説明

冷却貯蔵庫

【課題】簡単な構造で以て庫内への冷気の循環供給を担保する。
【解決手段】冷蔵室11内には、壁面にねじ止めされた棚柱40に装着された棚受金45で受けられた形態により棚網30が複数段に亘って配設される一方、天井部には冷却器26と庫内ファン27とを備えた冷却器室22が設けられ、冷却器室22の手前側に設けられた吸込口23から吸い込まれた庫内空気が冷却器26を通過する間に生成された冷気が、奥側に設けられた吹出口24から奥壁11Bに沿って吹き出されるように循環流通することで、棚網30に載せられた被冷却物が冷却される。奥壁11Bの上部位置には、被冷却物Xを当てて吹出口24を塞ぐことを規制し、かつ吹出口24から吹き出された冷気の上下方向の流通路を確保するダクト50が、棚柱40Aを固定するねじ42で共締めされて取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内に冷気を循環供給して冷却する形式の冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却貯蔵庫の一例として、下記特許文献1に記載されたものが知れられている。このものは、断熱扉を前面開口部に開閉可能に装着した断熱性の冷蔵庫本体内に、庫内の側面にねじ止めされて取り付けられた棚柱に装着された棚受金で受けられた形態により棚網が複数段に亘って配設される一方、冷蔵庫本体の天井部に冷却器と庫内ファンとを備えた冷却器室が設けられて、同冷却器室の奥側に吹出口が、手前側に吸込口が設けられた構造になり、吸込口から吸い込まれた庫内空気が冷却器を通過する間に生成された冷気が、吹出口から庫内の奥面に沿うように吹き出されて庫内に循環供給されることで、棚網に載せられた被冷却物が冷却保存されるようになっている。
ここでこの種の冷却貯蔵庫において、特に最上段の棚網上に載せた被冷却物を奥まで詰め込むと、同被冷却物で冷気の吹出口が塞がれるために冷気の循環供給が阻害され、被冷却物を冷却することに支障が出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため従来、冷却器室の外底面における正面から目視できる位置に、被冷却物の詰め込みを注意する注意シールを貼ったり、棚網の奥縁にストッパを設ける手段が講じられているが、前者の場合は使用者に気遣いを強いることになり、後者の場合は、例えば被冷却物が上下二段に積まれるような場合には、下側の被冷却物の押し込みは規制できる一方で、上側の被冷却物は押し込みが許容されてしまって相変わらず吹出口を塞ぐおそれがあり、新たな対策が切望されていた。 本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、簡単な構造で以て庫内への冷気の循環供給を担保できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、断熱扉を前面開口部に開閉可能に装着した断熱性の貯蔵庫本体内には、庫内の側面にねじ止めされて取り付けられた棚柱に装着された棚受金で受けられた形態により棚網が複数段に亘って配設される一方、前記貯蔵庫本体の天井部には冷却器と庫内ファンとを備えた冷却器室が設けられて、同冷却器室の両端部には通気口が設けられ、前記冷却器で熱交換されて生成された冷気が一方の前記通気口から前記庫内の一側面に沿うように吹き出されたのち他方の前記通気口から吸い込まれ、または前記他方の通気口から庫内に吹き出された冷気が、前記庫内の一側面に沿うように立ち上って前記一方の通気口から吸い込まれるように循環供給されることにより、前記棚網に載せられた被冷却物が冷却される冷却貯蔵庫において、前記庫内の一側面の上部位置には、前記被冷却物を当てて同被冷却物が前記一方の通気口を塞ぐことを規制し、かつ前記一方の通気口から吹き出された冷気または前記一方の通気口に吸い込まれる庫内空気の上下方向の流通路を確保するダクトが、前記棚柱を固定するねじで共締めされることにより取り付けられている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
最上段の棚網に載せられた被冷却物が庫内の一側面に向けて押し込まれた場合に、ダクトに当たって押し込みが規制されて一方の通気口が塞がれることが回避され、同一方の通気口から吹き出された冷気がダクト内を流通し、または庫内空気がダクト内を通って一方の通気口から吸い込まれつつ、冷気が庫内に循環流通される。被冷却物の収容形態にさほど気を遣わなくても冷気のスムーズな循環流通が担保でき、良好に冷却することができる。
ダクトは棚柱を固定するねじで共締めして固定するようにしたから、別途をねじ孔を設ける必要が無く、既設のものに簡単に追加して取り付けることができる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記ダクトは、前記庫内の一側面に間隔を開けて設けられた一対の前記棚柱に亘って取り付けられている。ダクトを一対の棚柱に亘って安定して取り付けることができる。
(2)前記ダクトは、前記被冷却物を当てる正面板の左右両側縁に側板が奥側に向けて曲げ形成され、かつ両側板の奥縁に、前記各棚柱に当てられる取付板が互いに向き合うように曲げ形成された形状になり、前記各取付板には、前記棚柱に設けられたねじの挿通孔と整合する取付孔が形成されているとともに、前記正面板における前記取付孔の直前に対応する位置には、前記ねじのねじ込み操作を行う工具を挿通可能な操作用孔が開口されている。
ダクトを取り付ける場合は、取付孔を挿通孔に整合させつつ両取付板を対応する棚柱に重ね、挿通孔と取付孔に通したねじを正面板の操作用孔に通したドライバ等の工具でねじ込むことで固定される。ダクト自体が、一枚の金属板を曲げ加工と孔開け加工するだけで形成できるから、安価に対応することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構造で以て庫内への冷気の循環供給を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷蔵庫の縦断面図
【図2】ダクトを取り付ける前の冷蔵室の奥壁上部を示す部分正面図
【図3】ダクトを取り付けた後の冷蔵室の奥壁上部を示す部分正面図
【図4】ダクトの斜視図
【図5】実施形態2に係るダクトの分解斜視図
【図6】その組み付け後の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態では業務用の縦型冷蔵庫を例示している。冷蔵庫は、図1に示すように、前面開口のやや縦長の断熱箱体からなる冷蔵庫本体10を有し、内部が冷蔵室11とされて、底面の四隅に設けられた脚12で支持されている。冷蔵室11の前面開口部11Aには十字形に組まれた断熱性の前面枠13が装着され、合計4個の出入口14が形成されており、それらの出入口14には、観音開き式の断熱扉15が上下二段に亘って装着されている。
冷蔵庫本体10の上面には機械室16が設けられ、同機械室16内には、圧縮機18、空冷式の凝縮器19等からなる冷凍装置17等が装備されている。
【0011】
冷蔵室11の天井部の奥側寄りの位置で、かつ幅方向の中央部には、ドレンパンを兼ねたダクトパネル21が張られることで冷却器室22が区画形成されており、その底面の幅方向の中央部における手前側の位置には吸込口23が、奥側には吹出口24がそれぞれ形成されている。冷却器室22内には冷却器26が収容され、上記の機械室16内に装備された冷凍装置17と冷媒配管で接続されて冷凍サイクルが構成されているとともに、吸込口23に臨んで庫内ファン27が装着されている。
そして、冷凍装置17を運転しつつ庫内ファン27を駆動すると、詳しくは後記するように、冷蔵室11の庫内空気が吸込口23から冷却器室22内に吸引され、その空気が冷却器26を流通する間に熱交換によって冷気が生成され、その冷気が吹出口24から冷蔵室11の奥壁11Bに沿うようにして吹き出され、冷蔵室11内に冷気が循環供給されるようになっている。
【0012】
冷蔵室11内には、被冷却物を載せる棚網30が、左右に二枚並んだ形態で複数段に亘って装着されるようになっている。棚網30は例えば、図3にも示すように、方形に組まれた本体枠31内に、受け棒32が格子状に配された構造であり、奥縁側にはストッパ部33が立ち上がり形成されている。
棚網30を冷蔵室11内に装着する手段として、冷蔵室11の左右に分けられた各領域において、4本ずつの棚柱40が立てられている。詳細には、左右の各領域について、奥壁11Bの左右両端部と、左または右側壁11Cにおける前面開口部11Aに寄った位置と、前面枠13の縦枠の裏面における左端部または右端部である。なお、前面枠13に設けられた棚柱については図示が省略されている。
【0013】
棚柱40は扁平な略チャンネル状に形成されており、同棚柱40には、棚受金45を装着するための装着孔41が一定ピッチで列設されている。棚柱40には、複数個の皿ねじ等のねじ42の挿通孔43が所定の間隔を開けて形成されている(図2参照)。この挿通孔43は、ねじ42の頭部が収容可能なように、表面側に向けて拡径されたテーパ状となっている。各棚柱40は、対応する壁面の所定箇所に縦向きの姿勢で当てられ、挿通孔43にねじ42を通し、壁面側に対応して設けられたねじ孔(図示せず)に螺合して締め付けることによって固定されるようになっている。
一方、棚受金45は、水平な載置板46の先端から支え板47が斜め下方に折り返された形状であり、かつ載置板46には掛止片48が垂直に切り起こし形成されている。棚受金45は、載置板46と支え板47とにそれぞれ設けられた取付爪(図示せず)を、棚柱40に列設された装着孔41の上下2個に亘って嵌めることで装着されるようになっている。
棚網30は、4箇所の棚柱40における同一高さに装着された棚受金45に対し、本体枠31の四隅付近の所定位置が掛止片48に掛止されつつ載せられることで、ずれ止めされて装着されるようになっている。この実施形態では、左右2枚並んだ棚網30が、4段に亘って適宜間隔を開けて装着され、各棚網30に被冷却物が載置されるようになっている。
【0014】
さて、この実施形態では、冷蔵室11の奥壁11Bにおける吹出口24の直下位置に、ダクト50が装着されるようになっている。
このダクト50は、ステンレス鋼板等の金属板をプレス加工することによって形成されており、図4に示すように、正面略正方形をなす正面板51の左右両側縁から、側板52が奥側に直角曲げされ、さらに両側板52の奥縁から、取付板53が互いに突き合う向きに直角曲げされている。正面板51には、横長のスリット状をなす通孔55が、例えば左右2列縦5段にわたって開口されている。正面板51の上下両縁部と、左右の側板52の各上下両縁部には、裏側に二重に折り重ねられた補強部56が形成されている。
【0015】
ダクト50は、奥壁11Bの中央部に配された2本の棚柱40の上端部を跨ぐようにして取り付けられるようになっている。以下、上記の2本の棚柱40をダクト取付用の棚柱40Aとして区別して称する場合がある。ダクト50は、2本のダクト取付用の棚柱40Aの間隔よりも所定寸法大きい横幅を有しているとともに、同横幅とほぼ同寸法の高さを有しており、また各棚柱40の幅と同程度の奥行寸法を有している。
ダクト50はまた、上記したように吹出口24の直下位置から最上段の棚網30の少し上方位置に亘って装着されるようになっており、両取付板53は、各棚柱40Aの裏側に揃って重ねることができるような屈曲長さを有している。
【0016】
ダクト50の両取付板53の下端部には、両取付板53が対応する棚柱40Aの裏側に揃って重ねられた場合に、各棚柱40Aに開口されたねじ42の挿通孔43と整合する取付孔58が開口されている。また、正面板51の左右下側の隅部における上記した取付孔58と同軸上には、ねじ42のねじ込み操作を行うためのドライバ(図示せず)を挿通可能な操作用孔59が開口されている。
【0017】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
工場出荷時からダクト50を装着する場合は、棚柱40を所定の壁面に当てたのち挿通孔43にねじ42を通して締め付けることで固定する際、奥壁11Bにおける中央部の2本の棚柱40Aについては、図2に示すように、両棚柱40Aの上端部に亘ってダクト50を跨ぐように嵌めた状態で奥壁11Bの所定位置に当て、併せてダクト50の両取付板53を、取付孔58が挿通孔43と整合するように位置合わせして各棚柱40Aの裏側に重ねる。
【0018】
両棚柱40Aについて、一番上を除いた各挿通孔43には、そのままねじ42を通して締め付ける。ダクト50の取付箇所については、ねじ42をダクト50の正面板51に開口された操作用孔59を通し、さらに棚柱40Aの一番上の挿通孔43から取付板53の取付孔58に通して奥壁11Bに設けられたねじ孔に螺合し、同じく操作用孔59から挿入したドライバで同ねじ42をねじ孔にねじ込むことによって、ダクト50の両取付板53並びに両棚柱40Aの上端部が奥壁11Bに対して固定されることになる。このとき、ダクト50の上端は、冷却器室22の底面における奥側に設けられた吹出口24の直下に位置するようになる。
【0019】
一方、棚網30は、図1に示すように、左右に2枚並んだ形態で4段に亘って適宜間隔を開けて装着され、例えば最上段の棚網30が、ダクト50の下端の少し下方に来る位置に装着される。これにより言い換えると、ダクト50は、奥壁11Bの上端部において、吹出口24の直下位置から最上段の棚網30の少し上方位置に亘って装着された形態となる。そしてダクト50の内側に、吹出口24から吹き出された冷気を流通させる上下方向の流通路が確保される。
【0020】
冷蔵庫の稼働時は、棚網30に被冷却物を載せてこれを冷蔵するのであるが、例えば、最上段の棚網30に載せられた被冷却物、特に上側に載せられた被冷却物Xが、棚網30の奥縁のストッパ部33に当たることなく奥壁11Bに向けて押し込まれた場合にも、図1に示すように、同被冷却物Xがダクト50の正面板51に当たることによって押し込みが規制され、吹出口24が塞がれることが回避される。
【0021】
したがって、冷凍装置17(圧縮機18)と庫内ファン27とが駆動される冷却運転が実行されると、図1の矢線に示すように、冷却器26で熱交換されて生成された冷気は、吹出口24から吹き出されて引き続きダクト50内を流下しつつ奥壁11Bに沿うように流れ、そののち冷蔵室11内を前面側に吹き抜けつつ吸込口23から吸い込まれるといった循環流が生じ、これにより被冷却物が冷却保存される。なお、ダクト50の正面板51の通孔55が開放されている場合は、同通孔55から冷気の一部が吹き出される。
【0022】
また、当該冷蔵庫が客先において使用されている途中で、ダクト50をいわゆる後付けにより取り付ける場合は、以下のようにして行う。まず棚網30を外したのち、奥壁11Bの中央部の2本の棚柱40Aをねじ42を緩めて一旦外す。そして、両棚柱40Aの上端部に亘ってダクト50を跨ぐように嵌めた状態で奥壁11Bの所定位置に当て、外したねじ42を用いて、上記したと同様の手順によって、両棚柱40Aとダクト50とが奥壁11Bの所定位置に対して固定される。
【0023】
しかるのち棚網30を再度装着すると、図1に示すように、ダクト50は、奥壁11Bの上端部において、吹出口24の直下位置から最上段の棚網30の少し上方位置に亘って装着された形態となる。その後の冷却運転時の作用については、上記に説明したと同様である。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、最上段の棚網30に載せられた被冷却物Xが冷蔵室11の奥壁11Bに向けて押し込まれた場合に、ダクト50に当たって押し込みが規制されることで冷気の吹出口24が塞がれることが回避され、同吹出口24から吹き出された冷気がダクト50内を流通しつつ冷蔵室11内に循環流通される。被冷却物の収容形態にさほど気を遣わなくても冷気のスムーズな循環流通が担保でき、良好に冷却することができる。
【0025】
ダクト50を取り付ける場合は、取付孔58を挿通孔43に整合させつつ両取付板53を対応する棚柱40Aの裏側に重ね、挿通孔43と取付孔58に通したねじ42を奥壁11Bのねじ孔に螺合して正面板51の操作用孔59に通したドライバでねじ込むことで固定される。ダクト50は棚柱40Aを固定するねじ42で共締めして固定するようにしたから、別途をねじ孔を設ける必要が無く、既設のものに簡単に追加して取り付けることができる。ダクト50は、2本の棚柱40Aに亘って固定されているから、安定して取り付けることができる。
また、ダクト50自体は、一枚の金属板を曲げ加工と孔開け加工するだけで形成できるから、安価に対応することができる。
【0026】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5及び図6によって説明する。実施形態2では、ダクトの形状に変更が加えられている。
実施形態2のダクト60は、共に金属板を扁平なチャンネル形に曲げ形成した正面板61と背面板62とからなり、それぞれの側板61A,62Aを重ねてスポット溶接等で固定することにより、全体としては、上下方向に貫通した扁平な角筒形に形成されている。
【0027】
ダクト60の正面板61における上側の2/3程度の領域には、横長のスリット状をなす通孔63が、例えば左右4列縦4段にわたって開口されている。背面板62の下端縁の中央部には、奥壁11Bの中央部に配されたダクト取付用の2本の棚柱40Aに設けられた各挿通孔43の間隔と等しい間隔を開けて、2個の取付孔65が開口されているとともに、正面板61の下端縁における上記した両取付孔65と同軸上には、ねじ42のねじ込み操作を行うためのドライバを挿通可能な2個の操作用孔66が開口されている。
【0028】
ダクト60は、ダクト取付用の両棚柱40の上端部に嵌められて、背面板62が両棚柱40Aの上端部の裏側に重ねられた状態で奥壁11Bに当てられ、両取付孔65が棚柱40Aの挿通孔43に合わせられる。取り付けに当たっては、上記したと同様に、ねじ42を挿通孔43と取付孔65に通して奥壁11Bに設けられたねじ孔に螺合し、操作用孔66から挿入したドライバで同ねじ42をねじ孔にねじ込むことによって、ダクト60の背面板62並びに両棚柱40Aの上端部が奥壁11Bに対して固定される。同様にダクト60は、奥壁11Bの上端部において、吹出口24の直下位置から最上段の棚網30の少し上方位置に亘って装着することができる。
【0029】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)ダクトの幅は、例えば吹出口の幅等の条件に応じて任意に設定することができる。
(2)実施形態1のダクトにおいて、吹出口の幅や、ダクト取付用の一対の棚柱の間隔等の条件によっては、両取付板が外側に向けて直角曲げされて形成されていてもよい。その場合は、正面板に対してドライバを挿通する操作用孔を開口することは不要にできる。
【0030】
(3)冷気の循環方向としては、上記実施形態とは逆に、断熱扉の裏面に沿うように吹き出されて後方に吹き抜けたのち庫内の奥壁に沿って立ち上るように循環供給されるものであってもよい。その場合は、ダクトの上方に庫内空気の吸込口が位置することになるが、同ダクトを設けることで吸込口が被冷却物で塞がれることが回避され、ひいては冷気のスムーズな循環流通が担保される。
(4)また、冷気が冷蔵室を横切る方向(左右方向)に循環流通する形式のものにも、同様に適用することができる。
(5)本発明は、上記実施形態に例示した冷蔵庫に限らず、冷凍庫、冷蔵冷凍庫、冷蔵ショーケース等、要は貯蔵庫本体の天井部に冷却器と庫内ファンとを備えた冷却器室が設けられて、同冷却器室から冷気が庫内に循環供給される形式の冷却貯蔵庫全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10…冷蔵庫本体(貯蔵庫本体) 11…冷蔵室 11A…前面開口部 11B…奥壁 11C…側壁 15…断熱扉 22…冷却器室 23…吸込口(通気口) 24…吹出口(通気口) 26…冷却器 27…庫内ファン 30…棚網 40…棚柱 42…ねじ 43…挿通孔 45…棚受金 50…ダクト 51…正面板 52…側板 53…取付板 58…取付孔 59…操作用孔 60…ダクト X…被冷却物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱扉を前面開口部に開閉可能に装着した断熱性の貯蔵庫本体内には、庫内の側面にねじ止めされて取り付けられた棚柱に装着された棚受金で受けられた形態により棚網が複数段に亘って配設される一方、前記貯蔵庫本体の天井部には冷却器と庫内ファンとを備えた冷却器室が設けられて、同冷却器室の両端部には通気口が設けられ、
前記冷却器で熱交換されて生成された冷気が一方の前記通気口から前記庫内の一側面に沿うように吹き出されたのち他方の前記通気口から吸い込まれ、または前記他方の通気口から庫内に吹き出された冷気が、前記庫内の一側面に沿うように立ち上って前記一方の通気口から吸い込まれるように循環供給されることにより、前記棚網に載せられた被冷却物が冷却される冷却貯蔵庫において、
前記庫内の一側面の上部位置には、前記被冷却物を当てて同被冷却物が前記一方の通気口を塞ぐことを規制し、かつ前記一方の通気口から吹き出された冷気または前記一方の通気口に吸い込まれる庫内空気の上下方向の流通路を確保するダクトが、前記棚柱を固定するねじで共締めされることにより取り付けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記ダクトは、前記庫内の一側面に間隔を開けて設けられた一対の前記棚柱に亘って取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記ダクトは、前記被冷却物を当てる正面板の左右両側縁に側板が奥側に向けて曲げ形成され、かつ両側板の奥縁に、前記各棚柱に当てられる取付板が互いに向き合うように曲げ形成された形状になり、前記各取付板には、前記棚柱に設けられたねじの挿通孔と整合する取付孔が形成されているとともに、前記正面板における前記取付孔の直前に対応する位置には、前記ねじのねじ込み操作を行う工具を挿通可能な操作用孔が開口されていることを特徴とする請求項2記載の冷却貯蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−225526(P2012−225526A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90916(P2011−90916)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)