説明

冷凍菓子

【課題】感覚器を刺激する優れた性質を与え続けると同時にカロリー摂取制限を望む消費者に対し、カロリーの影響低下を製造者に可能にする成分の組合わせを有する冷凍菓子。
【解決手段】5重量%未満のトリグリセリド脂肪、ポリデキストロース、リン酸三カルシウムを含有する冷凍菓子に関する。製品はポリデキストロースとクリームに、感覚器を刺激する良好な性質を有する低脂肪冷凍菓子を製造するため、任意にリン酸三カルシウム及び/又はカラヤガムと組合せて含有する。5重量%未満のトリグリセリド脂肪、ポリデキストロース、カラヤガムを含有する冷凍菓子を含む。感覚器を刺激する良好な性質と、標準脂肪、特にプレミアム及びスーパープレミアムアイスクリームと比べて実質的に低下した脂肪濃度の組合せである。菓子は1重量%未満のトリグリセリド脂肪濃度を用いるのが好ましく、0.5重量%未満がより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
最新予防薬は、体重減少にますます集中している。過度の体重については、2型糖尿病の事例の急増に関する論文でしばしば述べられている。さらに、肥満については、心臓病などの別の現代病の議論でよく述べられている。
【背景技術】
【0002】
過度の体重による問題点についての保健協会の厳しい注意にもかかわらず、体重のコントロールは、多くの人にとってなかなか捕まえられないゴールのままである。運動は、相当な割合の人々にとって、あまり魅力的なものではない。それゆえ、多くの人にとって、ダイエットは体重を落とす戦いにおける主要な武器のままである。
【0003】
最近の予防薬のもう一つの注目点は、飽和脂肪及びトランス脂肪である。一部の保健専門家や学者により、これらの物質の摂取の低下が提案されている。
【0004】
アイスクリーム、ウォーターアイス、シャーベットなどの冷凍菓子は、子供から大人まで一様に長い間人気がある。冷凍菓子および関連製品の製造者は、学者らと同様に、カロリーが少なく、脂肪の濃度が低く、種々の理由から消費者が望む種々の特徴を有する製品を供給することを試みた。
【0005】
Kamareiの米国特許 No. 6,093, 425(Princeton大学栄養学)は、低温殺菌法、超低温殺菌法または滅菌法という方法により調製したアイスクリームなどの完全栄養ミルク組成物に関する。2000カロリーの食事を基準として、一日摂取値の約0.1〜250%のビタミンCと一日摂取値の約0.1〜80%のカルシウム、鉄、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ヨウ素、マグネシウム、亜鉛、セレン、銅、リン、マンガン、クロム、モリブデンおよび塩素を使用してもよい。可能なミルク原料のなかでも、無脂肪ミルク、低脂肪ミルク、高脂肪ミルク、ラクトースフリーミルク、濃縮ミルクおよび粉ミルクが挙げられる。10%脂肪分、15%脂肪分および17%脂肪分のアイスクリームが挙げられる。また、サンデーやミルクシェークも考えられることが言及されている。ホエイタンパク質やゼラチンなどの数多くのタンパク質原料が与えられている。列挙された炭水化物原料には、ショ糖、コーンシロップ固形物、グルコース、フラクトースおよびマルトデキストリンが含まれる。グアガム、ペクチンおよびアラビアゴムなどの食物繊維原料が挙げられる。一日摂取値の10〜25%の必須ビタミンと必須ミネラルが、表5の組成物中に使用されていることが言及されている。フィラー、香料および乳化剤などの成分が含まれてもよい。実施例3Aと表18には、高脂肪ミルクとハーフ&ハーフ品質の飲料ライトナーを含有する「完全栄養のライトバニラアイスクリーム」が開示されている。実施例3B/表19には、100%無脂肪、ラクトースフリーミルクを含有する無脂肪、ラクトースフリーの「完全栄養のチョコレートファッジシクル(fudgesicle)のアイスクリーム」が開示されている。バニラ抽出物は、実施例18と実施例19に使われている。実施例19は、チョコレートプリンを用いている。Kamareiの米国特許 No. 6,030, 650も同様である。Kamareiの米国特許 No. 5,985, 339もまた関連している。
【0006】
GB 1,484, 167 (Kraftco)(1977年に発行)は、凝固点降下剤を含有するミルクシェークに関する。安定化剤は、好ましくは混合物内に、CMCナトリウム、アルギナートナトリウム、プロピレングリコールアルギナート、ローカストビーンガムおよびグアガムを含む。乳化剤を含ませることができる。50〜100%のオーバーランを生じさせるため、ガスが注入される。実施例1では、カラギーナン、モルト粉末、およびビタミン・ミネラル混合物が含有されている。
【0007】
Tvorogova et al. Kholodil'naya Tekhnika 1996, No. 3, 20-21の英語アブストラクトによれば、アイスクリームに安定化剤を使用することが、発泡、乳化およびゲル化の特性に関して議論されている。製品には、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、小麦粉、ペクチン、カラギーナン、クレモダン(Cremodan)およびスキムミルクが含まれていた。
【0008】
英語アブストラクトによれば、Rothwell, Ice Cream and Frozen Confectionery, 1985, 36 (9) 442, 450-451では、糖尿病患者用および食事療法用アイスクリームの歴史的開発が論じられている。増量剤としてのポリデキストロースの使用が論じられている。基本混合物のうちの一つは、4%の脂肪(乳脂肪またはノンミルク脂肪のいずれか)、15%のポリデキストロース、0.5%の微結晶セルロース、0.2%のクエン酸ナトリウム、11.3%のミルク無脂乳固形分(SNF)、0.75%の安定化剤/乳化剤、および0.75%のアスパルテームを含む。
【0009】
Gabbyらの米国特許 No. 3, 800, 036 (Drackett)は、アイスミルクと任意に7重量%までの脂肪を含む模造アイスクリームとを含有する冷凍デザートに関する。ポリグリセロール脂肪酸エステルは、テクスチャライジング剤として使用されている。低脂肪ミルクまたは濃縮スキムミルクを使用してもよい。親水性コロイドまたはガムは、安定化剤として使用できる。実施例は、ローカストビーンガム、ゼラチン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースやペクチンなどの水分散型多糖類、およびデンプン(好ましくは、あらかじめゼラチン化したもの)を含んでいる。砂糖を含有させてもよく、またデキストラン、イヌリンまたは微結晶セルロースなどの不活性増粘物質は、人工甘味料を用いる場合には、砂糖の代わりに用いてもよい。他の可能な成分は、フルクトース、乾燥卵白およびデンプンである。ミルク固形物は、カゼインナトリウム、カゼインカリウムおよびカゼインカルシウムなどの別のタンパク質成分に置き換えてもよい。液状混合物は、エアレーションと共に凍らせることができる。さまざまな冷凍菓子の配合が提供されている。実施例3(冷凍デザート、シェーク型)、実施例4(無脂肪模造バニラアイスクリーム)、実施例5(バニラ模造ソフトクリーム)および実施例10(チョコレート模造ハードタイプアイスクリーム)は、アスコルビン酸、ナイアシンアミド、パントテン酸カルシウム、チアミンヒドロクロライド、ピリドキシンヒドロクロライド、およびリボフラビンを含んでいる。実施例10は、ビタミンA&D粉末をさらに含む。ポリソルベート80(polysorbate 80)は、いくつかの配合で用いられる。
【0010】
Cainらの米国特許 No. 5, 958, 476は、EP 837 635 (Loders Croklaan)と同じパテントファミリーであるが、これは、特定の固さを有する所定量の脂肪連続性、二連続性または二重性脂肪エマルションを供給された冷凍菓子類または冷蔵菓子類に関する。増粘剤は、ゼラチン、カゼイン、カゼイネート、コーンスターチ、ペクチン、カラギーナンガム、ポリデキストロース、マルトデキストリン、加水分解デンプン、加工デンプン、およびキサンタンガムを含有する群から選択できる。
【0011】
Silhouette(登録商標)低脂肪アイスクリームサンドイッチ(バニラ/ミントフレーバー)は、98%無脂肪であると言われているが、これには、以下の成分が記載されている。無脂肪ミルク、砂糖、コーンシロップ、セルロースゲル、ローカストビーンガム、モノグリセリド、ジグリセリド、グアガム、セルロースガム、ポリソルベート80、カラギーナン、天然バニラ香料およびココア(明らかにチョコレート製品用)。ウエハー用に記載された成分は、漂白小麦粉、大豆油、カラメル色素、コーンシュガー、ココア、高果糖コーンシロップ、加工コーンスターチ、塩、重曹および大豆レシチンである。ストロベリー、コーヒーおよびミントフレーバーは、あらゆる天然抽出物を含有すると言われる(ミント抽出物は、FD&C 黄 No.5、FD&C 青 No.1、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムおよびクエン酸を含有する)。ラベルに記載された一日摂取値%は、ビタミンAが0%、カルシウムが8%、ビタミンCが0%および鉄が0%であった。
【0012】
少なくとも2002年10月31日現在、Atkinsのチョコレートシェークミックスは、リン酸三カルシウム、ポリデキストロース、ホエイタンパク質単離物、および各種ビタミン類を含有することが、Carbsmartのウエッブサイト上に開示されている。
【0013】
Berry, “From Showcased Ingredients to the Dairy Case,” Dairy Foods 9/2002は、無味のカルシウム塩中でリン酸三カルシウムを挙げている。また、記事は、フロリダのリヴィエラビーチのLukeのアイスクリームを、デラクトースした無脂肪ミルク、ポリデキストロース、マルトデキストリン、およびスクラロースを用いたシュガーフリー・脂肪フリーの冷凍処理した製品として挙げている。また、多くの「あなたによい冷凍菓子」にとって、ポリデキストロースやマルトデキストリンなどの増量剤が必要であることも記載されている。それは中性の味で、溶解性が高く、食物繊維の物性を有する。
【0014】
Coutantらの米国特許 No. 5, 292, 544 (Rhodiaに再譲渡された)は、食品に不透明さと滑らかさを発現し、ガム特にキサンタンガムを含有する食品のドロドロさを低減するために、リン酸三カルシウムを添加して製造した食品に似せた低脂肪、超低脂肪または無脂肪エマルションに関する。アイスクリーム中およびアイスミルク製品中に使用することが言及されている。ローカストビーンガム、デンプン、スターチマルトデキストリンおよびセルロースゲルが挙げられている。実施例8は、リン酸三カルシウム、コーンシロップ固形物およびキサンタンガムを含有する無脂肪シェークに関する。
【0015】
Toonenの米国特許 No. 5, 456, 936は、実質的にラクトースフリー、シュガーフリー、低カロリーの20〜100%のオーバーランを有する冷凍菓子に関する。使用することのできるガムは、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、グアおよびカルボキシメチルセルロースを含有すると言われている。セルロースゲルは、安定化剤として使用することができる。記載された増量剤のなかには、ポリデキストロース、マルトデキストロース、糖アルコールまたはデンプンがある。
【0016】
多数の製品タイプの多量な「ヘルシー」製品の出現にもかかわらず、多くの消費者が、将来想像できる健康の利点のため、お気に入りの楽しみの感覚器を刺激する性質を喜んで犠牲にするのではないことは明らかのように思われる。このことは、特に冷凍菓子などの嗜好品では確かである。このように、冷凍菓子の開発者は、感覚器を刺激するすぐれた性質を持ち続けると同時に、体重を減らす手助けを得るであろう消費者に対して、カロリーの影響を低下する製品を供給するという手ごわい挑戦に直面している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許 No. 6, 093, 425
【特許文献2】米国特許 No. 6, 030, 650
【特許文献3】米国特許 No. 5, 985, 339
【特許文献4】GB 1, 484, 167
【特許文献5】米国特許 No. 3, 800, 036
【特許文献6】米国特許 No. 5, 958, 476
【特許文献7】EP 837 635
【特許文献8】米国特許 No. 5, 292, 544
【特許文献9】米国特許 No. 5, 456, 936
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Tvorogova et al. Kholodil'naya Tekhnika 1996, No. 3, 20-21
【非特許文献2】Rothwell, Ice Cream and Frozen Confectionery, 1985, 36 (9) 442, 450-451
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、感覚器を刺激するすぐれた性質を与え続けると同時に、カロリー摂取の制限を望む消費者に対して、カロリーの影響を低下することを製造者に可能にする冷凍菓子についての成分の組合せを発見したことに関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の態様について、本発明は以下:
(a)5重量%未満のトリグリセリド脂肪、(b)ポリデキストロースおよび(c)リン酸三カルシウムを含有する冷凍菓子に関する。菓子は、1重量%未満の濃度のトリグリセリド脂肪を用いるのが好ましく、0.5重量%未満であるのがより好ましい。さらに好適な実施形態に関しては、少なくとも一種以上の脂肪原料がクリームである。
【0021】
本発明のさらなる態様について、製品は、ポリデキストロースとクリームの両方に、感覚器を刺激する良好な性質を有する低脂肪冷凍菓子を製造するため、任意にリン酸三カルシウムおよび/またはカラヤガムを組合せて含有する。
【0022】
また、さらなる態様について、本発明は以下:
(a)5重量%未満のトリグリセリド脂肪、(b)ポリデキストロース、および(c)カラヤガムを含有する冷凍菓子を含む。トリグリセリド脂肪の濃度は、1重量%未満であるのが好ましく、0.5重量%未満であるのが特に好ましい。また、少なくとも一種以上の脂肪原料が、クリームであることもまた好ましい。
【0023】
本発明の製品は、感覚器を刺激する良好な性質と、標準脂肪アイスクリーム、特にプレミアムアイスクリームおよびスーパープレミアムアイスクリームと比べて実質的に低下した脂肪濃度との組合せである。
【0024】
特に好適な実施形態について、リン酸三カルシウムに加えて、冷凍菓子は、製品のヘルスプロファイルをさらに改善するため、1種以上のビタミンおよび/またはミネラルおよび/または食物繊維を栄養強化されている。
【0025】
本発明の上記のさらに完全な、また別の特徴および利点については、以下の好適な実施形態の記載を参照すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の製品は、アイスクリーム、シャーベット、ウォーターアイスなどの冷凍製品である。ミルクシェーキや他の飲料などの非冷凍または一部冷凍した製品ではない。ここで用いられる「冷凍」とは、凍結条件下で、製品が、流動体または半流動体でなく、ハードパックまたはスプーンで食べられる程度の固さに凝固されていることを意味する。冷凍菓子は、アイスクリームサンドイッチのウエハーやサンデーの適当なソースなどの他の成分を組合せてもよい。水連続エマルションであるのが好ましい。
【0027】
一般的に、本発明の製品は、完全乳、スキムミルク、コンデンスミルク、エバミルク、クリーム、バター、バター脂肪、ホエイ、無脂肪ミルク固形物などの乳製品原料含む。乳製品原料は、一般的に、ラクトースおよびミルクタンパク質、例えば、ホエイタンパク質やカゼインなどの乳脂肪ミルク固形物および/または無脂肪ミルク固形物を与える。本発明の一態様によれば、全体的な低脂肪濃度を組成物中に生じさせるにもかかわらず、クリームは好ましい。クリームに、ポリデキストリンと任意にリン酸三カルシウムとを組合わせて使用すると、低脂肪製品が良好な風味で得られる。クリームおよび他の乳製品原料からのバター脂肪が好ましい一方で、植物脂肪などの他の脂肪原料を使用してもよい。例えば、脂肪は、ココアバター、モワ、シアバターノキ、ヤシ、パームカーネル(palm kernal)、サラソウジュ、大豆、綿実、ココナッツ、菜種、キャノーラ、およびヒマワリ油を含む群から取ることができる。製品中のトリグリセリド脂肪の濃度、すなわち製品中の消化可能な脂質の実際に好ましい総量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、特に好ましくは1.0重量%さらには0.5重量%以下である。トリグリセリド脂肪または他の脂質の下限は、ゼロ、0.25重量%、1重量%以上とすることができる。
【0028】
製品は、乳化剤を典型的に含有している。典型的な乳化剤は、リン脂質およびタンパク質または長鎖脂肪酸と多価アルコールのエステルとすることができる。グリセロールの脂肪酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、脂肪酸のソルビタンエステルおよび脂肪酸のポリオキシエチレンエステルやポリオキシプロピレンエステルは、使用してもよいが、もちろん、感覚器を刺激する性質は考慮されなければならない。モノグリセリドやジグリセリドが好ましい。乳化剤は、約0.03〜0.3%、好ましくは0.05〜0.1%の量で使用される。
【0029】
A. E. Staley Manufacturing Co.から入手可能なUltrafreeze 400C(登録商標)などの加工食品デンプンと組合わせた大豆タンパク質単離物は、製品のテクスチャライジングを助けることができ、もしある場合は、0.5〜3.0%、好ましくは0.75〜2.0%の量で使用される。
【0030】
ガム安定化剤は、特に粘度調節、口当たりを与え、ホイッピング(空気で膨らむ)性質の改善、加熱過程でのタンパク質を安定化するための保護コロイドを供給すること、クリーミングを最小にするための脂肪表面の表面化学を変化させること、タンパク質系に酸安定性を与えること、および冷凍−解凍の安定性を増大することに有効である。ガムは、中性または酸性、直鎖または分枝鎖、ゲル化またはノンゲル化に分類することができる。使用してもよい主なガムは、カラヤガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタン、グアおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0031】
ガムは、一般的に、組成物の0.02〜0.5重量%の濃度またはタンパク質濃度の1〜6重量%で使われる。異なる機能性のため、所定の複数のガムの組合わせは、1種類のガムよりも良好な製品を供給することができる。本発明の一態様によれば、カラヤガムをポリデキストロースと共に用いるのが特に好ましく、ウィスコンシンのグリーンベイのGood Humor Breyersアイスクリーム会社により「ファッジシクル(Fudgesicle)」の名称で販売されているタイプの製品に関して特に好ましい。
【0032】
安定化剤は、米国特許 No. 5, 209, 942に記載された、例えば、活性化したまたは「解膠化した」Avicel 581といった微結晶セルロースとしてもよい。微結晶セルロースは、レベルオフDPを有するセルロース結晶集合体である。レベルオフDPは、O. A. Batistaによる題名:”Hydrolysis and Crystallisation of Cellulose,” Vol. 42, pp. 502 -507, Industrial and Engineering Chemistry, 1950の論文に従って測定したレベルオフ重合度の平均値である。微結晶セルロースの一例は、食品組成物中に使用するため、英国特許 No. 961 398 (Also cf. 米国特許 No. 2, 978, 446, No. 3, 157, 518およびNo. 3, 539, 365)に記載された水分散性セルロース結晶集合体である。微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)の組合わせは、良好な結果を与えることができる。そして、微結晶セルロースは、粒子それ自身が(物質の重量の)10%のカルボキシメチルセルロースナトリウムで被覆されている物質であるのが好ましい。被覆に用いるカルボキシメチルセルロースナトリウムは、中間程度の粘度を有するもののうちの一種、すなわち、1%の水分散中で、20℃で300〜1000cpの粘度を有するものであるのが好ましい。
【0033】
微結晶セルロースは、National Academy of Sciences-National research Councilによる”Fourth Supplement to the Food Chemicals Codes,” First Edition中に、セルロース、微結晶(セルロースゲル)として列挙されている。セルロースガムと組合わせたセルロースゲルが、特に好ましい。
【0034】
別の成分には、カルボキシメチルセルロース(それに加えて、微結晶セルロースが被覆されているものでもよい)、キサンタンガム、デンプンおよびアルギナートの一種またはいずれかの組合わせを含んでもよい。
【0035】
ゼラチン、例えば、225ブルームは、組成物中に、0.1〜1重量%、特に好ましくは0.2〜0.6重量%の濃度で含まれてもよい。
【0036】
リン酸塩や塩化物などの所定の塩は、系の緩衝能を変えるためや、タンパク質の水結合能を改善し、溶解度と風味を改善するため用いてもよい。たいへん低い濃度では、塩化ナトリウムとモノリン酸ナトリウムが好ましいが、リン酸カルシウム、特にリン酸一カルシウムもまた使用してもよい。塩化ナトリウムは、0.05〜0.3%の濃度が好ましく、モノリン酸ナトリウムは、0.01〜0.1%の濃度が好ましい。用いられる増量剤は、極微量の単糖類または二糖類でなければならない。
【0037】
一般的に、本発明の組成物は、本来的に甘い。甘味の天然原料には、ショ糖(液体または固体)、グルコース、フラクトース、およびコーンシロップ(液体または固体)が含まれる。他の甘味料には、ラクトース、マルトース、およびガラクトースが含まれる。砂糖と砂糖原料の濃度は、好ましくは20重量%までの濃度の砂糖固形物であり、5〜18重量%が好ましく、10〜17重量%が特に好ましい。
【0038】
人工甘味料の使用を望む場合には、当業者に周知の人工甘味料のいずれを用いてもよく、例えば、アスパルテーム、サッカリン、Alitame(登録商標)(Pfizerから入手可能)、アセスルファムK(Hoechstから入手可能)、シクラメート、ネオテーム、スクラロースなどである。アスパルテームが好ましい。甘味料は、約0.005〜1%のさまざまな量で使用され、甘味料にもよるが、例えば、0.007〜0.73%が好ましい。アスパルテームは、0.05〜0.15%の濃度で使用することができ、0.07〜0.11%の濃度が好ましい。アセスルファムKは、0.09〜0.15%の濃度が好ましい。
【0039】
本発明の一態様によれば、製品はポリデキストロースを含有する。ポリデキストロースは、増量剤としてまた食物繊維原料としても機能し、1〜10重量%含有するのが好ましく、1〜6重量%が特に好ましい。ポリデキストロースは、Danisco SweetenersからLitesse(登録商標名)で入手することができる。本発明の組成物中に含有させてもよい他の食物繊維原料のなかでも、イヌリンなどのフラクトースオリゴ糖類がある。
【0040】
増量剤として不活性ポリデキストロースの好適な使用によれば、付加的かつ慣用的な増量剤には、マルトデキストリン、糖アルコール、コーンシロップ固形物、砂糖またはデンプンなどを用いてもよい。本発明の製品中の増量剤の全濃度は、約5〜20%が好ましく、13〜16%がより好ましい。ポリデキストロースは、Litesse(登録商標名)で入手することができる。
【0041】
もし望む場合には、氷形成を調節するために、グリセロールを用いてもよい。ソルビトールもまた使用してもよいが、グリセロールの方が好ましい。グリセロールは、約1〜5%の量で用いることができ、好ましくは2.5〜4.0%である。
【0042】
香料は、製品に添加するのが好ましいが、マイルドで心地よい風味を与える量でよい。香料は、アイスクリームに使用される市販の香料のいずれでもよく、例えば、種々のココア、ピュアバニラまたは人工香料、例えばバニリン、エチルバニリン、チョコレート、抽出物、スパイスなどである。多くの香料のバリエーションが、基本的な香料の組合わせにより得られることは、さらに評価される。菓子組成物は、上記の味に風味付けされる。適切な香料にはまた、調味料を含ませてもよく、例えば、塩、模造フルーツまたはチョコレートフレーバーであり、単独であってもいずれかの適切な組合わせでもよい。ビタミンおよび/またはミネラルおよび他の成分の味をマスクする香料は、本発明の製品に含ませるのが好ましい。
【0043】
モルト粉末は、例えば風味を与えるものとして用いることができ、0.01〜0.15重量%の濃度が好ましく、0.05〜0.2%が特に好ましい。
【0044】
ポリソルベート80、ポリソルベート65およびソルビン酸カリウムなどの防腐剤は、望む場合には用いてもよい。
【0045】
カルシウムは、組成物中に、基準1日摂取量(RDI)の10〜30%であるのが好ましく、RDIの約25%が特に好ましい。カルシウム原料は、リン酸三カルシウムが好ましい。例えば、リン酸三カルシウムの重量%濃度は、0.5〜1.5%の範囲内としてもよい。好適な実施形態では、カルシウムのリン酸三カルシウム原料に加えて、製品は、1種以上のビタミンおよび/またはミネラルおよび/または食物繊維原料で栄養強化される。これらは、以下:アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェリルアセテート(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ヨウ化カリウム、d−パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンモノニトレート(ビタミンB1)、モリブデン、クロム、セレン、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、マンガン(硫酸マンガンとして)、鉄(オルトリン酸鉄として)および亜鉛(酸化亜鉛として)のいずれかまたは全部を含んでもよい。ビタミンは、RDIの5〜20%であるのが好ましく、RDIの約15%が特に好ましい。食物繊維原料は、製品中に0.5重量%を超え、6重量%を超えないのが好ましく、5重量%が特に好ましい。
【0046】
ビタミンおよび/またはミネラルの一部は、冷凍菓子混合物に添加することができ、それに対し他はウエハー、バリエゲートおよびソースなどの添加物成分に含有することができる。
【0047】
製品の製造に用いられる方法は、完全な乳製品に対応する方法と、本質的に同じである。このような製品すべてに共通する方法は、成分の混合、ポンピング、低温殺菌、均質化、調理、エアレーション、冷凍および包装を含む。製品は、バッチ方法または連続方法で製造することができる。成分は、液体または乾燥形態のいずれか、あるいはそれらの組合わせとしてもよい。液体成分は、混合タンクにポジティブ流量調整ポンプを用いることやインラインの混合により混合することができる。乾燥成分は、混合操作の間水和させなければならない。これは、処理槽中のタービン混合機の使用や乾燥物質の高速遠心ポンプを通しての混入により、最も一般的になされる。混合温度は、成分の性質に依存するが、いかなる脂肪の融点よりも高く、また安定化剤およびタンパク質として用いられるガムを完全に水和するのに充分な温度でなければならない。バッチ方法を用いる場合は、任意にビタミンや他のミネラルを冷水と共に混合し、よく混ぜ合わせ、混合物の一部がHTST装置へ流れ出した後、バッチに添加してもよい。低温殺菌は、一般的に、低温殺菌システムに均質機が統合された高温短時間(HTST)装置で行われる。水和を阻害するかもしれない他の成分を添加する前に、タンパク質と微結晶セルロースは、慎重に完全に水和される。
【0048】
特に言及しないか、文脈上必要とされない限り、この中で「脂肪」と「オイル」の文言は、交換可能に用いられる。特に言及しないか、文脈上必要とされない限り、%は重量%である。
【実施例】
【0049】
以下の成分を用いて、低脂肪ファッジバーを上記のように製造する。
【0050】
成分 重量%
水 64
ショ糖固形物 12
バター脂肪 1.7
無脂肪ミルク固形物 9
ホエイ固形物 3
コーンシロップ固形物、36DE 5
ポリデキストロース、Litesse 1.3
ココア 2
ゼラチン、225 Bloom 0.5
安定化剤 0.3
モルト粉末 0.1
リン酸三カルシウム 0.5

ビタミン/ミネラル混合物

水 0.5
ビタミン混合物 0.07
――――――――
総量 100
【0051】
ビタミン混合物は、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェリルアセテート(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ヨウ化カリウム、d−パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンモノニトレート(ビタミンB1)を含む。安定化剤は、グアガムにカラヤガムを加えたものである。
【0052】
混合物中の固形物総量は、36%である。バター脂肪の重量%は1.70%である。
【0053】
[実施例2]
上記製造方法にしたがって、以下の成分を含有する低脂肪チョコレートアイスクリームを製造する。
【0054】
成分 重量%
水 62
ショ糖固形物 11
バター脂肪 0.4
無脂肪ミルク固形物 10
ホエイ固形物 2.4
コーンシロップ固形物、36DE 4
ポリデキストロース、Litesse 5.25
ココア 2
ゼラチン、225 Bloom 0.25
安定化剤 0.5
乳化剤 0.2
リン酸三カルシウム 1.1

ビタミン/ミネラル混合物

水 0.5
ビタミン混合物 0.126
――――――――
総量 100
【0055】
総量
混合物固形物総量 37%
バター脂肪 0.40%
【0056】
ビタミン混合物は、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェリルアセテート(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ヨウ化カリウム、d−パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンモノニトレート(ビタミンB1)を含む。安定化剤は、微結晶セルロース、セルロースガム、モノグリセリド、ジグリセリド、ローカストビーンガム、ポリソルベート80、およびカラーギナンである。乳化剤は、モノグリセリド、ジグリセリドおよびポリソルベート80である。
【0057】
[実施例3]
上記方法にしたがって、以下の成分を含有する低脂肪バニラアイスクリームを製造する。
【0058】
成分 重量%
水 63
ショ糖固形物 11.5
バター脂肪 0.4
無脂肪ミルク固形物 10.5
ホエイ固形物 2
コーンシロップ固形物、36DE 4
ポリデキストロース、Litesse 5.5
ゼラチン、225 Bloom 0.25
安定化剤 0.5
乳化剤 0.15
リン酸三カルシウム 1.1

ビタミン/ミネラル混合物

水 0.5
ビタミン混合物 0.13
――――――――
総量 100
【0059】
総量
混合物固形物総量 36%
バター脂肪 0.4%
【0060】
ビタミン混合物は、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェリルアセテート(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ヨウ化カリウム、d−パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンモノニトレート(ビタミンB1)を含む。安定化剤は、微結晶セルロース、セルロースガム、モノグリセリド、ジグリセリド、ローカストビーンガム、ポリソルベート80、およびカラーギナンである。乳化剤は、モノグリセリド、ジグリセリドおよびポリソルベート80である。
【0061】
開示内容が明らかに教えることから逸脱することなく、所定の変更が行われるので、この中に例証および記載された本発明の特定の形態は、代表的なもののみを意図していることは当然理解される。よって、完全な範囲を決めるのは、添付の特許請求の範囲を参照してなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5重量%未満のトリグリセリド脂肪と、
ポリデキストロースと、
カラヤガムを含有する冷凍菓子。
【請求項2】
前記トリグリセリド脂肪の濃度が、1重量%未満である請求項1に記載の冷凍菓子。
【請求項3】
前記トリグリセリド脂肪の濃度が、0.5重量%未満である請求項2に記載の冷凍菓子。
【請求項4】
少なくとも一種以上の脂肪原料が、クリームである請求項1に記載の冷凍菓子。
【請求項5】
5重量%未満のトリグリセリド脂肪と、
1〜7重量%のポリデキストロースと、
0.02〜0.5重量%のカラヤガムを含有する冷凍菓子。

【公開番号】特開2010−81(P2010−81A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184725(P2009−184725)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2004−548855(P2004−548855)の分割
【原出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】