説明

冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカン

【課題】年間を通じてミカンを食したいというニーズに応えることができる冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカンを提供する。
【解決手段】ピン6が設けられた板7の上でミカン2を転がすことによって、ミカン2の外皮1に内皮3を貫通する小孔4を形成する。次に、小孔4が設けられた状態のミカン2を冷凍処理し、その表面のみを解凍し、解凍された外皮1を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカンに関する。詳しくは、長期間にわたって品質を保持することが可能な冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカンに係るものである。
【背景技術】
【0002】
ミカンは古くから食されている果物の1つであり、ミカンに関する多様なニーズに応じるべく様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、生ゴミを生じない様にするために、「外皮が除去されると共に内皮に包まれた粒を有するミカンの全体が被覆膜で被覆された包装ミカンであって、被覆膜がミカンの内皮に付着した被覆膜形成液体が硬化して形成されると共に、被覆膜がミカンの内皮より剥離可能に構成された包装ミカン」についての記載がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4370344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ミカンは本来的に季節商品である。例えば、温州ミカンを例に挙げると、通常は10月〜1月頃に収穫されるために、3月下旬頃までの季節商品である。
具体的には、10月〜1月頃に収穫され、冷蔵保管しながら市場に供給することとなるのであるが、冷蔵保管の限界があり、3月下旬頃までしか市場に供給することができないのである。
【0006】
その一方で、一年中ミカンを食したいというニーズが現に認められる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、年間を通じてミカンを食したいというニーズに応えることができる冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の冷凍ミカンの製造方法は、ミカンの内皮に小孔を形成する工程と、小孔が設けられた内皮に包まれた粒を有するミカンを冷凍する工程とを備える。
【0009】
ここで、ミカンの内皮に小孔を形成し、その後に冷凍することによって、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することを抑制できる。
即ち、ミカンの内皮に小孔を形成することなく冷凍した場合には、冷凍時の体積膨張で内皮が破損し、ひび割れを生じた状態で冷凍されることとなる。そのため、冷凍することによって品質面における長期保管は可能となるものの、ひび割れが生じており、商品としては魅力が半減してしまい、結果的に商品として提供することができなくなってしまう。これに対して、ミカンの内皮に小孔を形成して冷凍した場合には、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することなく、ひび割れが生じることもないために、商品としての魅力を保ちつつ、長期保管が可能となる。
【0010】
また、本発明の冷凍ミカンの製造方法は、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成する工程と、小孔が設けられた外皮を有するミカンを冷凍する工程とを備える。
【0011】
ここで、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成し、その後冷凍することによって、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することを抑制できる。
即ち、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成することなく冷凍した場合(小孔を形成しない場合及び外皮のみに小孔を形成する場合の双方を含む)には、冷凍時の体積膨張で内皮及び外皮が破損し、ひび割れを生じた状態で冷凍されることとなる。そのため、冷凍することによって品質面における長期保管は可能となるものの、ひび割れが生じており、商品としては魅力が半減してしまい、結果的に商品として提供することができなくなってしまう。これに対して、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成し、その後に冷凍した場合には、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することなく、ひび割れが生じることもないために、商品としての魅力を保ちつつ、長期保管が可能となる。
【0012】
また、外皮を有する状態で小孔を形成することによって、小孔を形成する際に内皮が破損することを抑制できる。
即ち、外皮を除去した状態で内皮に小孔を形成しようとすると、小孔の形成時に内皮を破損してしまうことが考えられ、内皮を破損してしまった場合には、商品としての魅力が半減してしまう。これに対して、外皮を有する状態、換言すると、外皮を除去する前の状態で小孔を形成する場合には、外皮が存在するが故に内皮の破損を抑制でき、商品としての魅力を低減し難くなるのである。
【0013】
更に、内皮に包まれた粒の全てに小孔を形成することによって、より一層充分に内皮の破損を抑制することができる。即ち、冷凍時に必ずしも全ての粒が破損するとも限らないものの、冷凍前に破損する粒の特定を行うことができないために、内皮に包まれた粒の全てに小孔を形成することで、より一層充分に内皮の破損を抑制することができるのである。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の冷凍ミカンは、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔が形成された後に冷凍されている。
【0015】
また、本発明の冷凍ミカンは、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔が形成された後に冷凍され、その表面のみが解凍されて外皮が除去されている。
【0016】
ここで、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔が形成された後に冷凍されたことによって、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することを抑制できる。
即ち、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成することなく冷凍した場合には、冷凍時の体積膨張で内皮及び外皮が破損し、ひび割れを生じた状態で冷凍されることとなる。そのため、冷凍することによって品質面における長期保管は可能となるものの、ひび割れが生じており、商品としては魅力が半減してしまい、結果的に商品として提供することができなくなってしまう。これに対して、ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成し、その後に冷凍した場合には、冷凍時の体積膨張で内皮が破損することなく、ひび割れが生じることもないために、商品としての魅力を保ちつつ、長期保管が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷凍ミカンの製造方法及び冷凍ミカンでは、冷凍によって内皮が破損しないために、商品としての魅力を保ちつつ、長期保管が可能となり、年間を通してミカンを食したいというニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の一例である第1の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の一例である第1の実施の形態の製造工程を説明するための模式図である。
【図3】第1の実施の形態の変形例を説明するための模式図である。
【図4】本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の他の一例である第2の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の更に他の一例である第3の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態の製造工程で得られる包装ミカン(冷凍ミカン)の一例を説明するための模式図である。
【図7】被覆膜の剥離方法を説明するための模式図である。
【図8】変形例(1)を説明するための模式図である。
【図9】変形例(2)を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0020】
<1.第1の実施の形態>
図1は本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の一例である第1の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【0021】
本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法(第1の実施の形態)では、先ず、収穫したミカンの洗浄を行い、洗浄後に小孔を形成する。
具体的には、図2(a)で示す様に、外皮1を有するミカン2に対して、内皮3を貫通する様な小孔4を横方向に一周形成する。
【0022】
小孔4の形成方法の一例としては、図2(b)で示す様に、ピン6が取り付けられた板7の上にミカン2を転がすといった方法が考えられる。
【0023】
内皮3に形成する小孔4は、後述する冷凍処理の際にミカンの水分(果汁)を外部に逃がすことができれば充分であり、果汁を外部に逃がすことができる程度の径(例えば、1mm未満の径)であれば充分である。
【0024】
ここで、内皮3に包まれた全ての粒に小孔4を形成すべく、本実施の形態では、小孔4を横方向に一周形成している。但し、全ての粒に小孔4を形成しなくても、冷凍時の内皮の破損を抑制することができる場合には、一部の粒のみに小孔4を形成しても良い。しかしながら、より一層充分に冷凍時の内皮の破損を抑制するためには、全ての粒に小孔4を形成すべく、横方向に一周形成する方が好ましい。
【0025】
なお、全ての粒に小孔4を形成することができれば、必ずしも横方向に小孔4を一周形成する必要はなく、図3(a)で示す様に、段違いで半周ずつの小孔4を形成しても良いし、図3(b)で示す様に、小孔4を分散して形成しても良い。
【0026】
次に、小孔4を形成したミカン2を袋詰めにした状態で、冷凍処理を行う。
具体的には、例えば、―38℃程度で25分程度急冷し、その後、−20℃程度で保管を行う。なお、ここで示す冷凍処理の温度条件及び時間条件はあくまで一例であり、本発明がこうした冷凍条件に限定されるものではないことは勿論である。
【0027】
本実施の形態において、極めて低温度(例えば−38℃)で急冷し、その後に低温(例えば−20℃)で保管しているのは、ミカンを一気に冷凍することで細胞が傷みにくく、味を保つことができるためである。但し、必ずしもこうした2段階の冷凍処理をしなければならないというものではない。
【0028】
ここで、ミカンを冷凍処理することによって、1年以上にわたって品質を保持することが可能であり、10月〜1月といった限られた時期に収穫されたミカンを年間を通して保管することができ、結果として、年間を通してミカンを市場に提供することができることとなる。
【0029】
また、冷凍処理の際には、ミカンの果汁が内皮3に形成した小孔4から外部に逃げることができ、冷凍処理の際に内皮3が破損することがない。なお、内皮3から外部に逃げた果汁は、内皮3と外皮1との間隙で冷凍されることとなる(図2(c)参照)。なお、図2(c)中符号5は冷凍された果汁を示している。
【0030】
こうした状態で一定期間の冷凍保存を行い、出荷タイミングに応じて、外皮の除去作業を行う。
具体的には、冷凍されたミカン(冷凍ミカン)の表面のみを適宜方法(例えば、自然解凍、お湯をかける、スチームを当てる等)で解凍し、表面のみが解凍された状態で外皮1の除去を行う(図2(d)参照)。
【0031】
ここで、図2(b)に示す様に、内皮3から外部に逃げた果汁が内皮3と外皮1との間隙で冷凍されており、この冷凍された果汁の存在によって、外皮1は極めて容易に除去することができる。
【0032】
また、外皮1を除去する際には、冷凍された果汁と共にミカンの白い筋(維管束)をも同時に除去することができる。
【0033】
続いて、商品として充分であるか否かの単品検査を行い、商品毎の個別包装を行う。その後、出荷までの間冷凍保管(出荷冷凍)され、出荷に至ることとなる。
【0034】
この様な工程を経ることによって、「外皮1が除去された状態の冷凍ミカン」を年間を通して市場に供給することが可能となる。
【0035】
<2.第2の実施の形態>
図4は本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の他の一例である第2の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【0036】
本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法(第2の実施の形態)では、先ず、収穫したミカンの洗浄を行い、洗浄後に小孔4を形成する。
具体的な小孔の形成方法は、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0037】
次に、小孔4を形成したミカン2を袋詰めにした状態で、冷凍処理を行う。
具体的な冷凍処理については、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0038】
こうした状態で一定期間の冷凍保存を行い、出荷タイミングに応じて商品として充分であるか否かの単品検査を行い、商品毎の個別包装を行う。その後、出荷までの間冷凍保管(出荷冷凍)され、出荷に至ることとなる。
【0039】
この様な工程を経ることによって、「外皮1を有する状態の冷凍ミカン」を年間を通して市場に供給することが可能となる。
【0040】
<3.第3の実施の形態>
図5は本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の更に他の一例である第3の実施の形態の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【0041】
本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法(第3の実施の形態)では、先ず、収穫したミカンの洗浄を行い、洗浄後に外皮1の除去を行う。
【0042】
次に、図3(c)で示す様に、外皮1が除去されたミカン2に対して、小孔4を横方向に一周形成する。
【0043】
ここで、内皮3に形成する小孔4が、果汁を外部に逃がすことができる程度の径(例えば、1mm未満の径)であれば充分である点は上記した第1の実施の形態と同様である。
【0044】
また、内皮3に包まれた全ての粒に小孔4を形成すべく、本実施の形態では、小孔4を横方向に一周形成しているが、一部の粒のみに小孔4を形成しても良い点については、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0045】
更には、全ての粒に小孔4を形成するにあたって、必ずしも横方向に小孔4を一周形成する必要はなく、段違いで半周ずつの小孔4を形成しても良いし、小孔4を分散して形成しても良い点についても、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0046】
続いて、小孔4を形成したミカン2を袋詰めにした状態で、冷凍処理を行う。
具体的は冷凍処理については、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0047】
ここで、ミカンを冷凍処理することによって、1年以上にわたって品質を保持することが可能であり、10月〜1月といった限られた時期に収穫されたミカンを年間を通して保管することができ、結果として、年間を通してミカンを市場に供給することができることとなる。
【0048】
また、冷凍処理の際には、ミカンの果汁が内皮3に形成した小孔4から外部に逃げることができ、冷凍処理の際に内皮3が破損することがない。
【0049】
こうした状態で一定期間の冷凍保存を行い、出荷タイミングに応じて商品として充分であるか否かの単品検査を行い、商品毎の個別包装を行う。その後、出荷までの間冷凍保管(出荷冷凍)され、出荷に至ることとなる。
【0050】
この様な工程を経ることによって、「外皮1が除去された状態の冷凍ミカン」を年間を通して市場に供給することが可能となる。
【0051】
図6は上記した本発明を適用した冷凍ミカンの製造方法の一例(第1の実施の形態)で得られる包装ミカン(冷凍ミカン)を説明するための模式図であり、ここで示す包装ミカン11は、外皮が除去されていると共にうす皮(内皮)12に包まれた粒13からなるミカン本体14と、ミカン本体14を被覆する被覆膜15とから構成されている。なお、図6〜図9については図示の便宜上、小孔4は省略している。
【0052】
ここで、被覆膜15は熱収縮性のフィルムから構成されると共に、ミカン本体14から剥離可能に構成されており、ミカン本体14の包装材としての役割を果たしている。
【0053】
なお、ミカン本体14から被覆膜15を取り外す(剥離する)場合には、被覆膜15の摘み部16を指で挟んで図中符号Aで示す方向に力を加えることによって(図7(a)参照)、被覆膜15の一面側を2つに分離した状態とし(図7(b)参照)、被覆膜15の一面を分離することにより生じた間隙17からミカン本体14を取り出す(図7(c)参照)。
【0054】
ここでは、被覆膜15に摘み部16が設けられた場合を例に挙げて説明を行っているが、被覆膜15をミカン本体14から剥離することができれば充分であり、必ずしも摘み部16が形成される必要はない。
但し、被覆膜15のミカン本体14からの剥離の容易性を考慮すると、摘み部16が形成された方が好ましい。
【0055】
図8(a)は第1の実施の形態で得られる包装ミカン(冷凍ミカン)の変形例(1)を説明するための模式図であり、ここで示す包装ミカン11は、外皮が除去されていると共にうす皮(内皮)12に包まれた粒13からなるミカン本体14と、ミカン本体14のうす皮12に密着してミカン本体14を被覆する被覆膜15と、被覆膜15に一部が埋め込まれていると共に他の部分が外側へ露出した紐18とから構成されている。
【0056】
ここで、被覆膜15は熱収縮製のフィルムから構成されると共に、ミカン本体14(具体的には、うす皮12)から剥離可能に構成されており、ミカン本体14の包装材としての役割を果たしている。
なお、紐18は、ミカン本体14の品質に悪影響を及ぼさないものであれば、どの様な素材であっても構わない。
【0057】
ところで、ミカン本体14のうす皮12から被覆膜15を取り外す(剥離する)場合には、先ず、紐18の露出した部分を指で摘んで紐18を被覆膜15から引き離すことによって、被覆膜15を2つに分離した状態とする(図8(b)参照)。
【0058】
ここで、紐18を被覆膜15から引き離した後に、被覆膜15を取り外しやすくするために被覆膜15に穴を開けることができれば、被覆膜15に埋め込まれる紐18の長さはどの様な長さでも良く、例えば、ミカン本体14の一周分に相当する長さでも良いし、ミカン本体14の半周分に相当する長さでも良い。
【0059】
その後、2つに分離した被覆膜15をミカン本体14から分離する(図8(c)参照)。
【0060】
ここで、変形例(1)では、被覆膜15に紐18が埋め込まれた場合を例に挙げて説明を行っているが、被覆膜15をミカン本体14から剥離することができれば充分であり、必ずしも紐18を被覆膜15に埋め込む必要はない。
但し、被覆膜15のミカン本体14からの剥離の容易性を考慮すると、紐18が被覆膜15に埋め込まれた方が好ましい。
【0061】
図9(a)は第1の実施の形態で得られる包装ミカン(冷凍ミカン)の変形例(2)を説明するための模式図であり、ここで示す包装ミカン11は、外皮が除去されていると共にうす皮(内皮)12に包まれた粒13からなるミカン本体14と、ミカン本体14のうす皮12に密着してミカン本体14を被覆する被覆膜15とから構成されている。なお、うす皮12及び粒13については、図8と同様であるために、図9では図示を省略している。
【0062】
また、被覆膜15には葉っぱの形状を模した部材の一端が接着剤(図示せず)を用いて接着されており、この部材の他端が摘み部16として機能することとなる。
【0063】
ここで、被覆膜15は熱収縮製のフィルムから構成されると共に、ミカン本体14(具体的には、うす皮12)から剥離可能に構成されており、ミカン本体14の包装材としての機能を果たしている。
【0064】
なお、ミカン本体14のうす皮12から被覆膜15を取り外す(剥離する)場合には、被覆膜15に接着された摘み部16を指で挟んで力を加え、被覆膜15を2つに分離した状態としてミカン本体14を取り出す(図9(b)参照)。
【0065】
ここで、変形例(2)では、被覆膜15に摘み部16が設けられた場合を例に挙げて説明を行っているが、被覆膜15をミカン本体14から剥離することができれば充分であり、必ずしも摘み部16が形成される必要は無い。
但し、被覆膜15のミカン本体14からの剥離の容易性を考慮すると、摘み部16が形成された方が好ましい。
【0066】
上記した第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、内皮13に小孔14を形成した状態で冷凍処理を行っているために、冷凍処理の際に内皮13が破損することなく、商品としての魅力が半減することがない。
【0067】
ここで、参考図1に小孔14を形成することなく冷凍処理(―38℃程度で25分程度急冷し、その後、−20℃程度で保管)を行った場合のミカンの状態を示し、参考図2には参考図1のミカンの外皮を除去した状態を示している。一方、参考図3に小孔14を形成して冷凍処理(―38℃程度で25分程度急冷し、その後、−20℃程度で保管)を行った場合のミカンの状態を示し、参考図4には参考図3のミカンの外皮を除去した状態を示している。
【0068】
参考図1〜参考図4から明らかな様に、内皮13に小孔14を形成した状態で冷凍処理を行うことによって、外皮及び内皮が破損することはない。また、参考図2及び参考図4から明らかな様に、ミカンの白い筋(維管束)も容易に除去することができている。
【0069】
また、冷凍することによって、品質を保持した状態で長期間の保管が可能となり、年間を通じてミカンを市場に供給することができ、年間を通じてミカンを食したいというニーズに応えることができる。
【0070】
更に、長期間の保管が可能となったことによって、廃棄されるミカンが激減することが期待できる。即ち、冷蔵では品質を保持した状態での長期間の保管ができなかったために、従前は大量のミカンが廃棄されていたのであるが、本発明を適用することによって、こうした廃棄されるミカンが激減することが期待できる。
【符号の説明】
【0071】
1 外皮
2 ミカン
3 内皮
4 小孔
5 冷凍された果汁
6 ピン
7 板
11 包装ミカン
12 うす皮
13 粒
14 ミカン本体
15 被覆膜
16 摘み部
17 間隙
18 紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミカンの内皮に小孔を形成する工程と、
小孔が設けられた内皮に包まれた粒を有するミカンを冷凍する工程とを備える
冷凍ミカンの製造方法。
【請求項2】
ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔を形成する工程と、
小孔が設けられた外皮を有するミカンを冷凍する工程とを備える
冷凍ミカンの製造方法。
【請求項3】
冷凍されたミカンの表面のみを解凍し、外皮を除去する工程を備える
請求項2に記載の冷凍ミカンの製造方法。
【請求項4】
内皮に包まれた粒の全てに小孔を形成する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の冷凍ミカンの製造方法。
【請求項5】
ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔が形成された後に冷凍された
冷凍ミカン。
【請求項6】
ミカンの外皮に内皮を貫通する小孔が形成された後に冷凍され、その表面のみが解凍されて外皮が除去された
冷凍ミカン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−130700(P2011−130700A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292331(P2009−292331)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(592095734)株式会社八ちゃん堂 (12)
【Fターム(参考)】