説明

冷凍炒飯の製造方法

【課題】効率のよいバラ凍結を可能とし、かつパラっとした食感を有する冷凍炒飯の製造方法を提供する。
【解決手段】炒め米飯を準備する工程、炒飯用の炒め具材を準備する工程、前記炒め米飯および炒め具材を、別個に凍結する凍結工程、ならびに前記凍結された炒め米飯および炒め具材を解砕しながら混合する解砕混合工程、を含む、冷凍炒飯の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍炒飯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍炒飯は、通常、食品をバラバラの状態で凍結する、いわゆるバラ凍結して梱包され市販されている。従来、炒飯を効率よくバラ凍結するために種々の提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1および2には、炒飯をコンベアの上流側に供給し、当該コンベアを上流側から複数の冷凍区域に区分し、それぞれの冷凍区域でほぐしながら凍結する方法が記載されている。また特許文献3には、水に浸漬した米を蒸し上げて澱粉をα化し、当該米を調味料や具材等とともに釜で炊き上げ、必要に応じて焼くことにより得た調理米飯をバラ凍結する方法が記載されている。米を蒸し上げて澱粉をα化する工程により、調理後の米がべたつかずバラ凍結しやすいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4251514号
【特許文献2】特許第4623736号
【特許文献3】特開2000−139376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは予備的に特許文献1〜3に記載の方法を検討した。その結果、これらの方法では効率のよいバラ凍結を行なうこと、さらにはパラっとした食感の炒飯を得ることは困難であるとの知見を得た。よって本発明は、効率のよいバラ凍結を可能とし、かつパラっとした食感を有する冷凍炒飯の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、特許文献1〜3に記載の方法で満足の行く結果が得られなかった原因は、米飯と具材とを一緒に凍結することにあるのではないかとの着想を得た。そこで鋭意検討の結果、発明者らは、炒め米飯と炒め具材を別々に凍結した後、解砕混合することにより前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、前記課題は以下の本発明:
炒め米飯を準備する工程、炒め具材を準備する工程、前記炒め米飯および炒め具材を、別個に凍結する凍結工程、ならびに前記凍結された炒め米飯および炒め具材を解砕しながら混合する解砕混合工程を含む冷凍炒飯の製造方法、により解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、効率のよいバラ凍結を可能とし、かつパラっとした食感を有する冷凍炒飯の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の工程図
【図2】本発明の概要を示す図
【図3】本発明のバラ凍結冷凍炒飯を示す図
【図4】櫛歯型解砕機の概要を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を説明する。本明細書において「〜」は両端の値を含む。
【0011】
1.製造方法
本発明の製造方法は、炒め米飯を準備する工程、炒飯用の具材と調味料とを炒めてなる炒め具材を準備する工程、前記炒め米飯および炒め具材を、別個に凍結する凍結工程、ならびに前記凍結された炒め米飯および炒め具材を解砕しながら混合する解砕混合工程を含む。図1に本発明の製造方法の概要を示す。
【0012】
1−1.炒め米飯準備工程
本工程では炒め米飯を準備する。炒め米飯とは、食用油脂で炒められた米飯であり、必要に応じて調味料や炒り卵を含む。
【0013】
(1)米飯
米飯とは炊飯された米または蒸煮された米をいう。米とは通常はうるち米である。炊飯または蒸煮の方法は定法のとおりとしてよい。
【0014】
(2)食用油脂
食用油脂とは脂肪酸とグリセリンとのエステルであって食用のものをいう。その好ましい例には、植物油および動物脂が含まれる。植物油の具体例にはサラダ油、大豆油、オリーブ油等が、動物脂の具体例には、ラード、バター等が含まれる。本発明においては、軽い食感を与えるため植物油がより好ましい。食用油脂の量は、米飯100質量部に対し0.5〜5質量部が好ましい。
【0015】
(3)調味料
調味料とは料理の味付けのために添加される食材であり、その例には、塩、醤油、コショウ、ポークエキス等が含まれる。調味料の量は、米飯100質量部に対し1〜15質量部が好ましい。
【0016】
(4)炒り卵
炒り卵とは炒められた卵である。本発明においては、炒り卵は卵液を炒めて得ることが好ましい。卵液とは生卵液を含む液であり、食用油脂、前述の調味料、糖類、酸味料、および乳化剤を含んでいてもよい。このような卵液は例えば特許第4522911号に記載されている。
【0017】
本発明においては、水蒸気を除去しながら米飯を炒めることにより、パラッとした食感の炒飯が得られるが、炒め米飯が炒り卵を含む場合には、炒り卵は米飯を被覆するように存在することが特に好ましい。調味料を含んだ炒め米飯同士は密着しやすいので、一旦冷凍した後の解砕が困難となる場合があるが、このように炒り卵が炒め米飯を被覆していると、炒め米飯同士が接触して存在することを避けられるので冷凍後の解砕が容易になる。炒り卵の量は、米飯100質量部に対し5〜30質量部が好ましい。
【0018】
(5)装置
本工程は、加熱手段を備え中心線が略水平となるように設置された両端が開放された円筒体内と、当該円筒体内から水蒸気を除去する手段とを備える装置を用いて実施することが好ましい。当該装置の詳細は特開2011−45288号公報に記載されている。図2に本発明の製造方法の概要を示す。図2中、1は炒め米飯準備工程であり、12は内部に撹拌装置を備えた円筒体であり、aは炒め米飯である。円筒体は中心線を回転軸として回転できる。また、図示していないが、円筒体内から水蒸気を除去する手段は円筒体の一方の端に配置された送風手段および他方の端に配置された排気手段であることが好ましい。炒める際の加熱温度は200〜270℃が好ましい。
【0019】
当該円筒体内に米飯を供給して円筒体内から水蒸気を除去しながら炒めることで、米飯からの水分が除去でき、パラっとした食感の炒め米飯aが得られる。この際、米飯と食用油脂と調味料とを予め混合してから円筒体内に供給することが好ましい。このことにより、炒める際に装置に米飯が焦げ付きにくくなり、さらには均一な味付けも可能となる。
【0020】
また、炒め米飯が炒り卵を含む場合は、卵液を前記装置の円筒体内に供給して炒めて半熟状にし、当該半熟状の卵液状に接するように米飯を供給して炒めることにより、当該米飯を卵で被覆することが好ましい。具体的には、卵液を炒めて得た半熟状の卵液の中に米飯を供給することが好ましい。このようにすることで米飯の表面が、半熟状の卵液でまぶされるような状況が生じ、米飯が卵で被覆される。
【0021】
前記装置を用いる場合、炒め米飯aはバッチ式で製造してもよいし、連続式で製造してもよい。バッチ式とは、一定量の米飯および必要に応じて卵液を炒めた後に円筒体内から炒め米飯aを取り出す方法である。連続式とは、一定量の米飯および必要に応じて卵液を円筒体の一方の開放端から連続的に円筒体内へ供給し、炒め米飯aを円筒体の他方の開放端から連続的に取り出す方法である。作業効率の観点から、本発明においては連続式が好ましい。
【0022】
1−2.炒め具材を準備する工程
本工程では炒め具材を準備する。炒め具材とは、食用油脂で炒められた具材であり、通常、調味料を含む。
【0023】
(1)具材
具材とは米飯以外の食材である。具材は、通常炒飯に用いられるものであれば限定されないが、その好ましい例には、にんじん等の野菜や、焼き豚等の肉類、および海老等の魚介類が含まれる。
【0024】
(2)食用油脂、調味料
食用油脂および調味料は既に説明したとおりである。食用油脂および調味料の量は、具材100質量部に対して、それぞれ1〜15質量部、5〜20質量部が好ましい。
【0025】
(3)装置
本工程は任意の装置で行なってよいが、作業性等の観点から、図2に示すようにホットニーダー等のスクリューを備える加熱機を用いることが好ましい。図2中、2は炒め具材準備工程であり、22はスクリューを備える加熱機、bは炒め具材である。スクリューを備える加熱機とは、加熱手段を有するシリンダーと当該シリンダー内に保持された具材を搬送しうるスクリューとを備える装置である。スクリューの形状は、具材の大きさ等により適宜設定してよい。本工程は、通常、具材を炒める際に設定される温度で実施すればよい。しかしながら温度が過度に高いと具材が焦げるおそれがあるので、具材の温度を70〜100℃となるように実施することが好ましい。
【0026】
1−3.凍結工程
本工程では、前記工程で準備された炒め米飯aおよび炒め具材b(以下これらを「炒め食材」ということがある)を別々に凍結する。凍結にはフリーザー等の公知の装置を用いてよい。図2中、3は炒め米飯凍結工程、30はフリーザー、4は炒め具材凍結工程、40はフリーザーを示す。炒め米飯aおよび炒め具材bをそれぞれ、搬送手段14および24を用いて、フリーザー30および40に搬送して急速凍結することが好ましい。
【0027】
この際、炒め米飯を2〜30mm程度の厚みの板状にし、2〜5分程度で急速凍結することが好ましい。また炒め具材は重ねずに広げた状態で凍結機に入れ(2〜30mm程度の厚さ)、2〜10分程度で急速凍結することが好ましい。フリーザー30および40としては公知のものを使用できるが、冷却効率の観点から、本発明においては、スチールベルトに炒め食材を載置して、食材に冷風を吹き付けて凍結するタイプのフリーザーが好ましい。
【0028】
このように炒め米飯および炒め具材を急速冷凍すると、凍結において米粒および野菜等の細胞が破壊されにくくなり、細胞内の水分が漏れ出ることを最小とできる。この結果、凍結において炒め米飯同士、または炒め具材同士、および炒め米飯と炒め具材が過度に密着しにくくなるので、次工程において解砕が容易となる。
【0029】
また、米飯と具材を混合した後に炒め、その後にこれらの混合物を凍結する方法では、熱を持っている状態で炒め米飯と炒め具材とが接触することとなる。そのため、炒め具材に含まれる調味料または具材由来のエキスが炒め米飯に付着し、これらが凍結時に炒め米飯と炒め具材との密着性を高めるので、より解砕が困難となる。しかし本発明では、炒め米飯と炒め具材とが熱を持っている状態で接触させずに別個に凍結する。このため、凍結時に炒め米飯と炒め具材とが過度に密着することはない。よって、次工程において解砕が容易になり効率のよいバラ凍結が達成できる。
【0030】
1−4.解砕混合工程
本工程では、凍結された炒め米飯Aおよび炒め具材Bを解砕しつつ混合する。凍結された炒め米飯Aおよび炒め具材Bが混合されることにより冷凍炒飯が製造される。両者の混合質量比は、A:B=10:1〜10:5が好ましい。
【0031】
解砕混合は任意の方法で行なってよいが、本発明においては図2に示すように行なうことが好ましい。図2中、5は解砕混合工程であり、Aは凍結された炒め米飯、Bは凍結された炒め具材、50は解砕混合装置、Cは解砕混合されて得た冷凍炒飯である。解砕混合装置50は、シリンダーと当該シリンダー内に配置されたスクリューとを備えるニーダーであることが好ましい。ニーダーとは、スクリューにより生じる剪断力を物体に印加して、当該物体を混合、解砕する装置であり、押出機とも称される。本発明においては、1つのスクリューを備える1軸式のニーダーまたは2つのスクリューを備える2軸式のニーダーが使用できる。スクリューの形状、大きさ、回転数は凍結された炒め米飯A、凍結された炒め具材Bの量により適宜調整できる。
【0032】
前述のとおり、従来のバラ凍結冷凍炒飯の製造では米飯と具材を同時に炒めた後に一緒に凍結するので解砕が困難である。そのため、特許文献1の図1に示すような強力な剪断力を印加できる櫛歯型解砕機等を使用する必要がある。本願の図4に櫛歯型解砕機の一例を示す。図4中、6は櫛歯型解砕機、60は固定櫛、62は固定櫛歯、64は回転櫛、66は回転軸、68は当該軸から放射状に延びる回転櫛歯である。回転櫛64は固定櫛60と噛み合うように設置されている。凍結された炒飯塊を櫛歯の間に通す際に、強力な剪断が印加され、解砕される。このように強力な剪断力を印加する場合、米粒が破損すること(割れ米の発生)がある。
【0033】
しかし本発明では、凍結された炒め米飯Aは炒め米飯同士が過度に密着しておらず、凍結された炒め具材Bも炒め具材同士が過度に密着していない。このため、容易に解砕および混合が行なえ、比較的弱い剪断力を印加できかつ解砕混合効率に優れたニーダー等の装置を使用できる。よって本発明においては、解砕混合効率1〜2t/hを達成でき、バラ凍結された冷凍炒飯を効率よく製造できる。
【0034】
本解砕混合工程をより効率よく実施するために、本解砕混合工程の前に、凍結された炒め米飯Aおよび凍結された炒め具材Bを予備的に解砕する工程を設けてもよい。特に凍結された炒め具材Bは、使用する具材や調味液等の種類によっては解砕が困難な場合がある。この場合には、図4に示す解砕機を使用して、凍結された炒め具材Bを予備的に解砕することが好ましい。
【0035】
さらに、解砕混合工程においては、加熱していない刻み長葱を添加してもよい。加熱していない刻み長葱を混合することで、優れた葱の香りと食感を有する炒飯を製造できる。
【0036】
1−5.計量および包装工程
このようにして得られた冷凍炒飯は、適切な分量に計量された後、包装されて商品形態とされる。
【0037】
2.冷凍炒飯
本製造方法で得られた冷凍炒飯はパラっとした食感を有する。パラっとした食感とは、冷凍炒飯を喫食できるように加熱した後、60℃程度にして口に含んだ際に、口の中で速やかにほぐれる食感をいう。
【0038】
また、本製造方法で得られた冷凍炒飯は、解砕工程において米飯が割れて生成するいわゆる割れ米の発生率が極めて少ない。その結果、喫食時に米粒をしっかり認識でき、食べ応えのある炒飯となる。
【0039】
さらに本発明においては、熱を持っている状態で炒め米飯と炒め具材とが接触しないので、炒め米飯の味と具材の味とが過度に混じらず、口に含んだときにそれぞれの食材の独自の味を味わうことができる。その結果、食用油脂がよくなじんだ米粒を味わうことができ、満足感の高い炒飯となる。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
定法によりうるち米を炊飯し米飯を準備した。この米飯100質量部に対して、調味料5質量部、食用油脂として植物油を1.5質量部添加して、撹拌して混合した。また、生の鶏卵を撹拌して卵液を得た。
【0041】
特開2011−45288号公報に記載されているような、加熱手段を備え中心線が略水平となるように設置された両端が開放された円筒体内と、当該円筒体内から水蒸気を除去する手段とを備える装置を準備し210〜230℃に円筒体を加熱した。当該円筒体内に卵液7質量部を供給し炒めた。卵液が半熟状になったところで、卵液の中に前記調味料および食用油脂を含む米飯100質量部を供給して炒めた。炒める際には、特開2011−45288号公報の実施例1に記載された方法と同様に、円筒体の一方の端に送風機、他方の端に排気機を設置し、円筒体内から水蒸気を除去した。このようにして得た炒め米飯を、厚さ20mm、幅200mm、長さ500cm程度の帯状に成形してスチールベルトに載置し、ベルトの上下から−35℃の冷風を当てて凍結した。凍結に要した時間は2分30秒であった。
【0042】
一方、炒め米飯の製造と並行して、野菜5質量部、味付け焼豚10質量部、および食用油脂1.5質量部を、ホットニーダーに装入し、具材温度が80℃となるように加熱して炒めた。このようにして得た炒め具材を、重ならないように一層でスチールベルトに載置し、ベルトの上下から−35℃の冷風を当てて凍結した。凍結に要した時間は7分であった。凍結後の炒め具材を、解砕機で予め軽く解砕した。
【0043】
凍結した炒め米飯と、凍結後軽く解砕した炒め具材とを解砕混合機(図2に示すような2軸式のニーダー)を用いて、解砕混合した。解砕混合は容易に行うことができ、その効率は約1.5t/hであった。このようにしてバラ凍結冷凍炒飯を得た。バラ凍結冷凍炒飯は、米粒および具材がほぼ独立して凍結されていた(図3)。凍結した炒め米飯と凍結した炒め具材との混合質量比は、10:3であった。
【0044】
電子レンジ(株式会社三洋電気製、型式EMO−C16A)を用いて当該冷凍炒飯250gを600Wで3.5分間加熱し、調理済み炒飯を得た。調理済み炒飯について割れ米の量および食感を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
割れ米の量は目視により評価し、食感は次のように評価した。まず、米飯関係の開発に専ら従事しているパネラー3名に、通常の温かい米飯(対照米飯)を試食させてべとつき感を理解させた。次に実施例1と同じ配合の食材を一般の中華鍋を用いて通常の方法で炒めて得た炒飯(対照炒飯)を準備した。このできたての対照炒飯をパネラーに試食させて、パラっとしている感じを理解させた。続いて、本例にて製造した炒飯をパネラーに試食させ、対照米飯および対照炒飯の食感を基準として、各実施例で得た炒飯の食感を評価した。具体的基準は以下のとおりである。
【0046】
○ :バラっとしており、米粒と油のなじみがよい(対象炒飯と同等)
△ :バラっとしているが、米粒と油のなじみが悪い
× :べとつき感があり、炒飯にだまが見られる
各パネラーの評価を平均して、最終的な評価とした。上記基準のうち、○が実用的なレベルである。
【0047】
[比較例1]
実施例1と同様にして炒め米飯と炒め具材を準備した。これらをボウルに入れて混合し、この混合物をフローフリーザーにて凍結した。当該フリーザーは、メッシュ状の搬送体に炒飯を載置し、下から冷風を当てて炒飯を凍結するタイプであった。このようにして厚さ20mm、幅200mm、長さ500cm程度の板状に凍結された炒飯を得た。凍結には40分を要した。
【0048】
板状に凍結された炒飯を遠心力を用いて砕くタイプの解砕機で実施例1と同等のレベルにまで解砕した。その効率は1t/hであった。得られたバラ凍結炒飯を実施例1と同様にして加熱調理し、評価した。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例2]
実施例1と同じ米飯を準備し、当該米飯に、具材として野菜5質量部および炒り卵7質量部、調味料5質量部、食用油脂として植物油を1.5質量部添加して、撹拌して混合し、混合物を得た。実施例1で用いた装置を準備し、当該混合物を210〜230℃で加熱して炒めた。炒める際には、実施例と同様にして円筒体内から水蒸気を除去した。
【0050】
このようにして得た炒飯を、実施例1と同様にして凍結して厚さ20mm、幅200mm、長さ500cm程度の板状に凍結された炒飯を得た。凍結には3分を要した。
【0051】
次いで板状に凍結された炒飯を、解砕機を用いて実施例1と同等のレベルにまで解砕した。その効率は1t/hであった。得られたバラ凍結炒飯を実施例1と同様にして加熱調理し、評価した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
以上、本発明により、パラっとした食感のバラ凍結冷凍炒飯が効率よく得られることが明らかである。また、本発明で得た炒飯は、油と米飯とがよくなじんでおり、かつ米粒と具材の異なる味付けを感じることができ、満足感の高い炒飯である。
【符号の説明】
【0054】
1 炒め米飯準備工程
12 円筒体
14 搬送手段
2 炒め具材準備工程
22 スクリューを備える加熱機
24 搬送手段
3 炒め米飯凍結工程
30 フリーザー
4 炒め具材凍結工程
40 フリーザー
5 解砕混合工程
50 解砕混合装置
6 櫛歯型解砕機
60 固定櫛
62 固定櫛の櫛歯
64 回転櫛
66 回転軸
68 回転櫛歯
a 炒め米飯
b 炒め具材
A 凍結された炒め米飯
B 凍結された炒め具材
C 冷凍炒飯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炒め米飯を準備する工程、
炒め具材を準備する工程、
前記炒め米飯および炒め具材を、別個に凍結する凍結工程、ならびに
前記凍結された炒め米飯および炒め具材を解砕しながら混合する解砕混合工程、
を含む、冷凍炒飯の製造方法。
【請求項2】
前記炒め米飯が、炒り卵を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記炒め米飯を準備する工程が、
調味料が混合された米飯を準備する工程、および
前記米飯を、加熱手段を備え中心線が略水平となるように設置された両端が開放された円筒体内に供給して炒めるとともに、前記円筒体内から水蒸気を除去する工程、
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記炒り卵を含む炒め米飯を準備する工程が、
調味料が混合された米飯と、卵液と、を準備する工程、
前記卵液を、加熱手段を備え中心線が略水平となるように設置された両端が開放された円筒体内に供給して炒めて半熟状にし、当該半熟状の卵液と接するように前記米飯を供給して炒めて当該米飯を卵で被覆する工程、
を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記解砕混合工程を、シリンダーと当該シリンダー内に配置されたスクリューとを備えるニーダーを用いて実施する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244926(P2012−244926A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118048(P2011−118048)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000140650)テーブルマーク株式会社 (55)
【Fターム(参考)】