説明

冷凍デザートの製造方法および該方法により得られる冷凍デザート

本発明は、
(a)冷凍組成物を得るために、6重量%〜45重量%の乾物および発酵乳または未発酵乳とを含む工業用乳組成物を冷凍する段階であって、前記組成物がヨーグルトならびに果実ピューレおよび/または果汁とを共には含まない段階、(b)場合により、前記冷凍組成物を-15℃〜-25℃または-15℃〜-30℃の中心温度にする段階、(c)前記冷凍組成物を、粉砕手段および場合により空気混和手段を備えた装置中に配置する段階、ならびに(d)前記冷凍組成物に、前記粉砕手段および場合により前記空気混和手段を用いてテクスチャー付与する段階からなる連続的段階を含む、冷凍デザートの製造方法に関する。また本発明は、こうして得られた冷凍デザートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵乳をベースとするまたはベースとしない冷凍デザートの製造方法、および得られる冷凍デザートに関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーグルトは、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクス(Lactobacillus delbruekii bulgaricus)の培養物に由来する好熱性微生物の作用による乳酸発酵によって得られる凝固酪農製品である。ヨーグルトは、ビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス(Bifidobacterium animalis animalis)および/またはラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)および/またはラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)および/またはラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株に由来する微生物などの他の乳酸菌を含有することもある。これらの乳酸菌株は、ヒト腸内細菌叢の良好なバランスおよびより良好なラクトース消化などの種々の性質を最終製品に対して付与することが意図されており、これらの菌株の中には下痢疾患治療における有用性が証明されているものもある。
【0003】
ヨーグルトは、そのプロバイオティック性により、好まれる食品となっている。しかしながら、ヨーグルトには2つの重大な欠点がある。
【0004】
第一に、ヨーグルトの賞味期限は、1℃〜10℃の温度で貯蔵される場合、一般に製造日後30日間に制限される。したがって、ヨーグルトは損害を生じうる短い貯蔵寿命を有する。さらに、ヨーグルトの有利な性質は、ヨーグルトのテクスチャーを好まないという理由からその消費を拒絶する人々には役立たない。こうした人々はまた、同じ理由で、フレッシュな未発酵酪農製品の栄養利益、特にタンパク質およびカルシウムの供給を自ら奪っている。
【特許文献1】特許出願CA-2 250542
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、フレッシュな酪農製品、特にヨーグルトの、例えばその比較的低いカロリー供給および可能なプロバイオティック効果を含めた有利な性質を有するにもかかわらず、顕著に異なり、かつ一般的により良好に受け入れられるテクスチャーを有するデザートの代替形態を提供するという要求は存続している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、ある種の市販のフレッシュな酪農製品に、その栄養利益を損なわず、そのエネルギー価を増大させることなく、良好な官能特性、特にクリーミーで、かつ硬くないテクスチャーを有する冷凍デザートに変換することを可能にする方法を施すことにより、この要求を満たすことができることを見出した。
【0007】
こうして得られた冷凍デザートは、ヨーグルトなどのフレッシュな酪農製品を、その味のためまたは冷凍デザートの消費により好ましい気候条件のために必要としない消費者にとって、有利な代替品を構成する。氷の融解潜熱のために冷凍デザートがヨーグルトより大きな清涼効果を有することは実際に十分に認められており、このことはメキシコなどの暑い国において、またはシーズンにより認められる。
【0008】
より具体的には、本発明による方法は、PACOJET AG社(Zug、Switzerland)により製造され、PACOCLEAN社(Romagnieu、FRANCE)により商標名Pacojetで販売されている装置で実施することができる。
【0009】
さらに、この装置は、レストラン所有者によりアイスクリームを製造するために既に現在使用されている。この装置は特に、供給者によりそのインターネットサイトに示された装置の使用説明およびレシピによれば、クリームとヨーグルトとの混合物をベースとする冷凍デザート、あるいは、場合によりクリームが混合され、果実、コーヒーまたは香辛料を補った乳の混合物をベースとする冷凍デザートを製造することを可能にする多機能食品加工機である。これらの成分の混合物をボウルに入れ、冷凍後、この混合物を粉砕(または「パコタイズ」)し可能な限り空気混和することが意図された装置上に載せて、テクスチャーが「ソフトアイス」またはイタリアンタイプのアイスクリームに似たクリーミーなデザートを得る。
【0010】
上述の型の装置を使用することによって確かに、レストラン規模で、好適なテクスチャーおよび比較的許容される栄養特性を有する乳製品をベースとする冷凍デザートを容易に調製することが可能になるが、それでもやはり「パコタイズ」される混合物のその場での調製はいくつかの問題を引き起こす。
【0011】
特に、このデザートが果実を含有しなければならないような場合、この方法は、フレッシュな果実の貯蔵の管理およびその調製(洗浄、剥皮、除種、殺菌、ブランチング)に関連する制約を生じる。
【0012】
さらに、本出願人は、UHT液体クリームまたは発酵ヘビークリームをベースとするレシピから製造された、ヨーグルトと果実とを含む冷凍デザートが、顕著かつ/または不快な味と比較的柔らかいテクスチャーとを有することがあることを示した。いかなる理論にも拘泥するわけではないが、本出願人が実施した実験に鑑み、この欠点はクリームの不十分な分散の結果であり得ると本出願人には思われた。さらに、他の実験により、混合物を十分に剪断してから冷凍させて、クリームをよく分散させた場合、「パコタイズ」後に得られたデザートは柔らかすぎるテクスチャーを有することが示された。最後に、上述の結果、より一般的にはその場で調製された混合物の特徴が必然的に人的要因に依存するという結果、これらの混合物から得られたデザートは再現性の問題を必然的に生じることとなる。
【0013】
目下のところ、本出願人は、上述のその場で調製された混合物をある種の市販のフレッシュな酪農製品に置き換えることにより、上述の種々の欠点を克服することが可能になることを示した。特に、これらの製品中に存在することがあるクリームを分散させるために使用される工業技術および工場でこの粘性製品に施与される低剪断により、快い味およびかなり硬いテクスチャーを有する冷凍デザートが確実に生産される。これらの乳製品の一定の組成およびテクスチャーはさらに、これらから得られるデザートの良好な再現性を確実にする。
【0014】
こうして、ある種のフレッシュな酪農製品を使用する、本出願人が開発した本方法により、一部の消費者が直面する乳デザートの受容性の問題を克服でき、かつ賞味期限を超えたこれらのフレッシュな製品の損害を回避できるだけでなく、レストラン所有者、より一般的には「Pacojet」型の装置のユーザに、良好な官能特性およびバランスの取れた栄養プロファイルを有する一方、球形にすることができるほど十分に硬い冷凍デザートを迅速かつ再現性をもって得ることを可能にする手段を提供することも可能になる理由を理解することができよう。
【0015】
したがって、本発明の主題は、
(a)冷凍組成物を得るために、6重量%〜45重量%の乾物および発酵乳または未発酵乳とを含む工業用乳組成物を冷凍する段階であって、前記組成物がヨーグルトならびに果実ピューレおよび/または果汁とを共には含まない段階、
(b)場合により、前記冷凍組成物を-15℃〜-25℃または-15℃〜-30℃の中心温度にする段階、
(c)前記冷凍組成物を、粉砕手段および場合により空気混和手段を備えた装置中に配置する段階、ならびに
(d)前記冷凍組成物に、前記粉砕手段および場合により前記空気混和手段を用いてテクスチャー付与する段階
からなる連続的段階を含む、冷凍デザートの製造方法である。
【0016】
本発明の主題はまた、上述の方法により得ることができる冷凍デザートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
プリアンブルとして、本発明による方法は、場合により、上述の段階の特質および順序を変更しない限り、以下に列記する段階に予備のもしくは続く他の段階またはさらに中間段階を含んでよいことを規定する。
【0018】
本発明による方法の第一の段階は、工業用乳組成物を使用する。
【0019】
この表現は、工業規模で、すなわち一般的に賞味期限を負う密閉容器中で生産および包装することを可能にし、かつ1日当たり125g単位(または当量)前記組成物を少なくとも数百、またはさらには数千、またはさらには数万単位、1℃〜10℃程度の温度で貯蔵できるプラントで製造されたフレッシュな酪農製品を意味すると解する。かかる組成物は通常、少なくとも1つの卸売業者および/または小売業者および/または販売業者および/または配達代理業者を伴う流通ネットワークを一般的に介して、その製造場所から離れた所で販売するのに使用可能である。
【0020】
実際、この組成物の工業的製造方法においては、望ましくない微生物(すなわち、意図的に接種されていない微生物)の初期装入および成長を最小化するために、すべての予防措置は取られる。
【0021】
これを行うために、工業用乳組成物を構成する成分は通常、
デザートクリームなどの「中性」製品(pH>4.9)の場合、例えば129℃で1分間滅菌されるかまたは
ヨーグルト、フレッシュチーズ、果実入り製品などの酸性製品(pH4.9以下)の場合、殺菌される。
【0022】
ヨーグルトという特定の場合、殺菌に引き続いて発酵段階を行う。したがって、果実入りヨーグルトの調製段階は一般に、高圧で均質化し、次いで殺菌(例えば95℃/6分)する「白塊(white mass)」と称される成分の混合、その後の選択発酵体の接種および発酵段階を含む。次いで、無菌方法により、果実、糖質、甘味料、香料、着色料、テクスチャー付与剤(texturant)等を含有する調製物を白塊に添加してもよい。
【0023】
こうして得られた工業用乳組成物は、1℃〜10℃、好ましくは1℃〜6℃の温度で貯蔵される条件では、一般的にその製造日から12日間〜45日間、好ましくは30日間の賞味期限を有する。この期間を超えると、製品中の腐敗微生物または病原微生物の量が許容できないレベルに達することがある。
【0024】
このことは、家庭の台所でまたはレストラン所有者により調製された酪農製品との根本的な差異である。
【0025】
したがって、かかる工業用乳組成物を特徴付ける別の方法は、その微生物組成を参照することにある。
【0026】
より具体的には、本発明により使用される工業用乳組成物は、以下のような量の微生物を含有することが好ましい:
pHが4.9より大きい場合、前記工業用乳組成物は、インキュベーション後に、以下の試験により測定して1g当たり5cfu未満の全中温微生物を含有する:x個のポットを24時間、30℃でインキュベートし、次いでNF V08-051規格に従って計数する(3日/30℃)。この結果は、インキュベートした各ポットにつき、<5/gでなければならない。
x=(500g/ポットの正味重量)、これは大きい方の整数に切り上げる(例えば、ポットが125gまたは150gの場合、xは4である)、かつ
pHが4.9未満の場合、下記の2つの試験により測定して、前記工業用乳組成物は酵母またはカビを含有しない:
試験1:x個のポットを(開封せずに)48時間、30℃でインキュベートし、次いでそれぞれのポットから1gの代表物を無菌的に取り出し、NF V08-059規格に従って計数する(5日間にわたる25℃でのインキュベート後)。この結果はすべてのポットについて0でなければならない。
試験2:x個のポットを(開封せずに)14日間、25℃でインキュベートする。ポットはいずれも膨張を示してはならない(ポット開封前)か、または視覚的もしくは嗅覚経路により検出できるカビもしくは酵母を示してはならない(ポット開封後)。
【0027】
市販されており、かつ工業用乳組成物(以下、省略して「乳組成物」と記載する)として、本発明による方法において使用できるフレッシュな酪農製品の例を、以下の実施例に挙げる。
【0028】
本発明により使用される乳組成物は、6重量%〜45重量%の乾物含量を有する。この乾物含量により、一方では栄養面と官能面とが折り合いが得られ、他方では得られる冷凍デザートの天然特性を得ることが可能になる。実際、乾物の量がより少なければ、一般的に、糖質(この場合、合成甘味料に置き換えることができる)をより少なく含有する製品に対応する一方、乾物の量が45重量%より多ければ、一般的に過剰に高いカロリー価を有する製品をもたらす。乳組成物中に含有される乾物の量は、組成物の総重量に対して好ましくは10重量%〜45重量%、より好ましくは10重量%〜35重量%、さらに好ましくは10重量%〜28重量%、特に10重量%〜24重量%である。
【0029】
乳組成物中の乾物含量が6重量%〜12重量%の場合、乳組成物は、有利には、組成物の総重量に対して少なくとも3.0重量%のタンパク質、あるいは、例えばイヌリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、加工もしくは未加工デンプン、ポリデキストロースまたはペクチンなどの、タンパク質以外の少なくとも1つの食品ポリマーを含有する。
【0030】
本発明による方法の第一の段階で使用される乳組成物中に含有される乳は、発酵乳または未発酵乳であってよい。
【0031】
乳は特に、殺菌乳、濃縮乳、殺菌半脱脂乳、濃縮半脱脂乳、殺菌脱脂乳、濃縮脱脂乳およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
乳は特に、牛乳、山羊乳、羊乳、水牛乳、豆乳もしくは燕麦乳、またはこれらの混合物であってよい。本発明における使用のためには牛乳が好ましい。
【0033】
本発明によれば、乳組成物中に含有される乳は少なくとも部分的に、好ましくはヨーグルトの形態または変形例としてフレッシュチーズの形態の発酵乳から作られていることが好ましい。実際、発酵乳により、より粘着性のテクスチャー、より良好なラクトース消化率を有する冷凍デザートを得ることが可能になり、かつヨーグルトの場合には生きた発酵体を提供することが可能になる。
【0034】
ヨーグルトという表現は、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクスの培養物に由来する好熱性微生物の作用による乳酸発酵によって、乳または酪農製品から得られた凝固酪農製品を意味すると解する。国際食品規格の定義によれば、ヨーグルトという名称を特徴付けるのは、これらの2つの細菌株の存在である。これらの特定の微生物は、好ましくは、賞味期限時に少なくとも107CFU/gの全体量で生存可能であり、その際、略語C.F.Uはコロニー形成単位を意味する。
【0035】
より広範な意味においては、微生物ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクス以外の乳酸菌、特にビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリスおよび/またはラクトバシラス・カゼイおよび/またはラクトバシラス・プランタラムおよび/またはラクトバシラス・アシドフィルスの菌株に由来する微生物を含む製品を本発明の目的のためのヨーグルトと称することも可能である。これらの乳酸菌株は、最終製品に対してヒトの腸内細菌叢の良好なバランスなどの種々の性質を付与することが意図される。この最終製品においては、微生物は好ましくは生存可能な状態である。したがって、これらの微生物は、本発明による組成物から製造されたデザートの消化率を改善し、かつこれにプロバイオティック性を付与する。
【0036】
したがって、かかるヨーグルトは有利には、AFNOR NF 04-600規格およびコーデックスStanA-1la-1975規格の発酵乳およびヨーグルトの規格に対応する。AFNOR NF 04-600規格は特に、製品が発酵後に加熱されていてはならないと規定している。さらに、ヨーグルトにおいては、酪農製品および酪農原料は最終製品の最小限70%(m/m)を占めなければならない。
【0037】
本発明においては、大量の生きた乳酸発酵体が冷凍後に残留していることが好ましい。したがって、本発明により使用される乳組成物は、好ましくは、(a)ストレプトコッカス・サーモフィルス、(b)ラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクス、(c)ビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス、(d)ラクトバシラス・カゼイ、(e)ラクトバシラス・プランタラム、(f)ラクトバシラス・アシドフィルスおよびこれらの混合物から選択された細菌を1g当たり少なくとも105、好ましくは少なくとも106、少なくとも107までも含有する。好ましくは、この細菌は、(a)ストレプトコッカス・サーモフィルス、(b)ラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクス、および場合により、さらに(c)ビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリスおよび/または(d)ラクトバシラス・カゼイおよび/または(e)ラクトバシラス・プランタラムおよび/または(f)ラクトバシラス・アシドフィルスの混合物を含有する。この組成物から得られた冷凍デザートは、有利には、同じ特徴を有する。
【0038】
乳組成物は、好ましくは、組成物の総重量に対して少なくとも0.5重量%の乳タンパク質を含有し、これは例えばヨーグルトの形態において組成物の総重量に対して約15重量%を超える乳である。
【0039】
本発明の好ましい変形例によれば、乳組成物は未発酵クリームを含まない。
【0040】
「未発酵クリーム」という表現は、一般的には液体で、6.4に近いpHを有し、かつ乳酸発酵体により酸性化されていない、少なくとも30重量%の脂肪物質、一般的には35重量%、さらには40重量%までの脂肪物質を含有する、脂肪物質が富化された乳を意味すると解する。
【0041】
クリームが存在しないため、カロリーがより低い冷凍デザートを特に製造することが可能になる。
【0042】
本発明により使用される乳組成物は、本発明の有利な実施形態によれば、片および/またはピューレおよび/または果汁の形態で果実を含んでいてもよい。
【0043】
「果実ピューレおよび/または果汁」という表現は、果実の特質および/または粉砕の微細度に依存するほぼ液体であり、1つまたは複数の果実を粉砕、加圧または抽出し、場合により、得られた粉砕生成物を濃縮し、かつ/または種子、痩果および/またはすべてのもしくは一部のパルプを分離(濾過など)し、かつ/または瞬間殺菌することにより調製され、添加糖質を含有しない調製物を意味すると解する。市販の果実ピューレには、添加糖質、例えば慣用的には10%のスクロースを含有するものもあり、本発明によれば、この添加糖質は糖質としてカウントし、かつ果実ピューレの重量から差し引くものとする。
【0044】
より具体的には、乳組成物中に場合により含有される果実調製物(果実ピューレおよび/または果汁)は、3mmの四角のメッシュを有する篩をその面に沿って通過するほど小さいサイズを有する果実からなり、前記篩は、調製物が極めて高い粘性を有する場合には、篩分けの間に場合により水ですすがれる。この試験において篩上に留まった果実は果実片とみなされる。
【0045】
本発明により使用される乳組成物は、組成物の総重量に対して好ましくは5重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜20重量%の果実を、果実当量として含有する。
【0046】
本発明により場合により使用される果実の量を果実当量と表現する。「果実当量」という表現は、使用される果実の割合とこの果実の乾物含量の割合を掛け、これを同じ果実の乾物含量の本来の平均割合で割ったものを意味すると解する。例えば、本発明による組成物が、2倍濃縮され(すなわち、水が半分蒸発されている)、次いで10%加糖された20%の果実ピューレを含有する場合、この果実当量は以下のとおりである:20×0.9×2/1=36%。
【0047】
果実は、以下のものから選択できる:リンゴ、バナナ、イチゴ、モモ、ラズベリー、クワ、マンゴー、キーウィ、ブルーベリー、クロフサスグリ、アカスグリ、オレンジ、サクランボ、イチジク、ナシ、アンズ、ココナッツ、パッションフルーツ、グァバ、パパイヤ、メロン、ライチ、パイナップル、レモン、マンダリン、チェリープラム、グレープフルーツ、ブドウ、ダイオウおよびこれらの混合物、ただしこの列記は網羅的ではない。
【0048】
変形例としてまたは付加的に、本発明による乳組成物は、1つまたは複数の添加糖質(これらが存在する果実中に元々存在するもの以外の糖質)を、組成物が組成物の総重量に対して35重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満の炭水化物を含有するような量で含有してよい。この組成物は好ましくは、組成物の総重量に対して3重量%を超える炭水化物をさらに含有する。
【0049】
糖質という表現は、本発明においては、任意の甘味炭水化物、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、転化糖、蜂蜜、マルトース、またはこれらの混合物、特に50:50の比の混合物を意味すると解する。
【0050】
変形例としてまたは追加的に、乳組成物は、少なくとも1つの以下の成分を含有してよい:添加剤(国際食品規格の意味の範囲内)、特にテクスチャー付与剤、乳化剤、甘味料、着色料、保存料、香料、卵、およびこれらの混合物。
【0051】
「テクスチャー付与剤」という表現は、これが導入される製品のテクスチャーを変える化合物を意味すると解する。テクスチャー付与剤の例は以下のとおりである:グアーゴムおよびカロブゴム、アラビアゴム、キサンタンゴムおよびジェランゴム、カラギナン、デンプン(天然または加工)、微結晶セルロース、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸塩(E400ないしE405)、寒天、およびこれらの混合物。「乳化剤」という表現は、特に水中油型エマルションを安定化させることができるHLB(親水親油バランス)値により特徴付けられる両親媒性化合物を意味すると解する。食品乳化剤の例は、特に卵黄中に存在するレシチンおよびその誘導体、脂肪酸モノおよびジグリセリド、ならびにポリソルベート80である。「甘味料」という表現は、ポリオール(例えば、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、エリトリトール)、高甘味度甘味料(アスパルテーム、アセスルファームK、サッカリンおよびその塩、またはスクラロースなど)、またはタガトースおよびトレハロースなどの甘味を有する製品を意味すると解する。「着色料」という表現は、それだけで、組成物に色を与えることができる天然または合成由来の化合物を意味すると解する。食品着色料の例は、欧州においてE100ないしE180の記号のもとで公知である。「保存料」という表現は、微生物、特に酵母および/またはカビおよび/または細菌、特にスタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus aureus)が組成物中で増殖するのを阻害する化合物を意味すると解する。食品保存料の例は、ソルビン酸およびその塩(E200ないしE203)、安息香酸およびその塩(E210ないしE219)、亜硫酸塩および誘導体(E220ないしE228)、ナタマイシン、ナイシン、およびこれらの混合物である。「香料」という表現は、それだけで、組成物の味を変えることができる天然または合成由来の化合物を意味すると解する。香料の例は、バニリン、天然バニラ抽出物、添加柑橘果実の精油、およびこれらの混合物である。
【0052】
タンパク質または食物繊維(特に、ポリデキストロースなどの添加剤またはイヌリンなどの成分)などのテクスチャー付与添加剤またはさらに他の食品ポリマーの存在は、特に、乳組成物の乾物含量が12重量%未満の場合に、この組成物から得られたデザートが十分に硬いコンシステンシーを有するために望ましい。
【0053】
さらに、この組成物が、添加香料を、上述の果実の代わりにまたは好ましくは上述の果実への補給物として含有することが好ましい。実際、後者により、強度の果実の味を均一に有するがもっぱら果実をベースに調製されたデザートと比べて安価で、かつしばしば酸味の少ない、果実ベースの乳デザートを調製することが可能になる。したがって、本発明のこの変形例は、フレッシュな果実からその場で調製される、従来技術の乳のレシピから調製されるデザートと比較して付加的な利点を提供することに留意されたい。
【0054】
乳組成物は、自然のテクスチャーおよび味を冷凍デザートにほとんど与えることができないグアーガムおよびカロブガムを有しないことがさらに好ましい。
【0055】
他方、本発明により使用される組成物は、有利には、例えばヒマワリ油、オレインアブラナ油(oleic rapeseed oil)またはオレインヒマワリ油(oleic sunflower oil)などの不飽和脂肪酸を含有する1つまたは複数の非水素化植物油を含有してよい。100℃を超える加熱を要求しない酸性製品については、ベニバナ油、ダイズ油、ツキミソウ油またはボリジ油などのより熱感受性の油、あるいは、より好ましくはナッツ油、ルピナス油、カメリア油、アマニ油、ヘンプ油、クランベリー油、インカインチ油、キーウィ種子油またはアブラナ油などのオメガ3型および場合によりオメガ6型の脂肪酸リッチの1つまたは複数の油、好ましくはオメガ6型の脂肪酸とオメガ3型の脂肪酸との比が5未満である油を使用することが可能であり、その極めて中性的な味のためにアブラナ油が好ましい。
【0056】
乳組成物が栄養油を部分的なまたは完全な乳脂肪の置換物として含有する場合、本発明により得られた冷凍デザートは、好ましくは、冷凍デザート100g当たり0.3gより大きいオメガ3型脂肪酸含量(リノレン酸当量として)を有する(例えば、3.3%のアブラナ油により提供された場合)。好ましくは、オメガ6型の脂肪酸のオメガ3型に対する脂肪酸の比は、5未満であり、かつ好ましくはデザートにより提供されるカロリーの33%未満が脂質由来である。
【0057】
本発明により使用される乳組成物は、有利には、155KCal/100g以下、好ましくは130KCal/100g未満、より好ましくは100KCal/100g未満、さらに75KCal/100g未満、さらに45KCal/100g以下で、かつ好ましくは20KCal/100gより大きいエネルギー価を有する。
【0058】
さらに、乳組成物は、好ましくは:
組成物の総重量に対して
0重量%〜7重量%、例えば0.1重量%〜7重量%、より好ましくは0.1重量%〜4重量%、さらに0.1重量%〜3.5重量%、さらに0.1重量%〜1重量%の脂肪物質、および/または
0.5重量%〜7重量%、好ましくは2重量%〜5重量%のタンパク質、および/または
35重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満で、かつ好ましくは3重量%より大きい炭水化物
を含有する。
【0059】
したがって、この組成物から得られた冷凍デザートは、有利には、この由来となる乳組成物と同じカロリーおよび栄養価を有する。
【0060】
特に、乳組成物中に含有される低レベルの脂肪物質により、心臓血管系リスクを抱えるかまたは肥満体質の人々にとって特に関心のある脂肪の1日摂取量が減るだけでなく、官能特性の観点から、特に冷凍デザートが果実を含有する場合、より強度の味および色を冷凍デザートに与えることが可能になる。
【0061】
さらに、乳組成物は、好ましくは、3〜4.9、より好ましくは3.5〜4.6のpHを有する。
【0062】
本発明による方法の第一の段階を実施するために、乳組成物を一般的には、4つ星の冷凍庫中で、指標として少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間の期間にわたり冷凍するか、またはより迅速な急速冷凍のために気体を-40℃以下で送るセル(慣用のまたは低温冷凍トンネルまたはセル)中で冷凍するが、この後者の代替物により、存在しうる発酵体のより良好な生存が可能になり、かつ次いでより粉砕されやすい氷結晶のより少量の成長が可能になる。もちろん、乳組成物を中温で冷凍することも可能である。
【0063】
この冷凍段階は、好ましくは、-15℃以下、好ましくは-18℃以下で、かつ一般的には-40℃以上の中心温度を有する冷凍組成物を得るために実施する。
【0064】
こうして得られた冷凍組成物は、-18℃の最高温度で3カ月〜12カ月、またはさらには18カ月〜24カ月の期間最適な使用ができる。この組成物は一般的に極めて硬く、かつそのままでサンプリングすることができないが、冷凍デザートを製造するために使用される。
【0065】
この組成物は、これをそのまま使用する場合、ほぼ-18℃の温度で冷凍されていてよい。好ましい変形例として、かつ上述のとおり、この冷凍組成物を、-40℃までのまたはさらには-80℃までのより低温で得てもよいし、さらには貯蔵していてもよい。その際方法は、冷凍組成物を-15℃〜-25℃、好ましくは-18℃〜-25℃の中心温度にする段階を含んでよい。しかしながら、この温度を-15℃〜-30℃、好ましくは-20℃〜-30℃、より好ましくは-24℃〜-30℃の範囲内の中心温度にすることが好ましい。これらの条件により、この組成物がどのように調製されかつ冷凍されたとしても、消費者にはほとんど知覚不可能な極小の結晶を得ることが可能になる。
【0066】
本発明による方法の第三の段階は、上述の冷凍組成物を、これにテクスチャー付与することを意図された装置中に配置することにある。
【0067】
この段階では、組成物を一般的に、特にテクスチャー付与装置に好適な容器に冷凍状態で包装し、その際、該容器中で該組成物が売買された後、冷凍されるか、またはその中に注入された後冷凍されるか、または(上述の容器に好適な形態を有する)冷凍カートリッジの形態で導入される。
【0068】
本発明による方法の第四の段階においては、次いでこの冷凍組成物に、粉砕手段および場合により空気混和手段を備えた上述のテクスチャー付与装置中でテクスチャー付与する。好ましくは、この装置はいかなる押出手段をも有しない。
【0069】
好ましくは、この粉砕手段は回転刃を備え、該部品は、この刃の面に対して垂直に、長手方向に移動するように構成される軸の端部に取り付けられる粉砕部品を含む。別の実施形態においては、軸の端部に装備された回転刃を備えた粉砕手段は固定されており、刃の面に対して垂直に長手方向に移動するのはポットである。これらに関しては、空気混和手段は、一般的には加圧下で空気を組成物に供給することを可能にする任意の手段からなっていてよい。特に、より強度の色および/または味ならびに/あるいはより濃密かつ滑らかなテクスチャーを有する冷凍デザートを得るために、テクスチャー付与を大気圧下で実施してもよく、このことは、例えばモモなどのより淡い色および/またはよりマイルドな味を有する果実にとって、あるいは2%未満、もしくはさらには1%未満の脂肪物質、または15%未満の乾物含量を含有する組成物にとって特に有利である。実際、後者のタイプの組成物に付与される空気混和が存在しないため、外観においても口内においても「ホール(hole)」のない滑らかなテクスチャーを有する球を次いで容易に形成できることが可能になる。
【0070】
有利には、この装置はさらに、長手方向移動速度に対する刃の回転速度の比を変動させる手段を含む。
【0071】
この型の装置は、特に特許出願CA-2 250542中に記載されており、例えばPACOCLEAN社により「Pacojet」の商標名のもと市販されている。
【0072】
この装置により、硬い氷結晶を粉砕することが可能になり、かつ場合により滑らかかつ溶融するテクスチャーおよび-4℃〜-8℃の温度を有する冷凍デザートを得るためにこれを空気混和することが可能になる。
【0073】
この装置は、使用するのが簡単であり、床上でわずかしか空間を占めず、かつ種々の型の組成物にテクスチャー付与できるのに十分に順応的であるという利点を有する。
【0074】
乳組成物が低いカロリー含量を有する場合、すなわち、100KCal/100g未満、またはさらには75KCal/100g未満を含有する場合、これに空気混和を伴うかまたは伴わない2つの連続的なテクスチャー付与操作を施すことが好ましい。実際、本出願人は、低い脂肪および糖質含量を有する型の乳組成物が、添加剤を含有しない場合はなおさら、冷凍およびテクスチャー付与後に粉様生成物を形成する傾向にあること、ならびにこれに直ちに上述の装置中で第二のテクスチャー付与を施すことによりこの欠点を容易に克服できることを見出した。こうして、かなり滑らかでかつ硬い外観を有する冷凍デザートが、これに付加的な脂肪物質、糖質またはポリオールを添加する必要なしに得られる。
【0075】
こうして得られた冷凍デザートは、例えば球または団子の形態で、一般的には10分以内に直ちにサンプリングするのに好適である。
【0076】
しかしながら、組織上の理由のために、デザートをサンプリング前により長期にわたり貯蔵することが有用なことがある。したがって、本発明による方法は、テクスチャー付与された組成物を-18℃の温度で長くとも90分、好ましくは長くとも45分にわたり貯蔵する追加の段階を含んでよい。この時間を、デザートを収容するポットを断熱することにより延長して、その冷却、したがってこの冷凍デザートの再結晶化を遅延させてよい。
【0077】
好ましい変形例によれば、上述の方法はむしろ、テクスチャー付与された組成物を-6℃〜-12℃の温度、好ましくはおよそ-10℃の温度で貯蔵する付加的な段階を含む。この範囲の最高温度はむしろ循環式冷蔵冷凍庫に好適であり、かつ最低温度は静的冷蔵冷凍庫に好適である。テクスチャー付与された組成物を上述の温度範囲内で貯蔵するために使用できる装置の例は、FRAMEC社(Reventin-Vaugris、France)から入手可能である。
【0078】
この変形例により、冷凍デザートの官能特性を製造後数時間(約3時間まで)保持することが可能になる。また、デザートを収容するポットを断熱して、その冷却を遅延させ、したがって上述の時間を延長することが可能になる。さらに、大きくなりすぎた氷結晶のために、デザートのテクスチャーが硬くなりすぎるかまたは「砂様(sandy)」になりすぎる場合、これを再度少なくとも約10時間、-18℃以下、好ましくは-24℃〜-30℃の温度で冷凍してから再テクスチャー付与することが好ましい。
【0079】
次に、本発明を以下の実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。
【0080】
<実施例1 本発明による冷凍デザートの調製>
以下の乳組成物1〜10から、以下に記載する方法により10個のデザートを調製する。
【0081】
乳組成物1(ダネットピスタチオダノン(Danette pistachio Danone)):全乳および濃縮脱脂乳または粉末脱脂乳(83.1%)、糖質、グルコース-フルクトースシロップ、増粘剤(E1442、E407)、クリーム(2.1%)、ラクトース、デンプン、香料、着色料(E141、E160a)。
【0082】
乳組成物2(果実入りヨーグルトクリーミーレシピダノンチェリープラム(Creamy Recipe Danone Cherry plum)):全乳、糖質(平均9.9%)、果実片:チェリープラム(6.6%)、クリーム(1.8%)、濃縮脱脂乳または粉末脱脂乳、乳タンパク質、グルコース-フルクトースシロップ、デキストロース、増粘剤:E1422、E440、E412、香料、ヨーグルトの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィルス+ラクトバシラスブルガリクス)。
【0083】
乳組成物3(果実入りプチジェルヴェダノン(Petit Gervais Danone)):殺菌脱脂乳、殺菌クリーム、糖質(平均10.9%)、ピューレされた果実:ラズベリー、アンズ、イチゴ(6.2%)、グルコース-フルクトースシロップ、増粘剤:E1422、E1442、E410、E415、E412、クエン酸カルシウム、着色料:アントシアニン、パプリカ抽出物、コチニール、ベータカロテン、リボフラビン、香料、乳酸発酵体、ビタミンD。
【0084】
乳組成物4(果実入り低カロリーヨーグルトタイユフィンヌイチゴダブルゼロ(Taillefine strawberry double zero)):脱脂乳(66.8%)、濃縮脱脂乳または粉末脱脂乳、イチゴ片(12%)、ポリデキストロース(食物繊維)、香料、着色料:E120、甘味料:アスパルテーム、アセスルファームK、ヨーグルトの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィルス+ラクトバシラスブルガリクス)。
【0085】
乳組成物5(果実入り低カロリーヨーグルトタイユフィンヌパイナップルダブルゼロ(Taillefine pineapple double zero)):脱脂乳(71%)、濃縮脱脂乳または粉末脱脂乳、パイナップル片(8.5%)、ポリデキストロース(食物繊維)、香料、甘味料:アスパルテーム、アセスルファームK、E955、ヨーグルトの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィルス+ラクトバシラスブルガリクス)。
【0086】
乳組成物6(果実入り低カロリーヨーグルトバイコイチゴゼロ(Baiko strawberry zero)、これは2層:果実床上のヨーグルトとして提供される):脂肪0%のヨーグルト(80%)、果実(12%)、乳タンパク質、イヌリン、オリゴフルクトース(繊維)、アスパルテーム、アセスルファームK、香料、果実用保存料(E202)。
【0087】
乳組成物7(低カロリー卵クリームタイユフィンヌバニラフレーバー(Taillefine vanilla flavor)):脱脂乳、卵(12%)、糖質、増粘剤:E1442、E415、クリーム(2.2%)、粉末脱脂乳、バニラ香料、着色料:E160a。
【0088】
乳組成物8(ヨーグルトクリームマンゴーダノン(Yoghurt cream mango Danone)):全乳、マンゴー(18.5%)、乳クリーム(14.9%)、糖質(12.2%)、濃縮脱脂乳または粉末脱脂乳、着色料:E160c、E160a、ヨーグルトの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィルス+ラクトバシラスブルガリクス)、香料。
【0089】
乳組成物9(ダナオモモ-アンズドリンク(Danao peach-apricot drink)):水、25.6%濃縮果汁をベースとする果汁(モモ-アンズ)、脱脂乳(16.5%)、糖質、安定剤:ペクチン、酸性化剤:クエン酸、着色料:ベータカロテン、香料。
【0090】
乳組成物10(低カロリーダナオモモ-アンズドリンク):水、29%濃縮果汁をベースとする果汁(モモ-アンズ)、脱脂乳(18.4%)、安定剤:ペクチン、フルクトース(0.8%)、酸性化剤:クエン酸、着色料:ベータカロテン、香料、甘味料:アスパルテーム、アセスルファームK。
【0091】
<調製方法>
上述の乳組成物1〜10は市販されている。これらを冷蔵庫から取り出した直後、これらの販売包装から直接、Pacojet(登録商標)装置と一緒に販売されているポット中に、ポット当たり500gの量で移した。次いでこれらをカバーで密封して、そして24時間にわたり冷凍し、次いで1カ月間-18℃で貯蔵した。
【0092】
これをサンプリングすべき日に、この冷凍混合物にテクスチャー付与するために、これらの箱を標準のPacojet(登録商標)装置(空気混和してまたは空気混和せず)に、配置した。この粉砕時間は3分30秒±30秒であり、かつ最終温度は-6±2℃であった。
【0093】
90KCal/100g未満を含むレシピについては、テクスチャーは第一のテクスチャー付与後は極めて粉様(雪様)であり、かつ、このテクスチャーによりクリーミーで滑らかなテクスチャーを有する良質な球を形成することが可能にならなかった。驚くべきことに、第一のテクスチャー付与直後の第二のテクスチャー付与により、最適なテクスチャーをサンプリングの間に得ることが可能になった。その際、最終温度は、これら2つのテクスチャー付与操作後に-3±2℃であった。
【0094】
こうして得られたこれらの10個の冷凍デザートは、直ちにサンプリングすることができた。これを行うために、この冷凍デザートを収容するポット中で標準的なスクープを用いて球を直接形成し、そして球をカップ中に、例えばカップ当たり2つの異なる球の量で分配した。
【0095】
<実施例2 空気混和下でのテクスチャー付与後の本発明によるデザートの官能検査>
10個の冷凍デザートを、実施例1に記載した本発明の方法によりそれぞれ調製した。こうして得られたデザートの特徴を以下に記載する。
【0096】
冷凍デザート1:テクスチャーは良好なピスタチオアイスクリーム味が豊富である。第二のテクスチャー付与により、極めて空気混和され、極めて滑らかであり、かつ口内で極めてクリーミーなムースを得ることが可能になる。
【0097】
冷凍デザート2:テクスチャーは優れており、かつかなり硬い。この製品は、それほど顕著ではないが、チェリープラムの特徴的な風味および色を有する。
【0098】
冷凍デザート3:テクスチャーは完全にクリーミーであり、典型的なアイスクリームである。このイチゴ味はかなり顕著である。
【0099】
冷凍デザート4:第二のテクスチャー付与後、テクスチャーはイタリアンタイプのアイスクリームのテクスチャーに類似しており、味は心地よく、かつイチゴの風味は極めてよく保持されている。
【0100】
冷凍デザート5:第二のテクスチャー付与後、心地よく、かつ極めて空気混和されたテクスチャーを有する完全に滑らかな良質な球が得られる。味はマイルドであり、かつ甘さは少ないがパイナップルシャーベットに似ている。
【0101】
冷凍デザート6:第二のテクスチャー付与後、硬いテクスチャーを有する極めて空気混和された球が得られる。
【0102】
冷凍デザート7:アイスクリームの外観、豊かなテクスチャーを有し、かなり粘稠であり、かつ典型的な卵およびバニラの味を有する良質な球が得られる。
【0103】
冷凍デザート8:テクスチャーは極めてクリーミーであり、かつ極めて滑らかであり、果実片は完全に粉砕されていた。このデザートは、使用された乳組成物と同様の良質なマンゴーの味を有する。
【0104】
冷凍デザート9および10:第二のテクスチャー付与後、シャーベットに似た極めて空気混和されたテクスチャーおよび快い味を有する極めて良質な球が得られる。
【0105】
<実施例3 空気混和を伴わないテクスチャー付与後の本発明によるデザートの官能検査>
実施例1で得られたデザート1〜6および8〜10に、この実施例に記載される空気混和を行わないテクスチャー付与を施した。
【0106】
実施例2に記載したデザートと比較して、特に15重量%未満の乾物含量を含有する乳組成物の場合、空気混和を実施しないと、より容易によい外観を有する球に形成できるデザートがもたらされる。このテクスチャーはより硬く、かつ濃密である;さじの印象はより滑らかであり、その際、よりクリーミーな外観をデザートに付与し(特にこれが1重量%未満の脂肪物質を含有する場合)、その色および味はさらにより強度である。
【0107】
乳組成物8から得られたデザートのみ、硬すぎて、空気混和を行わずに好適に球形にすることができない。
【0108】
<実施例4 本発明によるデザートの栄養価>
以下の表1は、デザート1〜10について算出された栄養価を一緒にまとめる。
【表1】

【0109】
この表から明らかなとおり、デザート10は特に低いカロリー含量を有し、かつその極めて空気混和された特性を考慮すれば、それぞれ9.1KCalを含有するにすぎない35gの大きな球を得ることが可能になる。
【0110】
<実施例5 冷凍デザート中の生きた発酵体の計数>
実施例8の乳組成物は、冷凍前、2.2×108CFU/gの細菌含量を有し、これは発酵から得られた乳酸菌に相当する。
【0111】
実施例1に記載した方法によりこれから得られたデザートの試料を取り、-18℃で再冷凍し、生存可能な乳酸菌叢を定量するために分析研究室に送った。5.6×107CFU/gが計数された。したがって、この冷凍デザートは、フランスの法規における生きた発酵体を含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)冷凍組成物を得るために、6重量%〜45重量%の乾物および発酵乳または未発酵乳とを含む工業用乳組成物を冷凍する段階であって、前記組成物がヨーグルトならびに果実ピューレおよび/または果汁とを共には含まない段階、
(b)場合により、前記冷凍組成物を-15℃〜-25℃または-15℃〜-30℃の中心温度にする段階、
(c)前記冷凍組成物を、粉砕手段および場合により空気混和手段を備えた装置中に配置する段階、ならびに
(d)前記冷凍組成物に、前記粉砕手段および場合により前記空気混和手段を用いてテクスチャー付与する段階
からなる連続的段階を含む、冷凍デザートの製造方法。
【請求項2】
前記乳組成物中に含有される乾物の量が、該組成物の総重量に対して10重量%〜45重量%、より好ましくは10重量%〜35重量%、さらに好ましくは10重量%〜28重量%、特に10重量%〜24重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乳組成物中に含有される乳が、少なくとも部分的に、好ましくはヨーグルトの形態の発酵乳からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乳組成物が、(a)ストレプトコッカス・サーモフィルス、(b)ラクトバシラス・デルブルッキー・ブルガリクス、(c)ビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス、(d)ラクトバシラス・カゼイ、(e)ラクトバシラス・プランタラム、(f)ラクトバシラス・アシドフィルスおよびこれらの混合物から選択される細菌を、1g当たり少なくとも105個、好ましくは少なくとも106個、さらに少なくとも107個含有することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記乳組成物が未発酵クリームを含まないことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記乳組成物が、片および/または果汁および/またはピューレの形態で果実を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記乳組成物が、該組成物の総重量に対して5重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜20重量%の果実を果実当量として含有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記乳組成物が、155KCal/100g以下、好ましくは130KCal/100g未満、より好ましくは100KCal/100g未満、さらに75KCal/100g未満、さらに45KCal/100g以下で、かつ好ましくは20KCal/100gより大きいエネルギー価を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記乳組成物が、該組成物の総重量に対して
0重量%〜7重量%、例えば0.1重量%〜7重量%、より好ましくは0.1重量%〜4重量%、さらに0.1重量%〜3.5重量%、さらに0.1重量%〜1重量%の脂肪物質、および/または
0.5重量%〜7重量%、好ましくは2重量%〜5重量%のタンパク質、および/または
35重量%未満、好ましくは25重量%未満で、かつ好ましくは3重量%を超える炭水化物
を含有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記粉砕手段が、回転刃を備え、前記刃の面に対して垂直で、長手方向に移動するように構成される軸の端部に取り付けられる粉砕部品を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記装置がさらに、長手方向移動速度に対する刃の回転速度の比を変動させる手段を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
回転刃を備え、固定された軸の端部に取り付けられた粉砕要素を前記粉砕手段が含み、ポットが前記刃の面に対して垂直で長手方向に移動するように構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記冷凍デザートに、場合により空気混和によりテクスチャー付与する2つの段階を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
テクスチャー付与を大気圧で実施することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法により得ることができる冷凍デザート。

【公表番号】特表2009−528045(P2009−528045A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556865(P2008−556865)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000340
【国際公開番号】WO2007/099419
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504310401)
【Fターム(参考)】