説明

冷却装置およびこれを用いた電子機器

【課題】取付ネジが露出しないように、既設の壁面に容易に取り付けられる冷却装置を提供する。
【解決手段】前面に第1環境となる外気用の外気吸気口5(第1吸気口)と外気吐出口6(第1吐出口)を設け、背面に第2環境となる内気用の内気吸気口7(第2吸気口)および内気吐出口8(第2吐出口)を設けた本体ケース4と、この本体ケース4内に設けられた外気送風機9(第1環境用送風装置)および内気送風機10(第2環境用送風装置)と、本体ケース4内において外気と内気との熱交換を行う熱交換器11とを備え、本体ケース4内側から貫通した複数の固定ボルト12を本体ケース4の背面に突出させ、取付壁面(壁面2a)に設けたボルト貫通孔13に固定ボルト12を貫通して壁面に固定するものであるので、様々な厚さの壁に容易に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば屋外に設置される電子機器に活用される冷却装置およびこれを組み込んだ電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話の基地局は、数十アンペア以上の電流が流れることから、ある点では発熱体とも表現される。つまり、発熱体でもある携帯電話の基地局を冷却することは、その動作を安定化させるためには極めて重要なものとなる。
【0003】
このような基地局においては、近年の技術開発の結果、内部に収められた機器類を更新し、さらに発熱量が増加する傾向にある。また、通信量の増加に伴い、基地局内のスペースを有効に使いながら可能な限り多くの機器類を収納する傾向がある。
【0004】
このような背景において、基地局内のスペースの妨げとならないように外壁面に冷却装置が取り付けられることが増えている。
【0005】
そして、このような冷却装置を壁面に外付けするときには、壁面に取り付け用の固定具をあらかじめ固定し、その固定具に対して装置本体を引掛けたり、ネジ止めする方式をとっていた(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、他にも、冷却装置の取り付け面から外周側に張り出す取り付けフランジを設ける場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7―243415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この様な冷却装置の壁面取り付け構造においては、固定具を本体装置とは別に用意する必要があるという課題があった。また、引掛ける方式では、容易に取り外すことが可能な反面、簡単に盗難されるという恐れがあった。
【0009】
また、本体にフランジを設けて外周側にネジ止め部分を設けても、外部から簡単に取り外しができるため、盗難が危惧されていた。
【0010】
そこで、本発明は、既設の壁面に対して、外側から取り付けることができ、かつ、取り付け用のネジが露出せずに防犯対策ができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、この目的を達成するために、本発明の冷却装置は、
前面に第1環境用の第1吸気口と第1吐出口を設け、背面に第2環境用の第2吸気口および第2吐出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用送風装置および第2環境用送風装置と、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケース内側から貫通した複数の固定ボルトを前記本体ケースの背面に突出させ、
取付壁面に設けたボルト貫通孔に前記固定ボルトを貫通して壁面に固定するものであり、
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のごとく本発明の冷却装置は、前面に第1環境用の第1吸気口と第1吐出口を設け、背面に第2環境用の第2吸気口および第2吐出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用送風装置および第2環境用送風装置と、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケース内側から貫通した複数の固定ボルトを前記本体ケースの背面に突出させ、
取付壁面に設けたボルト貫通孔に前記固定ボルトを貫通して壁面に固定するものであるので、様々な厚さの壁面に容易に取り付けられると共に、ネジが外側に露出しないので、盗難されにくいという効果を併せ持つことになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子機器の設置例を示す斜視図
【図2】同冷却装置の断面図
【図3】同要部の拡大断面図
【図4】同冷却装置のキャビネット内側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1において、携帯電話の基地局1は、内部に送・受信機(図示せず)を収納したものである。このような基地局1は、様々な場所に設置されている。基地局1は箱状のキャビネット2とこのキャビネット2内に設けた送・受信機とで構成されている。キャビネット2の一つの外壁面には、冷却装置3が取り付けられている。
【0016】
図2を用いて、冷却装置3の概略構成を説明する。冷却装置3は、第1環境となる外気空気(以降、外気と呼ぶ)と第2環境となるキャビネット2内の空気(以降、内気と呼ぶ)とを吸い込む構成となっている。すなわち、冷却装置3は、本体ケース4に外気吸気口5と外気吐出口6およびキャビネット2内用の内気吸気口7および内気吐出口8を有する。冷却装置3内には、外気用の外気送風機9およびキャビネット2内用の内気送風機10と、外気空気とキャビネット2内の空気との熱交換を行う熱交換器11とを備えている。
【0017】
このような構成により、冷却装置3は、熱交換器11により送・受信機の冷却を行うことになる。すなわち、送・受信機は数十アンペア以上の電流が流れており、それに伴って高温化するものとなる。このような送・受信機の高温化を放置するとその特性が不安定になる。冷却装置3の運転を行うと、キャビネット2内の高温の空気は、内気送風機10によって熱交換器11を通って再びキャビネット2内に供給される。一方、内気と比べて低温の外気は、外気送風機9によって熱交換器11を通って外気側に放出されることになる。熱交換器11では、高温の内気と低温の外気との間で熱交換が行われることになり、内気は冷やされてキャビネット2内に供給され、キャビネット2内が冷却されることになる。このように、熱交換器11によって外気との熱交換によりキャビネット2内の冷却を行い、これにより、送・受信機の不安定化を防止する構造となっている。
【0018】
次に、本実施の形態における最も大きな特徴部分について説明する。
【0019】
図2、図3に示すように、冷却装置3は、キャビネット2の壁面2aの外側に取り付けられている。すなわち、本体ケース4の背面側には、複数の固定ボルト12が設けられている。この固定ボルト12は、本体ケース4内にその頭部分を位置させ、本体ケース4の背面側に固定したナット16を通して、本体ケース4の背面から突出している。後に詳しく説明するが、固定ボルト12の頭部分は、ナット16に接している必要はなく、背面側に突出する固定ボルト12の必要な長さに応じて位置を決めればよい。
【0020】
さらに、本体ケース4内を詳細に説明する。本体ケース4には、前面側に化粧パネル17が設けられている。また、内気送風機10を設けた区画と化粧パネル17との間には、遮蔽板18が設けられ、内気送風機10を設けた区画と、外気側とを完全に分離している。
【0021】
一方、キャビネット2の壁面2aには、固定ボルト12を通すボルト貫通孔13が、設けられている。このボルト貫通孔13は、固定ボルト12と同数設けられている。さらに、壁面2aには、内気吸気口7、内気吐出口8それぞれに対応する開口(吸気口用開口14、吐出口用開口15)が設けられている。
【0022】
このような構成において、この実施の形態による冷却装置3の取り付け方法について説明する。
【0023】
上述のとおり、キャビネット2の取り付ける壁面2aには、吸気口用開口14、吐出口用開口15、ボルト貫通孔13が所定の位置に設けられている。冷却装置3側には、本体ケース4の背面から所定の長さの固定ボルト12が突出している。この突出している長さは、少なくとも壁面2aの壁の厚さ分に加えてナット分が必要である。この突出した固定ボルト12を、壁面2aに設けたボルト貫通孔13に差し込む。そして、図4に示すように、キャビネット2の内側から固定ボルト12にナットを螺合して固定するのである。
【0024】
ここで、壁面2aの厚さは、キャビネット2によって様々な厚さが想定される。すなわち、取り付ける壁面2aによって、固定ボルト12が本体ケース4の背面から突出する長さを変える必要があるのである。固定ボルト12が本体ケース4の背面から突出する長さを変えるには、化粧パネル17、遮蔽板18を取り外して、固定ボルト12の頭部分を回す。ねじ込むようにして突出する長さを長くしたり、逆に回して突出する長さを短くする。このように、最適な固定ボルト12の突出長さを設定できるので、様々な壁厚の壁面に取り付けることができ、固定後の固定ボルト12の突出量を小さくできる。すなわち、キャビネット2内に障害物となる固定ボルト12の突出を小さくすることができるのである。
【0025】
また、固定ボルト12の頭は、本体ケース4内に位置することになるので、取り付けネジの頭を外部から確認できなくなる。そのため、簡単に取り外しができなくなり、盗難防止の効果を有することになる。
【0026】
なお、以上の説明では、固定ボルト12を予め壁面2aの厚さ分突出させておくようにしたが、突出する長さを極力少なくした上で仮止めするようにしてもよい。すなわち、位置決めができる程度に本体ケース4の背面から突出した固定ボルト12を、壁面2aに設けたボルト貫通孔13に引掛けるようにして通す。そして、化粧パネル17、遮蔽板18を外した状態で本体ケース4の中から固定ボルト12の頭を回して壁の厚さ分だけねじ込んで壁面2aの内側に固定ボルト12の端部を突出させるのである。このように作業すれば、固定ボルト12を長く突出させた場合と比べて比較的容易に位置決めが可能となる。さらには、壁面2aの厚さがわからない場合でも仮止めした後に、固定ボルト12を出していけばよいので、壁厚を測る必要がなくなる。
【0027】
また、本体ケース4の背面内側には、ナット16を固定する構成としたが、本体ケース4の背面に直接ネジ孔をきって固定ボルト12を通す構成としても良い。
【0028】
また、頭部分を有さない固定ボルト12を用いた場合には、本体ケース4の背面から固定ボルト12を取り付けることが可能となり、さらに化粧パネル17、遮蔽板18を外すことなく固定ボルト12の突出長さを調整することが可能という効果を有することになる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のごとく本発明の冷却装置は、前面に第1環境用の第1吸気口と第1吐出口を設け、背面に第2環境用の第2吸気口および第2吐出口を設けた本体ケースと、この本体ケース内に設けられた第1環境用送風装置および第2環境用送風装置と、前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、前記本体ケース内側から貫通した複数の固定固定ボルトを前記本体ケースの背面に突出させ、取付壁面に設けたボルト貫通孔に前記固定ボルトを貫通して壁面に固定するものであり、既設の壁面等に容易に取り付けられるので、冷却装置だけでなく、空気調和装置、制御盤などの壁面取り付けについても利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 基地局
2 キャビネット
3 冷却装置
4 本体ケース
5 外気吸気口
6 外気吐出口
7 内気吸気口
8 内気吐出口
9 外気送風機
10 内気送風機
11 熱交換器
12 固定ボルト
13 ボルト貫通孔
14 吸気口用開口
15 吐出口用開口
16 ナット
17 化粧パネル
18 遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に第1環境用の第1吸気口と第1吐出口を設け、背面に第2環境用の第2吸気口および第2吐出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用送風装置および第2環境用送風装置と、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケース内側から貫通した複数の固定ボルトを前記本体ケースの背面に突出させ、
取付壁面に設けたボルト貫通孔に前記固定ボルトを貫通して壁面に固定する冷却装置。
【請求項2】
前記本体ケースの背面内側にナットを固定し、
このナットに前記固定ボルトを通して前記本体ケースの背面に突出させる請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記固定ボルトの頭と前記本体ケースの背面との間に所定の距離を設けた請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の冷却装置を搭載した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−23115(P2012−23115A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158400(P2010−158400)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】