説明

冷却装置

【課題】発熱部品の搭載スペースを確保しつつ小型化が可能な冷却装置の提供。
【解決手段】本発明の冷却装置1は、一端から他端に向かって貫通した孔からなり冷媒を流通させる冷媒流通路22と、この冷媒流通路22を取り囲むと共に熱伝導性を有する筒状の壁部21とを有する放熱シンク2と、壁部21の外面上に固定される発熱部品3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等においては、車両駆動用モータのインバータ、車両制御電源用のDC−DCコンバータ、補機駆動用のインバータ等の高圧電装機器が搭載されている。
【0003】
このような電装機器には、通電時に高熱を発する部品が含まれている。そのため前記電装機器は、特許文献1に示されるように、冷却用の放熱シンク(ヒートシンク)上に固定された状態で車両に搭載されている。この放熱シンクは、互いに間隔を置いて平行に並んだ一対の放熱板と、これらの間に介在される複数の放熱フィンとを備えており、アルミニウム等の放熱性に優れる材料から形成されている。
【0004】
なお、特許文献2には、隣り合った放熱フィン間に形成される隙間に、空冷ファンを利用して、空気を供給する技術が示される。このように前記隙間に空気を送り込むことによって、放熱シンクの冷却効率が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−8403号公報
【特許文献2】特開2001−163065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の放熱シンクは、前記電装機器を搭載できるスペースが限られていた。通常は、放熱シンクの上面側にのみ前記電装機器を搭載できる構成となっていた。そのため、従来の放熱シンクでは、前記電装機器の搭載スペースを確保する都合上、ある程度、大きな構造を採らざるを得なかった。
【0007】
しかしながら、近年、車両等における前記電装機器及び前記放熱シンクを搭載できるスペースは、狭小化している。そのため、前記放熱シンク等に対する小型化の要求も高まっている。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、発熱部品の搭載スペースを確保しつつ小型化が可能な冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る冷却装置は、一端から他端に向かって貫通した孔からなり冷媒を流通させる冷媒流通路と、この冷媒流通路を取り囲むと共に熱伝導性を有する筒状の壁部と、を有する放熱シンクと、前記壁部の外面上に固定される発熱部品と、を備える。
【0010】
前記冷却装置において、前記冷媒流通路の一端から他端に向かって冷媒が流通するように前記壁部の端面に設けられる冷媒流通装置を備えることが好ましい。
【0011】
前記冷却装置において、前記冷媒流通装置が、ファン装置であってもよい。
【0012】
前記冷却装置において、前記壁部は、その内面上に突出した放熱フィンを有することが好ましい。
【0013】
前記冷却装置において、前記壁部は、角筒状であってもよい。
【0014】
前記冷却装置において、前記発熱部品が前記冷媒流通路を囲むように、前記壁部の外面上に配されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発熱部品の搭載スペースを確保しつつ小型化が可能な冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る冷却装置の斜視図
【図2】冷却装置の平面図
【図3】冷却装置の分解斜視図
【図4】放熱シンクの斜視図
【図5】放熱シンクの正面図
【図6】DC−DCコンバータの回路図
【図7】図2のA−A’線における冷却装置の断面図
【図8】実施形態2に係る冷却装置の斜視図
【図9】冷却装置の分解斜視図
【図10】冷却装置の背面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
(冷却装置)
以下、本発明の実施形態1を、図1ないし図7を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係る冷却装置1の斜視図であり、図2は、冷却装置1の平面図であり、図3は、冷却装置1の分解斜視図である。本実施形態の冷却装置1は、筒状の放熱シンク(ヒートシンク)2と、この放熱シンク2に取り付けられるDC−DCコンバータ3と、これらを収容するハウジング4とを備えている。
【0018】
本実施形態の冷却装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されるものである。この冷却装置1が備えているDC−DCコンバータ3は、直流電源から供給される高圧の直流電圧(例えば、300V)を、低圧バッテリの規定電圧(例えば、12V)にまで降圧するために利用される。
【0019】
(ハウジング)
図1及び図2に示されるように、冷却装置1の外側部分には、外観形状が略直方体であるハウジング4が設けられている。そして、このハウジング4の両側面からは、DC−DCコンバータ3が備える入力端子T1,T2と、出力端子T3,T4とがそれぞれ露出されている。
【0020】
図3に示されるように、ハウジング4は、放熱シンク2及びDC−DCコンバータ3を、上側から包囲する上カバー部41と、放熱シンク2及びDC−DCコンバータ3を、下側から受け支えるように覆う下カバー部42とからなる。各カバー部41,42は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂材料を所定形状に加工したものからなる。
【0021】
上カバー部41は、矩形状の天井部41aと、この天井部41aの周縁から下方に向かって延びた周壁部41bとを備えている。そして、この周壁部41bの前後方向には、放熱シンク2の両端面24a,24bを露出させるための切り欠き部41cがそれぞれ設けられている。また、周壁部41bの下端側には、環状の係合部41dが複数個設けられている。
【0022】
下カバー部42は、矩形状の底部42aと、この底部42aの周縁から上方に向かって立ち上がった周壁部42bとを備えている。そして、この周壁部42bの前後方向には、放熱シンク2の両端面24a,24bを露出させるための切り欠き部42cがそれぞれ設けられている。また、周壁部42bの上端側には、前記係合部41dと係合する突起状の被係合部42が複数個設けられている。なお、底部42aには、下カバー部42を上カバー部41にネジ止めする際に利用されるネジ孔42eが設けられている。更に、周壁部42bの下端側には、冷却装置1を、車両中の搭載スペースに固定するために利用されるフランジ部42fが設けられている。
【0023】
上カバー部41は、DC−DCコンバータ3が取り付けられた放熱シンク2を載せた下カバー部42に対して被せられる。すると、上カバー部41の係合部41dが下カバー部42の被係合部42dと係合して、上カバー部41が下カバー部42に対して取り付けられる。更に、ネジ孔42eを利用して、下カバー部42と上カバー部41とがネジ止めされることによって、上カバー部41及び下カバー部42が確実に固定される。なお、図1に示されるように、ハウジング4の前後方向には、放熱シンク2の両端面24(前端面24a及び後端面24b)露出させるための開口部43が、それぞれ設けられている。この開口部43は、上カバー部41の切り欠き部41bと、下カバー部42の切り欠き部42bとが互いに組み合わさって、枠状に形成されたものである。
【0024】
(放熱シンク)
放熱シンク2は、DC−DCコンバータ3を冷却するために利用される。図4は、放熱シンク2の斜視図であり、図5は、放熱シンク2の正面図である。図4及び図5に示されるように、放熱シンク2の外観形状は、概ね前後方向に延びた角筒状をなしている。放熱シンク2は、前後方向に長く延びた筒状(角筒状)の壁部21と、この壁部21で囲まれた冷媒流通路22とを備えている。なお、放熱シンク2は、少なくとも熱伝導性を有する材料を加工したものからなる。熱伝導性を有する材料としては、この種の放熱シンクに利用される一般的な材料が適用できる。具体的には、アルミニウム等の熱伝導率が高い(放熱性に優れる)金属材料が挙げられる。本実施形態の放熱シンク2は、アルミニウムを所定形状に加工したものからなる。加工方法としては、押出成形、鋳造等の公知の加工方法が利用される。
【0025】
壁部21は、上述したように角筒状をなしており、その外面23上にDC−DCコンバータ3の各部品が固定される。壁部21は、概ね矩形状の外面23(23a,23b,23c,23d)を4つ備えている。後述するように、これらの4つの外面23(23a,23b,23c,23d)上に、DC−DCコンバータ3の各部品がそれぞれ固定される。なお、説明の便宜上、壁部21のうち、外面23aを含む部分を第1壁部と称する場合がある。同様に、外面23bを含む部分を第2壁部と称し、外面23cを含む部分を第3壁部と称し、外面23dを含む部分を第4壁部と称する場合がある。また、壁部21の外面23のことを、放熱シンク2の外面23と称する場合がある。
【0026】
図4及び図5に示されるように、第2壁部の上端部分は、第1壁部の外面23aよりも上方に突出している。そして、その突出した部分には、外面23bよりも外側(図5における右方向)に向かって凸状に張り出した張出部27が設けられている。また、第2壁部の下端部にも、外面23bよりも外側(図5における右方向)に向かって凸状に張り出した張出部28が設けられている。各張出部27,28は、それぞれ長手方向に沿って形成されている。なお張出部27の長さは、張出部28の長さよりも短く設定されている。これらの張出部27,28は、後述するように、DC−DCコンバータ3における一部の部品を取り付ける際に利用される。
【0027】
第1壁部、第2壁部,第2壁部及び第4壁部には、DC−DCコンバータ3の各部品を取り付ける際に利用されるネジ孔6がそれぞれ穿設けられている。なお、ネジ孔6の一部は、張出部27,28に設けられている。
【0028】
壁部21の内面25上には、複数の放熱フィン26が設けられている。放熱フィン26は、壁部21の内面25から垂直に立ち上がると共に、壁部21の長手方向(前後方向)に沿って真っ直ぐに延びている。放熱フィン26の大きさ、形状、個数等の放熱フィン26に関する諸条件は、放熱シンク2の冷却効率等を考慮しつつ、適宜、設定される。
【0029】
冷媒流通路22は、壁部21の一端から他端に向かって貫通した孔からなる。冷媒流通路22は、図5等に示されるように、壁部21の平坦な内面25と共に、複数の放熱フィン26によって囲まれている。そして、この冷媒流通路22内に、ガス状又は液体状の冷媒が通される。本実施形態の場合、この冷媒流通路22には、空気が冷媒として通される。
【0030】
なお、冷媒の流通方向としては、壁部21(放熱シンク2)の前端面24a側から後端面24b側に向かう場合と、反対に後端面24b側から前端面24a側に向かう場合とがある。本実施形態の場合、いずれの方向に、冷媒が流通されてもよい。冷媒の流通方向は、適宜、設定される。
【0031】
(DC−DCコンバータ)
DC−DCコンバータ3は、上述したように、直流電源から供給される高圧の直流電圧(例えば、300V)を、低圧バッテリの規定電圧(例えば、12V)にまで降圧するために利用される。図6は、DC−DCコンバータ3の回路図である。ここで、先ず、図3及び図6を参照しつつ、DC−DCコンバータ3の各部品及びそれらの機能について説明する。
【0032】
DC−DCコンバータ3は、主として、入力端子T1,T2と、制御回路30と、高圧回路31と、スイッチング回路32と、トランス33と、整流回路34と、平滑回路35と、出力端子T3,T4とを備えている。
【0033】
入力端子T1,T2は、高圧の直流電圧を供給する直流電源(不図示)に接続されている。そして、図6に示されるように、入力端子T1に接続する1次側配線L1aと、入力端子T2に接続する1次側配線L1bとの間には、高圧回路31が備えるコンデンサ31aと、スイッチング回路32とが設けられている。また、スイッチング回路32には、トランス33が接続されている。
【0034】
コンデンサ31aは、直流電源から出力された直流電圧Vinを平滑化する。スイッチング回路32は、4個のスイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)を有する回路構成となっている。各スイッチング素子Sは、それぞれ高圧FETにより構成されている。このスイッチング回路32は、所謂、フルブリッジ型となっている。各スイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)は、制御回路30から送信される指令信号に基づいて動作するように構成されている。そして、各スイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)の動作によって、直流電源から入力された直流電圧が交流電圧に変換される。トランス33は、1次コイル33a及び2次コイル33bを備えており、スイッチング回路32から1次コイル33aに入力された交流電圧を変圧(降圧)する。そして、トランス33は、変圧(降圧)された交流電圧を出力する。
【0035】
また、図6に示されるように、トランス33の2次コイル33b側には、トランス33から出力された交流を整流する整流回路34と、整流された電流(電圧)を平滑化する平滑回路35と、出力端子T3,T4とがそれぞれ設けられている。
【0036】
整流回路34は、一対の整流素子34(34a,34b)を有する全波整流型である。更に、この整流回路34は、センタータップ型の全波整流方式となっており、トランス33から出力された交流電圧の各半波を、各整流素子34a,34bにより個別に整流して直流電圧を得る構成になっている。なお、整流素子34a,34bとしては、ダイオードを利用してもよいし、FETを利用してもよい。本実施形態の場合、各整流素子34(34a,34b)は、FETからなる。
【0037】
平滑回路35は、平滑コイル35aと、コンデンサ35bとを備えている。平滑回路35は、これらを利用して、整流回路34で整流された直流電圧を平滑化する。すると出力端子T3,T4からは、電圧Vinに対して降圧された所定の電圧Voutが出力される。
【0038】
なお、図3に示されるように、制御回路30及び高圧回路31は、1つの基板30a上に形成されている。高圧回路31が備える上述したコンデンサ31aは、この基板30a上に実装されている。更に、この基板30aには、入力端子T1,T2も固定されている。
【0039】
このようなDC−DCコンバータ3が作動すると、各構成部品からは熱が発生する。特に、スイッチング素子S(FET)、トランス33、平滑コイル35a、整流素子34(FET)等からは、多くの熱が発生する。
【0040】
(発熱部品)
本明細書において、通電によって発熱する部品のことを、「発熱部品」と称する。本実施形態の場合、DC−DCコンバータ3を構成する各部品が、発熱部品に相当する。具体的には、スイッチング素子(FET)S、トランス33、平滑コイル35a、整流素子34(FET)、コンデンサ31a、コンデンサ35b等が発熱部品として挙げられる。
【0041】
DC−DCコンバータ3の各構成部品は、放熱シンク2の外面23上に固定される。各構成部品は、放熱シンク2(壁部21)の4つの外面上にそれぞれ分けられた状態で固定される。なお、各構成部品は、放熱シンク2の各外面23上にそれぞれネジ止め等によって固定される。
【0042】
(発熱部品の固定個所)
ここで、図3及び図7等を参照しつつ、DC−DCコンバータ3の各構成部品が、放熱シンク2に固定される個所を説明する。図7は、図2のA−A’線における冷却装置1の断面図である。図7等に示されるように、放熱シンク2の外面23b上には、コンデンサ31a等が実装された基板30aが固定される。この基板30aの下面側には、各実装品の端子等が突出している。そのため、端子等の突出した部分が放熱シンク2の外面23bに対して直接、触れないように、前記基板30aは、張出部27,28上に架け渡された状態で固定される。なお、張出部27,28には、複数のネジ孔6が設けられている。また、基板30aにも前記ネジ孔6の位置に対応した複数のネジ孔5が設けられている。これらのネジ孔5,6同士にネジ7を挿し込むと共に、ネジ7をネジ孔6に螺着することによって、コンデンサ31a等が実装された基板30aが、放熱シンク2の外面23b上に固定される。
【0043】
更に、放熱シンク2の外面23b上には、出力側のコンデンサ35bも固定される。このコンデンサ35bは、専用の基板35c上に実装されている。この基板35cの端部には、複数のネジ孔5が設けられている。また、放熱シンク2の外面23bにも複数のネジ孔6が設けられている。前記基板35cは、各ネジ孔5,6及びネジ7を利用して、放熱シンク2の外面23b上にネジ止めされる。
【0044】
放熱シンク2の下側にある外面23c上には、スイッチング回路32が備える4個のスイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)が、一列に並んだ状態で固定される。各スイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)には、それぞれネジ孔5が設けられている。このネジ孔5と共に、放熱シンク2の外面23cに設けられているネジ孔(不図示)に、ネジが螺着されることによって、各スイッチング素子S(S1,S2,S3,S4)が、放熱シンク2の下側にある外面23c上に固定される。
【0045】
なお、図7に示されるように、出力端子T3は、放熱シンク2の下側にある外面23c上に固定されている。出力端子T3は、その先端部分が外側(図7における左側)を向くように固定されている。
【0046】
放熱シンク2の上側の外面23a上には、コンデンサ33と、平滑コイル35aとがそれぞれ固定される。なお、コンデンサ33及び平滑コイル35aも、放熱シンク2に対してネジ止めによって固定される。
【0047】
放熱シンク2の外面23d上には、整流素子34(34a,34b)を備えた整流回路34が固定される。整流素子34等は、専用の基板34c上に実装されている。整流素子34が実装された基板34cは、ネジ止めによって放熱シンク2の外面23d上に固定される。
【0048】
また、放熱シンク2の外面23d上には、出力端子T4が固定されている。出力端子T4は、その先端部分が外側を向くように固定されている。この出力端子T4も、ネジ7によって放熱シンク2の外面23d上に固定されている。
【0049】
このように、放熱シンク2の各外面23上に、各発熱部品が分けられて固定されている。つまり各発熱部品は、冷媒流通路22を囲むように配されている。このように発熱部品を配置することよって、放熱シンク2対して熱が加えられる個所が、偏らないようにされている。放熱シンク2の各外面23上には、均等に発熱部品が配置されることが好ましい。
【0050】
DC−DCコンバータ3の各構成部品と、放熱シンク2との間には、必要に応じて、放熱性に優れる絶縁シートが介在される。なお、本明細書において、放熱シンク2(壁部21)の外面23上に発熱部品が固定される方法としては、発熱部品が放熱シンク2(壁部21)の外面23に対して直接固定される場合のみならず、上記のように絶縁シートを介在させて固定される場合も含まれる。更に、上述したように、発熱部品が、張出部27,28等を利用して外面23との間に間隔を置いて固定される場合も含まれる。
【0051】
なお、図7等に示されるように、入力端子T1,T2及び出力端子T3,T4は、それぞれ下カバー部42の周壁部42b上に載って支えられているものの、その他の放熱シンク2に固定されている各構成部品は、ハウジング4に対して極力、接触しないように設定されている。
【0052】
放熱シンク2の各外面23上に固定された各構成部品同士は、適宜、配線等を利用して電気的に接続されている。
【0053】
(作用・効果等)
以下、本実施形態の冷却装置1の作用・効果等を説明する。冷却装置1が備える筒状(角筒状)の放熱シンク2は、その外面23を、全てDC−DCコンバータ3の各構成部品(発熱部品)の搭載スペースとして利用することができる。具体的には、4つの外面23(23a,23b,23c,23d)が、それぞれ前記搭載スペースとして利用できる。そのため、本実施形態の放熱シンク2は、従来と比べて、外面23を、発熱部品の搭載スペースとして有効利用できる。そして、発熱部品を高密度で放熱シンク2に取り付けることができる。
【0054】
また、放熱シンク2の内側には、前後方向(長手方向)に貫通した孔状の冷媒流通路22が形成されている。図1等に示されるように、放熱シンク2の前端面24a及び後端面24bはハウジング4からそれぞれ露出されている。
【0055】
本実施形態の冷却装置1は、例えば、一方向に冷気が通過(移動)するように設定されている箱状の冷却室(不図示)内で利用される。この冷却室は、外部から内部(室内)に冷媒(冷気)が供給されると共に、内部(室内)から外部に冷媒が排出されるように、設定されている。このような冷却室に、冷却装置1を設置すると、冷媒流通路22中を一方向に冷媒(冷気)が通過させることができる。本実施形態の場合、前端面24a側から後端面24b側に向かって、冷媒流通路22内を冷媒が通過するように設定される。なお、冷媒の流通方向は、冷却装置1の配置方向を変えることによって、適宜、変更できる。
【0056】
このような冷却装置1において、DC−DCコンバータ3が作動すると、発熱部品である各構成部品から熱が発生する。すると、各構成部品から発生した熱は、概ね外面23側から内面25側に向かうように、放熱シンク2の壁部21内を移動する。そして、この熱は、更に壁部21の内面(放熱フィン26の表面を含む)25側から放出されて冷媒流通路22内の冷媒に移動する。すると、熱を受けて温められた冷媒は、冷媒流通路22内を進んで、後端面24b側の冷媒流通路22の開口端部から外部(冷却室)に排出される。このようにして、発熱部品が放熱シンク2によって冷却される。
【0057】
本実施形態の放熱シンク2は、発熱部品から加えられた熱を放出する面(以下、放熱面)が筒状に1つに纏められている。そして、1つに纏められた筒状の放熱面によって、冷媒流通路22が形成されている。そのため、本実施形態の放熱シンク2では、冷媒流通路22に冷媒を通過させることによって、放熱面(壁部21の内面(放熱フィン26の表面も含む))に対する冷媒の接触を効率的に行うことができる。つまり、本実施形態の放熱シンク2は、冷却性(冷却効率)が高い。以上より、本実施形態の冷却装置1は、放熱シンク2上の各発熱部品を効率良く冷却することができる。
【0058】
<実施形態2>
次いで、図8ないし図10を参照しつつ、本発明の実施形態2について説明する。図8は、実施形態2に係る冷却装置1Aの斜視図であり、図9は、冷却装置1Aの分解斜視図であり、図10は、冷却装置10の背面図である。図8等に示されるように、本実施形態2の冷却装置1Aは、概ね、上述した実施形態1の冷却装置1に、空冷ファン(ファン装置)8を取り付けた構成となっている。したがって、本実施形態では、主として、空冷ファン8について説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0059】
図8に示されるように、冷却装置1Aの前方に、空冷ファン8が取り付けられている。この空冷ファン8は、冷媒流通路22の一端から他端に向かって冷媒が流通させる冷媒流通装置の一種である。本実施形態の空冷ファン8は、放熱シンク2の冷媒流通路22内に、冷媒としての空気(風)を強制的に送り込むために利用される。この空冷ファン8は、放熱シンク2の前端面24a側から後端面24b側に向かって、冷媒流通路22内に風を送り込む。なお、空冷ファン8は、放熱シンク2の前端面24a上に取り付けられる。
【0060】
空冷ファン8は、複数の羽板を備えたファン部81と、このファン部81を回転させるモータを備えた本体部84と、ファン部81及び本体部84を収容するケース82と、このケース82に設けられているネジ孔84と、ネジ83とを備えている。なお、放熱シンク2の前端面24aには、内側にネジ溝を備えた筒状の取付部29が設けられている。空冷ファン8は、ネジ孔84及び取付部29と共に、ネジ83を利用して、放熱シンク2の前端面24aに取り付けられる。この空冷ファン8は、外部から供給される電力によって作動する。
【0061】
本実施形態の冷却装置1Aは、放熱シンク2の前端面24a上に空冷ファン8が設けられることによって、ハウジング4の形状が一部、実施形態1のものと比べて改良されている。具体的には、ハウジング4の上カバー部41に、切り欠き部41cを縁取るようなフランジ部41eが設けられている。また、下カバー部42に、切り欠き部42cを縁取るようなフランジ部42gが設けられている。これらのフランジ部41e,42gによって、空冷ファン8のケース82の壁面が囲まれている。
【0062】
本実施形態の冷却装置1Aは、空冷ファン8によって空気が強制的に冷媒流通路22内に送り込まれるため、冷媒流通路22内の冷媒を効率よく入れ替えることができる。したがって、本実施形態の冷却装置1Aは、実施形態1と比べて、更に冷却性(冷却効率)が高くなっている。
【0063】
なお、本実施形態の冷却装置1Aでは、放熱シンク2が筒状であると共に、その端面(前端面24a又は後端面24b)が平坦になっている。そのため、この端面24aを空冷ファン8の搭載スペースとして利用することができる。したがって、本実施形態の冷却措置1Aは、空冷ファン8を備えていても、小型化が可能な構成となっている。
【0064】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1等では、放熱シンク2として角筒状のものが利用されていたが、他の実施形態においては、外面上に発熱部品を固定できるものであれば、他の形状(筒状)の放熱シンク2を利用してもよい。例えば、円筒状、断面形状が三角状の三角筒状、断面が五角形状の五角筒状、断面が六角形状の六角筒状等が挙げられる。
【0065】
(2)上記実施形態1等では、放熱シンク2の冷媒流通路22が水平方向に配されていたが、冷媒流通路22の配置方向は、特に限定されるものではない。例えば、冷媒流通路22の配置方向を水平方向から傾けて設定してもよいし、垂直に設定してもよい。なお、放熱シンク2の冷媒流通路22の配置方向を、垂直に設定した場合、所謂、煙突効果を利用して、冷媒流通路22内の冷媒(空気)を外部へ排出させるようにしてもよい。
【0066】
(3)上記実施形態1等では、冷却装置1は、DC−DCコンバータ3を放熱シンク2で冷却していたが、他の実施形態においては、DC−DCコンバータ3以外の装置を冷却対象としてもよい。例えば、車両駆動用モータのインバータ、補機駆動用のインバータ、エアコン用のインバータ等の装置を、放熱シンク2で冷却してもよい。
【0067】
(4)上記実施形態1等では、冷媒として空気を利用していたが、他の実施形態においては、例えば、水等の液体を冷媒として使用してもよい。
【0068】
(5)上記実施形態2では、空冷ファン8は、前端面24a側から後端面24b側に向かって空気が送り込まれるように(送風するように)設定されていた。他の実施形態においては、反対に後端面24b側から前端面24a側に向かって空気が流れるように、空冷ファンによって、冷媒を冷媒流通路22内から吸い出してもよい(排出してもよい)。また、空冷ファン8の取付個所を、前端面24aから、後端面24bに変えて、冷媒流通路22内の冷媒の流通方向を、実施形態2の場合と比べて、逆向きに設定してもよい。
【0069】
(6)上記実施形態1等では、発熱部品が放熱シンク2に対して、ネジ止めによって固定されていた。他の実施形態においては、これ以外の方法で発熱部品が放熱シンク2に固定されてもよい。
【0070】
(7)上記実施形態1等では、放熱シンク2が一本の冷媒流通路22を備えた筒状をなしていたが、他の実施形態においては、冷媒流通路22が途中で分岐するような形状であってもよい。つまり、二股以上に分岐した筒状の放熱シンクであってもよい。
【0071】
(8)上記実施形態1の冷却装置等は、車両のトランクルームやその他の個所に適宜、設置される。
【符号の説明】
【0072】
1,1A…冷却装置、2…放熱シンク、21…壁部、22…冷媒流通路、23…壁部(放熱シンク)の外面、24(24a,24b)…端面、25…壁部(放熱シンク)の内面、26…放熱フィン、27,28…張出部、29…取付部、3…DC−DCコンバータ、30…制御回路、31…高圧回路、31a…コンデンサ、32…スイッチング回路、S…スイッチング素子(FET)、33…トランス、34…整流回路、34a,34b…整流素子、35…平滑回路、35a…平滑コイル、35b…コンデンサ、4…ハウジング、41…上カバー部、42…下カバー部、5…ネジ孔(各構成部品側)、6…ネジ孔(放熱シンク側)、7…ネジ、8…空冷ファン(ファン装置)、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端に向かって貫通した孔からなり冷媒を流通させる冷媒流通路と、この冷媒流通路を取り囲むと共に熱伝導性を有する筒状の壁部と、を有する放熱シンクと、
前記壁部の外面上に固定される発熱部品と、を備える冷却装置。
【請求項2】
前記冷媒流通路の一端から他端に向かって冷媒が流通するように前記壁部の端面に設けられる冷媒流通装置を備える請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒流通装置が、ファン装置からなる請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記壁部は、その内面上に突出した放熱フィンを有する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記壁部は、角筒状である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記発熱部品が前記冷媒流通路を囲むように、前記壁部の外面上に配されている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−62306(P2013−62306A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198437(P2011−198437)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】