説明

冷凍ショーケース

【課題】電気ヒータを用いることなく通風路内の着霜を防止することができるとともに、消費電力の低減を図ることのできる冷凍ショーケースを提供する。
【解決手段】凝縮器32から流出する冷媒を冷媒流通管40aによって空気吸込口22a側の通風路22内に流通させるようにしたので、空気吸込口22aから通風路22に流通する空気と冷媒流通管40aを流通する冷媒とを熱交換させて通風路22を流通する空気を加熱することができ、電気ヒータを用いることなく空気中の水分が通風路22内に霜として付着することを防止することができることから、消費電力の低減を図ることができる。また、空気吸込口22aから通風路22に流通する空気と冷媒流通管40aを流通する冷媒とを熱交換させて冷媒回路40の冷媒を冷却することができ、冷媒回路40の冷媒を過冷却の状態にすることにより、冷凍能力の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置される冷凍の商品を収納するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷凍ショーケースとしては、上面を開口したショーケース本体と、ショーケース本体内の前面側、底面側及び背面側に沿って形成された通風路と、通風路内に配置された冷却器及び送風機とを備え、ショーケース本体の上面開口部の前後方向一端側に設けた空気吸込口から吸入した空気を冷却器によって冷却し、ショーケース本体の上面開口部の前後方向他端側に設けた空気吐出口から吐出するようにして上面開口部にエアカーテンを形成することにより、冷凍用の商品をショーケース本体内において冷却するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記冷凍ショーケースでは、空気吐出口から吐出される空気とともに、冷凍ショーケース外の空気が空気吸込口から通風路に流入する。このとき、冷凍ショーケース外の空気は絶対湿度が高いため、通風路内において冷却されることにより空気中の水分が凝縮するとともに、霜として通風路の内壁に付着する。このため、冷凍ショーケースを継続的に運転することにより、通風路の内壁に付着する霜によって通風路が閉塞される恐れがある。
【0004】
そこで、通風路内に電気ヒータを設けることにより、通風路を流通する空気を加熱するとともに、通風路の内壁に付着した霜を融解させることにより着霜を防止するようにしたものが知られている。
【特許文献1】特開平9−264654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通風路内に電気ヒータを設けた冷凍ショーケースでは、冷却運転を行う際に圧縮機を運転するとともに、常に電気ヒータに通電しなければならず、消費電力が増大するという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気ヒータを用いることなく通風路内の着霜を防止することができるとともに、消費電力の低減を図ることのできる冷凍ショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、ショーケース本体内の所定位置に設けた空気吸込口から流入した空気を流通する通風路と、通風路を流通する空気をショーケース本体内の所定位置に設けた空気吐出口に向かって流通させる送風機と、通風路内に設けられた蒸発器とを備え、圧縮機及び凝縮器を流通した冷媒を膨張手段を介して蒸発器に流入させ、蒸発器から流出した冷媒を圧縮機に吸入させるようにして冷媒回路を構成し、通風路を流通する空気を蒸発器によって冷却することによりショーケース本体内に収納された商品を冷却するようにした冷凍ショーケースにおいて、前記通風路の空気吸込側に冷媒回路の凝縮器から吐出した冷媒の熱を放出する冷媒流通管を設けている。
【0008】
これにより、空気吸込口から通風路に流入した空気と凝縮器から流出する冷媒回路の冷媒とが熱交換されることから、通風路を流通する空気が冷媒回路の冷媒によって加熱されるとともに、通風路の内壁に付着した霜が融解される。また、冷媒回路の冷媒が通風路を流通する空気によって過冷却される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気吸込口から通風路に流通する空気と凝縮器から流出する冷媒回路の冷媒とを熱交換させて通風路を流通する空気を加熱することができるので、電気ヒータを用いることなく空気中の水分が通風路内に霜として付着することを防止することができることから、消費電力の低減を図ることができる。また、空気吸込口から通風路に流通する空気と凝縮器から流出する冷媒回路の冷媒とを熱交換させて冷媒回路の冷媒を冷却することができるので、冷媒回路の冷媒を過冷却の状態にすることにより、冷凍能力の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図4は本発明の一実施形態を示すもので、図1は冷凍ショーケースの斜視図、図2は冷凍ショーケースの側面断面図、図3は冷媒回路を示す冷凍ショーケースの正面図、図4は通風路に設けられた冷媒回路を示す冷凍ショーケースの斜視図である。
【0011】
この冷凍ショーケースは、上面を開口したショーケース本体10内に設けられた商品収納庫20と、ショーケース本体10の下部に設けられた機械室30と、商品収納庫20内及び機械室30内に冷凍サイクルを構成する冷媒回路40とから構成されている。
【0012】
商品収納庫20は、前面側、左右両側面側、背面側及び底面側を断熱壁21によって形成され、その内部を仕切ることにより前面側、底面側及び背面側に沿って通風路22が形成されている。前面側に位置する通風路22の上端には空気吸込口22aが背面側に向かって設けられるとともに、背面側に位置する通風路22の上端には空気吐出口22bが前面側に向かって設けられている。また、底面側に位置する通風路22内には冷媒回路40に接続された蒸発器23が通風路22の幅方向に延びるように設けられ、その前面側には通風路22の空気を流通させる蒸発器用送風機24が設けられている。
【0013】
機械室30内には、冷媒回路40に接続された圧縮機31及び凝縮器32が配置され、凝縮器32には機械室30内の空気と凝縮機32を流通する冷媒とを熱交換させる凝縮器用送風機33が設けられている。
【0014】
冷媒回路40は、蒸発器23、圧縮機31、凝縮器32及び膨張弁41を備え、これらは冷媒流通用の配管によって接続されている。即ち、圧縮機31の吐出側には凝縮器32の流入側が接続され、凝縮器32の流出側には蒸発器23の流入側が膨張弁41を介して接続されている。また、蒸発器23の流出側には圧縮機31の吸入側が接続されることによって冷媒回路40が構成されるようになっている。このとき、凝縮器32の流出側に接続された冷媒流通管40aは、前面側の通風路22内の上端側を幅方向一端側から他端側に向かって延びるとともに、前面側の通風路22内の下端側を幅方向他端側から一端側に向かって延びるようにして蒸発器23の流入側に設けられた膨張弁41に接続されるようになっている。
【0015】
以上のように構成された冷凍ショーケースにおいて、蒸発器用送風機24、圧縮機31及び凝縮器用送風機33を運転すると、圧縮機31から吐出された冷媒は、凝縮器32を流通した後、蒸発器23に膨張弁41を介して流通して圧縮機31に吸入される。このとき、凝縮器32を流通する冷媒は凝縮器用送風機33によって流通する空気と熱交換して凝縮し、凝縮して蒸発器23を流通する冷媒は蒸発器用送風機24によって通風路22を流通する空気と熱交換して蒸発する。これにより、蒸発器用送風機24によって空気吸込口22aから通風路22に流通する商品収納庫20内の空気を、蒸発器23を流通する冷媒の蒸発潜熱によって冷却する。冷却した空気を空気吐出口22bから吐出してショーケース本体10の上面開口部にエアカーテンを形成することにより、商品収納庫20内を冷却する。
【0016】
ここで、空気吸込口22aには、商品収納庫20内の冷却された空気以外に例えば冷凍ショーケースが設置されているスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内の空気が流入する。この店舗内の空気は、商品収納庫20内の空気と比較して温度及び絶対湿度が高いため、空気吸込口22aに流入すると、商品収納庫20内の空気により冷却されて空気中の水分が凝縮して凍結する。しかし、前面側の通風路22の上端側には凝縮器32から流出した冷媒が流通する冷媒流通管40aが設けられているために、通風路22内を流通する空気は冷媒流通管40aによって加熱される。また、通風路22の内壁に凝縮した水分が霜として付着した場合にも、冷媒流通管40aの熱によって霜が融解される。これにより、空気吸込口22a付近の通風路22内の壁面に凝縮した水分が霜として付着して通風路22を閉塞するようなことはない。また、前面側の通風路22の下端側にも凝縮器32から流出した冷媒が流通する冷媒流通管40aが設けられているために、前面側の通風路22の上端側において凍結することなく下方に流通する空気は冷媒流通管40aによって加熱される。また、通風路22の内壁に凝縮した水分が霜として付着した場合にも、冷媒流通管40aの熱によって霜が融解される。これにより、前面側の通風路22の下端側の壁面に凝縮した水分が霜として付着して通風路22を閉塞するようなことはない。また、通風路22内に設けられた冷媒流通管40aを流通する冷媒は、通風路22を流通する空気と熱交換することにより過冷却の状態となり、冷凍能力を向上させる。
【0017】
このように、本実施形態の冷凍ショーケースによれば、凝縮器32から流出する冷媒を冷媒流通管40aによって空気吸込口22a側の通風路22内に流通させるようにしたので、空気吸込口22aから通風路22に流通する空気と冷媒流通管40aを流通する冷媒とを熱交換させて通風路22を流通する空気を加熱することができ、電気ヒータを用いることなく空気中の水分が通風路22内に霜として付着することを防止することができることから、消費電力の低減を図ることができる。また、空気吸込口22aから通風路22に流通する空気と冷媒流通管40aを流通する冷媒とを熱交換させて冷媒回路40の冷媒を冷却することができ、冷媒回路40の冷媒を過冷却の状態にすることにより、冷凍能力の向上を図ることができる。
【0018】
また、冷媒流通管40aを通風路22の空気吸込口22aの近傍に通風路22の幅方向に亘って設けたので、ショーケース本体10外の空気が流入して霜が付着しやすい通風路22の空気吸込口22aの近傍に位置する通風路22内の壁面に霜が付着した場合にも霜を融解させることができ、霜の付着によって空気吸込口22aが閉塞されることはない。
【0019】
また、冷媒流通管40aを空気吸込口22aの下方に位置する通風路22内に通風路22の幅方向に亘って設けたので、通風路22の空気吸込口22aの下方に位置する通風路22内の壁面に付着した霜を融解させることができるとともに、通風路22の空気吸込口22aの近傍に設けられた冷媒流通管40aによって霜を融解させることにより落下する水分の凍結を防止することができ、霜及び氷の付着によって通風路22が閉塞されることはない。
【0020】
尚、前記実施形態では、ショーケース本体10の下部に設けられた機械室30内に圧縮機31及び凝縮器32を配置して冷凍サイクルを構成したものを示したが、圧縮機31及び凝縮器32を別途冷凍機ユニットとして設置し、冷媒流通用の配管によって冷凍ショーケースの蒸発器23と接続することにより冷凍サイクルを構成するようにしてもよい。
【0021】
また、前記実施形態では、平型の冷凍オープンショーケースの通風路22に凝縮器32から流出する冷媒を冷媒流通管40aによって流通させるようにしたものを示したが、上面または前面にガラス扉が設けられた冷凍ショーケースの通風路に凝縮器から流出する冷媒を流通させるようにしてもよい。
【0022】
また、前記実施形態では、冷媒流通管40aを通風路22aの近傍に通風路22の幅方向に亘って設けるとともに、空気吸込口22aの下方に位置する通風路22の下端に通風路22の幅方向に亘って設けたものを示したが、図5に示すように、冷媒流通管40aを空気吸込口22a側の通風路22の上部に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】冷凍ショーケースの斜視図
【図2】冷凍ショーケースの側面断面図
【図3】冷媒回路を示す冷凍ショーケースの正面図
【図4】通風路に設けられた冷媒回路を示す冷凍ショーケースの斜視図
【図5】その他の例を示す冷凍ショーケースの斜視図
【符号の説明】
【0024】
10…ショーケース本体、22…通風路、22a…空気吸込口、22b…空気吐出口、23…蒸発器、24…蒸発器用送風機、31…圧縮機、32…凝縮器、40…冷媒回路、40a…冷媒流通管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケース本体内の所定位置に設けた空気吸込口から流入した空気を流通する通風路と、通風路を流通する空気をショーケース本体内の所定位置に設けた空気吐出口に向かって流通させる送風機と、通風路内に設けられた蒸発器とを備え、圧縮機及び凝縮器を流通した冷媒を膨張手段を介して蒸発器に流入させ、蒸発器から流出した冷媒を圧縮機に吸入させるようにして冷媒回路を構成し、通風路を流通する空気を蒸発器によって冷却することによりショーケース本体内に収納された商品を冷却するようにした冷凍ショーケースにおいて、
前記通風路の空気吸込側に冷媒回路の凝縮器から吐出した冷媒の熱を放出する冷媒流通管を設けた
ことを特徴とする冷凍ショーケース。
【請求項2】
前記冷媒流通管を通風路の空気吸込口の近傍に通風路の幅方向に亘って設けた
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍ショーケース。
【請求項3】
前記冷媒流通管を空気吸込口の下方に位置する通風路内に通風路の幅方向に亘って設けた
ことを特徴とする請求項2記載の冷凍ショーケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−78022(P2006−78022A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260224(P2004−260224)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】