説明

冷却装置及び画像形成装置

【課題】冷却ローラによるシート状部材の冷却効率を向上させることができる冷却装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】中空状の管状部材1からなる冷却ローラ22と、管状部材1内に冷却媒体を搬送するポンプ100などからなる冷却媒体搬送手段と、を備え、冷却ローラ22にシート状部材Pを接触させてシート状部材Pを冷却する冷却装置18において、冷却媒体に乱流を発生させる乱流発生手段60を管状部材1の内壁に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる冷却装置、及び、その冷却装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、電子写真技術を用いてシート状部材である用紙上にトナー画像を形成し、熱定着装置を通過させることでトナーを溶融し融着させるものが知られている。一般に熱定着装置の温度は、トナーや用紙の種類、用紙搬送スピードなどによって異なるが180[℃]〜200[℃]程度の温度に設定され制御されて、トナーを瞬時に融着させる。熱定着装置を通過した直後の用紙の表面温度は、用紙の熱容量(比熱、密度など)に左右されるが例えば100[℃]〜130[℃]程度の高い温度となっている。トナーの溶融温度はもっと低いので、熱定着装置通過直後の時点ではトナーは少し軟らかいままであり、用紙が冷えるまでは、しばらく粘着状態にある。そのため、連続的に画像出力動作が繰り返され熱定着装置通過後の用紙が排紙収容部に積載される場合、用紙上のトナーが十分に硬化できず軟化状態にあると、用紙上のトナーが別の用紙に貼り付く所謂ブロッキング現象が起こり、画像品質が著しく低下することがある。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、軸受を介して回転可能にブラケットに支持され、用紙に接触して用紙を搬送しつつ冷却する冷却ローラを備えた冷却装置が、熱定着装置よりも用紙搬送方向下流側に設けられている。熱定着装置通過後の用紙が冷却装置の冷却ローラによって冷却されることで、用紙上のトナーも冷やされ硬化し、上記ブロッキング現象が起こるのを抑えることができる。また、冷却ローラは管状構造であり、冷却ローラ軸方向一端側から他端側に向かって冷却ローラ内に冷却液が流され、用紙から熱を奪うことで温度が上昇した冷却ローラが冷却液により冷却される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電話料金の請求書や領収書等の高速プリントや、厚紙、コート紙等へのカラー光沢画像のプリントなど、軽印刷のニーズが多くなりつつある。このような軽印刷では、高速で大量プリントが行われるため、より短時間に高温のシート状部材を冷却する必要がある。また、オフィス向けとは異なり、カラープリントの頻度も多く、光沢画像も多いことから、熱定着装置によって用紙により高温で画像を定着させるため、高効率の冷却が求められるようになってきた。
【0005】
しかしながら、冷却ローラ内に冷却液を単に流しただけでは、冷却ローラ内壁近傍の冷却液の温度が高くなり過ぎて冷却液により冷却ローラを効果的に冷やすことができず、その結果、冷却ローラによって用紙の冷却を適切に行えないといった問題が生じ得る。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、冷却ローラによるシート状部材の冷却効率を向上させることができる冷却装置、及び、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、中空状の管状部材からなる冷却ローラと、前記管状部材内に冷却媒体を搬送する冷却媒体搬送手段と、を備え、前記冷却ローラにシート状部材を接触させてシート状部材を冷却する冷却装置において、冷却媒体に乱流を発生させる乱流発生手段を前記管状部材の内壁に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の冷却装置において、上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた螺旋形状の突起または溝であり、前記管状部材の回転に伴う冷却媒体の流れ方向とは逆向きの送りが発生するように前記突起または前記溝の螺旋巻き方向を設定したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の冷却装置において、上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた穴であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の冷却装置において、上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた凹凸面または粗し面であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の冷却装置において、上記冷却ローラは上記管状部材である外管と、該外管内に内包する内包部材とから成る管構造であり、上記乱流発生手段を設けた前記外管の内壁と前記内包部材の外壁とで形成される間隙に冷却媒体が流れる流路を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の冷却装置において、上記内包部材はコア部材であり、上記乱流発生手段を設けた上記外管と前記コア部材の外壁とで形成される間隙に冷却媒体が流れる流路を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5の冷却装置において、上記内包部材は、上記外管よりも細管構造の内管であり、該外管と該内管との間を冷却媒体が流れる外側流路、及び、該内管内を冷却媒体が流れる内側流路を有する二重管構造であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の冷却装置において、上記外管の中空内部で、上記内管よりも外径の大きいシリンダを該内管を内包するように取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6の冷却装置において、上記コア部材が、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7の冷却装置において、上記内管が、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8の冷却装置において、上記シリンダが、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、上記乱流発生手段を上記管状部材が接触することで冷却するシート状部材と略同幅の領域に設けることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、シート状部材上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記シート状部材上に形成されたトナー像を少なくとも熱によってシート状部材に定着させる熱定着手段と、前記熱定着手段によってトナー像が定着されたシート状部材を冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の冷却装置を用いることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、管状部材の内壁に設けた乱流発生手段により管状部材の内壁近傍で冷却媒体の流れが乱流となる。これにより、前記内壁近傍にある温度の高い冷却媒体と前記内壁から離れた位置にある温度の低い冷却媒体との入れ替えが盛んに行われる。よって、乱流発生手段を前記内壁に設けない場合よりも内壁近傍の冷却媒体の温度を低くすることができるので、その分、冷却媒体によって管状部材を効果的に冷やすことができる。したがって、前記管状部材からなる冷却ローラによるシート状部材の冷却効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、冷却ローラによるシート状部材の冷却効率を向上させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】構成例1の冷却ローラを軸方向で切断した場合の断面図。
【図2】実施形態に係る冷却装置の概略構成図。
【図3】冷却ローラ内部の流速分布図。
【図4】冷却ローラ内壁面における剥離点よりも流れ方向下流における熱伝達分布図。
【図5】構成例1に係るスリーブの内壁に螺旋形状の突起が設けられた冷却ローラの拡大断面図。
【図6】構成例1に係るスリーブの内壁に螺旋形状の溝が設けられた冷却ローラの拡大断面図。
【図7】構成例2に係るスリーブの内壁に螺旋状の突起が設けられた冷却ローラの拡大断面図。
【図8】構成例2に係るスリーブの内壁に螺旋状の溝が設けられた冷却ローラの拡大断面図。
【図9】(a)構成例3に係る冷却ローラを軸方向で切断した場合の冷却ローラの拡大断面図。(b)構成例3に係る冷却ローラを直径方向で切断した場合の冷却ローラの拡大断面図。
【図10】(a)構成例4に係る冷却ローラを軸方向で切断した場合の冷却ローラの拡大断面図。(b)構成例4に係る冷却ローラを直径方向で切断した場合の冷却ローラの拡大断面図。
【図11】構成例5に係る冷却ローラの拡大断面図。
【図12】構成例6に係る冷却ローラの拡大断面図。
【図13】構成例7に係る冷却ローラの拡大断面図。
【図14】構成例8に係る冷却ローラの拡大断面図。
【図15】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る冷却ローラ及び冷却装置を、熱定着装置によってシート状部材である用紙上のトナーを定着させる画像形成装置を用いて説明する。しかし、本発明の冷却ローラおよび冷却装置は画像形成装置に用いられるものに限定されず、シート状部材の冷却が必要な装置であれば適応可能である。
【0012】
図2は、用紙搬送の働きをも担う本発明の冷却ローラ22を備えた冷却装置18の一例の概略構成図である。冷却手段としての冷却ローラ22は、管状構造であり、内部に冷却液を流し循環させることで冷却ローラ表面を冷やすようにしたものである。この冷却ローラ22を有する冷却装置18を熱定着装置直後の用紙搬送経路中に配置し、冷却ローラ22によって用紙を搬送させると同時に、接触させることで用紙から熱を除去し冷却する。
【0013】
冷却装置18にはシート状部材である用紙Pの搬送方向(左右方向)に間隔をあけて配列されたローラ40とローラ41とが設けられており、用紙を搬送するための搬送ベルト42をローラ40とローラ41とにより展張している。ローラ40は、図示しない駆動源からの駆動力により搬送ベルト42を回転駆動させる駆動ローラであり、搬送ベルト42を図中反時計回り方向に回転させて、搬送ベルト42上に担持された用紙Pを図中右側から左側へ搬送する。
【0014】
冷却装置18よりも用紙搬送方向上流側には熱定着装置16が配置されており、冷却装置18よりも用紙搬送方向下流側には排紙収容部17が配置されている。ローラ41の上方には熱定着装置16から搬送されてきた用紙Pをガイドする上ガイド43が設けられている。また、ローラ40とローラ41との中間位置には、搬送ベルト42に食い込むように上から冷却ローラ22が搬送ベルト42に圧接されており、冷却ローラ22は搬送ベルト42の搬送力を利用した連れ回りで回転するようになっている。図中の符号44は冷却装置18の本体を構成するブラケットであり、ローラ40、ローラ41、冷却ローラ22、及び、上ガイド43などの構成部品を固定または回転自在に支持する部材である。冷却装置18はこのブラケット44によりユニット化され、画像形成装置本体に組み込まれる。
【0015】
用紙P上のトナーを熱と圧力とにより用紙Pに定着させる熱定着装置16で熱せられ高温となった用紙Pは、排紙収容部17に排出される前に冷却装置18を通過する。詳しくは、熱定着装置16を通って高温となった用紙Pが、冷却装置18の上ガイド43とローラ41との間に入り込み搬送ベルト24に担持され、その後、冷却ローラ22と搬送ベルト42とで形成されるニップ領域部を通過して排紙収容部17に排出される。冷却ローラ22の内部は管構造になっており、外部で十分に冷却された冷却液が冷却ローラ22内に供給され冷却ローラ22内を循環した後に冷却液が冷却ローラ22内から排出される。用紙Pは、冷却ローラ22と搬送ベルト42とが接することで形成されるニップ領域で冷却ローラ22に密着し接触しながら通過するので、その際に用紙Pの熱は冷却ローラ22に吸熱され用紙Pが十分に冷却される。例えば、熱定着装置16を通過した直後の用紙Pの表面温度が100[℃]程度のときに用紙Pを冷却装置18に通過させることで、用紙Pの表面温度を50[℃]〜60[℃]程度まで冷却することができる。
【0016】
なお後述するが、冷却ローラ22は回転管継ぎ手手段を介してタンク101、ポンプ100、冷却ファン104を装着したラジエータ103などの冷却液循環手段と連通/連結され、封入した冷却液が循環することで冷却ローラ22が冷やされる(図15等を参照)。
【0017】
ここで、電子写真方式の画像形成装置では、熱定着装置によりトナーが定着された高温のままの用紙は、カール発生を招いたり、またトナーが完全に固化されていないことから、積載すると用紙同士がトナーによって張り付いたりして画像品質を著しく損ねるため、用紙の冷却が必要であった。
【0018】
従来、オフィス向けの電子写真方式の画像形成装置においては、高温の用紙を冷却するため、用紙の上面及び下面に冷却ファンにより直接風を当てて冷却する方式や、冷却ファンにより末端を冷却したヒートパイプローラに用紙を接触させて用紙を冷却する方式が数多く採用されてきた。
【0019】
しかしながら、近年、電子写真方式の画像形成装置は、電話料金の請求書や領収書等の高速プリントや、厚紙・コート紙等へのカラー光沢画像のプリントなど、軽印刷のニーズが多くなりつつあった。このような電子写真方式の画像形成装置による軽印刷では、高速で大量プリントが行われるため、より短時間に高温の用紙を冷却する必要があった。また、オフィス向けとは異なりカラープリントの頻度も多く、光沢画像も多いことから、定着部ではより高温で用紙にトナーを定着するため、従来方式以上の高効率の冷却が求められるようになってきた。
【0020】
そこで、上述した冷却ファンやヒートパイプローラよりも冷却効率の高い、循環する冷却液を中空の冷却ローラに通して、この冷却ローラにより高温の用紙を冷却させる液冷方式が提案され始めた。
【0021】
用紙の温度を効率よく下げるには、用紙から冷却ローラの壁部を挟んで冷却液までの熱流束を増加させる必要がある。ここで、冷却ローラの壁部と冷却液との間の熱流束は、「J.P.ホールマン著 伝熱工学<上>(ブレイン図書出版)、P11−12」より、対流熱伝達による数1のように表される。
【0022】
【数1】

ただし、
W[W]:熱流束
h[W/m・℃]:冷却ローラ内壁面の熱伝達率
A[m]:冷却ローラ内壁面積
Tr[℃]:冷却ローラ内壁面温度
Tw[℃]:液温(冷却ローラ内壁面より十分離れた位置)
【0023】
数1より、熱流束Wを上げるためには、液温Twを下げるか、冷却ローラ内壁面積Aを増加するか、冷却ローラ内壁面の熱伝達率hを向上させる必要がある。
【0024】
数1における熱流束Wを上げるため、冷却ローラ内部を流れる流体を空気から冷却液に変えて熱伝導率や比熱を高くしたり、冷却ローラに内部における流体の速度を増加したりするのは、冷却ローラ内壁面の熱伝達率hを増加させることに対応している。ただし、流体速度を上げることは、冷却ローラの内部に冷却液を送液するためのポンプに大きな負担を与えることになるため、容易には行えない。
【0025】
また、数1において液温Twを下げることでも熱流束Wを上げることが可能であるが、液温Twを下げる手段として、冷却ファンとラジエータとを使った場合には、液温Twは本質的に室温以下にすることはできないため、液温Twが思ったほど下がるものではない。また、液温Twを下げる手段として冷凍機を使った場合、液温Twは室温以下には下がるものの、冷凍機の消費電力や初期投資のコストがかさみ、省エネルギー化や低コスト化の観点から実現は容易ではない。
【0026】
そこで、本実施形態においては、これらの不具合が生じるのを抑えつつ、冷却ローラ22による用紙Pの冷却効率を向上させている。
【0027】
[構成例1]
図1は、本構成例の冷却ローラ22を軸方向で切断した場合の断面図である。
本構成例の冷却ローラ22は中空の管状部材であるスリーブ1からなり、そのスリーブ1の内壁にスリーブ内壁近傍の冷却液を乱流化するための乱流発生手段である螺旋状の突起60が配設されている。また、スリーブ1の両端は開口しており、それら開口からスリーブ1内にフランジ38を嵌合圧入させて取り付けている。また、フランジ38の軸部は、回転管継ぎ手手段であるロータリージョイント35内に設けられた軸受37に嵌合圧入されており、これによって冷却ローラ22がロータリージョイント35に回転可能に軸しされる。また、樹脂製のシール部材39によって、ロータリージョイント35の胴部36の内壁とフランジ38の軸部との間から冷却液がロータリージョイント35の外に漏れ出さないようにしている。
【0028】
本構成例は、冷却ローラ22のスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の流れに、乱流を発生させる乱流発生手段として螺旋状の微小突起である突起60をスリーブ1の内壁(内周面)に多数設けている。また、突起60の螺旋巻き方向は、流体抵抗が大きくならないよう冷却ローラ22(スリーブ1)の回転方向を考慮して、ポンプ100(図15参照)によって送液され冷却装置18内を循環する冷却液の冷却ローラ22内における図1中矢印で示した流れ方向と同方向の送りが、スリーブ1の内壁近傍で発生する巻き方向としている。
【0029】
図1で紙面左側よりスリーブ1内に流入した冷却液は、スリーブ1の内部を送液される際、当初は図3に示されるように流速プロファイル3のようなポアズイユ流れに似た流れ場を形成する。なお、図3においてはスリーブ1の内壁に設けられた突起60の図示を省略している。この流速プロファイル3は、図1に示される、スリーブ1の内壁に配設された突起60に衝突し流れが乱れ、図3に示されるように流れがスリーブ1の内壁に付着4の如く付着が発生したり、剥離2の如く剥離したりする。
【0030】
ここで、流れの剥離や付着が発生する箇所ではスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率が向上する。流れの剥離に関して言えば、図4に示すように、スリーブ1の内壁面上に冷却液流れの剥離2が発生した場合、剥離2の位置を原点とし、そこから冷却液流れ方向下流の位置xにおける熱伝達率は、「J.P.ホールマン著 伝熱工学<上>(ブレイン図書出版)、P.144−160、式(5−41)」に掲載されている、流れが層流時の対流熱伝達式である数2に基づき、hxのように分布される。このとき、剥離2の箇所、すなわち原点で理論上、熱伝達率は+∞に大きくなる(ただし、工学上、実際に、x=0で熱伝達率が+∞になることはない)。
【0031】
【数2】

ただし、
x[m]:流れの剥離点からの位置
hx[W/m・K]:位置xにおける局所熱伝達率
Pr[1]:プラントル係数
U∞[m/s]:冷却ローラ内壁面より十分離れた流れの主流速
ν[m/s]:動粘性率(=粘性率/密度)
k:熱伝導率
【0032】
これらの流れの剥離や付着は、スリーブ1の内壁近傍で数多く発生し、それぞれの箇所で熱伝達率は高くなることから、延いてはスリーブ1の軸方向に渡って一様に高い熱伝達率が実現されスリーブ1から冷却液までの熱流束が増加し、延いては用紙Pの冷却効率が飛躍的向上する。したがって、高温である用紙Pは、冷却ローラ22のスリーブ1と図示しない搬送ベルト42(図2参照)とによって挟持搬送される際、用紙Pの熱はスリーブ1の壁部を通ってスリーブ1の内部を流れる冷却液に高効率で伝達され、延いては用紙Pの温度は低減する。
【0033】
なお、スリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させるためにスリーブ1の内壁に設ける突起60の大きさとしては、必要以上に大きくするのは好ましくない。突起60の大きさを大きくするほどスリーブ1の内壁の面積が増加し、冷却液とスリーブ1の内壁との接触面積を稼ぐと共に、スリーブ1の回転に伴う突起60の螺旋運動によって積極的に渦巻き状の送りを発生させスリーブ1の内壁に沿って螺旋方向に速い流れを起こすことが可能となるので、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率向上が期待できる。しかしながら、大きな形状の突起60はスリーブ1内を流れる冷却液に対して大きな流体抵抗の発生原因となり、ポンプ100により冷却液の流量や流速を上げて、その問題を解決させなければならなくなる。そのため、ポンプ100が大型化し画像形成装置の大型化やコストアップを招いてしまう。
【0034】
本構成例の場合は、上記数1の熱流束Wを上げる方法として、螺旋状の大きな突起をスリーブ1の内壁に設けてスリーブ1の内壁の面積を稼いだり螺旋方向に速い流れを発生させたりするのではなく、流体抵抗をできるだけ小さくなるように考慮しつつ螺旋状の微小な突起60をスリーブ1の内壁に設け、スリーブ1の内壁近傍(冷却ローラ半径方向の僅かな幅)を流れる冷却液の流れに乱流を起こし、その乱流による攪拌作用で、流れが悪くて停滞気味であるスリーブ1の内壁近傍の冷却液(停滞することで温まってしまう冷却液)と、流れが良くて次々に新しい冷却液が送られてくるスリーブ1の中央に近い冷却液(滞りなく流れる冷えた冷却液)とを混ぜ合わせて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達効率を向上させるものである。
【0035】
すなわち、本構成例では、上述したようにスリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させる乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に螺旋状の微小突起である突起60を多数設けて、その突起60によりスリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させて、熱流束Wを上げると共に流体抵抗も抑えるようにした。
【0036】
本出願人は、熱伝達率の向上が望め、かつ流体抵抗を抑えることのできる冷却ローラ22の構成形状を流体シミュレーションで検討した。その結果、冷却ローラ22のスリーブ1の内壁に流体抵抗を考慮した小さな突起または溝などを多数設け、スリーブ1の内壁近傍に小さな乱流を多数発生させるようにすれば、いたる所で乱流が絡み合い複雑に変化し、そして波及され相乗されて、スリーブ1の内壁近傍の冷却液とスリーブ1の中央に近い冷却液とが混ぜ合わされることが分かった。つまり、小さな形状の突起や溝でもスリーブ1内壁に多数設ければ攪拌機能として十分効果があることが分かった。冷却ローラ22の構成形状を本構成例のようにすれば、流体抵抗の抑制と冷却液の攪拌作用の両立が可能となり、ポンプの性能に頼らずに熱伝達率を上げて熱流束Wを向上させることができるようになる。
【0037】
なお、本構成例を螺旋形状の突起を例に挙げて説明したが、流体抵抗が大きくならなければ、乱流発生手段の大きさや形状、構成は限定されるものではない。ただ一般的には、冷却液の流れ方向と直角に近い状態で当って、流れを遮るような構成や形状は流体抵抗に対して不利となるので避けた方がよい。
【0038】
図5はスリーブ1の内壁に螺旋形状の突起60を設けたときの冷却ローラ22の拡大断面図である。突起60を螺旋状とすれば、スリーブ1内を軸方向で流れる冷却液が突起60に対して鈍角で当り(直角には当らない)、その当った冷却液が突起60の螺旋方向に沿って流れるので流体抵抗を抑えることができる。
【0039】
本構成例の乱流発生手段である突起60は、冷却液の螺旋運動やスリーブ1の内壁の面積を稼ぐことを目的としていないので、図5の突起60は冷却液の螺旋運動やスリーブ1の内壁の面積を稼ぐことを目的としている場合に比べて、その大きさ形状を格段に小さくすることができる。なお、冷却液の螺旋運動やスリーブ1の内壁の面積を稼ぐことを目的としてスリーブ1の内壁に設けられた突起よりも、突起60の大きさが小さくなるので、その分、冷却液の螺旋運動やスリーブ1の内壁の面積を稼ぐことを目的で突起をスリーブ1の内壁に設ける場合よりも、突起60をスリーブ1の内壁に多数設ける。
【0040】
図5の場合では突起60の螺旋ピッチ間隔を細かくしている。突起60の形状は小さいほど流体抵抗に対して非常に有利となるが、小さくする場合はその数を多くする必要がある。突起60の形状を小さくしすぎるとスリーブ1の内壁近傍で生じる乱流も小さくなり乱流による冷却液の攪拌力が弱くなるので、流体抵抗とのバランスを考えて決めなければならない。つまり、突起60の適切な構成及び大きさ形状やその数は、一概に特定することはできないので、スリーブ1の大きさ(直径)や冷却液の流量や流速など上記数1の熱流束Wを左右する要因をパラメータとして、適時、決める必要がある。すなわち、装置構成ごとに設計者が、高い冷却性能となるようシステムバランスを考えてシミュレーションや試作実験評価で検証や確認をして、最終的に突起60の適切な構成や形状を決めることになる。
【0041】
本出願人らの行ったシミュレーションでは、例えばスリーブ1の内径がφ30[mm]のときに乱流発生手段を螺旋状の突起60とした場合、冷却液の流量や流速にもよるが突起60のスリーブ1の内壁からの高さを1[mm]〜2[mm]程度、螺旋ピッチ間隔を5[mm]程度以下としたときが流体抵抗と冷却性能のバランスが良かった。一方、スリーブ1の内壁に螺旋状の大きな突起(スリーブ1の内壁からの高さ10[mm]、ピッチ間隔20[mm])を設けた場合でもシミュレーションを試みたが、流体抵抗が非常に大きくなり、前述の構成よりも数倍の送液能力を有するポンプを用いないと冷却ローラ22(スリーブ1)内を流れる冷却液が所望の流量とならず、冷却性能を悪くする結果となった。よって、螺旋運動とスリーブ1の内壁面積を大きくすることとの両者を両立させることを目的とした構成や形状の突起をスリーブ1の内壁に設けることは推奨できない。
【0042】
図5を具体的に説明すると、図中左側が冷却液流れ方向上流側で図中右側が冷却液流れ方向下流側であり、スリーブ1の図中左側から図中右側に向かって冷却液が流れ、冷却液流れ方向下流側の軸方向から見てスリーブ1が右回転しているような場合において、乱流発生手段である螺旋形状の突起60によってスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の流れに乱流を起こし、流体抵抗が大きくならないように突起60の大きさを微小とし、かつ多数設け、そしてスリーブ1と共に右回転する螺旋形状の突起60の巻き方向を冷却液の流れ方向と同方向の送りが発生する右巻きとする。図5から冷却液の流れ方向と螺旋形状の突起60の回転による冷却液の送り方向とが同方向となることが分かる。
【0043】
図6は、図5で示した乱流発生手段としての螺旋形状の突起60に代えて、スリーブ1の内壁に設ける乱流発生手段を螺旋形状の溝61としたときの冷却ローラ22の拡大断面図である。
【0044】
螺旋形状の溝61でのシミュレーションを試みた結果、乱流の大きさとしては図5に示した突起60には及ばなかったが、スリーブ1の内壁に突起60や溝61などの乱流発生手段を設けない場合よりもスリーブ1の内壁に溝61を設けることで冷却性能が向上した。また、図5に示した突起60をスリーブ1の内壁に設けた場合よりもスリーブ1の内壁に溝61を設けたほうが流体抵抗は非常に小さくなった。
【0045】
ここで、大径のスリーブ1を用いる場合には乱流発生手段として溝61を適用するよりも図5に示した突起60を適用するほうが望ましいが、小径のスリーブ1であれば乱流発生手段として溝61を適用しても十分に冷却性能を出すことができ、また流体抵抗が小さいので、パワーの小さなポンプを用いなければならない場合や、スリーブ1内を流れる冷却液の流量や流速を増したい場合などに適した構成形状といえる。
【0046】
なお、スリーブ1の内壁への突起60や溝61の形成は、切削加工や鋳造などの型成形によって行えばよい。
【0047】
[構成例2]
図7は、スリーブ1の内壁に乱流発生手段として螺旋状の微小突起である突起62が設けられ、突起62の螺旋巻き方向がスリーブ1の回転に応じてスリーブ1の内壁近傍に沿って流れる冷却液の流れ方向に対して逆向きの方向に送りが発生する巻き方向とした場合の冷却ローラ22の拡大断面図である。
【0048】
図8は、スリーブ1の内壁に乱流発生手段として螺旋状の溝63が設けられ、溝63の螺旋巻き方向がスリーブ1の回転に応じてスリーブ1の内壁近傍に沿って流れる冷却液の流れ方向に対して逆向きの方向に送りが発生する巻き方向とした場合の冷却ローラ22の拡大断面図である。
【0049】
構成例1の図5や図6では、スリーブ1内を流れる冷却液の流れ方向と螺旋形状の突起60や溝61による冷却液の送り方向とが同方向になるようにしている。この場合、冷却液はスリーブ1の内壁近傍で乱流を発生させながら積極的ではないが渦を巻くように螺旋運動しながら送り方向(図5では図中左から右方向)に流れるので、スリーブ1内を流れる冷却液の流体抵抗抑制重視の構成といえる。
【0050】
これに対し、本構成例の乱流発生手段である突起62や溝63は、スリーブ1内を流れる冷却液の流体抵抗を抑えつつも、より熱伝達率が向上するようスリーブ1の内壁近傍で大きな乱流を発生させる乱流発生重視の構成とした。
【0051】
すなわち、スリーブ1の内壁に設ける乱流発生手段を螺旋形状の微小突起である突起62または螺旋形状の溝63を設け、そしてより大きな乱流を発生させるために、その螺旋の巻き方向を、スリーブ1の回転方向に応じてスリーブ1の内壁近傍に沿って流れる冷却液の流れ方向に対して逆向きの方向に送りが発生する巻き方向とした。つまり、螺旋形状の巻き方向を図5や図6とは逆の巻き方向とし、冷却液の流れ方向とは逆向きの送りが発生するように構成した。
【0052】
具体的には、図7で図中左側が冷却液流れ方向上流側で図中右側が冷却液流れ方向下流側であり、スリーブ1の図中左側から図中右側に向かって冷却液が流れ、冷却液流れ方向下流側の軸方向から見てスリーブ1が右回転する場合、突起62による冷却液の送り方向を冷却液の流れとは逆方向となるように左巻きとしている。
【0053】
また、図8で図中左側が冷却液流れ方向上流側で図中右側が冷却液流れ方向下流側であり、スリーブ1の図中左側から図中右側に向かって冷却液が流れ、冷却液流れ方向下流側の軸方向から見てスリーブ1が右回転する場合、溝63による冷却液の送り方向を冷却液の流れとは逆方向となるように左巻きとしている。
【0054】
こうすることでスリーブ1の内壁近傍において、冷却液流れ方向上流側から下流側に向かう冷却液の流れに対して逆向きに送ろうとする流れ(力)がぶつかることになるので、より大きな、そしてより複雑でランダムな乱流が発生する。このような大きくて複雑な乱流が発生すればスリーブ1内を流れる冷却液を撹拌する攪拌力は増加し、スリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液とスリーブ1の中央を流れる冷却液とがより混ぜ合わされるようになり、その結果、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達効率が格段に向上する。
【0055】
ただし、特に乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に螺旋形状の突起62を設けた場合においては、突起62の螺旋形状の大きさが大きくなり過ぎると、スリーブ1内を流れる冷却液におよぼされる冷却液の流れ方向とは逆向きの送り力、すなわち、流体抵抗が大きくなり過ぎてしまうので注意が必要である。例えば、突起62が小さな突起形状であれば乱流によるスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達効率の改善効果は小さくなるが、その分、突起62による冷却液の送り方向が冷却液の流れ方向とは逆向きであっても流体抵抗としては非常に小さく問題にならないレベルとなる。逆に、突起62が大きな突起形状であれば乱流によるスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達効率の改善効果は大きくなるが、突起62による冷却液の逆向きの送りも大きく強くなるので流体抵抗が増大してしまう。
【0056】
乱流発生手段である突起62や溝63の螺旋形状の大きさは、スリーブ1の大きさ(直径)や冷却液の流速及び流量や冷却性能目標などの仕様条件などによって、各々の場合毎に対応して変わるので、一概に決めることはできない。本出願人は、最小限の流体抵抗で最大限の乱流効果が得られるよう、突起62や溝63の螺旋の最適な形状や大きさを、シミュレーションや実験評価で比較や確認をしながら決めた。また螺旋形状の場合、その螺旋ピッチ間隔が乱流の発生頻度や乱流の発生する位置間隔を決めるファクターとなるので、螺旋ピッチ間隔も同様に考慮しなければならない。例えば、乱流発生手段として螺旋形状の突起62をスリーブ1の内壁に設ける場合、スリーブ1の内径がφ30[mm]のときには、螺旋形状の突起62のスリーブ1の内壁からの高さを0.5[mm]〜1[mm]程度とし、螺旋ピッチ間隔を5[mm]程度とする。
【0057】
なお、例えばスリーブ1の回転方向と突起62や溝63の螺旋形状の巻き方向とはそのままで、冷却液の流れ方向のみを反対方向(図7、図8で図中右側から図中左側に冷却液が流れる方向)にすれば、構成例1で図5や図6に示した乱流発生手段である突起60や溝61の螺旋巻き方向が、冷却液の流れ方向とは逆向きの送りが発生することになる。すなわち、スリーブ1の回転方向、スリーブ1内を流れる冷却液の流れ方向、及び、乱流発生手段である突起60,62や溝61,63の螺旋形状による冷却液の送り方向の3者の組合せ関係で、突起60,62や溝61,63によりスリーブ1の内壁近傍の冷却液に対して冷却液の流れ方向と同じ向きの送りを発生させるのか、逆向きの送りを発生させるのかを決める。
【0058】
[構成例3]
図9(a)は本構成例の冷却ローラ22を軸方向で切断した場合の冷却ローラ22の拡大断面図であり、図9(b)は本構成例の冷却ローラ22を直径方向で切断した場合の冷却ローラ22の拡大断面図である。
【0059】
本構成例では、スリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液に対して乱流を発生させる乱流発生手段として、図9(a)や図9(b)に示すようにスリーブ1の内壁に微小な穴64を多数設け、スリーブ1の内壁全面が穴64の面となるようにしている。
【0060】
このように乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に穴64を多数設けることで、図6や図8で示した溝61,63と同様に、図5や図7に示したような突起60,62をスリーブ1の内壁に設ける場合よりもスリーブ1内を流れる冷却液の流体抵抗を非常に小さくすることができる。さらに微小な穴64ならばスリーブ1の内壁全体に形成することができるので、図6や図8に示したような溝61,63をスリーブ1の内壁に設ける場合よりも配置数を格段に増やすことができ、乱流をスリーブ1の内壁全面で発生させることができる。したがって、スリーブ1の内壁の全域(スリーブ1の円周方向および軸方向)にわたって略均等に同じ大きさの乱流が発生するので、スリーブ1の内壁温度を均一にすることができ、流体抵抗を抑えると共に熱流束Wを上げかつ均一性を確保することができる。
【0061】
なお、穴64の形状は、丸穴、長穴、多角形穴など限定されるものでないが、乱流の発生具合を流体抵抗と併せてシミュレーション等で最適な形状や大きさを決める。
【0062】
スリーブ1の内壁への穴64の形成は、切削加工の場合、切削工具が入る大径のスリーブ1ならばスリーブ1の内側からの加工は可能だが、小径のスリーブ1のときはスリーブ1の内側からの加工は困難になる。そのため、例えばスリーブ1の外側(外壁)からの孔加工を施してから、冷却液が漏れないようにスリーブ1の外側から内壁に穴が残る程度に孔を塞ぐ処理を行う。切削加工以外では、一般的な鋳造などの型成形でも可能である。
【0063】
[構成例4]
図10(a)は本構成例の冷却ローラ22を軸方向で切断した場合の冷却ローラ22の拡大断面図であり、図10(b)は本構成例の冷却ローラ22を直径方向で切断した場合の冷却ローラ22の拡大断面図である。
【0064】
本構成例では、スリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液に対して乱流を発生させる乱流発生手段として、図10(a)や図10(b)に示すようにスリーブ1の内壁に微小な凹凸を多数設け、スリーブ1の内壁全面が凹凸面65となるようにしている。
【0065】
このように乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に微小な凹凸を多数設け凹凸面65を形成することで、図6及び図8で示した溝61,63や図9で示した穴64と同様に、図5や図7に示したような突起60,62をスリーブ1の内壁に設ける場合よりもスリーブ1内を流れる冷却液の流体抵抗を非常に小さくすることができる。さらに微小な凹凸からなる凹凸面65ならば図9に示した穴64よりも微細に形成することが可能となるので、スリーブ1の内壁の全域(スリーブ1の円周方向および軸方向)にわたって均一の乱流発生、ひいてはスリーブ1の内壁温度の均一化をより図ることができる。よって、スリーブ1の内壁に乱流発生手段として図9に示したような穴64を設ける場合よりもスリーブ1の内壁に微小な凹凸を設けて凹凸面65を形成するほうが、流体抵抗を抑えると共に熱流束Wを上げかつ均一性を確保することができる。
【0066】
なお、乱流発生手段としては、ランダムでさらに微小な凹凸で形成の手間もあまりかからない粗し面でも構わない。ただし、凹凸を微細にし過ぎると乱流を発生させる効果が小さくなり過ぎて冷却液を混ぜ合わすことができなくなるので、シミュレーション等で流体抵抗と併せて最適な形状や大きさを決める必要がある。
【0067】
スリーブ1の内壁への凹凸の形成は、切削加工や鋳造などの型成形で可能である。微小な場合は形状に多少のバラツキを伴うがペーパーやグラインダなどのやすり加工や、サンドブラストなど粗し加工などによる。また、意図的に凹凸を形成するのではなく、鋳造や押し出しによるスリーブ1の製作時の粗れた素地のままでも、場合によっては使えるときがある。
【0068】
[構成例5]
本構成例においては、図11に示すように冷却ローラ22を、乱流発生手段として図7に示すような冷却液の流れと逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62を内壁に設けた外管であるスリーブ1と、そのスリーブ1内に内包する内包部材であるコア5とから成る管構造としている。
【0069】
図11に示すようなスリーブ1の内壁とコア5の外周面とで形成される狭い間隙を流路として冷却液を流すと、その狭い隙間の流路により、ポンプの流量を上げなくてもスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の流速が、図7に示した冷却ローラ22のようにスリーブ1内にコア5を内包しない場合に比べて大きくなる。そして、それにスリーブ1の内壁に設けられた螺旋形状の突起62による乱流効果が加わるので、相乗効果でスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、さらなる用紙Pの温度低減が見込める。
【0070】
本構成例では、スリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させる乱流発生手段として、冷却液の流れ方向とは逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62をスリーブ1の内壁に設けた逆送りタイプの冷却ローラ22を用いているので、図5に示したような乱流発生手段として冷却液の流れ方向と同方向の送りが発生する螺旋形状の突起60をスリーブ1の内壁に設けた順送りタイプの冷却ローラ22のスリーブ1にコア5を内包したときよりもさらに冷却性能は向上する。
【0071】
ここで、逆送りタイプの冷却ローラ22の場合はスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の乱流が強くなり、順送りタイプの冷却ローラ22の場合はスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の乱流が弱くなるので、目的に応じて逆送りタイプの冷却ローラ22と順送りタイプの冷却ローラ22とを使い分ける必要がある。例えば、所望の冷却性能やポンプの送液能力などを考慮して順送りタイプの冷却ローラ22と逆送りタイプの冷却ローラ22とのどちらを用いるのかを選択すればよい。
【0072】
また、言うまでもないが図9や図10に示したような乱流発生手段である穴64や凹凸面65をスリーブ1の内壁に設け、そのスリーブ1内にコア5を内包すれば、スリーブ1とコア5とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と、穴64や凹凸面65による乱流効果との相乗効果で、スリーブ1内にコア5を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。
【0073】
また、本構成例のスリーブ1とコア5とで構成される冷却ローラ22の場合、スリーブ1とコア5との回転数を異なるようにしておくことで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍とコア5の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長して熱伝達率がより向上する。コア5の回転が、例えばスリーブ1よりも何倍もの回転数であったり、逆に静止して非回転であったりなど、スリーブ1の回転数と異なれば異なる程、効果を得ることができる。なお、最大限の効果を望む場合はコア5をスリーブ1の回転方向とは逆方向に回転させれば良い。さらに、本構成例では、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段である螺旋形状の突起62によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できるとともに、スリーブ1とコア5とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果が加わるので、さらに熱伝達率が向上する。
【0074】
[構成例6]
本構成例においては、図12に示すように冷却ローラ22を、乱流発生手段として図7に示すような冷却液の流れと逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62を内壁に設けた外管であるスリーブ1と、そのスリーブ1内に内包する内包部材である内管6とから成る管構造としている。そして、図12に示すようなスリーブ1と内管6とで形成される狭い間隙と内管6の中空内部それぞれを流路として冷却液を流す構成であり、前記間隙と内管6の中空内部とを冷却液が流れて冷却ローラ22内で冷却液が往復するようにしている。
【0075】
例えば図12のように、スリーブ1と内管6とで形成した間隙を往流路として冷却液を図中左側から流入させ図中右側に向けて流し、スリーブ1の図中右端でUターンさせて冷却液を内管6の中空内部に流入させ、内管6の中空内部を復流路として図中左側に向けて流出させるのである。このように冷却液を流すと、図7に比べて往流路の流路の間隙が狭くなるので、スリーブ1の内壁近傍の冷却液の流速が増加し、さらに螺旋形状の突起62によるスリーブ1の内壁近傍の乱流効果が加わるので、相乗効果でスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率が向上する。
【0076】
なお、内管6の外径寸法をスリーブ1の内径寸法に近づけて、より前記間隙を狭くすれば、図11に示したコア5と同じ程度にスリーブ1の内壁近傍の冷却液の流速が増加し、さらにスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率が向上し、ひいては冷却ローラ22による用紙Pの冷却効果が向上する。
【0077】
また、本構成例では、スリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させる乱流発生手段として、冷却液の流れ方向とは逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62をスリーブ1の内壁に設けた逆送りタイプの冷却ローラ22を用いているので、図5に示したような乱流発生手段として冷却液の流れ方向と同方向の送りが発生する螺旋形状の突起60をスリーブ1の内壁に設けた順送りタイプの冷却ローラ22のスリーブ1に内管6を内包したときよりもさらに冷却性能は向上する。
【0078】
ここで、逆送りタイプの冷却ローラ22の場合はスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の乱流が強くなり、順送りタイプの冷却ローラ22の場合はスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の乱流が弱くなるので、目的に応じて逆送りタイプの冷却ローラ22と順送りタイプの冷却ローラ22とを使い分ける必要がある。例えば、所望の冷却性能やポンプの送液能力などを考慮して順送りタイプの冷却ローラ22と逆送りタイプの冷却ローラ22とのどちらを用いるのかを選択すればいよい。
【0079】
また、言うまでもないが図9や図10に示したような乱流発生手段である穴64や凹凸面65をスリーブ1の内壁に設け、そのスリーブ1内に内管6を内包すれば、スリーブ1と内管6とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流効果とで、スリーブ1内に内管6を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。
【0080】
また、冷却ローラ22内に冷却液を流入流出させるためには、図5、図6、図7、図8、図9、図10、図11に示すような冷却ローラ22の一端側から他端側に向けて一方向に冷却液を流すローラ構成の場合は、図1に示すようにメカニカルシールが施された回転管継ぎ手手段であるロータリージョイント35を冷却ローラ22の両端部に設ける必要がある。
【0081】
これに対し、本構成例のようにスリーブ1内に内管6を内包した冷却ローラ22の場合は、冷却ローラ22の片方の端部のみにロータリージョインと5を設ければ良く、冷却ローラ22の他方の端部側にロータリージョインと35を設けない分、空スペースが生まれる。この空スペースは、画像形成装置などの装置の小型化に寄与し、また冷却ローラ22を冷却装置18へ組み付ける際に冷却液のチューブや配管が邪魔にならず、作業性が向上する。
【0082】
なお、冷却液の流入出経路は図12で示した方向と逆方向でも構わない。つまり図12の流れ方向とは逆に、内管6の中空内部を往流路として冷却液を流入させ、スリーブ1と内管6とで形成される間隙を復流路として冷却液を流出させても良い。ただし、螺旋形状の突起62で、スリーブ1の内壁近傍に復流路を流れる冷却液の流れ方向とは逆方向の送りによる乱流を発生させたい場合は、突起62の螺旋巻き方向に注意する必要がある。
【0083】
また、本構成例のスリーブ1と内管6とで構成される冷却ローラ22の場合、スリーブ1と内管6との回転数を異なるようにしておくことで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍と内管6の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長してスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上する。内管6の回転が、例えばスリーブ1よりも何倍もの回転数であったり、逆に静止して非回転であったりなど、スリーブ1の回転数と異なれば異なる程、効果を得ることができる。なお、最大限の効果を望む場合は内管6をスリーブ1の回転方向とは逆方向に回転させれば良い。さらに、本構成例では、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段である螺旋形状の突起62によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できる。
【0084】
[構成例7]
本構成例においては、図13に示すように冷却ローラ22を、乱流発生手段として図7に示すような冷却液の流れと逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62を内壁に設けた外管であるスリーブ1と、そのスリーブ1内に内包された内管6と、その内管6の外側に挿入された中空のシリンダ7と、からなる管構造となっている。そして、図13に示すようなスリーブ1とシリンダ7とで形成される間隙と内管6の中空内部それぞれを流路として冷却液を流す構成であり、前記間隙と内管6の中空内部とを冷却液が流れて冷却ローラ22内で冷却液が往復するようにしている。
【0085】
例えば図13のように、スリーブ1とシリンダ7とで形成した間隙を往流路として冷却液を図中左側から流入させ図中右側に向けて流し、スリーブ1の図中右端でUターンさせて冷却液を内管6の中空内部に流入させ、内管6の中空内部を復流路として図中左側に向けて流出させるのである。このように冷却液を流すと、図12に比べて往流路の流路の間隙が狭くなるので、スリーブ1の内壁近傍の冷却液の流速が増加し、さらに螺旋形状の突起62によるスリーブ1の内壁近傍の乱流効果が加わるので、相乗効果でスリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率が向上し、さらなる用紙Pの温度低減が見込める。
【0086】
また、本構成例では、スリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させる乱流発生手段として、冷却液の流れ方向とは逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62をスリーブ1の内壁に設けた逆送りタイプの冷却ローラ22を用いているので、図5に示したような乱流発生手段として冷却液の流れ方向と同方向の送りが発生する螺旋形状の突起60をスリーブ1の内壁に設けた順送りタイプの冷却ローラ22のスリーブ1にシリンダ7を内包したときよりもさらに冷却性能は向上する。
【0087】
言うまでもないが図5、図6、図8、図9及び図10のいずれかに示したような乱流発生手段(突起60、溝61、溝63、穴64、凹凸面65)をスリーブ1の内壁に設け、そのスリーブ1内に内管6及びシリンダ7を内包すれば、スリーブ1とシリンダ7とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流効果とで、スリーブ1内に内管6及びシリンダ7を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。
【0088】
さらに、本構成例は、構成例6で説明したスリーブ1内に内管6を内包した冷却ローラ22と同様に、冷却ローラ22の片方の端部のみに図1に示したような回転管継ぎ手手段であるロータリージョイント35を設ければ良いので、冷却ローラ22の他方の端部側に空スペースが生まれ、画像形成装置などの装置の小型化に寄与し、また冷却ローラ22を冷却装置18へ組み付ける際に冷却液のチューブや配管が邪魔にならず、作業性が向上する。
【0089】
すなわち、本構成例の冷却ローラ22は、構成例5の構成と構成例6の構成とを組み合わせたものと略同等の構成と言え、双方の利点や効果を有している。
【0090】
なお、冷却液の流入出経路は図13で示した方向と逆方向でも構わない。つまり図13の流れ方向とは逆に、内管6の中空内部を往流路として冷却液を流入させ、スリーブ1とシリンダ7とで形成される間隙を復流路として冷却液を流出させても良い。ただし、螺旋形状の突起62でスリーブ1の内壁近傍に逆方向の送りによる乱流を発生させたい場合は、突起62の螺旋巻き方向に注意する必要がある。
【0091】
また、本構成例のスリーブ1と内管6及びシリンダ7とで構成される冷却ローラ22の場合、スリーブ1とシリンダ7との回転数を異なるようにしておくことで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍とシリンダ7の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長して熱伝達率がより向上する。シリンダ7の回転が、例えばスリーブ1よりも何倍もの回転数であったり、逆に静止して非回転であったりなど、スリーブ1の回転数と異なれば異なる程、効果を得ることができる。なお、最大限の効果を望む場合はシリンダ7をスリーブ1の回転方向とは逆方向に回転させれば良い。さらに、本構成例では、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段である螺旋形状の突起62によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できるとともに、スリーブ1とシリンダ7とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果が加わるので、さらに熱伝達率が向上する。
【0092】
ここで、構成例1から構成例7までの説明では、乱流発生手段(突起60、溝61、突起62、溝63、穴64、凹凸面65)をスリーブ1やスリーブ1の内壁に直接加工して成形するようにしているが、例えばバネ性を有する板材など別部材に突起60、溝61、突起62、溝63、穴64及び凹凸面65のいずれかの乱流発生手段を設けて、それをスリーブ1の内壁に取り付けても良い。この場合、スリーブ1の内壁に直接、乱流発生手段を成形するよりも乱流発生手段の成形工程が簡単で、乱流発生手段の形状の自由度が増す。
【0093】
[構成例8]
本構成例においては、図14に示すように冷却ローラ22の外管であるスリーブ1内に内管6を内包し、その内管6の外側に中空のシリンダ7が挿入された管構造となっている。そして、スリーブ1とシリンダ7とで形成される間隙と内管6の中空内部それぞれを流路として冷却液を流す構成であり、前記間隙と内管6の中空内部とを冷却液が流れて冷却ローラ22内で冷却液が往復するようにしている。
【0094】
スリーブ1の内壁近傍に乱流を発生させる乱流発生手段としては、図7に示すような冷却液の流れと逆方向の送りが発生する螺旋形状の突起62を、スリーブ1の内壁に設けている。また、本構成例では図14に示すように、冷却ローラ22のスリーブ1に接触することで冷却される用紙Pの幅(冷却ローラ軸方向の幅)と略同幅のスリーブ1の内壁の領域に螺旋形状の突起62を設けている。
【0095】
本構成例のように用紙Pが接するスリーブ1の領域と略同幅域のみに螺旋形状の突起62を設けることで、スリーブ1の内壁の螺旋形状の突起62が設けられていない、その他の部分では、スリーブ1内を流れる冷却液に対して突起62による流体抵抗が発生しない。これにより、冷却液を冷却ローラ22内に送り込むポンプの負荷は小さく消費電力を下げられ且つ耐久性も向上する。また、スリーブ1の内壁全域にわたって螺旋形状の突起62を設ける場合よりも一ランク下の送液性能のポンプで済み、低コスト化を図ることができる。
【0096】
[構成例9]
次に、構成例1から構成例8で示したいずれかの本発明の冷却ローラ22を有する冷却装置18を搭載したタンデム型中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置の構成概略図を図15に示す。
【0097】
なお、構成例1から構成例8で示した本発明の冷却ローラ22を有する冷却装置18は、画像形成装置に設けられるものに限定されることなく、シート状部材の冷却が必要な装置であれば適応可能である。また、本構成例では、冷却媒体として液体を用いて説明するが、流体の媒体であれば気体でも構わない。
【0098】
複数のローラによって中間転写媒体としての中間転写ベルト51を展張し、中間転写ベルト51はこれらのローラにより回転するように構成すると共に、中間転写ベルト51のまわりに画像形成用のプロセス手段を配置している。
【0099】
中間転写ベルト51の回転方向を図中矢印aとするとき、中間転写ベルト51の上方であってローラ52とローラ53との間には、中間転写ベルト51の回転方向の上流側から順に画像形成用のプロセス手段として、画像ステーション54Y、画像ステーション54C、画像ステーション54M、画像ステーション54Bkが配置されている。例えば画像ステーション54Yは、ドラム状の感光体11Yの周囲に帯電手段10Y、光書き込み手段12Y、現像装置13Y、クリーニング手段14Yが配置され、さらに中間転写ベルト51を挟んで感光体11Yの対向位置に中間転写ベルト51への転写手段としての一次転写ローラ15Yが設けられている。また、他の3つの画像ステーション54C,54M,54Bkも同一構成となっている。そして、それら4つの画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkが互いに所定のピッチ間隔となるように左右並列に配置されている。
【0100】
本実施形態では光書き込み手段12をLEDを光源とする光学系としているが、半導体レーザーを光源とするレーザー光学系で構成することもでき、感光体11に対して画像情報に応じた露光を行う。
【0101】
中間転写ベルト51の下方には、シート状部材である用紙Pの用紙収納部19および給紙コロ23、レジストローラ対21、中間転写ベルト51を張架するローラ55に中間転写ベルト51を介して対向するように設けられ中間転写ベルト51から用紙Pへのトナー像の転写手段としての二次転写ローラ56、中間転写ベルト51の裏面に接するローラ58の対向位置で中間転写ベルト51のおもて面に接するように設けられ中間転写ベルト51のおもて面をクリーニングするクリーニング手段59、熱定着装置16、用紙Pを冷却する冷却ローラ22を有する冷却装置18、トナー定着後の用紙Pの排出部である排紙収容部17などが配置されている。そして、用紙収納部19から排紙収容部17へ至る用紙搬送路28が延びている。また、両面画像形成時に用紙Pの裏面への画像形成を行う際に、冷却装置18を一度通過した用紙Pの表裏を反転させ、再度、レジストローラ対21へ搬送する両面画像形成用の用紙搬送路29も備えている。
【0102】
なお、冷却装置18の冷却ローラ22は用紙Pの熱を受熱する受熱部であり、冷却ファン104を装着したラジエータ103、ポンプ100、タンク101と共に配管105で連通/連結され、冷却液が封入されている。冷却液の循環経路は配管105の矢印で示すように、ラジエータ103で冷やされた冷却液を、冷却ローラ22へ供給し、そして冷却ローラ22内を廻ってから排出し、その後にタンク101、ポンプ100へ送り、再び、ラジエータ103に戻す順序であり、ポンプ100の回転圧力により冷却液を循環させ、ラジエータ103で放熱することで冷却液、如いては冷却ローラ22を冷やす。ポンプ100の送液能力やラジエータ103の大きさなどは、熱設計条件(冷却ローラ22が冷却すべき熱量と温度の条件)によって決定される流量、圧力、冷却効率などを元に選定される。
【0103】
画像の形成プロセスは、画像ステーション54Yに着目すれば、一般の静電記録方式に準じていて、暗中にて帯電手段10Yにより一様に帯電された感光体11Y上に光書き込み手段12Yにより露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置13Yによりトナー像として可視像化する。そのトナー像は一次転写ローラ15Yにより感光体11Y上から中間転写ベルト51に転写される。転写後の感光体11Yの表面はクリーニング手段14Yによりクリーニングされる。他の画像ステーション54も画像ステーション54Yと同構成であり、同様の画像形成プロセスが行われる。
【0104】
画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkにおける各現像装置13Y,13C,13M,13Bkは、それぞれ異なる4色のトナーによる可視像化機能を有しており、各画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkでイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを分担すれば、フルカラー画像を形成することができる。よって、中間転写ベルト51の同一画像形成領域が4つの画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkを順次通過する間に、中間転写ベルト51を挟むようにして各感光体11とそれぞれ対向して設けられた一次転写ローラ15により与えられる転写バイアスによって、それぞれ1色ずつトナー像を中間転写ベルト51上に重ね転写されるようにすれば、上記同一画像形成領域が各画像ステーション54Y,54C,54M,54Bkを1回通過した時点で、この同一画像領域に、重ね転写によってフルカラートナー画像を得ることができる。
【0105】
そして、中間転写ベルト51上に形成されてフルカラートナー画像は、用紙Pに転写される。転写後の中間転写ベルト51はクリーニング手段59によりクリーニングされる。用紙Pへの転写は転写時において二次転写ローラ56に転写バイアスを印加して、中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ56とローラ55との間に転写電界を形成し、二次転写ローラ56と中間転写ベルト51とのニップ部に用紙Pを通過させることにより行なわれる。中間転写ベルト51から用紙Pへのフルカラートナー像の転写後、用紙P上に担持されたフルカラートナー像を熱定着装置16で用紙P上に定着することにより、用紙P上にフルカラーの最終画像が形成され、その後、用紙Pは排紙収容部17に積載される。
【0106】
本実施形態の画像形成装置においては、排紙収容部17に用紙Pが積載される前に、用紙Pが熱定着装置16の直後に配置された冷却装置18を通過する。通過する際、熱定着装置16で熱せられた用紙Pが受熱部である冷却ローラ22に接触しながら通過することになるので、冷却ローラ22の表面で用紙Pから熱を吸熱し、この熱を冷却ローラ22内部の冷却液へ伝達する。熱が伝達され高温となった冷却液は、この後、冷却ローラ22から排出されタンク101やポンプ100を経て、冷却ファン104を装着したラジエータ103に送られ、そこで熱が画像形成装置外に排熱される。ラジエータ103で熱が除去され室温近くにまで下げられた冷却液は、その後、再び冷却ローラ22へと送られる。このような冷却液による高い冷却性能の排熱サイクルによって、熱定着装置16で熱せられて高温となった用紙Pが効率良く冷やされる。
【0107】
また、構成例1乃至構成例8で説明したような、突起60、溝61、突起62、溝63、穴64及び凹凸面65のいずれかの乱流発生手段を冷却ローラ22のスリーブ1の内壁に設けることで冷却性能が向上し、さらに、上述したようなコア5やシリンダ7をスリーブ1内に内包してスリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液の流路を狭くすることで、冷却性能をより向上させることができる。
【0108】
したがって、本実施形態の画像形成装置では、用紙Pが排紙収容部17に積載される時点で、用紙P上のトナーを確実に硬化状態とさせることができる。特に、熱定着装置16により用紙Pに対して2度の定着動作がなされる両面画像形成出力の際に大きな問題となっていたブロッキング現象を回避することができる。
【0109】
以上、本実施形態によれば、中空状の管状部材であるスリーブ1からなる冷却ローラ22と、スリーブ1内に冷却媒体である冷却液を搬送する冷却媒体搬送手段であるポンプ100と、を備え、冷却ローラ22にシート状部材である用紙Pを接触させて用紙Pを冷却する冷却装置18において、冷却液に乱流を発生させる乱流発生手段をスリーブ1の内壁に設けた。本実施形態においては、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段によりスリーブ1の内壁近傍で冷却液の流れは乱流となる。これにより、前記内壁近傍にある温度の高い冷却液と前記内壁から離れた位置にある温度の低い冷却液との入れ替えが盛んに行われる。よって、乱流発生手段を前記内壁に設けない場合よりも前記内壁近傍の冷却液の温度を低くすることができるので、その分、冷却液によってスリーブ1を効果的に冷やすことができる。したがって、スリーブ1からなる冷却ローラ22による用紙Pの冷却効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、上記乱流発生手段は、スリーブ1の内壁に設けた螺旋形状の突起62または溝63であり、スリーブ1の回転に伴う冷却液の流れ方向とは逆向きの送りが発生するように突起62または溝63の螺旋巻き方向を設定した。これにより、スリーブ1の内壁近傍において、冷却液流れ方向上流側から下流側に向かう冷却液の流れに対して突起62または溝63による冷却液を逆向きに送ろうとする流れ(力)がぶつかることになるので、より大きな、そしてより複雑でランダムな乱流が発生する。このような大きくて複雑な乱流が発生すればスリーブ1内を流れる冷却液を撹拌する攪拌力は増加し、スリーブ1の内壁近傍を流れる冷却液と、スリーブ1の中央を流れる冷却液とがより混ぜ合わされるようになり、その結果、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達効率が格段に向上する。
また、本実施形態によれば、上記乱流発生手段は、スリーブ1の内壁に設けた穴64であることで、スリーブ1の内壁の全域(スリーブ1の円周方向および軸方向)にわたって略均等に同じ大きさの乱流を発生させることができるので、スリーブ1の内壁温度を均一にすることができ、流体抵抗を抑えると共に熱流束Wを上げかつ均一性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、上記乱流発生手段は、スリーブ1の内壁に設けた凹凸面65または粗し面であることで、乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に穴64を設ける場合よりも微細に形成することができる。よって、乱流発生手段としてスリーブ1の内壁に穴64を設ける場合よりも、スリーブ1の内壁の全域(スリーブ1の円周方向および軸方向)にわたって略均等に同じ大きさの乱流を発生させることができ、スリーブ1の内壁温度の均一化をより図れ、流体抵抗を抑えると共に熱流束Wを上げかつ均一性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、冷却ローラ22は管状部材であり外管であるスリーブ1と、スリーブ1内に内包する内包部材とから成る管構造であり、上記乱流発生手段を設けたスリーブ1の内壁と内包部材の外壁とで形成される間隙に冷却媒体が流れる流路を有する。これにより、スリーブ1と内包部材とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流発生手段による乱流効果とで、スリーブ1内に内包部材を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。
また、本実施形態によれば、上記内包部材はコア部材であるコア5であり、上記乱流発生手段を設けたスリーブ1とコア5の外壁とで形成される間隙に冷却液が流れる流路を有する。これにより、スリーブ1とコア5とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流発生手段による乱流効果とで、スリーブ1内にコア5を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。
また、本実施形態によれば、コア5が、スリーブ1の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、スリーブ1の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍とコア5の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長して熱伝達率がより向上する。さらに、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できるとともに、スリーブ1とコア5とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果が加わるので、さらに熱伝達率が向上する。
また、本実施形態によれば、上記内包部材は、スリーブ1よりも細管構造の内管6であり、冷却ローラ22がスリーブ1と内管6との間を冷却液が流れる外側流路、及び、内管6内を冷却液が流れる内側流路を有する二重管構造である。これにより、スリーブ1と内管6とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流発生手段による乱流効果とで、スリーブ1内に内管6を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。さらに、冷却ローラ22の片方の端部のみに回転管継ぎ手手段であるロータリージョイント35を設ければ良いので、冷却ローラ22の他方の端部側に空スペースが生まれ、画像形成装置などの装置の小型化に寄与し、また冷却ローラ22を冷却装置18へ組み付ける際に冷却液のチューブや配管が邪魔にならず、作業性が向上する。
また、本実施形態によれば、内管6が、スリーブ1の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、スリーブ1の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍と内管6の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長して熱伝達率がより向上する。さらに、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できる。
また、本実施形態によれば、スリーブ1の中空内部で、内管6よりも外径の大きいシリンダ7を内管6を内包するように取り付けたことで、スリーブ1とシリンダ7とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果と乱流発生手段による乱流効果とで、スリーブ1内にシリンダ7を内包しない場合に比べて、スリーブ1の内壁から冷却液への熱伝達率がより向上し、冷却ローラ22による用紙Pの冷却性能を格段に向上させることができる。さらに、冷却ローラ22の片方の端部のみに回転管継ぎ手手段であるロータリージョイント35を設ければ良いので、冷却ローラ22の他方の端部側に空スペースが生まれ、画像形成装置などの装置の小型化に寄与し、また冷却ローラ22を冷却装置18へ組み付ける際に冷却液のチューブや配管が邪魔にならず、作業性が向上する。
また、本実施形態によれば、シリンダ7が、スリーブ1の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、スリーブ1の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることで、冷却液の旋回速度成分はスリーブ1の内壁近傍とシリンダ7の外壁近傍とで大きく異なり、乱流発生を助長して熱伝達率がより向上する。さらに、スリーブ1の内壁に設けた乱流発生手段によりスリーブ1の内壁近傍で乱流が増幅されるので、格段の乱流効果が期待できるとともに、スリーブ1とシリンダ7とで形成される狭い間隙の流路による高流速効果が加わるので、さらに熱伝達率が向上する。
また、本実施形態によれば、上記乱流発生手段をスリーブ1が接触することで冷却する用紙Pと略同幅の領域に設けることで、スリーブ1の内壁の乱流発生手段が設けられていない、その他の部分では、スリーブ1内を流れる冷却液に対して乱流発生手段による流体抵抗が発生しない。これにより、冷却液を冷却ローラ22内に送り込むポンプ100の負荷は小さく消費電力を下げられ且つ耐久性も向上する。また、スリーブ1の内壁全域にわたって乱流発生手段を設ける場合よりも一ランク下の送液性能のポンプ100で済み、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、シート状部材である用紙P上にトナー像を形成する画像形成ユニット54などのトナー像形成手段と、用紙P上に形成されたトナー像を少なくとも熱によって用紙Pに定着させる熱定着手段である熱定着装置16と、熱定着装置16によってトナー像が定着された用紙Pを冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段として、本発明の冷却ローラ22を有する冷却装置18を用いることにより、熱定着装置16による熱定着後の用紙Pの冷却効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 スリーブ
2 剥離
3 流速プロファイル
4 付着
5 コア
6 内管
7 シリンダ
10 帯電手段
11 感光体
12 光書き込み手段
13 現像装置
14 クリーニング手段
15 一次転写ローラ
16 熱定着装置
17 排紙収容部
18 冷却装置
19 用紙収納部
21 レジストローラ対
22 冷却ローラ
23 給紙コロ
28 用紙搬送路
29 用紙搬送路
35 ロータリージョイント
36 胴部
37 軸受
38 フランジ
39 シール部材
40 ローラ
41 ローラ
42 搬送ベルト
43 上ガイド
44 ブラケット
51 中間転写ベルト
52 ローラ
53 ローラ
54 画像形成ユニット
55 ローラ
56 二次転写ローラ
58 ローラ
59 クリーニング手段
60 突起
61 溝
62 突起
63 溝
64 穴
65 凹凸面
100 ポンプ
101 タンク
103 ラジエータ
104 冷却ファン
105 配管
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開2006−003819号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の管状部材からなる冷却ローラと、
前記管状部材内に冷却媒体を搬送する冷却媒体搬送手段と、を備え、
前記冷却ローラにシート状部材を接触させてシート状部材を冷却する冷却装置において、
冷却媒体に乱流を発生させる乱流発生手段を前記管状部材の内壁に設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1の冷却装置において、
上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた螺旋形状の突起または溝であり、
前記管状部材の回転に伴う冷却媒体の流れ方向とは逆向きの送りが発生するように前記突起または前記溝の螺旋巻き方向を設定したことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
請求項1の冷却装置において、
上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた穴であることを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
請求項1の冷却装置において、
上記乱流発生手段は、上記管状部材の内壁に設けた凹凸面または粗し面であることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の冷却装置において、
上記冷却ローラは上記管状部材である外管と、該外管内に内包する内包部材とから成る管構造であり、上記乱流発生手段を設けた前記外管の内壁と前記内包部材の外壁とで形成される間隙に冷却媒体が流れる流路を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
請求項5の冷却装置において、
上記内包部材はコア部材であり、上記乱流発生手段を設けた上記外管と前記コア部材の外壁とで形成される間隙に冷却媒体が流れる流路を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項7】
請求項5の冷却装置において、
上記内包部材は、上記外管よりも細管構造の内管であり、該外管と該内管との間を冷却媒体が流れる外側流路、及び、該内管内を冷却媒体が流れる内側流路を有する二重管構造であることを特徴とする冷却装置。
【請求項8】
請求項7の冷却装置において、
上記外管の中空内部で、上記内管よりも外径の大きいシリンダを該内管を内包するように取り付けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項9】
請求項6の冷却装置において、
上記コア部材が、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項10】
請求項7の冷却装置において、
上記内管が、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項11】
請求項8の冷却装置において、
上記シリンダが、上記外管の回転方向と同一方向に異なる回転数で回転可能、該外管の回転方向とは逆方向に回転可能、または、固定状態で設けられていることを特徴とする冷却装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
上記乱流発生手段を上記管状部材が接触することで冷却するシート状部材と略同幅の領域に設けることを特徴とする冷却装置。
【請求項13】
シート状部材上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記シート状部材上に形成されたトナー像を少なくとも熱によってシート状部材に定着させる熱定着手段と、
前記熱定着手段によってトナー像が定着されたシート状部材を冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、
前記冷却手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の冷却装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−227315(P2011−227315A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97534(P2010−97534)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】