説明

冷媒蒸発器

【課題】一対の蒸発部における一方のタンク部同士を連結する冷媒入替部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成において、冷媒の分配性の悪化を抑制する。
【解決手段】冷媒蒸発器1は、第2風下側タンク部23の内部に形成された第1冷媒集合部23aと第2風上側タンク部13の内部に形成された第2冷媒分配部13bとを連結すると共に、第2風下側タンク部23の内部に形成された第2冷媒集合部23bと第2風上側タンク部13の内部に形成された第1冷媒分配部13aとを連結して、冷媒の流れ方向を各熱交換コア部11、21のコア幅方向で入れ替える冷媒入替部30を有する。そして、冷媒入替部30の流出口を構成する一対の分配部連結部材32a、32bは、チューブ積層方向に延びる開口幅が、各連通部の冷媒の流入口を構成する一対の集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被冷却流体から吸熱して冷媒を蒸発させることで、被冷却流体を冷却する冷媒蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒蒸発器は、外部を流れる被冷却流体(例えば、空気)から吸熱して、内部を流れる冷媒(液相冷媒)を蒸発させることで、被冷却流体を冷却する冷却用熱交換器として機能する。
【0003】
この種の冷媒蒸発器としては、複数のチューブを積層して構成される熱交換コア部、および複数のチューブの両端部に接続された一対のタンク部を備える第1、第2蒸発部を被冷却流体の流れ方向に直列に配置し、各蒸発部における一方のタンク部同士を一対の連通部を介して連結する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1の冷媒蒸発器では、第1蒸発部の熱交換コア部を流れた冷媒を、各蒸発部の一方のタンク部および当該タンク部同士を連結する一対の連通部を介して第2蒸発部の熱交換コア部に流す際に、冷媒の流れを熱交換コア部の幅方向(左右方向)で入れ替える構成としている。つまり、冷媒蒸発器は、一対の連通部のうち、一方の連通部によって、第1蒸発部の熱交換コア部の幅方向一側を流れる冷媒を第2蒸発部の熱交換コア部の幅方向他側に流すと共に、他方の連通部によって第1蒸発部の熱交換コア部の幅方向他側を流れる冷媒を第2蒸発部の熱交換コア部の幅方向一側に流すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4124136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の冷媒蒸発器の如く、各蒸発部の一方タンク部同士を連結する一対の連通部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成とすると、第1蒸発部の熱交換コア部からの冷媒が第2蒸発部の熱交換コア部に流れる際に、液相冷媒が第2蒸発部の熱交換コア部の一部に偏って分配されることがある。
【0007】
具体的には、第1蒸発部の熱交換コア部から第2蒸発部の熱交換コア部に流れる液相冷媒は、第2蒸発部の熱交換コア部を構成するチューブ群のうち、第2蒸発部の一方のタンク部における各連通部との接続箇所(連通部における冷媒の流出口)の近くに位置するチューブに流れ易い傾向があり、前記接続箇所から遠く離れたチューブに液相冷媒を充分に流すことができない。
【0008】
このように、冷媒蒸発器における液相冷媒の分配性が悪化すると、第2蒸発部の熱交換コア部において、被冷却流体と冷媒との熱交換が有効に行われない領域が生じ、冷媒蒸発器の冷却性能が低下するといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記点に鑑みて、冷媒の分配性の悪化を抑制可能な冷媒蒸発器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、外部を流れる被冷却流体と冷媒との間で熱交換を行う冷媒蒸発器であって、被冷却流体の流れ方向に対して直列に配置された第1蒸発部(20)、および第2蒸発部(10)を備えている。第1蒸発部(20)および第2蒸発部(10)それぞれは、冷媒が流れる複数のチューブ(111、211)を積層して構成された熱交換コア部(11、21)と、複数のチューブ(111、211)の両端部に接続され、複数のチューブ(111、211)を流れる冷媒の集合あるいは分配を行う一対のタンク部(12、13、22、23)と、を有している。第1蒸発部(20)における熱交換コア部(21)は、複数のチューブ(211)のうち、一部のチューブ群で構成される第1コア部(21a)、および残部のチューブ群で構成される第2コア部(21b)を有し、第2蒸発部(10)における熱交換コア部(11)は、複数のチューブ(111)のうち、被冷却流体の流れ方向において第1コア部(21a)の少なくとも一部と対向するチューブ群で構成される第3コア部(11a)、および被冷却流体の流れ方向において第2コア部(21b)の少なくとも一部と対向するチューブ群で構成される第4コア部(11b)を有している。第1蒸発部(20)における一対のタンク部(22、23)のうち、一方のタンク部(23)は、第1コア部(21a)からの冷媒を集合させる第1冷媒集合部(23a)、第2コア部(21b)からの冷媒を集合させる第2冷媒集合部(23b)を含んで構成され、第2蒸発部(10)における一対のタンク部(12、13)のうち、一方のタンク部(13)は、第3コア部(11a)に冷媒を分配させる第1冷媒分配部(13a)、第4コア部(11b)に冷媒を分配させる第2冷媒分配部(13b)を含んで構成されている。そして、第1蒸発部(20)および第2蒸発部(10)は、第1冷媒集合部(23a)の冷媒を第2冷媒分配部(13b)に導く第1連通部(31a、32b、33a)、および第2冷媒集合部(23b)の冷媒を第1冷媒分配部(13a)に導く第2連通部(31b、32a、33b)を有する冷媒入替部(30)を介して連結されており、第1連通部(31a、32b、33a)および第2連通部(31b、32a、33b)のうち、少なくとも一方の連通部は、冷媒の流出口(32a、32b、333)における複数のチューブ(111、211)の積層方向に延びる開口幅が、冷媒の流入口(31a、31b、332)の開口幅よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
このように、第1蒸発部(20)から第2蒸発部(10)へと冷媒を導く第1連通部(31a、32b、33a)および第2連通部(31b、32a、33b)のうち、少なくとも一方の連通部における冷媒の流出口(32a、32b、333)の開口幅を拡大することで、第2蒸発部(10)の熱交換コア部(11)を構成する各チューブ(111)と、連通部における冷媒の流出口(32a、32b、333)とを近接した配置形態とすることができる。これにより、第2蒸発部(10)において各冷媒分配部(13a、13b)から熱交換コア部(11)への液相冷媒の分配の偏りを抑制することができる。
【0012】
従って、各蒸発部(10、20)の一方のタンク部同士を連結する連通部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成において、冷媒の分配性の悪化を抑制することができ、冷媒蒸発器における被冷却流体の冷却性能の低下を抑制することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の冷媒蒸発器において、前述の少なくとも一方の連通部における冷媒の流出口(32a、32b、333)の開口幅を、第3コア部(11a)および第4コア部(11b)のうち、連結された側のコア部における積層方向のコア幅の半分以上とすることが好ましい。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の冷媒蒸発器において、少なくとも一方の連通部における冷媒の流入口(31a、31b、332)の開口面積は、冷媒の流出口(32a、32b、333)の開口面積よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
これによれば、連通部における冷媒の流入口(31a、31b、332)の開口面積を冷媒の流出口(32a、32b、333)の開口面積よりも小さくすることで、連通部における冷媒の流入口(31a、31b、332)を通過する冷媒の流速を速くすることができる。これにより、連通部における冷媒の流入口(31a、31b、332)側における液相冷媒等の滞留を抑制することができ、第1蒸発部(20)を通過した液相冷媒を第2蒸発部(10)に適切に分配させることができる。
【0016】
ここで、第3コア部(11a)および第4コア部(11b)では、各コア部(11a、11b)を構成する複数のチューブ(111)のうち、積層方向の端部側に位置するチューブへ冷媒が流れ難く、冷媒の分配性が悪化し易い傾向がある。
【0017】
そこで、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器において、第1連通部における冷媒の流出口(32b、333b)は、第4コア部(11b)を構成する複数のチューブ(111)のうち、少なくとも積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口し、第2連通部における冷媒の流出口(32a、333a)は、第3コア部(11a)を構成する複数のチューブ(111)のうち、少なくとも積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口していることを特徴とする。
【0018】
これによれば、各連通部の冷媒の流出口(32a、32b、333)が、第3、第4コア部(11a、11b)を構成する複数のチューブ(111)のうち、少なくとも積層方向一端側に位置するチューブに対向するように開口しているので、第3、第4コア部(11a、11b)の積層方向の端部に位置するチューブへも冷媒が流れ易い構成となる。この結果、冷媒の分配性の悪化を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器において、冷媒入替部(30)は、第1、第2冷媒集合部(23a、23b)に入口側連通穴(332)を介して連通すると共に、第1、第2冷媒分配部(13a、13b)に出口側連通穴(333)を介して連通する中間タンク部(33)を有して構成され、中間タンク部(33)の内部には、第1冷媒集合部(23a)からの冷媒を第2冷媒分配部(13b)へ導く第1冷媒流通路(33a)と、第2冷媒集合部(23b)からの冷媒を第1冷媒分配部(13a)へ導く第2冷媒流通路(33b)と、が形成されており、第1連通部は、第1冷媒流通路(33a)で構成され、第2連通部は、第2冷媒流通路(33b)で構成されていることを特徴とする。
【0020】
このように、冷媒入替部(30)の連通部を、中間タンク部(33)で構成すれば、各蒸発部(10、20)の一方のタンク部同士を連結する連通部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成を具体的かつ容易に実現することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器において、冷媒入替部(30)は、第1、第2冷媒集合部(23a、23b)に連通する一対の集合部連結部材(31a、31b)と、第1、第2冷媒分配部(13a、13b)に連通する一対の分配部連結部材(32a、32b)と、一対の集合部連結部材(31a、31b)および一対の分配部連結部材(32a、32b)それぞれに連結された中間タンク部(33)と、を有して構成され、中間タンク部(33)の内部には、一対の集合部連結部材(31a、31b)のうち、第1冷媒集合部(23a)に連通する第1集合部連結部材(31a)からの冷媒を、一対の分配部連結部材(32a、32b)のうち、第2冷媒分配部(13b)に連通する第2分配部連結部材(32b)へ導く第1冷媒流通路(33a)と、一対の集合部連結部材(31a、31b)のうち、第2冷媒集合部(23b)に連通する第2集合部連結部材(31b)からの冷媒を、一対の分配部連結部材(32a、32b)のうち、第1冷媒分配部(13a)に連通する第1分配部連結部材(32a)へ導く第2冷媒流通路(33b)と、が形成されており、第1連通部は、第1集合部連結部材(31a)、第2分配部連結部材(32b)、および第1冷媒流通路(33a)で構成され、第2連通部は、第2集合部連結部材(31b)、第1分配部連結部材(32a)、および第2冷媒流通路(33b)で構成されていることを特徴とする。
【0022】
このように、冷媒入替部(30)の連通部を、一対の集合部連結部材(31a、31b)、一対の分配部連結部材(32a、32b)、中間タンク部(33)で構成すれば、各蒸発部(10、20)の一方のタンク部同士を連結する連通部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成を具体的かつ容易に実現することができる。
【0023】
ここで、第2蒸発部(10)には、第1蒸発部(20)を通過する際に気化した冷媒(気相冷媒)が流れる過熱度領域が生ずることから、第2蒸発部(10)における被冷却流体の冷却性能は、第1蒸発部(20)における被冷却流体の冷却性能に比べて低くなる傾向がある。なお、過熱度領域では冷媒が被冷却流体から顕熱分を吸熱するだけなので、被冷却流体が充分に冷却されない。
【0024】
そこで、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器において、第2蒸発部(10)は、第1蒸発部(20)よりも被冷却流体の流れ方向の上流側に配置されていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、各蒸発部(10、20)の冷媒蒸発温度と被冷却流体との温度差を確保して、効率的に被冷却流体を冷却することができる。
【0026】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る冷媒蒸発器の模式的な斜視図である。
【図2】図1に示す冷媒蒸発器の分解斜視図である。
【図3】冷媒蒸発器の冷媒入替部を下方側から見たときの図である。
【図4】第1実施形態に係る風上側熱交換コア部の各コア部を構成する複数のチューブと各分配部連結部材との位置関係を説明するための説明図である。
【図5】第1実施形態に係る中間タンク部の詳細を説明するための説明図である。
【図6】第1実施形態に係る冷媒蒸発器における冷媒の流れを説明するための説明図である。
【図7】比較例に係る冷媒蒸発器の各熱交換コア部を流れる液相冷媒の分布を説明するための説明図である。
【図8】第1実施形態に係る冷媒蒸発器の各熱交換コア部を流れる液相冷媒の分布を説明するための説明図である。
【図9】比較例に係る中間タンク部を流れる冷媒を説明するための説明図である。
【図10】第1実施形態に係る中間タンク部を流れる冷媒を説明するための説明図である。
【図11】第2実施形態に係る冷媒蒸発器の冷媒入替部の構成を説明するための説明図である。
【図12】第3実施形態に係る中間タンクの分解斜視図である。
【図13】第4実施形態に係る各タンク部を説明するための説明図である。
【図14】第4実施形態に係る冷媒入替部の詳細を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0029】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図10を用いて説明する。本実施形態に係る冷媒蒸発器1は、車室内の温度を調整する車両用空調装置の蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用され、車室内へ送風する送風空気から吸熱して冷媒(液相冷媒)を蒸発させることで、送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。なお、本実施形態では、送風空気が特許請求の範囲における「外部を流れる被冷却流体」に相当する。
【0030】
冷凍サイクルは、周知の如く、冷媒蒸発器1以外に、図示しない圧縮機、放熱器(凝縮器)、膨張弁等を備えおり、本実施形態では、放熱器と膨張弁との間に受液器を配置するレシーバサイクルとして構成されている。
【0031】
図1は、本実施形態に係る冷媒蒸発器1の模式的な斜視図であり、図2は、図1に示す冷媒蒸発器1の分解斜視図である。なお、図2では、後述する各熱交換コア部11、21におけるチューブ111、211、およびフィン112、212の図示を省略している。
【0032】
図1、図2に示すように、本実施形態の冷媒蒸発器1は、送風空気の流れ方向(被冷却流体の流れ方向)Xに対して直列に配置された2つの蒸発部10、20を備えて構成されている。ここで、本実施形態では、2つの蒸発部10、20のうち、送風空気の空気流れ方向の風上側(上流側)に配置される蒸発部を風上側蒸発部10と称し、送風空気の流れ方向の風下側(下流側)に配置される蒸発部を風下側蒸発部20と称する。なお、本実施形態における風上側蒸発部10が、特許請求の範囲の「第2蒸発部」を構成し、風下側蒸発部20が、特許請求の範囲の「第1蒸発部」を構成している。
【0033】
風上側蒸発部10および風下側蒸発部20の基本的構成は同一であり、それぞれ熱交換コア部11、21と、熱交換コア部11、21の上下両側に配置された一対のタンク部12、13、22、23を有して構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、風上側蒸発部10における熱交換コア部を風上側熱交換コア部11と称し、風下側蒸発部20における熱交換コア部を風下側熱交換コア部21と称する。また、風上側蒸発部10における一対のタンク部12、13のうち、上方側に配置されるタンク部を第1風上側タンク部12と称し、下方側に配置されるタンク部を第2風上側タンク部13と称する。同様に、風下側蒸発部20における一対のタンク部22、23のうち、上方側に配置されるタンク部を第1風下側タンク部22と称し、下方側に配置されるタンク部を第2風下側タンク部23と称する。
【0035】
本実施形態の風上側熱交換コア部11および風下側熱交換コア部21それぞれは、上下方向に延びる複数のチューブ111、211と、隣合うチューブ111、211の間に接合されるフィン112、212とが交互に積層配置された積層体で構成されている。なお、以下、複数のチューブ111、211および複数のフィン112、212の積層体における積層方向をチューブ積層方向と称する。
【0036】
ここで、風上側熱交換コア部11は、複数のチューブ111のうち、一部のチューブ群で構成される第1風上側コア部11a、および残部のチューブ群で構成される第2風上側コア部11bを有している。なお、本実施形態における第1風上側コア部11aが、特許請求の範囲における「第3コア部」を構成し、第2風上側コア部11bが、特許請求の範囲における「第4コア部」を構成する。
【0037】
本実施形態では、風上側熱交換コア部11を送風空気の流れ方向から見たときに、チューブ積層方向の右側に存するチューブ群で第1風上側コア部11aが構成され、チューブ積層方向の左側に存するチューブ群で第2風上側コア部11bが構成されている。
【0038】
また、風下側熱交換コア部21は、複数のチューブ211のうち、一部のチューブ群で構成される第1風下側コア部21a、および残部のチューブ群で構成される第2風下側コア部21bを有している。なお、本実施形態における第1風下側コア部21aが、特許請求の範囲における「第1コア部」を構成し、第2風下側コア部21bが、特許請求の範囲における「第2コア部」を構成する。
【0039】
本実施形態では、風下側熱交換コア部21を送風空気の流れ方向から見たときに、チューブ積層方向の右側に存するチューブ群で第1風下側コア部21aが構成され、チューブ積層方向の左側に存するチューブ群で第2風下側コア部21bが構成されている。なお、本実施形態では、送風空気の流れ方向から見たときに、第1風上側コア部11aおよび第1風下側コア部21aそれぞれが重合(対向)するように配置されると共に、第2風上側コア部11bおよび第2風下側コア部21bそれぞれが重合(対向)するように配置されている。
【0040】
各チューブ111、211は、内部に冷媒が流れる冷媒通路が形成されると共に、その断面形状が送風空気の流れ方向に沿って延びる扁平形状となる扁平チューブで構成されている。
【0041】
風上側熱交換コア部11のチューブ111は、長手方向の一端側(上端側)が第1風上側タンク部12に接続されると共に、長手方向の他端側(下端側)が第2風上側タンク部13に接続されている。また、風下側熱交換コア部21のチューブ211は、長手方向の一端側(上端側)が第1風下側タンク部22に接続されると共に、長手方向の他端側(下端側)が第2風下側タンク部23に接続されている。
【0042】
各フィン112、212は、薄板材を波上に曲げて成形したコルゲートフィンであり、チューブ111、211における平坦な外面側に接合され、送風空気と冷媒との伝熱面積を拡大させるための熱交換促進手段を構成する。
【0043】
チューブ111、211およびフィン112、212の積層体には、チューブ積層方向の両端部に、各熱交換コア部11、12を補強するサイドプレート113、213が配置されている。なお、サイドプレート113、213は、チューブ積層方向の最も外側に配置されたフィン112、212に接合されている。
【0044】
第1風上側タンク部12は、一端側(送風空気の流れ方向から見たときの左側端部)が閉塞されると共に、他端側(送風空気の流れ方向から見たときの右側端部)にタンク内部から圧縮機(図示略)の吸入側に冷媒を導出するための冷媒導出口12aが形成された筒状の部材で構成されている。この第1風上側タンク部12は、底部に各チューブ111の一端側(上端側)が挿入接合される貫通穴(図示略)が形成されている。つまり、第1風上側タンク部12は、その内部空間が風上側熱交換コア部11の各チューブ111に連通するように構成されており、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bからの冷媒を集合させる冷媒集合部として機能する。
【0045】
第1風下側タンク部22は、一端側が閉塞されると共に、他端側にタンク内部に膨張弁(図示略)にて減圧された低圧冷媒を導入するための冷媒導入口22aが形成された筒状の部材で構成されている。この第1風下側タンク部22は、底部に各チューブ211の一端側(上端側)が挿入接合される貫通穴(図示略)が形成されている。つまり、第1風下側タンク部22は、その内部空間が風下側熱交換コア部21の各チューブ211に連通するように構成されており、風下側熱交換コア部21の各コア部21a、21bへ冷媒を分配する冷媒分配部として機能する。
【0046】
第2風上側タンク部13は、両端側が閉塞された筒状の部材で構成されている。この第2風上側タンク部13は、天井部に各チューブ111の他端側(下端側)が挿入接合される貫通穴(図示略)が形成されている。つまり、第2風上側タンク部13は、その内部空間が各チューブ111に連通するように構成されている。
【0047】
また、第2風上側タンク部13の内部には、長手方向の中央位置に仕切部材131が配置されており、この仕切部材131によって、タンク内部空間が第1風上側コア部11aを構成する各チューブ111が連通する空間と、第2風上側コア部11bを構成する各チューブ111が連通する空間とに仕切られている。
【0048】
ここで、第2風上側タンク部13の内部のうち、第1風上側コア部11aを構成する各チューブ111に連通する空間が、第1風上側コア部11aに冷媒を分配する第1冷媒分配部13aを構成し、第2風上側コア部11bを構成する各チューブ111に連通する空間が、第2風上側コア部11bに冷媒を分配する第2冷媒分配部13bを構成する。
【0049】
第2風下側タンク部23は、両端側が閉塞された筒状の部材で構成されている。この第2風下側タンク部23は、天井部に各チューブ211の他端側(下端側)が挿入接合される貫通穴(図示略)が形成されている。つまり、第2風下側タンク部23は、その内部空間が各チューブ211に連通するように構成されている。
【0050】
第2風下側タンク部23の内部には、長手方向の中央位置に仕切部材231が配置されており、この仕切部材231によって、タンク内部空間が第1風下側コア部21aを構成する各チューブ211が連通する空間と、第2風下側コア部21bを構成する各チューブ211が連通する空間とに仕切られている。
【0051】
ここで、第2風下側タンク部23の内部のうち、第1風下側コア部21aを構成する各チューブ211に連通する空間が、第1風下側コア部21aからの冷媒を集合させる第1冷媒集合部23aを構成し、第2風下側コア部21bを構成する各チューブ211が連通する空間が、第2風下側コア部21bからの冷媒を集合させる第2冷媒集合部23bを構成する。
【0052】
第2風上側タンク部13、および第2風下側タンク部23それぞれは、冷媒入替部30を介して連結されている。この冷媒入替部30は、第2風下側タンク部23における第1冷媒集合部23a内の冷媒を第2風上側タンク部13における第2冷媒分配部13bに導くと共に、第2風下側タンク部23における第2冷媒集合部23b内の冷媒を第2風上側タンク部13における第1冷媒分配部13aに導くように構成されている。すなわち、冷媒入替部30は、冷媒の流れを各熱交換コア部11、21においてコア幅方向に入れ替えるように構成されている。
【0053】
具体的には、冷媒入替部30は、第2風下側タンク部23における第1、第2冷媒集合部23a、23bに連結された一対の集合部連結部材31a、31bと、第2風上側タンク部13における各冷媒分配部13a、13bに連結された一対の分配部連結部材32a、32bと、一対の集合部連結部材31a、31bおよび一対の分配部連結部材32a、32bそれぞれに連結された中間タンク部33と、を有して構成されている。
【0054】
一対の集合部連結部材31a、31bそれぞれは、内部に冷媒が流通する冷媒流通路が形成された筒状の部材で構成されており、その一端側が第2風下側タンク部23に接続されると共に、他端側が中間タンク部33に接続されている。
【0055】
一対の集合部連結部材31a、31bのうち、一方を構成する第1集合部連結部材31aは、一端側が第1冷媒集合部23aに連通するように第2風下側タンク部23に接続されており、他端側が後述する中間タンク部33内の第1冷媒流通路33aに連通するように中間タンク部33に接続されている。
【0056】
また、他方を構成する第2集合部連結部材31bは、一端側が第2冷媒集合部23bに連通するように第2風下側タンク部23に接続されており、他端側が後述する中間タンク部33内の第2冷媒流通路33bに連通するように中間タンク部33に接続されている。
【0057】
本実施形態では、第1集合部連結部材31aの一端側が、第1冷媒集合部23aのうち、仕切部材231に近い位置に接続され、第2集合部連結部材31bの一端側が、第2冷媒集合部23bのうち、第2風下側タンク部23の閉塞端に近い位置に接続されている。
【0058】
一対の分配部連結部材32a、32bそれぞれは、内部に冷媒が流通する冷媒流通路が形成された筒状の部材で構成されており、その一端側が第2風上側タンク部13に接続されると共に、他端側が中間タンク部33に接続されている。
【0059】
一対の分配部連結部材32a、32bのうち、一方を構成する第1分配部連結部材32aは、一端側が第1冷媒分配部13aに連通するように第2風上側タンク部13に接続されており、他端側が後述する中間タンク部33内の第2冷媒流通路33bに連通するように中間タンク部33に接続されている。すなわち、第1分配部連結部材32aは、中間タンク部33の第2冷媒流通路33bを介して、上述の第2集合部連結部材31bと連通している。
【0060】
また、他方を構成する第2分配部連結部材32bは、一端側が第2冷媒分配部13bに連通するように第2風上側タンク部13に接続されており、他端側が後述する中間タンク部33内の第1冷媒流通路33aに連通するように中間タンク部33に接続されている。すなわち、第2分配部連結部材32bは、中間タンク部33の第1冷媒流通路33aを介して、上述の第1集合部連結部材31aと連通している。
【0061】
本実施形態では、第1分配部連結部材32aの一端側が、第1冷媒分配部13aのうち、第2風上側タンク部13の閉塞端に近い位置に接続され、第2分配部連結部材32bの一端側が、第2冷媒分配部13bのうち、仕切部材131に近い位置に接続されている。
【0062】
このように構成される一対の集合部連結部材31a、31bそれぞれは、冷媒入替部30における冷媒の流入口を構成し、一対の分配部連結部材32a、32bそれぞれは、冷媒入替部30における冷媒の流出口を構成している。
【0063】
図3は、冷媒蒸発器1の冷媒入替部30を下方側から見たときの図であり、図3(a)が比較例に係る冷媒蒸発器1の冷媒入替部30を下方側から見たときの図を示し、図3(b)が本実施形態に係る冷媒蒸発器1の冷媒入替部30を下方側から見たときの図を示している。
【0064】
まず、図3(a)に示すように、比較例に係る冷媒蒸発器1の各分配部連結部材32a、32bそれぞれは、チューブ積層方向における開口幅Lb´、Lb´が、各集合部連結部材31a、31bそれぞれのチューブ積層方向における開口幅La´、La´と同じ寸法となるように構成されている(La´=La´=Lb´=Lb´)。
【0065】
これに対して、図3(b)に示すように、本実施形態の各分配部連結部材32a、32bそれぞれは、チューブ積層方向における開口幅Lb、Lbが、各集合部連結部材31a、31bそれぞれのチューブ積層方向における開口幅La、Laよりも大きくなるように構成されている。すなわち、第1分配部連結部材32aのチューブ積層方向における開口幅Lbは、第1集合部連結部材31aのチューブ積層方向における開口幅Laよりも大きくなるように構成されている(Lb>La)、第2分配部連結部材32bのチューブ積層方向における開口幅Lbは、第2集合部連結部材31bのチューブ積層方向における開口幅Laよりも大きくなるように構成され(Lb>La)。なお、本実施形態では、La=La<La´=La´、Lb=Lb>Lb´=Lb´となっている。
【0066】
具体的には、本実施形態の各分配部連結部材32a、32bのチューブ積層方向における開口幅Lb、Lbは、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bのうち、連結された側のコア部におけるコア幅(チューブ積層方向の幅)Lc、Lcの半分以上となるように構成されている。すなわち、第1分配部連結部材32aのチューブ積層方向における開口幅Lbは、第1風上側コア部11aのコア幅Lcの半分以上となるように構成されている(Lb≧Lc/2)。そして、第2分配部連結部材32bのチューブ積層方向における開口幅Lbは、第2風上側コア部11bのコア幅Lcの半分以上となるように構成されている(Lb≧Lc/2)。
【0067】
一方、各集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向における開口幅La、Laは、風下側熱交換コア部21の各コア部21a、21bのうち、連結された側のコア部におけるコア幅(チューブ積層方向の幅)Lc、Lcの半分未満となるように構成されている。すなわち、第1集合部連結部材31aのチューブ積層方向における開口幅Laは、第1風下側コア部21aのコア幅Lcの半分未満となるように構成され(La<Lc/2)、第2集合部連結部材31bのチューブ積層方向における開口幅Laは、第2風下側コア部21bのコア幅Lcの半分未満となるように構成されている(La<Lc/2)。なお、本実施形態では、Lc=Lc=Lc=Lcとなっている。
【0068】
さらに、本実施形態の各集合部連結部材31a、31bそれぞれの断面積(冷媒入替部30における冷媒の流入口の断面積)は、各分配部連結部材32a、32bの断面積(冷媒入替部30における冷媒の流出口)よりも小さくなるように構成されている。
【0069】
ここで、風上側熱交換コア部11における各コア部11a、11bでは、各コア部11a、11bを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向の端部側に位置するチューブへ冷媒が流れ難く、冷媒の分配性が悪いといった傾向がある。
【0070】
具体的には、第1風上側コア部11aでは、第2風上側タンク部13の第1冷媒分配部13aにおける閉塞された端部付近に位置するチューブ111、および仕切部材131付近に位置するチューブ111に冷媒が流れ難い傾向がある。また、第2風上側コア部11bでは、第2風上側タンク部13の第2冷媒分配部13bにおける閉塞された端部付近に位置するチューブ111、および仕切部材131付近に位置するチューブ111に冷媒が流れ難い傾向がある。
【0071】
そこで、本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bを、第1風上側コア部11aを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口する構成としている。
【0072】
具体的には、図4に示すように、第1分配部連結部材32aについては、その開口部が第1風上側コア部11aを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向一端側に位置するチューブと対向して開口するように、第1冷媒分配部13aのうち、第2風上側タンク部13の閉塞端に近い位置に接続している。一方、第2分配部連結部材32bについては、第2風上側コア部11bを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向一端側に位置するチューブと対向して開口するように、第2冷媒分配部13bのうち、仕切部材131に近い位置に接続している。なお、図4は、本実施形態に係る風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bを構成する複数のチューブ111と各分配部連結部材32a、32bとの位置関係を説明するための説明図である。
【0073】
中間タンク部33は、両端側が閉塞された筒状の部材で構成されている。この中間タンク部33は、第2風上側タンク部13、および第2風下側タンク部23との間に配置されている。具体的には、本実施形態の中間タンク部33は、送風空気の流れ方向Xから見たときに、その一部(上方側の部位)が第2風上側タンク部13、および第2風下側タンク部23と重合し、他部(下方側の部位)が第2風上側タンク部13、および第2風下側タンク部23と重合しないように配置されている。
【0074】
このように、中間タンク部33の一部を第2風上側タンク部13、および第2風下側タンク部23と重合しないように配置する構成とすれば、送風空気の流れ方向Xにおいて、第1蒸発部10および第2蒸発部20を近接した配置形態とすることができるので、中間タンク部33を設けることによる冷媒蒸発器1の体格の増大を抑制することが可能となる。
【0075】
図5は、本実施形態に係る中間タンク部33の詳細を説明するための説明図であり、図5(a)が中間タンク部33の模式的な斜視図であり、図5(b)が図5(a)に示す中間タンク部33の分解斜視図である。
【0076】
図5に示すように、中間タンク部33の内部には、上方側に位置する部位に仕切部材331が配置されており、この仕切部材331によって、タンク内部の空間が第1冷媒流通路33aと第2冷媒流通路33bとに仕切られている。
【0077】
第1冷媒流通路33aは、第1集合部連結部材31aからの冷媒を第2分配部連結部材32bへ導く冷媒流通路を構成している。一方、第2冷媒流通路33bは、第2集合部連結部材31bからの冷媒を第1分配部連結部材32aへ導く冷媒流通路を構成している。
【0078】
ここで、本実施形態では、第1集合部連結部材31a、第2分配部連結部材32b、中間タンク部33における第1冷媒流通路33aが、特許請求の範囲に記載の「第1連通部」を構成している。そして、第1集合部連結部材31aが「第1連通部」における「冷媒の流入口」に相当し、第2分配部連結部材32bが「第1連通部」における「冷媒の流出口」に相当している。
【0079】
また、第2集合部連結部材31b、第1分配部連結部材32a、中間タンク部33における第2冷媒流通路33bが、特許請求の範囲に記載の「第2連通部」を構成している。そして、第2集合部連結部材31bが「第2連通部」における「冷媒の流入口」に相当し、第1分配部連結部材32aが「第2連通部」における「冷媒の流出口」に相当している。
【0080】
次に、本実施形態に係る冷媒蒸発器1における冷媒の流れについて図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る冷媒蒸発器1における冷媒の流れを説明するための説明図である。
【0081】
図6に示すように、膨張弁(図示略)にて減圧された低圧冷媒は、矢印Aの如く第1風下側タンク部22の一端側に形成された冷媒導入口22aからタンク内部に導入される。第1風下側タンク部22の内部に導入された冷媒は、矢印Bの如く風下側熱交換コア部21の第1風下側コア部21aを下降すると共に、矢印Cの如く風下側熱交換コア部21の第2風下側コア部21bを下降する。
【0082】
第1風下側コア部21aを下降した冷媒は、矢印Dの如く第2風下側タンク部23の第1冷媒集合部23aに流入する。一方、第2風下側コア部21bを下降した冷媒は、矢印Eの如く第2風下側タンク部23の第2冷媒集合部23bに流入する。
【0083】
第1冷媒集合部23aに流入した冷媒は、矢印Fの如く第1集合部連結部材31aを介して中間タンク部33の第1冷媒流通路33aに流入する。また、第2冷媒集合部23bに流入した冷媒は、矢印Gの如く第2集合部連結部材31bを介して中間タンク部33の第2冷媒流通路33bに流入する。
【0084】
第1冷媒流通路33aに流入した冷媒は、矢印Hの如く第2分配部連結部材32bを介して第2風上側タンク部13の第2冷媒分配部13bに流入する。また、第2冷媒流通路33bに流入した冷媒は、矢印Iの如く第1分配部連結部材32aを介して第2風上側タンク部13の第1冷媒分配部13aに流入する。
【0085】
第2風上側タンク部13の第2冷媒分配部13bに流入した冷媒は、矢印Jの如く風上側熱交換コア部11の第2風上側コア部11bを上昇する。一方、第1冷媒分配部13aに流入した冷媒は、矢印Kの如く風上側熱交換コア部11の第1風上側コア部11aを上昇する。
【0086】
第2風上側コア部11bを上昇した冷媒、および第1風上側コア部11aを上昇した冷媒は、それぞれ矢印L、Mの如く第1風上側タンク部12のタンク内部に流入し、矢印Nの如く第1風上側タンク部12の一端側に形成された冷媒導出口12aから圧縮機(図示略)吸入側に導出される。
【0087】
以上説明した本実施形態に係る冷媒蒸発器1では、冷媒入替部30における各連通部の冷媒の流出口を構成する各分配部連結部材32a、32bのチューブ積層方向に延びる開口幅が、冷媒入替部30における各連通部の冷媒の流入口を構成する各集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるように構成している(図3(b)参照)。
【0088】
このため、第2風上側タンク部13の各冷媒分配部13a、13bにおいて、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bを構成する各チューブ111と、各分配部連結部材32a、32bにおける第2風上側タンク部13との接続箇所とをチューブ積層方向に近接した配置形態とすることができる。
【0089】
これにより、風上側蒸発部10における第2風上側タンク部13の各冷媒分配部13a、13bから風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bへの液相冷媒の分配の偏りを抑制することができる。この結果、冷媒蒸発器1における送風空気の冷却性能の低下を抑制することが可能となる。
【0090】
ここで、図7は、比較例に係る冷媒蒸発器1(図3(a)に示す冷媒入替部30を備える冷媒蒸発器)の各熱交換コア部11、21を流れる液相冷媒の分布を説明するための説明図であり、図8は、本実施形態に係る冷媒蒸発器1の各熱交換コア部11、21を流れる液相冷媒の分布を説明するための説明図である。図7(a)および図8(a)は、風上側熱交換コア部11を流れる液相冷媒の分布を示し、図7(b)および図8(b)は、風下側熱交換コア部21を流れる液相冷媒の分布を示し、図7(c)および図8(c)は、各熱交換コア部11、21を流れる液相冷媒の分布の合成を示している。なお、図7および図8は、冷媒蒸発器1を図1の矢印Y方向(送風空気の流れ方向Yの逆方向)から見たときの液相冷媒の分布を示すもので、図中の網掛部分で示す箇所が、液相冷媒が存する部分を示す。
【0091】
まず、風下側熱交換コア部21を流れる液相冷媒の分布については、図7(b)および図8(b)で示すように、比較例に係る冷媒蒸発器1と本実施形態に係る冷媒蒸発器1とで同様であり、それぞれ第2風下側コア部21bにおける一部に液相冷媒が流れ難い箇所(図中右下方側の白抜き箇所)が生ずる。
【0092】
一方、比較例に係る冷媒蒸発器1における風上側熱交換コア部11を流れる液相冷媒の分布については、図7(a)に示すように、風上側熱交換コア部11の各風上側コア部11a、11bでは、チューブ積層方向において、各分配部連結部材32a、32bが形成された側に液相冷媒が流れ易く、各分配部連結部材32a、32bが形成されていない側に液相冷媒が流れ難くなっている。
【0093】
そして、図7(c)に示すように、比較例に係る冷媒蒸発器1を送風空気の流れ方向Xから見たときに、第2風上側コア部11bおよび第2風下側コア部21bにおける重合する部位の一部に液相冷媒が流れ難い箇所(図中右側の白抜き箇所)が生ずる。
【0094】
このように液相冷媒が分布する比較例に係る冷媒蒸発器1では、液相冷媒が流れ難い箇所にて冷媒が送風空気から顕熱分を吸熱するだけで送風空気を充分に冷却することができない。この結果、冷媒蒸発器1を通過する送風空気に温度分布が生じてしまうこととなる。
【0095】
これに対して、本実施形態に係る冷媒蒸発器1における風上側熱交換コア部11を流れる液相冷媒の分布については、各分配部連結部材32a、32bのチューブ積層方向に延びる開口幅を拡大しているので、図8(a)に示すように、風上側熱交換コア部11の各風上側コア部11a、11bでは、チューブ積層方向に均等に液相冷媒が流れ易くなっている。つまり、本実施形態に係る冷媒蒸発器1は、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bへの液相冷媒の分配の偏りが抑制されることとなる。
【0096】
そして、図8(c)に示すように、本実施形態に係る冷媒蒸発器1を送風空気の流れ方向Xから見たときに、第2風上側コア部11bおよび第2風下側コア部21bにおける重合する部位の全域に液相冷媒が流れる。
【0097】
このように液相冷媒が分布する本実施形態に係る冷媒蒸発器1では、各熱交換コア部11、21のいずれかによって、冷媒が送風空気から顕熱および潜熱を吸熱するので、送風空気を充分に冷却することが可能となる。この結果、冷媒蒸発器1を通過する送風空気に温度分布が生じてしまうことが抑制される。
【0098】
特に、本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bのチューブ積層方向における開口幅を、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bのうち、連結された側のコア部におけるコア幅(チューブ積層方向の幅)の半分以上となるように構成している。
【0099】
これにより、風上側蒸発部10における第2風上側タンク部13の各冷媒分配部13a、13bから風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bへの冷媒の分配の偏りを充分に抑制することが可能となる。
【0100】
ここで、図9は、比較例に係る冷媒蒸発器1(図3(a)に示す冷媒入替部30を備える冷媒蒸発器)の中間タンク部33を流れる冷媒を説明するための説明図であり、図10は、本実施形態に係る中間タンク部33を流れる冷媒を説明するための説明図である。図9(a)および図10(a)は、風下側熱交換コア部21の一部を示す部分正面図示し、図9(b)および図10(b)は、第2風上側タンク部13、第2風下側タンク部23、および中間タンク部33の送風空気流れ方向の模式的な断面図を示している。
【0101】
本実施形態に係る冷媒蒸発器1では、各集合部連結部材31a、31bそれぞれの断面積(冷媒入替部30における冷媒の流入口の断面積)を、各分配部連結部材32a、32bの断面積(冷媒入替部30における冷媒の流出口)よりも小さい構成としている。なお、図9(a)および図10(a)に示すように、各集合部連結部材31a、31bの開口面積(開口幅La、La)が、比較例に係る冷媒蒸発器1の各集合部連結部材の開口面積(開口幅La´、La´)よりも小さくなるように構成されている。
【0102】
比較例に係る冷媒蒸発器1では、各集合部連結部材31a、31bの開口面積(開口幅La´、La´)が大きいことから、各集合部連結部材31a、31bから中間タンク部33に流入する冷媒の流速が遅く、中間タンク部33に液相冷媒やオイル等が滞留し易い傾向がある。
【0103】
これに対して、本実施形態に係る冷媒蒸発器1では、各集合部連結部材31a、31bの開口面積(開口幅La、La)を小さくしており、各集合部連結部材31a、31bから中間タンク部33に流入する冷媒の流速が早く、その流速によって中間タンク部33に流入する液相冷媒やオイル等が攪拌されるので、中間タンク部33に液相冷媒やオイル等が滞留してしまうことを抑制することが可能となる。
【0104】
ところで、風上側蒸発部10には、風下側蒸発部20を通過した際に気化した冷媒(気相冷媒)が流れる過熱度領域(スーパーヒート領域)が生ずることから、風上側蒸発部10における送風空気の冷却性能が、風下側蒸発部20における送風空気の冷却性能に比べて低くなる傾向がある。なお、過熱度領域では冷媒が送風空気から顕熱分を吸熱するだけなので、送風空気が充分に冷却されない。
【0105】
本実施形態の冷媒蒸発器1では、風上側蒸発部10を、風下側蒸発部20よりも送風空気の流れ方向Xの上流側に配置しているので、各蒸発部10、20の冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を確保して、効率的に送風空気を冷却することができる。
【0106】
また、本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bを、風上側熱交換コア部11における各コア部11a、11bを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口しているので、風上側熱交換コア部11における各コア部11a、11bの積層方向の端部に位置するチューブへも冷媒が流れ易い構成となる。この結果、冷媒の分配性の悪化を効果的に抑制することができる。
【0107】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bの構成が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0108】
図11は、本実施形態に係る各分配部連結部材32a、32bを説明するための説明図であり、図11(a)が本実施形態に係る冷媒入替部30の斜視図であり、図11(b)が各分配部連結部材32a、32bを図1の矢印Yの方向から見たときの模式図である。
【0109】
図11(a)に示すように、本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bは、複数の連結部(本実施形態では3つの連結部)で構成されている。複数の連結部それぞれは、内部に冷媒が流通する冷媒流通路が形成された筒状の部材で構成されており、その一端側が第2風上側タンク部13に接続されると共に、他端側が中間タンク部33に接続されている。
【0110】
そして、図11(b)に示すように、本実施形態の各分配部連結部材32a、32bは、複数の連結部におけるチューブ積層方向の開口幅(=m)の全体幅(=Ld)が、各風上側コア部11a、11bのコア幅Lの半分以上となるように構成されている(L/2≦Ld)。
【0111】
以上説明した本実施形態では、各分配部連結部材32a、32bを構成する複数の連結部におけるチューブ積層方向の開口幅の全体幅を、各風上側コア部11a、11bのコア幅Lの半分以上となるように構成している。
【0112】
このため、第1実施形態と同様に、風上側蒸発部10における第2風上側タンク部13の各冷媒分配部13a、13bから風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bへの冷媒の分配の偏りを抑制することができる。
【0113】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、冷媒入替部30の各分配部連結部材32a、32bの開口幅が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0114】
第1実施形態で説明したように、比較例に係る冷媒蒸発器1は、風上側熱交換コア部11のうち第2風上側コア部11bへの液相冷媒の分配性が悪く、送風空気の流れ方向Xから見たときに、第2風上側コア部11bに液相冷媒が流れ難い箇所が生ずる(図7(c)参照)。
【0115】
そこで、本実施形態では、図12で示すように、第2風上側コア部11bに連結された第2分配部連結部材32bのチューブ積層方向の開口幅Lbを第1分配部連結部材32aの開口幅Lbよりも長くする構成としている。なお、図12は、本実施形態に係る中間タンク部33の分解斜視図である。
【0116】
これによれば、第2冷媒分配部13bから第2風上側コア部11bへの冷媒の分配の偏りが生ずることを効果的に抑制することができる。
【0117】
このように、冷媒蒸発器1における各熱交換コア部11、12のうち、液相冷媒の分布の偏りが生じ易い熱交換コア部11、12に連結された分配部連結部材の開口幅を他よりも長くする構成とすれば、冷媒の分配の偏りが生ずることを効果的に抑制することができ、冷媒蒸発器1における送風空気の冷却性能の低下を抑制することが可能となる。
【0118】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、冷媒入替部30の構成が第1〜第3実施形態と相違している。本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0119】
本実施形態の冷媒入替部30については、図13、図14を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る各タンク部13、23、33を説明するための説明図(断面図)である。なお、図13の(a)が、上述の各実施形態に係る各タンク部13、23、33を示す断面図であり、(b)が本実施形態に係る各タンク部13、23、33を示す断面図である。
【0120】
上述の各実施形態では、図13(a)に示すように、冷媒入替部30を一対の集合部連結部材31a、31b、一対の分配部連結部材32a、32b、および中間タンク部33で構成している。
【0121】
これに対して、本実施形態では、冷媒入替部30を各連結部材31a、31b、32a、32bを用いることなく、中間タンク部33によって構成している。具体的には、本実施形態の中間タンク部33は、図13(b)に示すように、第2風上側タンク部13および第2風下側タンク部23それぞれに対して直接接合されており、その接合部に入口側連通穴332および出口側連通穴333が形成されている。なお、本実施形態の第2風下側タンク部23および中間タンク部33は、互いに対向する部位に平坦面が形成されており、当該平坦面同士が密着して接合されている。同様に、本実施形態の第2風上側タンク部13および中間タンク部33は、互いに対向する部位に平坦面が形成されており、当該平坦面同士が密着して接合されている。
【0122】
ここで、図14は、本実施形態に係る冷媒入替部30の詳細を説明するための説明図である。なお、図14の(a)が、本実施形態に係る各タンク部13、23、33の斜視図を示し、(b)が(a)の分解斜視図を示している。
【0123】
図14に示すように、本実施形態の入口側連通穴332は、第2風下側タンク部23の第1冷媒集合部23aと中間タンク部33の第1冷媒流通路33aとを連通させる第1入口側連通穴部332a、および第2風下側タンク部23の第2冷媒集合部23bと中間タンク部33の第2冷媒流通路33bとを連通させる第2入口側連通穴部332bで構成されている。
【0124】
また、出口側連通穴333は、第2風上側タンク部13の第1冷媒分配部13aと中間タンク部33の第2冷媒流通路33bとを連通させる第1出口側連通穴部333a、および第2風上側タンク部13の第2冷媒分配部13bと中間タンク部33の第1冷媒流通路33aとを連通させる第2出口側連通穴部333bで構成されている。
【0125】
このため、本実施形態の中間タンク部33は、入口側連通穴332の第1入口側連通穴部332aを介して第1冷媒集合部23aに連通すると共に、出口側連通穴333の第2出口側連通穴部333bを介して第2冷媒分配部13bに連通している。
【0126】
また、本実施形態の中間タンク部33は、入口側連通穴332の第2入口側連通穴部332bを介して第2冷媒集合部23bに連通すると共に、出口側連通穴333の第1出口側連通穴部333aを介して第1冷媒分配部13aに連通している。
【0127】
そして、出口側連通穴333の各出口側連通穴部333a、333bは、チューブ積層方向における開口幅が入口側連通穴332の各入口側連通穴部332a、332bよりも大きくなるように構成されている。より具体的には、出口側連通穴333の各出口側連通穴部333a、333bは、風上側熱交換コア部11の各コア部11a、11bのうち、連結された側のコア部におけるコア幅(チューブ積層方向の幅)の半分以上となるように構成されている。
【0128】
さらに、本実施形態の各出口側連通穴部333a、333bは、風上側熱交換コア部11における各コア部11a、11bを構成する複数のチューブ111のうち、積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口するように構成されている。
【0129】
なお、本実施形態では、中間タンク部33における第1冷媒流通路33aが、特許請求の範囲に記載の「第1連通部」を構成し、中間タンク部33における第2冷媒流通路33bが、特許請求の範囲に記載の「第2連通部」を構成している。そして、中間タンク部33における第1入口側連通穴部332aが、特許請求の範囲に記載の「第1連通部」の「冷媒流入口」に相当し、中間タンク部33における第2出口側連通穴部333bが、特許請求の範囲に記載の「第1連通部」における「冷媒の流出口」に相当している。また、中間タンク部33における第2入口側連通穴部332bが、特許請求の範囲に記載の「第2連通部」の「冷媒流入口」に相当し、第1出口側連通穴部333aが、特許請求の範囲に記載の「第2連通部」における「冷媒の流出口」に相当している。
【0130】
以上説明した本実施形態によれば、冷媒入替部30の連通部を中間タンク部33に形成された各冷媒流通路33a、33bで構成することができるので、各蒸発部10、20の一方のタンク部同士を連結する連通部にて冷媒の流れ方向を入れ替える構成を具体的かつ容易に実現することができる。
【0131】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0132】
(1)上述の各実施形態では、冷媒入替部30における各分配部連結部材32a、32bそれぞれのチューブ積層方向に延びる開口幅を、各集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるように構成しているが、これに限定されない。例えば、冷媒入替部30における各分配部連結部材32a、32bのうち、一方の分配部連結部材のチューブ積層方向に延びる開口幅を、各集合部連結部材31a、31bのうち、対応する集合部連結部材のチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるように構成してもよい。
【0133】
(2)上述の各実施形態の如く、各分配部連結部材32a、32bのチューブ積層方向の開口幅を、連結される各風上側コア部11a、11bのコア幅の半分以上とすることが望ましいが、各分配部連結部材32a、32bそれぞれのチューブ積層方向に延びる開口幅が、各集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるよう構成されていれば、これに限られない。
【0134】
同様に、各分配部連結部材32a、32bそれぞれのチューブ積層方向に延びる開口幅が、各集合部連結部材31a、31bのチューブ積層方向に延びる開口幅よりも大きくなるよう構成されていれば、各集合部連結部材31a、31bそれぞれの断面積が、各分配部連結部材32a、32bの断面積よりも大きくなるように構成されていなくともよい。
【0135】
(3)上述の第1〜第3実施形態では、冷媒入替部30を一対の集合部連結部材31a、31b、一対の分配部連結部材32a、32b、および中間タンク部33で構成する例を説明したが、これに限らず、例えば、冷媒入替部30の中間タンク部33を廃し、各連結部材31a、31b、32a、32b同士を直接接続するように構成してもよい。
【0136】
(4)上述の各実施形態では、冷媒蒸発器1として、送風空気の流れ方向から見たときに、第1風上側コア部11aおよび第1風下側コア部21aが重合するように配置されると共に、第2風上側コア部11bおよび第2風下側コア部21bが重合するように配置される例について説明したが、これに限られない。冷媒蒸発器1としては、送風空気の流れ方向から見たときに、第1風上側コア部11aおよび第1風下側コア部21aの少なくとも一部が重合するように配置したり、第2風上側コア部11bおよび第2風下側コア部21bの少なくとも一部が重合するように配置したりしてもよい。
【0137】
(5)上述の各実施形態の如く、冷媒蒸発器1における風上側蒸発部10を風下側蒸発部20よりも送風空気の流れ方向Xにおける上流側に配置することが望ましいが、これに限らず、風上側蒸発部10を風下側蒸発部20よりも送風空気の流れ方向Xにおける下流側に配置するようにしてもよい。
【0138】
(6)上述の各実施形態では、各熱交換コア部11、21を複数のチューブ111、211とフィン112、212で構成する例を説明したが、これに限らず、複数のチューブ111、211だけで各熱交換コア部11、21を構成するようにしてもよい。また、各熱交換コア部11、21を複数のチューブ111、211とフィン112、212で構成する場合、フィン112、212は、コルゲートフィンに限らずプレートフィンを採用してもよい。
【0139】
(7)上述の各実施形態では、冷媒蒸発器1を車両用空調装置の冷凍サイクルに適用する例について説明したが、これに限らず、例えば、給湯機等に用いられる冷凍サイクルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 冷媒蒸発器
10 風上側蒸発部(第2蒸発部)
11 風上側熱交換コア部(熱交換コア部)
11a 第1風上側コア部(第3コア部)
11b 第2風上側コア部(第4コア部)
111 チューブ
13 第2風上側タンク部(タンク部)
13a 第1冷媒分配部
13b 第2冷媒分配部
20 風下側蒸発部(第1蒸発部)
21 風下側熱交換コア部(熱交換コア部)
21a 第1風下側コア部(第1コア部)
21b 第2風下側コア部(第2コア部)
211 チューブ
23 第2風下側タンク部(タンク部)
23a 第1冷媒集合部
23b 第2冷媒集合部
30 冷媒入替部
31a 第1集合部連結部材(第1連通部、第1連通部の冷媒の流入口)
31b 第2集合部連結部材(第2連通部、第2連通部の冷媒の流入口)
32a 第1分配部連結部材(第2連通部、第2連通部の冷媒の流出口)
32b 第2分配部連結部材(第1連通部、第1連通部の冷媒の流出口)
33 中間タンク部
33a 第1冷媒流通路(第1連通部)
33b 第2冷媒流通路(第2連通部)
332 入口側連通穴(各連通部の冷媒の流入口)
333 出口側連通穴(各連通部の冷媒の流出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部を流れる被冷却流体と冷媒との間で熱交換を行う冷媒蒸発器であって、
前記被冷却流体の流れ方向に対して直列に配置された第1蒸発部(20)、および第2蒸発部(10)を備え、
前記第1蒸発部(20)および前記第2蒸発部(10)それぞれは、
冷媒が流れる複数のチューブ(111、211)を積層して構成された熱交換コア部(11、21)と、
前記複数のチューブ(111、211)の両端部に接続され、前記複数のチューブ(111、211)を流れる冷媒の集合あるいは分配を行う一対のタンク部(12、13、22、23)と、を有し、
前記第1蒸発部(20)における前記熱交換コア部(21)は、前記複数のチューブ(211)のうち、一部のチューブ群で構成される第1コア部(21a)、および残部のチューブ群で構成される第2コア部(21b)を有し、
前記第2蒸発部(10)における前記熱交換コア部(11)は、前記複数のチューブ(111)のうち、前記被冷却流体の流れ方向において前記第1コア部(21a)の少なくとも一部と対向するチューブ群で構成される第3コア部(11a)、および前記被冷却流体の流れ方向において前記第2コア部(21b)の少なくとも一部と対向するチューブ群で構成される第4コア部(11b)を有し、
前記第1蒸発部(20)における前記一対のタンク部(22、23)のうち、一方のタンク部(23)は、前記第1コア部(21a)からの冷媒を集合させる第1冷媒集合部(23a)、前記第2コア部(21b)からの冷媒を集合させる第2冷媒集合部(23b)を含んで構成され、
前記第2蒸発部(10)における前記一対のタンク部(12、13)のうち、一方のタンク部(13)は、前記第3コア部(11a)に冷媒を分配させる第1冷媒分配部(13a)、前記第4コア部(11b)に冷媒を分配させる第2冷媒分配部(13b)を含んで構成され、
前記第1蒸発部(20)および前記第2蒸発部(10)は、前記第1冷媒集合部(23a)の冷媒を前記第2冷媒分配部(13b)に導く第1連通部(31a、32b、33a)、および前記第2冷媒集合部(23b)の冷媒を前記第1冷媒分配部(13a)に導く第2連通部(31b、32a、33b)を有する冷媒入替部(30)を介して連結されており、
前記第1連通部(31a、32b、33a)および前記第2連通部(31b、32a、33b)のうち、少なくとも一方の連通部は、冷媒の流出口(32a、32b、333)における前記複数のチューブ(111、211)の積層方向に延びる開口幅が、冷媒の流入口(31a、31b、332)の前記開口幅よりも大きいことを特徴とする冷媒蒸発器。
【請求項2】
前記少なくとも一方の連通部における前記冷媒の流出口(32a、32b、333)の前記開口幅は、前記第3コア部(11a)および前記第4コア部(11b)のうち連結された側のコア部における前記積層方向のコア幅の半分以上であることを特徴とする請求項1に記載の冷媒蒸発器。
【請求項3】
前記少なくとも一方の連通部における前記冷媒の流入口(31a、31b、332)の開口面積は、前記冷媒の流出口(32a、32b、333)の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の冷媒蒸発器。
【請求項4】
前記第1連通部における前記冷媒の流出口(32b、333b)は、前記第4コア部(11b)を構成する複数のチューブ(111)のうち、少なくとも積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口し、
前記第2連通部における前記冷媒の流出口(32a、333a)は、前記第3コア部(11a)を構成する複数のチューブ(111)のうち、少なくとも積層方向一端側に位置するチューブと対向するように開口していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器。
【請求項5】
前記冷媒入替部(30)は、前記第1、第2冷媒集合部(23a、23b)に入口側連通穴(332)を介して連通すると共に、前記第1、第2冷媒分配部(13a、13b)に出口側連通穴(333)を介して連通する中間タンク部(33)を有して構成され、
前記中間タンク部(33)の内部には、
前記第1冷媒集合部(23a)からの冷媒を前記第2冷媒分配部(13b)へ導く第1冷媒流通路(33a)と、前記第2冷媒集合部(23b)からの冷媒を前記第1冷媒分配部(13a)へ導く第2冷媒流通路(33b)と、が形成されており、
前記第1連通部は、前記第1冷媒流通路(33a)で構成され、
前記第2連通部は、前記第2冷媒流通路(33b)で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器。
【請求項6】
前記冷媒入替部(30)は、
前記第1、第2冷媒集合部(23a、23b)に連通する一対の集合部連結部材(31a、31b)と、
前記第1、第2冷媒分配部(13a、13b)に連通する一対の分配部連結部材(32a、32b)と、
前記一対の集合部連結部材(31a、31b)および前記一対の分配部連結部材(32a、32b)それぞれに連結された中間タンク部(33)と、を有して構成され、
前記中間タンク部(33)の内部には、
前記一対の集合部連結部材(31a、31b)のうち、前記第1冷媒集合部(23a)に連通する第1集合部連結部材(31a)からの冷媒を、前記一対の分配部連結部材(32a、32b)のうち、前記第2冷媒分配部(13b)に連通する第2分配部連結部材(32b)へ導く第1冷媒流通路(33a)と、
前記一対の集合部連結部材(31a、31b)のうち、前記第2冷媒集合部(23b)に連通する第2集合部連結部材(31b)からの冷媒を、前記一対の分配部連結部材(32a、32b)のうち、前記第1冷媒分配部(13a)に連通する第1分配部連結部材(32a)へ導く第2冷媒流通路(33b)と、
が形成されており、
前記第1連通部は、前記第1集合部連結部材(31a)、前記第2分配部連結部材(32b)、および前記第1冷媒流通路(33a)で構成され、
前記第2連通部は、前記第2集合部連結部材(31b)、前記第1分配部連結部材(32a)、および前記第2冷媒流通路(33b)で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器。
【請求項7】
前記第2蒸発部(10)は、前記第1蒸発部(20)よりも前記被冷却流体の流れ方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷媒蒸発器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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