説明

冷蔵庫および食品管理方法

【課題】 非接触で食品を検出して、食品の管理情報を算出することを目的とする。
【解決手段】 食品を収納する食品収納部と、前記食品収納部に収納された食品と非接触にセンサ電極を配置する電界センサと、前記電界センサの測定値に基づき、食品を検出し、食品の検出情報と食品に対する前記電界センサの測定値の経過に基づき、食品の管理情報を算出する制御部とを、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫および食品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭用の冷蔵庫は、冷却器で熱交換し冷却された空気が食品の貯蔵室となる冷蔵室、冷凍室、製氷室、野菜室などに送風され、保存している食品や貯蔵室全体を冷却することで加温された空気が再び冷却器に戻り冷却される、という循環形態で冷却されている。
【0003】
しかし、冷蔵庫に保存される食品の種類が多くなると、その賞味期限または在庫の管理が煩雑になる。このため、冷蔵庫使用者は食品のパッケージに印字された賞味期限の表示を確認することや、目視で食品の在庫を数える等の手間が必要になる。また、このような管理をするときに、冷蔵庫の開閉ドアを開けて高温高湿度の外気が庫内に流入することは、循環形態で冷却する冷蔵庫にとっては消費電力や食品保存状態の観点から好ましくない。このため、従来から冷蔵庫の在庫管理を自動的に行う方法が提案されている。
【0004】
冷蔵庫の在庫管理を行う従来の技術として、ドリンクホルダーや卵収納ホルダーの底部に重量センサを設け、重量センサ部にドリンクや卵が接触することによって、重量検出部が食品の重量を計測し、重量検出値の変化により食品の出し入れを検知する。これにより、新たに食品を追加してもそのたびに消費期限などのデータを入力しなくても在庫管理ができる方法が開示されている。(例えば、下記特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−113818号公報(第8−10頁、第2−5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の従来技術では、重量センサ部と食品の接触が繰り返されるために、重量センサ部の変形、汚れ、腐食といった劣化が生じて検出精度が低下するという問題点があった。また、食品の置き方、サイズ、形状によって重量センサとの接触が変わってしまうことにより測定結果にばらつきが生じ、精度よく食品の収納期間を算出することができないという問題点があった。
【0007】
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、非接触で食品を検出して、食品の管理情報を算出する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる冷蔵庫は、食品を収納する食品収納部と、前記食品収納部に収納された食品と非接触にセンサ電極を配置する電界センサと、前記電界センサの測定値に基づいて食品を検出し、食品の検出情報と食品に対する前記電界センサの測定値の経過に基づいて食品の管理情報を算出する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る冷蔵庫は、非接触で食品を検出して、食品の管理情報を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における冷蔵庫全体の断面図の一例である。
【図2】この発明の実施の形態1における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図3】この発明の実施の形態1における電界センサの上方断面図の一例である。
【図4】この発明の実施の形態1における電界センサの構成例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1における制御部の構成例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1における食品検出フローチャートの一例である。
【図7】この発明の実施の形態1における卵ケースがない場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図8】この発明の実施の形態1における卵ケースをいれた場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図9】この発明の実施の形態1における卵がいくつかの収納されている場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図10】この発明の実施の形態1における卵パック内に卵が収納されている場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図11】この発明の実施の形態1における管理情報算出部の出力の一例である。
【図12】この発明の実施の形態1における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図13】この発明の実施の形態1における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図14】この発明の実施の形態2における食品検出フローチャートの一例である。
【図15】この発明の実施の形態2における管理情報算出部の出力の一例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態2における管理情報算出部の出力の一例を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態3における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図18】この発明の実施の形態4における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。
【図19】この発明の実施の形態4におけるセンサ電極の拡大断面図の一例である。
【図20】この発明の実施の形態5におけるダミー電極を設置した場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である
【図21】この発明の実施の形態6におけるノイズ発生時の食品検出フローチャートの一例である。
【図22】この発明の実施の形態7におけるノイズ発生時に食品検出フローチャートの一例である。
【図23】この発明の実施の形態8における管理情報算出部の出力の一例を示す図である。
【図24】この発明の実施の形態9における冷蔵庫の食品収納部の拡大断面図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下に、本実施の形態にかかる冷蔵庫を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、それぞれが本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。また、以降に述べる実施の形態は食品一般、例えば、ペットボトル、紙パック類に入れられた水、茶、牛乳などの飲料物、ガラス容器に入れられたジャムや調味料、ラップ包装された乳製品、肉類、魚介類等に適用できる。以下の実施の形態では卵をこれらの食品の一例として説明を行う。
【0012】
図1は、本実施の形態における冷蔵庫全体の断面図の一例である。図1において、1は冷蔵庫本体であり、冷蔵庫1の最上段に配置される冷蔵室100と冷蔵室100の下方に冷凍温度帯(−18℃)からソフト冷凍(−7℃)、チルド、冷蔵、野菜などの温度帯に切り替えることのできる引き出しドアを備える切替室200、切替室200と冷蔵庫正面からみて横方向に並列に設けられた引き出しドアを備える製氷室500、冷蔵庫1の最下部に配置される引き出しドアを備えた野菜室400、野菜室400と切替室200および製氷室500との間に引き出しドアを備えた冷凍室300により構成される。前述の各室の前面には開閉ドア105が備えられている。冷蔵庫1の開閉ドア105の開閉を検出するドアスイッチ2、冷蔵室100の開閉ドア105前面には各室の温度や設定を調節する操作スイッチやそのときの各室の温度を表示する液晶などのパネルによって操作できる操作部5、および、その操作に連動して冷蔵庫の状態を表示する出力部6、卵を検出する電界センサ7が設置されている。なお、操作部5は冷蔵庫の中、例えば冷蔵室100の側面に設置されていても構わない。また、冷蔵室100の開閉ドア105開閉を検知するドアスイッチ2が、冷蔵庫本体1に設けられている。
【0013】
冷蔵室100には食品を凍結温度以上で保存できる最低温度(0℃)に設定されるチルド室101があり、冷蔵室100の下部に専用の収納ケースがある(図示せず)。このチルド室101の隣に卵を専用的に収納できる卵室102があり、卵を凍らせずに鮮度を良く保存するためにチルド温度帯に維持されている。ここに、引き出し式の卵ケース103があり、卵を出し入れするときに前後に動作させて使う。卵ケース103の中には卵ケース103には卵を立てた状態で収納する卵ホルダー104が設けられている。切替室200にも収納ケース201が設置されており食品を収納することができる。冷凍室300、野菜室400にも同様にそれぞれ収納ケース301、401が設置されており、食品を収納することができる。なお、卵ケース103の数は1個でもよいが、冷蔵庫全体の容量からして整理性などが向上する場合には2個以上あっても良い。その他、冷蔵庫内を冷却する装置として、圧縮機10、冷却器11、冷却器11により冷却された冷気を冷蔵庫内の各室へ送風するファン12、冷却器11により冷却された冷気を各室へ導入するための風路13、霜取制御時にのみ動作する冷却器下に配置された霜取ヒータ14、が設けられている。また冷蔵庫内の温度を設定温度に保つように、圧縮機10、冷却器11、ファン12、霜取ヒータ14等の制御および卵の食品検出と食品の管理情報を算出する制御部40が設けられている。
【0014】
図2は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室102部分の拡大断面図の一例である。本実施の形態では卵を食品例とするので、卵室102が食品収納部に対応する。図2に示すように、卵ケース103の上方には、ホコリの進入を防止し、また、持ち運び時に卵の飛び出しを防止するための卵ケース蓋106が裁置される。卵ケース103、卵ホルダー104、卵ケース蓋106は、ポリスチレンやポリプロピレンなどのプラスチック材料の成型品であることが一般的である。111から115は卵ケース103内の卵ホルダー104上に収納された卵である。
【0015】
なお、卵ケース103は、卵室102内に出し入れされた場合に、卵室102内の概ね同じ位置に配置される。例えば、配置すべき位置がわかるように、見やすい印をつけるようにしてもよい。または、奥まで卵ケース103を挿入しないと手前側が出っ張り、卵ケース103の位置がずれていることが使用者にわかるようにすることによって、ずれた位置に配置されることを防止する。この場合、正しい位置に配置されると、ケースの足がくぼみに嵌めあわされる等により、概ね同じ位置に配置される。卵ホルダー104は、清掃性を考慮して、卵ケース103から取り外しができるようになっているが、卵ケース内103に配置する場合には、概ね同じ位置に配置されるようになっている。例えば、卵ホルダー104の外側の寸法を卵ケース103の内側底面部の寸法より若干小さくして、嵌めあうようにされており、卵ホルダーの足が、卵ケースに設けられた位置決め用のくぼみに嵌めあわされるようにする。
【0016】
卵ホルダー104には、卵を立てて収納するための卵固定孔が設けられている。孔の形状は円であり、卵の形状に合わせて、孔の深さ方向に傾斜を設けている場合もある。卵の大きさは様々であるが、一般に多く市販されているMからLサイズの卵を収納した場合に、卵の先端が、卵ケース103の底面などに接触しないように、孔の直径と、孔の卵ケース103底面からの高さを決定する。以上のようにして、卵室102内で卵ケース103、卵ホルダー104を出し入れしても概ね同じ位置に配置され、また、卵を収納した場合に、卵が卵室102内の概ね同じ位置に配置されることになる。
【0017】
冷蔵庫1の各室の外周には断熱材が発泡されてことにより保冷性を高めている。図2においては卵室102の床側の仕切り109と切替室200または製氷室500の天井側の仕切り110との間に断熱材が発泡される。電界センサ7は、仕切り109と、仕切り110との間に配置され、仕切り109の下面に接する配置としている。例えば、断熱材を発泡する前に、電界センサ7を上記の位置に配置しておくことで、断熱材の発泡後に、電界センサ7の上面を除く各面は断熱材によって被覆される。なお、図2は図面を見やすくするために断熱材が発泡される前の図としている。仕切り109と仕切り110の間は空間である。以降の図においても同様とする。
【0018】
図3は、電界センサ7の上方断面図の一例である。図において、電極基材シート107上にセンサ電極116〜125が設けられている。センサ電極116〜125の位置は、卵ホルダー104の卵固定孔の区画に対応している。それぞれのセンサ電極116〜125は電気的に絶縁されている。また、それぞれのセンサ電極116〜125は信号線108と接続し、信号線108は束ねられて図示していない制御部40に接続される。図3においては卵ケース103に配置された卵ホルダー104に収納される卵数が10個の場合を示している。このように、電界センサ7は、卵ホルダー104に収納できる卵の数に応じて、センサ電極をそれぞれ区画して配置してあり、卵ホルダー104に収められた卵の有無を検出することができる。
【0019】
また、本実施の形態ではセンサ電極形状は円形としている。センサ電極116〜125の大きさは卵ホルダー104の卵固定孔程度より小さい。センサ電極116〜125を卵の下方に配置する場合には、上方から見て、センサ電極116〜125の中心と卵の中心がそれぞれ概ね一致するように、電界センサ7を配置する。
【0020】
なお、電界センサ7のセンサ電極と食品の間に介在させる部材として、シート、ケース、コーティングなどを介在させたとしても測定可能である。ここで、センサ電極と食品の間の介在物の材質は、プラスチック、ガラス、セラミックなどの絶縁体を用いることが好ましい。金属のような導体でもよいが、それと対向するセンサ電極が複数ある場合に、介在物を導体とする場合は、導体を電極に応じて区分し絶縁することが必要である。
【0021】
なお、電界センサ7内に、ICを設けて、ICと各センサ電極116〜125を配線して、検出動作を行わせてもよい。この場合、信号線108は、IC用電源およびGND線となどで構成され、卵検出信号は、ICにより、例えば1本の信号線により逐次的に制御部40に送出されるようにできるため、例えば10本の電極接続線すべてを制御部40に接続するよりも、信号線が少なくて済む。これにより配線の材料コストを削減できるとともに、取り扱い易く、製造が容易となる。さらに、接続線に重畳するノイズが低減されて、検出精度が向上する効果が得られる。
【0022】
次に、電界センサ7の動作原理について図4を用いて説明する。図4は、電界センサ7の構成例を示したものである。ここでは図3におけるセンサ電極116〜125の中から1つを選択し、センサ電極125に着目して説明する。
【0023】
電界センサ7は、図4の上段の図(a)に示すように、電圧Vの正弦波(例えば、本実施の形態において周波数は120kHzとするが、電界センサの検出感度、または、測定対象に応じて周波数は適宜調整することができる。)を発振する正弦波発振器125aが抵抗125bを介して分岐点125fに接続する。その分岐点125fから分岐された一方には、交流を直流に変換する検波器125c、不要な高周波ノイズをカットするローパスフィルタ125d及び電圧を測定する電圧計125eが接続される。その他方には静電容量を検出するためのセンサ電極125が接続される。
【0024】
ここで、センサ電極125には正弦波発振器125aによって与えられる周期的な電位の変動によって、センサ電極125の周囲に存在する物体Mを電極間物質とする仮想的なコンデンサが形成される。この仮想的なコンデンサはセンサ電極125にかかる電界の変化に応じて充電と自然放電を繰り返す。また、センサ電極125と対となる別の電極を必要としないので、簡単な構造で実用的な装置が得られる。
【0025】
この仮想的なコンデンサの電極間物質となるのはセンサ電極125から、絶縁物や導体を介して電界が減衰することによって形成される電圧0Vとなる仮想的なグランドまでの範囲に存在する物体である。例えば、センサ電極125から仮想的なグランドまでの範囲に物体Mがある場合は、仮想的なコンデンサの電極間物質に対応するものは、センサ電極125から物体Mまでの空間と、物体Mと、物体Mから仮想的なグランドまでの空間を合成した物となる。一方、物体Mがない場合は、センサ電極125から仮想的なグランドまでの空間となる。ただし、厳密には、前記以外の電界の経路による仮想的なコンデンサが合成されている。すなわち、センサ電極125と他のセンサ電極間の空間、センサ電極125と物体Mとは異なる経路と仮想的なグランド間の空間、センサ電極125の裏側の物体などが合成されている。しかしながら、これらの物体や空間はセンサ電極125を一度設置すると、検出対象である物体Mの有無による変動に比べると影響は小さく、静電容量はほとんど変化しないとみなすことができる。
【0026】
次に、電界センサ7の動作について説明する。正弦波発振器125aから供給された電圧Vの正弦波信号は、抵抗125b及び分岐点125fを通過して、センサ電極125に至り、センサ電極125の電位が変動する。これにより、センサ電極125から仮想的なグランドまでの範囲に存在する物体Mは、センサ電極125の電位に応じて充電と自然放電を繰り返す。また、分岐点125fの電圧Vgは、検波器125cによって直流に変換され、更にローパスフィルタ125dによって不要な高周波のノイズをカットした後、電圧計125eにて検出される。ここで、分岐点125fの電圧Vgは、抵抗125bによるインピーダンスをZb、センサ電極125から仮想的なグランドまでの電流の流れ難さをインピーダンスZcとすると、次式(1)で与えられる。
【0027】
Vg=V×Zc/(Zc+Zb) …(1)
ここで、抵抗125bによるインピーダンスZb及び正弦波発振器125aの電圧Vを一定値とすれば、電圧Vgは、センサ電極125によるインピーダンスZcが増加すると高くなり、インピーダンスZcが減少すると低くなる。ここで、抵抗125bはセンサ電極125によるインピーダンスZcを検出し易い値にするために設けたものであり、抵抗125bが無い構成であってもよい。
【0028】
次に、インピーダンスZcは、センサ電極125から仮想的なグランドまでの電流の流れ難さを示すものであるので、センサ電極125の電位によって生じる電界中に介在する物体MのキャパシタンスCによるインピーダンスと考えることができる。したがって、インピーダンスZcは、次式(2)で与えられる。
【0029】
Zc=1/jωC …(2)
ここで、物体MのキャパシタンスCは、センサ電極125の電界内に介在する物体Mの比誘電率k[−]、センサ電極125の面積S[m2]及び電極間(センサ電極125から仮想的なグランド間)の距離d[m]とすると、次式(3)で与えられる。
【0030】
C=k・ε0・S/d …(3)
ε0:真空誘電率8.85×10-12[F/m]
ここで、センサ電極125の電界内の電極の面積S及び電極間の距離dは数値化することが難しいが、一度センサ電極125を設置すれば変更されるものでは無いので、定数と考えることが出来る。(3)式は以下のように変形することが出来る。
【0031】
C∝k …(3)’
したがって、物体Mの比誘電率kが増加するとキャパシタンスCが増加し、数式(2)からインピーダンスZcが減少する。数式(1)からインピーダンスZcが減少すると電圧Vgが低下することがわかる。
【0032】
次に、卵出し入れ時の、電界センサ7の動作について図4の下段の図(b)を用いて説明する。センサ電極125は卵室102内の卵ホルダー104に収納された卵3の下に設置されているので、センサ電極125による電界の到達範囲はおよそ卵3の周囲となる。この電界内に介在する物体Mは、卵室102の卵ホルダー104に卵3がない場合は基本的に空気のみとなるが、卵3が収納されると、物体Mは、センサ電極125から物体までの空間と、卵である物体Mと、物体Mから仮想的なグランドまでの空間の合成になる。それまで空気であった部分の物体Mは、例えば卵である場合には、卵の組成成分の大半を占める水であるとみなすことができる。
【0033】
ここで、空気および水の比誘電率は、空気が1であるのに対し、水は例えば20℃で80、5℃で86となり、空気よりも大幅に大きい。したがって、卵室102の卵ホルダー104に卵3が入ると、空気と物体Mの卵が入れ替わる部分の比誘電率は80倍以上に増加する一方でインピーダンスZcは低下する。それに応じて電圧計125eで測定される電圧Vgは低下する。これにより、卵室102の卵ホルダー104における卵3の有無を非接触で検出することが出来る。
【0034】
次に、電界センサ7を用いた制御部40による食品を検出する機能と食品の管理情報を算出する機能について説明する。食品の管理情報とは、例えば、食品の有無、収納されている数、収納期間、鮮度等の情報である。また例えば、賞味期限や消費期限等の期限に関する情報が冷蔵庫使用者から入力されれば、それらの期限から収納期間を差し引いて保存可能期間を算出してもよい。図5は、冷蔵庫の制御部40の構成例である。制御部40は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成される。制御部40の入力側には電界センサ7と操作部5が接続される。電界センサ7は継続して測定を行い、センサ電極125によって取得された測定値を逐次制御部40に送信する。なお、電界センサ7は常時測定を繰り返し行っているものでも、所定の時間毎に測定を繰り返しているものであってもよい。
【0035】
制御部40の出力側には出力部6が接続されている。この出力部6は冷蔵庫内部の食品の管理情報を冷蔵庫使用者が庫外から見えるように表示する機能を備えている。例えば、制御部40の入力側に設置された操作部5で冷蔵庫使用者が表示を指示したときに収納されている卵の個数、収納位置毎の卵の有無や保存日数などを表示する。
【0036】
制御部40は、電界センサ7から送信される測定値データを受信する電界センサ出力受信部41と、受信した電界センサ7の測定値を記録する電界センサ出力記録部42と、電界センサ出力受信部41から出力されるデータと電界センサ出力記録部42のデータを比較して差を求め、その差と所定の閾値を比較する電界センサ出力比較部43と、電界センサ出力比較部43の比較に基づき食品の有無を検出する食品検出部44と、食品検出部44による食品の有無についての検出結果と電界センサ7の測定値の経過に基づいて食品の在庫、収納期間、鮮度に関する情報といった管理情報を算出する管理情報算出部45を有している。また管理情報算出部45からの管理情報は出力部6によって出力される。
【0037】
なお、本実施の形態においては出力部6から出力される管理情報は画像若しくは文字情報として出力部6によって表示される。または、音若しくは声にて前記管理情報を発音する発音装置、無線若しくは有線により冷蔵庫使用者の使用する携帯端末やパーソナルコンピューターなどの外部の端末に管理情報を送信する通信装置であってもよい。また、例えば、制御部40には、圧縮機10、冷却器11、ファン12、霜取ヒータ14などを制御する図示していない機能部が含まれていてもよく、上述の操作部5と出力部6はそれらにも接続されていてもよい。また、図5は構成の一例であるので、例えば、図示されている複数の機能部が同一のハードウェアによって実行されていてもよい。
【0038】
次に、実際に食品を検出する時の電界センサ7と制御部40の動作例を、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態における食品検出フローチャートの一例である。始めに、卵を検出するまでのステップ1からステップ4までのフローについて説明する。卵以外の食品にも同様の制御動作により食品を検出することが可能である。
【0039】
まず、冷蔵庫本体1の電源を投入すると、制御部40は、圧縮機10を駆動させるとともに、ファン12を駆動させ、冷蔵庫の各室の温度があらかじめ定められた設定温度になるまで下げる。電界センサ7の測定値は温度変化の影響を受けるため、制御部40は温度が安定するまでは測定を開始させない。
【0040】
冷蔵庫の温度が安定した状態になると、制御部40は電界センサ7の検出を開始させる。ここで一例として、本体電源投入時には卵室102には何も収納されていないとする。図7は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室に卵ケース103がない場合の拡大断面図の一例である。卵室102には、卵ケース103および卵は収納されていない。センサ電極116〜120の検出する空間の誘電率がもっとも小さい基準状態となる。このときの検出電圧値をV0とする。
【0041】
また、図8は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室に卵ケースがある場合の拡大断面図の一例である。図示するように卵ケース103内に卵ホルダー104が配置されて、卵は収納されずに、空の卵ケース103が卵室102に収容されている場合である。ここで、卵ケース103の一般的な材質であるポリスチレン(PS)の比誘電率は、2.5〜2.7、ポリプロピレン(PP)は2.2〜2.6である。また、他の材料としてポリエチレンは、2.3〜2.4、ABS樹脂は、2.8〜3.0であり、これらのプラスチック材料においては、比誘電率は、2〜3程度の値である。プラスチック材料の卵ケース103が、センサ電極の前に置かれた場合、卵ケース103および卵ホルダー104が占める部分の比誘電率1の空気が、比誘電率2.5〜2.7のポリスチレンに置き換わるため、センサ電極で検出されるキャパシタンスはわずかに増加する。このときの検出電圧値をV1とする。
【0042】
電界センサ7は継続して測定を行い、得られた測定値は制御部40の電界センサ出力受信部41により受信されるとともに、電界センサ出力記録部42にVs(n)として記録される(ステップ1)。ここでVs(n)のnは、卵室102に収納できる卵の個数相当の値であり、例えば、卵パックに詰められた卵総個数10であればn=10となる。なお、電界センサ7の検出電圧値は前述の図4における分岐点125fの電圧Vgであるが、Vgを変換したものを食品検出に用いてもよい。例えば、Vs(n)はVgを変換し、静電容量の増加に伴いセンサ出力が増加する構成にした検出電圧値である。また、例えば、検出した電圧を電源電圧から差し引いて極性を反転させた電圧として検出したり、電流から検出したり、回路の共振周波数から検出する方法などを用いてもよい。
【0043】
電界センサ出力記録部42は次に測定値データを受信する前に、記録されている測定値データを1つ前の過去の測定値Vs1(n)として保存する(ステップ2)。次に電界センサ7によって測定された測定値も同様に、電界センサ出力受信部41により受信されるとともに、電界センサ出力記録部42に現在の測定値Vs(n)として記録される(ステップ3)。
【0044】
電界センサ出力比較部43は電界センサ出力受信部41から送信される現在の測定値Vs(n)と、電界センサ出力記録部42から送信される過去の測定値Vs1(n)との差分をとり、所定の閾値Vth1(n)と比較を行う。ここで閾値Vth1(n)は卵が収納された場合の電圧変化を検出ための値であり、卵が収納されていない状態での電圧変動よりも大きな値に設定されている。例えば、基準状態から空の卵ケース収納状態の電圧変化は、現在の測定値Vs(n)がV1、過去の測定値Vs1(n)がV0とすると、その差分はV1−V0である。電界センサ出力比較部43ではV1−V0と所定の閾値Vth1(n)とを比較し、閾値Vth1(n)はV1−V0よりも大きな値に設定されているので、V1−V0はVth1(n)より小さいと判断される(ステップ4)。この場合、食品検出部44にて食品が有るとは検出されない。そして再度、現在の測定値V1が過去の測定値としてVs1(n)に上書きされ(ステップ2)、次の測定結果を受信してVs(n)を現在の測定値として記録する(ステップ3)。卵が収納されない場合では測定値はV1となるので、差分はほぼ0となり、ステップ4において差分が閾値Vth1(n)を超えることはなく、ステップ2からステップ4を繰り返すこととなる。
【0045】
図9は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室に卵がいくつか収納されている場合の拡大断面図の一例である。センサ電極116に対応する位置に卵111が収納されると、前述のとおり卵は誘電率が80前後であるので、センサ電極116で検出されるキャパシタンスは大幅に増加する。このときの検出電圧値をV2とする。この測定値は電界センサ出力受信部41によって受信されるとともに、電界センサ出力記録部42にも記録される。空の卵ケース収納状態から卵を収納した状態への電圧変化は、電界センサ出力比較部43によって差分V2−V1として算出される。この電圧変化は大きいため、検出が容易である。電界センサ出力比較部43の出力は食品検出判定部44に送られ、閾値を超えていると判断されて、卵が有ると検出される(ステップ4)。
【0046】
一方、センサ電極118、120に対応する位置には卵が収納されていない。その空間127、128の比誘電率は空気の1のままであるため、このときの検出電圧値は卵ケース103に卵が収納されていない場合の電圧とほぼ等しい。これをV11とする。実際には周囲の卵、センサ電極の影響も含まれるためV11はV1と同じにはならないが、その影響は小さく、閾値Vth1(n)を超える値とはならないため、食品検出判定部44は電極118、120に対応する空間127、128に卵が収納されていないことを検出できる。なお、隣の区画の卵の収納状況による影響を補正することも可能である。例えば、近接する区画に卵が収納された場合の検出電圧値を、電界センサ出力記録部42に予め保持しておくことにより、電界センサ出力比較部43で比較する際に、近接する区画に卵が有る場合には、その影響の値を検出電圧値から差し引く等の補正をすれば、より正確な検出ができる。
【0047】
なお、電界センサ出力記録部42に記録されている1つ前の過去の測定値との差分を求めたが、例えば、V1はV0とほぼ等しいので、V0を基準としてその値を固定して差を求めるとしてもよい。また、電界センサ出力記録部42において1つ前の過去の測定値だけでなく、複数の過去の測定値を記録できるようにして、それらの平均値、若しくは、それらに係数をつけて重み付ける等により算出した値と、現在の測定値との差分を求めることも可能である。または、V1とV0はほぼ0でありV2の値はそれらに比べて大きい。したがって、現在の測定値と過去の測定値との差を求めずに、現在の測定値と閾値との比較によって食品の有無を検出することも可能である。
【0048】
図10は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室に卵パックに収納されたままの卵が収納されている場合の拡大断面図の一例である。図のように、卵が卵パック129および130に収納されたまま卵ケース103に収納されると、センサ電極116と卵111の間に卵パック130が介在した状態となる。卵パック130に用いられる材料の比誘電率は、PETは2.9〜3.4、塩化ビニールは2.8〜3.1、ポリスチレン2.5〜2.7、紙2.0〜2.6であり、検出対象である卵の比誘電率80に対して大幅に小さい。卵パックが介在する場合には、電極116〜120で検出されるキャパシタンスはそれぞれわずかに増加する。このときの卵が収納されている場合の検出電圧値をV21、収納されていない場合の検出電圧値をV12とする。
【0049】
したがって、前述のように電界センサ出力比較部43でのV21−V1の値が閾値を超えることを検出すれば、卵が収納されたことを検出できる。この電圧変化は大きいため、検出が容易である。また、V12−V1の値が閾値を超えないことを検出すれば、卵が収納されていないことを検出できる。
【0050】
次に、図6の食品検出フローチャートに戻り、次に卵が有ると検出してからのステップ5からステップ11について説明する。
【0051】
閾値Vth1(n)を超えたと判断された場合に、その測定値である電界センサ出力記録部42に記録されている現在の測定値Vs(n)を過去の測定値Vs1(n)にする。また、管理情報算出部45は卵の収納期間のカウントを開始する(ステップ5)。
【0052】
次に、電界センサ7による卵のセンシングによってVs(n)を検出し、制御部40の電界センサ出力受信部41で測定値データを受信、電界センサ出力記録部42に測定値を現在のVs(n)として記録する(ステップ6)。次に、電界センサ出力比較部43にて現在の測定値Vs(n)と1つ前の過去の測定値Vs1(n)との差を求め、閾値Vth2(n)と比較を行う(ステップ7)。ここで、閾値Vth2(n)は卵が収納されている状態での卵の乾燥による水分減少や近傍の区画の卵の出し入れの影響、開閉ドア105の開放によって生じる卵室の温度、湿度の変動により生じる電圧変動程度の値に設定されている。これにより上記差分がVth2(n)の範囲内であれば同一の卵が収納されたままであると判断することができる。閾値以下と判断された場合は、食品検出部44は卵有りと判断し、管理情報算出部45の収納期間のカウントを維持し、出力部6に卵ありとの表示を出力させる(ステップ8)。次の測定値との比較を行うために、ステップ5からステップ8を繰り返す。
【0053】
一方、閾値Vth2(n)を超える場合には、卵が取り出されたか、または別の卵に置き換えられたことが考えられる。このため、電界センサ出力比較部43は現在の測定値と過去の測定値の差分と閾値Vth1(n)との比較を行う(ステップ9)。卵が取り出された場合には、現在の測定値はほぼ0となり、過去の測定値には卵が収納されている時の値であるので、その差分はVth1(n)を超えることとなる。この場合には食品検出部44は卵なしと判断し、管理情報算出部45は収納期間のカウントを停止する。そして出力部6に卵なしとの表示を出力させる(ステップ10)。また、別の卵に置き換えられた場合には、現在の測定値と過去の測定値との間の差分は卵の有無により生じる差分よりも小さいため、閾値Vth1(n)よりも小さな値となる。この場合、食品検出部45は卵有りと判断し、管理情報算出部45は収納期間のカウントをリセットし、はじめから数え直しを行う。また、出力部6に卵ありと表示をさせる(ステップ11)。卵が無いと判断された場合はC1に戻り、卵が有りと判断された場合はC2に戻る。
【0054】
図11は管理情報算出部45の出力の一例である。上段のグラフは電界センサ7の出力、下段のグラフは保存日数を表す。卵が収納されると電界センサ7の出力Vs(n)は大幅に増加し、収納期間のカウントが開始される。収納期間のカウントの例として、1日経過する毎に累積的に加算して保存日数を算出する。卵が取り出されると、収納期間のカウントを停止し、保存日数を0にする。また、卵の乾燥により水分量が失われていくと、電界センサ7の測定値は徐々に低下していく。電界センサ7の出力はこれを反映して変動していくため、この変化を検出すれば卵の水分変動量を検出することが可能となる。管理情報算出部45は電界センサ出力比較部43の測定値の差からVs(n)の変動値をモニタするか、または、直接電界センサ7の測定値をモニタすることによって、この変化値を取得する。卵の水分量の減少は卵の鮮度を示す指標として冷蔵庫使用者に提示することができる。なお、特に冷蔵庫は湿度の低い冷気が循環しているため卵のみならず、肉類、魚介類、野菜類などでも冷気に触れることによって乾燥していく。また、これらの食品における水分減少は食感や見た目にも影響し、鮮度を示す一指標といえるため、卵以外のこれらの食品にも本実施の形態を適用することができる。従来技術の重量センサでは重みでしか食品を判断することが出来ないため、乾燥により鮮度が低下している食品であっても新鮮な状態の食品と同じ重さであれば同じものと判定されてしまう。この点、電界センサ7による測定では食品の鮮度に関する管理情報も得ることができるという効果がある。
【0055】
なお、保存日の出力表示は、冷蔵庫使用者が操作部5の操作によりリセットできるようにしてあってもよい。これにより、電界センサ7で検出できないほど測定値がほぼ等しい卵が新しく入れ替わっても収納期間を継続カウントする誤動作を回避できる。
【0056】
以上のように、電界センサ7を用いた非接触で食品を検出することで、センサ電極の変形、汚れ、腐食といった劣化を防止し、検出精度を維持することができる。また、非接触であることから食品の置き方、サイズ、形状による測定ばらつきを抑えることができるため、精度よく食品の管理情報を算出することができる。これにより、適切な在庫情報を冷蔵庫使用者に表示することが可能となる。また、開閉ドアを開けて食品の賞味期限を確認する手間が無くなり、食品の収納期間を覚えていなくても出力部の表示から食品の収納期間を知ることができる。これにより使い勝手を向上した冷蔵庫を提供できる。また、開閉ドアを開けることによる庫内の温度上昇を冷却するためのエネルギー消費を削減することができる。またさらに、非接触で測定できることから、電界センサ7を断熱材に被覆させて冷蔵庫内に設置することも可能となる。これにより、水分の浸入を防止し、結露によるノイズを拾うことなく、外気の流入などによる環境の変化の影響を低減して精度良く卵の有無を検出することが出来る。また、冷蔵室に比べて低温な製氷室等と接する場合であっても、断熱材を充填することにより、冷蔵室と製氷室間の温度変化が電界センサ7に与える影響を抑制し、検出精度を向上させることができる。またさらには、断熱材に埋設することで、卵室の底面にこれに起因する段差や溝などがない。これにより、清掃時に汚れを拭き残すことがなく、清掃性に影響を与えずに本実施の形態を実現することができる。
【0057】
なお、電界センサ7の設置する位置として、図2では仕切り109の下面に接触させていたが、これ以外の位置に設置することも可能である。図12に冷蔵庫の卵室102の拡大断面図の一例を示す。図示するように電界センサ7を収納したケースを卵室102の床側の仕切り109から下方に離した位置に配置して断熱材により電界センサ7を全部被覆することも可能である。この場合には断熱材を発泡した後に、卵室102の床側の仕切り109の下面と電界センサ7の上面の間にも断熱材が入り込むこととなる。一般的な断熱材として用いられるウレタンやポリスチレンなどの比誘電率は10以下と水に比べると充分小さく、電界センサ7の上面を被覆したとしても測定値への影響が小さい。また、センサ電極を卵室102の床側の仕切り109に密着した場合に比べて、検出値が受ける庫内温度変化や結露の影響をさらに低減して、検出精度を向上させることができる。
【0058】
また、電界センサ7の別の設置例として、図13に冷蔵庫の卵室102の拡大断面図を示す。図示するように電界センサ7の下面は断熱材によって被覆され、側面を卵室102の床側の仕切り109に埋設されるが、その表面を露出させて配置とすることも可能である。この配置では、センサ電極と卵の距離が近くなるので、卵の収納に起因するキャパシタンスの変化をセンサ電極が検出しやすくなる。
【0059】
実施の形態2.
実施の形態1においては、開閉ドア105の開放に関わりなく、電界センサ7の測定を継続していたが、本実施の形態においては、開閉ドア105の開閉に応じて電界センサ7の測定を制御する構成としている。
【0060】
図14を用いて本実施の形態における電界センサ7の測定の制御を説明する。図14は、本実施の形態における食品検出フローチャートである。実施の形態1と同じ機能を示すステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態において追加されているステップは、卵が検出されていない状態におけるステップ21とステップ22、卵が検出されている状態におけるステップ23とステップ24である。
【0061】
まず、冷蔵庫が稼動し、温度等が安定している状態で既に卵のセンシングを開始している状態であるとする。このとき、ステップ2からステップ4までの処理が繰り返される。ステップ2の動作後に、制御部40はドアスイッチ2の出力変化から冷蔵室100の開閉ドア105が開いているかどうかを判定する(ステップ21)。開閉ドア105が開いていないと判断した場合には、そのままステップ2からステップ4の一連の動作を繰り返す。一方、開閉ドア105が開いていると判断した場合は、外気の流入等により誤った値を算出して卵を誤検知してしまうことがあるため、電界センサ7の測定を停止し、Vs(n)の検出を止める(ステップ22)。そして再度ステップ21で制御部40は冷蔵庫の開閉ドア105が閉まったかどうかを判定する。開閉ドア105が閉まっていないと判断した場合は電界センサ7のセンシングを停止し続け(ステップ22)、開閉ドア105が閉まっていると判断した場合は、ステップ3に移る。
【0062】
同様に、卵が有ると検出した後のフローにおいて、ステップ5の動作後に制御部40はドアスイッチ2の出力変化から冷蔵室100の開閉ドア105が開いているかどうかを判定する(ステップ23)。開閉ドア105が開いていないと判断した場合には、ステップ5からステップ8の一連の動作を繰り返す。一方、開閉ドア105が開いていると判断した場合は、卵ケース103を引き出すだけで実際に卵を取り出さないことを誤ってVs(n)が0、すなわち卵がなくなった状態と誤検知することや、外気の流入により誤った値を算出してしまうことがあるため、電界センサ7の測定を停止し、Vs(n)の検出を止める(ステップ24)。そして再度ステップ23で制御部40はドアスイッチ2の出力変化から冷蔵庫の開閉ドア105が閉まったかどうかを判定する。開閉ドア105が閉まっていないと判断した場合は電界センサ7のセンシングを停止し続け(ステップ24)、開閉ドア105が閉まっていると判断した場合は、ステップ6に移る。
【0063】
次に、本実施の形態にかかる卵出し入れ時の冷蔵庫動作と電界センサ7の出力Vs(n)と保存日時の変化に関するグラフの一例について、図15と図16を用いて説明する。図15、図16は本実施の形態における管理情報算出部45の出力の一例を示す図である。図15は卵を取り出して空になった場合、図16は卵を取り出して新しい卵を入れる場合をそれぞれ表す。図15と図16の横軸は時間を示す。最上段のグラフは電界センサ7の出力Vs(n)の値を示している。中段のグラフは冷蔵室100の開閉ドア105の開閉を示すグラフであり、グラフが立ち上がるところで冷蔵室の開閉ドア105が開いていることを示し、それ以外の部分では冷蔵室100の開閉ドア105が閉まっていることを示す。また、最下段のグラフは保存日数を示している。保存日が1日経過する毎に、一日ずつ保存日数を累積的に加算していく。
【0064】
まず、図15について説明する。冷蔵室100の開閉ドア105を開閉させて卵を収納すると、開閉ドア105が閉じたときにVs(n)が上がる。この時点から一日毎に累積的に保存日数を加算して、卵の収納期間を算出する。その後、この卵が何日か使われないまま経過すると、卵から水分が徐々に蒸散していき卵の水分量が減るので、卵の静電容量が低下し、電界センサ出力値も低下しVs(n)も低下していく。卵を取り出さずに、開閉ドア105を開閉したときは、静電容量が変化しないので、その前後でVs(n)は変化しない。従って、保存日数の表示もリセットされない。次の開閉ドア105の開閉時に卵が取り出されると、静電容量が空気のみの値となるため、電界センサ7の出力Vs(n)がほぼ0になり、収納期間がリセットされて保存日数表示も0になる。
【0065】
次に、図16について説明する。冷蔵室100の開閉ドア105を開閉させて卵を収納すると、開閉ドア105が閉じたときにVs(n)が上がる。この時点から一日毎に累積的に保存日数を加算して、卵の収納期間を算出する。その後、この卵が何日か使われないまま経過すると、卵から水分が徐々に蒸散していき卵の水分量が減るので、卵の静電容量が低下し、電界センサ出力値も低下しVs(n)も低下していく。開閉ドア105を開閉して、卵を新しい卵に交換したときは、空になったときほど大きくはないが静電容量が変化するので、その前後でVs(n)は変化する。このときに、実施の形態1で説明した所定の閾値Vth2(n)と変化量を比較し、新しい卵が入っていると判定する。この場合も新しく収納された卵に対して収納期間を算出する必要があるので、収納期間がリセットされて保存日数表示を0にしてから、1日毎に日数を加算していく。
【0066】
以上のように、開閉ドア105が開放されているときに電界センサ7による測定を行わないこととする構成により、開閉ドア105を開けて食品を移動させるだけの動作を、食品がなくなった状態と誤検知して管理情報をリセットしてしまうことや、外気の流入により誤った管理情報の算出してしまうことを防止できる。
【0067】
実施の形態3.
実施の形態1においては、電界センサ7のセンサ電極116〜120および電極基材シート107をケースに収容していたが、本実施の形態においては、ケースなしの電界センサ7としている。
【0068】
図17は、本発明の実施の形態における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。図示するように、センサ電極116〜120は、卵室102の床側の仕切り109の下面に密着されている。または、直接卵ケース103の底面に密着している構成であってもよい。以上のような構成にすることによって、センサ電極116〜120と卵との距離が短縮されて、検出の感度が向上する。また、ケースが不要となることで電界センサ7の構造が簡単になる。これによって開閉ドア105のドアポケットに設置するなど取り付け場所の自由度が増すことに加え、低コストで本実施の形態を実現することができる。さらには、電界センサ7のセンサ電極を金属薄膜によって構成されるシート状導電部材とすると、シート状導電部材は薄いため設置スペースを要せず、また、設置場所の形状に応じて曲率をつけるなどの形状を可変とすることが出来るため、様々な場所に対応することが可能となる。
【0069】
実施の形態4.
実施の形態1においては、電界センサ7のセンサ電極を円形として、大きさは卵ホルダー104の卵固定孔程度より小さいものとしていたが、本実施の形態では、卵の半径よりも小さい円形としている。
【0070】
図18は、本実施の形態における冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例、図19は同図のセンサ電極の上方断面図の一例である。センサ電極131〜140の形状は、例えば、図19に示すように、卵の短径方向の半径よりも小さい円としている。このようにセンサ電極のサイズを小さくすることにより、隣のセンサ電極や隣の卵との距離が大きくなり、影響を受けにくくなる。検出すべき位置への卵の収納による空間の誘電率の変動をより大きく受けることが可能となって、感度が向上する。また、センサ電極の形状は、円でなくとも、ドーナツ形状や多角形等の測定対象に合わせた形状とすることができる。
【0071】
なお、センサ電極はシート状でなくともよく、例えば、短冊状の金属板や、プリント基板上に電極をエッチングや印刷によって形成したものなどでもよい。特に、プリント基板上に電極を形成した場合には、電界センサ用のICを同基板上に形成しておけば、前述のように配線を減らすことができる等、電極の取り扱いが容易になる。
【0072】
また、センサ電極の取り付け位置は、検出しようとする物体の近傍であればよく、卵に対して、側方や上方に設けても、同様の効果を奏する。側方に設けた場合には、電極を大きくすることができて、検出の感度が向上する。上方に設けた場合には、卵の気室側を検出することになるため、卵の鮮度の低下に伴う、気室の拡大を電界センサにより直接検出することができて、卵の鮮度を測定することができる。上方に設ける場合には、卵室102の天井面に設けてもよいし、卵ケース蓋106に設けることも可能である。卵ケース蓋106に設ける場合には、非接触給電や非接触通信(無線、光など)を備えることにより、蓋への結線が不要となり、より使い勝手のよい卵ケース蓋106を提供できる。また、卵室102および卵ケース103は、開閉ドア105に設置されていてもよく、電界センサ7の検出用電極を卵の近傍に配置すれば、同様の効果を奏する。
【0073】
実施の形態5.
実施の形態1においては、センサ電極116〜120により食品の水分量変化を検出していたが、本実施の形態においては、食品収納部である卵室102内の温湿度変化を検出するダミー電極を設ける構成としている。
【0074】
図20は本実施の形態におけるダミー電極141を設置した場合の冷蔵庫の卵室の拡大断面図の一例である。図示するようにダミー電極141は、卵の有無に影響を受けずに検出できるように、卵が収納されていない場所に設置されている。センサ電極116〜120は卵の水分量を監視しているので、卵室102内の温湿度の変化は、センサ電極116〜120の出力に影響を与える。ダミー電極141は温湿度変化を検出すると、図示されていない制御部40に信号を送る。制御部40では温度、湿度による電界センサ7の測定値の変動量を算出する。ここで前述のように、水の比誘電率は温度依存性をもち、20℃で80、5℃で86であるから、外気の流入により食品を保存している場所の温度が変わった場合には、それに起因する変動分を電界センサ7が検出した測定値の変化量から補正する。同様に外気の流入により食品を保存している場所の湿度が変わった場合には、制御部は湿度変化から算出される電界センサ7で検出する測定値の変化量に対しても補正を行う。このような補正量は、例えば、制御部40に温度、湿度に対する電界センサ7の測定値の変化量を示すテーブルが格納されていて、それに基づいて算出するものでよい。
【0075】
以上の構成によって、ダミー電極141を設けて温湿度による影響を受けない検出を行うと、開閉ドア105の開閉時の外気の流入による電界センサ7の出力変動を食品の入れ替えと誤検出することができる。例えば、入れたはずのない場所に卵があるかのように表示され、一定時間後にその表示が消えることや、開閉ドア105を開けて湿度が上がったことが、古い卵を新しい卵に置き換えたと誤検出をして収納期間をリセットしてしまうこと等を防止することができる。また、電界センサ7を開閉ドア105近傍にあるドアポケットなどの開閉ドア105の開放による外気の影響を受けやすい場所に配置する場合には、断熱材によって電界センサ7を埋設しなくても正しい測定値を算出することができる。なお、本実施の形態では温湿度を検出できるダミー電極141を1つ設けるとしたが、ダミー電極を複数設けることも可能であり、また、温度と湿度を同一の検出器により測定するのではなく別々に測定して補正すること、または、温度と湿度の両方の測定値に基づく補正ではなく、温度と湿度のいずれか一方の測定値に基づき補正するものであってもよい。
【0076】
実施の形態6.
本実施の形態においては、圧縮機10やファン12などの回転数により電界センサ7に制御上修正しきれないほどのノイズが重畳する場合には、圧縮機10およびファン12が停止したときに電界センサ7による測定を行うように制御する。
【0077】
図21を用いて本実施の形態おける制御部40の制御動作を説明する。図21は、本実施の形態におけるノイズ発生時の食品検出フローチャートの一例である。
【0078】
Vs(n)値の検出が開始されると、まず、ステップ61において、制御部40は検出電圧に所定値以上のノイズが重畳していないかを判断する。このノイズ検出手段として、例えば、電界センサ出力比較部43において、電界センサ出力記録部42に記録されている直近5回の検出電圧の測定値から、その平均値と最大値あるいは平均値と最小値との差が所定値以上となるかを判定する。所定値未満となり、ノイズの影響が小さくノイズなしと判断された場合には、ステップ64において、Vs(n)を検出して卵検出のサブルーチンを終了する。逆に所定値以上となりノイズなしとは判断されなかった場合には、ステップ62に進む。なお、ノイズ検出手段として圧縮機10やファン12の振動を直接検出するモニタを設けて、振動からノイズを推定することも可能である。
【0079】
ステップ62では、制御部40はノイズ発生の要因であるファン12および圧縮機10が停止しているかを判断する。ファン12および圧縮機10が停止していないと判断された場合には、ステップ63においてファン12および圧縮機10の停止処理を実行して、ステップ61に戻る。制御部40がファン12および圧縮機10が停止していると判断した場合には、ステップ64に進み、Vs(n)を検出して卵センシングのサブルーチンを終了する。
【0080】
以上のように、電界センサ7の検出値にノイズが多い場合には、ファン12および圧縮機10を停止して、食品の収納情報検出を実行するようにしたので、ノイズが多い場合でも、検出の精度を向上させることができる。
【0081】
実施の形態7.
実施の形態6では、ノイズの原因としてファンと圧縮機の両方を停止させる構成としたが、本実施の形態においては、ファン12を優先的に停止して食品の収納情報検出を実行することができるようにしている。
【0082】
本実施の形態にかかる冷蔵庫においては、例えば、ファン12が電界センサ7の近くにあり、圧縮機10は、電界センサ7から遠く離れた位置に備え付けられているものとする。この場合、検出値のノイズは、ファンが主な原因となることがある。冷蔵庫の運転効率を考えると圧縮機10を停止しないほうが良いので、まずファン12を優先的に停止させる制御を行う。
【0083】
図22を用いて本実施の形態おける制御部40の制御動作を説明する。図22は、本実施の形態におけるノイズ発生時の食品検出フローチャートの一例である。
【0084】
まず、ステップ71において、制御部40は検出電圧に所定値以上のノイズが重畳していないかを判断する。この方法は、例えば、実施の形態5と同様に電界センサ出力比較部43において、電界センサ出力記録部42に記録されている直近5回の検出電圧の測定値から、その平均値と最大値あるいは平均値と最小値との差が所定値以上となるかを判定する。この方法によりノイズの影響が所定値未満と小さく、ノイズなしと判断された場合には、ステップ76において、Vs(n)を検出して卵センシングのサブルーチンを終了する。所定値以上となりノイズなしとは判断されない場合には、ステップ72に進む。なお、ノイズ検出手段として圧縮機10やファン12の振動を直接検出するモニタを設けて、振動からノイズを推定することも可能である。
【0085】
ステップ72では、制御部40はノイズ発生の要因であるファン12が停止しているかを判断する。ファン12が停止していないと判断した場合には、ステップ73においてファン12の停止処理を実行して、ステップ71に戻る。一方、ファン12が停止していると判断した場合には、ステップ74に進む。
【0086】
このときはファン12を停止してもノイズが減らない状況であるから、ノイズの原因はファン12ではなく、圧縮機10となっている可能性がある。ステップ74では、制御部40はノイズ発生の要因である圧縮機10が停止しているかを判断する。圧縮機10が停止していないと判断した場合には、ステップ75において圧縮機10の停止処理を実行して、ステップ71に戻る。圧縮機10が停止していると判断した場合には、ステップ76に進み、Vs(n)を検出して卵センシングのサブルーチンを終了する。
【0087】
以上のように、電界センサ7の検出値にノイズが多い場合には、まず、ファン12を優先的に停止し、ノイズが低減されれば検出を実行する構成としている。それでもまだ、ノイズが多い場合には、圧縮機10を停止して検出を実行するようにしたので、ファン12によるノイズが多い場合には、ファン12のみを停止し、圧縮機10を停止せずに電界センサ7の測定をすることができるので、冷蔵庫の運転効率の低下を抑制しながら、検出の精度を向上させることができる。
【0088】
実施の形態8.
実施の形態2では、冷蔵室の開閉ドア105が開いている場合には電界センサ7は測定を行わないとしていたが、本実施の形態では測定を継続する。ただし、予め設定された時間T0より長い時間、電界センサ出力が0とならない場合は、単に卵を卵ホルダー103内で移動させただけと判断し、時間T0以上の時間が経過した場合には新しい卵が追加されたと判断する構成としている。
【0089】
図23は本実施の形態にかかる管理情報算出部45の出力の一例を示す図である。図中の最上段の電界センサ出力を示すグラフに図示されている時間T1とT2は卵が無いと判断される状態が継続した時間である。本実施の形態では電界センサ7の出力がほぼ0となる時間としている。また、制御部40には電界センサ7の出力がほぼ0となり再度値が上がるまで時間T0を予め設定しておく。時間T0よりも短い時間T1の間、電界センサ7の出力がほぼ0となり再度値が上がる場合は、新しい卵を追加されたのではなく元々卵室102に収納されていた卵が移動しただけとみなす。一方、時間T0よりも長い時間T2の間、電界センサ出力がほぼ0となり再度値が上がる場合には、新しい卵が追加されたとみなす。
【0090】
以上のような構成により、卵室内の卵の移動を新しい卵が収納されたと判断する誤動作を回避することができる。また、開閉ドア105を開けた状態でも電界センサ7で監視を続け、電界センサ出力が低下する時間も新しい卵の収納の判定条件とすることで、開閉ドア105を開けたときに高温多湿の外気が流入して電界センサ出力が上昇しても、既に収納されている卵を新しい卵であると誤判断することを防止することができる。またさらに、ドアスイッチ2に連動させて電界センサ7の測定を制御する必要がなくなり、制御を簡単にすることができる。
【0091】
実施の形態9.
上記実施の形態では、卵を食品の一例として説明したが、本実施の形態ではペットボトル、紙パック類に入れられた水、茶、牛乳などの飲料物、ガラス容器に入れられたジャムや調味料等の比較的大きい対象を測定するために、食品収納部の底面側に電界センサを配置するだけでなく、側面側にも電界センサを配置する構成としている。
【0092】
以下の説明では、ペットボトルや牛乳パック類を検出対象とした場合について説明する。ペットボトルや牛乳パック類を検出対象とする場合には、卵の検出を行った場合に倣い、ある程度決まった形状や大きさであることを前提として検出がなされる必要があるので、食品の収納場所をある程度、規制すると検出精度が向上する。
【0093】
図24は冷蔵庫の食品収納部の拡大断面図の一例を示す図である。ペットボトルや牛乳パック類を保存する食品収納部は、例えば、冷蔵室100を開閉する開閉ドア105の内側のドアポケットの最下段に設けられることが多い。このドアポケットに、牛乳パック150等の形状に合わせて仕切り板151、152を挿入して区画し、食品を収納する場合に食品が概ね同じ位置に配置されるようにする。この食品の配置に対応してセンサ電極を設置して、電界センサの測定値によって検出を行うようにする。これにより、精度よく食品の有無が検出できるとともに、食品の種類毎に区画することによって食品の種類の検出が可能となる。
【0094】
以上では、収納場所をドアポケットとしたが、冷蔵室100内の他の位置、チルド室101、切替室200、冷凍室300、野菜室400において、各室に収容される食品に応じて、食品収容位置をある程度区画し、その位置に検出電極を設けて食品を検出するようにすれば、同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、図示するように牛乳パック150のような容器の高さが高いものの場合、食品収納部の側面に、高さ方向に複数のセンサ電極を設ければ、容器内の飲料の残量も概ね検出することができる。すなわち、側面に設けた電極のうち下からいくつの電極が飲料を検出したかにより、飲料のおおまかな残量がわかる。
【0096】
例えば、一般に市販されている1リットル入りの牛乳パックが収納される区画の側面に、高さ方向に4枚のセンサ電極161〜164を底面から5cm、10cm、15cm、20cmの位置を中心として設けた場合に、底面からの高さ20cmの位置にあるセンサ電極164が飲料を検出した場合には、牛乳は、約1リットル入っていると検出される。また、別の場合として、底面からの高さ5cmのセンサ電極161が飲料を検出し、底面からの高さ10cm、15cm、20cmの位置にあるセンサ電極162〜164が飲料を検出しない場合には、飲料は約0.25リットル入っていると検出される。同様に、紙パックのように比誘電率の比較的低いペットボトル、ガラス瓶に入れられる飲料等に対しても側面にも電界センサを配置することによって、その残量を把握することができる。またさらに、電界センサのセンサ電極を金属薄膜によって構成されるシート状導電部材とすると、シート状導電部材は薄く設置スペースを要せず、また、設置場所の形状に応じて曲率をつけるなどの形状を可変とすることが出来るため、様々な場所に対応することが可能となる。
【0097】
なお、缶詰めや、缶ビール、缶ジュースといった飲料も検出できる。アルミや鉄といった金属導体の比誘電率は、水の80と比べても、非常に大きい値となるので、その有無を検出することは容易である。しかし、缶の内部の食品については、缶によって電界が遮られるため検出することはできず、電界センサの出力はほぼ一定に推移する。この場合であっても缶の有無と収納期間を管理情報として算出することができる。
【0098】
以上のようにして、検出した食品の管理情報は、冷蔵庫の外部に設けた出力部6に表示することが可能であるから、開閉ドア105を開けずに、庫内の食品の種類、有無、量、収納期間といった管理情報を知ることができる。したがって、開閉ドア105を開けて食品の賞味期限を確認する手間が無くなり、またさらには、食品の量の情報から食品の補充の時期を知ることができ、食品の収納期間を覚えていなくても出力部6の表示から食品の収納期間を知ることができる。これにより使い勝手を向上した冷蔵庫を提供できる。また、これにより開閉ドア105を開けることによる庫内の温度上昇を冷却するためのエネルギー消費を削減することができる。
【0099】
なお、上記の実施の形態では、冷蔵庫について説明したが、例えば、戸棚、倉庫、ショーケースなど食品を収納あるいは保存する食品保存庫であれば、冷蔵庫の場合と同様に、電界センサ7、操作部5、出力部6、制御部40などを適宜設けることにより、同様の効果を得ることができる。上記の実施の形態を組み合わせて、新しい実施の形態とすることも当然に可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 冷蔵庫、2 ドアスイッチ、3 卵、5 操作部、6 出力部、7 電界センサ、10 圧縮機、11 冷却器、12 ファン、13 風路、15 制御盤、40 制御部、100 冷蔵室、102 卵室、103 卵ケース、104 卵ホルダー、105 開閉ドア、106 卵ケース蓋、107 電極基材シート、108 信号線、111〜115 卵、116〜125 センサ電極、125a 正弦波発振器、125b 抵抗、125c 検波器、125d ローパスフィルタ、125e 電圧計、125f 回路の分岐点、129〜130 卵パック、131〜140 電極、141 ダミー電極、200 切替室、300 冷凍室、400 野菜室、500 製氷室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収納する食品収納部と、
前記食品収納部に収納された食品と非接触にセンサ電極を配置する電界センサと、
前記電界センサの測定値に基づいて食品の有無を検出し、
食品の検出結果と食品に対する前記電界センサの測定値の経過に基づいて食品の管理情報を算出する制御部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、食品の水分量変化を電界センサの測定値から検出し、
食品に対する前記電界センサの現在の測定値と、1つまたは複数の過去の測定値との比較に基づき、前記比較により得られる差が所定の範囲内である場合は、同一の食品が収納されていると判定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御部は、食品の水分量変化を電界センサの測定値から検出し、
前記食品の水分量の変化に基づき、該食品の鮮度を算出する請求項1または2のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷蔵庫は、前記食品収納部の温度と湿度の内、少なくともいずれか一方を検出する検出部を備え、
前記検出部により検出される測定値に基づき、前記制御部は前記電界センサの測定値の変化量を補正する請求項1乃至3のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷蔵庫は、開閉ドアの開閉を検出するドアスイッチを備え、
前記制御部は前記ドアスイッチが前記開閉ドアの開放を検出した場合には、前記電界センサの測定を停止させる請求項1乃至4のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記電界センサの測定値が、食品が無いと判定される状態で所定の時間以上継続した場合に、前記制御部は食品が無いと判定する請求項1乃至5のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷蔵庫は、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
圧縮された前記冷媒により冷却された冷気を庫内に循環させるファンと、
前記電界センサの測定値に重畳されるノイズを測定するノイズ検出手段と、を備え、
前記ノイズ検出手段が所定値を超えるノイズを検出した場合には、前記制御部は、前記ファンの運転、または、前記圧縮機および前記ファンの運転を停止させてから、前記電界センサによる測定を行う請求項1乃至6のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記食品の管理情報は、食品の有無、収納されている食品の数、収納期間、鮮度のうち少なくとも1つを含む情報とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記電界センサは、冷蔵庫本体に充填される断熱材によって全部または一部を被覆されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記電界センサのセンサ電極は、シート状導電部材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記冷蔵庫はさらに管理情報を出力する出力部を備え、
前記出力部は画像若しくは文字によって前記管理情報を表示する表示手段、音若しくは声によって前記管理情報を発音する発音手段、または、無線若しくは有線によって外部の端末に管理情報を送信する通信手段、のうち少なくとも1つを備える請求項1乃至10のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【請求項12】
収納された食品と非接触にセンサ電極を配置する電界センサにより、該食品を測定する測定ステップと、
前記電界センサの測定値に基づいて食品の有無を検出する食品検出ステップと、
前記食品検出ステップの検出結果と、食品に対する前記電界センサの測定値の経過に基づいて管理情報を算出する管理情報算出ステップと、
を有する食品管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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