説明

冷凍サイクル装置

【課題】運転状態変化に影響されずに過熱度制御の制御性を向上させ、安定した運転状態を維持できる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷凍空調装置100は、圧縮機1と、凝縮器2と、第1膨張弁3と、気液分離器7と、内部熱交換器6と、第2膨張弁4と、蒸発器5と、バイパス配管8と、第3膨張弁9と、を備えた。複数の減圧装置、中間圧冷媒と低圧冷媒とで熱交換させる内部熱交換器及び気液分離器を備えたので、複数の減圧装置により中間圧を一定に維持することができ、中間圧と低圧の圧力差を一定にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱度制御の制御性を向上させ、運転状態の安定化を図るようにした冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、過熱度制御を実行するようにした冷凍サイクル装置が存在する。そのようなものとして、「圧縮機、凝縮器、高圧側絞り装置、レシーバ、低圧側絞り装置、蒸発器とを順次接続して冷媒に沸点の異なる2種以上の冷媒からなる非共沸混合冷媒を使用し、前記蒸発器の出口の冷媒の状態が湿り状態で循環する冷凍サイクルと、前記蒸発器と前記圧縮機の間に設けられ、湿り状態である前記蒸発器の出口の冷媒を過熱し目標過熱度に過熱するのに必要な熱交換量を有する再蒸発手段と、前記再蒸発手段にて過熱された後の前記圧縮機の入り口の吸入冷媒の過熱度に相当する過熱特性を検知する過熱検知手段と、前記過熱検知手段により検知された前記過熱度の情報に基づき湿り状態である前記蒸発器出口の冷媒を前記圧縮機の入り口では目標過熱度になるように前記低圧側絞り装置の開口面積を調整し制御する制御手段と、を備えた冷凍サイクル装置」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、「圧縮機、凝縮器、第1の減圧装置、第2の減圧装置及び蒸発器が環状に接続された冷凍空調装置において、前記第1の減圧装置と前記第2の減圧装置の間の冷媒と、前記蒸発器と前記圧縮機との間の冷媒とを熱交換する内部熱交換器と、前記凝縮器出口の冷媒の過冷却度を検出する過冷却度検出手段と、前記過冷却度検出手段により検出された過冷却度が予め定められた値となるように前記第1の減圧装置の流量調整を行う第1の制御手段と、前記内部熱交換器での熱交換量を検出する熱交換量検出手段と、前記内部熱交換器により過熱された後の前記圧縮機入り口の冷媒の過熱度を検出する過熱度検出手段と、前記熱交換量検出手段により検出された前記内部熱交換量より前記蒸発器出口の冷媒が飽和ガス状態となる場合の圧縮機入り口の冷媒の過熱度を算出する目標過熱度算出手段と、前記過熱度算出手段により算出された過熱度を目標過熱度とし、前記過熱度検出手段が検出する圧縮機入り口の冷媒の過熱度が前記目標過熱度に近づくように前記第2の減圧装置の流量調整を行う第2の制御装置とを備えた冷凍空調装置」が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、「圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を主な構成部品として備え、これら構成部品を順次主配管で接続した空気調和装置において、前記膨張弁と蒸発器との間に気液分離器を接続し、該気液分離器は該気液分離器で分離された液冷媒部分を前記蒸発器に接続する一方、ガス冷媒部分をバイパス配管を介して蒸発器の出口側に接続し、前記バイパス配管に該パイパス配管を流れるガス冷媒の流量を可変制御可能な可変絞り機構を介装させ、前記蒸発器の制御すべき目標の乾き度を割り出し、該目標の乾き度になるように前記可変絞り機構の絞り量を制御するようにした空気調和方法」が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−263831号公報(第5−7頁、図1、図2等)
【特許文献2】特開2009−162388号公報(実施の形態2、図4等)
【特許文献3】特開2008−175452号公報(第5−7頁、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術として既に開示されている冷凍サイクル装置においては、性能を最大限発揮させるために蒸発能力が最大となるように制御するのが通常である。蒸発能力を最大とするには、蒸発器出口の冷媒の状態を飽和の状態にするのがよい。そこで、従来技術としての冷凍サイクル装置においては、そのような冷媒の状態を実現するために、たとえば圧縮機入口の冷媒状態を所定の目標過熱度に近づけるように冷媒絞り手段としての膨張弁の開度を調整するようにしている。
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載されているような冷凍サイクル装置では、内部熱交換器を設け、複数設置された膨張弁間の中間圧冷媒と、蒸発器出口と圧縮機入口との間の低圧冷媒と、で熱交換させて、蒸発器出口と圧縮機入口との間の低圧冷媒を過熱するようにしている。これらの文献に記載された構成にすると、運転中に運転条件に変化が生じた場合(たとえば高圧が上昇した場合)は、中間圧も上昇し、中間圧の冷媒温度も上昇、低圧側の冷媒状態にも変化が生じることになる。すなわち、圧縮機入口の冷媒過熱度も変化するため、膨張弁の開度を変化させて目標過熱度になるように調整しなければならない。
【0008】
そこで、膨張弁の開度を一定の割合に変化させて調整しようとする場合、膨張弁の開度が大きく変化し過ぎてしまい、冷媒循環量が安定せず、蒸発器出口の冷媒状態が湿りすぎたり、乾きすぎたりして目標の冷媒状態にならない。このため、膨張弁の開度変化を繰り返す状態に陥ってしまい、安定した運転状態にならないといった課題があった。なお、ここでいう「安定」とは、所定時間経過後も高圧、低圧の圧力変動が小さく、凝縮温度や蒸発温度など各々の冷媒温度が所定時間前と略同一である状態のことをいうものとする。
【0009】
特許文献3に記載されているような冷凍サイクル装置では、内部熱交換器を設けて、凝縮器出口の高圧冷媒と蒸発器出口の低圧冷媒とで熱交換させている。この文献に記載された構成にすると、高圧が上昇した場合は内部熱交換器の熱交換量が増大してしまう。そのため、特許文献3に記載されている冷凍サイクル装置においても、上記と同様の理由で安定した運転状態にならないといった課題があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、運転状態変化に影響されずに過熱度制御の制御性を向上させ、安定した運転状態を維持できる冷凍サイクル装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒の熱を放熱させる凝縮器と、前記凝縮器から流出された冷媒の流量を調整する第1減圧装置と、前記第1減圧装置から流出された冷媒を気液分離する気液分離器と、前記気液分離器で分離された液冷媒と前記圧縮機の吸入側の冷媒とで熱交換する内部熱交換器と、前記内部熱交換器で前記圧縮機の吸入側の冷媒と熱交換した冷媒の流量を調整する第2減圧装置と、前記第2減圧装置から流出された冷媒に熱を吸熱させる蒸発器と、前記気液分離器で分離されたガス冷媒を前記蒸発器の出口側にバイパスするバイパス配管と、前記バイパス配管に設置され、前記バイパス配管を流れるガス冷媒の流量を調整する第3減圧装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、複数の減圧装置、中間圧冷媒と低圧冷媒とで熱交換させる内部熱交換器及び気液分離器を備えたので、運転状態変化に影響されず、安定した運転状態を維持することが可能になる。つまり、本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、冷凍サイクルの運転状態が変化、たとえば高圧が上昇するといった変化が生じたとしても、複数の減圧装置により中間圧を一定に維持することができ、中間圧と低圧の圧力差が一定にすることが可能となり、第3減圧装置の開閉動作が安定するため、冷媒循環量が安定、蒸発器出口の冷媒状態が乾きすぎたり湿りすぎたりせず、蒸発能力も安定することになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成を示す冷媒回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置に搭載される蒸発器における冷媒と被冷熱流体との熱交換形態の一例を模式的に示した模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置の冷媒の状態遷移を示すP−h線図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置の制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置の制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成を示す冷媒回路図である。
【図7】蒸発器出口乾き度と蒸発能力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置100の冷媒回路構成を示す冷媒回路図である。図2は、蒸発器5における冷媒と被冷熱流体との熱交換形態の一例を模式的に示した模式図である。図3は、冷凍空調装置100の冷媒の状態遷移を示すP−h線図である。図4は、冷凍空調装置100の制御動作の流れを示すフローチャートである。図1〜図4に基づいて、冷凍空調装置100の構成及び動作について説明する。この冷凍空調装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行なう冷凍サイクル装置の一例を示している。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0015】
[装置構成]
冷凍空調装置100は、圧縮機1、凝縮器(放熱器)2、減圧装置である第1膨張弁3及び第2膨張弁4、蒸発器5、内部熱交換器6、気液分離器7を有しており、これらを冷媒配管50で接続して冷媒回路Aを構成している。また、冷凍空調装置100は、気液分離器7と、蒸発器5と内部熱交換器6を接続している冷媒配管50と、を接続するバイパス配管8が設けられており、このバイパス配管8には減圧装置である第3膨張弁9が設置されている。そして、圧縮機1、凝縮器2、第1膨張弁3、気液分離器7、第3膨張弁9を冷媒配管50及びバイパス配管8で接続してバイパス流路を構成している。
【0016】
(圧縮機1)
圧縮機1は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものである。圧縮機1は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、たとえばインバーターにより制御されるモーター(図示せず)によって駆動される容積式圧縮機から構成されている。なお、図1においては、圧縮機1が1台のみ搭載されている状態を例に示しているが、これに限定されず、2台以上の圧縮機を並列もしくは直列に接続して搭載するようにしてもよい。
【0017】
(凝縮器2)
凝縮器2は、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒と被熱交換媒体とが熱交換するものである。凝縮器2は、たとえば間隔をおいて薄板を多数並べて、周縁部をシールし、各薄板間に形成された空間を交互に冷媒流路と水流路としてなるプレート式熱交換器で構成するとよい。プレート式熱交換器を用いる場合であって、被熱交換媒体がたとえば水のような流体である場合、ポンプなどの送出手段(図示せず)を用いて被熱交換媒体を凝縮器2に供給すればよい。なお、被熱交換媒体を水に限定するものではなく、凝固点を降下させる添加物を混ぜたブライン等であってもよい。
【0018】
凝縮器2は、プレート式熱交換器に限定されず、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成してもよい。フィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いる場合であって、被熱交換媒体が空気である場合、ファン等の送出手段を用いては被熱交換媒体を凝縮器2に供給すればよい。また、図1においては、凝縮器2が1台のみ搭載されている状態を例に示しているが、これに限定されず2台以上の凝縮器を並列もしくは直列に接続して搭載するようにしてもよい。その他、凝縮器2は、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、ヒートパイプ式熱交換器、あるいは、二重管式熱交換器等で構成してもよい。
【0019】
(減圧装置)
減圧装置(第1膨張弁(第1減圧装置)3、第2膨張弁(第2減圧装置)4、第3膨張弁(第3減圧装置)9)は、冷媒を減圧して膨張させるものである。減圧装置は、冷媒回路A及びバイパス流路を流れる冷媒の流量の調節等を行なうことが可能なステッピングモーター(図示せず)により絞り開度を調整することが可能な電子膨張弁等で構成するとよい。第3膨張弁9は、バイパス配管8を流れるガス冷媒の流量を制御するためのものである。なお、第3膨張弁9には、電子膨張弁以外にも、可変制御可能な流量制御弁、キャピラリー、定差圧弁等を用いてもよい。
【0020】
(蒸発器5)
蒸発器5は、第2膨張弁4で減圧された低温低圧の冷媒と被冷熱流体とが熱交換するものである。蒸発器5は、たとえば間隔をおいて薄板を多数並べて、周縁部をシールし、各薄板間に形成された空間を交互に冷媒流路と水流路としてなるプレート式熱交換器で構成するとよい。プレート式熱交換器を用いる場合であって、被冷熱流体がたとえば水のような流体である場合、ポンプなどの被冷熱流体送出手段10を用いて被冷熱流体を蒸発器5に供給すればよい。
【0021】
蒸発器5としてプレート式熱交換器を用いる場合、図2に示すように、蒸発器5では、冷媒回路Aにて循環する冷媒と、被冷熱流体流路Bにて循環する被冷熱流体と、が熱交換する形態になる。被冷熱流体流路Bは、冷熱負荷と、被冷熱流体送出手段10と、蒸発器5の被冷熱流体と、を流体配管で接続して構成されている。冷熱負荷(たとえば、冷蔵庫や室内機等)から被冷熱流体送出手段10によって駆動された被冷熱流体は、蒸発器5において冷媒回路Aを流れる液冷媒の蒸発により冷却され、冷熱負荷へ戻るようになっている。
【0022】
なお、冷媒回路Aを流れる冷媒の流れ方向は実線の矢印で表した方向、つまり冷媒と被冷熱流体が対向流となる方向であってもよいし、破線の矢印で表した方向、つまり冷媒と被冷熱流体が並行流となる方向であってもよい。また、被冷熱流体は、たとえば単なる水であってもよいし、凝固点を降下させる添加物を混ぜたブライン等であってもよい。さらに、被冷熱流体送出手段10は、たとえばポンプ等のような流体を駆動させるもので構成すればよい。
【0023】
蒸発器5は、プレート式熱交換器に限定されず、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成してもよい。フィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いる場合であって、被冷熱流体が空気である場合、ファン等の送出手段を用いては被冷熱流体を蒸発器5に供給すればよい。また、図1においては、蒸発器5が1台のみ搭載されている状態を例に示しているが、これに限定されず2台以上の蒸発器を並列もしくは直列に接続して搭載するようにしてもよい。その他、蒸発器5は、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、ヒートパイプ式熱交換器、あるいは、二重管式熱交換器等で構成してもよい。
【0024】
(内部熱交換器6)
内部熱交換器6は、第1膨張弁3と第2膨張弁4との間を流れる冷媒、いわゆる中間圧冷媒と、蒸発器5と圧縮機1との間を流れる冷媒、いわゆる低圧冷媒と、で熱交換するように設置される。つまり、内部熱交換器6は、圧縮機1の吸入側に設置され、蒸発器5から流出し、冷媒配管50を流れる低温低圧の冷媒と、気液分離器7から流出し、第2膨張弁4に至るまでの間における冷媒配管50を流れる冷媒と、で熱交換するようになっている。
【0025】
(気液分離器7)
気液分離器7は、内部熱交換器6よりも上流側(冷媒回路A及びバイパス流路の双方の上流側)に配置されている。そして、気液分離器7で分離された液冷媒が流出する液冷媒部を内部熱交換器6の高圧側入口に接続し、気液分離器7で分離されたガス冷媒が流出するガス冷媒部をバイパス配管8を介して、内部熱交換器6の低圧側入口に接続している。
【0026】
(計測・制御系)
冷凍空調装置100には、各種センサー(温度センサー40(温度センサー40a、40b・・・の総称)、圧力センサー41(圧力センサー41a、41b・・・の総称))が設置されている。また、冷凍空調装置100には、その運転動作が統括制御される計測制御部30が搭載されている。計測制御部30は、各種センサーによって計測された各情報に基づいて各アクチュエーター(たとえば、圧縮機1、減圧装置、図示省略の送出手段等)の動作を制御する。
【0027】
温度センサー(媒吐出温度検出手段)40aは、圧縮機1の吐出側(出口側)に設置され、設置場所の冷媒温度(吐出温度)を計測するものである。温度センサー40bは、凝縮器2の出口側に設置され、設置場所の冷媒温度(凝縮器出口温度)を計測するものである。温度センサー40cは、圧縮機1の吸入側(入口側)に設置され、設置場所の冷媒温度(吸入温度)を計測するものである。温度センサー40dは、後述する被冷熱流体流路Bにおける蒸発器5の出口側に設置され、設置場所の被冷熱流体温度を計測するものである。
【0028】
圧力センサー41aは、圧縮機1の吐出側(出口側)に設置され、設置場所の冷媒圧力(高圧)を計測するものである。圧力センサー(中間圧検出手段)41bは、第1膨張弁3と第2膨張弁4との間に設置され、設置場所の冷媒圧力(中間圧)を計測するものである。圧力センサー41cは、圧縮機1の吸入側(入口側)に設置され、設置場所の冷媒圧力(低圧)を計測するものである。なお、圧力センサー41bは、図1に示された箇所に限定されず、第1膨張弁3と第2膨張弁4の間、つまり中間圧状態の冷媒の圧力を計測できる場所であれば、どこに設置してもよい。
【0029】
また、計測制御部30は、温度センサー40や圧力センサー41からの計測情報や、冷凍空調装置100の使用者からたとえばリモコン等を介して指示される運転内容に基づいて、圧縮機1の運転方法、各膨張弁の開度、被冷熱流体送出手段10の回転数、図示省略の送出手段の回転数、などを制御するものである。この計測制御部30は、たとえばマイクロコンピューター等で構成するとよい。
【0030】
(冷媒の種類)
冷凍空調装置100に用いられる冷媒には、たとえばR410A、R407C、R404AなどのHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒、R22、R134aなどのHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)冷媒、もしくは炭化水素、ヘリウムのような自然冷媒などがあるが、これに限定されず同様な役割を果たすものであれば、他の冷媒であってもよい。
【0031】
[運転動作]
図3に基づいて冷凍空調装置100の運転動作を説明する。
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒(点1)は、凝縮器2に流入し、ここで放熱しながら凝縮液化し、高圧低温の冷媒となる(点2)。凝縮器2で凝縮液化した冷媒は、第1膨張弁3にて若干減圧されて中間圧二相冷媒となり(点3)、気液分離器7に流入する。気液分離器7に流入した二相冷媒は、液冷媒とガス冷媒に分離される。液冷媒は、飽和液冷媒(点4)であり、内部熱交換器6の高圧側に導入される。その一方で、分離されたガス冷媒は、気液分離器7を出て第3膨張弁9で流量調整され、バイパス配管8を介して内部熱交換器6の低圧側へ導入される。
【0032】
気液分離器7で分離された液冷媒は、内部熱交換器6にて低温低圧の冷媒(蒸発器5から流出した冷媒)と熱交換して冷却され、過冷却液冷媒(図3点5)となる。この過冷却冷媒は、その後、第2膨張弁4でさらに低圧まで減圧されて二相冷媒(図3点6)となって、蒸発器5に流入する。この二相冷媒は、蒸発器5で、吸熱し蒸発ガス化しながら、被冷熱流体に冷熱を供給し、低圧のガス冷媒となる(図3点7)。蒸発器5を出た低圧ガス冷媒は、バイパス配管8からのガス冷媒と合流した後で内部熱交換器6の低圧側に流入する。流入した低圧ガス冷媒は、内部熱交換器6で中間圧二相冷媒と熱交換し過熱されて(図3点8)、圧縮機1に吸入される。
【0033】
[運転制御動作]
次に、図4に基づいて冷凍空調装置100の運転制御動作を説明する。
計測制御部30は、運転開始後、まず圧縮機1の容量、第1膨張弁3の開度、第2膨張弁4の開度、第3膨張弁9の開度を初期値に設定する(ステップS1)。なお、本実施の形態1では、第3膨張弁9については固定開度(流路抵抗Cv一定)とする。そして、それから所定時間が経過すると(ステップS2)、計測制御部30は、それ以降の運転状態に応じて各アクチュエーターを以下のように制御する。
【0034】
圧縮機1の容量は、基本的に蒸発器5出口の温度センサー40dで計測される被冷熱流体温度が、冷凍空調装置100の使用者が設定する温度になるように制御される。すなわち、計測制御部30は、被冷熱流体温度と設定温度とを比較し(ステップS3)、被冷熱流体温度が設定温度と等しいか或いは近接している場合には、圧縮機1の容量をそのまま維持し(ステップS3;YES)、次のステップに進む。被冷熱流体温度が設定温度より大きく上昇している場合は、圧縮機1の容量を増加し、被冷熱流体温度が設定温度より低下している場合には、圧縮機1の容量を低下するというように圧縮機1の容量を変更する(ステップS3;NO、ステップS4)。圧縮機1の容量を変化させた場合、第1膨張弁3の開度制御に移行する。
【0035】
第1膨張弁3は、圧力センサー41bで検出される中間圧が予め設定された目標値、たとえば1.6MPaGになるように開度が制御される。すなわち、計測制御部30は、中間圧と目標値とを比較し(ステップS5)、中間圧が目標値と等しいか或いは近接している場合には、第1膨張弁3の開度をそのまま維持し(ステップS5;YES)、次のステップに進む。中間圧が目標値よりも大きい場合には、第1膨張弁3の開度を小さくし、中間圧が目標値よりも小さい場合には、第1膨張弁3の開度を大きくするというように第1膨張弁3の開度を変更する(ステップS5;NO、ステップS6)。第1膨張弁3の開度を変化させた後、第2膨張弁4の開度制御に移行する。
【0036】
第2膨張弁4は、温度センサー40cで検知される圧縮機1の吸入温度と圧力センサー41cで検出される圧縮機1の吸入圧力の圧力値を飽和温度に換算した低圧冷媒の飽和温度との差温で検知される圧縮機1の吸入冷媒過熱度SH(以下、単にSHと称する)が予め設定された目標値、たとえば6℃になるように制御される。温度センサー40c及び圧力センサー41cが吸入冷媒過熱度検出手段として機能する。すなわち、計測制御部30は、SHと目標値とを比較し(ステップS7)、SHと目標値が等しいか或いは近接している場合には、第2膨張弁4の開度をそのまま維持し(ステップS7;YES)、ステップS2に戻る。SHが目標値より大きい場合には、第2膨張弁4の開度を大きくし、SHが目標値より小さい場合には、第2膨張弁4の開度を小さくするというように第2膨張弁4の開度を変更する(ステップS8)。第2膨張弁4の開度を変化させた後、ステップS2に戻る。
【0037】
[作用効果]
本実施の形態に係る冷凍空調装置100によって実現される作用効果について説明する。従来から、複数の膨張弁(減圧装置)と内部熱交換器を設け、内部熱交換器において中間圧冷媒と低圧冷媒とで熱交換させるようにした構成は知られている。しかしながら、本実施の形態に係る冷凍空調装置100のような回路構成を採用したものはなかった。冷凍空調装置100は、上述した回路構成を採用したことによって、以下に示すような顕著な効果が得られるようになっている。
【0038】
冷凍空調装置100では、凝縮器2の出口側の低圧冷媒を、第1膨張弁3で減圧された中間圧二相冷媒から気液分離器7でガス冷媒を抜き出して中間圧飽和液冷媒として、内部熱交換器6の高圧側入口へ導入し、低圧冷媒と熱交換させるようにしている。
【0039】
第1膨張弁3の下流に気液分離器7が備えられているので、第1膨張弁3の開度調整によって気液分離器7に導入される第1膨張弁3の出口側の二相冷媒の状態量(圧力、温度、エンタルピー)が制御可能となっている。また、状態量が制御された二相冷媒を気液分離器7で分離し、その液冷媒部を内部熱交換器6の高圧側入口へ接続するので、内部熱交換器6の高圧側へ導入する冷媒は常に液冷媒となっている。さらに、気液分離器7の下流側に内部熱交換器6が備えられているので、第1膨張弁3によって状態量が制御され、気液分離器7でガス冷媒が抜き出された中間圧飽和液冷媒を内部熱交換器6の高圧側へ導入することができる。
【0040】
したがって、冷凍空調装置100によれば、何らかの要因で高圧が上昇する等、凝縮器2における高圧冷媒の状態量に変化が生じたとしても、内部熱交換器6の高圧側入口液冷媒の状態量は変化せず、そのままの状態量を維持することができるので、中間圧冷媒の圧力や温度を一定に制御することが可能になる。
【0041】
また、冷凍空調装置100によれば、上記のように第1膨張弁3の開度を調整して中間圧冷媒の状態量を一定にすることで、内部熱交換器6の熱交換量を一定に維持することが可能となる。よって、冷凍空調装置100によれば、高圧が上昇しても制御対象である圧縮機1の吸入冷媒過熱度に変化はなく、第2膨張弁4の開度は大きな開閉動作の必要もなく、目標過熱度に到達することになる。また、低圧が変化しなければ中間圧一定であるから、第2膨張弁4による減圧は常に一定だけ減圧すればよいので、第2膨張弁4の開度をほぼ一定に制御できる。これにより、冷媒流量が安定し、冷凍サイクルとして安定した運転状態が実現できる。
【0042】
ここで、中間圧の制御目標値は、所定の運転条件において冷凍空調装置100を運転させたときの高圧圧力の値よりも低い値を設定する。所定の運転条件とは、たとえば冷凍空調装置100の定格条件を意味しているものとする。また、所定の運転条件とは、たとえば圧縮機運転周波数、外気温、被冷熱流体の温度や流量等が定められた運転条件を意味するしているものとする。
【0043】
上記のように、中間圧の制御目標値を設定することで、検出された高圧圧力値が所定の運転条件での目標高圧圧力値より高くなった場合においても、内部熱交換器6の熱交換量を所定の運転条件における熱交換量のまま、一定に維持することができ、安定した運転状態が実現できる。なお、ここでは、第1膨張弁3の制御対象となる冷媒状態量を中間圧(圧力値)としたが、中間圧の圧力値を検出する圧力センサー41bの代わりに、温度センサー(中間圧冷媒温度検出手段)を設置し、中間圧冷媒の冷媒温度を制御対象の冷媒状態量としても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0044】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置の制御動作の流れを示すフローチャートである。図5に基づいて、実施の形態2に係る冷凍空調装置の特徴部分である制御動作について説明する。実施の形態2に係る冷凍空調装置は、実施の形態1に係る冷凍空調装置100と同様に蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行なう冷凍サイクル装置の一つの例である。なお、この実施の形態2では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、冷媒回路構成など実施の形態1と同一の箇所については説明を割愛するものとする。
【0045】
[運転制御動作]
図5に基づいて実施の形態2に係る冷凍空調装置の運転制御動作を説明する。実施の形態2に係る冷凍空調装置では、第3膨張弁9の開度制御を加えて点で実施の形態1に係る冷凍空調装置100と相違している。なお、ステップS11〜ステップS14(初期設定〜圧縮機容量変更)は、実施の形態1における図4のステップS1〜ステップS4とそれぞれ同様となるので、それらの説明を省略するものとする。
【0046】
第1膨張弁3は、圧力センサー41aで検出される圧縮機1の吐出圧力の圧力値を飽和温度に換算した高圧冷媒の飽和温度と温度センサー40bで検出される凝縮器2の出口温度との差温で得られる凝縮器2の出口冷媒過冷却度SC(以下、単にSCと称する)が予め設定された目標値、たとえば3℃になるように制御される。圧力センサー41a及び温度センサー40bが過冷却度検出手段として機能する。すなわち、計測制御部30は、SCと目標値とを比較し(ステップS15)、SCが目標値と等しいか或いは近接している場合には、第1膨張弁3の開度をそのまま維持し(ステップS15;YES)、次のステップに進む。SCが目標値よりも大きい場合には、第1膨張弁3の開度を大きくし、SCが目標値よりも小さい場合には、第1膨張弁3の開度を小さくするというように第1膨張弁3の開度を変更する(ステップS15;NO、ステップS16)。第1膨張弁3の開度を変化させた後、第3膨張弁9の開度制御に移行する。
【0047】
第3膨張弁9は、圧力センサー41bで検知される中間圧と圧力センサー41cで検出される圧縮機1の吸入圧力の圧力値との差圧で検知される中低圧差ΔPmが予め設定された目標値、たとえば0.7MPaGになるように制御される。圧力センサー41b及び圧力センサー41cが中低圧差検出手段として機能する。すなわち、計測制御部30は、中低圧差ΔPmと目標値とを比較し(ステップS17)、中低圧差ΔPmと目標値が等しいか或いは近接している場合には、第3膨張弁9の開度をそのまま維持し(ステップS17;YES)、次のステップに進む。中低圧差ΔPmが目標値より大きい場合には、第3膨張弁9の開度は大きく、中低圧差ΔPmが目標値より小さい場合には、第3膨張弁9の開度は小さく制御されるというように第3膨張弁9の開度を変更する(ステップS18)。第3膨張弁9の開度を変化させた後、第2膨張弁4の開度制御に移行する。
【0048】
第2膨張弁4は、温度センサー40cで検知される圧縮機1の吸入温度と圧力センサー41cで検出される圧縮機1の吸入圧力の圧力値を飽和温度に換算した低圧冷媒の飽和温度との差温で検知される圧縮機1の吸入冷媒過熱度SH(以下、単にSHと称する)が予め設定された目標値、たとえば6℃になるように制御される。すなわち、計測制御部30は、SHと目標値とを比較し(ステップS19)、SHと目標値が等しいか或いは近接している場合には、第2膨張弁4の開度をそのまま維持し(ステップS19;YES)、ステップS12に戻る。SHが目標値より大きい場合には、第2膨張弁4の開度を大きくし、SHが目標値より小さい場合には、第2膨張弁4の開度を小さくするというように第2膨張弁4の開度を変更する(ステップS20)。第2膨張弁4の開度を変化させた後、ステップS12に戻る。
【0049】
[作用効果]
実施の形態2に係る冷凍空調装置によって実現される作用効果について説明する。実施の形態2に係る冷凍空調装置は、冷媒回路構成が実施の形態1に係る冷凍空調装置100と同様であるが、各アクチュエーター、特に膨張弁の制御が実施の形態1に係る冷凍空調装置100と異なるものとしている。実施の形態2に係る冷凍空調装置は、上述した制御方法を採用したことによって、以下に示すような顕著な効果が得られるようになっている。
【0050】
実施の形態2に係る冷凍空調装置では、実施の形態1に係る冷凍空調装置100と異なる点として、第1膨張弁3の開度を調整して凝縮器2の出口冷媒過冷却度SCを一定に制御していることである。この場合において、第3膨張弁9の開度を調整してバイパス配管8を流れるガス冷媒の流量を調整することで、中間圧と低圧の圧力差である中低圧差ΔPmを一定に制御することができる。これにより、低圧が一定であれば、中間圧も一定となる。
【0051】
すなわち、実施の形態2に係る冷凍空調装置によれば、実施の形態1に係る冷凍空調装置100と同様に中間圧を一定に制御することができる。つまり、何らかの要因で高圧が上昇する等、凝縮器2における高圧冷媒の状態に変化が生じても、内部熱交換器6に導入する液冷媒の状態量(圧力、温度、エンタルピー)を一定に保つことができるため、内部熱交換器6の熱交換量を一定に維持することができる。よって、実施の形態2に係る冷凍空調装置によれば、高圧が上昇しても制御対象である圧縮機1の吸入冷媒過熱度に変化はなく、第2膨張弁4の開度を変えることなく目標過熱度に到達する。また、中間圧が一定に制御されていれば、第2膨張弁4による減圧は常に一定だけ減圧すればよいので、第2膨張弁4の開度を変化させなくてもよい。これにより、第2膨張弁4の開度が安定するので冷媒流量が安定し、冷凍サイクルとして安定した運転状態が実現できる。
【0052】
ここで、中低圧差の制御目標値は、所定の運転条件において実施の形態2に係る冷凍空調装置を運転させたときの高圧圧力の値よりも中間圧が低くなるように、中低圧差の目標値を設定する。
【0053】
上記のように、中低圧差を一定に制御することで、検出された高圧圧力値が所定の運転条件での目標高圧圧力値より高くなった場合においても、内部熱交換器6の熱交換量を所定の運転条件における熱交換量のまま、一定に維持することができ、安定した運転状態が実現できる。
【0054】
図7は、蒸発器出口乾き度と蒸発能力との関係を示すグラフである。図7に基づいて、蒸発器出口乾き度と蒸発能力との関係について説明する。実施の形態1や実施の形態2に係る冷凍空調装置においては、圧縮機1の吸入冷媒過熱度SHの制御目標値は、たとえば所定の運転条件において蒸発器5の出口冷媒状態が乾き度1となるように設定するとよい。図7から、蒸発器出口冷媒の状態が乾き度1の飽和ガス状態となる場合において冷凍サイクルにおける蒸発能力が最大となることがわかる。
【0055】
したがって、このように蒸発器5の出口冷媒が乾き度1となるように運転制御をすることで、実施の形態1や実施の形態2に係る冷凍空調装置を当該条件において蒸発能力が最大となる状態で使うことができ、冷凍サイクルの高効率化を図ることができる。また、所定の運転条件よりも高圧が高くなった場合においても、内部熱交換器6の熱交換量が一定に維持されるため、同様に蒸発器5の出口冷媒が乾き度1である状態、つまり蒸発能力が最大となる状態で使うことができる。
【0056】
[変形例]
実施の形態1及び実施の形態2の冷凍空調装置では、第2膨張弁4の制御対象を圧縮機1の吸入冷媒過熱度SHとしたが、圧縮機1の吸入冷媒過熱度の代わりに、温度センサー40aで検出される圧縮機1の吐出冷媒温度、又は、温度センサー40aで検出される圧縮機1の吐出冷媒温度と圧力センサー41aで検出される圧縮機1の吐出圧力の圧力値を飽和温度に換算した高圧冷媒の飽和温度との差温で得られる圧縮機1の吐出冷媒過熱度のいずれかを制御対象としてもよい。圧縮機1の吐出冷媒過熱度を制御対象とする場合、温度センサー40a及び圧力センサー41aが冷媒吐出過熱度検出手段として機能する。
【0057】
また、圧縮機1の吸入冷媒過熱度の代わりに、圧力センサー41aで検出される圧縮機1の吐出圧力の圧力値を飽和温度に換算した高圧冷媒の飽和温度と温度センサー40bで検出される凝縮器2の出口温度との差温で得られる凝縮器2の出口冷媒過冷却度SCが、予め設定された目標値になるように第2膨張弁4を制御するようにしてもよい。
【0058】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3に係る冷凍空調装置200の冷媒回路構成を示す冷媒回路図である。図6に基づいて、冷凍空調装置200の特徴部分について説明する。実施の形態3に係る冷凍空調装置200は、実施の形態1及び実施の形態2に係る冷凍空調装置の変形例の一つである。なお、この実施の形態3では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、冷媒回路構成など実施の形態1と同一の箇所については説明を割愛するものとする。
【0059】
さらに、実施の形態1及び実施の形態2では、蒸発器5をプレート式熱交換器で構成した場合を例に説明したが、蒸発器5及び凝縮器2の両方を伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成してもよい。この場合の被熱交換媒体は空気であり、ファンなどの送出手段(図示せず)によって送風される空気と熱交換する。
【0060】
実施の形態3に係る冷凍空調装置200は、蒸発器5及び凝縮器2の両方をフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成しているものとする。この構成の場合は、たとえば図6に示すように各センサーを配置する。
【0061】
温度センサー40eは、凝縮器2の中間部の冷媒流路上に設置され、設置場所の冷媒温度を計測するものである。温度センサー(中間圧冷媒温度検出手段)40fは、第1膨張弁3と第2膨張弁4との間に設置され、設置場所の冷媒温度を計測するものである。温度センサー40gは、蒸発器5の中間部の冷媒流路上に設置され、設置場所の冷媒温度を計測するものである。温度センサー40hは、凝縮器2の空気吸入側付近に設置され、凝縮器2に吸気される空気の温度を計測するものである。温度センサー40iは、蒸発器5の空気吸入側付近に設置され、蒸発器5に吸気される空気の温度を計測するものである。
【0062】
温度センサー40e、温度センサー40gは、それぞれ熱交換器(凝縮器2、蒸発器5)の中間で気液二相状態となっている冷媒温度を検知することにより、高低圧の冷媒飽和温度を検知することができる。また、凝縮器2の吸入側付近に温度センサー40hを設置し、蒸発器5の吸入側付近に温度センサー40iを設置し、それぞれの熱交換器に吸気される空気温度を計測するようにしている。
【0063】
冷凍空調装置200の場合は、図4や図5のフローに示す運転制御動作において、温度センサー40cで検知される圧縮機1の吸入温度と温度センサー40gで検出される低圧冷媒の飽和温度との差温を圧縮機1の吸入冷媒過熱度SHとし、温度センサー40eで検出される高圧冷媒の飽和温度と温度センサー40bで検出される凝縮器2の出口の冷媒温度との差温を凝縮器2の出口冷媒過冷却度SCとし、温度センサー40fで検出される冷媒温度を中間圧冷媒温度として、各膨張弁の制御動作を実行させる。また、被冷熱流体温度の代わりに、温度センサー40iで検出される蒸発器5での空気温度、又は温度センサー40hで検出される凝縮器2での空気温度のいずれかが、予め設定された目標値になるように圧縮機1の容量を調整する。
【0064】
冷凍空調装置200を上記のような冷媒回路構成・運転制御動作とした場合においても、実施の形態1や実施の形態2で述べた内容と同様の効果が得られる。
【0065】
なお、各実施の形態では、冷凍サイクル装置の一例として冷凍空調装置を例に説明したが、他の冷凍サイクル装置、たとえば冷凍機、冷蔵庫、空気調和装置等にも適用可能であることは言うまでもない。また、本発明の特徴事項を実施の形態1〜実施の形態3に分けて説明したが、それらの実施の形態で説明した内容に限定するものでなく、本発明の技術範囲内で適宜変更が可能である。さらに、各実施の形態で説明した本発明の特徴事項を適宜組み合わせて冷凍サイクル装置を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 圧縮機、2 凝縮器、3 第1膨張弁、4 第2膨張弁、5 蒸発器、6 内部熱交換器、7 気液分離器、8 バイパス配管、9 第3膨張弁、10 被冷熱流体送出手段、30 計測制御部、40 温度センサー、40a 温度センサー、40b 温度センサー、40c 温度センサー、40d 温度センサー、40e 温度センサー、40f 温度センサー、40g 温度センサー、40h 温度センサー、40i 温度センサー、41 圧力センサー、41a 圧力センサー、41b 圧力センサー、41c 圧力センサー、50 冷媒配管、100 冷凍空調装置、200 冷凍空調装置、A 冷媒回路、B 被冷熱流体流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒の熱を放熱させる凝縮器と、
前記凝縮器から流出された冷媒の流量を調整する第1減圧装置と、
前記第1減圧装置から流出された冷媒を気液分離する気液分離器と、
前記気液分離器で分離された液冷媒と前記圧縮機の吸入側の冷媒とで熱交換する内部熱交換器と、
前記内部熱交換器で前記圧縮機の吸入側の冷媒と熱交換した冷媒の流量を調整する第2減圧装置と、
前記第2減圧装置から流出された冷媒に熱を吸熱させる蒸発器と、
前記気液分離器で分離されたガス冷媒を前記蒸発器の出口側にバイパスするバイパス配管と、
前記バイパス配管に設置され、前記バイパス配管を流れるガス冷媒の流量を調整する第3減圧装置と、を備えた
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記第1減圧装置と前記第2減圧装置との間の中間圧状態の冷媒圧力を検出する中間圧検出手段と、
前記中間圧検出手段が検出した冷媒の圧力値が予め設定してある制御目標値となるように前記第1減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記中間圧検出手段が検出した冷媒の圧力値の制御目標値は、所定の運転条件における高圧圧力よりも低い値として設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第1減圧装置と前記第2減圧装置との間の中間圧状態の冷媒温度を検出する中間圧冷媒温度検出手段と、
前記中間圧冷媒温度検出手段が検出した冷媒の温度値が予め設定したある制御目標値となるように前記第1減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記中間圧冷媒温度検出手段が検出した冷媒の温度値の制御目標値は、所定の運転条件における前記凝縮器出口の冷媒温度よりも低い値として設定されている
ことを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記凝縮器出口の冷媒過冷却度を検出する過冷却度検出手段と、
前記第1減圧装置と前記第2減圧装置との間の冷媒圧力と前記圧縮機の吸入側の冷媒圧力の圧力差を検出する中低圧差検出手段と、
前記過冷却度検出手段の検出した過冷却度が予め設定してある制御目標値となるように前記第1減圧装置の開度を制御し、前記中低圧差検出手段の検出した圧力差が予め設定してある制御目標値となるように前記第3減圧装置の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記中低圧差検出手段の検出した圧力差の制御目標値は、所定の運転条件における高圧圧力よりも前記第1減圧装置と前記第2減圧装置との間の冷媒圧力の方が低くなるように設定されている
ことを特徴とする請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記圧縮機吸入の冷媒過熱度を検出する吸入冷媒過熱度検出手段と、
前記吸入冷媒過熱度検出手段の検出した吸入冷媒過熱度が予め設定してある制御目標値となるように前記第2減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記圧縮機出口の冷媒吐出温度を検出する冷媒吐出温度検出手段と、
前記冷媒吐出温度検出手段の検出した冷媒の吐出温度が予め設定したある制御目標値となるように前記第2減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記圧縮機出口の冷媒吐出過熱度を検出する冷媒吐出過熱度検出手段と、
前記冷媒吐出過熱度検出手段の検出した冷媒吐出過熱度が予め設定してある制御目標値となるように前記第2減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記凝縮器出口の冷媒過冷却度を検出する過冷却度検出手段と、
前記冷媒過冷却度検出手段の検出した冷媒過冷却度が予め設定してある制御目標値となるように前記第2減圧手段の開度を制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
前記吸入冷媒過熱度、前記冷媒吐出温度、もしくは、前記冷媒吐出過熱度の制御目標値は、前記蒸発器出口の冷媒の乾き度が1となるように設定されている
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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