説明

冷却具

【課題】冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる冷却具を提供する。
【解決手段】本冷却マット1は冷却剤20を内包し、該冷却剤20は27℃から32℃までの範囲内に融解点を有するポリエチレングリコールからなる。このため人体が接触したときに体温に応じて融解点より高い温度になると固相から液相に相転移する際に必要な融解熱を人体から奪って相転移するため、相転移のために奪われた融解熱分だけ人体との接触部分を冷却する。また、人体が離れたときに周囲の気温に応じて融解点より低い温度になると液相から固相に相転移して元の状態に戻る。このように冷却剤20が体温に応じて固相から液相に相転移することと、気温に応じて液相から固相への相転移することを交互に繰り返すため、就寝中という連続した一つの行動過程において冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドマットや敷布団上に敷設する冷却マット、首に巻き付ける首元冷却バンド、目元等の顔に当てる冷却マスク等、冷却剤を内包した冷却具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、夏場の暑さ対策として、エアコン(エアコンディショナ)や扇風機等の電動機器を用いるのが一般的である。このエアコンによって冷気を生成したり、扇風機によって風を起こしたりすることによって、夏場の暑さをしのぐことが可能である。
【0003】
ところが、近年、節電に対する世間の意識が高まっており、上記エアコンや扇風機以外の夏場の暑さ対策として、ベッドマットや敷布団上に敷設する冷却マット、首に巻き付ける首元冷却バンド、目元等の顔に当てる冷却マスク等の各種の冷却具が注目されている(例えば特許文献1〜特許文献3)。
【0004】
特許文献1には、保冷媒体を内部に封入して外装体の各開口から各筒状個別収容部に収納される複数の保冷パック体と、外装体の外周部を封止する逢着部とを備えたマット状の保冷具が開示されている。この保冷具は、保冷媒体にジェル、ポリアクリル酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、グリセリン、水、防カビ剤等が用いられ、この保冷媒体によって人体との接触部分を冷却するものである。
【0005】
また、特許文献2には、襟足を覆うための本体部と、本体部上縁に連結された首あて部とを備えた襟足冷却具が開示されている。この襟足冷却具は、本体部や首あて部に保水剤が備えられ、該保水剤によって着用者の後方首筋を冷却するものである。
【0006】
また、特許文献3には、包材中にチオ硫酸ナトリウム水和物粒子と、無機アンモニウム塩粒子とを隔離して封入する保冷具が開示されている。この保冷具は、チオ硫酸ナトリウム水和物粒子および無機アンモニウム塩粒子を接触させることによって生じる吸熱反応を利用して人体との接触部分を冷却するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3167422号
【特許文献2】特開2000−328318号
【特許文献3】特開2009−285295号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2はいずれも、人体に接触することにより保冷媒体等の温度が次第に上昇し、ある程度まで保冷媒体等の温度が上昇すると冷却効果が失われるため、冷却効果を再度発揮させるには冷蔵庫等で強制的に冷却しなければならない。また、特許文献3は、一度吸熱反応すると再度吸熱反応させることができず、あとは冷蔵庫等で強制的に冷却しなければならない。
【0009】
このように従来の冷却具は冷却効果が失われると、冷蔵庫等で強制的に冷却しなければならないため、就寝中、運動中、業務中、その他連続した一つの行動過程において、冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる冷却具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る冷却具は、人や動物の体に接触させる態様で使用され、冷却剤を内包したものであって、上記目的を達成するために、冷却剤が27℃から32℃までの範囲内に融解点を有する所定物質を含んでおり、所定物質は、人や動物の体が接触したときに体温に応じて融解点より高い温度になることにより固相から液相に相転移するとともに、人や動物の体が離れたときに周囲の気温に応じて融解点より低い温度になることにより液相から固相に相転移することを特徴とする。
【0012】
これによれば、所定物質が27℃から32℃までの範囲内に融解点を有するため、人や動物の体が接触したときに体温に応じて所定物質が融解点より高い温度になると、所定物質は固相から液相に相転移する際に必要な融解熱を人や動物の体から奪って相転移するため、相転移のために奪われた融解熱分だけ人や動物の体との接触部分を冷却することができる。また、人や動物の体が離れたときに周囲の気温に応じて所定物質が融解点より低い温度になると、所定物質は液相から固相に相転移して元の状態に戻る。このように、冷却剤に含まれる所定物質が人や動物の体温に応じて固相から液相に相転移することと、周囲の気温に応じて液相から固相に相転移することを交互に繰り返すため、就寝中、運動中、業務中、その他連続した一つの行動過程において、冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる。
【0013】
また、所定物質は29℃から31℃までの範囲内に融解点を有するのが好ましい。これによれば、人や動物の体温に応じて所定物質を確実に相転移させることができる。
【0014】
また、所定物質はポリエチレングリコールであるのが好ましい。これによれば、27℃から32℃までの範囲内で簡単かつ確実に相転移させることができる。
【0015】
また、所定物質は分子量が異なる複数のポリエチレングリコールが混合されてなるのが好ましい。これによれば、ポリエチレングリコールの融解点は分子量によって異なることから、分子量の異なる複数のポリエチレングリコールを選択的に混合させることで互いに相転移を干渉し合うため、冷却剤全体としての融解点を27℃から32℃までの範囲内で精度良く設定することができる。
【0016】
また、所定物質は分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールが混合されてなるのが好ましい。これによれば、融解点が27〜28℃の分子量1000のポリエチレングリコールと、融解点が39〜40℃の分子量1500のポリエチレングリコールとの2種類の融解点が異なるポリエチレングリコールが互いに相転移を干渉し合うため、冷却剤全体としての融解点を27℃から32℃までの範囲内でより一層精度良く設定することができる。
【0017】
また、所定物質は、分子量1000のポリエチレングリコールが全体質量の40%以上100%未満で、分子量1500のポリエチレングリコールが全体質量の0%より大きく60%以下であり、分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなるのが好ましい。これによれば、融解点が27〜28℃の分子量1000のポリエチレングリコールと、融解点が39〜40℃の分子量1500のポリエチレングリコールとの、2種類の融解点が異なるポリエチレングリコールが互いに相転移を適度に干渉し合うため、冷却剤全体としての融解点を27℃から32℃までの範囲内でより一層精度良く設定することができる。
【0018】
また、所定物質は、分子量1000のポリエチレングリコールが全体質量の50%以上70%以下で、分子量1500のポリエチレングリコールが全体質量の30%以上50%以下であり、分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなるのが好ましい。これによれば、融解点が27〜28℃の分子量1000のポリエチレングリコールと、融解点が39〜40℃の分子量1500のポリエチレングリコールとの、2種類の融解点が異なるポリエチレングリコールが互いに相転移を適度に干渉し合うため、冷却剤全体としての融解点を29℃から31℃までの範囲内で精度良く設定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所定物質が27℃から32℃までの範囲内に融解点を有するものであることより、人や動物の体が接触したときに体温に応じて所定物質が融解点より高い温度になると、所定物質は固相から液相に相転移する際に必要な融解熱を人や動物の体から奪って相転移するため、相転移のために奪われた融解熱分だけ人や動物の体との接触部分を冷却することができる。また、人や動物の体が離れたときに周囲の気温に応じて所定物質が融解点より低い温度になると、所定物質は液相から固相に相転移して元の状態に戻る。このように、冷却剤に含まれる所定物質が人や動物の体温に応じて固相から液相に相転移することと、周囲の気温に応じて液相から固相への相転移することを交互に繰り返すため、就寝中、運動中、業務中、その他連続した一つの行動過程において、冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる。
【0020】
また、所定物質の融解点が27℃から32℃までの範囲内であるため、人や動物にとって冷やし過ぎない快適な温度で冷却効果を維持することが可能である。
【0021】
また、特殊な構造のマット等を使用しなくてもよく、また特にポリエチレングリコールを使用した場合には安価に入手し得るため、冷却具全体の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】冷却マットの斜視図である。
【図2】冷却マットの断面図である。
【図3】首元冷却バンドの平面図である。
【図4】首元冷却バンドの冷却部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る冷却具の一実施形態について図1および図2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る冷却具は、ベッドマットあるいは敷布団上に敷設する冷却マット1である。
【0024】
本冷却マット1は、図1および図2に示すように、冷却マット1の外形を形成する外装体10と、該外装体10に内包される冷却剤20とを備えている。
【0025】
前記外装体10は、図1および図2に示すように、上面材11および下面材12を対向する態様で備えており、いずれもポリ塩化ビニルからなる。この外装体10は、対向し合う上面材11および下面材12の周縁部および平面部が圧着されており、該平面部においては格子状を形成する態様で前後方向および左右方向に圧着されている。これにより、圧着された部分が外装体10内部において仕切部10aとなされるため、外装体10内部には該仕切部10a、上面材11および下面材12によって囲まれた袋体部10bが平面方向に複数形成される。ここで形成された各袋体部10b毎に冷却剤20を内包することによって、本冷却マット1において全体的に冷却剤20が流動することを防止し、各袋体部10b毎に冷却効果を発揮することが可能になる。
【0026】
前記冷却剤20は、図2に示すように、外装体10の袋体部10bに内包されており、27℃から32℃までの範囲内に融解点を有する物質からなる。この冷却剤20は、27℃から32℃までの範囲内の融解点より高い温度になることによって周囲から必要な融解熱を奪って固相から液相に相転移する。また、27℃から32℃までの範囲内の融解点より低い温度になることによって液相から固相に相転移して元の状態に戻る。
【0027】
したがって、冷却剤20は、人体が接触したときに体温に応じて融解点より高い温度になることにより固相から液相に相転移する際に必要な融解熱を人体から奪って相転移するため、相転移のために奪われた融解熱分だけ人体との接触部分を冷却することができる。また、冷却剤20は、人体が離れたときに周囲の気温に応じて融解点より低い温度になることにより液相から固相に相転移して元の状態に戻ることができる。このように、冷却剤20が体温に応じて固相から液相に相転移することと、周囲の気温に応じて液相から固相に相転移することを交互に繰り返すため、就寝中といった連続した一つの行動過程において本冷却マット1は冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる。
【0028】
ここにおいて、冷却剤20の融解点の下限を27℃としたのは、いわゆる熱帯夜とされている気温が25℃を超えるようなときに人は暑さを感じ始めるため、25℃以上で冷却剤20に冷却効果を発揮させるには、冷却剤20の融解点を少なくとも25℃以上に設定する必要がある。なおかつ、気温が冷却剤20の融解点に簡単に達してしまうようであれば、気温に応じて冷却剤20が固相から液相に相転移してしまうため、気温が融解点に達するまでの余裕を設ける必要がある。したがって、その余裕を+約2℃と設定し、冷却剤20の融解点の下限を27℃としている。
【0029】
一方、冷却剤20の融解点の上限を32℃としたのは、人の体温が一般的に約36〜37℃であり、人体が接触したときに体温に応じて冷却剤20を固相から液相に相転移させるには、冷却剤20の融解点を少なくとも36℃以下に設定する必要がある。また、冷却剤20と人体の接触は外装体10を介在させているため、冷却剤20の温度が体温によって2℃程度低い約34〜35℃までしか上がらない場合があることより、冷却剤20の融解点を約34〜35℃以下に設定する必要がある。なおかつ、人体が接触したときに体温に応じて冷却剤20を固相から液相に相転移させ易くするための余裕を設ける必要がある。したがって、その余裕を−約2℃と設定し、冷却剤20の融解点の上限を32℃としている。
【0030】
上記冷却剤20は、好ましくは29℃から31℃までの範囲内に融解点を有している。冷却剤20の融解点の下限を29℃としたのは、下限側の余裕を大きくとることによって気温に応じて冷却剤20を固相から液相により相転移させ難くすることができるからである。また、冷却剤20の融解点の上限を31℃としたのは、上限側の余裕を大きくとることによって、体温に応じて冷却剤20を固相から液相により相転移させ易くするためのである。すなわち、冷却剤20が29℃から31℃までの範囲内に融解点を有することにより、人の体温に応じて冷却剤20を確実に相転移させることができる。
【0031】
また、上記冷却剤20は、好ましくはポリエチレングリコールからなる。ポリエチレングリコールは、分子量によって融解点が異なるため、27℃から32℃までの範囲内に融解点を有する分子量のポリエチレングリコールを選択的に用いることにより、固相から液相に確実に相転移させることができる。例えば、分子量1000のポリエチレングリコールの融解点が27〜28℃であるため、これを冷却剤20に適用してもよい。
【0032】
また、ポリエチレングリコールは、安価に入手し得るためコストを押させることができる上に、人体への毒性が少ないため本冷却マット1に用いられる冷却剤20のように人体と接触するような場合には安心して用いることができる。
【0033】
上記冷却剤20は、分子量が異なる複数のポリエチレングリコールが混合されてなるものであってもよい。例えば、冷却剤20は、分子量の異なる2種類のポリエチレングリコールが混合されてなり、一方は分子量1000のポリエチレングリコール(以下「第1のPEG」という)で、他方は分子量1500のポリエチレングリコール(以下「第2のPEG」という)である。第1のPEGの融解点は27〜28℃で、第2のPEGの融解点は39〜40℃であるため、融解点が各々異なる第1のPEGと第2のPEGとが配合率に基づいて互いに相転移を適度に干渉し合う。これにより、冷却剤20としての融解点を27℃から32℃までの範囲内に精度良く設定することができる。
【0034】
また、冷却剤20が第1のPEGと第2のPEGが混合されてなる場合、第1のPEGと第2のPEGの様々な配合率に基づいて冷却剤20としての融解点を27℃〜32℃の範囲内で精度良く設定することができる。第1のPEGの全体質量に対する質量比率および第2のPEGの全体質量に対する質量比率と、その配合率によってなる冷却剤20の融解点との関係の例を下記の表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
上記表1に示すように、冷却剤20は、第1のPEGが全体質量に対して100%である場合、上述したように、冷却剤20の融解点を27〜28℃に設定することができる。
【0037】
冷却剤20は、第1のPEGが全体質量に対して70%で、第2のPEGが全体質量に対して30%である場合、冷却剤20の融解点を29〜30℃に設定することができる。
【0038】
冷却剤20は、第1のPEGが全体質量に対して50%で、第2のPEGが全体質量に対して50%である場合、冷却剤20の融解点を30〜31℃に設定することができる。
【0039】
冷却剤20は、第1のPEGが全体質量に対して40%で、第2のPEGが全体質量に対して60%である場合、冷却剤20の融解点を31〜32℃に設定することができる。
【0040】
冷却剤20は、第2のPEGが全体質量に対して100%である場合、冷却剤の融解点を39〜40℃に設定することができる。
【0041】
したがって、冷却剤20は、第1のPEGが全体質量の40%以上100%未満で、第2のPEGが全体質量の0%より大きく60%以下であり、第1のPEGおよび第2のPEGの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなるように構成されることにより、冷却剤20としての融解点を27℃から32℃までの範囲内により一層精度良く設定することができる。
【0042】
また、より好ましくは、冷却剤20は、第1のPEGが全体質量の50%以上70%以下で、第2のPEGが全体質量の30%以上50%以下であり、第1のPEGおよび第2のPEGの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなるように構成されることにより、冷却剤20の融解点を29℃から31℃までの範囲内により一層精度良く設定することができる。
【0043】
次に、本冷却マット1における冷却効果について説明する。なお、本冷却マット1は、27℃〜32℃の範囲内で融解点を有し、使用前の段階では冷却剤20の温度が周囲の気温と同一の25℃となっているものとして説明する。
【0044】
本冷却マット1は、就寝時にベッドマット上に敷設されて、上面に使用者が横臥する態様で使用される。本冷却マット1は、横臥する人の体が接触しているときに体温に応じて冷却剤20の温度が上がり、融解点より高い温度になる。すると、冷却剤20が固相から液相に相転移する。このとき冷却剤20は相転移する際に必要な融解熱を人体から奪って相転移するため、相転移のために奪われた融解熱分だけ人体との接触部分を冷却することができる。
【0045】
また、就寝中の人が寝返りを打つ等して、相転移した冷却剤20から人体が離れるため、人体と接触していた部分の冷却剤20の温度が周囲の気温に応じて下がり、融解点より低い温度になる。すると、冷却剤20が液相から固相に相転移して元の状態に戻る。
【0046】
このように、本冷却マット1は、冷却剤20が人の体温に応じて固相から液相に相転移することと、周囲の気温に応じて液相から固相への相転移することを交互に繰り返すことができる。したがって、就寝中という連続した一つの行動過程において冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができるため、就寝の途中に本冷却マット1を冷蔵庫等で強制的に冷却したりする必要がなく、快適に睡眠をとることが可能である。
【0047】
なお、上記実施形態においては、冷却具として冷却マット1である場合について説明したが、首に巻き付ける首元冷却バンドや目元等の顔に当てる冷却マスク等といった他の製品であってもよい。要は、体に接触させることによって接触部分を冷却させる製品であれば、如何なる形態であってもよい。
【0048】
例えば、首元冷却バンド2に適用した場合、この首元冷却バンド2は、図3および図4に示すように、ポリ塩化ビニルからなる外装体21に冷却剤20を内包してなる冷却パック120と、冷却パック120を保持するバンド体30とを備えている。該バンド体30は、中央部31が幅広に形成されており、該中央部31に冷却パック120を保持する保持部311が設けられている。また、このバンド体30は、長さ方向の両端部同士が連結可能に構成されている。これにより、保持部311に冷却パック120が保持された状態で中央部31を人の首元(例えば襟足)に配置させ、バンド体30の両端同士を連結する。
【0049】
これにより、首元に冷却パック120を接触させることができる。また、バンド体30の両端同士の連結を解除することにより、人の首元から冷却パック120を離すことができる。したがって、冷却剤20に含まれる物質(例えばポリエチレングリコール)が人の体温に応じて固相から液相に相転移することと、周囲の気温に応じて液相から固相に相転移することを交互に繰り返すことができるため、運動中、業務中、その他連続した一つの行動過程において、冷却効果を維持した状態で継続的に使用することができる。
【0050】
また、冷却具が人体を冷却するものである場合について説明したが、動物用冷却具として犬や猫などの動物の体を冷却するものであってもよい。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…冷却マット
10、21…外装体
11…上面材
12…下面材
10a…仕切部
10b…袋体部
20…冷却剤
2…首元冷却バンド
30…バンド体
31…中央部
311…保持部
120…冷却パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人や動物の体に接触させる態様で使用され、冷却剤を内包した冷却具において、
前記冷却剤が27℃から32℃までの範囲内に融解点を有する所定物質を含んでおり、
前記所定物質は、人や動物の体が接触したときに体温に応じて融解点より高い温度になることにより固相から液相に相転移するとともに、人や動物の体が離れたときに周囲の気温に応じて融解点より低い温度になることにより液相から固相に相転移することを特徴とする冷却具。
【請求項2】
前記所定物質は、29℃から31℃までの範囲内に融解点を有する請求項1に記載の冷却具。
【請求項3】
前記所定物質は、ポリエチレングリコールである請求項1または請求項2に記載の冷却具。
【請求項4】
前記所定物質は、分子量が異なる複数のポリエチレングリコールが混合されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷却具。
【請求項5】
前記所定物質は、分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールが混合されてなる請求項3に記載の冷却具。
【請求項6】
前記所定物質は、前記分子量1000のポリエチレングリコールが全体質量の40%以上100%未満で、前記分子量1500のポリエチレングリコールが全体質量の0%より大きく60%以下であり、前記分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなる請求項5に記載の冷却具。
【請求項7】
前記所定物質は、前記分子量1000のポリエチレングリコールが全体質量の50%以上70%以下で、前記分子量1500のポリエチレングリコールが全体質量の30%以上50%以下であり、前記分子量1000のポリエチレングリコールおよび分子量1500のポリエチレングリコールの質量和が全体質量の100%となる態様で混合されてなる請求項6に記載の冷却具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate