端検出後の処理対象のプリント長さがパノラマプリントのようにかなり長い場合このプリントは行わずにマガジン交換が行われる可能性が高くなり、可能な限り印画紙を無駄なく使い切るという観点からはまだ不十分である。
【0004】
【特許文献1】特開2000−211218号公報(段落番号0008−0009、図2)
【特許文献2】特開2003−015233号公報(段落番号0019−0024、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、画像形成シートをロール状に収納している複数のシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて所定プリントサイズの写真プリントを作製する写真プリント装置において、できるだけ画像形成シートを無駄なく使い切る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、オーダ単位で複数の撮影コマ画像を入力する画像入力部と、前記撮影コマ画像を用いた写真プリントのプリントサイズを設定するプリントサイズ設定部と、前記撮影コマ画像と前記プリントサイズとをリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求を待ち行列化して管理するプリント要求管理部と、画像形成シートをロール状に収納しているシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて前記プリント要求管理部から順次送られてくるプリント要求に基づいて所定のプリント長さを有するとともに所定の前記撮影コマ画像を形成した写真プリントを作製するプリント出力部と、前記シートマガジンに収納されている未使用時の画像形成シートの公称長さと使用されたプリント長さとから前記シートマガジンに収納されている画像形成シートの残り長さを推定するシート残量推定部とが備えられ、前記シート残量推定部によって残り長さが所定値以下と推定された場合前記プリント要求管理部は最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求を優先して前記プリント出力部に与える写真プリント装置が提案される。
【0007】
この写真プリント装置では、シートマガジン収納時の画像形成シートの公称長さと実際に使用されていくプリント長さとから推定されるの残りシート長さが所定値以下になった場合、シートマガジンに収納されている画像形成シートの残り長さがあとわずかであると判断して、プリント要求管理部が管理している最も短いプリント長さをもつプリント要求を優先してプリントする。これにより、残り少なくなった画像形成シートが比較的長い目のプリントサイズをもつプリント要求のためプリント不能として新しい画像形成シートと交換されてしまうという可能性が低減する。このようにプリント長さが短い順でプリント要求を処理することで、残り少なくなった画像形成シートをできる限り使い切ることができる。一般に、メーカー側から与えられる画像形成シートの公称長さは実際の長さより短く設定されているので、シート残量推定部で用いられる所定値を「0」としてもよい。
【0008】
本発明では、上記課題を解決するため、もう1つの写真プリント装置が提案される。そのような写真プリント装置では、オーダ単位で複数の撮影コマ画像を入力する画像入力部と、前記撮影コマ画像を用いた写真プリントのプリントサイズを設定するプリントサイズ設定部と、前記撮影コマ画像と前記プリントサイズとをリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求を待ち行列化して管理するプリント要求管理部と、画像形成シートをロール状に収納しているシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて前記プリント要求管理部から順次送られてくるプリント要求に基づいて所定のプリント長さを有するとともに所定の前記撮影コマ画像を形成した写真プリントを作製するプリント出力部と、前記シートマガジンから引き出された画像形成シートの後端を検出する後端検出センサと、前記後端検出センサの後端検出信号に基づいて画像形成シートの実際の残り長さを決定する実残量決定部とが備えられ、前記後端検出センサが画像形成シートの後端を検出した場合、前記実残量決定部によって決定された実際の残り長さに対してプリント長さが最適に割り付けられるように前記プリント要求管理部はプリント要求を前記プリント出力部に与える。
【0009】
このような本発明による第2の写真プリント装置では、シートマガジンから引き出された画像形成シートの後端を後端検出センサが検出した際に、その後端からカット端までの長さ、つまり実際の画像形成シートの残り長さを算定し、プリント要求管理部が算定された実際の残り長さをできる限り使い切るようにプリント要求が選ばれる。これにより、可能な限り画像形成シートを無駄なく使い切ることができる。実際の画像形成シートの残り長さの算定は、画像形成シートをプリント長さにカットするカッティングポイントなどの画像形成シートの先端を検出するポイントと後端検出センサまでの物理的な距離は分かっているので、この距離と、画像形成シートのカット端を先頭にして搬送していく間に生じる後端検出センサの後端検出時の画像形成シートの搬送距離とを加算することで簡単に求めることができる。
【0010】
なお、上記第2の写真プリント装置においても、先に述べたシート残量推定部、つまりシートマガジンに収納されている未使用時の画像形成シートの公称長さと使用されたプリント長さとから前記シートマガジンに収納されている画像形成シートの残り長さを推定するシート残量推定部を備え、このシート残量推定部による所定値以下の残り長さの推定で、プリント要求の出力順を最適化する機能を備えてもよい。この場合、後端検出センサが画像形成シートの後端を検出していない場合において、シート残量推定部によって残り長さが所定値以下と推定された場合プリント要求管理部は最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求を優先して前記プリント出力部に与えることになる。
【0011】
いずれにしても、プリント要求管理部によって入力順又はコマ番号順に蓄積されている複数のプリント要求の処理手順が変更された場合、出力された写真プリントの注文との照合が難しくなる。このため、本発明の好適な実施形態の1つとして、プリント出力部が出力する写真プリントに注文番号とコマ番号を付与するようにすることで、照合が楽になる。そのような注文番号とコマ番号はバックプリントすることが好ましい。
【0012】
未使用時の画像形成シートの公称長さは、メーカーの仕様書に記載されているが、経験的により正確な公称長さを知ることも可能である。このため、マニュアル入力により設定された未使用時の画像形成シートの公称長さが前記シート残量推定部に与えられる構成も採用されると好都合である。
【0013】
また、プリント要求管理部によって入力順又はコマ番号順に蓄積されている複数のプリント要求の処理手順が変更される場合、そのことをオペレータが把握していないと、急いでいる写真プリントが後回しになってしまうことや照合間違いといったトラブルの原因となるので、プリント要求管理部が待ち行列化されたプリント要求の順番を変更する際にこの順番変更の報知が行われるようにすることも重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明による技術を採用した写真プリント装置を示す外観図であり、この写真プリント装置は、画像形成シートとしての印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行って撮影画像を印画紙Pに焼き付けるプリント出力部としてのプリントステーション1Bと、現像済み写真フィルム2aやデジタルカメラ用メモリカード2bなどの画像入力メディアから取り込んだ撮影画像データ(以下、単に撮影画像と略称する)を処理してプリントステーション1Bで使用されるプリントデータの生成・転送などを行う操作ステーション1Aとから構成されている。
【0015】
この写真プリント装置はデジタルミニラボとも称せられるものであり、図2からよく理解できるように、プリントステーション1Bは3つのシートマガジンとしての印画紙マガジン11、つまり第1印画紙マガジン11a、第2印画紙マガジン11b、第3印画紙マガジン11cに収納したロール状の印画紙Pを引き出してカッティングポイントに配置されたシートカッター12でプリントサイズにカットする。さらに、シートカッター12でカットされた印画紙Pに対し、バックプリント部13が注文番号やコマ番号、さらには必要に応じて顧客コードなどのプリント要求情報を印画紙Pの裏面に印字し、プリント露光部14が印画紙Pの表面に撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pは複数の現像処理槽を有した処理槽ユニット15に送り込んで現像処理される。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア16からソータ17に送られた印画紙P、つまり写真プリントPは、このソータ17の複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される(図1参照)。
【0016】
上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために印画紙搬送機構18が敷設されている。印画紙搬送機構18は、各印画紙マガジン11に収納された印画紙Pを使用時に印画紙マガジン11から搬送ラインに引き出したり、使用後に印画紙マガジン11に引き戻したりするローディングローラユニットや印画紙搬送方向に関してプリント露光部14の前後に配置されたチャッカー式印画紙搬送ユニット18aを含む複数の挟持搬送ローラ対などから構成されている。印画紙搬送機構18の駆動源となるモータはプリントコントローラ4からの駆動信号に基づいて駆動される。このプリントコントローラ4は、プリント露光部14やシートカッター12のための制御機能も備えている。
【0017】
また、図1から理解できるように、プリントステーション1Bの筐体10の前面側には内部を開放する扉10aと扉10bが設けられており、扉10aを開放することで第1印画紙マガジン11aを手前に引き出してのマガジン交換ないしは印画紙交換を行うことが可能となり、扉10bを開放することで第2印画紙マガジン11bと第3印画紙マガジン11cを手前に引き出してのマガジン交換ないしは印画紙交換を行うことが可能となる。
【0018】
プリント露光部14には、副走査方向に搬送される印画紙Pに対して、主走査方向に沿って操作ステーション1Aからのプリントデータに基づいてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザ光線の照射を行うライン露光ヘッドが設けられている。処理槽ユニット15は、発色現像処理液を貯留する発色現像槽15aと、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽15bと、安定処理液を貯留する安定槽15cを備えている。
【0019】
前記操作ステーション1Aのデスク状コンソールの上部位置には、写真フィルム2aの撮影画像コマから撮影画像データ(以下特別な場合を除いて単に撮影画像と略称する)を取得するフィルムスキャナ20が配置されており、デジタルカメラ等に装着される撮影画像記録媒体2bとして用いられている各種半導体メモリやCD−Rなどから画像データを取得するメディアリーダ21は、この写真プリント装置のコントローラ30としても機能する汎用パソコン3に組み込まれている。この汎用パソコンには、さらに各種情報を表示するモニタ23、各種設定や調整を行う際に用いる操作入力部として利用される操作入力デバイスとしてのキーボード24やマウス25も接続されている。プリント処理時には、プリントステーション1Bで写真プリントPを出力するためにコントローラ30からプリントコントローラ4へ順次プリントデータや制御データが転送される。
【0020】
各印画紙マガジン11には、数ビットのディジット表示可能なマガジンID設定器19bが設けられているとともに、このマガジンID設定器19bによって設定されたマガジンIDを読み取るためにマガジンID設定器19bに対向してIDリーダ19aが筐体10側に設けられている。このIDリーダ19aから送られるマガジンIDを通じて、コントローラ30は各印画紙マガジン11に収納されている印画紙Pのメーカー名、印画紙幅、公称印画紙長さなどの情報を取得することができる。
【0021】
各印画紙マガジン11の印画紙引き出し口の近くには、後端検出センサ5が設けられており、印画紙マガジン11から引き出された印画紙Pの後端が通過した時にこれを検出する。後端検出センサ5の検出ポイントからシートカッター12のカッティングポイント(印画紙Pの先端を検出するポイントであればよい)までの印画紙搬送路の長さ:Lは予め設定されている。従って、所定のプリント長さに印画紙Pをカットするため、印画紙Pの先端をカッティングポイントから当該プリント長さになるまで送り出し搬送する途中で、後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出すると、その送り出し長さ(印画紙搬送機構18の駆動信号から正確に算定することができる)を後端検出センサ5からシートカッター12までの長さ:Lに加算することで実際の印画紙Pの残量を得ることができる。なお、後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出すると、モニタ23やその他の報知手段(ブザーやランプなど)を通じて後端検出がオペレータに報知される。
【0022】
この写真プリント装置のコントローラ30は、CPUを中核部材として、写真プリント装置の種々の動作を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築しているが、図4に示されているように、写真プリント出力のための基本的な機能部としては、フィルムスキャナ20やメディアリーダ21によって読み取られた撮影コマ画像に次の処理のために必要な前処理を施してメモリ41に展開する画像入力部32と、グラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部33と、入力された撮影コマ画像を管理するコマ画像管理部34aと入力された撮影コマ画像を用いた写真プリントのプリントサイズを設定するプリントサイズ設定部34bとを備えたプリント管理モジュール34と、GUI部33から送られてきた内部処理コマンドなどに基づいてコマ画像管理部34aで指定された撮影コマ画像に対して必要な色補正や各種フィルタ処理などの画像処理を施す画像処理部35と、画像処理が完了した処理済み撮影コマ画像に基づいてプリント露光部14に適したプリントデータを生成するプリントデータ生成部36とが挙げられる。
【0023】
さらに、本発明による印画紙有効利用に特に関係する機能部としては、各撮影コマ画像に割り当てられたプリント枚数やプリントサイズ(印画紙幅と印画紙長さ)を当該撮影コマ画像にリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求をプリント要求待ち行列部34dでテーブル化して管理するためにプリント管理モジュール34内に構築されているプリント要求管理部34cと、IDリーダ19aから送られる各印画紙マガジン11のマガジンIDを用いてハードディスクなどに格納されている対応する印画紙情報(未使用時の公称長さなど)を読み出すマガジン情報取得部37と、前記シートマガジン11に収納されている未使用時の画像形成シートの公称長さ(メーカー仕様書に基づく公称長さはマガジン情報取得部37によって得られる)と実際に使用されたプリント長さとから前記シートマガジンに収納されている印画紙Pの残り長さを推定するシート残量推定部38と、印画紙Pの実際の残り長さを決定する実残量決定部39とが挙げられる。
【0024】
プリント要求管理部34cで作成されるプリント要求は、一般的にはモニタ23に表示される撮影コマ画像を確認しながらオペレータによってキーボード24やマウス25を通じて入力されたプリントサイズやプリント枚数に基づいているが、電子化された注文情報などから撮影コマ画像毎のプリントサイズやプリント枚数を読み取るような構成を採用することも可能である。
【0025】
マガジン情報取得部37は、各印画紙マガジン11に設けられたマガジンID設定器19bからIDリーダ19aを通じて読み取られたマガジンID検出信号を受け取り、マガジンIDを生成し、このマガジンIDをキーとして、マガジン情報を格納したマガジン情報テーブルから各印画紙マガジン11に収納されている印画紙Pの情報(印画紙サイズ幅、未使用時(新品)時の公称長さなど)を読み出す。この公称長さはメーカーや印画紙種類によって実際の長さよりかなりばらついていることから、この実施形態では、経験的に知られている最低限の長さを公称長さとして別途にモニタ表示される公称長さ入力欄を通じてマニュアル入力設定できるように構成されている。
【0026】
シート残量推定部38は、マガジン情報取得部37によって又はマニュアル入力を通じて得られた公称長さから、写真プリント作製のために実際にシートカッター12によってカットされた積算長さを減算することにより推定残量を求める。この推定残量は、シートカッター12によって所定のプリント長さで印画紙Pをカットした時点でのシートカッター12を先端とする印画紙マガジン11側の印画紙Pの残り長さの推定値である。
【0027】
実残量決定部39は、後端検出センサ5の後端検出信号に基づいて印画紙Pの実際の残り長さを決定する機能を有している。つまり、予め設定されている後端検出センサ5の検出ポイントからシートカッター12のカッティングポイントまでの印画紙搬送路の長さ:L(各印画紙マガジンによってL1、L2、L3と異なる)を基準長さとし、印画紙Pの先端がシートカッター12よりさらに送り出されている時に後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出した場合にはその送り出し長さ(印画紙搬送機構18の駆動信号から正確に算定することができる)を基準長さ:Lに加算することで実際の印画紙Pの残り長さが求められる。また、印画紙Pの先端がシートカッター12の手前を搬送されている時に後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出した場合にはその時点の印画紙Pの先端がシートカッター12に到達するまでの搬送距離(印画紙搬送機構18の駆動信号から正確に算定することができる)を基準長さ:Lから減算することで実際の印画紙Pの残り長さが求められる。
【0028】
プリント要求管理部34cは、各撮影コマ画像にリンクするプリント要求を作成してプリント要求待ち行列部34dに格納し、プリントステーション1Bに順次各プリント要求にリンクされている撮影コマ画像に対応するプリントデータを転送する。プリント要求待ち行列部34dで待ち行列化されて格納されているプリント要求の一例が図5で示されている。この図中、(1)又は(2)といった括弧付き数で示されている面質とはマットやグロスといった印画紙Pの表面状態であり、一般には、面質が異なると別の印画紙マガジン11を交換することになる。このプリント要求は、入力順に作成され、そのままプリントステーション1Bにプリント出力要求する順番となるが、本発明では、以下に示すように、このプリント要求の順番を変更することができる。
【0029】
まず、前記後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出していない限り、シート残量推定部38によって残り長さが所定値以下と推定された場合プリント要求管理部34cはプリント要求待ち行列部34dで待機しているプリント要求の内、最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求を優先的に繰り上げてプリントステーション1Bに送る。図5の例では、プリント要求番号1のプリント要求に先だってプリント要求番号4のプリント要求がプリント出力されるように繰り上げられている。
【0030】
ただし、シート残量推定部38によって残り長さが所定値以下と推定されているか否かにかかわらず、後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出した場合、実残量決定部39によって決定された実際の残り長さに対して、この残り長さをできるだけ使い切るように、プリント要求つまり各プリント長さを最適に割り付けるようにプリント要求管理部34cはプリント要求の順番を入れ換える。図6で示すように、プリント要求番号1のプリント要求がプリント出力される前に後端検出が発生し、実残量決定部39によって残り長さが700mmと算定された場合、プリント要求番号1のプリント要求を飛ばして、プリント要求番号3とプリント要求番号5のプリント要求を繰り上げてプリント出力することで、残り長さを無駄なく使い切る。
【0031】
上述したプリント要求管理部34cを中核とする印画紙Pを無駄なく使い切るための制御モードの設定は、図7に例示する入力設定ウインドウを通じて行われる。この入力設定ウインドウ50には、印画紙の公称長さをマニュアル入力設定する印画紙公称長さ設定欄51、限界残量時の優先モード設定欄52、限界残量設定欄53、並び替え報知要否設定欄54、裏面印字追加内容設定欄55が配置されている。
【0032】
印画紙公称長さ設定欄51を通じてマニュアル入力された値は、マガジン情報取得部37を通じて取得された公称長さの値に置き換えられる。これは、メーカー仕様書に記載されている値より、経験的に把握している値の方がより大抵は正確なためである。シート残量推定部38によって残り長さが所定値以下と推定された場合にプリント要求管理部34cによってプリント要求の並べ替えが行われるが、その並べ替えのモード選択が限界残量時の優先モード設定欄52を通じて行われる。例えば、前述した最もプリント長さの短いプリント要求を優先させるモード、前もって中間プリント長さを設定しておきその中間プリント長さより短い順にプリント要求を優先させる(例えば中間プリント長さが400mmであれば、プリント長さが300mm、200mmの順でプリント要求を優先させる)モード、そしてそのような並べ替えを行わないモードなどが選択可能である。限界残量設定欄53はシート残量推定部38で用いられる所定値を設定入力する欄である。並び替え報知要否設定欄54で「Yes」を選択すると、プリント要求管理部34cによるプリント要求の並べ替えを行うことを報知手段(モニタ23や図示されていないブザーやランプなど)を通じてオペレータに報知し、「No」を選択すると、そのような報知はされない。プリント要求の並べ替えが報知されることにより、オペレータは出力される写真プリントPの順番が変更されていることを知ることができ、裏面印字追加内容設定欄55によって設定された写真プリントPの裏面に印字される注文番号やコマ番号等を確認しながら、正確に照合作業を行うことになる。このように、写真プリントPの裏面に注文番号などを印字しておくことで、互いに異なる注文に含まれるプリント要求を入れ換えた場合でも確実な照合が可能となる。
【0033】
上述した実施の形態では、シート残量推定部38によって残り長さが所定値以下と推定された場合にプリント要求管理部34cによってプリント要求の並べ替えを行う機能と、後端検出センサ5が印画紙Pの後端を検出した場合に実残量決定部39によって決定された実際の残り長さに基づいてプリント要求の順番を入れ換える機能の両方が備えられていたが、どちらか一方の機能のみ備えた写真プリント装置も本発明の対象となっている。
【0034】
上述した実施の形態では、所定のプリント長さにカットされた印画紙Pに対しプリント露光部14で撮影コマ画像の露光を行っていたが、露光した後に所定のプリント長さにカットする構成を採用してもよい。
【0035】
さらに、上述した実施の形態では、印画紙Pに対し、露光エンジンを備えたプリント露光部14で画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理する、いわゆる銀塩写真プリント方式の写真プリント装置を取り上げたが、もちろん、例えば、フィルムや紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリント方式や感熱転写シートを用いた熱転写方式など、種々の方式の写真プリント装置にも本発明は適用可能であり、その際画像形成シートとして印画紙に代えてインクジェット紙や熱転写用紙が用いられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による写真プリント装置の一例を示す外観図
【図2】図1による写真プリント装置のプリントステーションの構成を模式的に示す模式図
【図3】プリントステーションにおける後端検出と印画紙の残り長さを説明するための模式図
【図4】写真プリント装置のコントローラ内に構築される機能を説明する機能ブロック図
【図5】プリント要求待ち行列におけるプリント要求の並べ替えを説明する模式図
【図6】プリント要求待ち行列におけるプリント要求の並べ替えを説明する模式図
【図7】印画紙を無駄なく使い切るための制御モードを設定するための入力設定ウインドウを示す画面図
【符号の説明】
【0037】
1B:プリントステーション(プリント出力部)
11:印画紙マガジン(シートマガジン)
19a:マガジンID設定器
19b:IDリーダ
30:コントローラ
32:画像入力部
33:GUI部
34a:コマ画像管理部
34b:プリントサイズ設定部
34:プリント管理モジュール
35:画像処理部
36:プリントデータ生成部
34d:プリント要求待ち行列部
34c:プリント要求管理部
37:マガジン情報取得部
38:シート残量推定部
39:実残量決定部
P:印画紙(画像形成シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダ単位で複数の撮影コマ画像を入力する画像入力部と、
前記撮影コマ画像を用いた写真プリントのプリントサイズを設定するプリントサイズ設定部と、
前記撮影コマ画像と前記プリントサイズとをリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求を待ち行列化して管理するプリント要求管理部と、
画像形成シートをロール状に収納しているシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて前記プリント要求管理部から順次送られてくるプリント要求に基づいて所定のプリント長さを有するとともに所定の前記撮影コマ画像を形成した写真プリントを作製するプリント出力部と、
前記シートマガジンに収納されている未使用時の画像形成シートの公称長さと使用されたプリント長さとから前記シートマガジンに収納されている画像形成シートの残り長さを推定するシート残量推定部とが備えられ、
前記シート残量推定部によって残り長さが所定値以下と推定された場合前記プリント要求管理部は最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求を優先して前記プリント出力部に与えることを特徴とする写真プリント装置。
【請求項2】
オーダ単位で複数の撮影コマ画像を入力する画像入力部と、
前記撮影コマ画像を用いた写真プリントのプリントサイズを設定するプリントサイズ設定部と、
前記撮影コマ画像と前記プリントサイズとをリンクするプリント要求を作成してこのプリント要求を待ち行列化して管理するプリント要求管理部と、
画像形成シートをロール状に収納しているシートマガジンから引き出された画像形成シートを用いて前記プリント要求管理部から順次送られてくるプリント要求に基づいて所定のプリント長さを有するとともに所定の前記撮影コマ画像を形成した写真プリントを作製するプリント出力部と、
前記シートマガジンから引き出された画像形成シートの後端を検出する後端検出センサと、
前記後端検出センサの後端検出信号に基づいて画像形成シートの実際の残り長さを決定する実残量決定部とが備えられ、
前記後端検出センサが画像形成シートの後端を検出した場合、前記実残量決定部によって決定された実際の残り長さに対してプリント長さが最適に割り付けられるように前記プリント要求管理部はプリント要求を前記プリント出力部に与えることを特徴とする写真プリント装置。
【請求項3】
前記シートマガジンに収納されている未使用時の画像形成シートの公称長さと使用されたプリント長さとから前記シートマガジンに収納されている画像形成シートの残り長さを推定するシート残量推定部が備えられ、
前記後端検出センサが画像形成シートの後端を検出していない場合において、前記シート残量推定部によって残り長さが所定値以下と推定された場合前記プリント要求管理部は最もプリント長さが短い写真プリントを作製するプリント要求を優先して前記プリント出力部に与えることを特徴とする請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項4】
前記プリント出力部は作製する写真プリントに注文番号とコマ番号を付与することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の写真プリント装置。
【請求項5】
マニュアル入力により設定された未使用時の画像形成シートの公称長さが前記シート残量推定部に与えられることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか一項に記載の写真プリント装置。
【請求項6】
前記プリント要求管理部は待ち行列化されたプリント要求の順番を変更する際にこの順番変更の報知を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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