説明

冷却装置

【課題】 熱電素子(9)を挟んで隔てられた冷却側空気通路(4)及び放熱側空気通路(5)に、熱電素子(9)に接するヒートシンク(10,11)と送風機(6,7)とを配置した冷却装置において、ヒートシンク(10,11)に対する送風構造を改善して、冷却能力を高めても装置が大きくならないようにする。
【解決手段】 少なくとも放熱送風機に従来用いられていたプロペラファンよりも静圧の高い遠心ファン(7)を用いるとともに、該遠心ファン(7)の吐出部の外側に放熱ヒートシンク(11)を配置して、放熱ヒートシンク(11)の通過風速を高めて熱電素子の排熱を十分に処理することにより、冷却能力を確保しつつ、大型化を防止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペルチェ素子等の熱電素子を挟んで隔てられた冷却空気通路及び放熱空気通路に、熱電素子に接するヒートシンクと該ヒートシンクに送風する送風機をそれぞれ配置した冷却装置に関し、特に、送風機からヒートシンクへの送風構造の改善策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の冷却装置としては、例えば特開平6−94323号公報に記載されたものがある。この冷却装置は、冷却ケース内に、互いに隔てられた冷却側空気通路と放熱側空気通路とを備えており、両空気通路は、ペルチェ素子等の熱電素子を挟むように配置されている。冷却側空気通路には、熱電素子の冷却面に接する冷却ヒートシンクと、冷却ヒートシンクに送風する冷却送風機とが配置され、放熱側空気通路には、熱電素子の放熱面に接する放熱ヒートシンクと、放熱ヒートシンクに送風する放熱送風機とが配置されている。また、送風機にはプロペラファンが用いられており、該プロペラファンは、熱電素子に対してほぼ直角に空気を送るように配置されている。
【0003】この冷却装置は、例えば、各種機械の制御盤などに設けられている。冷却側空気通路は制御盤の内部空間に連通するように構成され、放熱側空気通路は外気に開放するように構成されている。この構成において、熱電素子に通電し、各送風機を起動すると、冷却ヒートシンクで生成された低温空気が制御盤の内部に送られて制御盤内が冷却され、放熱ヒートシンクを通った高温空気は制御盤の外に放出されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の冷却装置では、冷却能力を大きくするにはヒートシンクの通過風速を大きくする必要があるが、そうすると空気の通過抵抗が増大するので、プロペラファンを大きくしたり数を増やすなどの手段を講じる必要が生じ、装置が大型化する欠点があった。
【0005】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒートシンクに対する送風構造を改善することにより、冷却能力を高めても装置が大きくならないようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも放熱送風機(7)にプロペラファンよりも静圧の高い遠心ファンを用いるとともに、この放熱側の遠心ファン(7)の吐出部の外側に放熱ヒートシンク(11)を配置して、放熱送風機(7)が小型でも、ヒートシンクを空気が通過する際の大きな通過抵抗に対応できるようにしたものである。
【0007】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、熱電素子(9)と、熱電素子(9)を挟んで互いに隔てられた冷却側空気通路(4)及び放熱側空気通路(5)とを備え、冷却対象空間に連通する冷却側空気通路(4)内に、熱電素子(9)の冷却面(9a)に接する冷却ヒートシンク(10)と、冷却ヒートシンク(10)に送風する冷却送風機(6)とが配置され、外気に連通する放熱側空気通路(5)内に、熱電素子(9)の放熱面(9b)に接する放熱ヒートシンク(11)と、放熱ヒートシンク(11)に送風する放熱送風機(7)とが配置された冷却装置を前提としている。そして、放熱送風機に遠心ファン(7)を用い、この遠心ファン(7)の吐出部の外側に放熱ヒートシンク(11)を配置した構成としている。
【0008】また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、冷却送風機に遠心ファン(6)を用い、この遠心ファン(6)の吐出部の外側に冷却ヒートシンク(10)を配置した構成としている。
【0009】また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第2の解決手段において、放熱送風機(7)と冷却送風機(6)を同一の回転中心上に配置し、且つ、両送風機(6,7)を、一つのファンモータ(12)に連結した構成としている。
【0010】−作用−上記第1の解決手段では、熱電素子(9)に通電し、冷却送風機(6)と放熱送風機(7)を起動すると、冷却ヒートシンク(10)で生成された低温空気は冷却側空気通路(4)から冷却対象空間に供給され、放熱ヒートシンク(11)を通った高温空気は放熱側空気通路(5)から外気中へ放出される。放熱側では遠心ファン(7)が用いられているので、空気は遠心ファン(7)の周囲に吹き出されて放熱ヒートシンク(11)を通過してから、外気中へ放出されることになる。
【0011】また、上記第2の解決手段では、冷却送風機(6)にも遠心ファンが用いられているので、冷却側でも空気が遠心ファン(6)の周囲に吹き出されて冷却ヒートシンク(10)を通過してから、外気中へ放出されることになる。
【0012】また、上記第3の解決手段では、一つのファンモータ(12)を回すと、冷却送風機(6)と放熱送風機(7)が起動し、冷却ヒートシンク(10)と放熱ヒートシンク(11)の両方に空気が送られることになる。
【0013】
【発明の効果】上記第1の解決手段によれば、放熱送風機(7)には遠心ファンが用いられており、プロペラファンよりも一般に静圧が高いので、放熱ヒートシンク(11)での空気の通過抵抗に強い利点がある。従って、小型であっても放熱ヒートシンク(11)の通過風速を大きくできるから、装置の大型化を回避できる。また、プロペラファンの場合はヒートシンク(11)の面積にプロペラの大きさや個数を合わせなければならないが、遠心ファンの場合は一つの小型の放熱送風機(7)の周りに複数のヒートシンク(11)を配置できるので、その点でも装置の小型化が可能である。さらに、プロペラファンの場合は、個数が増えるとモータも増える欠点があるが、遠心ファンの場合は、個数を増やさなくてよいのでモータの台数も増加しない。
【0014】また、この種の冷却装置では排熱を充分に処理しなければ冷却効率が低下しがちになるが、上記解決手段では放熱側で遠心ファン(7)を使用したことによって、放熱送風機(7)が小型でも少なくとも排熱は充分に処理できる。また、プロペラファンの場合、中心部では風が殆ど流れないが、遠心ファン(7)の場合は全周に風が流れるので、効率を高められる。
【0015】また、上記第2の解決手段によれば、上記第1の解決手段と同様の効果が冷却側でも得られることになり、冷却性能の向上と小型化をさらに進めることができる。
【0016】また、上記第3の解決手段によれば、一つのファンモータ(12)を回すだけで冷却ヒートシンク(10)と放熱ヒートシンク(11)の両方で送風することができるから、ファンモータ(12)の個数が少なくて済み、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態1】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】図1(a)及び(b)は、冷却装置(1)内の機器配置図であり、各機器の形状を簡略化して概略構造のみを示している。この冷却装置(1)は、内部が中央板(2)で2つに分離された薄い直方体の冷却ケース(3)内に各機器を配置したものであり、中央板(2)の片側が冷却側空気通路(4)に構成され、反対側が放熱側空気通路(5)に構成されている。つまり、冷却側空気通路(4)と放熱側空気通路(5)は、中央板(2)によって互いに隔てられた構成になっている。
【0019】冷却ケース(3)の中央部には、冷却側空気通路(4)内に冷却送風機(6)が配置され、放熱側空気通路(5)内に放熱送風機(7)が配置されている。両送風機(6,7)は何れも遠心ファンで構成されており、その吐出部の外側には、冷熱源モジュール(8)が配置されている。
【0020】冷熱源モジュール(8)は、図2に示しているように、ペルチェ素子などの熱電素子(9)と、熱電素子(9)の冷却面(9a)に接するように配置された冷却ヒートシンク(10)と、熱電素子(9)の放熱面(9b)に接するように配置された放熱ヒートシンク(11)とから構成されている。熱電素子(9)は、矩形平板状で、通電されると一方の面(9a)(図2の上面)が低温となり、他方の面(9b)(図2の下面)が高温となる。つまり、一方が冷却面(9a)となり、他方が放熱面(9b)となる。また、これら各面(9a,9b)は滑らかな平坦面で形成されている。
【0021】各ヒートシンク(10,11)は互いに同一の構成である。まず、図2の上側に位置している冷却ヒートシンク(10)について説明する。この冷却ヒートシンク(10)は、アルミニウム製で、平板状の受熱部(10a)とピン状の複数本のフィン(10b)とが一体形成されている。上記受熱部(10a)は、背面(10c)(下面)が熱電素子(9)の冷却面(9a)に接している。この受熱部(10a)は、上記熱電素子(9)よりも僅かに大きい矩形平板状で、その背面(10c)は滑らかな平坦面で形成されている。各フィン(10b)は、ピン状であって、縦横に整列して配置されている。
【0022】放熱ヒートシンク(11)も、冷却ヒートシンク(10)と同一の構成である。つまり、平板状の受熱部(11a)とピン状の複数本のフィン(10b)とが一体形成されている。この放熱ヒートシンク(11)は、受熱部(11a)の背面(11c)が滑らかな平坦面で形成されており、この背面(11c)(上面)が熱電素子(9)の放熱面(9b)に接している。
【0023】このようにして熱電素子(9)が各ヒートシンク(10,11)によって挟み込まれた状態で、これらが図示しないボルトによって一体的に締結されている。これにより、熱電素子(9)の冷却面(9a)と冷却ヒートシンク(10)の背面(10c)との間、及び熱電素子(9)の放熱面(9b)と放熱ヒートシンク(11)の背面(11c)との間の密着性が確保されている。つまり、熱電素子(9)と各ヒートシンク(10,11)との間での熱伝達が良好に行われる構成となっている。
【0024】以上のように構成された冷熱源モジュール(8)は、熱電素子(9)が冷却ケース(3)の中央板(2)と略同一面上に位置するように配置され、冷却側空気通路(4)と放熱側空気通路(5)が熱電素子(9)を挟んで互いに隔てられた構成になっている。また、冷熱源モジュール(8)は、冷却ヒートシンク(10)が冷却側空気通路(4)内に位置し、放熱ヒートシンク(11)が放熱側空気通路(5)内に位置するように、冷却ケース(3)の四辺に沿って配置されている。
【0025】各送風機(6,7)は、各通路(4,5)内で、冷却ケース(3)の中央部に配置されている。そして、送風機(6,7)の吐出部の外側に配置された各ヒートシンク(10,11)に送風するようになっている。また、両送風機(6,7)は、同一の回転中心上に配置されており、両軸モータである1台のファンモータ(12)に連結されていて、このファンモータ(12)を起動すれば両送風機(6,7)を同時に運転できるようになっている。この場合、冷却側と放熱側で、モータ(12)の回転方向が軸端から見て反対になるため、各送風機(6,7)の羽根は、互いに対称形状となる。
【0026】この冷却装置(1)は、例えば、各種機械の制御盤(13)などに組み込んで、該制御盤(13)内の電子部品を冷却するのに使用できる。図1(b)に示すように、冷却装置(1)は、中央板(2)が制御盤(13)のハウジング(14)の外壁とほぼ同一面上に位置するように設置されている。
【0027】冷却側空気通路(4)には、冷却送風機(6)への吸込み口(4a)と、冷却送風機(6)から冷却ヒートシンク(10)を通った吐出空気の吹出口(4b)とが設けられており、該冷却側空気通路(4)が、冷却対象空間である制御盤(13)の内部空間に連通している。また、放熱側空気通路(5)には、放熱送風機(7)への吸込口(5a)と、放熱送風機(7)から放熱ヒートシンク(11)を通った吐出空気の吹出口(5b)とが設けられており、該放熱側空気通路(5)が、外気に連通するようになっている。なお、図では、便宜上、吸込口(4a,5a)と吹出口(4b,5b)が冷却ケース(3)から突出しているように表しているが、実際は、冷却ケース(3)に単なる開口として形成すればよい。
【0028】−運転動作−次に、この冷却装置(1)による冷却動作について説明する。
【0029】まず、熱電素子(9)に通電し、ファンモータ(12)を起動して冷却送風機(6)と放熱送風機(7)を回転させると、冷却側では、制御盤(13)内の空気が冷却側空気通路(4)を通って冷却ヒートシンク(10)に供給される。熱電素子(9)の冷却面(9a)では冷熱が発生しているので、空気は、フィン(10b)を介して該冷却面(9a)からの冷熱を受けて低温となり、冷却ヒートシンク(10)の周囲から外方へ向かって吹き出される。そして、この低温空気が制御盤(13)の内部に供給されて、制御盤(13)内の電子部品などを冷却する。このような空気の流れが連続し、制御盤(13)の中を低温空気が循環するので、電子部品の過熱が回避される。
【0030】一方、放熱側では、外気が放熱側空気通路(5)を通って放熱ヒートシンク(11)に供給される。熱電素子(9)の放熱面(9b)では温熱が発生しているので、空気は、フィン(11b)を介して該放熱面(9b)からの排熱を受けて高温となり、放熱ヒートシンク(11)の周囲から外方へ向かって外気中に吹き出される。放熱側では空気がこのようにして連続的に流れるので、熱電素子(9)から外気中へ効率的に放熱が行われる。
【0031】−実施形態1の効果−本実施形態1によれば、各送風機(6,7)にプロペラファンよりも静圧の高い遠心ファンが用いられているので、ヒートシンク(10,11)での空気の通過抵抗に強い利点があり、小型でもヒートシンク(10,11)の通過風速を大きくできるから、装置の冷却能力を上げても大型化を回避できる。逆に言えば、冷却能力を変えなければ、装置を小型化できる。また、本実施形態1によれば、一つのファンモータ(12)を回すだけで冷却側と放熱側の両方で送風することができるから、ファンモータ(12)の個数が少なくて済む点でも装置の小型化を図ることが可能となる。
【0032】また、プロペラファンの場合、中心部では風が殆ど流れないが、遠心ファン(6,7)の場合は全周に風が流れるので、冷却効率を高くできる。さらに、プロペラファンの場合、能力を上げようとするとプロペラファンの個数を増やす必要が生じ、全てについて故障に対する信頼性を保証するのが困難となるが、遠心ファン(6,7)の場合は個数が少なくて済むので、装置としての信頼性の向上を図ることが容易である。
【0033】−実施形態1の変形例−図3から図7は、それぞれ実施形態1の変形例を示しており、送風機(6,7)の吐出部の外側での冷熱源モジュール(8)の配置が、実施形態1とは異なっている。
【0034】図3は、冷却ケース(3)の三辺に冷熱源モジュール(8)を配置し、一辺は閉塞した例である。この場合、冷却側の低温空気と放熱側の高温空気は、冷却ケース(3)から三方向へ吹き出されることになる。また、図4は、冷却ケース(3)の対向する二辺に冷熱源モジュール(8)を配置し、残った二辺は閉塞して二方向吹出しとした例で、図5は、冷却ケース(3)の一辺のみに冷熱源モジュール(8)を配置し、他の三辺は閉塞して一方向吹出しとした例である。吹出し方向をこれらのように規制した冷却装置(1)を用いると、制御盤(13)の内部などで特に高温になりやすい部分に低温空気を重点的に供給することが可能となる。
【0035】図6は、冷却ケース(3)内に、送風機(6,7)を8方向から囲うように8個の冷熱源モジュール(8)を配置し、冷却ケース(3)の外周面全体を吹出し口(4b,5b)とした例である。この例は、図3から図5とは逆に、内部空間にあまり温度差の生じない装置に低温空気を均一に供給するのに適している。また、図7は図6の例をさらに変更して、冷熱源モジュール(8)を環状にした例である。この場合、空気が遠心ファン(6,7)の全周で均一にヒートシンク(10,11)を通るので、効率を最も高めることができる。
【0036】なお、上記実施形態では、ヒートシンク(10,11)は平板状の受熱部(10a)に多数のピン状のフィン(10b)を一体的に設けた構成としたが、フィン(10b)は、ピン状でなく、プレート状のものを用いてもよい。プレート状にしたフィン(10b)は、図1及び図3〜図6の場合は図中の矢印と平行に配置するとよい。図7の場合は、遠心ファン(6,7)の回転軸を中心として放射状に配置してもよいが、風の流れ方向に沿うように配置すると、効率をさらに高めることができる。
【0037】
【発明の実施の形態2】本発明の実施形態2は、冷却送風機(6)を、遠心ファンでなくプロペラファンにした例である。図8において、冷熱源モジュール(8)と放熱送風機(7)は図1(a),(b)に示した実施形態1と同様に構成されている。冷却送風器であるプロペラファン(6)は、冷却ケース(3)の四辺に沿って配置された各冷却ヒートシンク(10)の冷却対象空間側の端部に配置されている。また、プロペラファン(6)は、図示していないが、各冷却ヒートシンク(10)の長手方向に沿って複数個が並べて配置されている。
【0038】図8では冷却ケース(3)の詳細構造は示していないが、冷却ヒートシンク(10)の周囲は開放されており、冷却ヒートシンク(10)への空気の吸込みと吹出しが全周から可能になっている。プロペラファン(6)を冷却ヒートシンク(10)の冷却対象空間側の端部に配置しているので、プロペラファン(6)を駆動すると、空気を実線または破線の矢印の方向へ流すことができる。
【0039】−運転動作−本実施形態2においても、熱電素子(9)に通電し、冷却送風機(6)と放熱送風機(7)を起動すると、制御盤(13)内の空気が冷却ヒートシンク(10)を通って低温となり、この低温空気が制御盤(13)の内部に連続的に供給されて制御盤(13)の中を循環する一方で、放熱側では、熱電素子(9)の放熱面(9b)で発生した温熱が放熱ヒートシンク(11)を通る空気に伝達されて、外気に放出される。冷却送風機(6)の構成と配置は実施形態1と異なっているが、冷却と放熱の作用は実施形態1と同じである。
【0040】−実施形態2の効果−熱電素子(9)を使った冷却装置(1)で冷却効率を向上させるためには、放熱面(9a)からの放熱量をできるだけ多くして冷却面(9a)と放熱面(9b)との温度差をできるだけ小さくすることが必要であるが、本実施形態2によれば、放熱側で遠心ファン(7)を使用することによって、少なくとも排熱は充分に処理できるようにしているから、ファン(7)が1台であるにも拘わらず、冷却効率が低下するのを防止できる。また、このように放熱送風機(7)に遠心ファンを用いて小型でも排熱を十分に処理することができるようにしているから、従来と同等の冷却能力であれば装置を小型化できるし、従来と同等の大きさであれば冷却能力を高められる。
【0041】−実施形態2の変形例−図9から図11は、それぞれ実施形態2の変形例を示しており、冷熱源モジュール(8)に対する冷却送風機(6)の配置が、実施形態2とは異なっている。
【0042】図9は、冷却送風機であるプロペラファン(6)を各冷熱源モジュール(8)の内側の面に配置した例であり、図10は、プロペラファン(6)を各冷熱源モジュール(8)の外側の面に配置した例である。これらの場合でも、制御盤(13)内の空気は冷却ヒートシンク(10)を通って低温空気となり、該制御盤(13)内を循環するし、放熱側では排熱を十分に処理できるので、制御盤(13)内を効率よく冷却できる。
【0043】図11は、冷却送風機(6)を、放熱送風機(7)と同軸上で中央板(2)から離して配置した一つのプロペラファンにより構成した例である。このように構成しても、図8から図10の例と同様に、制御盤(13)内の空気を効率的に冷却できる。
【0044】
【発明の実施の形態3】本発明の実施形態3は、実施形態1と同様に冷却送風機(6)に遠心ファンを用いているが、向きを実施形態1とは逆にした例である。図12に示すように、冷却側空気通路(4)は仕切り板(15)により吸込み側と吹出し側に区画されており、冷却ヒートシンク(10)が吸込み側に位置するように構成されている。
【0045】このように構成すると、実施形態1では冷却送風機(6)からの吹出し側で低温空気が生成されていたのが、冷却送風機(6)への吸込み側で低温空気が生成されるようになるが、他の作用は実施形態1と同様であるため、制御盤(13)などの内部の空気を効率的に冷却することができ、装置の大型化も防止できる。
【0046】
【発明のその他の実施の形態】本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。例えば、実施形態2及び3においては、冷熱源モジュール(8)を冷却ケース(3)の四辺に配置したものとして説明したが、図3から図7に示した実施形態1の変形例のように構成してもよいし、さらに他の配置にしてもよい。
【0047】また、図8から図11に示した例において、冷却送風機(6)は、プロペラファンに限らず、クロスフローファンやシロッコファンなど、他の種類の送風機を用いてもよい。
【0048】さらに、上記実施形態1では、両送風機(6,7)を1台のファンモータ(12)で駆動するものとして説明したが、両送風機(6,7)は2台のモータで個別に駆動してもよい。ファンモータ(12)を1台にする場合、各送風機(6,7)の羽根形状は上述のように対称になるが、ファンモータ(12)を2台にする場合は、羽根形状は同じにできる。
【0049】また、モータを2台にする場合、各モータを各送風機(6,7)の吸込み側に、吸込口(4a,5a)から離して配置し、各モータと送風機(6,7)をシャフトで連結して駆動するように構成することも可能であるし、1台を図1や図8などに示したように吹き出し側に配置し、他の1台を吸込み側に配置することも可能である。モータを2台とも吸込み側に配置する場合は、冷却ケース(3)の小型化が可能であり、1台を吸込み側に配置し、他の1台を吹き出し側に配置する場合は、設計の自由度を高められる。第2実施例や第3実施例の場合も、ファンモータを送風機(6,7)の吸込み側に配置することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷却装置を示し、(a)は正面側機器配置図、(b)は側面側機器配置図である。
【図2】図1の冷却装置に用いている冷熱源モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1の冷却装置の第1の変形例を示す機器配置図である。
【図4】図1の冷却装置の第2の変形例を示す機器配置図である。
【図5】図1の冷却装置の第3の変形例を示す機器配置図である。
【図6】図1の冷却装置の第4の変形例を示す機器配置図である。
【図7】図1の冷却装置の第5の変形例を示す機器配置図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る冷却装置の側面側機器配置図である。
【図9】図8の冷却装置の第1の変形例を示す機器配置図である。
【図10】図8の冷却装置の第2の変形例を示す機器配置図である。
【図11】図8の冷却装置の第3の変形例を示す機器配置図である。
【図12】本発明の実施形態3に係る冷却装置の側面側機器配置図である。
【符号の説明】
(1) 冷却装置
(2) 中央板
(3) 冷却ケース
(4) 冷却側空気通路
(5) 放熱側空気通路
(6) 冷却送風機
(7) 放熱送風機
(8) 冷熱源モジュール
(9) 熱電素子
(9a) 冷却面
(9b) 放熱面
(10) 冷却ヒートシンク
(11) 放熱ヒートシンク
(12) ファンモータ
(13) 制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱電素子(9)と、熱電素子(9)を挟んで互いに隔てられた冷却側空気通路(4)及び放熱側空気通路(5)とを備え、冷却対象空間に連通する冷却側空気通路(4)内に、熱電素子(9)の冷却面(9a)に接する冷却ヒートシンク(10)と、冷却ヒートシンク(10)に送風する冷却送風機(6)とが配置され、外気に連通する放熱側空気通路(5)内に、熱電素子(9)の放熱面(9b)に接する放熱ヒートシンク(11)と、放熱ヒートシンク(11)に送風する放熱送風機(7)とが配置された冷却装置であって、放熱送風機が遠心ファン(7)であり、該遠心ファン(7)の吐出部の外側に放熱ヒートシンク(11)が配置されている冷却装置。
【請求項2】 冷却送風機が遠心ファン(6)であり、該遠心ファン(6)の吐出部の外側に冷却ヒートシンク(10)が配置されている請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】 放熱送風機(7)と冷却送風機(6)が同一の回転中心上に配置され、且つ、両送風機(6,7)が、一つのファンモータ(12)に連結されている請求項2記載の冷却装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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