説明

冷凍食品及び冷凍食品の製造方法

【課題】 常温において、長時間低温を維持し、風味を維持することができ、傷みにくく、輸送・保存の際に扱いやすい果実または野菜を提供することを目的とする。
【解決手段】 巨峰2(果実または野菜)が冷凍された冷凍食品1であって、包装袋3で包装されていることを特徴とする。また、巨峰2は、皮付きの状態で房からはずされてエアシャワー・中性洗剤等で洗浄され、−70℃以上−30℃以下にて急速冷凍されたものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品及び冷凍食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、果実または野菜はスーパーマーケットや八百屋にてそのまま並べられて提供されている。通常はこれらの果実または野菜は家庭にて冷蔵保存され、供食される直前に洗浄・皮剥き等の加工がされるのが一般的であった。
また、従来からハンバーグやグラタン等の料理の冷凍食品が知られている。これらの冷凍食品は店頭・家庭の冷凍庫で冷凍保存され、鍋・オーブン等で加熱処理が施され、供食されるのが一般的であった。
【特許文献1】特開平09−220077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これでは次のような不都合があった。
多くの果実または野菜は常温より低い温度で供食されるのに適しており、直前まで冷蔵庫で保存する必要があった。したがって、長時間常温下に置くことは、風味が落ちるため望ましくなかった。
また、果実または野菜は柔らかいものが多いため、傷つきやすく、傷んだ部分から腐ってしまうことがあるため輸送・保存の際に扱い難かった。
また、従来の冷凍食品は解凍の際に加熱処理をする必要があり面倒であった。
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記問題点を解決できる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、果実または野菜が冷凍された冷凍食品であって、
包装されていることを特徴とする冷凍食品に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記果実または野菜は加工されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍食品に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記果実または野菜は−30℃以下で冷凍され、前記冷凍が行われた後、−25℃以下で保存されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍食品に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記果実または野菜は密閉可能な包装袋に封入され、
前記包装袋に不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の冷凍食品に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記果実または野菜は巨峰であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の冷凍食品に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、冷凍食品の製造方法であって、果実または野菜を冷凍し、
前記果実または野菜を包装することを特徴とする冷凍食品の製造方法に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記果実または野菜を加工することを特徴とする請求項6記載の冷凍食品の製造方法に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記果実または野菜を−30℃以下で冷凍し、前記冷凍を行った後、前記果実または野菜を−25℃以下で保存することを特徴とする請求項6または7記載の冷凍食品の製造方法に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、前記果実または野菜を密閉可能な包装袋で包装し、
前記包装袋に不活性ガスを充填することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか記載の冷凍食品の製造方法に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、前記果実または野菜は巨峰であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか記載の冷凍食品の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、果実または野菜が冷凍されているため、常温(15℃から25℃)下にあっても長時間果実または野菜の風味を維持することできる。
また、冷凍され、硬いため傷みにくい。したがって輸送・保存の際に扱いやすい。
さらに、自然解凍のみで供食温度となるため、加熱処理をする必要がなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施の形態にかかる冷凍食品1は、巨峰2(果実または野菜)が冷凍された冷凍食品1であって、包装袋3で包装されている。
【0007】
巨峰2は、皮付きの状態で房からはずされている。巨峰2は、エアシャワー・中性洗剤等で洗浄され、−70℃以上−30℃以下にて急速冷凍されたものである。巨峰2は3粒ずつ包装袋3に封入されている。
【0008】
包装袋3は、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン等の合成樹脂のフィルムからなる。透明色の正方形のフィルムが2枚重ね合わされて平袋の形状をなし、フィルムの縁がヒートシールにより接着されて密閉されている。また、開封しやすいように、縁の一部には切り口が設けられている。
【0009】
次に本実施の形態における冷凍食品1の製造方法について説明する。
新鮮な巨峰を、房からはずし、一粒ずつばらばらにする。このとき、種なし巨峰を用いても良い。ついで、巨峰2をエアシャワー・中性洗剤等で洗浄する。洗浄済みの巨峰2を冷凍庫内に入れ、−70℃以上−30℃以下にて急速冷凍する。このとき、短時間内に、巨峰2の中心までが−18℃以下に凍結するように、冷媒や液化窒素等を使用しても良い。ついで、冷凍された巨峰2を1回で食する適当な分量(3粒程度)ずつ包装袋3に入れて密閉する。輸送は−18℃以下で行い、保存は−25℃以下で行う。
【0010】
本実施の形態にかかる冷凍食品1は以上のように構成されているため以下の効果を奏する。
常温にて長時間保存しても腐りにくいため、外出の際に持ち歩くことができ、どこでも手軽に食べることができる。
また、洗浄・カット等の加工がされているため、食べる際の手間を省くことができる。
常温下で自然解凍されるため、加熱処理が不要であり、他の冷凍食品と比して便利である。
果実は、供食されるまでの間に多数の人間の手を介するため、菌が繁殖しやすいが、本実施の形態によれば、冷凍・包装されていることにより輸送等の間も清潔に保つことができる。したがって、学校給食や病院食等に適している。
また、−70℃以上−30℃以下にて急速冷凍するため巨峰2の風味・形状を損なうことがない。すなわち、従来、巨峰は冷凍される際に中身が膨張し皮が破裂することがあったが、本実施の形態によれば巨峰2の皮が破裂することなく元の形状を保つことができる。
さらに、自然状態において巨峰2が半解凍状態となると皮と実の間が柔らかくなり、巨峰2の皮を容易に剥くことができる。
【0011】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態が適宜変更され得ることは明らかである。
上記実施の形態においては果実が巨峰である場合について説明したが、リンゴ、メロン、ベリー類、柑橘類等の果実やミニトマト等の野菜にも適用できる。このとき加工処理として、そのまま、または適宜に皮、茎、芯、種等を取り除き、表面に針穴やスリット状の傷をつけ、スライス、カット等により適当なサイズにする。たとえば、図3に示されるように、皮を剥き、芯を取り除き、8等分にカットしたリンゴ5(果実又は野菜)を2切れずつ包装袋6で包装する。
【0012】
上記実施の形態において、冷凍処理の後包装する場合について説明したが、包装した後に冷凍処理をしてもよい。
また、変色防止処理を施しても良い。変色防止処理は、巨峰2を加工・洗浄した後に、コウジ酸、ケイ皮酸、安息香酸などのポリフェノールオキシダーゼ活性阻害剤を含有する変色防止剤の溶液に5分間程度浸して行う。
また、包装袋3に不活性ガスを充填させてもよい。斯かる構成により、巨峰2が腐敗するのを防止することができる。
また、図4及び図5に示されるように巨峰8が空気に触れないように包装袋9を真空状態にして密閉してもよい。
【0013】
なお、上記実施の形態において包装袋3は平袋である場合について説明したが、図6に示されるように包装袋10に幅広の底部を設け、安定させても良い。
また、開口部にジッパー11を設けても良い。ジッパー11は包装袋10の上部かつ切り口の下方に位置し、一方に凸部、他方に凹部が設けられてなる。この凹部と凸部とを端から嵌め合わせ押しつけることにより嵌合係止することができる。斯かる構成により、再密封が可能となる。
また、包装袋10の内部に、スポンジや綿等からなる帯状の吸湿材12を封入してもよい。斯かる構成により、特に解凍の際に生じる余分な水分が吸収され、冷凍前とほぼ同様の新鮮な状態を維持することができる。
また、結露、カビを防止するため、包装袋10に複数の通気孔を設けてもよい(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態にかかる冷凍食品の平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる冷凍食品の正面図である。
【図3】他の実施の形態にかかる冷凍食品の平面図である。
【図4】他の実施の形態にかかる冷凍食品の平面図である。
【図5】他の実施の形態にかかる冷凍食品の正面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる包装袋の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1………冷凍食品
2………巨峰
3………包装袋
4………冷凍食品
5………りんご
6………包装袋
7………冷凍食品
8………巨峰
9………包装袋
10……包装袋
11……ジッパー
12……吸湿材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実または野菜が冷凍された冷凍食品であって、
包装されていることを特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
前記果実または野菜は加工されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記果実または野菜は−30℃以下で冷凍され、
前記冷凍が行われた後、−25℃以下で保存されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記果実または野菜は密閉可能な包装袋に封入され、
前記包装袋に不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記果実または野菜は巨峰であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の冷凍食品。
【請求項6】
冷凍食品の製造方法であって、
果実または野菜を冷凍し、
前記果実または野菜を包装することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項7】
前記果実または野菜を加工することを特徴とする請求項6記載の冷凍食品の製造方法。
【請求項8】
前記果実または野菜を−30℃以下で冷凍し、
前記冷凍を行った後、前記果実または野菜を−25℃以下で保存することを特徴とする請求項6または7記載の冷凍食品の製造方法。
【請求項9】
前記果実または野菜を密閉可能な包装袋で包装し、
前記包装袋に不活性ガスを充填することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか記載の冷凍食品の製造方法。
【請求項10】
前記果実または野菜は巨峰であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか記載の冷凍食品の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−115762(P2006−115762A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307047(P2004−307047)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504392326)
【Fターム(参考)】