説明

冷蔵庫

【課題】直接冷却方式により冷却される貯蔵室と、間接冷却方式により冷却される貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、消費エネルギーの少ない冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】冷蔵庫100であって、前面に開口部を有し、第一冷却器12により壁面が冷却されることにより室内が冷却される冷蔵室10と、前面に開口部を有し、第二冷却器32により冷却された冷気が循環することで室内が冷却される変温室20と、断熱箱体70の内方の空間を上下に仕切ることにより冷蔵室10と変温室20とを区画する上仕切体15と、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部とを開閉自在に閉塞する一つの第一扉11と、第一扉11の庫内側の面の、上仕切体15の前端面と対向する位置に左右方向に延設され、上仕切体15の前端面と第一扉11との間の空間における上下方向の空気の流れを遮断する仕切シール部材14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に直接冷却方式にて冷却される貯蔵室と、間接冷却方式にて冷却される貯蔵室とを備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫では、圧縮機から吐出された冷媒が凝縮器、絞り弁、冷却器(蒸発器ともいう)を通過し、再び圧縮機に戻る冷却サイクルが構成されている。
【0003】
また、庫内を冷却する方式として、冷却器で冷却された冷却壁面により庫内を冷却する直接冷却方式と、冷却器により冷却された空気(冷気)を庫内へ循環させて庫内を冷却する間接冷却方式とがあり、これら2種類の冷却方式の両方を採用する冷蔵庫も存在する。
【0004】
例えば、直接冷却方式により冷却される冷蔵室と、間接冷却方式により冷却される保温室および冷凍室とを備える冷蔵庫についての技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図7は、直接冷却方式と間接冷却方式とを採用する従来の冷蔵庫の縦断面図である。
【0006】
図7に示す冷蔵庫は、冷蔵室121、保温室131、および冷凍室141の3つの貯蔵室を備えている。これら3つの貯蔵室は、断熱箱体170内の空間を仕切板109および仕切板110により区画することで設けられている。
【0007】
また、それぞれの貯蔵室に対応し、冷蔵室開閉扉102、保温室開閉扉103、および冷凍室開閉扉104を備えている。
【0008】
冷蔵室121の内箱背面には、壁面に接してチューブオンシート119(冷却器)が配置され、冷蔵室121庫内はチューブオンシート119によって冷却される冷壁面により冷却される。つまり、直接冷却方式で冷却される。
【0009】
また、冷凍室141の奥には、冷凍室ファン152と冷却器153とが配置されている。仕切板144には、冷凍室ファン152から吐出された冷気を冷凍室141内へ吐出する吐出口143が配置されている。また、仕切板144には、保温室131へ繋がるダクト111へ至る風路も配置されている。
【0010】
保温室131の奥面には、機械式ダンパー134を内部に有したダクト133が配置されている。ダクト133は、仕切板110奥にあるダクト111と接続されている。また、ダクト133には、機械式ダンパー134の下流側に、保温室131内へ冷気を吐出する吐出口135が配置されている。
【0011】
このような構成の冷蔵庫において、冷却器153の蒸発潜熱を冷凍室ファン152にて保温室131内へ循環させ、さらに、保温室131の温度を検知する機械式ダンパー134にて循環する冷気量を制御する。
【0012】
この構成により保温室131の温度を一定に保つことができる。これにより、保温室131内の食品の温度を一定に保つことが可能となり、食品の保鮮性を向上することができる。
【特許文献1】特開2005−195293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、一般的には、冷蔵庫は扉が閉じられている時間の方が、扉が開けられている時間よりも長い。そのため、扉が閉じられている状態の冷蔵庫内に対する外気温の影響を少なくすることは、冷蔵庫の省エネルギー化に非常に重要な要素である。
【0014】
そこで、上記従来の冷蔵庫について検討してみると、複数の貯蔵室のそれぞれに扉が設けられている。具体的には、図7に示すように、3つの貯蔵室それぞれに対応し、合計3つの扉が備えられている。
【0015】
これら扉のそれぞれには、例えばガスケットまたはパッキンと呼ばれるシール部材が貯蔵室の開口部周縁に対応する位置に取り付けられている。このシール部材により、当該貯蔵室の気密性が保持される。
【0016】
シール部材は、貯蔵室内の冷気と冷蔵庫の外側の外気とを遮断する部材であるため、冷蔵庫の各構成部材の中では冷気と外気との熱交換量が大きな部材である。
【0017】
そのため、図7に示すように貯蔵室ごとに扉を設けた場合、シール部材の総延長も長いものとなり、冷蔵庫内に侵入する熱量もその長さに比例して大きなものとなる。つまり、冷蔵庫の消費エネルギーも増加することとなる。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、直接冷却方式により冷却される貯蔵室と、間接冷却方式により冷却される貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、消費エネルギーの少ない冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた断熱材とからなる断熱箱体と、第一冷却器と第二冷却器とを備える冷蔵庫であって、前記断熱箱体の内方に設けられ、前面に開口部を有し、前記第一冷却器により壁面が冷却されることにより室内が冷却される第一貯蔵室と、前記断熱箱体の内方に設けられ、前面に開口部を有し、前記第二冷却器により冷却された冷気が循環することで室内が冷却される第二貯蔵室と、前記断熱箱体の内方の空間を上下に仕切ることにより前記第一貯蔵室と前記第二貯蔵室とを区画する仕切体と、前記第一貯蔵室の開口部と前記第二貯蔵室の開口部とを開閉自在に閉塞する一つの扉と、前記扉の庫内側の面の、前記仕切体の前端面と対向する位置に左右方向に延設され、前記仕切体の前端面と前記扉との間の空間における上下方向の空気の流れを遮断する仕切シール部材とを備える。
【0020】
このように、本発明の冷蔵庫において、直接冷却方式で冷却される第一貯蔵室と、間接冷却方式で冷却される第二貯蔵室とは、一つの扉で開閉自在に閉塞されている。
【0021】
これにより、第一貯蔵室および第二貯蔵室の気密性を保持するパッキン等のシール部材の、常に外気と触れている部分の長さの総計は、貯蔵室ごとに扉を設ける場合よりも短くなる。
【0022】
結果として、シール部材における熱伝導によるエネルギー損失は従来よりも少ないものとなる。
【0023】
また、扉が閉められた場合、扉の庫内側の面と、第一貯蔵室と第二貯蔵室とを仕切る仕切体の前端面との間での上下方向の空気の流れは、扉の仕切体の前端面に対応する位置に配置された仕切シール部材によって遮断される。
【0024】
これにより、第一貯蔵室の開口部と第二貯蔵室の開口部との間の空気対流は防止され、第一貯蔵室と第二貯蔵室とを異なる温度帯に維持する場合に不要に電力を消費することがない。
【0025】
このように、本発明は、従来の冷蔵庫に比べて消費エネルギーの少ない冷蔵庫を提供することができる。
【0026】
また、前記仕切シール部材は、前記扉の、前記仕切体の前端面と対向する位置であって、かつ、前記第一貯蔵室寄りに配置されているとしてもよい。
【0027】
このように、第二貯蔵室よりも第一貯蔵室に近い位置で上下方向の空気の流れを遮断するように仕切シール部材を配置する。これにより、第二貯蔵室よりも高湿になりやすい第一貯蔵室の開口部に隣接する仕切体の前端面での結露が効果的に防止される。
【0028】
また、前記仕切シール部材は、前記扉の、前記仕切体の前端面と対向する位置に左右方向に延設され、前記扉が閉められた場合に前記前端面に圧接される舌片を有するとしてもよい。
【0029】
このように、仕切シール部材の舌片が仕切体の前端面と圧接することにより、仕切体の前端面内の比較的広い面積を舌片で覆うことができる。これにより、第一貯蔵室の開口部と第二貯蔵室の開口部との間の空気対流が防止されるとともに、仕切体の前端面での結露が効果的に防止される。
【0030】
また、本発明の冷蔵庫はさらに、前記扉の庫内側の面の、前記第一貯蔵室の開口部周縁に対応する位置に配置され、前記第一貯蔵室の気密性を保持する第一パッキンと、前記扉の庫内側の面の、前記第二貯蔵室の開口部の周縁に対応する位置に配置され、前記第二貯蔵室の気密性を保持する第二パッキンとを備え、前記仕切シール部材は、前記第一パッキンおよび第二パッキンの、前記仕切体の前端面と対向する位置に配置された部分により構成されているとしてもよい。
【0031】
こうすることで、例えば、仕切シール部材を、第一貯蔵室および第二貯蔵室の気密性を保持する、仕切シール部材とは別体のパッキンに接合する手間がなく、一つの扉で第一貯蔵室および第二貯蔵室の開口部を開閉自在に閉塞することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、直接冷却方式により冷却される貯蔵室と、間接冷却方式により冷却される貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、消費エネルギーの少ない冷蔵庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫100の正面図である。
【0035】
図1に示すように冷蔵庫100は、2つの扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体70内に3つに区画された貯蔵室を備えている。
【0036】
断熱箱体70は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱71とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱72とで構成された空間に発泡断熱材73が充填された断熱壁で構成されている。
【0037】
断熱箱体70内には、上述の3つの貯蔵室が備えられている。具体的には冷蔵庫100は、冷蔵室10、室内の温度が変更可能な変温室20、および冷凍室30を備えている。なお、図では矩形の点線がそれぞれの貯蔵室の開口部を表している。
【0038】
また、冷蔵室10は、本発明の冷蔵庫における第一貯蔵室の一例であり、変温室20は、本発明の冷蔵庫における第二貯蔵室の一例である。
【0039】
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。
【0040】
具体的には、冷蔵室10および変温室20の開口部を開閉自在に閉塞する片開き式の第一扉11が設けられている。第一扉11は、本発明の冷蔵庫における扉の一例であり、向かって右側の端部に設けられた縦方向の回動軸を中心に回動する。また、冷凍室30には、引き出し式の第二扉31が設けられている。
【0041】
このような基本構成を有する本実施の形態の冷蔵庫100では、冷蔵室10は直接冷却方式により冷却され、変温室20および冷凍室30は間接冷却方式により冷却される。
【0042】
図2は、本実施の形態の冷蔵庫100の縦断面図である。
【0043】
図2に示すように、断熱箱体70内において、冷蔵室10と変温室20とは、上仕切体15により仕切られている。また、変温室20と冷凍室30とは下仕切体25により仕切られている。
【0044】
また、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間での空気対流は、第一扉11に備えられた仕切シール部材14により防止される。
【0045】
また、冷蔵庫100は、2つの冷却器を備えている。具体的には、冷蔵室10の奥面10aの裏側に第一冷却器12を備えている。冷蔵室10の奥面10aは第一冷却器12からの熱伝導によって冷却される。冷蔵室10内の空気は、この冷却された奥面10aにより冷却される。
【0046】
第一冷却器12は、冷却パイプ12aと金属板12bとを有する。冷蔵室10の奥面10aは、奥面10aの裏側に接するように取り付けられた金属板12bにより直接的に冷却される。
【0047】
また、冷蔵庫100は、冷凍室30の奥面の裏側に第二冷却器32を備える。冷凍室30内は、第二冷却器32から放出される冷気が循環することにより冷却される。
【0048】
第二冷却器32から放出される冷気は、変温室20にも供給される。変温室20の温度帯は、ダンパーの開閉制御により、例えば、冷蔵室10の温度帯と冷凍室30の温度帯との間の温度帯に維持される。
【0049】
このように、本実施の形態の冷蔵庫100は、直接冷却方式により冷却される冷蔵室10と、間接冷却方式により冷却される変温室20および冷凍室30とを備えている。
【0050】
つまり、図7に示す従来の冷蔵庫と同様に縦に並べられた3つの貯蔵室を備えている。しかし、これら貯蔵室の開口部を開閉自在に閉塞する扉は2つのみである。
【0051】
具体的には、冷蔵室10および変温室20の開口部は一つの第一扉11により開閉自在に閉塞されている。また、冷凍室30の開口部は一つの第二扉31により開閉自在に閉塞されている。
【0052】
本実施の形態の冷蔵庫100は、このように冷蔵室10および変温室20に対して一つの第一扉11を配置し、かつ、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間での空気対流を効果的に防止することにより、消費エネルギーの削減を実現している。
【0053】
図3は、本実施の形態における第一扉11に取り付けられたシール部材の配置態様を示す図である。
【0054】
なお、図3は第一扉11の庫内側の面(裏面)の概要を示す図である。図3では、本発明の特徴を明確に示すために、第一扉11の裏面に本来備えられているドアポケット等の図示は省略している。このことは、後に説明する図4から図6についても同じである。
【0055】
図3に示すように、第一扉11には、冷蔵室10と変温室20との気密性を保持するためのマグネット付きのパッキンであるパッキン13が取り付けられている。
【0056】
具体的には、第一扉11の裏面の、冷蔵室10の開口部に対応する冷蔵室領域11aおよび変温室20の開口部に対応する変温室領域11bの双方を囲むようにパッキン13が配置されている。
【0057】
また、冷蔵室領域11aと変温室領域11bとの間に、上仕切体15の前端面と第一扉11との間の空間における上下方向の空気の流れを遮断する仕切シール部材14が備えられている。
【0058】
仕切シール部材14は、具体的には、第一扉11に取り付けるための取付部14aと、上仕切体15の前端面に圧接されるヒレ部14bとから構成されている。ヒレ部14bは、本発明の冷蔵庫における舌片の一例である。
【0059】
図3に示すように、仕切シール部材14は第一扉11の裏面において、上仕切体15の前端面と対向する位置に左右方向に延設されており、ヒレ部14bも同様に左右方向に延設されている。
【0060】
また、ヒレ部14bは、片持ちの弾性のある板状部材であるため、上仕切体15の前端面内の比較的広い面積を覆うことができる。
【0061】
仕切シール部材14がこのような構成であることにより、第一扉11が閉じられた場合に、仕切シール部材14のヒレ部14bが上仕切体15の前端面の左右に渡って圧接する。これにより、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間の空気対流が防止される。
【0062】
従って、冷蔵室10と変温室20とを異なる温度帯に維持する場合に不要に電力を消費することがない。
【0063】
また、上仕切体15の前端面内の比較的広い面積がヒレ部14bによって覆われるため、上仕切体15の前端面での結露が効果的に防止される。
【0064】
ここで、上記従来の冷蔵庫のように、冷蔵室10の扉と、変温室20の扉とが別体である場合、冷蔵室領域11aを囲むシール部材と、変温室領域11bを囲むシール部材とがそれぞれ必要である。つまり、それらシール部材の総延長は、図3に示すパッキン13の総延長よりも長い。
【0065】
すなわち、これら2つの貯蔵室の気密性を保持するシール部材の、常に外気に触れている部分の長さの総計は、冷蔵庫100の方が従来の冷蔵庫よりも短い。
【0066】
これにより、シール部材における熱伝導によるエネルギー損失は従来よりも少ないものとなり、消費エネルギーの削減が実現される。
【0067】
なお、本実施の形態において、仕切シール部材14は、図3に示すように一条の構成であるが、二条以上の構成であってもよい。
【0068】
また、冷蔵室10の気密性を保持するためのパッキンと変温室20の気密性を保持するためのパッキンとを別体とし、それぞれのパッキンの、上仕切体15の前端面と対向する位置に配置された部分により、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間の空気対流を防止してもよい。
【0069】
図4は、冷蔵室10および変温室20それぞれに対応して2つのパッキンが配置された第一扉11の概要を示す図である。
【0070】
図4に示す第一扉11には、冷蔵室領域11aを囲む第一パッキン13aと、変温室領域11bを囲む第二パッキン13bとが配置されている。
【0071】
この場合、冷蔵室10および変温室20の気密性を保持するシール部材(パッキン)の総延長は、冷蔵室10の扉と変温室20の扉とが別体である場合の総延長と変わらない。
【0072】
しかし、1つの第一扉11に第一パッキン13aと第二パッキン13bとを配置した場合、第一パッキン13aおよび第二パッキン13bの上仕切体15の前端面と対向する位置に配置された部分は、全体が第一扉11に覆われる。つまり、第一扉11を閉じた状態では、当該部分は外部に露出しない。
【0073】
一方で、冷蔵室10の扉と、変温室20の扉とが別体であり、それぞれにパッキンを配置した場合、当該部分はこれら扉の間から流入するが行きに常に晒されることになる。
【0074】
従って、図4に示すように、第一扉11に第一パッキン13aと第二パッキン13bとを配置した場合であっても、これらシール部材における熱伝導によるエネルギー損失は従来よりも少ないものとなり、消費エネルギーの削減が実現される。
【0075】
なお、図4に示すように、第一扉11に第一パッキン13aと第二パッキン13bとを配置した場合、第一パッキン13aおよび第二パッキン13bの上仕切体15の前端面と対向する位置に配置された部分により、本発明の冷蔵庫における仕切シール部材が実現される。
【0076】
また、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間の空気対流を防止するシール部材として、図3に示す仕切シール部材14以外のシール部材を用いてもよい。
【0077】
例えば、冷蔵室10および変温室20の気密性を保持する、マグネット付のパッキン13と同じ構造のものを仕切シール部材14の代わりに配置してもよい。
【0078】
図5は、上仕切体15の前端面と対向する位置にマグネット付のパッキン16が配置された第一扉11の概要を示す図である。
【0079】
図5に示すように、パッキン16は、マグネット16aを有する。この場合、上仕切体15の前端面を例えば鉄板で構成する。これにより、上仕切体15の前端面とパッキン16とはマグネット16aによる引力により積極的に密着する。
【0080】
なお、図5に示すように、パッキン16を配置する場合、パッキン16とパッキン13とが接合される部分である接合部Aは、例えば溶着により接合される。
【0081】
また、接合部Aでの冷気の漏れ量が、省エネルギーの観点から問題のない程度であれば、パッキン16とパッキン13とは溶着しなくてもよい。例えば、パッキン16とパッキン13とは、それぞれの弾性により押接されていてもよい。
【0082】
このように、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間の空気対流を防止するシール部材は、上述の仕切シール部材14とは異なる形状および特性のシール部材であってもよい。
【0083】
また、パッキン13およびパッキン16は、それぞれマグネット付のパッキンであるとした。しかしながら、部分的にはマグネットがなくてもよい。
【0084】
図6は、第一扉11における、マグネットのないパッキンの配置例を示す図である。
【0085】
なお、図6では、パッキン13の斜線部分はマグネットが存在する部分を表し、斜線のない部分は、マグネットが存在しない部分を表している。
【0086】
図6に示すように、パッキン13の、第一扉11の回動軸側の端辺に沿って配置される部分は、当該回動軸までの距離がゼロ、または、非常に短い部分である。従って、当該部分は、マグネットの引力による、第一扉11を閉じる方向に回動させるためのモーメントを発生させ難い部分である。そのため、パッキン13の当該部分にマグネットがなくてもよい。
【0087】
このことは、第一扉11の上仕切体15の前端面と対向する位置に、パッキン16ではなく仕切シール部材14が配置されている場合であっても同じである。
【0088】
また、第一扉11が閉められた場合、パッキン16の弾性により上仕切体15の前端面との密着性は担保されるため、パッキン16は、マグネットを有していなくてもよい。
【0089】
このように、冷蔵庫100が備えるパッキン13は、部分的にマグネットを有していなくてもよい。また、パッキン16もマグネットを有していなくてもよい。
【0090】
この場合、例えば、冷蔵庫100の庫内の気密性を保持するためのシール部材全体の生産コストが抑制される。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態の冷蔵庫100は、直接冷却方式により冷却される冷蔵室10と、間接冷却方式により冷却される変温室20および冷凍室30とを備える。また、冷蔵室10と変温室20とに対し、一つの第一扉11を備え、冷凍室30に対し一つの第二扉31を備える。
【0092】
これにより、複数の貯蔵室のそれぞれに対し一つずつ扉を備える従来の冷蔵庫よりも、庫内の気密性を保つためのシール部材の、常に外気に触れている部分の長さは短くなる。
【0093】
つまり、シール部材における熱伝導によるエネルギー損失は、従来の冷蔵庫よりも少ないものとなり、消費エネルギーの削減が実現される。
【0094】
また、第一扉11に配置された仕切シール部材14により、冷蔵室10の開口部と変温室20の開口部との間の空気対流が防止される。これにより、冷蔵室10と変温室20とを異なる温度帯に維持する場合に不要に電力を消費することがない。
【0095】
また、変温室20よりも高湿になりやすい冷蔵室10寄りの位置に仕切シール部材14が当接するように第一扉11に仕切シール部材14が配置される。これにより、上仕切体15の前端面での結露が効果的に防止される。
【0096】
また、第一扉11が閉められた場合、仕切シール部材14が有するヒレ部14bが、上仕切体15の前端面の比較的広い面積を覆うように、上仕切体15の前端面に圧接される。
【0097】
これにより、空気対流が防止されるとともに、仕切体の15前端面での結露が効果的に防止される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、直接冷却方式により冷却される貯蔵室と、間接冷却方式により冷却される貯蔵室とを備える冷蔵庫であって、消費エネルギーの少ない冷蔵庫を提供することができる。従って、本発明は、家庭用および業務用など様々な種類および大きさの冷蔵庫等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の正面図
【図2】同実施の形態の冷蔵庫の縦断面図
【図3】同実施の形態における第一扉に取り付けられたシール部材の配置態様を示す図
【図4】冷蔵室および変温室それぞれに対応して2つのパッキンが配置された第一扉の概要を示す図
【図5】上仕切体の前端面と対向する位置にマグネット付のパッキンが配置された第一扉の概要を示す図
【図6】第一扉におけるマグネットのないパッキンの配置例を示す図
【図7】直接冷却方式と間接冷却方式とを採用する従来の冷蔵庫の縦断面図
【符号の説明】
【0100】
10 冷蔵室
10a 奥面
11 第一扉
11a 冷蔵室領域
11b 変温室領域
12 第一冷却器
12a 冷却パイプ
12b 金属板
13、16 パッキン
13a 第一パッキン
13b 第二パッキン
14 仕切シール部材
14a 取付部
14b ヒレ部
15 上仕切体
16a マグネット
20 変温室
25 下仕切体
30 冷凍室
31 第二扉
32 第二冷却器
70 断熱箱体
71 内箱
72 外箱
73 発泡断熱材
100 冷蔵庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた断熱材とからなる断熱箱体と、第一冷却器と第二冷却器とを備える冷蔵庫であって、前記断熱箱体の内方に設けられ、前面に開口部を有し、前記第一冷却器により壁面が冷却されることにより室内が冷却される第一貯蔵室と、前記断熱箱体の内方に設けられ、前面に開口部を有し、前記第二冷却器により冷却された冷気が循環することで室内が冷却される第二貯蔵室と、前記断熱箱体の内方の空間を上下に仕切ることにより前記第一貯蔵室と前記第二貯蔵室とを区画する仕切体と、前記第一貯蔵室の開口部と前記第二貯蔵室の開口部とを開閉自在に閉塞する一つの扉と、前記扉の庫内側の面の、前記仕切体の前端面と対向する位置に左右方向に延設され、前記仕切体の前端面と前記扉との間の空間における上下方向の空気の流れを遮断する仕切シール部材とを備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記仕切シール部材は、前記扉の、前記仕切体の前端面と対向する位置であって、かつ、前記第一貯蔵室寄りに配置されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記仕切シール部材は、前記扉の、前記仕切体の前端面と対向する位置に左右方向に延設され、前記扉が閉められた場合に前記前端面に圧接される舌片を有する請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記扉の庫内側の面の、前記第一貯蔵室の開口部周縁に対応する位置に配置され、前記第一貯蔵室の気密性を保持する第一パッキンと、前記扉の庫内側の面の、前記第二貯蔵室の開口部の周縁に対応する位置に配置され、前記第二貯蔵室の気密性を保持する第二パッキンとを備え、前記仕切シール部材は、前記第一パッキンおよび第二パッキンの、前記仕切体の前端面と対向する位置に配置された部分により構成されている請求項1または2に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−208807(P2011−208807A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201537(P2008−201537)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】