説明

冷凍装置

【課題】庫内の加熱と冷却とを切り換えて行う所謂ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置を容易に構成する。
【解決手段】冷凍装置(1)は、圧縮機(11)と庫外熱交換器(12)と第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とが直列に接続された冷媒回路(10)を備えている。冷凍装置(1)は、庫外熱交換器(12)が放熱器として機能し且つHC熱交換器(14)及び冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する冷却運転と、庫外熱交換器(12)及びHC熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する加熱冷却運転とに冷媒回路(10)が切り換わるように第1膨張弁(13)の開度を制御する第1膨張弁制御部(71)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関し、特に、加熱と冷却とを切り換えて行う所謂ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用して庫内の加熱と冷却とを切り換えて行う所謂ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記冷凍装置は、圧縮機と熱源側熱交換器とを有する熱源系統に庫内の温調を行う利用側熱交換器を有する第1利用系統と第2利用系統とが並列に接続された冷媒回路を備えている。第2利用系統には、熱源系統の圧縮機を高段側として冷媒を2段圧縮するための低段側の補助圧縮機が設けられている。また、上記冷凍装置は、該補助圧縮機の吐出冷媒が圧縮機の吸入側に繋がるガス管に流れる第1状態と、吐出冷媒が第1利用系統における膨張弁と利用側熱交換器との間に流れる第2状態とに切り換える流路切換手段とを備えている。
【0004】
そして、上記冷凍装置では、流路切換手段を第1の状態にして第1利用系統の膨張弁の開度を調整することにより、第1利用系統及び第2利用系統のいずれもの利用側熱交換器が庫内を冷却する冷却運転を行う一方、流路切換手段を第2の状態にして第1利用系統の膨張弁を閉じることにより、第1利用系統の利用側熱交換器が庫内を加熱すると共に第2利用系統の利用側熱交換器が庫内を冷却する加熱冷却運転を行っていた。
【特許文献1】特開2006−98044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の冷凍装置では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用して第1利用系統の庫内の冷却及び加熱を選択的に行うことが可能となっているが、流路切換手段を用いて流路を切り換えることにより運転を切り換えるために冷媒回路の構成が複雑であった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、庫内の加熱と冷却とを切り換えて行う所謂ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置を容易に構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、圧縮機(11)及び熱源側熱交換器(12)を有する熱源系統(1A)と、第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)を有する第1利用系統(1B)と、第2膨張弁(16)及び第2利用側熱交換器(17)を有する第2利用系統(1C)とが接続された冷媒回路(10)を備えた冷凍装置であって、上記圧縮機(11)と熱源側熱交換器(12)と第1膨張弁(13)と第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と第2利用側熱交換器(17)とが直列に接続され、上記熱源側熱交換器(12)が放熱器として機能し且つ上記第1利用側熱交換器(14)及び第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する第1運転と、上記熱源側熱交換器(12)及び第1利用側熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ上記第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する第2運転とに上記冷媒回路(10)が切り換わるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御する第1膨張弁制御手段(71)を備えている。
【0008】
第1の発明では、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)の開度を制御することによって第1膨張弁(13)における冷媒の減圧量が調節されて、冷媒回路(10)が以下のような第1運転と第2運転とに切り換わる。
【0009】
第1運転では、熱源側熱交換器(12)が放熱器として機能し且つ第1利用側熱交換器(14)及び第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する。つまり、第1運転では、第1膨張弁(13)において十分に減圧された冷媒が第1利用側熱交換器(14)に流入し、該冷媒が第1利用系統(1B)の庫内空気と熱交換して蒸発することにより、第1利用系統(1B)の庫内が冷却される。また、第1利用側熱交換器(14)を通過して第2膨張弁(16)においてさらに減圧された冷媒が第2利用側熱交換器(17)に流入し、該冷媒が第2利用系統(1C)の庫内空気と熱交換して蒸発することにより、第2利用系統(1C)の庫内が冷却される。
【0010】
一方、第2運転では、熱源側熱交換器(12)及び第1利用側熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する。つまり、第2運転では、ほとんど減圧されずに第1膨張弁(13)を通過した冷媒が第1利用側熱交換器(14)に流入し、該冷媒が第1利用系統(1B)の庫内空気と熱交換して放熱することにより、第1利用系統(1B)の庫内が加熱される。また、第1利用側熱交換器(14)を通過して第2膨張弁(16)において減圧された冷媒が第2利用側熱交換器(17)に流入し、該冷媒が第2利用系統(1C)の庫内空気と熱交換して蒸発することにより、第2利用系統(1C)の庫内が冷却される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒回路(10)の上記第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)との間には、レシーバ(15)が設けられている。
【0012】
ところで、第1運転時には、第1利用側熱交換器(14)が蒸発器として機能するため、第1利用側熱交換器(14)を通過した冷媒の少なくとも一部はガス冷媒となっている。このようなガス冷媒がそのまま第2膨張弁(16)に流入すると、蒸発器として機能する第2利用側熱交換器(17)に流入する冷媒量が急激に低下して第2利用側熱交換器(17)における冷媒の吸熱量が小さくなる。その結果、第2利用系統(1C)の冷却能力が低下することとなる。
【0013】
しかしながら、第2の発明では、第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)との間にレシーバ(15)が設けられている。そのため、第1利用側熱交換器(14)を通過した冷媒はレシーバ(15)において気液分離され、液冷媒のみが第2膨張弁(16)に流入することとなる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、上記冷媒回路(10)には、上記第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)をバイパスするバイパス路(26)が設けられると共に、該バイパス路(26)には開度の可変な制御弁(18)が設けられ、上記第1膨張弁制御手段(71)は、上記第1運転時に上記第1利用側熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御し、上記第2運転時に上記第1膨張弁(13)を全開状態に制御するように構成される一方、上記第1運転時に上記第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように上記制御弁(18)の開度を制御し、上記第2運転時に上記第1利用系統(1B)の庫内温度が所定の温度帯となるように上記制御弁(18)の開度を制御する弁制御手段(73)を備えている。
【0015】
ところで、上記冷凍装置では、圧縮機(11)と熱源側熱交換器(12)と第1膨張弁(13)と第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と第2利用側熱交換器(17)とが直列に接続されている。そのため、例えば、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度を第1利用側熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように制御すると、第1膨張弁(13)の開度が第1利用系統(1B)の庫内の負荷変動に応じて調節されて第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力も庫内の負荷変動に応じて変動する。そのため、庫内の負荷によっては、第1利用側熱交換器(14)の蒸発圧力が過度に低下し、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が小さくなってしまうことがある。このような場合、冷媒が第2利用系統(1C)に流入し難くなり、冷媒回路(10)において冷凍サイクルを正常に行えなくなる。
【0016】
しかしながら、第3の発明では、第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)をバイパスするバイパス路(26)が設けられると共に、第1運転時には、第1膨張弁制御手段(71)が、第1利用側熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように第1膨張弁(13)の開度を制御する一方、弁制御手段(73)が、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように制御弁(18)の開度を制御する。これにより、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度が第1利用系統(1B)の庫内の負荷変動に応じて制御される。また、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度が小さく制御されて第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が過度に低下しても、弁制御手段(73)によって制御弁(18)の開度を制御してバイパス路(26)への冷媒の流入量を調節することにより、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように調節される。従って、第1運転時においても、冷媒が円滑に第2利用系統(1C)に流入し、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルが行われることとなる。
【0017】
また、第3の発明では、第2運転時には、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全開状態に制御することで、第1利用側熱交換器(14)には熱源側熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒が流入する。これにより、第1利用側熱交換器(14)が放熱器として機能する。また、これと同時に、弁制御手段(73)が、第1利用系統(1B)の庫内温度が所定の温度帯となるように制御弁(18)の開度を制御する。これにより、第1利用系統(1B)の庫内温度が所定の温度帯となるように、第1利用側熱交換器(14)に流入する冷媒量が調節されて、第1利用側熱交換器(14)における冷媒と庫内空気との熱交換量が調節される。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、上記第1膨張弁制御手段(71)が上記第1膨張弁(13)を全閉状態に制御すると共に、上記弁制御手段(73)が上記制御弁(18)を開状態に制御するように該第1膨張弁制御手段(71)及び弁制御手段(73)を制御し、上記第1利用系統(1B)の温調運転を休止させる第1サーモオフ手段(76)を備えている。
【0019】
第4の発明では、第1サーモオフ手段(76)によって制御されて第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全閉状態に制御すると共に弁制御手段(73)が制御弁(18)を開状態に制御すると、圧縮機(11)から吐出されて熱源側熱交換器(12)において放熱した冷媒は、全てバイパス路(26)に流入し、第1利用側熱交換器(14)をバイパスして流れる。これにより、第1利用側熱交換器(14)において冷媒と庫内空気との熱交換が行われなくなり、第1利用系統(1B)の庫内の温調運転が休止される。
【0020】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記冷媒回路(10)には、上記レシーバ(15)内のガス冷媒を上記圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に導くインジェクション管(27)が接続されている。
【0021】
第5の発明では、第1利用側熱交換器(14)又はバイパス路(26)を介してレシーバ(15)内に流入したガス冷媒は、インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される。その結果、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室内の圧縮途中にある過熱蒸気が、インジェクション管(27)からの冷媒によって冷却される。
【0022】
第6の発明は、第5の発明において、上記第1運転時に、上記弁制御手段(73)が上記制御弁(18)を全閉状態に制御するように該弁制御手段(73)を制御すると共に、上記第2膨張弁(16)を全閉状態に制御し、上記第2利用系統(1C)の温調運転を休止させる第2サーモオフ手段(77)を備えている。
【0023】
第6の発明では、第2サーモオフ手段(77)によって、弁制御手段(73)が制御弁(18)を全閉状態に制御するように制御されると共に、第2膨張弁(16)が全閉状態に制御されると、圧縮機(11)から吐出されて熱源側熱交換器(12)において放熱した冷媒は、第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)を通過してレシーバ(15)に流入した後、第2利用側熱交換器(17)には流入せずに、インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される。これにより、第2利用側熱交換器(17)において冷媒と庫内空気との熱交換が行われなくなり、第2利用系統(1C)の庫内の温調運転が休止される。
【0024】
第7の発明は、第1又は第2の発明において、上記第1膨張弁制御手段(71)は、上記第1運転時には第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値となるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御する一方、上記第2運転時には上記第1膨張弁(13)を全開状態に制御するように構成されている。
【0025】
ところで、上記冷凍装置では、第1膨張弁(13)と第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と第2利用側熱交換器(17)とが直列に接続されている。そのため、例えば、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度を第1利用系統(1B)の庫内の負荷変動に応じて制御することとすると、第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が庫内の負荷変動に応じて変動する。そのため、庫内の負荷によっては、第1利用側熱交換器(14)の蒸発圧力が過度に低下し、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が小さくなってしまうことがある。このような場合、冷媒が第2利用系統(1C)に流入し難くなり、冷媒回路(10)において冷凍サイクルを正常に行えなくなる。
【0026】
しかしながら、第7の発明では、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度が第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値となるように制御される。そのため、第2利用系統(1C)の入口における冷媒の圧力が一定に制御されるため、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差がある程度大きくなるように調節される。これにより、第1運転時においても、冷媒が円滑に第2利用系統(1C)に流入し、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルが行われることとなる。
【0027】
また、第7の発明では、第2運転時には、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全開状態に制御することで、第1利用側熱交換器(14)には熱源側熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒が流入する。これにより、第1利用側熱交換器(14)が放熱器として機能し、第1利用系統(1B)の庫内が加熱される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、圧縮機(11)と熱源側熱交換器(12)と第1膨張弁(13)と第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と第2利用側熱交換器(17)とを直列に接続したことにより、第1利用系統(1B)及び第2利用系統(1C)の庫内が共に冷却される第1運転と、第1利用系統(1B)の庫内が加熱され且つ第2利用系統(1C)の庫内が冷却される第2運転とを、単に第1膨張弁(13)の開度を制御して第1膨張弁(13)における減圧量を調節することによって切り換えることができる。そのため、第1運転と第2運転とを切り換えるために異なる流路及び流路切換手段を用いる必要がなく、冷媒回路(10)の構成を容易化することができる。従って、本発明によれば、庫内の加熱又は冷却を行うホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置(1)を容易に構成することができる。
【0029】
また、第2の発明によれば、第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)との間にレシーバ(15)が設けられているため、第1利用側熱交換器(14)を通過した冷媒を該レシーバ(15)において気液分離することができる。その結果、第2膨張弁(16)に液冷媒のみを流入させることができる。従って、第1利用側熱交換器(14)が蒸発器として機能する第1運転時においても、第2利用系統(1C)の冷却能力の低下を防止することができる。
【0030】
また、第3の発明によれば、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度が第1利用系統(1B)の庫内の負荷変動に応じて制御することができる。また、第1運転時に、第1膨張弁(13)の開度が小さく制御されて第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が過度に低下しても、弁制御手段(73)が制御弁(18)の開度を制御してバイパス路(26)への冷媒の流入量を調節することにより、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように調節することができる。従って、第1運転時においても、冷媒を円滑に第2利用系統(1C)に流入させることができ、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルを行わせることができる。
【0031】
さらに、第3の発明によれば、第2運転時に、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全開状態に制御して、熱源側熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒を第1利用側熱交換器(14)に流入させることにより、容易に第1利用側熱交換器(14)を放熱器として機能させることができる。また、これと同時に、弁制御手段(73)が制御弁(18)の開度を制御してバイパス路(26)への冷媒の流入量を調節することにより、第1利用側熱交換器(14)を通過する冷媒量を調節することができる。これにより、第1利用系統(1B)の庫内の温度を所定の温度帯に調節することができる。
【0032】
また、第4の発明によれば、バイパス路(26)を設けたことにより、第1膨張弁(13)を全閉状態にしても冷媒回路(10)において冷凍サイクルを行わせることができる。そのため、第1サーモオフ手段(76)によって制御されて第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全閉状態に制御し且つ弁制御手段(73)が制御弁(18)を開状態に制御することによって、第1利用系統(1B)の庫内の温調運転を休止させることができる。
【0033】
また、第5の発明によれば、レシーバ(15)内のガス冷媒を上記圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に導くインジェクション管(27)を設けたことにより、レシーバ(15)内に流入したガス冷媒を、該インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入させることができる。その結果、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室内の圧縮途中にある過熱蒸気を、インジェクション管(27)からの冷媒によって冷却することができる。従って、圧縮機効率を向上させることができる。
【0034】
また、第6の発明によれば、上記インジェクション管(27)を設けたことにより、第2膨張弁(16)を全閉状態にしても冷媒回路(10)において冷凍サイクルを行わせることができる。そのため、第2サーモオフ手段(77)によって、弁制御手段(73)が制御弁(18)を全閉状態に制御するように制御されると共に、第2膨張弁(16)が全閉状態に制御されることにより、第2利用系統(1C)の庫内の温調運転を休止させることができる。
【0035】
また、第7の発明によれば、第1運転時に、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)の開度を第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値となるように制御することにより、第2利用系統(1C)の入口における冷媒の圧力が一定となって低下しないため、第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差をある程度の大きさ以下とならないように保つことができる。従って、第1運転時においても、冷媒を円滑に第2利用系統(1C)に流入させて、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルを行わせることができる。
【0036】
さらに、第7の発明によれば、第2運転時には、第1膨張弁制御手段(71)が第1膨張弁(13)を全開状態に制御して、熱源側熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒を第1利用側熱交換器(14)に流入させることにより、容易に第1利用側熱交換器(14)を放熱器として機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
−全体構成−
本実施形態の冷凍装置は、ショーケース内の加熱及び冷却を行うものである。図1に示すように、冷凍装置(1)は、庫外ユニット(1A)と、ショーケース内を冷却又は加熱するホットアンドコールドユニット(以下、HCユニット(1B)と称する。)と、ショーケース内の冷却のみを行う冷却専用ユニット(以下、単に冷却ユニット(1C)と称する。)と、コントローラ(100)とを備えている。冷凍装置(1)は、庫外ユニット(1A)とHCユニット(1B)と冷却ユニット(1C)とが直列に接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。
【0039】
〈庫外ユニット〉
上記庫外ユニット(1A)は、圧縮機(11)と、本発明に係る熱源側熱交換器である庫外熱交換器(12)とを備え、熱源系統を構成している。
【0040】
圧縮機(11)は、全密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機によって構成され、内部に複数の圧縮室が形成される圧縮機構と、該圧縮機構を駆動するための電動機がケーシング内に収納されている。また、上記圧縮機(11)は、運転容量が可変に構成されている。具体的には、圧縮機(11)は、インバータ圧縮機によって構成され、インバータの出力周波数を変化させて電動機の回転速度を変化させることにより、容量可変となるように構成されている。該圧縮機(11)の運転容量(電動機の回転速度)は、後述するコントローラ(100)の圧縮機制御部(74)によって制御される。
【0041】
また、圧縮機(11)には、冷媒を吸入するための吸入ポートと、圧縮後の冷媒を吐出するための吐出ポートとが形成されている。吸入ポートにはガス管(25)の一端が接続される一方、吐出ポートには吐出管(21)の一端が接続されている。圧縮機(11)は、吸入ポートを介してガス管(25)から吸入した冷媒を圧縮室において圧縮し、吐出ポートを介して吐出管(21)に吐出する。なお、ガス管(25)の庫外ユニット(1A)内におけるHCユニット(1B)側の端部には、閉鎖弁(34)が設けられている。
【0042】
また、圧縮機(11)には、複数の圧縮室のうちの中間圧の圧縮室に開口する中間ポートが形成されている。該中間ポートには、インジェクション管(27)の一端が接続されている。インジェクション管(27)には、上記中間ポートから圧縮機(11)の中間圧の圧縮室への冷媒の流入のみを許容する逆止弁(31)が設けられている。また、インジェクション管(27)の庫外ユニット(1A)内におけるHCユニット(1B)側の端部には、閉鎖弁(33)が設けられている。
【0043】
庫外熱交換器(12)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。該庫外熱交換器(12)には、庫外ファン(12a)が近接して配置されている。庫外ファン(12a)は回転速度が可変に構成され、該回転速度は、後述するコントローラ(100)の庫外ファン制御部(75)によって制御される。庫外熱交換器(12)のガス側端部には上記吐出管(21)の他端が接続される一方、液側端部には液管(22)の一端が接続されている。液管(22)の庫外ユニット(1A)内における冷却ユニット(1C)側の端部には、閉鎖弁(32)が設けられている。
【0044】
〈HCユニット〉
上記HCユニット(1B)は、食品等(例えば、缶コーヒー)を冷却及び加熱する第1利用系統を構成している。HCユニット(1B)は、第1膨張弁(13)と、本発明に係る第1利用側熱交換器であるHC熱交換器(14)と、レシーバ(15)とを備えている。
【0045】
HC熱交換器(14)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成され、冷媒とショーケース内の空気とが熱交換するように構成されている。HC熱交換器(14)の一端側には上記液管(22)の他端が接続され、HC熱交換器(14)の他端側には流入管(23)の一端が接続されている。また、HC熱交換器(14)には、HC庫内ファン(14a)が近接して配置されている。
【0046】
第1膨張弁(13)は、液管(22)のHC熱交換器(14)付近に設けられている。第1膨張弁(13)は、開度が可変に構成されている。第1膨張弁(13)の開度は、後述するコントローラ(100)の制御手段(70)が有する第1膨張弁制御部(71)によって制御される。
【0047】
上記レシーバ(15)には、上記流入管(23)の他端と流出管(24)の一端が接続されている。レシーバ(15)は、上記流入管(23)から流入する冷媒を一時的に貯留すると共に液冷媒とガス冷媒とを分離し、液冷媒のみを流出管(24)から流出させるように構成されている。なお、流出管(24)は、冷却ユニット(1C)に向かって延びている。
【0048】
また、上記レシーバ(15)には、バイパス管(26)が接続されている。該バイパス管(26)は、一端が液管(22)の第1膨張弁(13)よりも庫外ユニット(1A)側に接続され、他端がレシーバ(15)に接続されている。つまり、バイパス管(26)は、冷媒回路(10)において第1膨張弁(13)及びHC熱交換器(14)をバイパスするように配設されている。また、バイパス管(26)には、開度が可変に構成された第3膨張弁(18)が設けられている。第3膨張弁(18)の開度は、後述するコントローラ(100)の制御手段(70)が有する第3膨張弁制御部(73)によって制御される。
【0049】
さらに、上記レシーバ(15)には、上記インジェクション管(27)の他端が接続されている。該インジェクション管(27)は、上記庫外ユニット(1A)に向かって延びている。インジェクション管(27)は、レシーバ(15)において液冷媒から分離されたガス冷媒のみを圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に導くように構成されている。
【0050】
〈冷却ユニット〉
上記冷却ユニット(1C)は、食品等を冷却する第2利用系統を構成している。冷却ユニット(1C)は、第2膨張弁(16)と、本発明に係る第2利用側熱交換器である冷蔵用熱交換器(17)とを備えている。
【0051】
冷蔵用熱交換器(17)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成され、冷媒とショーケース内の空気とが熱交換するように構成されている。冷蔵用熱交換器(17)の一端側には上記流出管(24)の他端が接続され、冷蔵用熱交換器(17)の他端側には上記ガス管(25)の他端が接続されている。また、冷蔵用熱交換器(17)には、冷蔵用庫内ファン(17a)が近接して配置されている。
【0052】
第2膨張弁(16)は、流出管(24)の冷蔵用熱交換器(17)付近に設けられている。第2膨張弁(16)は、開度が可変に構成されている。第2膨張弁(16)の開度は、後述するコントローラ(100)の制御手段(70)が有する第2膨張弁制御部(72)によって制御される。
【0053】
以上のような構成により、冷媒回路(10)では、圧縮機(11)と庫外熱交換器(12)と第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とが直列に接続されている。
【0054】
〈制御系統〉
上記冷媒回路(10)には、各種センサ及び各種スイッチが設けられている。
【0055】
上記庫外ユニット(1A)の吐出管(21)には、圧縮機(11)の吐出冷媒の圧力を検出する高圧圧力センサ(81)が設けられている。また、庫外ユニット(1A)のガス管(25)には、圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力を検出する低圧圧力センサ(82)が設けられている。さらに、庫外ユニット(1A)の庫外ファン(12a)の近傍には、外気温度を検出するための外気温度センサ(83)が設けられている。
【0056】
上記HCユニット(1B)のHC熱交換器(14)の伝熱管には、冷媒の凝縮温度又は蒸発温度を検出するための第1温度センサ(84)が設けられている。また、HCユニット(1B)の流入管(23)には、HC熱交換器(14)から流出した冷媒の温度を検出するための第1出口温度センサ(85)が設けられている。さらに、HCユニット(1B)のHC庫内ファン(14a)の近傍には、庫内の温度を検出するための第1庫内温度センサ(86)が設けられている。また、HCユニット(1B)のインジェクション管(27)には、インジェクション管(27)内の冷媒であって圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される冷媒の圧力を検出するための中間圧力センサ(87)が設けられている。
【0057】
上記冷却ユニット(1C)の冷蔵用熱交換器(17)の伝熱管には、冷媒の蒸発温度を検出するための第2温度センサ(88)が設けられている。また、冷却ユニット(1C)のガス管(25)には、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の温度を検出するための第2出口温度センサ(89)が設けられている。さらに、冷却ユニット(1C)の冷蔵用庫内ファン(17a)の近傍には、庫内の温度を検出するための第2庫内温度センサ(90)が設けられている。
【0058】
なお、上記各種センサはコントローラ(100)に接続され、該コントローラ(100)に各種センサの出力信号が入力される。
【0059】
上記コントローラ(100)は、制御手段(70)と、圧縮機制御部(74)と、庫外ファン制御部(75)とを備えている。
【0060】
上記制御手段(70)は、上述の第1膨張弁制御部(71)、第2膨張弁制御部(72)及び第3膨張弁制御部(73)を有している。上述のように、第1膨張弁制御部(71)が第1膨張弁(13)の開度を制御し、第2膨張弁制御部(72)が第2膨張弁(16)の開度を制御し、第3膨張弁制御部(73)が第3膨張弁(18)の開度を制御するように構成されている。制御手段(70)は、これらの第1〜第3膨張弁制御部(71,72,73)によって各膨張弁(13,16,18)の開度を制御することによって、主として上記冷媒回路(10)において行われる冷凍サイクルを切り換える。
【0061】
上記圧縮機制御部(74)は、主として上記冷媒回路(10)において上記制御手段(70)によって切り換えられる冷凍サイクルを好適に行うために、圧縮機(11)の運転容量(電動機の回転速度)を制御する。
【0062】
上記庫外ファン制御部(75)は、上記圧縮機制御部(74)と同様に、主として上記冷媒回路(10)において上記制御手段(70)によって切り換えられる冷凍サイクルを好適に行うために、庫外ファン(12a)の回転速度を制御する。
【0063】
また、コントローラ(100)は、HCユニット(1B)のショーケース内の温調運転を休止させるための第1サーモオフ手段(76)と、冷却ユニット(1C)のショーケース内の温調運転を休止させるための第2サーモオフ手段(77)とを備えている。
【0064】
−運転動作−
冷凍装置(1)では、HCユニット(1B)及び冷却ユニット(1C)のショーケース内を冷却する冷却運転と、HCユニット(1B)のショーケース内を加熱し且つ冷却ユニット(1C)のショーケース内を冷却する加熱冷却運転とが行われる。
【0065】
また、冷凍装置(1)では、上記第1サーモオフ手段(76)によって、上記HCユニット(1B)のショーケース内の温調運転(加熱又は冷却)を休止して冷却ユニット(1C)のショーケース内の温調(冷却)のみを行う第1サーモオフ運転が行われる。さらに、冷凍装置(1)では、上記第2サーモオフ手段(77)によって、冷却ユニット(1C)のショーケース内の温調運転(冷却)を休止してHCユニット(1B)のショーケース内の温調(冷却)のみを行う第2サーモオフ運転とが行われる。以下、それぞれの運転動作について詳述する。
【0066】
〈冷却運転〉
冷却運転は、制御手段(70)の第1膨張弁制御部(71)が、冷媒回路(10)において庫外熱交換器(12)が放熱器として機能し且つHC熱交換器(14)及び冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われるように第1膨張弁(13)の開度を制御することによって切り換えられる。
【0067】
具体的には、第1膨張弁制御部(71)は、HC熱交換器(14)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第1膨張弁(13)の開度を制御する。例えば、第1膨張弁制御部(71)は、第1出口温度センサ(85)の検出値が第1温度センサ(84)の検出値よりも所定値(例えば、5℃)だけ高くなるように第1膨張弁(13)の開度を制御する。
【0068】
また、このとき、第2膨張弁制御部(72)は、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第2膨張弁(16)の開度を制御する。例えば、第2膨張弁制御部(72)は、第2出口温度センサ(89)の検出値が第2温度センサ(88)の検出値よりも所定値(例えば、5℃)だけ高くなるように第2膨張弁(16)の開度を制御する。
【0069】
また、第3膨張弁制御部(73)は、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値以上となるように第3膨張弁(18)の開度を制御する。例えば、第3膨張弁制御部(73)は、中間圧力センサ(87)の検出値(中間圧力)と低圧圧力センサ(82)の検出値(低圧圧力)とを参照し、中間圧力と低圧圧力との差圧が所定値(7kPa)よりも大きくなるように第3膨張弁(18)の開度を制御する。
【0070】
また、圧縮機制御部(74)は、低圧圧力センサ(82)の検出値を参照し、該検出値が所定値となるように圧縮機(11)の運転容量(電動機の回転速度)を制御する。なお、所定値は、例えば、冷却ユニット(1C)の庫内設定温度よりも10℃だけ低い温度に相当する飽和圧力(温度相当飽和圧力)とする。
【0071】
また、庫外ファン制御部(75)は、外気温度センサ(83)の検出値、高圧圧力センサ(81)の検出値及び低圧圧力センサ(82)の検出値を参照する。そして、庫外ファン制御部(75)は、高圧圧力センサ(81)の検出値(高圧圧力)に相当する飽和温度(高圧圧力相当飽和温度)から外気温度を減じた値が所定値(例えば、15℃)以下となり且つ高圧圧力センサ(81)の検出値(高圧圧力)と低圧圧力センサ(82)の検出値(低圧圧力)との差圧が所定値(例えば、10kPa)よりも大きくなるように、庫外ファン(12a)の回転速度を制御する。
【0072】
以上のような制御により、圧縮機(11)において圧縮された高温高圧のガス冷媒は、吐出管(21)を介して庫外熱交換器(12)に流入する。庫外熱交換器(12)では、冷媒が庫外空気に放熱する。そして、冷媒は、液管(22)を介してHCユニット(1B)に流入する。
【0073】
HCユニット(1B)において、冷媒は第1膨張弁(13)に流入し、第1膨張弁(13)によって減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。そして、HC熱交換器(14)に流入し、該HC熱交換器(14)においてショーケース内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、HCユニット(1B)のショーケース内の空気が冷却される。
【0074】
なお、本実施形態では、上述のように、第1膨張弁制御部(71)により、HC熱交換器(14)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第1膨張弁(13)の開度が制御される。そのため、冷媒は、HC熱交換器(14)において全て蒸発してガス冷媒となり、流入管(23)を介してレシーバ(15)に流入する。
【0075】
また、本実施形態では、上述のように、第3膨張弁制御部(73)により、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値以上となるように第3膨張弁(18)の開度が制御される。そのため、HCユニット(1B)に流入した冷媒は、バイパス管(26)にも流入し、第3膨張弁(18)において減圧された後、レシーバ(15)に流入する。
【0076】
流入管(23)及びバイパス管(26)を介してレシーバ(15)に流入した冷媒は、レシーバ(15)において気液が分離される。そして、液冷媒と分離されたガス冷媒は、インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される。一方、液冷媒は、流出管(24)に流入する。
【0077】
流出管(24)に流入した冷媒は、冷却ユニット(1C)に流入し、第2膨張弁(16)において減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。該低温且つ低圧の冷媒は冷蔵用熱交換器(17)に流入し、該冷蔵用熱交換器(17)においてショーケース内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、冷却ユニット(1C)のショーケース内の空気が冷却される。
【0078】
なお、上述のように、第2膨張弁制御部(72)により、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第2膨張弁(16)の開度が制御される。そのため、冷媒は、冷蔵用熱交換器(17)において全て蒸発してガス冷媒となり、ガス管(25)を介して吸入ポートから圧縮機(11)に吸入される。そして、冷媒は、圧縮機(11)において再度圧縮されて吐出管(21)に吐出される。
【0079】
なお、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室には、上記インジェクション管(27)を介して中間圧のガス冷媒が吸入される。これにより、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室内の圧縮途中にある過熱蒸気が、インジェクション管(27)からの冷媒によって冷却される。その結果、圧縮機効率が向上する。
【0080】
以上の動作が繰り返されることにより、HCユニット(1B)のショーケース内及び冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される。
【0081】
〈加熱冷却運転〉
加熱冷却運転は、制御手段(70)の第1膨張弁制御部(71)が、冷媒回路(10)において庫外熱交換器(12)及びHC熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われるように第1膨張弁(13)の開度を制御することによって切り換えられる。
【0082】
具体的には、第1膨張弁制御部(71)は、第1膨張弁(13)の開度を全開状態に制御する。
【0083】
また、このとき、第2膨張弁制御部(72)は、上記冷却運転時と同様に第2膨張弁(16)の開度を制御する。
【0084】
また、第3膨張弁制御部(73)は、HCユニット(1B)のショーケース内の温度が所定の目標温度帯(例えば、40℃〜45℃)となるように第3膨張弁(18)の開度を制御する。例えば、第3膨張弁制御部(73)は、第1庫内温度センサ(86)の検出値を参照し、HCユニット(1B)のショーケース内の空気温度が目標温度帯内にあるときには第3膨張弁(18)を全閉状態に制御する一方、ショーケース内の空気温度が目標温度帯の上限値(例えば、45℃)を越えているときには第3膨張弁(18)を所定開度だけ開く。
【0085】
また、圧縮機制御部(74)は、冷却運転時と同様にして圧縮機(11)の運転容量(電動機の回転速度)を制御する。
【0086】
また、庫外ファン制御部(75)は、第1庫内温度センサ(86)の検出値を参照し、HCユニット(1B)のショーケース内の空気温度が目標温度帯(例えば、40℃〜45℃)内の温度となるように、庫外ファン(12a)の回転速度を制御する。
【0087】
以上のような制御により、圧縮機(11)において圧縮された高温高圧のガス冷媒は、吐出管(21)を介して庫外熱交換器(12)に流入する。庫外熱交換器(12)では、冷媒が庫外空気に放熱する。そして、冷媒は、液管(22)を介してHCユニット(1B)に流入する。
【0088】
HCユニット(1B)において、冷媒は全開状態の第1膨張弁(13)において減圧されずに比較的高い温度のままHC熱交換器(14)に流入する。そして、冷媒は、該HC熱交換器(14)においてショーケース内の空気に放熱する。これにより、HCユニット(1B)のショーケース内の空気が加熱される。そして、HC熱交換器(14)から流出した冷媒は、流入管(23)を介してレシーバ(15)に流入する。
【0089】
なお、HCユニット(1B)のショーケース内の空気温度が目標温度帯(例えば、40℃〜45℃)内にあるときには第3膨張弁(18)は全閉状態にあるため、冷媒はバイパス管(26)に流入しない。一方、HCユニット(1B)のショーケース内の空気温度が目標温度帯(例えば、40℃〜45℃)の上限値(例えば、45℃)を越えたときには第3膨張弁(18)が開かれているため、HCユニット(1B)に流入した冷媒の一部がバイパス管(26)に流入し、第3膨張弁(18)において減圧された後、レシーバ(15)に流入する。これにより、HC熱交換器(14)に流入する冷媒量が減少し、HC熱交換器(14)における冷媒の放熱量が減少する。その結果、HCユニット(1B)のショーケース内の空気温度が徐々に低下して目標温度帯に近づくこととなる。
【0090】
レシーバ(15)に流入した冷媒は、該レシーバ(15)において気液が分離される。そして、液冷媒と分離されたガス冷媒は、インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される。一方、液冷媒は、流出管(24)に流入する。
【0091】
流出管(24)に流入した冷媒は、冷却ユニット(1C)に流入し、第2膨張弁(16)において減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。該低温且つ低圧の冷媒は冷蔵用熱交換器(17)に流入し、該冷蔵用熱交換器(17)においてショーケース内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、冷却ユニット(1C)のショーケース内の空気が冷却される。
【0092】
なお、上述のように、第2膨張弁制御部(72)により、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第2膨張弁(16)の開度が制御される。そのため、冷媒は、冷蔵用熱交換器(17)において全て蒸発してガス冷媒となり、ガス管(25)を介して吸入ポートから圧縮機(11)に吸入される。そして、冷媒は、圧縮機(11)において再度圧縮されて吐出管(21)に吐出される。
【0093】
なお、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室には、上記インジェクション管(27)を介して中間圧のガス冷媒が吸入される。これにより、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室内の圧縮途中にある過熱蒸気が、インジェクション管(27)からの冷媒によって冷却される。その結果、圧縮機効率が向上する。
【0094】
以上の動作が繰り返されることにより、HCユニット(1B)のショーケース内が加熱される一方、冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される。
【0095】
〈第1サーモオフ運転〉
第1サーモオフ運転は、上記冷却運転時及び加熱冷却運転時に、上記第1サーモオフ手段(76)が、第1膨張弁制御部(71)が第1膨張弁(13)を全閉状態に制御し、第3膨張弁制御部(73)が第3膨張弁(18)を全開状態に制御するように該第1膨張弁制御部(71)及び第3膨張弁制御部(73)を制御することによって切り換えられる。
【0096】
また、このとき、第2膨張弁制御部(72)及び圧縮機制御部(74)による制御は冷却運転時及び加熱冷却運転時と同様であり、庫外ファン制御部(75)による制御は冷却運転時と同様である。
【0097】
以上のような制御により、冷媒回路(10)において図2に示すように冷媒が循環する。
【0098】
具体的には、上記冷却運転時及び加熱冷却運転時と同様にして、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、庫外熱交換器(12)を通過してHCユニット(1B)に流入する。
【0099】
HCユニット(1B)において、冷媒は、第1膨張弁(13)が全閉状態となっているためにHC熱交換器(14)に流入せずにバイパス管(26)のみに流入する。バイパス管(26)に流入した冷媒は、第3膨張弁(18)が全開状態に制御されているために第3膨張弁(18)によって減圧されることなくレシーバ(15)に流入する。このようにして、HCユニット(1B)において、冷媒は、HC熱交換器(14)を迂回してレシーバ(15)に流入する。
【0100】
その後の冷媒の動作は、上記冷却運転時及び加熱冷却運転時と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
以上の動作により、HCユニット(1B)のショーケース内の加熱又は冷却が休止される一方、冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される。
【0102】
〈第2サーモオフ運転〉
第2サーモオフ運転は、上記冷却運転時に、上記第2サーモオフ手段(77)が、第2膨張弁制御部(72)が第2膨張弁(16)を全閉状態に制御し、第3膨張弁制御部(73)が第3膨張弁(18)を全閉状態に制御するように該第2膨張弁制御部(72)及び第3膨張弁制御部(73)を制御することによって切り換えられる。
【0103】
また、このとき、第1膨張弁制御部(71)による制御は上記冷却運転時と同様である。
【0104】
また、庫外ファン制御部(75)は、外気温度センサ(83)の検出値、高圧圧力センサ(81)の検出値及び中間圧力センサ(87)の検出値を参照する。そして、庫外ファン制御部(75)は、高圧圧力センサ(81)の検出値(高圧圧力)に相当する飽和温度(高圧圧力相当飽和温度)から外気温度を減じた値が所定値(例えば、15℃)以下となり且つ高圧圧力センサ(81)の検出値(高圧圧力)と中間圧力センサ(87)の検出値との差が所定値(例えば、10kPa)よりも大きくなるように、庫外ファン(12a)の回転速度を制御する。
【0105】
以上のような制御により、冷媒回路(10)において図3に示すように冷媒が循環する。
【0106】
具体的には、上記冷却運転時と同様にして、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、庫外熱交換器(12)を通過してHCユニット(1B)に流入し、HC熱交換器(14)においてショーケース内の空気から吸熱して該ショーケース内を冷却する。そして、HC熱交換器(14)から流出したガス冷媒は、レシーバ(15)に流入する。
【0107】
なお、第3膨張弁(18)は全閉状態に制御されているため、HCユニット(1B)に流入した冷媒はバイパス管(26)には流入しない。
【0108】
レシーバ(15)に流入したガス冷媒は、レシーバ(15)からインジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入される。そして、該冷媒は、圧縮室において圧縮されて吐出管(21)に吐出される。
【0109】
なお、第2膨張弁(16)が全閉状態となっているため、レシーバ(15)の冷媒は冷蔵用熱交換器(17)には流入しない。
【0110】
以上の動作により、HCユニット(1B)のショーケース内が冷却され、冷却ユニット(1C)のショーケース内の温調(冷却)が休止される。
【0111】
−実施形態1の効果−
本冷凍装置(1)によれば、圧縮機(11)と庫外熱交換器(12)と第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とを直列に接続したことにより、HCユニット(1B)及び冷却ユニット(1C)のショーケース内が共に冷却される冷却運転と、HCユニット(1B)のショーケース内が加熱され且つ冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される加熱冷却運転とを、単に第1膨張弁(13)の開度を制御して第1膨張弁(13)における減圧量を調節することによって切り換えることができる。そのため、冷却運転と加熱冷却運転とを切り換えるために異なる流路及び流路切換手段を用いる必要がなく、冷媒回路(10)の構成を容易化することができる。従って、本冷凍装置(1)によれば、ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置(1)を容易に構成することができる。
【0112】
ところで、冷却運転時には、HC熱交換器(14)が蒸発器として機能するため、該HC熱交換器(14)を通過した冷媒の少なくとも一部はガス冷媒となっている。このようなガス冷媒がそのまま第2膨張弁(16)に流入すると、蒸発器として機能する冷蔵用熱交換器(17)に流入する冷媒量が急激に低下して冷蔵用熱交換器(17)における冷媒の吸熱量が小さくなる。その結果、冷却ユニット(1C)の冷却能力が低下することとなる。
【0113】
しかしながら、本冷凍装置(1)によれば、HC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)との間にレシーバ(15)が設けられている。その結果、HC熱交換器(14)を通過した冷媒を該レシーバ(15)において気液分離することができ、第2膨張弁(16)に液冷媒のみを流入させることができる。従って、HC熱交換器(14)が蒸発器として機能する冷却運転時においても、冷媒回路(10)の冷凍能力の低下を防止することができる。
【0114】
また、本冷凍装置(1)では、圧縮機(11)と庫外熱交換器(12)と第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とが直列に接続されている。そのため、例えば、冷却運転時に、第1膨張弁(13)の開度をHC熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように制御することとすると、第1膨張弁(13)の開度がHCユニット(1B)のショーケース内の負荷変動に応じて調節されてHC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力もショーケース内の負荷変動に応じて変動する。そのため、ショーケース内の負荷によっては、HC熱交換器(14)の蒸発圧力が過度に低下し、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が小さくなってしまうことがある。このような場合、冷媒が冷却ユニット(1C)に流入し難くなり、冷媒回路(10)において冷凍サイクルを正常に行えなくなる。
【0115】
しかしながら、本冷凍装置(1)では、第1膨張弁(13)及びHC熱交換器(14)をバイパスするバイパス管(26)が設けられると共に、冷却運転時には、第1膨張弁制御部(71)によって、HC熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように第1膨張弁(13)の開度を制御すると共に、第3膨張弁制御部(73)によって、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように第3膨張弁(18)の開度を制御することとしている。そのため、冷却運転時に、第1膨張弁(13)の開度をHCユニット(1B)のショーケース内の負荷変動に応じて制御することができる。また、冷却運転時に、第1膨張弁(13)の開度が小さく調節されてHC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が過度に低下しても、第3膨張弁制御部(73)によって第3膨張弁(18)の開度を制御してバイパス管(26)への冷媒の流入量を調節することにより、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように調節することができる。従って、冷却運転時においても、冷媒を円滑に冷却ユニット(1C)に流入させることができ、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルを行わせることができる。
【0116】
また、本冷凍装置(1)によれば、加熱冷却運転時に、第1膨張弁制御部(71)が第1膨張弁(13)を全開状態に制御して、庫外熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒をHC熱交換器(14)に流入させることにより、容易にHC熱交換器(14)を放熱器として機能させることができる。また、これと同時に、第3膨張弁制御部(73)によって第3膨張弁(18)の開度を制御することにより、HC熱交換器(14)を通過する冷媒量を調節して、HCユニット(1B)のショーケース内の温度を所定の温度帯に調節することができる。
【0117】
さらに、本冷凍装置(1)によれば、バイパス管(26)が設けられているため、第1膨張弁(13)を全閉状態にしても冷媒回路(10)において冷凍サイクルを行わせることができる。そのため、第1膨張弁(13)を全閉状態に制御し且つ第3膨張弁(18)を全開状態に制御することによって、HCユニット(1B)のショーケース内の温調運転を休止させることができる。
【0118】
また、本冷凍装置(1)によれば、レシーバ(15)内のガス冷媒を上記圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に導くインジェクション管(27)を設けたことにより、レシーバ(15)内に流入したガス冷媒を、該インジェクション管(27)を介して圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に吸入させることができる。その結果、圧縮機(11)の中間圧の圧縮室内の圧縮途中にある過熱蒸気を、インジェクション管(27)からの冷媒によって冷却することができる。従って、圧縮機効率を向上させることができる。
【0119】
さらに、本冷凍装置(1)によれば、上記インジェクション管(27)を設けたことにより、第2膨張弁(16)を全閉状態にしても冷媒回路(10)において冷凍サイクルを行わせることができる。そのため、第2膨張弁(16)を全閉状態に制御すると共に第3膨張弁(18)を全閉状態に制御することにより、冷却ユニット(1C)のショーケース内の温調運転を休止させることができる。
【0120】
なお、本実施形態1では、上記第1サーモオフ運転において、第3膨張弁(18)の開度は全開状態に制御することとしていたが、第3膨張弁(18)の開度は必ずしも全開状態に制御する必要はなく、冷媒が円滑に流通する程度に絞られていてもよい。また、レシーバ(15)内の液量に応じて開度が調節されてもよい。
【0121】
《実施形態2》
図4に示すように、実施形態2の冷凍装置(1)は、実施形態1の冷凍装置(1)からバイパス管(26)、第3膨張弁(18)及びインジェクション管(27)を排除したものである。
【0122】
実施形態2では、コントローラ(100)は、実施形態1のコントローラ(100)が有していた第1サーモオフ手段(76)及び第2サーモオフ手段(77)を有していない。また、制御手段(70)は、第3膨張弁制御部(73)を備えていない。その他は実施形態1と同様に構成されている。
【0123】
−運転動作−
実施形態2の冷凍装置(1)では、実施形態1と同様に冷却運転と加熱冷却運転とを行う。しかし、第1サーモオフ手段(76)及び第2サーモオフ手段(77)を有していないため、実施形態1のように第1サーモオフ運転及び第2サーモオフ運転を行うことはできない。以下、それぞれの運転動作について詳述する。
【0124】
〈冷却運転〉
冷却運転は、制御手段(70)の第1膨張弁制御部(71)が、冷媒回路(10)において庫外熱交換器(12)が放熱器として機能し且つHC熱交換器(14)及び冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われるように第1膨張弁(13)の開度を制御することによって切り換えられる。
【0125】
具体的には、第1膨張弁制御部(71)は、第1温度センサ(84)の検出値(蒸発温度)からHC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力を算出し、該蒸発圧力が所定値(目標中間圧力)となるように第1膨張弁(13)の開度を制御する。
【0126】
なお、第2膨張弁制御部(72)、圧縮機制御部(74)及び庫外ファン制御部(75)による制御は実施形態1の冷却運転時と同様であるため説明を省略する。
【0127】
以上のような制御により、圧縮機(11)において圧縮された高温高圧のガス冷媒は、吐出管(21)を介して庫外熱交換器(12)に流入する。庫外熱交換器(12)では、冷媒が庫外空気に放熱する。そして、冷媒は、液管(22)を介してHCユニット(1B)に流入する。
【0128】
HCユニット(1B)において、冷媒は第1膨張弁(13)に流入し、第1膨張弁(13)によって減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。そして、HC熱交換器(14)に流入し、該HC熱交換器(14)においてショーケース内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、HCユニット(1B)のショーケース内の空気が冷却される。そして、HC熱交換器(14)から流出したガス冷媒は、流入管(23)を介してレシーバ(15)に流入する。
【0129】
流入管(23)及びバイパス管(26)を介してレシーバ(15)に流入した冷媒は、レシーバ(15)において気液が分離される。そして、レシーバ(15)内の液冷媒のみが流出管(24)に流入する。
【0130】
なお、上述のように、第1膨張弁制御部(71)により、HC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値(目標中間圧力)となるように第1膨張弁(13)の開度が制御される。つまり、冷却ユニット(1C)の入口の冷媒の圧力が所定値(目標中間圧力)に保たれている。そのため、冷媒は、流出管(24)を介して円滑に冷却ユニット(1C)に流入する。
【0131】
冷却ユニット(1C)に流入した冷媒は、第2膨張弁(16)において減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。該低温且つ低圧の冷媒は冷蔵用熱交換器(17)に流入し、該冷蔵用熱交換器(17)においてショーケース内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、冷却ユニット(1C)のショーケース内の空気が冷却される。
【0132】
なお、上述のように、第2膨張弁制御部(72)により、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第2膨張弁(16)の開度が制御される。そのため、冷媒は、冷蔵用熱交換器(17)において全て蒸発してガス冷媒となり、ガス管(25)を介して吸入ポートから圧縮機(11)に吸入される。そして、冷媒は、圧縮機(11)において再度圧縮されて吐出管(21)に吐出される。
【0133】
以上の動作が繰り返されることにより、HCユニット(1B)のショーケース内及び冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される。
【0134】
〈加熱冷却運転〉
加熱冷却運転は、制御手段(70)の第1膨張弁制御部(71)が、冷媒回路(10)において庫外熱交換器(12)及びHC熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ冷蔵用熱交換器(17)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われるように第1膨張弁(13)の開度を制御することによって切り換えられる。具体的には、第1膨張弁(13)の開度を全開状態に制御する。
【0135】
なお、第2膨張弁制御部(72)、圧縮機制御部(74)及び庫外ファン制御部(75)による制御は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0136】
以上のような制御により、上記冷却運転時と同様にして、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、庫外熱交換器(12)を通過してに流入する。庫外熱交換器(12)では、冷媒が庫外空気に放熱する。そして、冷媒は、液管(22)を介してHCユニット(1B)に流入する。
【0137】
HCユニット(1B)において、冷媒は全開状態の第1膨張弁(13)において減圧されずに比較的高い温度のままHC熱交換器(14)に流入する。そして、冷媒は、該HC熱交換器(14)においてショーケース内の空気に放熱する。これにより、HCユニット(1B)のショーケース内の空気が加熱される。そして、HC熱交換器(14)から流出した冷媒は、流入管(23)を介してレシーバ(15)に流入する。
【0138】
レシーバ(15)に流入した冷媒は、該レシーバ(15)において気液が分離される。そして、レシーバ(15)内の液冷媒のみが流出管(24)に流入する。
【0139】
流出管(24)に流入した冷媒は、冷却ユニット(1C)に流入し、第2膨張弁(16)において減圧されて低温且つ低圧の冷媒となる。該低温且つ低圧の冷媒は冷蔵用熱交換器(17)に流入し、該冷蔵用熱交換器(17)においてショーケース内の空気に放熱して蒸発する。これにより、冷却ユニット(1C)のショーケース内の空気が冷却される。
【0140】
なお、上述のように、第2膨張弁制御部(72)により、冷蔵用熱交換器(17)から流出した冷媒の過熱度が所定値(例えば、5℃)となるように第2膨張弁(16)の開度が制御される。そのため、冷媒は、冷蔵用熱交換器(17)において全て蒸発してガス冷媒となり、ガス管(25)を介して吸入ポートから圧縮機(11)に吸入される。そして、冷媒は、圧縮機(11)において再度圧縮されて吐出管(21)に吐出される。
【0141】
以上の動作が繰り返されることにより、HCユニット(1B)のショーケース内が加熱される一方、冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される。
【0142】
以上により、実施形態2の冷凍装置(1)によっても、庫外ユニット(1A)とHCユニット(1B)と冷却ユニット(1C)とを直列に接続したことにより、HCユニット(1B)及び冷却ユニット(1C)のショーケース内が共に冷却される冷却運転と、HCユニット(1B)のショーケース内が加熱され且つ冷却ユニット(1C)のショーケース内が冷却される加熱冷却運転とを、単にHCユニット(1B)の第1膨張弁(13)の開度を制御することによって切り換えることができる。そのため、冷却運転と加熱冷却運転とを切り換えるために異なる流路及び流路切換手段を用いる必要がなく、冷媒回路(10)の構成を容易化することができる。従って、実施形態2によっても、庫内の加熱又は冷却を行うホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置(1)を容易に構成することができる。
【0143】
ところで、実施形態2の冷凍装置(1)も、実施形態1と同様に、圧縮機(11)と庫外熱交換器(12)と第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とが直列に接続されている。そのため、例えば、冷却運転時に、第1膨張弁(13)の開度をHCユニット(1B)のショーケース内の負荷変動に応じて制御すると、HC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力がショーケース内の負荷変動に応じて変動する。そのため、ショーケース内の負荷によっては、HC熱交換器(14)の蒸発圧力が過度に低下し、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が小さくなってしまうことがある。このような場合、冷媒が冷却ユニット(1C)に流入し難くなり、冷媒回路(10)において冷凍サイクルを正常に行えなくなる。
【0144】
しかしながら、実施形態2の冷凍装置(1)では、冷却運転時に、第1膨張弁(13)の開度をHC熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値(目標中間圧力)となるように制御することにより、冷却ユニット(1C)の入口における冷媒の圧力が一定となって低下しない。そのため、実施形態2の冷凍装置(1)によれば、冷却ユニット(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差をある程度の大きさ以下とならないように保つことができる。従って、冷却運転時においても、冷媒を円滑に冷却ユニット(1C)に流入させて、冷媒回路(10)において円滑に冷凍サイクルを行わせることができる。
【0145】
また、実施形態2の冷凍装置(1)によれば、加熱冷却運転時には、第1膨張弁(13)を全開状態に制御して、庫外熱交換器(12)から流出して減圧されないままの比較的温度の高い冷媒をHC熱交換器(14)に流入させることにより、容易にHC熱交換器(14)を放熱器として機能させることができる。
【0146】
《その他の実施形態》
本発明に係る冷凍装置は、実施形態1の冷凍装置(1)からインジェクション管(27)及び第2サーモオフ手段(77)を排除したものであってもよい。なお、この場合、実施形態1の中間圧力センサ(87)は、流出管(24)の冷却ユニット(1C)の入口付近に設けることとする。
【0147】
このような冷凍装置(1)では、実施形態1と同様にして、冷却運転と、加熱冷却運転と、第1サーモオフ運転とを行うことができる。しかし、第2サーモオフ運転を行うことはできない。そして、このような冷凍装置(1)によっても、庫内の加熱又は冷却を行うホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置(1)を容易に構成することができる。
【0148】
また、本発明に係る冷凍装置は、実施形態2の冷凍装置(1)に実施形態1のインジェクション管(27)及び第2サーモオフ手段(77)を追加したものであってもよい。
【0149】
このような冷凍装置(1)では、実施形態2と同様にして、冷却運転と、加熱冷却運転とを行うことができる。また、実施形態1と同様にして、第2サーモオフ運転を行うことができるが、第1サーモオフ運転を行うことはできない。そして、このような冷凍装置(1)によっても、庫内の加熱又は冷却を行うホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置(1)を容易に構成することができる。
【0150】
さらに、上記各実施形態では、本発明に係る第2利用系統はショーケース内の食品等の冷蔵を行う冷蔵用熱交換器(17)を備えた冷却ユニット(1C)によって構成されていた。しかしながら、第2利用系統は、ショーケース内の食品等の冷凍を行う冷凍用熱交換器を備えた冷凍ユニットによって構成されていてもよい。
【0151】
また、上記各実施形態では、本発明に係る第1利用系統と第2利用系統とがそれぞれ1つずつ設けられていたが、第1利用系統が複数設けられ、これらが並列に配設されたものであってもよい。又、第2利用系統が複数設けられ、これらが並列に配設されたものであってもよい。さらには、第1利用系統が複数設けられて並列に配設されると共に、第2利用系統も複数設けられて並列に配設されたものであってもよい。なお、ここで言う第1利用系統は、上記HCユニット(1B)の第1膨張弁(13)とHC熱交換器(14)とを有するものであって、バイパス管(26)及びレシーバ(15)を有さないものを指し、第2利用系統は、冷却ユニット(1C)の第2膨張弁(16)と冷蔵用熱交換器(17)とを有するものを指す。
【0152】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上説明したように、本発明は、冷凍装置に関し、特に、加熱と冷却とを切り換えて行う所謂ホットアンドコールド対応のショーケースを備えた冷凍装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、実施形態1に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る冷凍装置の第1サーモオフ運転時の動作を示す冷媒回路図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る冷凍装置の第2サーモオフ運転時の動作を示す冷媒回路図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態2に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【符号の説明】
【0155】
1 冷凍装置
1A 庫外ユニット(熱源系統)
1B HCユニット(第1利用系統)
1C 冷却ユニット(第2利用系統)
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 庫外熱交換器(熱源側熱交換器)
13 第1膨張弁
14 HC熱交換器(第1利用側熱交換器)
15 レシーバ
16 第2膨張弁
17 冷蔵用熱交換器(第2利用側熱交換器)
18 第3膨張弁(制御弁)
26 バイパス管(バイパス路)
27 インジェクション管
71 第1膨張弁制御部(第1膨張弁制御手段)
72 第2膨張弁制御部
73 第3膨張弁制御部(弁制御手段)
76 第1サーモオフ手段
77 第2サーモオフ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(11)及び熱源側熱交換器(12)を有する熱源系統(1A)と、第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)を有する第1利用系統(1B)と、第2膨張弁(16)及び第2利用側熱交換器(17)を有する第2利用系統(1C)とが接続された冷媒回路(10)を備えた冷凍装置であって、
上記圧縮機(11)と熱源側熱交換器(12)と第1膨張弁(13)と第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)と第2利用側熱交換器(17)とが直列に接続され、
上記熱源側熱交換器(12)が放熱器として機能し且つ上記第1利用側熱交換器(14)及び第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する第1運転と、上記熱源側熱交換器(12)及び第1利用側熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ上記第2利用側熱交換器(17)が蒸発器として機能する第2運転とに上記冷媒回路(10)が切り換わるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御する第1膨張弁制御手段(71)を備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記冷媒回路(10)の上記第1利用側熱交換器(14)と第2膨張弁(16)との間には、レシーバ(15)が設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記冷媒回路(10)には、上記第1膨張弁(13)及び第1利用側熱交換器(14)をバイパスするバイパス路(26)が設けられると共に、該バイパス路(26)には開度の可変な制御弁(18)が設けられ、
上記第1膨張弁制御手段(71)は、上記第1運転時に上記第1利用側熱交換器(14)の出口の冷媒過熱度が所定値となるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御し、上記第2運転時に上記第1膨張弁(13)を全開状態に制御するように構成される一方、
上記第1運転時に上記第2利用系統(1C)の入口と出口の冷媒の圧力差が所定値よりも大きくなるように上記制御弁(18)の開度を制御し、上記第2運転時に上記第1利用系統(1B)の庫内温度が所定の温度帯となるように上記制御弁(18)の開度を制御する弁制御手段(73)を備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記第1膨張弁制御手段(71)が上記第1膨張弁(13)を全閉状態に制御すると共に、上記弁制御手段(73)が上記制御弁(18)を開状態に制御するように該第1膨張弁制御手段(71)及び弁制御手段(73)を制御し、上記第1利用系統(1B)の温調運転を休止させる第1サーモオフ手段(76)を備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
上記冷媒回路(10)には、上記レシーバ(15)内のガス冷媒を上記圧縮機(11)の中間圧の圧縮室に導くインジェクション管(27)が接続されている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記第1運転時に、上記弁制御手段(73)が上記制御弁(18)を全閉状態に制御するように該弁制御手段(73)を制御すると共に、上記第2膨張弁(16)を全閉状態に制御し、上記第2利用系統(1C)の温調運転を休止させる第2サーモオフ手段(77)を備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
請求項1又は2において、
上記第1膨張弁制御手段(71)は、上記第1運転時には第1利用側熱交換器(14)における冷媒の蒸発圧力が所定値となるように上記第1膨張弁(13)の開度を制御する一方、上記第2運転時には上記第1膨張弁(13)を全開状態に制御するように構成されている
ことを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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