説明

冷蔵庫

【課題】貯蔵物の視認性を向上できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵物を収納する貯蔵室2と、貯蔵室2の両側壁8の前部に配されるとともに上下に並ぶ複数のLED3と、貯蔵室2の両側壁8に沿って配されるとともにLED3の出射光を貯蔵室2の後部に導光する導光板20とを備え、導光板20を導光して導光板20から出射される光によって貯蔵室2内を照明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDにより貯蔵室内を照明する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫は特許文献1、2に開示されている。この冷蔵庫は貯蔵物を収納する貯蔵室内を照明する複数のLEDを有している。LEDは上下に並んで貯蔵室の両側壁の前部に配される。
【0003】
図7は貯蔵室の側壁の前部を示す上面断面図である。貯蔵室2の側壁8には断熱材が充填され、貯蔵室2に面して上下に延びる照明室4が凹設される。照明室4の壁面は側壁8と一体の樹脂成形品から成る枠部5により形成される。枠部5にはLED3を実装した実装基板7が取り付けられる。照明室4の正面には透明樹脂から成るランプカバー6が配される。ランプカバー6は爪部6aが枠部5に設けた孔部5aに係合して係止される。
【0004】
貯蔵室2の扉を開くとLED3に通電され、LED3から出射された出射光がランプカバー6を透過する。これにより、貯蔵室2内が前部から照明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187363号公報(第3頁−第6頁、第2図)
【特許文献2】特開2008−89277号公報(第4頁−第6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の冷蔵庫によると、LED3の出射光が貯蔵室2の前部から出射されるため、前方から照明される貯蔵物の影が該貯蔵物の後方に形成される。このため、後部に配される貯蔵物の視認性が悪い問題があった。
【0007】
本発明は、貯蔵物の視認性を向上できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、貯蔵物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室の両側壁の前部に配されるとともに上下に並ぶ複数のLEDと、前記貯蔵室の両側壁に沿って配されるとともに前記LEDの出射光を前記貯蔵室の後部に導光する導光板とを備え、前記導光板を導光して前記導光板から出射される光によって前記貯蔵室内を照明したことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、貯蔵室の前部に配されるLEDの出射光は貯蔵室の側壁に沿って配される導光板に入射する。導光板に入射した光は導光板の表面で反射して貯蔵室の後部に導光される。導光板を導光して臨界角よりも小さい入射角で導光板の表面に到達した光は導光板から貯蔵室内や貯蔵室の側壁に向かって出射される。貯蔵室の側壁の方向に出射された光は該側壁で反射して導光板を介して貯蔵室内に出射される。
【0010】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記導光板は前記側壁に面して前後に延びる凹凸部を有することを特徴としている。この構成によると、導光板は前後に延びて鉛直断面が例えばのこぎり歯状の凹凸部が貯蔵室の側壁に面して形成され、凹凸部の表面から出射した光は側壁で反射して貯蔵室内を照明する。
【0011】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記導光板の前面に面して前記LEDを配置したことを特徴としている。この構成によると、LEDから後方に向かって出射された光が導光板に前面から入射する。
【0012】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記導光板は前記貯蔵室側の前部に後方が前記貯蔵室側に向かって傾斜する傾斜面を有し、前記LEDが前記導光板の前記側壁側に面して前記傾斜面に対向配置されることを特徴としている。この構成によると、LEDから貯蔵室内に向かって左右方向に出射された光は導光板に側方から入射する。導光板に入射した光は傾斜面で反射して後方に導かれる。
【0013】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記LEDと前記導光板との間に前記LEDを覆う透明なランプカバーを設け、前記ランプカバーは前記LEDよりも前方に前記LEDの視認性を低下させる処理が施されることを特徴としている。この構成によると、LEDの出射光は透明なランプカバーを透過して導光板に入射する。ランプカバーのLEDよりも前方にはシルク印刷や非光沢面処理等によってLEDの視認性を低下させる処理が施される。これにより、LEDの配線等の視認を妨げて貯蔵室内の美感が向上される。
【0014】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記LEDと前記導光板との間に前記LEDを覆う非透明なランプカバーを設け、前記LEDが挿通される孔部を前記ランプカバーに形成したことを特徴としている。この構成によると、LEDはランプカバーの孔部に挿通され、LEDの出射光は直接導光板に入射する。ランプカバーは非透明に形成され、LEDの配線等の視認を妨げて貯蔵室内の美感が向上される。
【0015】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記導光板がポリスチレン樹脂から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、LEDの出射光を貯蔵室の後部に導光する導光板を貯蔵室の両側壁に沿って配したので、貯蔵室の前部及び後部に配される貯蔵物を側方から照明することができる。また、貯蔵室の前部及び後部に配される貯蔵物を前後から照明することができる。従って、貯蔵物の影による後方の貯蔵物の視認性低下を防止し、貯蔵物の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態の冷蔵庫を示す斜視図
【図2】図1のA矢視図
【図3】図2のB−B断面図
【図4】本発明の第1実施形態の冷蔵庫の導光板を示す斜視図
【図5】本発明の第1実施形態の冷蔵庫の他の導光板を示す斜視図
【図6】本発明の第2実施形態の冷蔵庫の貯蔵室の側壁を示す上面断面図
【図7】従来の冷蔵庫の貯蔵室の側壁を示す上面断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、前述の図7に示す従来例と同一の部分は同一の符号を付している。図1は第1実施形態の冷蔵庫を示す斜視図であり、図2は図1のA矢視図である。冷蔵庫1は断熱材を充填した断熱箱体1aにより貯蔵室2が区画される。
【0019】
貯蔵室2の左右の側壁8の前部にはLED3(図3参照)が配される照明室4が上下に延びて設けられる。貯蔵室2内には左右の側壁8に沿って透明樹脂から成る平板状の導光板20が配される。両側壁8間には貯蔵物を載置する載置トレイ9が配される。載置トレイ9は貯蔵室2の両側壁8に突設される支持部11上に橋架され、導光板20には支持部11が貫通する開口部22が形成されている。
【0020】
貯蔵室2の背面には冷気が流通する冷気通路12が形成される。冷気通路12を流通する冷気は吐出口(不図示)を介して貯蔵室2内に吐出される。冷気通路12の前面は金属パネル13で覆われ、冷気通路12を流通する冷気の冷熱が金属パネル13を介して貯蔵室2に放出される。これにより、貯蔵室2内を均一に冷却することができる。
【0021】
図3は図2のB−B断面図を示している。また、図4は導光板20の斜視図を示している。照明室4は貯蔵室2の両側壁8に凹設され、照明室4の壁面は側壁8と一体の樹脂成形品から成る枠部5により形成される。照明室4の正面には透明樹脂から成るランプカバー6が配される。ランプカバー6は爪部6aが枠部5に設けた孔部5aに係合して係止される。
【0022】
ランプカバー6の前部には貯蔵室2内に突出する平面断面がコ字状の突出部6bが形成される。突出部6bの内部にはチップ状の複数のLED3を上下方向に並んで実装した実装基板7が取り付けられる。LED3は導光板8の前面20cに対向して出射面3aを後方に向けて配置される。
【0023】
また、ランプカバー6は透明樹脂から成るため、LED3よりも前方に不透明なシルク印刷が施される。これにより、実装基板7等の照明室4の内部の視認を防止することができる。シルク印刷に替えてサンドブラストやシボ加工等によってランプカバー6に非光沢面処理を施してもよい。即ち、LED3の視認性を低下させる処理がランプカバー6に施されていればよい。
【0024】
導光板20はポリスチレン樹脂等から成り、貯蔵室2内に面した第1側面20aと側壁8に面した第2側面20bとが対向する。また、導光板20の第2側面20bには前後方向に延びた鉛直断面がのこぎり歯状の凹凸部21が形成される。凹凸部21の形状は例えば、頂角が90゜、ピッチが0.15mmになっている。凹凸部21と側壁8との間には空気層が形成されている。空気層の屈折率が約1.0であり、導光板20の材料がポリスチレンの場合は屈折率が1.59〜1.60であるため、全反射の臨界角は約43°になっている。
【0025】
貯蔵室2の扉を開くとLED3に通電され、LED3から出射された出射光がランプカバー6を透過して導光板20に前面20cから入射する。導光板20に入射した光は第1、第2側面20a、20bで反射して導光板20内を導光する。そして、第1側面20aまたは第2側面20bに臨界角よりも小さい角度で入射した光は導光板20の表面から出射される。
【0026】
第2側面20bから出射された光は導光板20に対向する側壁8の表面により形成される反射面8aで反射し、導光板20に再度入射して第1側面20aから出射される。これにより、貯蔵室2の前部から後部にわたって導光板20全体から照明される。尚、側壁8の反射面8aを白色にすると貯蔵室2側に反射し易くなる。また、導光板20の第2側面20bまたは側壁8の反射面8aに金属製の反射膜や反射シート等の反射部材を設けると、光強度の減衰を抑制することができるためより望ましい。
【0027】
また、導光板20を導光する光は導光板20の上面20d、下面20e、背面20fからも出射される。これにより、導光板20よりも上方、下方及び後方を照明することができる。また、背面20fから出射される光は金属パネル13で反射し、貯蔵室2内を背面からも照明することができる。導光板20よりも上方に貯蔵物が配置されない場合は、上面20dに反射膜や反射テープ等の反射部材を設けてもよい。
【0028】
本実施形態によると、LED3の出射光を貯蔵室2の後部に導光する導光板20を貯蔵室の両側壁8に沿って配したので、貯蔵室2の前部及び後部に配される貯蔵物を側方から照明することができる。また、貯蔵室2の前部及び後部に配される貯蔵物を前後から照明することができる。従って、貯蔵物の影による後方の貯蔵物の視認性低下を防止し、貯蔵物の視認性を向上することができる。
【0029】
また、導光板20が側壁8に面して前後に延びる凹凸部21を第2側面20bに有している。導光板20の導光は凹凸部21での反射によって第2側面20bを平面に形成した場合に比して進行方向が多様な方向に分散される。これにより、導光板20の表面に到達する光の入射角が臨界角よりも小さくなり易いため、導光板20の背面20fまで導光する光が減少して側方に出射される光が多くなる。従って、貯蔵室2内を前部から後部にわたってより確実に照明して貯蔵物の視認性をより向上することができる。
【0030】
また、図5に示すように、サンドブラストやシボ加工等によって凹凸部21の表面に梨地模様等の非光沢面処理Kを施すとより望ましい。これにより、凹凸部21の反射光をより分散させることができる。
【0031】
また、導光板20の前面20cに面してLED3を配置したので、LED3の出射光を容易に導光板20に入射させることができる。
【0032】
また、ランプカバー6にはLED3よりも前方にLED3の視認性を低下させる処理が施される。これにより、照明室4の内部の実装基板7や配線を見えなくして貯蔵室2内の美感を向上することができる。また、LED3から前方に出射される光による眩しさを低減することができる。
【0033】
次に、図6は第2実施形態の冷蔵庫1の貯蔵室2の側壁8の前部を示す上面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図5に示す第1実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対してLED3の配置及び導光板20の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0034】
LED3を実装する実装基板7は導光板20と平行に配置され、LED3の出射面3aが導光板20の第2側面20bに面して配置される。また、導光板20の前部には後方が貯蔵室2側に向かって傾斜する傾斜面23が形成され、LED3が傾斜面23に対向する。
【0035】
LED3から出射された出射光はランプカバー6を透過して導光板8に第2側面20bから入射する。導光板20に入射した光は傾斜面23で後方に反射し、第1、第2側面20a、20bで反射して導光板20内を導光する。そして、第1側面20aまたは第2側面20bに臨界角よりも小さい角度で入射した光は導光板20の表面から出射される。傾斜面23に反射膜や反射シート等の反射部材を設けてもよい。
【0036】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、LED3が、導光板20の側壁8側(第2側面20b)に面して傾斜面23に対向配置される。これにより、ランプカバー6の突起部6b(図3参照)を省くことができ、貯蔵物の取り出しを容易にして冷蔵庫1の利便性を向上することができる。
【0037】
第1、第2実施形態において、導光板20は透明であればアクリル樹脂やガラス等を用いてもよい。しかし、ポリスチレン樹脂はアクリル樹脂やガラスに比して成形性がよく、光の拡散が大きい。このため、導光板20を容易に形成できるとともに、背面20fまで導光する光を少なくして第1側面20aや第2側面20bから出射される光を多くすることができる。従って、貯蔵物の視認性をより向上することができる。
【0038】
また、導光板20に着色材を混入して照明光を発色してもよい。これにより、LED3から離れた位置で発色するため、LED3に近いランプカバー6を着色するよりも着色材を少なくすることができる。このため、照度の低下を抑制して発色することができる。また、使用者の嗜好に応じて導光板20を取り替えて照明光の発色を可変することができる。
【0039】
また、ランプカバー6にLED3を挿通する孔部を設けてもよい。これにより、LED3の出射光が直接導光板20に入射し、光の強度を向上することができる。この時、ランプカバー6を非透明に形成することにより、照明室4の内部の実装基板7や配線を見えなくして貯蔵室2内の美感を向上することができる。また、LED3から前方に出射される光による眩しさを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によると、LEDにより貯蔵室内を照明する冷蔵庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 冷蔵庫
2 貯蔵室
3 LED
4 照明室
5 枠部
6 ランプカバー
7 実装基板
8 側壁
11 支持部
12 冷気通路
13 金属パネル
20 導光板
20a 第1側面
20b 第2側面
20c 前面
21 凹凸部
22 開口部
23 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室の両側壁の前部に配されるとともに上下に並ぶ複数のLEDと、前記貯蔵室の両側壁に沿って配されるとともに前記LEDの出射光を前記貯蔵室の後部に導光する導光板とを備え、前記導光板を導光して前記導光板から出射される光によって前記貯蔵室内を照明したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記導光板は前記側壁に面して前後に延びる凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記導光板の前面に面して前記LEDを配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記導光板は前記貯蔵室側の前部に後方が前記貯蔵室側に向かって傾斜する傾斜面を有し、前記LEDが前記導光板の前記側壁側に面して前記傾斜面に対向配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記LEDと前記導光板との間に前記LEDを覆う透明なランプカバーを設け、前記ランプカバーは前記LEDよりも前方に前記LEDの視認性を低下させる処理が施されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記LEDと前記導光板との間に前記LEDを覆う非透明なランプカバーを設け、前記LEDが挿通される孔部を前記ランプカバーに形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記導光板がポリスチレン樹脂から成ることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−141132(P2012−141132A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86157(P2012−86157)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【分割の表示】特願2009−141940(P2009−141940)の分割
【原出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】