説明

冷気循環式オープンショーケース

【課題】庫内の商品陳列状況に応じて高い省エネ,節電効果が発揮できるよう改良した多段形の冷気循環式オープンショーケースを提供する。
【解決手段】庫内に上下多段の商品陳列棚8を架設したケース本体1に対し、冷気導風ダクト2,3からエアカーテン吹出口2a,3a、および背面パネル5に開口した冷気吹出穴5aを通じて庫内に冷気を循環送風する冷気循環式のショーケースにおいて、商品陳列棚8の棚板8aの後端に対向して背面パネル5に棚板挿入用の開閉窓5bを設けて棚板8aを押し込むことにより、棚板8aの後端が前記開閉窓5bからパネル背後のインナーダクト2に突き出してその通風路を途中で断路するようし、格納部12aから繰出したナイトカバー12で「空」の棚前面を覆った運転状態では、「空」になった棚の上方空間に向けて背面側からの冷気吹き出しを停止してショーケースの省エネ,節電効果を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内に上下段に並ぶ商品陳列棚を配備した前面開放形のケース本体に対し、その庫内前面域に冷気エアカーテンを形成するとともに、庫内背面側からも各段の商品陳列棚の間に向け冷気を吹き出して陳列商品を保冷する多段形の冷気循環式オープンショーケースに関し、詳しくはその省エネ対策に係わる。
【背景技術】
【0002】
頭記の冷気循環式オープンショーケースとして、前面を開放したケース本体の庫内前面域に冷気のエアカーテンを形成するとともに、上下段に並べて庫内に架設した商品陳列棚に向けて背面側からも冷気を吹き出して庫内を均一に保冷するようにしたオープンショーケースが知られており(例えば、特許文献1参照)、昨今ではこの方式を採用したオープンショーケースの製品が市場に広く展開している。
【0003】
次に、前記オープンショーケースの構成を図4に示す。図において、1は断熱筐体になる前面開放形のケース本体、2,3はケース本体1の外箱と内箱との間に画成して冷気を循環導風する内外2層のインナー,およびアウターダクト、2a,3aは前記インナーダクト2,アウターダクト3に通じてケース本体1の天井前部に開口したインナー,およびアウターのエアカーテン吹出口、4はケース本体1の下部前端に開口したエアカーテンの吸込口、5は内箱の背面パネル、6は前記インナーダクト2に配した冷却器、7はファン、8は上下段に並べて庫内に架設した商品陳列棚、9は商品陳列棚8の棚板を担持する棚ブラケット、10は庫内底部に配したデッキパンであり、前記背面パネル5の壁面には上下各段の商品陳列棚8に対応して穿設した冷気吹出穴5a(例えば、パンチング穴)が開口している。
【0004】
上記した冷気循環式オープンショーケースの保冷動作については特許文献1にも詳しく述べられており、保冷運転時には図4の点線矢印で表すように、インナーダクト2,アウターダクト3を経由してケース本体1の前面域にエアカーテン吹出口2a,3aから吸込口4に向けて内外2層のエアカーテンA,Bを吹き出し形成する。また、上下段に並ぶ各段の商品陳列棚8に対応して背面パネル5に穿設した冷気吹出穴5aを通じてインナーダクト2の経路途中から庫内に向け冷気流Cを吹き出して各段の商品陳列棚8,デッキパン10に陳列した商品11を保冷する。
【0005】
一方、スーパーマーケットなどの店舗に据付けて使用するオープンショーケースは、省エネ対策としてケース本体の上部前端側に巻取り/繰出しが自在なナイトカバーを標準装備しており、店舗閉店後の時間帯(夜間)には前記ナイトカバーを格納位置から繰出してケース本体の前面開口部をカバーで覆い、周囲から庫内に外気熱が侵入するのを抑制するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところで、スーパーマーケット,コンビニエンスストアなどの店舗では、平日,休日の営業日、および営業時間帯によって商品の販売数量が異なることが多く、夜間などの販売数量が少ない時間帯でもショーケースの全ての商品陳列棚8に商品を満載して庫内全域を保冷することは消費電力が増してランニングコストが高くなる。
【0007】
そこで、販売数量が少ない夜間などの営業時間帯には、ショーケースに陳列する各種商品の数量を減らして庫内の下段側に並ぶ棚へ集中的に移し替えた上で、「空」になった庫内上段側の商品陳列棚の前面をナイトカバーで覆うことにより、保冷負荷、庫内の要保冷領域を縮減して消費電力の節電化を図るような対策を施したオープンショーケースも知られている(例えば、特許文献3,特許文献4参照)。
【0008】
ここで、特許文献3に開示のオープンショーケースでは、ケース本体の庫内前部に標準装備されている前記ナイトカバー(特許文献2参照)とは別に、ケース本体の庫内天井部にはエアカーテン吹出口よりも内側(庫内側)に巻取/繰出し自在なナイトカバーを設けている。そして、前記のように庫内の上段側に並ぶ棚「空」にした運転状態では、前記カバーを格納部から引き降ろして「空」になった商品陳列棚の前面を覆うようにしている。
【0009】
また、特許文献4に開示のオープンショーケースでは、エアカーテン吹出口よりも庫外側に標準配備したナイトカバーの先端にエアカーテンの通過を許容する導風ガイドを設けている。そして、先述と同様に「空」になった上段側の棚に天井の格納部から繰出したナイトカバーを棚の前端に掛け止めしてその前面をナイトカバーで覆った状態では、前記導風ガイドを介して陳列棚の前端とナイトカバーとの間にエアカーテンの導風路を確保し、ナイトカバーの内面に沿って上方から流下するエアカーテンを庫内の下方域に導風して下段側の棚前方にエアカーテンを形成維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−234059号公報(図1−図2)
【特許文献2】特開2003−111651号公報(図4)
【特許文献3】特許第3724613号公報(図1−図3)
【特許文献4】特開2011−104081号公報(図2,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記の冷気循環式オープンショーケースについては、その運用上で節電,省エネ効果をさらに高めるようにすることが重要な開発テーマになっている。
かかる点、先記の特許文献3,あるいは特許文献4に開示されているナイトカバーによる省エネ方式を、図4に示した冷気の背面吹き出し式オープンショーケースにそのまま適用したとすると、節電,省エネ効果の面で次記のような課題が残る。
【0012】
すなわち、先述のように商品の販売量が少ない営業時間帯に陳列商品を庫内の下段側に並ぶ棚に移し替えて「空」になった庫内上段側の商品陳列棚に対し、天井の格納部からナイトカバー(特許文献3,特許文献4参照)を繰出して「空」の商品陳列棚の前面を覆った運転状態でも、ナイトカバーで前面が覆われた棚の上方空間は背面パネル5に開口した冷気吹出穴5aを通じてインナーダクト2に連通している(図4参照)。
【0013】
そのために、冷却器6を経てインナーダクト2に通風する冷気の一部は背面パネル5の冷気吹出穴5aを通じて棚前面がナイトカバーで覆われた「空」の商品陳列棚の上方空間に吹き出す。その結果、本来は保冷の必要が無い「空」の商品陳列棚の上方空間が保冷されることとなり、このままでは上段側の棚を「空」にして庫内の要保冷空間を縮小しても省エネ,節電効果を十分に発揮できない。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、保冷運転時には庫内の上下段に並ぶ商品陳列棚の商品陳列状況に応じて高い省エネ,節電効果が発揮できるように改良した冷気循環式オープンショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明によれば、前面開放形ケース本体の庫内に上下複数段の商品陳列棚を装備し、ケース本体の内箱/外箱間に画成して冷却器,ファンを配置した冷気循環ダクトを経て庫内に冷気を循環送風して庫内の陳列商品を保冷する多段形の冷気循環式オープンショーケースであって、
前記商品陳列棚はその棚板を棚ブラケットに担持してケース本体の背面パネルに架設した上で、ケース本体の天井部には前記冷気循環ダクトを通じて庫内前面域にエアカーテンを吹き出すエアカーテン吹出口を開口するとともに、庫内の背面パネルには上下各段の商品陳列棚に対応して前記冷気導風ダクトの途中経路から庫内に向けて冷気を吹き出す冷気吹出穴を開口し、さらに庫内の天井部には格納位置から下方に繰出して商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーを備えたものにおいて、
前記各段の商品陳列棚の棚板後端に対向して前記背面パネルに棚板挿入用の開閉窓を設けるとともに、商品陳列棚の棚板は棚ブラケットに対し前後スライド可能に担持した上で、選択した段の商品陳列棚の棚板を前方から押し込むことにより、棚板の後端が前記開閉窓からパネル背後の冷気循環ダクトに突き出して該ダクトの通風経路を途中で遮断するようにし(請求項1)、この構成を基本として具体的には次記の様な態様で実施するものとする。
【0016】
(1)前記構成において、商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーの格納部を庫内天井部に開口したエアカーテン吹出口よりも庫内側に配置した上で、上下段に並ぶ商品陳列棚の棚板前端に前記格納部から繰出したナイトカバーを掛け止めてその棚上方空間の前面をナイトカバーで覆うようにする(請求項2)。
(2)前記商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーの格納部を庫内天井部に開口したエアカーテン吹出口よりも庫外側に配置した上で、上下段に並ぶ商品陳列棚の棚板前端部には前記ナイトカバーを掛け止めした際に該ナイトカバーの内面に沿って上方から流下するエアカーテンの通過を許容する導風ガイドを備える(請求項3)。
(3)上下段に並ぶ商品陳列棚にはその棚板の前部に庫内前方への引出しが可能な延長部を設け、「空」になって商品陳列棚の前面をナイトカバーで覆う際に、前記延長部を前方に引き出してその先端にナイトカバーを掛けるようにする(請求項4)。
(4)上下段に並ぶ商品陳列棚の棚ブラケットに棚板を上向き角度に設定する棚角度調節機構を備え、選択した段の商品陳列棚にナイトカバーを掛けた状態では、その下位段に並ぶ棚に対する前方からの視界を広げてその棚に陳列した商品の展示効果を高めるようにする(請求項5)。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、店舗に据付けて使用する冷気循環式オープンショーケースの運用上で次記のような省エネ,節電効果の向上,改善を図ることができる。
すなわち、先述のように庫内に陳列する商品の総数を整理して商品を庫内の下段側に並ぶ商品陳列棚に移した保冷運転状態で、庫内天井部の格納部から繰出したナイトカバーを「空」になった上段側の棚に掛け止めしてその棚上方空間の前面をカバーで覆う際に、その段の棚板を前方から押し込むことにより背面パネルに設けた棚差込用の開閉窓を押し開いてその背後に突き出した棚板の後端部が冷気循環ダクトの通風路を途中で断路する。
【0018】
これにより、冷気循環ダクトの途中から背面パネルの冷気吹出穴を通じて庫内に吹き出す冷気は商品を陳列している下段側の商品陳列棚の領域に限定され、ナイトカバーで前面覆った「空」の商品陳列棚の棚上空間(この空間は保冷の必要がない)には背面パネルに穿設した冷気吹出穴を通じて庫内に冷気が通流しなくなる。その結果、ショーケースの実効的な保冷負荷が低下し、冷凍機の消費電力が低減して高い省エネ,節電効果を達成できる。
【0019】
この場合に各段の商品陳列棚の棚板前端にナイトカバーを掛け止めるようにしておくことで、庫内の商品陳列状況に応じて選択した商品陳列棚にナイトカバーを掛け止めてその棚前面を覆うことかできる。
【0020】
また、エアカーテン吹出口の庫外側に配したナイトカバーを使って「空」になって棚の前面を覆う場合でも、商品陳列棚の前端にエアカーテンの導風ガイドを設けておくことにより、ナイトカバーの内面に沿って上方から流下して来るエアカーテンを庫内の下段側領域に導風してエアカーテンの機能を維持できる。
【0021】
さらに、商品陳列棚の棚板前部に庫内前方への引出しが可能な延長部を設けたことにより、選択した段の棚板にナイトカバーを掛ける際に、前記延長部を前方に引き出すことで他段の棚との干渉無しにナイトカバーを容易に掛け止めすることができる。
【0022】
また、商品陳列棚の棚板を担持する棚ブラケットに棚板を上向き角度に設定する棚角度調節機構を設けてナイトカバーを掛け止めする「空」段の棚板を上向きの棚角度に設定することにより、その下位段に並ぶ棚に対する前方からの視界を広げてその棚に陳列した商品の展示効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に対応する冷気循環式オープンショーケースの構成図であって、(a)は庫内上段側の商品陳列棚を「空」にしてその前面をナイトカバーで覆った保冷運転の状態を表すショーケースの側視断面図、(b),(c)はそれぞれ商品陳列棚に商品を陳列した状態、および該棚を「空」にした上で棚板を上向きの棚角度に設定してナイトカバーを掛け止めした状態を表す図である。
【図2】図1(a)に対して、「空」になった棚板の棚角度を変更せずにナイトカバーを掛け止めして該棚の前面をナイトカバーで覆った保冷運転の状態を表すショーケースの側視断面図である。
【図3】本発明の実施例2に対応する冷気循環式オープンショーケースの構成図であって、(a)は庫内上段側の商品陳列棚を「空」にしてその前面をナイトカバーで覆った保冷運転の状態を表すショーケース内部の側視断面図、(b)は(a)における商品陳列棚の棚板前部に構成したエアカーテンの導風ガイドを表す斜視図である。
【図4】背面パネルから庫内に向けて冷気を吹き出す方式の従来における冷気循環式オープンショーケースの内部構造,およびその冷気循環経路を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図4に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
【実施例1】
【0025】
図1(a)〜(c)は本発明の請求項1,2,4,5に対応する実施例を示すものである。この実施例は図4で述べた冷気循環方式オープンショーケースの構成を基本として、その庫内天井部にはインナーエアカーテン吹出口2aの庫内側に並べてナイトカバー12の格納部12aを設け、庫内の上段側に並ぶ商品陳列棚8を「空」にした運転状態で、その商品陳列棚8(図中の上から3段目に並ぶ棚)の先端に前記格納部12aから繰り出したナイトカバー12を掛け止めして該棚の上方空間の前面を覆うようにしている。
【0026】
ここで、上下各段の商品陳列棚8に対応して庫内の背面パネル5には、先述した冷気吹出口5aのほかに、商品陳列棚8の棚板8aの後端に対向して棚挿入用の開閉窓5bを設けている。なお、5b−1は開閉窓5bに設けた開閉蓋であり、該開閉蓋5b−1は常時は閉じているように付勢されている。
【0027】
一方、上下各段の商品陳列棚8の棚板8aは、棚ブラケット9に対しローラなどを介して前後方向へスライド可能に担持し、さらに棚板5aの前部には前方への引出しが可能な延長部8bを備えており、その先端の棚フェンス8cには前記ナイトカバー12の先端に設けたフック12bを引っ掛ける留め具8dを備えている(図1(b)参照)。なお、8eは棚板8aの後端面に貼り付けた遮風用パッキンでありその役目は後述する。
【0028】
また、商品陳列棚8の棚ブラケット9は、前記棚板8aの棚角度を図1(b)に示す下向き角度と、図1(c)の上向き角度に切換え設定できるようにするために、その棚角度調節機構として棚ブラケット9の後端を山形の異形形状にした上で、図示の係合爪9a,9bのいずれかを選択して背面パネル5に係止固定するようにしている。
【0029】
そして、このオープンショーケースを店舗に据付けて保冷運転するに当って、先述のように陳列商品を庫内の下段側の棚に移して上段側の商品陳列棚8を「空」にした運転状態では、前記ナイトカバー12を格納部12aから繰出して「空」になった上段棚の前面を覆う際には、次記のような操作を行うようにする。
【0030】
まず、庫内全段の商品陳列棚8に商品11を陳列した通常の保冷運転状態から、図示のように上段側の3段に並ぶ商品陳列棚8に陳列した商品11(図1(b)参照)を取り出して棚を「空」にした上で、該棚に対応する棚ブラケット9を図1(a)の位置から図1(b)の位置に移し替えて棚板8aの棚角度を上向き角度に設定する。次に、この商品陳列棚8の棚板8aを後方に押し込むと、棚板8aの後端が背面パネル5に設けた開閉窓5bの開閉蓋5b−1を押し開いて棚板8aの後端部が背面パネル5の背後に突出し、この突出し位置で棚板8aを遮風ダンパとしてインナーダクト2の冷気通風路を途中で断路する。なお、この場合に棚板8aの後端に貼り付けたパッキン8eがインナーダクトの背壁に突き当たって不要な冷気漏れを防ぐ。さらに、棚板8aの延長部8bを前方に引き出した上で、その先端の留め具8dにナイトカバー12のフック12bを掛けて上段側に並ぶ「空」棚の前面を覆うようにする。
【0031】
図1(a)はこの運転時における庫内の通風状態を表しており、前記した商品陳列棚8の押込み操作により、インナーダクト2の通風路から背面パネル5の冷気吹出穴5aを通じて庫内前方に向けて吹き出す冷気Cは商品11を陳列している下段側の商品陳列棚8の領域に限定され、ナイトカバー12で前面が覆われた庫内上段側の「空」棚の上方空間(この空間は保冷の必要がない)には背面パネル5に穿設した冷気吹出穴5aを通じて庫内側に冷気が通風しなくなる。その結果として、ショーケースの実効的な保冷負荷が低下し、これに伴い冷凍機の消費電力が低減して高い省エネ,節電効果を達成できる。なお、この運転状態でも庫内前面域には、アウターダクト3からアウターエアカーテン吹出口3aを通じてエアカーテンBが吹出口形成されている。
【0032】
また、図1(a)ではナイトカバー12を掛け止めする商品陳列棚8について、その棚角度を上向きに調節設定している。これにより、その下位段に並ぶ商品陳列棚8の前方からの視界が広がって棚上に陳列した商品11の展示効果を高めることができる。
【0033】
なお、商品陳列棚8の棚角度調節は必ずしも必要ではなく、その下位段に並ぶ棚の視界拡大を特に要しない場合には、図2で示すように商品陳列棚8を定常運転時と同じ棚角度に固定したままでナイトカバー12を掛け止めするようにしてもよい。
【実施例2】
【0034】
次に、先記実施例1の応用実施例として、商品陳列棚8の先端部に本発明の請求項3に係わるエアカーテンの導風ガイドを設け、庫内天井部の前端側に配置した標準装備のナイトカバー13を使用して「空」になった上段側の棚前面を覆うようにした実施例を図3(a),(b)で説明する。
【0035】
この実施例は基本的に先記実施例1で述べたと同様な押込み操作と棚角度調節が可能な商品陳列棚8と、庫内の背面パネル5に冷気吹出口5a,および棚板8aを押し込む棚板挿入用の開閉窓5bを装備した上で、さらに各段の商品陳列棚8には、その棚板8aの先端に次記の構造になるエアカーテン導風ガイド8fを追加装備している。すなわち、図3(b)で示すように商品陳列棚8の延長部8bの前端部には、その棚幅方向に開口した導風穴8a−1、および該導風穴8a−1の内側に沿って敷設した導風ガイド壁8f−2とでエアカーテン導風ガイド8fを構成している。
【0036】
そして、庫内上段側の3段に並ぶ商品陳列棚8を「空」にした図3(a)の保冷運転状態では、ケース本体1の天井部に開口したアウターエアカーテン吹出口3aに並べてその庫外側に配備したナイトカバー13をその格納部13aから繰出して「空」になった上段側の棚前面を覆うようにする。
【0037】
また、この場合の操作としては、先記実施例1で述べたと同様に上から3段目に並ぶ「空」の商品陳列棚8の棚角度を上向きに設定し、さらにその棚板8aの後端を背面パネル5の背後に挿入してインナーダクト2の通風路途中を断路した上で、棚の延長部8bを前方に引き出してその前端にナイトカバー13を掛け止める。
【0038】
この保冷運転状態では、先記実施例1で述べたと同様に、インナーダクト2の通風路から背面パネル5の冷気吹出穴5aを通じて庫内に吹き出す冷気Cは商品11を陳列している庫内の下段側に並ぶ商品陳列棚8の領域に限定され、ナイトカバー13で前面が覆われた庫内上段側の「空」棚の上方空間(この空間は保冷の必要がない)には、背面パネル5に穿設した冷気吹出穴5aを通じて庫内側に冷気Cが通風しなくなって高い省エネ,節電効果を達成できる。
【0039】
しかも、この場合に天井部のアウターエアカーテン吹出口3aから下方に向けて吹き出し、ナイトカバー13の内面に沿って流下するエアカーテンBは、商品陳列棚8の前端部に設けた前記のエアカーテン導風ガイド8fを通過して庫内下方域の前面に導風されるので、エアカーテンBの機能が正常に維持される。なお、ナイトカバー13は、棚前面の全体を覆うカバーと兼用可能である。
【0040】
上記実施例1,2の説明で明らかなように本発明によれば、夜間,閉店間際などの商品販売数量が少ない営業時間帯に、ショーケース庫内の上段側に並ぶ商品陳列棚8を「空」にして庫内の下段側に並ぶ商品陳列棚,あるいはデッキパンに商品を移した運転状態で、庫内天井部の格納部から繰出したナイトカバー12,または13を「空」になった上段側の棚前端に掛け止めしてその棚上方空間の前面をナイトカバーで覆う際に、その段の棚板8aを前方から押し込み操作することにより、インナーダクト2の通風路途中が棚板8aで断路される。これにより、ナイトカバー12,あるいは13で前面を覆った「空」の商品陳列棚の棚上空間(この空間は保冷の必要がない)に対する背面側からの不要な冷気通風を停止してショーケースの省エネ,節電効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ケース本体
2 インナーダクト
3 アウターダクト
2a,3a エアカーテン吹出口
4 エアカーテン吸込口
5 背面パネル
5a 冷気吹出口
5b 棚板挿入用の開閉窓
6 冷却器
7 ファン
8 商品陳列棚
8a 棚板
8b 延長部
8f エアカーテン導風ガイド
9 棚ブラケット
9a,9b 棚角度調節設定用の係止爪
11 商品
12,13 ナイトカバー
12a,13a ナイトカバーの格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開放形ケース本体の庫内に上下複数段の商品陳列棚を装備し、ケース本体の内箱/外箱間に画成して冷却器,ファンを配置した冷気循環ダクトを経て庫内に冷気を循環送風して庫内の陳列商品を保冷する多段形の冷気循環式オープンショーケースであって、
前記商品陳列棚は棚板を棚ブラケットに担持してケース本体の背面パネルに架設した上で、ケース本体の天井部に前記冷気循環ダクトを通じて庫内前面域にエアカーテンを吹き出すエアカーテン吹出口を開口するとともに、庫内の背面パネルには上下各段の商品陳列棚に対応して前記冷気導風ダクトの途中経路から庫内に向けて冷気を吹き出す冷気吹出穴を開口しに、さらに庫内の天井部には格納位置から下方に繰出して商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーを備えたものにおいて、
前記各段の商品陳列棚の棚板後端に対向して前記背面パネルに棚板挿入用の開閉窓を設けるとともに、商品陳列棚は押し込み操作により棚板の後端が前記開閉窓を押し開いてパネル背後の冷気循環ダクトに突き出すように、棚板を棚ブラケットに対し前後スライド可能に担持したことを特徴とする冷気循環式オープンショーケース。
【請求項2】
請求項1に記載のオープンショーケースにおいて、商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーの格納部を庫内天井部に開口したエアカーテン吹出口よりも庫内側に配置した上で、上下段に並ぶ商品陳列棚の棚板前端に前記格納部から繰出したナイトカバーを掛け止めてその棚上方空間の前面をナイトカバーで覆うようにしたことを特徴とする冷気循環式オープンショーケース。
【請求項3】
請求項1に記載のオープンショーケースにおいて、商品陳列棚の前面を覆うナイトカバーの格納部を庫内天井部に開口したエアカーテン吹出口よりも庫外側に配置した上で、上下段に並ぶ商品陳列棚の棚板前端部には前記ナイトカバーを掛け止めした際に該ナイトカバーの内面に沿って上方から流下するエアカーテンの通過を許容する導風ガイドを備えたことを特徴とする冷気循環式オープンショーケース。
【請求項4】
請求項1ないし3の項に記載のオープンショーケースにおいて、上下段に並ぶ商品陳列棚にはその棚板の前部に庫内前方への引出しが可能な延長部を設け、「空」になって商品陳列棚の前面をナイトカバーで覆う際に、前記延長部を前方に引き出してその先端にナイトカバーを掛けるようにしたことを特徴とする冷気循環式オープンショーケース。
【請求項5】
請求項1ないし3の項に記載のオープンショーケースにおいて、上下段に並ぶ商品陳列棚の棚ブラケットが、棚板を上向き角度に設定する棚角度調節機構を備えていることを特徴とする冷気循環式オープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90864(P2013−90864A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235791(P2011−235791)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】