説明

冷菓製造装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シロップ液と炭酸ガスを主成分とする半冷凍飲料(以下「冷菓」という)を製造する冷菓製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の冷菓製造装置は、特開平8−215555号公報に記載されているように、シロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液を冷却するための円筒ケーシング(以下「冷凍ケーシング」)を備えており、この冷凍ケーシングは、一端を開口させて円筒状に形成されたケーシング本体と、このケーシング本体の開口した端部を閉塞するケーシング蓋とで構成されている。
【0003】また、この種の製造装置は、縦型のサブタンク(以下「原料液供給タンク」という)を備えている。この原料液供給タンク内にはシロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液が貯えられており、原料液供給タンク内に貯えられた原料液は、炭酸ガスボンベから原料液供給タンク内に供給される炭酸ガスのガス圧によって冷凍ケーシング内に供給されるようになっている。
【0004】上述した冷菓製造装置では、原料液供給タンクから冷凍ケーシング内に原料液を供給する時には、空気等のガスを冷凍ケーシング内から排出して冷凍ケーシング内の圧力を大気圧にする必要がある。このため、冷凍ケーシングのケーシング蓋には図7に示すようなガス抜き孔1が設けられており、このガス抜き孔1にねじ込まれた栓体2の頭部2aを図中二点鎖線で示す位置まで後退させて冷凍ケーシング内から空気等のガスを抜くようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来では栓体2の頭部2aを図中二点鎖線で示す位置まで後退させると、冷凍ケーシング内のガスがケーシング蓋3の斜め前方に向かって噴出するため、ガス抜き孔1から噴出したガスが使用者の顔や眼などに当たり、使用者に不快感を与えることがあった。本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、ケーシング蓋に設けられたガス抜き孔から噴出するガスが使用者の顔や眼に当たることによって使用者に不快感を与えることのない冷菓製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液を冷却するためのケーシング本体と該ケーシング本体の開口した端部を閉塞するケーシング蓋とからなる冷凍ケーシングと、この冷凍ケーシング内に前記原料液を供給する原料液供給管と、この原料液供給管を介して前記冷凍ケーシングに接続された原料液供給タンクとを備え、前記冷凍ケーシング内のガスを排出するためのガス抜き孔を前記ケーシング蓋に設けた冷菓製造装置において、前記ケーシング蓋の外表面と対面する端面を有するフランジを前記ガス抜き孔を密栓する栓体に設け、前記ガス抜き孔の開口径をRO、前記ガス抜き孔から噴出するガスの噴出角度をθ、前記ガス抜き孔からガスを噴出させるために必要な前記ガス抜き孔の開口から前記フランジの端面までの離間距離をLとしたとき、前記フランジの直径RFをRF>2L・tanθ+ROとしたことを特徴とする。請求項2記載の発明は、シロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液を冷却するためのケーシング本体と該ケーシング本体の開口した端部を閉塞するケーシング蓋とからなる冷凍ケーシングと、この冷凍ケーシング内に前記原料液を供給する原料液供給管と、この原料液供給管を介して前記冷凍ケーシングに接続された原料液供給タンクとを備え、前記冷凍ケーシング内のガスを排出するためのガス抜き孔を前記ケーシング蓋に設けた冷菓製造装置において、前記ガス抜き孔を密栓する栓体を前記ガス抜き孔にねじ込まれるねじ部と該ねじ部の基端部に形成された円柱部とで形成し、前記ガス抜き孔の開口径をRO、前記ガス抜き孔から噴出するガスの噴出角度をθ、前記ガス抜き孔の開口から前記円柱部の端面までの離間距離をLとしたとき、前記円柱部の直径RHをRH>2L・tanθ+ROとしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る冷菓製造装置は、炭酸ガスとシロップ液とを含有する原料液を冷却するための冷凍ケーシング11を備えている。この冷凍ケーシング11は、図2に示すように、一端を開口させて円筒状に形成されたケーシング本体12と、このケーシング本体12の開口した端部を閉塞するケーシング蓋13とで構成されており、ケーシング蓋13には、冷凍ケーシング11内から冷菓を注出するためのコック付き注出弁15が注出管14を介して取り付けられている。
【0008】ケーシング本体12は図示しない架台に横置きに設置されており、ケーシング本体12の底部には原料液入口ノズル16が設けられている。この原料液入口ノズル16には原料液供給管17の一端が接続されており、原料液供給管17の他端は、図1に示すように、開閉弁18を介して原料液供給タンク19の底部に接続されている。
【0009】原料液供給タンク19は縦型構造となっており、この原料液供給タンク19内にはシロップタンク20に貯えられたシロップ液がシロップバルブ21、フローレギュレータ22およびシロップ供給管23を介して供給されるようになっている。
【0010】原料液供給タンク19は内部が密閉されており、この原料液供給タンク19内には、貯水タンク24に貯えられた糖度調整水が給水ポンプ25、逆止弁26および給水管27を介して供給されるとともに、炭酸ガスボンベ28に充填された炭酸ガスが逆止弁29、開閉弁30、逆止弁31および炭酸ガス供給管32を介して供給されるようになっている。
【0011】ケーシング本体12はステンレス鋼等の金属で形成されており、ケーシング本体12の外周面には冷却管33(図2参照)がコイル状に巻回されている。この冷却管33は銅管等で形成されており、ケーシング本体12の外表面を覆う断熱材34の中に埋設されている。
【0012】冷却管33は図示しない凝縮器や圧縮機等の冷凍機器と冷媒回路を構成しており、冷凍ケーシング11内に供給された原料液は、冷却管33内を流通する冷媒によって冷却されるとともに、冷凍ケーシング11内に設けられた撹拌ブレード35a,35bによって撹拌されるようになっている。
【0013】撹拌ブレード35a,35bは、複数の支持部材36を介して撹拌軸37に取り付けられている。この撹拌軸37はケーシング本体12の中心部に設けられており、ケーシング蓋13には、撹拌軸37の端部を回転自在に支持する筒状の軸受部材38が取り付けられている。
【0014】撹拌軸37は軸受部材38に支持される端部と反対側の端部が冷凍ケーシング11内から外部に引き出されており、冷凍ケーシング11内から外部に引き出された撹拌軸37には駆動モータ40のモータ軸40aがトルク検出機構39を介して連結されている。
【0015】ケーシング蓋13はアクリル樹脂で形成されており、このケーシング蓋13には、冷凍ケーシング11内から空気等のガスを抜くためのガス抜き孔41(図3参照)が穿設されている。このガス抜き孔41は出口端に円錘状のザグリ面41aを有しており、このザグリ面41aにはOリング43がガス抜き孔41に差し込まれた栓体42によって押し付けられている。
【0016】栓体42はガス抜き孔41にねじ込まれるねじ部42aを有しており、このねじ部42aには、ガス抜き溝44が栓体42の軸方向に沿って形成されている。また、栓体42はねじ部42aの基端部に円柱部42bを有しており、この円柱部42bの端面には、ねじ部42aを締緩するための六角穴42cが形成されている。
【0017】一方、円柱部42bの外周面には、環状フランジ45が形成されている。このフランジ45の端面45aはケーシング蓋13の外表面に当接しており、フランジ45の直径RFは、図4に示すように、ガス抜き孔41の開口径をRO、ガス抜き孔41から噴出するガスGの噴出角度をθ、ガス抜き孔41からガスGを噴出させるために必要なガス抜き孔41の開口からフランジ45の端面45aまでの離間距離をLとすると、RF>2L・tanθ+ROに形成されている。なお、噴出角度θはザグリ面41aの角度や冷凍ケーシング1内の設定圧力等から決定されるものである。
【0018】このように栓体42に設けられたフランジ45の直径RFをRF>2L・tanθ+ROとすることにより、ガス抜き孔41から噴出したガスGがフランジ45の端面45aに衝突する。これによりガスGの噴出方向が変化し、フランジ45の端面45aに衝突した後のガスGはケーシング蓋13の外表面に沿って流れるため、ガス抜き孔41から噴出するガスGが使用者の顔や眼に当たることによって使用者に不快感を与えることを防止することができる。なお、上述した第1の実施形態ではフランジ45の端面45aがケーシング蓋13の外表面に当接するようにフランジ45を栓体42に設けたが、フランジ45の端面45aをケーシング蓋13の外表面に必ずしも当接させる必要はなく、フランジ45の端面45aがケーシング蓋13の外表面に対面していればよい。
【0019】次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6を参照して説明する。図5に示すように、本発明の第2の実施形態に係る冷菓製造装置はケーシング本体12の開口端を閉塞するケーシング蓋13を有しており、このケーシング蓋13には、ケーシング本体12とケーシング蓋13とで構成される冷凍ケーシング11内から空気等のガスを抜くためのガス抜き孔41が穿設されている。このガス抜き孔41は出口端に円錘状のザグリ面41aを有しており、このザグリ面41aにはOリング43がガス抜き孔41に差し込まれた栓体46によって押し付けられている。
【0020】栓体46はガス抜き孔41にねじ込まれるねじ部46aを有しており、このねじ部46aには、ガス抜き溝44が栓体46の軸方向に沿って形成されている。また、栓体46はねじ部46aの基端部に形成された円柱部46bと、この円柱部46bの端面に形成された締緩用の六角穴46cとを有しており、円柱部46bの直径RHは、図6に示すように、ガス抜き孔41の開口径をRO、ガス抜き孔41から噴出するガスGの噴出角度をθ、ガス抜き孔41からガスGを噴出させるために必要なガス抜き孔41の開口から円柱部46bの端面までの離間距離をLとしたとき、RH>2L・tanθ+ROに形成されている。
【0021】このように円柱部46bの直径RHをRH>2L・tanθ+ROとすることにより、ガス抜き孔41から噴出したガスGが円柱部46bの端面に衝突する。これによりガスGの噴出方向が変化し、円柱部46bの端面に衝突した後のガスGはケーシング蓋13の外表面に沿って流れるため、ガス抜き孔41から噴出するガスGが使用者の顔や眼に当たることによって使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ケーシング蓋に設けられたガス抜き孔から噴出するガスが使用者の顔や眼に当たることによって使用者に不快感を与えることのない冷菓製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る冷菓製造装置の概略構成を示す図である。
【図2】 図1に示す冷凍ケーシングの断面図である。
【図3】 図2に示すA部の拡大図である。
【図4】 図3に示すフランジの直径を説明するための図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係る冷菓製造装置の要部を示す図である。
【図6】 図3に示す円柱部の直径を説明するための図である。
【図7】 従来の冷菓製造装置を説明するための図である。
【符号の説明】
11…冷凍ケーシング、12…ケーシング本体、13…ケーシング蓋、17…原料液供給管、19…原料液供給タンク、23…シロップ供給管、32…炭酸ガス供給管、33…冷却管、35a.35b…撹拌ブレード、37…撹拌軸、39…トルク検出機構、40…駆動モータ、41…ガス抜き孔、42,46…栓体、42a,46a…ねじ部、42b,46b…円柱部、45…フランジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液を冷却するためのケーシング本体と該ケーシング本体の開口した端部を閉塞するケーシング蓋とからなる冷凍ケーシングと、この冷凍ケーシング内に前記原料液を供給する原料液供給管と、この原料液供給管を介して前記冷凍ケーシングに接続された原料液供給タンクとを備え、前記冷凍ケーシング内のガスを排出するためのガス抜き孔を前記ケーシング蓋に設けた冷菓製造装置において、前記ケーシング蓋の外表面と対面する端面を有するフランジを前記ガス抜き孔を密栓する栓体に設け、前記ガス抜き孔の開口径をRO、前記ガス抜き孔から噴出するガスの噴出角度をθ、前記ガス抜き孔からガスを噴出させるために必要な前記ガス抜き孔の開口から前記フランジの端面までの離間距離をLとしたとき、前記フランジの直径RFをRF>2L・tanθ+ROとしたことを特徴とする冷菓製造装置。
【請求項2】 シロップ液と炭酸ガスを主成分とする原料液を冷却するためのケーシング本体と該ケーシング本体の開口した端部を閉塞するケーシング蓋とからなる冷凍ケーシングと、この冷凍ケーシング内に前記原料液を供給する原料液供給管と、この原料液供給管を介して前記冷凍ケーシングに接続された原料液供給タンクとを備え、前記冷凍ケーシング内のガスを排出するためのガス抜き孔を前記ケーシング蓋に設けた冷菓製造装置において、前記ガス抜き孔を密栓する栓体を前記ガス抜き孔にねじ込まれるねじ部と該ねじ部の基端部に形成された円柱部とで形成し、前記ガス抜き孔の開口径をRO、前記ガス抜き孔から噴出するガスの噴出角度をθ、前記ガス抜き孔からガスを噴出させるために必要な前記ガス抜き孔の開口から前記円柱部の端面までの離間距離をLとしたとき、前記円柱部の直径RHをRH>2L・tanθ+ROとしたことを特徴とする冷菓製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】特許第3270735号(P3270735)
【登録日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【発行日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−96297
【出願日】平成10年4月8日(1998.4.8)
【公開番号】特開平11−289991
【公開日】平成11年10月26日(1999.10.26)
【審査請求日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【参考文献】
【文献】特開 平8−215555(JP,A)
【文献】実開 昭63−58584(JP,U)