説明

冷却服

少なくとも2つの化合物の混合物であり、且つ5℃から30℃の融点及び1から5℃の融解温度域を有する相変化物質を含む衣類製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服、特に温度調節を特定的に制御するようになっている衣類に関する。本発明に係る服は、能動的に熱制御を行うものであり、この点で、体熱の保持又は環境の高温による有害な体温上昇を防止するように企図した断熱材によって機能する受動的なシステムとは異なる。本発明は、運動選手の熱ストレスを最小化して競技成績の向上を実現にするために使用する服を特定的に参照して説明される。しかし、本発明の応用可能性は、そのような用途に限定されるものではなく、他にも広範囲の実用的な応用例を構想するものである。
【背景技術】
【0002】
熱ストレスは、体深部温度(約37℃)を正常化するのに十分な熱エネルギーを放散する体の冷却機序の不全である。熱ストレスは、反応時間の低下、気力減退/嗜眠、注意力の欠損、及び筋肉記憶の喪失を招く恐れがある。これは、能率低下、機能喪失、個人的快適さの減退、最悪の場合には、個人生命の安全性の低下を招く恐れがある。
【0003】
従って、身体機能を最適化するためには、特に高温環境中の肉体的労作時に体温を安全水準以内に維持することが重要である。これは、運動選手が何らかの形態の競技前/試合前の通常のウォームアップ動作を行い、且つ/又は長時間に亘って、例えば、トラック及びフィールド競技の競技間に、高温環境中に留まる必要性が想定されるスポーツでは特に重要である。実際に、研究では肉体的労作の前に体を事前に冷却すると、高温環境における運動選手の生理学的緊張が軽減され、それによって一般に成績の向上及び/又は熱ストレスの最小化が可能であることが証明されている。
【0004】
着用者に冷却効果をもたらすために、衣類の改良に多大の努力が傾注されてきた。周囲環境中の温度変化に応答して物理的状態が変化することによって機能する相変化物質(PCM)に多くの注目が集まっている。外部温度が固体PCMの融点を上回るとき、PCMは必要な潜熱を周囲から吸収することによって融解する。他方では、周辺温度が液体PCMの融点を下回るとき、蓄えられた潜熱の放出によって凝固が起きる。
【0005】
融解過程時に冷却をもたらすために、氷から水への相変化に幅広く依存してきた。しかし、この場合には、不快感及び/又は寒けを回避するために、体も氷から適切に断熱されねばならない。断熱の必要性は、このようなシステムに依存する服の全体的な嵩及びコストが増大する恐れがある。氷も柔軟性に欠け、それは服を着用する面倒さ及び着心地の悪さに繋がり得る。氷の柔軟性の欠如が体の輪郭との緊密な熱接触を阻害する場合には、冷却性能も低下し得る。
【0006】
無機塩水和物も一般的に使用される。これらは安価であり、且つ好ましい蓄熱特徴を示す傾向を有する。しかし、これらの塩は分離する嫌いがあり、活性体積の減少をもたらす。塩水和物はまた、過冷却(凝固の開始が遅れる)を示し、蓄熱システムで時として使用される金属を腐食する嫌いを有し得る。
【0007】
パラフィン蝋及び同様物も利用されてきた。これらは化学的に安定傾向にあり、過冷却効果を殆ど示さないか又は全く示さず、相対的に安全で非反応性である。それらの易燃性は、適切に封じ込めることによって抑制可能である。しかし、通常の市販されている蝋は、固体状態では低い熱伝導率を示し、しかも完全な相変化が見られる温度域が広いという嫌いがある。その結果として相変化が非常に遅いか又は不完全であり、従って感受性が乏しい。大きな体積変化も相変化に伴い、従ってそれは封入に問題が生じ得る。
【0008】
繊維素材に温度調節特性を付与するために、PCMを繊維、繊維製品、発泡樹脂製品、及び/又は被覆表面の中に微小カプセル化することも知られている。しかし、微小カプセルは微小であるという嫌いがあり、その結果としてPCMの熱容量が相対的に小さくなる。汗などの水分が繊維素材の内部実質の中に取り込まれる恐れがあり、これもPCMの熱容量の損失となり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、以上に説明した問題に対処しようとするものである。本発明は、数多くの様々な実施の形態を取り得る。これらの実施形態を個別に又は任意の組合せで使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態では、本発明は適切な温度調節特性を有するように特定的に配合されたPCMを使用することにある。本実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つの化合物の混合物であり、5から30℃、例えば、10から30℃の融点及び1から5℃の融解温度域を有するPCMを含む衣類製品を提供する。
【0011】
有利なことに、使用したPCMは5から30℃の融点を有している。本開示の文脈では、融点という用語は、PCMが相変化し始める温度を意味することが意図されている。所与の固体物質では、固体から液体への完全な融解は単一の不連続な温度で生じるのではなく、ある一定の温度域に亘って生じることが理解されよう。説明した実施形態によれば、この温度域は1から5℃である。
【0012】
PCMが5℃から30℃の融点を有するということは、それは着心地の良さを確保するために追加的な断熱材の必要もなく皮膚と密接に関係して設け得ることを意味する。これは、全体的な熱交換効率及び感受性の増大に繋がる。これは、PCMと着用者の皮膚との間に断熱材の必要がないことにより、この衣類製品の嵩が小さくなり得ることも意味する。本発明に係る衣類製品は通常、皮膚と直に接触して、又は皮膚を覆う衣類の層と接触して着用される。後者の場合には、その衣類は、皮膚と本発明に従って使用されたPCMとの間の熱伝達に対する抵抗が最小限になるように、薄くて密着していることが好ましい。
【0013】
衣類製品は、予想されるように、特にPCMが着用者の皮膚と密接な熱関係で設けられるときに融点が低くなると不快な寒けを感じる恐れがあるので、PCMに関する融点域の下限が選択される。この幅の上限は、効率的に冷却するのに着用者の皮膚温度とPCMの融解温度との差が十分に大きくなる必要があるので選択される。一般に、熱が皮膚からPCMに流れるのに都合の良い温度傾斜が存在すれば、皮膚は冷却されることになる。皮膚とPCMとの間の温度差は、急速な熱伝達を確保するために十分に大きくすべきである。温度傾斜が大きくなればなるほど、所与の冷却度を実現するためには、それだけ皮膚に流れる血液量が少なくならねばならない。しかし、これは寒けを引き起こす嫌いがある。PCMの温度が低すぎると、体深部から皮膚への熱伝達を不十分にする程まで皮膚の血流が減少する可能性があり、従って体は熱を保持しようとすることになる。これは逆効果となろう。実施では、PCMの選択及び/又は製品設計は、そのような配慮を勘案して個人毎に異なることが想定される。特定個人の成績に影響する冷却の程度及び持続時間も明らかに主要な関心事である。
【0014】
好ましくは、PCMの融点は5℃から24℃である。このような好ましい融解温度及び融解温度域は、PCMの望ましい特徴を最適化しようとするものである。
【0015】
選択されたPCMは、本発明の冷却服を着用すべき周囲温度条件で、皮膚温度を下回る融解温度(動作温度)を有することになる。その結果として、PCMは、それによって平熱を下回る32℃まで皮膚温度を低下させることができる。その結果は、体深部温度の僅かであるが、適切な大きさの低下である。PCMによる吸熱によって体深部温度を低下させるのは、熱応力の発生を抑制し、可能性として運動能力の向上に繋げようとするものである。
【0016】
本実施形態で使用されるPCMは、1から5℃の融解温度域を有する。PCMの融解は、PCM融解時に急速な熱吸収を確実に行うので非常に狭い温度域で生じることが望ましい。その結果は急速な温度調節応答である。このことは、一旦液体への相変化が完全に行われたら、PCMが急速に再凝固して、再びすぐに使用可能であることも意味する。これは、衣類製品が短時間のみ着用される状況及び/又は衣類製品の冷却能力が冷却によって迅速に再生しなければならない状況では特に有用である。PCMは、1から4℃、例えば、1から3℃の融点域を有することが好ましい。
【0017】
実施では、所与のPCMの冷却能は、その融解熱を基準にして測定され、典型的には、PCMの単位質量を融解するために必要なエネルギー量であるとして測定される。PCMに関する融解熱は、通常の技法によって算出可能である。本発明の実施に有用なPCMは、一般に150kJ/kgから250kJ/kgの融解熱を有する。より大きな融解熱を有するPCMは、単位質量当たりより多くの熱を吸収する能力を有することが理解されよう。これは、より小さい融解熱を有するPCMと比較するとき、同じ最大の熱負荷(融解熱×質量)を実現するために、大きな融解熱のより少ないPCMで済むことを意味する。しかし、PCMの融解熱は、PCMを選択する際に大抵の場合に考慮される唯一の要因ではない。上で説明したPCMの融解特徴も明らかに重要な考慮すべき事柄である。
【0018】
適切な融解特徴を発揮するPCMは、望ましい特性の組合せを提供するために、(少なくとも2つの)化合物を混合することによって配合可能であり、本発明の重要な態様は、とりわけ、例えば、局所的な温度環境に基づく必要な冷却程度、この衣類製品の着用想定期間、及び/又はこの衣類製品の冷却機能の再活性/再生に想定される利用可能な期間に応じて、企図する応用例のためにPCM特性を調製することにある。
【0019】
通常PCMは、5から20個の炭素原子を典型的に有するアルカン(パラフィン蝋)の混合物を含む。通常は、アルカンは大部分(少なくとも95%)直鎖である。幾つかの市販のこのような化合物の混合物は、説明したPCM特徴を実現するのに適切な割合の構成成分を含むことはない。従って、適切な特性を有するPCMを生産するために特定の混合物の留分を分離することが必要になり得る。
【0020】
典型的には、n−アルカンの混合物は、相対的に低い範囲の炭素数分布を有する化合物から構成されている。このために適切に小さい融点域を有するPCMをもたらすことが想定される。例えば、PCMは大部分が(少なくとも90%)C10〜C20、又はC15〜C20のn−アルカンの混合物を含み得る。この混合物は大部分が(少なくとも90%)C14〜C18又はC16〜C18のn−アルカンを含むことが好ましい。アルカンの留分(ナローカット)は、分別などの選択的除去技法及び、例えば、分子ふるいを使用して選択吸収を利用することによって分離可能である。別法として、有用なPCMは、市販の高純度n−アルカンを混合することによって配合可能である。構成成分の割合は、PCMの特性を調製するために必要に応じて調節可能である。本発明に係る目的は、PCMの効率向上によって相対的に少量のPCMを使用することであり、且つ本明細書で説明する他の様々な実施形態に寄与することである。
【0021】
n−アルカンの混合物を含み、且つ望ましい一連の特徴を有する適切なPCMは、例え
ば、RT2及びRT20という名称でルビサーム社(Rubitherm)及びアスタースタット・サーモスタット社(Astorstat Thermostat)などからも市販されている。蝋及び高純度のシングルn−アルカン製品(混合によるPCMの配合用)が、ハルターマン・プロダクツ社(Haltermann Procucts)、アルファ・イーサ社(Alfa Aesar)、アプラティム・インターナショナル社(Apratim International)、及びシグマ・アルドリッチ社(Sigma
Aldrich)から入手可能である。
【0022】
ルビサーム(Rubitherm)RT2及びRT20の使用は、本発明の実施に十分適切であることが判明した。RT2製品は、大部分がテトラデカンであり、約6℃の融点を有し、且つ±2℃の融点域を示す。それは214kJ/kgの融解熱も有することが報告されている。このようなPCMの融点であれば、通常では使用前にそれを「活性化」するために冷凍庫が必要である。活性化の手段は利用可能な時間に依存する。RT20製品は、基本的にヘプタデカン及びオクタデカンから成り、少量のテトラデカン、ペンタデカン、ドデカン、ノナデカン、及びエイコサンを含有する。この製品は、約22℃の融点、±2℃の融点域、及び約172kJ/kgの報告された融解熱を有する。利用可能な時間の長さに応じて、RT20製品は、空調室内(約18℃未満)、冷蔵庫内、又は冷凍庫内に保管することによって使用前に「活性化」可能である。
【0023】
PCMの好ましい特徴には、
1. 着用者の熱負荷を吸収するために必要な最小限の推定PCM量を確保する大きな熱貯蔵;
2. 着用者の皮膚温度及び冷却された雰囲気(冷却機能の再生に関して)に対する急速な応答性を確保する相対的に一定の温度で生じる熱貯蔵並びに熱放出;
3. 適切な封じ込めが熱伝達に使用できない表面積を過剰にもたらすことのない相変化時の小さい体積変化(例えば、完全融解時に17%未満の膨張);
4. PCM転移の可逆性における適切な動的特性を確保する高結晶化度;
5. 問題にならないPCM再生時の過冷却(吸収されたエネルギーはすべて冷却された雰囲気に放出されることが必要である。過冷却が生じると、熱力学的に準安定態にある結晶構造が形成され、たとえあっても、融解物の完全な凝固がゆっくり行われて長い再生時間及び貯蔵された熱エネルギー量の損失をもたらす。);
6. 環境に対する安全性及び非毒性;及び
7. 再生処理可能性が含まれる。
【0024】
通常では、PCMは別々のパック又は小袋の形態で衣類製品の中に設けられる。通常の包装システム及び配置を使用して小袋が衣類製品の中に設けられる。しかし、本発明の別の実施形態は、衣類製品の中で使用するためにPCMをカプセル化する方式に関する。
【0025】
上で留意したように、PCMの封じ込めが問題になり得る。これは、PCMの包装に使用される材料が幾つかの有益な特性を発揮しなければならないからである。使用される材料は、それが破裂耐性、引裂耐性、及び剥離耐性であるように十分に強靱でなければならない。材料はまた、冷却すべき表面と接触する表面積を最大化するために柔軟であることが望ましい。材料の強度及び柔軟性も、PCMが相変化するときの体積膨張による漏れを回避する上で重要な特性である。
【0026】
PCM用の包装材料は、収納されたPCMに対して本質的に不活性であり、腐食を受けることもなく、その特性が著しく悪影響を受けることがないことも望ましい。幾つかのPCMはある一定の層を透過する場合があり、長期間使用するとPCMの発汗が生じる。同様に、材料は、水蒸気(汗の形態にある)などの外部化学種が容器本体の中に進入し、従ってPCMの中に進入するのを防止しなければならない。材料は、気体の進入もPCM特
性に悪影響を及ぼし得るので、気体(例えば、O)不透過性であることも好ましい。PCMを包装するために使用される材料は、PCMの損失を防止し且つ製造を容易にするために適切に封止可能であることも望ましい。使用される材料は熱封止されることが好ましい。
【0027】
材料は、その全体にまたPCMから熱が伝達するのを最大化する適切な熱伝達特性も発揮しなければならない。これは、使用する際に着用者の効率的な冷却を助け、且つPCMの冷却時に冷却能力の急速な再生を助けることになる。
【0028】
本発明によれば、これらの望ましい特性は、単層の材料ではなく積層を使用して実現可能であることが判明した。従って、本発明は積層薄膜によってカプセル化したPCMも提供し、そこでは積層薄膜が外部熱封止層とPCMに対して不透過性の内部層とを含む。ここで「外部」及び「内部」という用語は、積層体の層の相互及びPCMに対する相対位置を指す。説明した実施形態では、外部層は内部層に対してPCMから遠隔にある。しかし追加的な層も存在し、「外部」及び「内部」という用語は、層の位置を絶対的な言葉で定義しようとするものではない。
【0029】
好ましい一実施形態では、積層は、熱封止層の間に差し挟まれた、PCMに対して不透過性である層を含む3層薄膜である。このような配置は、積層の両方の外部層が熱封止可能であるので、カプセル化されたPCMを製造する際の融通性を高める。
【0030】
説明した実施形態では、それぞれの層毎に選択された材料は、強度、破裂耐性、引裂耐性、剥離耐性、及び柔軟性などの望ましい特性を個々に又は組合せで設け得る。積層の使用は、これらの特性をいずれか1つの材料によって設ける必要がないことを意味する。明らかなことであるが、積層自体が望ましい水準の柔軟性及び熱伝導率を発揮すべきであり、それに従って層毎に材料が選択され、且つ層毎に厚さが選択される。積層の厚み全体は30から150μmが望ましく、50から100μmがより好ましい。
【0031】
上で画定したPCMの種類と共に使用するのに特に好ましい積層は、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)の層間に差し挟まれた(二軸延伸)ナイロン層を含む。このナイロンは、構造上の剛性を与え、適切な化学的耐性及び摩擦耐性を与える。LLDPEは、水に対する障壁特性を与え、且つ熱封止可能である。ナイロン層は典型的に10から50μmの厚さであり、LLDPE層は50から100μmの厚さである。ナイロン層は約15μmの厚さであり、LLDPEの各層は約51μmであることが好ましい。このような積層は、例えば、RA463という名称でクライオバック社(Cryovac)から市販されている。
【0032】
カプセル化されたPCMは、縁回りが封止されている積層の小袋/パックを形成することによって典型的に調製され、この積層には小袋の内部にPCMが挿入可能であるように適切にサイズ決めされた非封止部分が備わっている。縁は通常では従来の技法によって熱封止される。一般に、封止幅が広ければ広いほど、それだけ封止体は強くなる。当業者なら、カプセル化したPCMの応用を企図する分野であれば、使用するのに適切な封止幅の決定に問題はなかろう。封止体幅は、使用材料の節約のために最小限にされることが好ましい。
【0033】
所定の体積(小袋の体積容量に基づいて)のPCMの事前成型ブロックは、小袋の中に挿入され、熱封止によって所定の箇所に封止され得る。この場合に、優勢な温度条件はPCMが固体の形態にあるようになっているのは明らかである。別法として、小袋が充填される優勢な温度条件は、PCMがゲル又は液体であることを意味し得る。この場合に、ゲル又は液体は、熱封止の前に小袋の内部に送出される。典型的には、PCMは熱封止の前
に凍結される。これは、このような過程の熱封止態様の間に最終封止体の汚染を引き起こす恐れがあるPCMの不要の流出を回避する上で有益である。
【0034】
小袋内部に閉じ込められた空気が、熱伝達過程において断熱妨害を引き起こす可能性があり、従って小袋の封止は真空中で行われることが好ましい。小袋の中に含まれるPCMの体積は、封止時に小袋の体積容量及びPCMが相変化時に蒙る体積膨張を考慮して算定される。これは小袋の破裂を回避するために行われる。カプセル化されたPCMの多様な構成がこのような方式で調製され得る。図を具体的に参照して以下で説明するように、通常は異なるサイズの幾つかの小袋が本発明に係る冷却服で使用される。小袋の寸法及び構成が、熱伝達に使用可能なPCMの表面積を決定することになる。この表面積は、冷却服中の小袋の企図された箇所に基づいてサイズの制約を考慮して可能な限り大きくすべきであることが好ましい。従って、前又は後身頃のような服の平面的な領域では相対的に大きな小袋を使用することが可能であり得る一方で、腕又は襟部分のような平面的な領域が少ない領域ではより小さい小袋が必要になる。実施では、服の特定領域ための小袋寸法の選択も当該領域に必要な柔軟性によって予測可能である。これは下で更に詳細に論じられる。
【0035】
一般に、小袋は規則的な幾何学形状(通常は長方形又は正方形)を取る。小袋は、PCMの充填時には薄く、通常は、2cm未満、好ましくは1.5cm未満、より好ましくは1cm未満の最大厚さを有する。典型的には、小袋は50から150mmの長さであり、25から50mmの幅を有する。通常は、異なるサイズを有する小袋が1着の冷却服で使用される。(熱)封止体の幅は、所与の応用例に必要な封止体強度を実現するために要する最小値である。例を挙げれば、小袋は約110mm×50mmの寸法を有し(且つ約50mlの内部体積容量を有する)、更に75mm×50mmの寸法を有し得る(且つ約30mlの内部体積容量を有する)。このような小袋寸法では、それぞれの封止体の幅は典型的には5〜7mmである。これらの幅は所与の寸法の中に含まれる。
【0036】
使用されるPCMの体積は、PCMの融解熱に応じて異なり得る。同じ冷却性能(PCMの最大熱負荷の点から見て)を実現するために、特定の体積の1つのPCMをより大きな融解熱を有する小さい体積の別のPCMに置き換えることが可能である。しかし、熱伝達が行われる表面積の点から見た場合の小袋の寸法は、特に小袋が体の特定域を覆うように設計又は構成されている場合に、実際には同じのままであり得る。使用されるPCMの融解熱に関わらず、適切にサイズ決め又は構成がなされた熱伝達表面積も必要もある。
【0037】
所与の状況で使用すべきPCMの量及び種類は、冷却服を着用すべき期間に亘って対応しなければならない総熱損失に基づいて決定され得る(一般的に言えば)。例えば、特定の活動に関連する総熱損失が500kJであることが既知であれば、これに対応するためには250kJ/kgの融解熱を有するPCMを2kg使用する必要があることが推定可能である。同量の熱損失はより小さい融解熱のPCMによって対応可能であるが、その場合にはより多量のPCMが必要になる。従って、200kJ/kgの融解熱を有するPCMが使用されれば、必要な量は2.5kgになる。実際には、必要なPCMの量は、熱がPCMに伝達する過程が同一ではなく、しかも体の様々な部分からの熱損失が異なることが想定されるので、算出される理論量よりも僅かに多くなる。これは、冷却服の設計で対処可能である。このようにして、個人の生理的要求に見合った又は対応を要する熱損失に基づく必要の範囲に見合った冷却服を調製することが可能である。
【0038】
PCMは使用前に「活性化」されるべきであるが、これはPCMが熱エネルギーを吸収するのに適切な形態でなければならないことを意味する。PCMは冷却によって活性化され得るが、活性化の速度は、使用されるPCM及びそれが受ける冷却に依存する。例えば、RT2PCMを含む冷却服は、冷凍庫(例えば、約−18℃)内で保管することによっ
て活性化され得る。対照的に、RT20は空調冷却室(約16℃)、冷蔵庫(約4℃)、又は冷凍庫(−18℃)を使用して活性化され得る。完全な活性化に必要な時間量は服中のPCM小袋の数に依存し、服はPCM小袋が最大の冷却効果を受けるように配置されるべきであることが望ましい。PCM小袋の熱交換表面が最大限に曝されるように、できるだけ多くの内部ポケット層/領域を冷却室に曝すことが適切であり得る。活性化のためにPCM小袋を服から取り出すことも当然可能であるが、小袋の取出し及び再挿入は非常に時間が掛かる恐れがある。
【0039】
本発明の別の実施形態は、PCMが冷却服に組み込まれる様態に関する。従来の考え方は、大量のPCM材料が大きく連続的な構成要素の中に含まれることを示唆する。しかし、これは服が嵩張り且つ柔軟性の欠如をもたらすことに繋がり得る。このような問題を軽減する努力は、大きな一体の構成要素を区画/隔室に分割し、それらを組込み式の柔軟な帯紐によって接合することに焦点が絞られてきた。冷却効率は皮膚接触による伝導によって熱が体から伝達することに直接依存し、数多くの相対的に小さい区画/隔室の使用は、これを促進しようとするものである。しかし、この種の構造であっても、その使用に関する他の問題は、PCMを収納するために使用される材料(それは帯紐も形成する)は水に対して透過性ではなく、汗が皮膚とPCM収納構造との間の体表面に蓄積し得ることである。これは不快感に繋がり、冷却服の効率全体を減じる恐れがある。
【0040】
PCMを小袋の中に入れて服の中に備わる適切にサイズ決めされたポケットの中に挿入することも示唆されてきた。しかし、これらの小袋も嵩張る嫌いがあり、特に効率的でもなかった。本発明の一実施形態は、適正な冷却効率を有する柔軟な服の調製を可能にする幾つかの個別的で且つ薄い小袋の中にPCMが収納される冷却服が調製可能であるという認識に基づく。このような小袋の使用は、隣接小袋の間に数多くの空隙が存在することになり、当然のことながら小袋間の空隙を占有するのに適切な材料次第であるが、それは調製すべき通気性のある服の製作を可能にすることを意味する。
【0041】
本実施形態では、このような個別的な小袋が、典型的に1.06から1.20、例えば、1.06から1.10の体積に対する熱交換表面積比を有する。服全体(頭部/首/胸/肩/背中/袖部分のいずれか又はすべてを含む)では、体積に対する熱交換表面積比は約1.78である。本文では、ここで言及した体積とは、実際には小袋の中に収納されているPCM材料の体積である。冷却すべき表面(皮膚)に近接する表面積は可能な限り大きくしなければならないが、他方では得られる服が大きな柔軟性を保持すべきであることも銘記されている。小袋は細長い長方形部材の形態を取ることが好ましく、それらの寸法は、服内部の部材の企図された位置に応じて異なり得る。頭部、胸、肩、首、及び背中などの、熱の発生が高まる身体局部域に亘って冷却効率を増大させるように、PCMの充填量及び小袋の寸法を操作することも可能である。運動中に肩及び背中で観察される高い熱負荷のために、これらの箇所に対する冷却を増強することが好ましい。
【0042】
PCM小袋が適正にサイズ決めされれば、適切な柔軟性を保持しながら服の大きな表面積に行き渡らせて小袋を配置することが可能である。PCMのカプセル化及び隣接小袋間の間隙の存在という実体がそれに寄与する。小袋は、これらの小袋の熱交換表面と着用者の皮膚との間の最適な接触を維持するように形作られるべきである。小袋はまた、着用者の体の中の主要な血管に密着し且つそれに位置合わせされるように形作られ且つ服内部で位置決めされ得る。これは冷却性能も高めることができる。
【0043】
PCM小袋は、例えば、縫合によって永続的に又は、例えば、チャック及びベルクロなどのファスナによって着脱可能に服内部のポケット中に挿入され、且つその中に封止され得る。服が製造される材料は、軽量で通気性があり、しかも使用に際してPCMが着用者の皮膚に密着するように形作られることが好ましい。PCM小袋の配置は、着用者が容易
に動けて、しかも高水準の着心地を与え得るべきであることが好ましい。
【0044】
PCM小袋は、服の大きな面積に行き渡るのに十分な数が使用される。ジャケットの肘部分など、そのような領域を避けて適切にサイズ決めされた小袋を配置することもできるが、柔軟性が要求される領域には小袋がいずれも含まれないことが望ましい。服の通気性を可能にするように(留意したように、この服に使用される布地は通気性がある)、隣接小袋間に多少の間隙を残しておくことも望ましい。これらの小袋は、快適さを向上させるために、ある程度の柔軟性を確実に発揮し、且つ(使用に際して)変形可能である。このような方式で小袋を体の輪郭にぴったり合わせると、熱伝達の効率も向上させることもできる。衣類製品中の小袋の配置は、この衣類の使用目的に応じて、競技前、競技中、競技間、及び/又は競技後(クールダウン)の期間中の着用者予定者の身体赤外線熱写真を参考にして設計されることが好ましい。
【0045】
服は、使用が企図されている分野に応じてジャケット、ズボン、ショートパンツ、フード、帽子、手袋等の形態を取り得る。着用者の快適さ及び動き易さを許容するように設計されるべきことが理解されよう。従って、胴体の冷却が必要であるが、着用者の腕は自由に動かさねばならない場合には(ボート漕ぎ又は射撃などにおいて)、服は袖無しジャケット(本明細書ではベストと呼ぶ)の形態を取る。別法として、必要に応じて脱着可能な袖を有するジャケットを使用することも可能である。典型的には、服がジャケット(長袖の有無に関わらず)であるとき、このジャケットは襟部分及び/又は着脱式フードを有することも好ましい。ジャケットの袖部分は、袖の縫い目に沿って手首から肘まで、更にそれを越えて延び得るチャック部分(又は同様物)を備え得る。これは、ジャケットの容易な着用及び/又は脱着を可能にすることを企図するものである。同じ配置がズボンに使用可能であり、縫い目に沿って脚から膝まで、又はそれを越えて延びるチャック部分(又は同様のファスナ)が設けられる。これもズボンを履き物の上から着用及び/又は脱着を可能にする。フード(又は帽子)が着用されるとき、例えば、訓練指示が聞き取れるように、着用者が聞こえ易いことが重要になり得る。この場合には、フード(又は帽子)は、耳を避けて適切に形作られるか、又は耳の領域の上方に穴を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、冷却服は着脱式の袖部分及び/又は脚部分及び/又はフード部分を有する全身型の一揃いであり得る。このような部分は、個人の特定の冷却及び/又は着心地の要望を満たすように必要に応じて脱着可能である。
【0047】
PCM小袋は、使用に際して熱の放散が多い身体部位に近接する可能性が高い領域に特に留意して、通常では服のすべての部分に収められる。典型的には、PCM材料は、高水準の冷却を施すように服の中で胸、背中、及び/又は肩の領域に集中される。それに応じて、小袋のサイズ、従ってPCMの収納量は異なり得る。PCM小袋は、柔軟性を補助するために服(この場合にはジャケット)の前部と後部とに亘る畝様の配置の中に設けることができる。留意したように、小袋は屈曲点に亘って延在すべきではない。ジャケットの設計に関わりなく、服が嵩張らず、しかも巧みに配置した小袋によって、着用者の易動性及び快適さを損なわずに通常の氷ジャケットよりも高密度にPCMを充填することが可能になる。
【0048】
本発明に係る冷却服は、内被及び外被を含み得る。内被は、冷却効率を最適化するためにPCM小袋を適切な構成の中に受け入れるようになっている。外被は内被に重ね合わさっており(通常はそれに付着している)、服の全体的な見栄えばかりでなく風及び雨に対する耐性などの望ましい機能上の特性を向上させることも企図されている。内被は詰め綿から作製され、外被はナイロン及び綿など天然及び合成繊維の混合物(51%ナイロン、49%綿のクールマックス・アクエータ(Coolmax Aquator)として市販されている)から作製可能である。内外被とも軽量であることが望ましい。外被は、表面
装飾、図柄、広告、及び同様物を備え得る。
【0049】
熱伝達を最大化するために、PCM収納小袋は服の中に適切に配置されることが推奨される。小袋は、着用者の体とPCMとの間の断熱を最小限にして、その体と密着していることも推奨される。本発明の一実施形態では、服がゴム状物質を含み、着用時に密着している。この場合には、服材料の伸縮性はPCMと着用者の体とを密着状態に維持し、それによって熱伝達を高める。
【0050】
追加的に又は別法として、同じ効果は、服の熱交換表面を着用者の体、又はその部位に密着させ得る備品を適切に位置決めすることによって実現可能である。着用者の体と熱交換表面との間に存在する空気は断熱材として作用し、それによって熱エネルギーの望ましい伝達を阻害する。ここで言及する備品とは、このような効果を低減又は回避しようとするものである。ジャケットの場合には、これらの備品はジャケットの胴部分回りに配置された調節式ベルトの形態を取り得る。これらのベルトは、身に着けるとき、体からPCMへの熱の伝達を最大化するために、確実にぴったりと適切に締まるように調節可能である。ジャケットが腕部分を備えていれば、これらは、確実に同じ効果を実現できるように腕部分の回りに調節式ベルト又は伸縮式バンドを備え得る。同様に、最適な熱交換のためにフード/帽子が確実にぴったりと密着するように、フード/帽子は、ゴム編み、伸縮性を持たせた要素、及び/又は引き紐、或いは同様物を備え得る。
【0051】
服は、意図されている活動時の着用者の姿勢、想定される動きも考慮して設計されるべきである。例えば、選手が常に着座位置にあり、膝が胸に引き寄せられ且つ引き離されるボート漕ぎのようなスポーツでは、服はそれが丸まったり又は膨れ出たりするのを回避するようになっているべきである。これは、腰から下に達することがなく且つ胴体に密着する服を設計することによって実現可能である。本実施形態では、服の設計も個人毎に異なることも想定される。
【0052】
服は迅速に着脱されるようにも設計されることが好ましい。このようにして、服の効率が最大化され、その使用がもたらす冷却効果の減少が、可能な限り最小量に抑えられる。この目的のために、服は、チャック、ベルクロ・ファスナ、スナップ、及び同様物を備える。
【0053】
本発明の一実施形態では、服内部の小袋の位置に応じて、服が異なる種類のPCMを収納する小袋を備える。大きな熱損失の身体領域に対応する服域では、1つ又は複数の小袋が、大きな融解熱を有するPCMを収納することができる。対照的に、熱損失が小さいが、しかし重要な領域に対応する服域では、1つ又は複数の小袋はより小さい融解熱を有するPCMを収納することができる。このようにして、個人の生理学的機能に基づいて個人の特定の熱損失特徴に適合するように、服の様々な部分が調製され得る。
【0054】
特定の本実施形態では、冷却服が、説明したPCMを収納する小袋に加えて氷パックを備えることができる。しかし、この場合には、冷却服の着用時に不快な熱感覚/熱衝撃をいずれも回避するために、確実に氷パックが適切にサイズ決めされ、断熱され、且つ/又は位置決めされるように注意を払わねばならない。この場合には、氷パック(又は低い動作温度範囲のPCMを有する小袋)を冷却服又はベストの背骨領域に沿って又は隣接して位置決めすることが適切であり得る。好ましい一実施形態では、冷却服がRT2PCMを収納する小袋とRT20PCMを収納する小袋とを備える。この場合には、RT2PCMを収納する小袋が、ジャケット又はベストの胴体部などの大きな熱損失に対応する服中の領域に集中される傾向にあり、RT20PCMは、袖部分などの周辺域で使用される。
【0055】
本発明は、運動選手/スポーツ愛好者の温度調節制御に重要な応用可能性を有するもの
と考えられる。留意したように、肉体的労作の前に体を冷却すると、温暖環境中の生理学的緊張を軽減できること、従って大抵の場合に成績を向上させ得ることが知られている。この状況で好ましくは、本発明の冷却服は、適切なウォームアップ又は競技前の通常動作(冷却服を着用しないで)を終了した後で、個人の体深部温度が冷却を開始する前とほぼ同じか、又はそれよりも僅かに低下さえするように、個人の体深部温度を低下させるために使用される。このように冷却服を使用すると、最初の/弛緩状態の体深部温度(即ち、冷却前)に対する体深部温度の顕著な上昇をいずれも回避しながら、ウォームアップ又は競技前の通常動作を終了することができる。このように冷却服を使用しないと、ウォームアップ又は競技前の通常動作は体深部温度の上昇をもたらす可能性があり、これは引き続いて行われる競技の成績を損なう恐れがある。本実施形態に従って適切な温度調節を実現するために、体深部温度が実現する前に着用中の服の冷却効力が低下するか又は消耗する場合には、ウォームアップ又は競技前の通常動作前の冷却時に服を交換する必要があり得る。これは、特に服が容易に着脱するように設計されていれば簡単なはずである。別法として又は追加的に、体を冷却する幾つかの他の方法を利用する前に、その利用後に、又はその利用中に冷却服を使用することによって、ウォームアップ又は競技前の通常動作の前に体深部温度の望ましい全体的な低下を実現することが可能である。例えば、体深部温度の最初の低下は、冷水/低温シャワーを使用し、その後に本発明に係る冷却服を使用して更なる低下を実現することによって実現可能である。同じ効果は、個人を冷却/空調室に曝し、次いで冷却服を使用することによって実現可能である。
【0056】
実施では、ウォームアップ又は競技前の通常動作の間に服を使用するための適切な管理体制が、周囲温度条件を考慮して、通常動作時の体深部温度の実験測定に基づいて設計可能である。この場合には、特定の個人に最も効果的な冷却管理体制が、多様な周囲温度条件及び/又は期間の下で記録されることが好ましい。このようにして、最も適切な冷却監理体制が、適用可能な優勢な条件及び/又は時間的制約に基づいて任意所与の状況に対して選択可能である。
【0057】
冷却服を使用して、競技前、競技中、競技間、及び競技後の身体冷却を実現することができる。
【0058】
本発明は、人間の運動選手に関する用途に限定されるものではなく、競走用の動物の成績を向上させるためにも使用可能である。従って、本発明は、競走馬又はグレーハウンドに関する用途にも応用可能性を有し得る。このような場合には、服の設計それ自体は、顕著な発熱が生じる動物の身体域に応じて異なることになる。これは熱写真法によってマッピング可能である。服は、競争前及び/又はウォームアップ中に動物に被せる毛布又はショール、或いは同等物の形態を取り得る。革紐及び同様物を使用して、熱伝達を最適化するために服を動物に取り付けることができる。
【0059】
本発明は、体温上昇による作業成績の低下が結果に悪影響を及ぼし得る他の領域にも有用性を見いだすことができる。従って、本発明を利用して民間応用例向けのヘルメット(例えば、保安帽、警官用ヘルメット、消防士用ヘルメット)及び軍事応用例向けのヘルメットの中を冷却することができる。この場合には、PCMがヘルメット構造に組み込まれるか、又はヘルメットの下で着用される何らかの形態の被り物の中に含まれ得る。本発明を利用して何らかの形態の防護服の下で着用すべき冷却服を提供することができる。例えば、本発明に係る適切に設計された冷却服は、警察官、消防士、及び軍人によって着用される防護服の下を冷却することができる。このような様態で本発明を利用すると、業務を向上させ、更に正確に言えば、体温上昇による業務成績の低下を防止する助けとなり得る。
【0060】
本発明は、身体又はその部位の冷却が有益であると考えられる医療においても応用可能
性を有し得る。例えば、冷却服は、外胚葉異形成症及び多発性硬化症などの疾患の監理及び/治療を行う際の助けとなり得る。頭部の冷却も頭部外傷の症例に有益である。従って、適切に設計された服は、医者、救急医療士、及び救急開業医が使用するのに適宜で有用な手段となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
ここで、添付の非限定的な図を参照して本発明の実施形態を説明する。図1〜11は、本発明に従ってPCM小袋が冷却服の構成要素部分の中に組み込まれる様態を模式的に示す。添付図は、PCM小袋の一般的な配置を示そうとするものであり、限定と考えるべきではない。当然のことであるが、冷却服の服サイズ、所望の冷却性能、並びに所望の柔軟性及び重量などを考慮して、小袋のサイズ、個数、及び配置の変更が可能である。
【0062】
図1〜5は、ジャケット(の内被)の構成要素部分中のPCM小袋の配置を例示する。図1は、様々なサイズのPCM小袋が付着されている後身頃を例示する。これらのPCM小袋は、ポケットの中に保持されて、実質的にこの部分の表面全体に行き渡る。これらの小袋は、服が呼吸できるように隣接する小袋間に僅かな間隙を有する畝様の配置の中に設けられる。
【0063】
図2は腕部分(縫合前)を例示し、様々なサイズのPCM小袋が、ジャケットに袖部分を使用するときに着用者の皮膚との最大の接触を確保するように位置決めされる。PCM小袋は袖の「手首端」(図ではこの部分の上部)ではサイズが小さくなることに留意されたい。柔軟性を要する肘の箇所にはPCM小袋が設けられていないことにも留意されたい。
【0064】
図3は片前身頃を表す。図示の実施形態では、2つの片身頃が、例えば、チャックを使用して留付け可能である。別の実施形態では、単一の前身頃が使用可能であり、その場合にはジャケットは頭から被って着用する種類である。
【0065】
図4及び5は、フード部分及び襟部分をそれぞれに示す。
【0066】
図6a及び6bは、本発明に係る冷却ジャケットの前/後面の図である。図6aはジャケットの外被を示す。図6bは内被を示しており、図1〜5で示したものと同様の向きでPCM小袋を備える。内被及び外被は、本質的に形状及びデザイン全体が同じであるが、これは必須ではない。
【0067】
図7〜11では、数字1及び2を使って異なるサイズのPCM小袋を示す。サイズ1の小袋では、熱伝達に利用可能な表面積(即ち、小袋の片側)が約5500mmであり、小袋寸法は約110mm×50mmである。サイズ2の小袋では、熱伝達に利用可能な表面積が約3500mmであり、小袋寸法が約70mm×50mmである。別段に述べなければ、PCMは、サイズに関係なく、それぞれの小袋の中では同じものである。これらの小袋は、着用者の体とPCMとの間の熱交換を最適化し、且つ使用に際して快適さ/柔軟性を確保するように配置されている。
【0068】
先に説明したように、本発明の一実施形態では、この冷却服は、異なるPCMを収納する小袋を備えることが可能であり、PCM小袋に加えて、大抵の場合は氷パックを含むこともできる。その場合には、最大の融解熱、即ち、氷を有するPCMが、熱損失が最も大きいことが想定される身体部位に対応する服の領域に配置されることになる。このような冷却服の領域が、星印(*)によって図中で識別されている。
【0069】
図7aは、(中サイズの)ジャケット又はベスト用の前身頃を例示する。図7bは、そ
れに対応する後身頃を例示する。図示されていないが、前身頃には、この部分の中心に沿って延びるチャック又は同様物を備える。図7bでは、星印は着用者の背骨に対応する領域に集中していることに留意される。
【0070】
図8は、(中サイズの)ジャケット又はベスト用の当て布を例示する。破線が当て布を前部分(a)と後部分(b)とに分割する。使用に際して、当て布は、図7a及び7bにそれぞれ示したような種類の前身頃及び後身頃に取り付けられることになる。
【0071】
図9は、長袖の形態にある腕部分を例示する。この部分の上部は上腕/肩領域に対応し、その下部は手首領域に対応する。PCM小袋は、使用に際して、小袋が腕に沿って平行な列として延びるような様態で配置されることに留意されよう。小袋は、仕上がった袖の肘屈曲部の線に対応する線(e)を横切って設けられていないことにも留意されよう。これは、確実に小袋が動きを阻害しないようになっている。この点で、図9に示した腕部分は、図2に示した腕部分の改良を表す。図9では、PCM小袋は、腕、特に前腕及び手首領域の主要血管に整列するように向いている。
【0072】
図10a及び10bは、短袖服用の腕部分を例示する。この場合も、図示の部分の上部は上腕/肩領域に対応する。短袖服は、特に、特定の応用例では下腕の易動度及び柔軟度を重んじる必要があり、且つ上腕域の冷却が重要であると考えられる場合に有用である。図10aは中型から超大型の服に使用可能な種類を示し、図10bは更に大型のサイズに適切な種類の配置を示す。
【0073】
図11a及び11bは、冷却フードを構成する部分を示す。図11aは頂/後部分を表し、図11bは側部分を表す。実施では、フードは1つの頂/後部分と2つの側部分から構成される。側部分は、それに付着する紐(s)も備える。図示しないが、側部分は、フード着用時に着用者が明確に聞こえるようにするために耳穴を備え得る。フードは、構成されると別個に着用される。別法として、フードはジャケット又はベストに取付け可能であり、大抵はそのように着脱自在である。
【0074】
図12から21及び図AからGは、実験結果を例示するものであり、以下に包含される実施例において更に詳細に論じられる。
【0075】
以下の非限定的な実施例は本発明の実施形態を例示する。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
本発明に係る冷却ジャケットは次のように調製される。ジャケット様の服は、8つのパネル、即ち、上部後/前部分を覆う当て布部分、前及び後部分(2つの左側部及び2つの右側部)、2つの長袖部分、並びに高襟から構成される。この服の外部は基本的に、本実施例ではクールマックス・アクエータ(Coolmax Aquator)(51%ナイロン、49%綿、重量240g)である外被であり、内部は主として詰め綿(重量85g)によって形成される。
【0077】
一連の羊毛/エラスタン製のポケット(内被)(96.5%/3.5%、230g)が、服の内部に且つ詰め綿に隣接して配置されている。このような布地の配置は、PCMの積層小袋を内被ポケットの中に挿入することを可能にし、他方では詰め綿断熱材及びクールマックス(Coolmax)の外被によって周辺温度から保護される。襞付き袖口及び下部バンドは、密着性を確保し、且つ周囲の暖気が時期尚早にPCMを融解するのを防止する。このような柔軟性のある熱放散小袋がそれぞれのパネルの側部から袋通しの中に挿入される。
【0078】
これらの小袋は、2枚の熱封止可能な透明積層シートから作製される。本実施例では、約136μmの厚さで、2枚の積層シートの通常の3側熱封止によって調製され、1つの側を開放状態に残した2つのサイズ(11.6cm×5cm及び7.63cm×5cm)の積層小袋である。2つのサイズ(体積52ml(39g)の7.5cm×3.5cm×3.0cm及び体積32ml(24g)の3.5cm×3.5cm×3.0cm)のPCMの事前成型ブロック(ルビサーム(Rubitherm)RT20)が積層小袋の中に挿入され、最終封止体が真空熱封止ユニットを使用して作製された。体積膨張(TR20製品の相変化に対して約10%)に対応するように適切な容積を小袋の中に残した。平面形状の隔室が得られるように充填され且つ再融解されると、PCM小袋の厚み全体は約1.5cmであった。
【0079】
服内部の積層小袋の位置決めは、図6b、より正確には(小袋のサイズに関して)図1から5に示した通りである。充填された積層小袋を含む袋通し間の間隙(幅1cm)及び小袋自体の小寸法によって、服の着用時の快適さ、動きの自由、及び通気性が増大し、他方では効率的な熱伝達のために密着性が維持されるように、すべてのパネルが着用者の身体と共形になり得る。
【0080】
布地(羊毛エラスタン)の内被は、特定の幅(5と6cmとの間)の平行で斜めの袋通しを形成するために縫合された。一実施例では、このような10の袋通しが前及び後パネルのそれぞれの上に形成される。図6bは、ジャケットの前身頃上のこのような13の袋通しを示す。
【0081】
2つの前パネルは、服の全長に沿って、即ち、下部バンドから襟の頂部まで延びるチャックによって相互に留付けされる。図4に示した通りにPCMが配置された密着フードは、頭部から熱を伝達できるように、チャックによって上襟に付着可能である。本発明に係るジャケットの重量は、フードなしで約4.90kgであり、フード付きでは約5.50kgであった。
【0082】
冷却ジャケットは、オーストラリア・スポーツ研究所(Australian Institute of Sport)(キャンベラ市)において、2人の選り抜きの運動選手(自転車競技者)を使って予備実験で評価された。実験は、相対湿度(60〜70%)及び温度(32.5〜34℃)の周囲条件に制御された環境室内で、これらの運動選手を使って実施された。新規の冷却服が運動能力に対して及ぼす効果及び影響を比較するために、一方の選手(A)が通常の氷ベストを着用し、他方の選手(B)は本発明に係るジャケットを着用した。
【0083】
氷ベストは、4つの大型前部ポケット(2つの上部に配置された胸部近接ポケット及び2つの下部に配置されたポケット)を有し、前部側箇所と同様の位置に4つの後部ポケットを有していた。小袋のサイズは14cm幅×17cm長さ(上部小袋)及び14cm幅×15cm長さ(下部小袋)であった。これらの小袋はプラスチック薄膜から作製され、60%の容積率まで水を充填し、次いで冷凍された。氷ベストには約2.5リットルの体積の氷が使用された。氷ベストには、氷パックを皮膚表面から離隔するためにベストの内表面に薄い物質層も含まれていた。氷ベストの全重量は約3kgであった。
【0084】
氷ベスト用パックを再生するには、冷凍庫内での3から4時間の保管時間で十分であると考えられる。
【0085】
対照的に、本発明の冷却ジャケットでは、競技前応用例における使用(部分融解)後に(休憩中の選手が約0.5時間使用した後に)再生に要した時間は0.5時間であった。
4℃の雰囲気中の再生時間に関して、内容物が完全に融解するまで暖められた2つの11cm×5cmの積層小袋(52mlのルビサーム(Rubitherm)RT20を含む)を試験した。1つはジャケットの中に組み付けた繊維層のポケットの中に配置され、1つは繊維ポケットの中に挿入することなく再生するままに放置された。両方の小袋の内容物は、再び使用されるばかりになった展性のある(柔軟な)ゲルへ凝固するのに90分で十分なことが判明した。
【0086】
2人の選手(A及びB)は、90分間に亘って調査されたが、その時間全体を3つの期間、即ち、最初の休止時間(最初の30分、事前冷却)、30〜60分(運動期間、自転車式作業量計)、及び60〜90分(回復期間、爾後冷却)が画定された。服は事前冷却及び爾後冷却の間のみ着用された。
【0087】
それぞれの選手からは、皮膚表面温度(上腕、大腿、ふくらはぎ、胸)、体深部(肛門)、心拍数、汗損失などの生理学的応答、並びに熱感覚及び労作の自覚的格付けが収集された。温度データは、赤外線デジタル写真法及び熱電対によって収集された。
【0088】
本発明に係るジャケットの着用から得られる主要な改善点及び向上点が以下の論述に包含されている。グラフ中の丸で囲んだ箇所は、収集データ中の測定誤差と思われるものを指す。
・ 本発明のジャケットは、運動期間中に体深部温度(肛門温度)の1.1℃の明確な低下を示し、且つ冷却状態が運動後の期間まで持続することを示した(図12参照)。
・ 両方の服は共に胸部温度を明確に低下させたが、その冷却効果は、氷ベスト(温度を非冷却よりも丁度1℃低い状態に維持する)よりも本発明のジャケット(温度を非冷却よりも2℃低い状態に維持する)では、より大きな規模で運動期間内に及んだ(図13参照)。
・ 本発明のジャケットが上腕温度を〜3.5℃だけ低下させた一方で、氷ジャケットは、この温度をどうにか〜1℃だけ低下させた。最大効果は、運動期間の最初の10分で感じられたが、その場合に温度が非冷却の上腕温度に達するのに20分間の運動を要した(図14参照)。
・ ジャケットは両方とも大腿を覆っていなかったが、大腿温度は両方のジャケットに関してかなりの低下が見られ、新規のジャケットの試作品は、最初の事前冷却中に1〜2.4℃、運動期間に亘って1〜2℃、及び運動後の期間中に〜1℃だけ大腿を冷却した。氷ベストでは、対応する低下はより大きく、運動前の期間に亘って〜1.3℃、運動期間中では0.75℃、運動後の期間に亘って〜2℃までの分だけ冷却した(図15参照)。
・ 心拍数は、冷却ジャケットが両方とも事前冷却期間中にかなりの減少が見られ、運動期間中では中程度の減少が見られた。運動後の心拍数の減少は、本発明のジャケットの試作品では、運動後の期間の最初の20分以内が最大であり、例証すると、運動後の期間の最初の10分以内に、本発明のジャケットが70bpmだけ心拍数を減少させたが、他方で氷ベストは、それを55bpmだけ減少させた。90分では、心拍数の減少全体(運動後t=0からt=30分まで)が本発明のジャケットでは98bpmであり、氷ベストでは丁度70bpmであった(図16参照)。
・ 汗の損失は、両方の冷却ジャケットの使用後に28〜29%だけ減少した(図17参照)。
・ 労作の自覚的格付けは両種類の事前冷却ジャケットで低下し、労作の軽減は氷ベストの冷却に関する方が本発明のジャケットに関するよりも少なかった。つまり、選手Aは事前冷却有り及び無しの労作量において僅かにより大きな差を報告した、即ち、試作品による冷却が自覚的労作の格付けの低下をもたらした(図19参照)。
【0089】
本発明に係るジャケットは本実施例では、通常の氷冷却ジャケットに較べて、心拍数をかなり減少させ、運動後の期間中により大きい持続的な冷却効果を有し、脚部が被覆され
ていなかったにも関わらず、下腿温度のかなりの低下をもたらし、より低い熱感覚の格付け(寒け)をもたらし、且つ非冷却に対してより低い労作格付けをもたらした。
【0090】
赤外線デジタル写真法を利用して評価実験中のそれぞれの選手の皮膚温度を数量化した。図20及び21は、本発明のジャケット及び通常の氷ベストに関する選手の皮膚温度をそれぞれに示す。画像は、冷却服を使用した場合及び使用しない場合の運動前の順化期間に関して示す。それぞれの冷却服を脱いだ後の各選手の画像も含まれている。
【0091】
以下の尺度は、画像中の色を温度に関連づける。
【0092】
【表1】

【0093】
写真R1〜R3の意味は、それらが選手の身体が環境室内部の条件に順応していく様態を示すことである。最初は(写真R1及びR2では)、選手の上胸部/肩、首、及び頭部領域が赤いので、選手のこれらの領域全体が相当に高温である。暫くすると、目、鼻、及び上胸部域の色の変化(赤から黄、緑、又は橙まで)によって示されているように、選手は冷めていく(R3)。これらの写真は、冷却服の補助なしで身体が多湿/高温条件に順応していくところを示す。
【0094】
熱写真を比較する上で留意すべき最も重要なことは、冷却服を使用した後の頭部温度の違いである。
【0095】
通常の氷ベストは頭部を明確に冷却しないが(頭部は依然として赤いままである)、他方で本発明のジャケットは頭部を冷却する。ベスト/ジャケットを脱いだ後でさえも、即ち、R6及びI6でも、本発明の冷却ジャケットのみが選手の頭部を冷却された状態に留めることができる(R6)。氷ベストを着用する選手は、ジャケットを脱いだ後も依然として頭部が熱いままである。
【0096】
また、両方の組の画像は、上部背中及び肩で身体の温度がより高くなることに対処するために、それらの上に冷媒を増量できるように本発明のジャケットを再構成することの重要性を示す。
【0097】
本発明のジャケットによって実現する皮膚温度の低下が大きくなればなるほど、それに見合って図7に示した選手の体深部温度がそれだけ大きく低下する。
(実施例2)
本実施例は、本発明の実施に有用なPCM小袋、PCM小袋を組み込む多様な冷却服の設計上の特徴、及びこの服の典型的な応用例を説明する。
【0098】
積層冷却小袋
それぞれの冷却服は2つの異なるサイズのPCM小袋を備える。使用された真空包装技法では、元々の小袋の内部封止体寸法を110mm×100mm(サイズ1)及び70m
m×100mm(サイズ2)にすることが必要であった。しかし、本実施例では、PCMは小袋に充填される優勢条件下で液体であった。次いでPCMを冷却によって凝固させて小袋を封止した。しかし、小袋は実施例1で説明した原理に従って作製される。小袋は、冷却服の内側に設けられた50mm幅の布地ポケットの中に収納されることになっている。これを実現するために、小袋を折り曲げ(100mmの寸法に沿って)、粘着テープを使用して折り畳んだ構成で固定される。理想的には、適切にサイズ決めした小袋を作製し、それによって小袋を折り畳んでポケットの中に収める必要を回避することになる。使用したPCMはルビサーム(Rubitherm)RT2及びRT20であった。
【0099】
小袋を作製するために使用した積層薄膜は、68μmの厚みのRA463(クライオバック社(Cryovac))であった。
【0100】
冷却パックに関連する幾つかの寸法を下表に掲げる。
【0101】
【表2】

【0102】
ベスト(即ち、袖無し)は典型的に最小限の70パック及び最大限の106パックを含み、ジャケットは最小限の106パック及び最大限の150パックを含む。フードは16パックを含む。
【0103】
次の設計基準の殆どは、全体的な冷却効果、冷却感覚の持続、着用者の快適さの向上を最大化する問題に対処したものである。追加的な設計上の特徴も機能上の重要性がない場合さえあるが、それらが含まれている。
【0104】
【表3】

【0105】
(実施例3)
選手から排出すべき熱の最大量の初期計算を使用して冷却服中のPCM充填量を導出することができる。下表は、熱損失計算の値及びPCMルビサーム(Rubitherm)RT20に関する最初の充填量計算を示す。
【0106】
【表4】

【0107】
このような活動域に有用な冷却服では、それは20〜30分で278kJの最小値を有し、恐らくは殆ど700〜900kJ(〜985kJ)付近になろう。
【0108】
【表5】

【0109】
このことから、原理上、発生が想定される最大熱損失に対応するには5.727kgのPCMが必要であることが理解され得る。実施では、着心地、扱い易さ、及び運搬可能性のために、この服は、熱損失の最小値及び最大値に必要なPCM量の平均、即ち、約3.67kgのPCMRT20が含まれることになる。
(実施例4)
実施例2で参照した種類のPCMの完全な融解が生じた後に、服全体を完全に活性化するのに必要な冷却持続時間に関して幾つかの実験を実施した。フード(0.5kgのPCM)は、内ポケット層を一切冷却室に曝さないとき、約5.5時間(冷蔵庫(約4℃)内のRT20及び冷凍庫(約−18℃)内のRT2)が必要である。3.97kgのRT2を含むジャケットは完全に充熱されるまでに冷凍庫(約−18℃)内で8時間を要し、3.41kgのRT20を含むベストは、冷蔵庫(約4℃)内で約8時間又は空調冷却室(16℃)内で一晩を要する。RT20ジャケットは、充熱するのに冷凍庫(約−18℃)内で約4時間を要する。これは、内ポケット最大表面積量を低温/冷温室の冷たい周囲温度に曝すことに依るものである。
【0110】
多少の熱量が、PCMをそれが融解するための相変化温度(T−融解温度)に暖めるのに必要である。保管温度が低ければ低いほど、それだけ大きな熱量がPCMの温度を変化させるのに必要になる。
【0111】
下表には、〜3.9kgのRT20PCMが冷蔵又は冷凍室内で完全に充熱されるときに、追加的な熱の追加分18から21%が身体冷却のために充填され得ることが総括してある(Tは室内の保管温度を示す)。
【0112】
【表6】

【0113】
収集された主観的データは、この服が約40分間、即ち、服を身に付けた時点から、冷却感覚がもはや明白でなくなった後にそれを脱ぐまで効果的であることを示唆する。この有効な冷却持続時間は、極度の運動期間(典型的なボート漕ぎウォームアップ・セッション)中に太陽の下で(25〜30℃)着用されるときのRT2ベスト/フード組合せに該当した。他の事前冷却応用例は、両方のPCMジャケット(RT20及びRT2)が30分の事前冷却期間及び30分の運動後の期間に亘って効果的なことを示した。
(実施例5)
実施例1で説明した冷却ジャケットは、ノーザンテリトリー・スポーツ研究所(オーストラリア、ダーウイン市)において、10.4km走を行う4人のマラソン選手を使って第2の組の実験で評価された。実験は、3日間に亘って(無作為化実験:月曜日、水曜日、金曜日)、400mトラック上の周囲条件が22〜30℃の間及び30〜60%の相対湿度の間にあった午前11時から午後2時の間に実施された。各選手は、冷却服の性能に対する比較効果及び影響を確証するために、通常の氷ベスト、実施例1に説明した本発明に係るジャケットとフードの組合せを着用した。
【0114】
4人の選手は、期間、即ち、最初の休止時間(最初の30分間、事前冷却)、運動期間(10.4km=400mトラックを26周)、及び30分間(回復期間、爾後冷却)が画定された期間に亘って調査された。服は競技前及び競技後期間の間のみ着用された。
【0115】
皮膚表面温度(上腕、肩甲骨、腰、胸、腹部)、体深部(肛門)、乳酸、心拍数、汗損失などの生理学的応答、スプリットタイム、並びに熱感覚及び自覚的労作の格付けが、それぞれの選手から収集された。皮膚温度データは赤外線温度ガンによって収集され、体深部温度データは体深部温度ピルを使用し且つ肛門サーミスタ温度検出器によって収集された。乳酸濃度は毛細血管(耳たぶ)の血液試料を採取することによって測定された。生理学的測定値は、事前冷却の前後に、各周回セットの後に、回復期間後に採取された。これらのデータは下に説明したグラフを得るために4人の被検者を平均した。
【0116】
本発明に係るジャケット/フード組合せの着用によって得られる主要な改善点及び向上点が以下の論述に含まれる。
・ 皮膚温度は、皮膚と氷との間の接触部位では本発明のジャケット/フード組合せよりも低かった。皮膚温度は、氷と接触しているときよりも3から6℃低く、且つ対照よりも3.5から10℃低かったが、腰、胸、及び腹部域は、第1周回セットの後では、本発明のジャケット/フード組合せ領域とほぼ同じ皮膚温度に回復した(腰、胸、及び腹部の皮膚温度の図A〜Cのグラフを参照されたい)。
・ 本発明のジャケットの長袖設計のために、腕の温度が対照条件に較べて1℃だけ低下した一方で、氷服を事前冷却で着用したとき、腕の温度が対照条件よりも1℃高かった(腕温度の図Dのグラフを参照されたい)。氷ジャケットとの接触による冷却は、腰の温度
に関して最初は顕著であるが、氷ベストの脱着の後で腰の温度が一貫してより高かった極度の運動中には有利ではないことに留意されたい。
・ 心拍数は、運動期間に亘って本発明のジャケット/フードで冷却された被検者では一貫して2bpm低かった。事前冷却の直後では、両方の冷却服(氷及び本発明)が、運動前に冷却されなかった被検者(対照)が経験した心拍数の13bpmの増加を抑制した(心拍数の図Eのグラフを参照されたい)。
・ 運動前の期間から運動後の期間の体重変化は、氷冷却が、4%多く発汗を誘発する一方で、本発明のジャケット/フードを使用する冷却は、発汗を11%減少させることを示す(体重の図Fのグラフを参照されたい)。
・ 26周を完走するのに要した合計時間は事前冷却によって短くなり、氷では対照に対して47秒、またPCMでは対照条件に較べて35秒短縮した(図G参照)。
【0117】
本実施例では、本発明に係るジャケットは、腕の温度低下、心拍数の減少、発汗の減少、及び運動完了時間の短縮が顕著であることが証明された。
(実施例6)
実施例1で説明した冷却服は、事前成型した半棒形状の2つの異なる体積(48ml(37g)及び28ml(22g))のPCM(ルビサーム(Rubitherm)RT2)が積層小袋の中に挿入され、最終的な封止体が真空熱封止ユニットを使用して形成されるときに、異なる製品を含むように変更された。体積膨張(RT2製品の相変化に関して約10%)に対応するように、小袋内には適切な容積を残した。平坦な形状の隔室を得るために充填され且つ再融解されるとき、PCM小袋の厚み全体は約1.5cmであった。服の更なる変更には、服と皮膚との間の最適な接触を高めるために胴回りに引き紐が備えられ、服を着脱する際に腕の通りを容易にするために手首から腕の下部にかけてチャック付きの袖が備えられた。
【0118】
このような低い融解温度のPCMジャケット/フード構成及びそれと同類のフード付きベストが、オーストラリア・スポーツ研究所(Australian Institute of Sport)(オーストラリア、キャンベラ市)において、典型的な自転車漕ぎウォームアップ(高労作の運動)を行う選り抜きの自転車競技選手を使って評価された。実験は、被検者が休止時及び熱テント(37℃)の中で運動中にあるときに実施された。被検者は、事前冷却期間及びウォームアップ期間に亘って、体深部温度に対する冷却ジャケット内部のPCMの動作温度を下げることの効果、運動成績に対するその効果及び影響を調査するために事前冷却のためのRT2ジャケット/フード構成を着用した。被検者は、運動期間内の休憩中に冷却するためにRTベスト/フード構成を着用した。
【0119】
被検者は、期間、即ち、最初の休止時間(60分間、事前冷却)及び運動期間(典型的な自転車漕ぎウォームアップ期間)が画定された期間に亘って調査された。ジャケット/フードは事前冷却期間(60分間)の間着用され、ベスト/フードは自転車漕ぎウォームアップ中に6〜15分の間及び21〜30分の間着用された。
【0120】
肛門サーミスタ温度検出器による体深部(肛門)及び心拍数などの生理学的応答が選手から収集された。生理学的測定値が、事前冷却(温室中に60分間)の前後、運動期間中(自転車漕ぎウォームアップを2回完了した;100Wの仕事率で最初の6分間、200Wの仕事率で次の5分間、そして250Wの仕事率で最後の2分間)、及び運動期間後に計測された。
【0121】
その結果を下表に総括する。
【0122】
【表7】

【0123】
結論:37℃の周囲温度では、両方のジャケット/フード組合せの冷却実験計画を0.5時間の冷水シャワー期間後に1時間使用するとき、体深部温度の〜1.5℃の全体的な低下が高労作運動(自転車漕ぎウォームアップ)の前に実現可能である。
【0124】
自転車漕ぎウォームアップ期間後に、ベスト/フード組合せを運動期間中に使用するとき、このような高い周囲温度下における体深部温度は、開始温度(休止時)か又はそれを下回る。
【0125】
本発明に係るジャケット/フード組合せの着用から得られる主要な改善点及び向上点が、以下の論述に含まれる。
・ RT2冷却ジャケット/フードを熱テント中で60分間使用するとき、運動前の冷却期間中の体深部温度が0.3℃低下する。それに対応する対照条件は、被検者が熱テント中に着座している間の時間全体に亘って体深部温度を一定値に維持する。
【0126】
事前冷却期間に、被検者が冷水シャワー(23〜28℃)の下で30分間直立するシャワー処置(同じ効果が冷却室又は均等物の使用によって実現可能である)が伴う他の実験が実施された。これには、被検者が、付随するRT20フードを備える実施例1で説明した種類のジャケットを着用するか、又は付随するRT2フードを備える実施例2で説明したジャケットを着用することが伴う。
【0127】
本発明に係る両方のジャケット/フード組合せの着用から得られる主要な改善点及び向上点が以下の論述に含まれる。
・ 30分間の冷水シャワーの後では、最初の体深部温度の0.2℃と0.5℃との間の低下が実現し、これらの冷却服をシャワーに続いて約60分間使用した後では、これが持続して、更に0.8℃だけ(RT20服/フード)及び1.1℃だけ(RT2服/フード)低下し得る。シャワーの後に熱テント中でいずれのジャケットも着用されなかったとき、体深部温度は、熱テント中で60分間着座した後丁度0.1℃だけ低下した。
【0128】
これらの結果の意味は、20℃及び6℃の融点のPCMジャケット/フード組立体が運動期間前に体深部温度の1.5℃の低下をもたらしたことにある。30分間の冷水シャワー(第1の冷却期間)と、それに続くRT2又はRT20フード/ジャケット組合せの60分間の着用(第2の冷却期間)との組合せによって、体深部温度が運動前にかなり低下する。
・ 強度運動期間の後、労作中にベストが断続的に使用される場合には、RT2又はRT20構成を使用した後の体深部温度は、ウォームアップ後では、体深部温度が、被検者がいずれかの方法によって冷却される前に休止していたときと同じ値であることを示した。
【0129】
本発明に係るこれらのジャケット/フード組合せは、30分間の水浸け/冷水シャワーに続いて使用されるとき、ウォームアップの自転車漕ぎ期間の後で体深部温度をかなり低下させることが本実施例で示された。
(実施例7)
実施例1で説明した冷却ジャケットは、バララット市(Ballarat)のバララット大学(University of Ballarat)(アーストラリア、ビクトリア州)において、20〜30分間の冷水シャワー(25〜29℃)とそれに続いて実施例1で説明した冷却服を着用して温室(〜34℃)内で40分間着座した後に、温室(〜34℃)内でウォームアップ及び競技を行う選り抜きの男性自転車競技者のチームを使って、第3の組の実験で評価された。
【0130】
それぞれの自転車競技者は、体深部温度を低下させることが自転車競技のタイムトライアル、仕事率出力、及び実績時間に対して及ぼす影響を確証し且つ調査するために、実施例1で説明した本発明に係るRT20ジャケット/フード組合せを着用した。
【0131】
体深部(肛門)の生理学的応答、実績時間の測定値、タイムトライアルの成績、及び自転車競技者の仕事率出力(ワット)が収集された。その結果を下表に総括する。
【0132】
【表8】

【0133】
本発明に係るジャケット/フード組合せの着用によって得られる主要な改善点及び向上点が以下の論述に含まれる。
・ 体深部温度は、〜40分間のタイムトライアルの後に両方の事前冷却方法(冷水シャワー及び冷却服)が使用されるときに0.5℃だけ低下する。
・ 実績時間は、ジャケットのみを使用して自転車競技者を冷却したときに15秒(0.15%の短縮)だけ短縮し、両方の事前冷却方法を併用したときに更に26秒から41秒
(0.42%)だけ短縮する。
・ タイムトライアルのスプリットタイムでは、冷水シャワーとジャケット/フード冷却との組合せによって、対照条件のタイムトライアルに較べて、全タイムトライアル期間中に安定して10秒だけタイムトライアルを短縮する。
・ 30分間のタイムトライアル仕事率において、事前冷却後に2.75%の仕事率出力の増加が見られる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】



【図8】

【図9】



【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図A】

【図B】

【図C】

【図D】

【図E】

【図F】

【図G】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの化合物の混合物であり、且つ5から30℃の融点及び1から5℃の融解温度域を有する相変化物質を含む衣類製品。
【請求項2】
前記相変化物質は5℃から25℃の融点を有する、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項3】
前記相変化物質は約22℃の融点を有する、請求項1又は請求項2に記載の衣類製品。
【請求項4】
前記相変化物質は約6℃の融点を有する、請求項1又は請求項2に記載の衣類製品。
【請求項5】
前記相変化物質は1から4℃の融点域を有する、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項6】
前記相変化物質は150kJ/kgから250kJ/kgの融解熱を有する、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項7】
前記相変化物質は、完全融解すると17%未満の膨張を起こす、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項8】
前記相変化物質は個別の小袋の中に設けられる、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項9】
前記相変化物質は積層薄膜によってカプセル化され、前記積層薄膜は、外部熱封止層と前記相変化物質に対して不透過性の内部層とを含む、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項10】
前記積層は、熱封止層の間に差し挟まれた、前記相変化物質に対して不透過性の層を含む3層薄膜である、請求項9に記載の衣類製品。
【請求項11】
前記積層の全体的な厚さは30から150μmである、請求項9又は請求項10に記載の衣類製品。
【請求項12】
前記積層は、LLDPEの層間に差し挟まれた(二軸延伸)ナイロンの層を含む、請求項9に記載の衣類製品。
【請求項13】
前記ナイロン層は10から50μmの厚さであり、前記LLDPE層は50から100μmの厚さである、請求項12に記載の衣類製品。
【請求項14】
前記ナイロン層は約15μmの厚さであり、LLDPEのそれぞれの層は約51μmの厚さである、請求項13に記載の衣類製品。
【請求項15】
前記相変化物質は、柔軟な衣類製品を調製可能にする幾つかの個別的で薄い小袋の中に収納される、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項16】
それぞれの小袋は1.06から1.20の体積に対する熱交換表面積比を有する、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項17】
前記小袋は前記製品の内部のポケットの中に挿入され、永続的に又は着脱可能にその内部に封止される、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項18】
前記製品が作製される材料は、軽量で通気性があり、使用に際して、前記小袋が着用者の皮膚に密接するように形作られる、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項19】
前記小袋は、使用に際して大きな熱放散の身体部位に近接することが想定される領域に収められる、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項20】
前記衣類製品はジャケット又はベストの形態にあり、前記相変化物質は、胸、背中、及び/又は肩の領域に高水準の冷却を施すように集中される、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項21】
前記衣類製品はジャケット又はベストの形態にあり、前記小袋は、前記ジャケット又はベストの前部と後部とに亘る畝様の配置の中に設けられる、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項22】
前記小袋は、前記衣類製品中の屈曲点に亘って延在しない、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項23】
前記衣類製品は、内被及び外被を含み、前記内被は前記相変化物質を収納する小袋を受け入れるようになっている、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項24】
前記衣類製品は、前記製品の熱交換表面を着用者の体又はその部位に密着させる1つ又は複数の適切に位置決めした備品を更に含む、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項25】
前記衣類製品は、小袋であって、前記衣類製品内部の前記小袋の位置に応じて異なる種類の相変化物質を収納する小袋を含む、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項26】
大きな熱損失の体の領域に対応する前記製品の領域では、1つ又は複数の前記小袋は相対的に大きな融解熱を有する相変化物質を含み、より小さい熱損失の体の領域に対応する前記製品の領域では、1つ又は複数の前記小袋は、より小さい融解熱を有する相変化物質を含む、請求項25に記載の衣類製品。
【請求項27】
前記衣類製品は1つ又は複数の氷パックを更に含む、請求項8に記載の衣類製品。
【請求項28】
前記衣類製品は、約6℃の融点を有する相変化物質と約22℃の融点を有する相変化物質とを含む、請求項1に記載の衣類製品。
【請求項29】
競技前、競技中、競技間、及び/又は競技後に運動選手を冷却するための、請求項1に記載の衣類製品の使用。
【請求項30】
前記衣類製品を着用せずにウォームアップ又は競技前の通常動作を終了した後で、個人の体深部温度が、冷却を開始した前のそれとほぼ同じか、又はそれよりも僅かに低くさえあるように前記個人の前記体深部温度を低下させるための、請求項1に記載の衣類製品の使用。
【請求項31】
体深部温度の望ましい全体的な低下が、体を冷却する何らかの他の方法の適用前に、その適用後に、又はその適用中に前記衣類製品を使用することによって実現される、請求項30に記載の衣類製品の使用。
【請求項32】
前記体を冷却する他の方法は冷水又は低温シャワーである、請求項31に記載の衣類製品の使用。
【請求項33】
ヘルメットを冷却するための、請求項31に記載の衣類製品の使用。
【請求項34】
保護服の下に着用すべき冷却服を提供するための、請求項1に記載の衣類製品の使用。
【請求項35】
体及びその部位の冷却が有益である医療における、請求項1に記載の衣類製品の使用。
【請求項36】
外胚葉異形成症、多発性硬化症、又は頭部外傷の監理及び/又は治療のための、請求項35に記載の衣類製品の使用。

【公表番号】特表2007−528945(P2007−528945A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519729(P2006−519729)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000956
【国際公開番号】WO2005/006896
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506018639)ロイヤル・メルボルン・インスティテュート・オブ・テクノロジー (4)
【氏名又は名称原語表記】ROYAL MELBOURNE INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】