説明

冷却用包装体及びそれを用いた含水ゲル付冷却用包装体

【課題】溶解吸熱反応のように極端な低温にすることなく冷却効果の持続時間を充分に維持することができる冷却用包装体であって、保存している雰囲気温度が高くなった場合にも冷却剤成分である結晶水を保有する塩が塊状化しにくい保存安定性に優れた冷却用包装体を提供することを目的とする。
【解決手段】包材中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子(A)と、無機アンモニウム塩粒子(B)とを隔離して封入してなる冷却用包装体であって、使用時に前記(A)成分と前記(B)成分とを接触させるものであることを特徴とする冷却用包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用や日用品として用いられる冷却用包装体に関し、詳しくは、発熱や炎症の冷却や、皮膚の保湿やリフレッシュ等に用いられる冷却用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発熱時や炎症時の症状を和らげる目的や、皮膚の保湿やリフレッシュ等を目的として、身体の各部を冷却するための冷却用包装体が知られている。
【0003】
このような冷却用包装体に用いられる技術として、例えば、下記特許文献1には、密封した袋中に、硝酸アンモニウムや尿素等の冷却剤と、水及び/又は含水塩と、有機酸と、炭酸塩とを隔離して封入し、使用時にこれらを混合することにより、水と有機酸と炭酸塩とを反応させて炭酸ガスを発生させて袋を膨らませるとともに、冷却剤が水に溶解するときの溶解吸熱反応により冷却する冷却袋が記載されている。
【0004】
しかしながら、このような溶解吸熱反応を用いて冷却する方法によれば、冷却剤を溶解するための水が必要になるために、容量が大きいものになるという問題があった。また、溶解吸熱反応は冷却剤が水に溶解したときに、一気に吸熱反応が完了するために、短時間で温度が大幅に下がって最低温度に達し、その後は、冷却された水溶液と体温や外気温との熱交換により温度が短時間で上昇するという問題があった。従って、できるだけ冷却効果を長い時間持続させるためには、冷却剤の量を増やして、最低温度を下げるしかなかった。この場合、冷却剤及び水の量が多くなるために、冷却袋の容量が大きくなるという問題があった。また、最低温度を下げることによって冷却効果を持続させるためには、最低温度を氷点下から大幅に低い温度、具体的には、−10℃以下のような低い温度にする方法もある。しかしながら、この場合には、凍傷等を防ぐために、冷却袋の厚みを増したり、冷却袋表面に緩衝層を設けたり、タオルで覆ったりして用いる必要があった。
【0005】
このような溶解吸熱反応を用いない冷却剤として、無機アンモニウム塩と結晶水を保有する塩とを混合することによって生じる吸熱反応を利用した冷却剤が知られている。具体的には、下記特許文献2及び特許文献3の段落[0002],[0003]には、無機アンモニウム塩として、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、及び臭化アンモニウムが挙げられており、結晶水を保有する塩として、炭酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム7水和物、硫酸ナトリウム10水和物、燐酸2ナトリウム12水和物が挙げられており、これらを混合する際に生じる吸熱を利用した冷却剤が記載されている。このような無機アンモニウム塩粒子と結晶水を保有する塩の粒子とを混合することによって生じる吸熱反応を利用した冷却剤は、夏場に倉庫内などで雰囲気温度が40℃を超えるような環境下においては、結晶水を保有する塩から結晶水が分離しやすくなり、それにより分離した液体の水に塩が溶解する。そして、再度雰囲気温度が低下したときに水が結晶水に戻って塩が再結晶化する際に、塊状化する。このように形成された塊状化された塩は外部から力を加えてももとの粒子径程度には解砕することは困難であり、この場合には無機アンモニウム塩の粒子と充分に混合することが困難になるという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために下記特許文献2には、無機アンモニウム塩と、結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチウム8水和物塩とを混合することを特徴とする冷却剤が記載されている。しかしながら水酸化ストロンチウム8水塩は潮解性があるために、貯蔵安定性は充分ではなく、低温維持時間も短いという問題があった。さらに、水酸化ストロンチウム8水塩は工業的な利用が容易ではなく、強アルカリ物質であるために、破損した場合に人体に対して損傷を与えるおそれがある。
【0007】
また、下記特許文献3には、硝酸アンモニウム、尿素及び硫酸ナトリウム10水和物と撥水性シリカとの混合物それぞれを接触しないように保持し、使用時にはこれらが混合接触しうるようにしたことを特徴とする冷却剤が記載されている。このような方法においては、硫酸ナトリウム10水和物と撥水性シリカを予め均一に混合させておくことにより、撥水シリカのアンチブロッキング性を利用して、硫酸ナトリウム10水和物から結晶水が分離した後、雰囲気温度が低下したときに、硫酸ナトリウム10水和物が塊状化することを抑制するものである。しかしながら、雰囲気温度が40℃を超えるような環境下においては、硫酸ナトリウム10水和物から結晶水が分離する現象は生じるために、該塊状化を完全に抑制しうるものではなかった。
【特許文献1】特開2000−229100号公報
【特許文献2】特開平9−95667号公報
【特許文献3】特開平6−65564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、溶解吸熱反応のように極端な低温にすることなく冷却効果の持続時間を充分に維持することができる冷却用包装体であって、保存している雰囲気温度が高くなった場合にも冷却剤成分である結晶水を保有する塩が塊状化しにくい保存安定性に優れたコンパクトな冷却用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷却用包装体は、包材中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子(A)と、無機アンモニウム塩粒子(B)とを隔離して封入してなる冷却用包装体であって、使用時に前記(A)成分と前記(B)成分とを接触させるものである。このような構成によれば、溶解吸熱反応のように極端な低温にすることなく冷却効果の持続時間を充分に維持することができ、保存している雰囲気温度が40℃以上のような高い温度になった場合にも冷却剤成分であるチオ硫酸ナトリウム5水和物が水を解離しにくいために、塊状化しにくい保存安定性に優れた冷却用包装体を提供することができる。
【0010】
前記(B)成分としては、硝酸アンモニウム粒子であることが吸熱効果に特に優れる点から好ましい。
【0011】
前記(A)成分と(B)成分の封入割合としては、前記(A)成分1モルに対して、前記(B)成分0.2〜5モルであることが吸熱効果に優れる点から好ましい。
【0012】
また、本発明の含水ゲル付冷却用包装体は、上記何れかの冷却用包装体からなるシート状包装体と、該シート状包装体の少なくとも一面に含水ゲルを積層した構成からなることを特徴とする。このような構成によれば、前記(A)成分と前記(B)成分とが混合されることにより生じる吸熱反応による冷却効果により、含水ゲルが冷却される。そして、含水ゲルの蓄冷効果により、長時間冷却効果をさらに維持することができる。また、含水ゲル中の水分の蒸発による気化熱による冷却効果も備えるために、小さい容量でより長い時間冷却効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、溶解吸熱反応のように極端な低温にすることなく冷却効果の持続時間を充分に維持することができる冷却用包装体であって、保存している雰囲気温度が高くなった場合にも冷却剤成分である結晶水を保有する塩が塊状化しにくい保存安定性に優れた冷却用包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態の冷却用包装体1を図1を参照して説明する。
【0015】
冷却用包装体1は、図1に示すように、基材5上に設けられた2つの隔離された室2a,2bを有する包材2中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3と、無機アンモニウム塩粒子4とが隔離壁2cにより隔離されて封入されている。なお、隔離壁2cは、例えば、通常の保存状態においては、隔離状態を維持し、使用時に適度の衝撃等を加えることにより容易に破断して、隔離状態から開放されるようなものが用いられる。このような隔離壁2cとしては、例えば、室2a,2bの外側を形成するフィルムの厚みに比べて、薄いフィルムを圧着または接着することにより形成しうる。そして、使用時に、隔離状態を解除することにより、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3と無機アンモニウム塩粒子4とが接触し、さらに混合することにより吸熱反応が生じる。
【0016】
本発明者らは、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子が、水分子を解離するときに、吸熱反応し、この吸熱反応が長時間にわたって持続することを見出した。このような吸熱反応の挙動は、従来知られた、硝酸アンモニウム等の冷却剤が水に溶解するときに短い時間で急激に吸熱反応が進行する溶解吸熱反応による吸熱反応とは、全く異なる吸熱挙動を示すものである。
【0017】
無機アンモニウム塩は、チオ硫酸ナトリウム5水和物の結晶水の解離を促進する化合物であり、具体的には、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アンモニウム明礬、臭化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩等の粒子が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、硝酸アンモニウムや炭酸アンモニウムがチオ硫酸ナトリウム5水和物と接触したときの吸熱効果に特に優れる点から好ましく用いられる。
【0018】
チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子(A)と、無機アンモニウム塩粒子(B)との封入比率としては、(A)成分1モルに対して、(B)成分0.2〜5モルであることが好ましい。無機アンモニウム塩粒子(B)のモル比が少なすぎる場合には、チオ硫酸ナトリウム5水和物が未反応のまま残り、冷却効果が不充分になり、多すぎる場合には、無機アンモニウム塩粒子の濃度が高くなり最低温度が低くなりすぎる傾向がある。
【0019】
また、硝酸アンモニウムを用いる場合のモル比としては、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子1モルに対して、0.2〜4モル、さらには0.3〜3モルであることが好ましく、炭酸アンモニウムを用いる場合のモル比としては、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子1モルに対して、0.2〜3モル、さらには0.5〜2モルであることが好ましい。
【0020】
チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子(A)及び無機アンモニウム塩粒子(B)の平均粒子径(D50)としては特に限定されないが、0.05〜3mm、さらには、0.5〜3mm程度であることが、より均一に混合しやすくなるために、高い冷却効果が得られる点から好ましい。
【0021】
なお、冷却用包装体1中には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(A)成分及び(B)成分の他に、使用感を向上させる等を目的として、増粘剤やゲル化剤、吸水剤等を封入してもよい。この場合、(A)成分や(B)成分とともに、室2a又は2bに充填しても、室2a,2bとは隔離させるようにして封入してもよい。
【0022】
次に、包材について説明する。
【0023】
室2a,2b及び隔離壁2cを形成するための包材としては、内部に収納されるチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子や無機アンモニウム塩粒子等を封入し、使用時に生成する水が液漏れしないような材料から形成されているものであれば特に限定なく用いられうる。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるフィルムや、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維からなる不織布や織布、前記フィルムと不織布や織布とをラミネートして得られる非透水性不織布等の包材が好ましく用いられる。またこのような包材は、単層であっても、また、ガスバリア性を高める等の目的で、金属箔をラミネートしたり、表面に金属を蒸着したりして多層化されたものであってもよい。さらに、触感を改良する等の目的で、天然繊維や、合成繊維からなる織布や不織布で被覆したようなものを用いてもよい。なお、後述するような含水ゲル付冷却包装体を形成する場合には、含水ゲル層が剥離しにくい点から、非透水性不織布が好ましく用いられる。
【0024】
このような冷却用包装体1においては、使用に際して外部から与えられる衝撃等の力により、隔離壁2cを破断する。そして、隔離壁2cが破断することにより隔離状態が破られ、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と無機アンモニウム塩粒子とが接触できる状態になる。そして、冷却用包装体1を振ったり、揉んだりすることにより、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と無機アンモニウム塩粒子とが均一になるように混合することにより吸熱反応が引き起こされる。
【0025】
上記のような吸熱反応の初期においてはチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子も無機アンモニウム塩粒子も粒子状であるが、これらを混合することにより、反応の進行に伴い、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子の水和水が徐々に解離して、その状態が粒子状態からシャーベット状に徐々に変化した後、液体の水が徐々に分離され、さらに、反応の後期においては、チオ硫酸ナトリウム及び無機アンモニウム塩が溶解した水溶液の状態が観察される。
【0026】
冷却用包装体としては、図1に示したような、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3と無機アンモニウム塩粒子4とを隔離壁2により隔離するような形態のほか、図2に示すような、包材12中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3を収納するとともに、衝撃等により容易に破断するような内袋6に収納された無機アンモニウム塩粒子4を収納した形態の冷却用包装体10のようなものであってもよい。なお、包材12中に、収納される内袋6は、保存状態においては隔離状態を保つことができ、使用時に適度の衝撃等を加えることにより容易に破断して、隔離状態から開放されるようなものであることが好ましい。このような、内袋を形成する材料としては、上記包材の他、ポリビニルアルコール、和紙、オブラートのような水溶性の材料からなるもの等も好ましく用いられる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、第1実施形態で説明したような冷却用包装体の少なくとも一面に、含水ゲルを積層して得られる含水ゲル付冷却用包装体について図3を参照して説明する。なお、第1実施形態で説明したものと同様の符号を付した部分は、第1実施形態と同様のものであるためにその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみについて詳しく説明する。
【0028】
図3は含水ゲル付冷却用包装体20の断面模式構成図をそれぞれ示す。
【0029】
含水ゲル付冷却用包装体20は、基材5の一方の面に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3を封入する室2aと無機アンモニウム塩粒子4を封入する室2bとからなる冷却用包装体が設けられており、基材5の他方の面に含水ゲル層7が設けられている。
【0030】
含水ゲル付冷却用包装体20においては、室2aと室2bにより隔離されてチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3と無機アンモニウム塩粒子4とが封入されてなる冷却用包装体1の一面に含水ゲル層7が積層されている。このような構成によれば、使用に際して、室2aと室2bとを隔離する隔離壁2cを破断し、混合することにより、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子3と無機アンモニウム塩粒子4との吸熱反応による冷却が始まる。そして、その冷却作用が含水ゲル層7の蓄冷効果より蓄えられて、長時間冷却効果を維持することができる。また、含水ゲル中の水分の蒸発による気化熱による冷却効果も備えるために、小さい容量でより長い時間冷却効果を発揮させることができる。
【0031】
含水ゲル層7としては、気化熱による冷却作用を示し、皮膚に貼付することができる程度の粘着性を備え、保形性に優れた、従来から知られた保水性の高分子ゲルが特に限定なく用いられる。このようなゲルを形成する高分子の具体例としては、例えば、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、ローカストピーンガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム等の天然高分子や、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、含水ゲル層7中には、軟化剤、吸収促進剤、湿潤性付与剤、架橋剤、無機充填材、酸化防止剤、清涼剤、薬理活性物質、防腐剤等を含有させてもよい。
【0032】
含水ゲル付冷却用包装体20に形成された含水ゲル層7は、0.17〜0.23g/cm程度になるような厚みで形成されることが粘着性及び使用感に優れる点から好ましい。
【0033】
また、含水ゲル層7を保護するために、使用前はその外側表面を剥離フィルムにより被覆しておくことが好ましい。剥離フィルムとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
【0034】
また、前記剥離フィルムの表面をシリコーン、界面活性剤で処理したり、前記剥離フィルムの表面にシボをつけたりすることにより、含水ゲル層7からの剥離性を向上させてもよい。剥離フィルムの厚さは特に制限されるものではないが、好ましくは10〜100μmである。
【0035】
以上、詳しく説明した冷却用包装体及び含水ゲル付冷却用包装体は、冷却剤が粉体原料から構成されるためにコンパクトな小さい容量で、長時間冷却効果が持続する冷却用包装体である。従って、このような冷却用包装体は、日用品として用いられる冷却用包装体に関し、詳しくは、発熱や炎症の冷却医療用や、皮膚を保湿したりリフレッシュするための日用品、さらには、生鮮食品の保冷等に好ましく用いられる。
【0036】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中で、粒子径1〜3mmのチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子30.3g(0.12モル)、粒子径1〜3mmの硝酸アンモニウム粒子19.7g(0.25モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0038】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内のチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子は、粒状の形状を保っていた。
【0039】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と硝酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、冷却用包装体表面の中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットした。このとき混合開始から26分後に13℃の最低温度に到達し、15℃以下の低温が約49分間、20℃以下の低温が約92分間持続した。
【0040】
(実施例2)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中で、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子49.6g(0.2モル)、硝酸アンモニウム粒子48g(0.6モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0041】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内のチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子は、粒状の形状を保っていた。
【0042】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と硝酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、冷却用包装体表面の中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットした。このとき混合開始から4分後に−3.8℃の最低温度に到達し、15℃以下の低温が約41分間持続した。
【0043】
(実施例3)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中で、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子49.6g(0.2モル)、炭酸アンモニウム粒子19.2g(0.4モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0044】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内のチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子は、粒状の形状を保っていた。
【0045】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と炭酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、冷却用包装体表面の中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットした。このとき混合開始から13分後に9.6℃の最低温度に到達し、15℃以下の低温が約31分間持続した。
【0046】
(実施例4)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中で、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子49.6g(0.2モル)、硫酸アンモニウム粒子26.4g(0.2モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0047】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内のチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子は、粒状の形状を保っていた。
【0048】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と硫酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、冷却用包装体表面の中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットした。このとき混合開始から4分後に11℃の最低温度に到達し、15℃以下の低温が約16分間持続した。
【0049】
(実施例5)
26℃の雰囲気下、片面にポリアクリル酸からなる含水ゲル層が形成された、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子30.3g(0.12モル)、硝酸アンモニウム粒子19.7g(0.25モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。なお含水ゲル層は一面に約26gの量になるように塗布された。
【0050】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内のチオ硫酸ナトリウム5水和物粒子は、粒状の形状を保っていた。
【0051】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子と硫酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、含水ゲル層表面中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットした。表1に示すように、混合直後から30分後に16℃の最低温度になり、20℃以下の低温が130分間持続した。
【0052】
(比較例1)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中に、硫酸ナトリウム10水和物粒子23.0g(0.07モル)及び硝酸アンモニウム粒子27g(0.34モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0053】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。このとき、硫酸ナトリウム10水和物粒子は、結晶水が遊離して液状となっていた。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内の硫酸ナトリウム10水和物粒子は、大きな塊状となっていた。
【0054】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、硫酸ナトリウム10水和物粒子と硝酸アンモニウム粒子とを混合した。しかし、硫酸ナトリウム10水和物粒子は、大きな塊状となっていたために、充分に均一に混合できなかった。
【0055】
(比較例2)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中に、第2リン酸ナトリウム12水和物粒子23.0g(0.06モル)及び硝酸アンモニウム粒子27g(0.34モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0056】
そして、得られた冷却用包装体を40℃の恒温槽に16時間静置した後、取り出した。このとき、第2リン酸ナトリウム12水和物粒子から結晶水が遊離しており、粒子と液体の混合物のような状態になっていた。そして、取り出された冷却用包装体を26℃の雰囲気に2時間静置した。このとき、冷却用包装体内の第2リン酸ナトリウム12水和物粒子は、大きな塊状となっていた。
【0057】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、第2リン酸ナトリウム12水和物粒子と硝酸アンモニウム粒子とを混合した。しかし、第2リン酸ナトリウム12水和物粒子は、大きな塊状となっていたために、充分に均一に混合できなかった。
【0058】
(比較例3)
26℃の雰囲気下、縦135mm、横100mmの非透水性不織布製袋(厚み50μm)中に、水33.4g(1.86モル)及び硝酸アンモニウム粒子66.6g(0.84モル)をそれぞれ隔離壁により隔離して収納し、冷却用包装体を得た。
【0059】
そして、該製袋内の隔離壁を破断させて、水と硝酸アンモニウム粒子とを混合した。そして、冷却用包装体表面の中央に温度センサを取り付け、26℃雰囲気下、混合直後からの温度変化をプロットしたところ、混合開始から4分後に3.4℃の最低温度に到達し、20℃以下の低温が約85分間持続した。
【0060】
以上の結果を以下の表1にまとめて示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から、本発明に係る実施例1〜5においては、冷却用包装体中のチオ硫酸ナトリウム5水和物が、40℃の恒温槽で処理した後、26℃の温度に戻したときに、粒状を維持していた。従って、40℃にした後も、チオ硫酸ナトリウム5水和物と無機アンモニウム塩とを均一に混合させることができたために、充分な冷却効果を発揮した。また、実施例1の冷却用包装体の片面に含水ゲル層を設けた実施例5は、20℃以下の低温維持温度が130分以上と非常に長い冷却効果を示した。一方、硫酸ナトリウム10水和物、又は第2リン酸ナトリウム12水和物を用いた比較例1、2においては、40℃の恒温槽で処理した後、26℃の温度に戻したときに、大きな塊状になっていた。従って、無機アンモニウム塩とを均一に混合させることができなかった。また、比較例3は水に硝酸アンモニウムを溶解させることによる溶解吸熱反応を用いた冷却包装体であるが、冷却剤の容量を大きくしなければ十分な冷却効果を発揮することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る実施形態の冷却用包装体の模式説明図を示す。
【図2】本発明に係る他の実施形態の冷却用包装体の模式説明図を示す。
【図3】冷却用包装体に含水ゲル層を積層した含水ゲル付冷却用包装体の模式説明図を示す。
【符号の説明】
【0064】
1、10 冷却用包装体
2、12 包材
2a、2b 隔室
2c 隔離壁
3 チオ硫酸ナトリウム5水和物
4 無機アンモニウム塩
5 基材
6 内袋
7 含水ゲル層
20 含水ゲル付冷却用包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材中に、チオ硫酸ナトリウム5水和物粒子(A)と、無機アンモニウム塩粒子(B)とを隔離して封入してなる冷却用包装体であって、使用時に前記(A)成分と前記(B)成分とを接触させるものであることを特徴とする冷却用包装体。
【請求項2】
前記(B)成分が硝酸アンモニウム粒子である請求項1に記載の冷却用包装体。
【請求項3】
前記(A)成分1モルに対して、前記(B)成分を0.2〜5モル含有する請求項1または2に記載の冷却用包装体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の冷却用包装体からなるシート状包装体と、該シート状包装体の少なくとも一面に含水ゲルを積層した構成からなることを特徴とする含水ゲル付冷却用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−285295(P2009−285295A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142708(P2008−142708)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(594023582)タカビシ化学株式会社 (4)
【Fターム(参考)】