冷蔵庫
【課題】大型冷蔵庫に合わせて幅を広くして、かつ断熱性能の低下を抑制した真空断熱材を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【解決手段】真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化の面から、真空断熱材は必要不可欠な存在となってきている。
【0003】
真空断熱材はスペーサーの役割を持つ芯材を、ガスバリヤ性を有する外包材中に挿入し、内部を減圧して封止したものである。
【0004】
また、最近の冷蔵庫は、食品の充実、まとめ買いの普及等のニーズにより大型化傾向にある。冷蔵庫の大型化に伴い、真空断熱材も大きくする必要があるが、それには大型の製造設備が必要となる為、真空断熱材の板状寸法を簡単に大きくすることはできない。なお、大型の製造設備とは、真空断熱材の原綿に含まれる水分を除去する乾燥炉等を指す。乾燥炉を大型化することは、大きな設備費用が発生することは勿論、小さなサイズの真空断熱材を製作する場合にはエネルギーロスが発生してしまう。
【0005】
現状、各メーカーは真空断熱材の幅を500mm前後にしており、それを超えたものには現有設備では対応ができない。
【0006】
即ち、冷蔵庫の大型化、省エネルギー化に伴って、例えば冷蔵庫の幅を広げ700mm〜800mm幅とした場合、真空断熱材を冷蔵庫の背面部等に配設することは難しかった。
【0007】
これに対応すべく、芯材を複数組み合わせて幅を広くした真空断熱材を製造する案がある。この案として例えば、特開平5−248592号公報(特許文献1)、特開平7−332585号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−248592号公報
【特許文献2】特開平7−332585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、これらの特許文献に示された板状芯材は、有機バインダーを使って固形化した圧密ボードであったり、珪酸カルシウム成形体であったりする。
【0010】
また、これら特許文献に示されたものは、それらを複数個組み合わせて幅を広げた場合、板状芯材の継ぎ目から直進して逃げる輻射熱を抑える為に、板状芯材を複雑な形状でオーバーラップさせる必要がある。
【0011】
そこで本発明は、大型冷蔵庫に合わせて幅を広くして、かつ断熱性能の低下を抑制した真空断熱材を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、繊維集合体を3層以上積層した30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大型冷蔵庫に合わせて幅を広くして、かつ断熱性能の低下を抑制した真空断熱材を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における冷蔵庫の縦断面図である。
【図2】図1の真空断熱材の断面図である。
【図3】図2の真空断熱材の圧縮、減圧前の原綿の説明図である。
【図4】図3の原綿を外包材に入れ減圧した図である。
【図5】図4のP部拡大説明図である。
【図6】図3の原綿を内袋又は外包材に配置した状態の図である。
【図7】図6と異なる原綿の配置を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態における冷蔵庫の横断面図である。
【図9】バインダー或いは加熱圧着法を用いて圧縮成形した板状芯材を2つ使用し外包材内に入れ減圧して、真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【図10】バインダー或いは加熱圧着法を用いて圧縮成形した段差が複数ある板状芯材を外包材内に入れ減圧して、真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【図11】繊維集合体を使って真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
断熱性能の向上を目的として真空断熱材の厚肉化を図るべく、例えばグラスウール等の原綿を3枚以上重ね、それをバインダーや熱等を併用して、圧縮形成し、板状芯材とし、それを冷蔵庫の大型化に対応する真空断熱材とするものである。この種の従来例としては、図9〜図11に示す案がある。以下これを図において説明する。
【0016】
図9に示すものは、3枚重ねし、且つ原綿を外側に位置する一層の原綿端部を30〜60mm延長して突出部52とした二つ以上の繊維集合体51a、51bを外包材53に入れ、減圧したものである。
【0017】
図において、減圧前の突出部は実線の状態にあるが、減圧を開始すると、突出部で囲まれた空間の抵抗が小さい為に、芯材の折れ等の変形が発生し、破線の如く突出部52の付け根部で急激に曲がった状態で減圧状態作業が終了し、外包材の密封作業が終了する。
【0018】
出来上がった真空断熱材は図9に示すように、外包材がF部で大きく窪み、以後の取扱い性及び性能を低減させることは勿論、外包材にも急激な曲げ部で大きなダメージを与えかねない状態となる。
【0019】
これは繊維集合体51a、51bは予めバインダーや熱を使って圧縮成形されたものであるから、突出部52は原綿の自由度が低く、空間を埋める役目は果せないためである。
【0020】
また、図10に示すものは、バインダーや熱等を持って予め階段状に作った二つの板状芯材を組み合わせるようにして外包材内に入れ、減圧を行ない、その後外包材を密封させたものである。
【0021】
このものであると、図9に示した大きな窪みが出来ることはないが、段部の組み合わせは原綿の切断や積層等のバラツキ要素が増えS寸法が一定しない為に、S部の狙い寸法を大きくしなければならず、幅射熱の透過が増大する。
【0022】
また、図11に示すものは、二つある繊維集合体の一方に突出部54を設け、これを他方の段差部55に組み合わせるようにしたものであるから図9、図10の課題は解消されるが、組み合わされる繊維集合体が対象形でない為に、生産性が悪く、高価なものとなってしまう。
【0023】
以上のように、図9〜図11に示す真空断熱材は、バインダーや熱等で板状芯材を定められた形状に固形化するものであった為、リサイクル等に向かない。また、外包材内の減圧時、板状芯材の端面特に突出部52、54或いは図9のQ部等で外包材を損傷させるおそれがある。
【0024】
また、複雑な形状の繊維集合体を準備する必要があり、生産性が悪く、高価なものとなる。
【0025】
更には、図9のように途中に窪み(F)が出来てしまう場合、発泡断熱材の流れを阻害するおそれがある。
【0026】
一方、本発明は、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、繊維集合体を3層以上積層した30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮したものである。
【0027】
これにより、冷蔵庫の大型化に合わせ、特別な設備を準備することなく、幅の広い真空断熱材を製造することが出来るものである。
【0028】
また、この真空断熱材の製作にあたり、最外層に位置する原綿を他の原綿より30〜60mm幅広とし突出部を作る構成としたので、内袋内への挿入時には上記突出部を位置合わせの基準とし組み合わせればよく、作業性もよく、断熱空間内に配設した時発泡断熱材の流れを阻害しない。また、大きな窪みのない真空断熱材を備えた冷蔵庫が得られるものである。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。尚、図1は本発明の実施形態における冷蔵庫の縦断面図であり、図2は図1の真空断熱材の断面図であり、図3は図2の真空断熱材の圧縮、減圧前の原綿の説明図であり、図4は図3の原綿を外包材に入れ減圧した図であり、図5は図4のP部拡大説明図である。
【0030】
まず図1において、1は冷蔵庫本体を構成する箱体である。この箱体1は外箱2と内箱3と、発泡断熱材5、真空断熱材6等により構成されている。
【0031】
冷蔵庫本体の大型化は、冷蔵庫本体の開口幅(横幅)を広げることにより行われる傾向にある。開口幅を広げるには、外箱2の天板2a、背面板2b、底板2cの幅を広げることに対応する。
【0032】
真空断熱材6は、冷蔵庫の拡幅に対応し拡大される天板2a、背面板2b、底板2cに合わせて、幅方向に拡大する必要が出てくる。例えば、真空断熱材を2枚並列に配置して天板2a、背面板2b、底板2cに適用することも考えられるが、コスト、或いは外包材からの熱回り(ヒートブリッジ)等の面で好ましい方法ではない。
【0033】
これを踏まえて、図2において本実施形態の真空断熱材6について説明する。真空断熱材6は、有機繊維集合体である樹脂繊維層又は無機繊維集合体であるグラスウール層の少なくともいずれかと、吸着剤(図示無し)とを内袋8に入れ、圧縮状態の板状芯材とし、ガスバリヤ性を有する外包材9で包み、内袋内、外包材9内を減圧して作られたものである。なお、芯材7の樹脂繊維層としてはポリスチレン繊維(ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等)の樹脂繊維を用いてもよい。
【0034】
真空断熱材6は、芯材7と吸着剤とを、ガスバリヤ性を有する外包材9で包み、真空包装機にセットして真空度2.2Pa程度に減圧して一定時間保持後、外包材9を封止したものである。これにより得られた真空断熱材の熱伝導率を、英弘精機社製熱伝導率測定機オートλHC−074で測定すると、2.2〜2.5mw/m・kであり、ウレタン発泡断熱材等と比較し約10倍以上の断熱性能を示す。従って、この真空断熱材6を断熱材として冷蔵庫の箱体に使用すれば、未使用の冷蔵庫に比較して大幅な省エネルギー効果が得られるものである。
【0035】
次に真空断熱材6を構成する内袋8、外包材9について説明する。
【0036】
8は内袋である。この内袋8は、一般的にポリエチレンフィルムが用いられているが、ポリプロピレンフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム等、吸湿性が低く熱溶着でき、アウトガスが少ないものであればポリエチレンフィルムに限られるものではない。
【0037】
また、吸着剤には物理吸着タイプの合成ゼオライトを用いるが、水分やガスを吸着するものであれば良く、シリカゲルや酸化カルシウム,塩化カルシウム,酸化ストロンチウム等の化学反応型吸着剤を用いることもできる。
【0038】
外包材9については、表面層として吸湿性が低いポリプロピレンフィルムを、防湿層としてポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミ蒸着層を設け、ガスバリヤ層はエチレンビニルアルコール共重合体フィルムにアルミ蒸着層を設けて、防湿層のアルミ蒸着層と向かい合わせるように貼り合せた。外被材54のラミネート構成については、前記材質の4層構成としたが、同等のガスバリヤ性,耐熱,突き刺し強度を有したポリアミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム等であれば前記構成に限定するものではない。
【0039】
また、芯材7は、バインダーで固形化せずに、後述する原綿10を内袋8に入れ減圧すると共に圧縮状態にして板状にしたものである。
【0040】
ここで、原綿10は、一般的に無機繊維の場合、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維或いは木綿等の天然繊維を用いる。
【0041】
次に、図3をもって繊維集合体11について説明する。尚、この繊維集合体11を構成する原綿10は、ロール状に巻かれた、例えば厚みが100mm、幅が500mmあるロール上原綿から必要寸法に切り出したものである。
【0042】
図3に示す繊維集合体11は、長さT1の原綿10a層、長さT2の原綿10b,10c層を重ねたものである。長さT1の層の原綿10aは、長さT2の原綿10b,10c層よりも外側に位置するようにして積層したものである。
【0043】
また、T1とT2の差は、30mm〜60mmにしておく。この寸法30mm〜60mm分、突出している箇所を、本実施例においては突出部12と称している。
【0044】
尚、ロール状原綿の切断により端材が生じるが、この端材を使用し繊維集合体を製作することも可能である。
【0045】
端部を30〜60mm延長して突出部12とした二つ以上の繊維集合体を、突出部12が中間に空間を形成するように組み合わせて内袋内に入れて、圧縮して板状の芯材とし外包材に入れ減圧する。これにより、突出部及びその他の部分の原綿で空間13を埋めるように変形した真空断熱材が得られる。これにより、大型冷蔵庫の広い断熱平面に組み込み対応できる。
【0046】
また、突出部12を30mm〜60mmとする理由は、原綿が積層状態で300mm以上となり、突出部の寸法が小さい場合、原綿の切断寸法や積層のバラツキで原綿の乗り上げが生じてしまうためである。また、大きすぎると断熱性能の低下が懸念されるためである。
【0047】
このように製作される板厚15mmを有する真空断熱材は、冷蔵庫において断熱空間が30mm〜40mm程度の所に配設される。断熱空間が30mm以下の所であると、流動性を改善した発泡断熱材であっても発泡時のウレタンの流れを阻害することが懸念されるためである。
【0048】
繊維集合体11,11を図3に示す如く組み合わせた時、突出部12及び原綿10bの端部で囲まれた空間13が形成される。同じ製造ラインで作られた同形状の繊維集合体11を2つ使用し、繊維集合体の一方を反転させて組み合わせることで、容易に真空断熱材を拡幅することができるものである。
【0049】
また、厚み100mmの原綿を3層重ねとすることで、板厚15mmの真空断熱材とすることができるものである。
【0050】
このように組み合わせられた繊維集合体11,11を内袋8内に入れ、該内袋8を脱気圧縮して、突出部12及びその他の部分の原綿、例えば原綿10a,10bで空間を埋めると共に、減圧時にも原綿の圧縮により空間を埋めるものである。
【0051】
図5は、図4のP部拡大図である。図3の状態で、突出部12及び原綿10bの端部で囲まれた所に空間13がある状態で、内袋8、外包材9内を減圧すると空間13内の空気が引かれ突出部12が空間13側に引かれるのは勿論であるが、原綿10bの端部も空間13側に引かれ、図5の如く空間13を埋める。なぜならば、原綿10はバインダーや熱等で固形化されていない為に、原綿は空間13の負圧によって変形するためである。
【0052】
このことにより、空間13は従来例の図8で説明した急激な窪みとならず、使い勝手や断熱性能を悪化させることがないものである。
【0053】
次に図6、図7において、繊維集合体の組み合わせ方を説明する。尚、図6は図3の原綿の組み合わせ方を説明する図であり、図7は図5を説明する為に、図5と異なる原綿の組み合わせ方を説明する図である。
【0054】
図において、11は繊維集合体、12は突出部、13は空間を示す。真空断熱材6の拡幅、例えば750mm程度まで拡大することに伴い、T3寸法が400mm、T4寸法が50mmの二つの繊維集合体11を用意する。この繊維集合体11を外包材9内に入れる時、外包材9の開口より、繊維集合体11の縦方向の合わせ部(空間13)が見えるように作業工程を組むものである。
【0055】
このことにより、組み合わせ状態を見ながら、真空パック装置に配置し封止を行うことが出来るので組み合わせ時の乗り上げ等の不良を低減することが出来るものである。即ち、従来例の図7に示すものは、外包材の開口より繊維集合体の縦方向の合わせ部(空間13)が見えない作業工程であるため、位置合わせが難しく不良が拡大する可能性がある。
【0056】
ここで、真空断熱材の芯材は断熱性能の確保と板厚確保の役目がある。これを確保する為に、板状に芯材を構成する原綿の目付け量は約1200g/m2で管理されている。通常、板厚5mmの真空断熱材は、原綿一層を5mmに圧縮することにより製造されている。従って、板厚10mmの真空断熱材を得ようとすれば、原綿は二層積層し、板厚15mmの真空断熱材を得ようとすれば、原綿は三層積層する。
【0057】
本実施形態は、上記の通り板厚15mm程度より厚い真空断熱材を得る場合に適用される。尚、一層が4mmの場合は、板厚が12mm程度の真空断熱材を得ることが可能である。
【0058】
次に、図8に基づいて真空断熱材6の合わせ部と放熱パイプを組み合わせた例を説明する。
【0059】
図において、1は箱体、2は外箱、2bは背面板、2dは側板、3は内箱、5は発泡断熱材、5aは発泡断熱材5の原液、6は真空断熱材、12は突出部である。
【0060】
14は放熱パイプであり、この放熱パイプ14は側板2dに取り付けられて、側板2dを放熱板としている。しかし、この放熱パイプ14は第2の真空断熱材15を貼り付ける時に障害となる。この為、第2の真空断熱材15には上記放熱パイプ14を吸収する為の溝16が図の如く設けられている。
【0061】
本発明の真空断熱材6であれば、専用の溝を設けなくとも断熱ブロックの継ぎ目に当たる所に形成される凹部17を利用して、放熱パイプ4を配置できる。即ち、図6で説明したように、繊維集合体11の突出部12間に空間13を形成するように組み合わせ、内袋8に入れ圧縮したものであれば、突出部12の外面に凹部17が形成されて、ここに放熱パイプ14を配置できる。
【0062】
減圧時、突出部12は全体的に空間13側に窪むが、原綿10b、10c側より空間13部に入り込む原綿がある為、1〜3mm程度の凹部17となる。凹部17を利用すれば、直径が4mm程度の放熱パイプ14を配置することができるものである。
【0063】
通常、冷蔵庫の箱体1への発泡断熱材5の充填は、背面板2bが上になるよう発泡治具内にセットし、原液5aを背面板2d側に注入し、矢印の如く外箱2と内箱3との間、或いは真空断熱材と内箱3との間を上方に向かって発泡を開始させ、断熱空間内にウレタンフォーム等の発泡断熱材を充填していくものである。
【0064】
この過程において、先に説明した真空断熱材6は断熱空間内に配設固定されているものである。
【0065】
本発明は以上の如く構成したので次の効果が得られるものである。
【0066】
すなわち、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【0067】
また、前記複数の繊維集合体は、長辺方向に前記突出部間の前記空間を形成するように配置してから内袋に収納して、該内袋に収納した状態で前記外包材内に収納して、厚み12mm以上、幅500mm以上とした。
【0068】
これにより、冷蔵庫の大型化に合わせ、特別な設備を準備することなく、幅の広げた真空断熱材を得ることができるものである。
【0069】
また、最外層に位置する原綿を他の原綿より30〜60mm幅広とし突出部を形成する構成としたので、内袋内への挿入時には突出部を位置合わせの基準として組み合わせればよく、作業性が向上して、断熱空間内に配設した時発泡断熱材の流れを阻害しない。また、大きな窪みのない真空断熱材を備えた冷蔵庫が得られるものである。
【0070】
また、前記突出部の外面に凹部が形成され、該凹部に放熱パイプを配設した。このことにより、放熱パイプを避ける溝を特別に真空断熱材側に加工して設ける必要がないものである。
【符号の説明】
【0071】
1 箱体
2 外箱
2a 天板
2b 背面板
2c 底板
2d 側板
3 内箱
4 断熱空間
5 発泡断熱材
5a 原液
6 真空断熱材
7 芯材
8 内袋
9 外包材
10 原綿
11 繊維集合体
12 突出部
13 空間
14 放熱パイプ
15 第2の真空断熱材
16 溝
17 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷蔵庫の省エネルギー化の面から、真空断熱材は必要不可欠な存在となってきている。
【0003】
真空断熱材はスペーサーの役割を持つ芯材を、ガスバリヤ性を有する外包材中に挿入し、内部を減圧して封止したものである。
【0004】
また、最近の冷蔵庫は、食品の充実、まとめ買いの普及等のニーズにより大型化傾向にある。冷蔵庫の大型化に伴い、真空断熱材も大きくする必要があるが、それには大型の製造設備が必要となる為、真空断熱材の板状寸法を簡単に大きくすることはできない。なお、大型の製造設備とは、真空断熱材の原綿に含まれる水分を除去する乾燥炉等を指す。乾燥炉を大型化することは、大きな設備費用が発生することは勿論、小さなサイズの真空断熱材を製作する場合にはエネルギーロスが発生してしまう。
【0005】
現状、各メーカーは真空断熱材の幅を500mm前後にしており、それを超えたものには現有設備では対応ができない。
【0006】
即ち、冷蔵庫の大型化、省エネルギー化に伴って、例えば冷蔵庫の幅を広げ700mm〜800mm幅とした場合、真空断熱材を冷蔵庫の背面部等に配設することは難しかった。
【0007】
これに対応すべく、芯材を複数組み合わせて幅を広くした真空断熱材を製造する案がある。この案として例えば、特開平5−248592号公報(特許文献1)、特開平7−332585号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−248592号公報
【特許文献2】特開平7−332585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、これらの特許文献に示された板状芯材は、有機バインダーを使って固形化した圧密ボードであったり、珪酸カルシウム成形体であったりする。
【0010】
また、これら特許文献に示されたものは、それらを複数個組み合わせて幅を広げた場合、板状芯材の継ぎ目から直進して逃げる輻射熱を抑える為に、板状芯材を複雑な形状でオーバーラップさせる必要がある。
【0011】
そこで本発明は、大型冷蔵庫に合わせて幅を広くして、かつ断熱性能の低下を抑制した真空断熱材を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、繊維集合体を3層以上積層した30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大型冷蔵庫に合わせて幅を広くして、かつ断熱性能の低下を抑制した真空断熱材を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における冷蔵庫の縦断面図である。
【図2】図1の真空断熱材の断面図である。
【図3】図2の真空断熱材の圧縮、減圧前の原綿の説明図である。
【図4】図3の原綿を外包材に入れ減圧した図である。
【図5】図4のP部拡大説明図である。
【図6】図3の原綿を内袋又は外包材に配置した状態の図である。
【図7】図6と異なる原綿の配置を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態における冷蔵庫の横断面図である。
【図9】バインダー或いは加熱圧着法を用いて圧縮成形した板状芯材を2つ使用し外包材内に入れ減圧して、真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【図10】バインダー或いは加熱圧着法を用いて圧縮成形した段差が複数ある板状芯材を外包材内に入れ減圧して、真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【図11】繊維集合体を使って真空断熱材を製造した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
断熱性能の向上を目的として真空断熱材の厚肉化を図るべく、例えばグラスウール等の原綿を3枚以上重ね、それをバインダーや熱等を併用して、圧縮形成し、板状芯材とし、それを冷蔵庫の大型化に対応する真空断熱材とするものである。この種の従来例としては、図9〜図11に示す案がある。以下これを図において説明する。
【0016】
図9に示すものは、3枚重ねし、且つ原綿を外側に位置する一層の原綿端部を30〜60mm延長して突出部52とした二つ以上の繊維集合体51a、51bを外包材53に入れ、減圧したものである。
【0017】
図において、減圧前の突出部は実線の状態にあるが、減圧を開始すると、突出部で囲まれた空間の抵抗が小さい為に、芯材の折れ等の変形が発生し、破線の如く突出部52の付け根部で急激に曲がった状態で減圧状態作業が終了し、外包材の密封作業が終了する。
【0018】
出来上がった真空断熱材は図9に示すように、外包材がF部で大きく窪み、以後の取扱い性及び性能を低減させることは勿論、外包材にも急激な曲げ部で大きなダメージを与えかねない状態となる。
【0019】
これは繊維集合体51a、51bは予めバインダーや熱を使って圧縮成形されたものであるから、突出部52は原綿の自由度が低く、空間を埋める役目は果せないためである。
【0020】
また、図10に示すものは、バインダーや熱等を持って予め階段状に作った二つの板状芯材を組み合わせるようにして外包材内に入れ、減圧を行ない、その後外包材を密封させたものである。
【0021】
このものであると、図9に示した大きな窪みが出来ることはないが、段部の組み合わせは原綿の切断や積層等のバラツキ要素が増えS寸法が一定しない為に、S部の狙い寸法を大きくしなければならず、幅射熱の透過が増大する。
【0022】
また、図11に示すものは、二つある繊維集合体の一方に突出部54を設け、これを他方の段差部55に組み合わせるようにしたものであるから図9、図10の課題は解消されるが、組み合わされる繊維集合体が対象形でない為に、生産性が悪く、高価なものとなってしまう。
【0023】
以上のように、図9〜図11に示す真空断熱材は、バインダーや熱等で板状芯材を定められた形状に固形化するものであった為、リサイクル等に向かない。また、外包材内の減圧時、板状芯材の端面特に突出部52、54或いは図9のQ部等で外包材を損傷させるおそれがある。
【0024】
また、複雑な形状の繊維集合体を準備する必要があり、生産性が悪く、高価なものとなる。
【0025】
更には、図9のように途中に窪み(F)が出来てしまう場合、発泡断熱材の流れを阻害するおそれがある。
【0026】
一方、本発明は、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、繊維集合体を3層以上積層した30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮したものである。
【0027】
これにより、冷蔵庫の大型化に合わせ、特別な設備を準備することなく、幅の広い真空断熱材を製造することが出来るものである。
【0028】
また、この真空断熱材の製作にあたり、最外層に位置する原綿を他の原綿より30〜60mm幅広とし突出部を作る構成としたので、内袋内への挿入時には上記突出部を位置合わせの基準とし組み合わせればよく、作業性もよく、断熱空間内に配設した時発泡断熱材の流れを阻害しない。また、大きな窪みのない真空断熱材を備えた冷蔵庫が得られるものである。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。尚、図1は本発明の実施形態における冷蔵庫の縦断面図であり、図2は図1の真空断熱材の断面図であり、図3は図2の真空断熱材の圧縮、減圧前の原綿の説明図であり、図4は図3の原綿を外包材に入れ減圧した図であり、図5は図4のP部拡大説明図である。
【0030】
まず図1において、1は冷蔵庫本体を構成する箱体である。この箱体1は外箱2と内箱3と、発泡断熱材5、真空断熱材6等により構成されている。
【0031】
冷蔵庫本体の大型化は、冷蔵庫本体の開口幅(横幅)を広げることにより行われる傾向にある。開口幅を広げるには、外箱2の天板2a、背面板2b、底板2cの幅を広げることに対応する。
【0032】
真空断熱材6は、冷蔵庫の拡幅に対応し拡大される天板2a、背面板2b、底板2cに合わせて、幅方向に拡大する必要が出てくる。例えば、真空断熱材を2枚並列に配置して天板2a、背面板2b、底板2cに適用することも考えられるが、コスト、或いは外包材からの熱回り(ヒートブリッジ)等の面で好ましい方法ではない。
【0033】
これを踏まえて、図2において本実施形態の真空断熱材6について説明する。真空断熱材6は、有機繊維集合体である樹脂繊維層又は無機繊維集合体であるグラスウール層の少なくともいずれかと、吸着剤(図示無し)とを内袋8に入れ、圧縮状態の板状芯材とし、ガスバリヤ性を有する外包材9で包み、内袋内、外包材9内を減圧して作られたものである。なお、芯材7の樹脂繊維層としてはポリスチレン繊維(ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等)の樹脂繊維を用いてもよい。
【0034】
真空断熱材6は、芯材7と吸着剤とを、ガスバリヤ性を有する外包材9で包み、真空包装機にセットして真空度2.2Pa程度に減圧して一定時間保持後、外包材9を封止したものである。これにより得られた真空断熱材の熱伝導率を、英弘精機社製熱伝導率測定機オートλHC−074で測定すると、2.2〜2.5mw/m・kであり、ウレタン発泡断熱材等と比較し約10倍以上の断熱性能を示す。従って、この真空断熱材6を断熱材として冷蔵庫の箱体に使用すれば、未使用の冷蔵庫に比較して大幅な省エネルギー効果が得られるものである。
【0035】
次に真空断熱材6を構成する内袋8、外包材9について説明する。
【0036】
8は内袋である。この内袋8は、一般的にポリエチレンフィルムが用いられているが、ポリプロピレンフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリブチレンテレフタレートフィルム等、吸湿性が低く熱溶着でき、アウトガスが少ないものであればポリエチレンフィルムに限られるものではない。
【0037】
また、吸着剤には物理吸着タイプの合成ゼオライトを用いるが、水分やガスを吸着するものであれば良く、シリカゲルや酸化カルシウム,塩化カルシウム,酸化ストロンチウム等の化学反応型吸着剤を用いることもできる。
【0038】
外包材9については、表面層として吸湿性が低いポリプロピレンフィルムを、防湿層としてポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミ蒸着層を設け、ガスバリヤ層はエチレンビニルアルコール共重合体フィルムにアルミ蒸着層を設けて、防湿層のアルミ蒸着層と向かい合わせるように貼り合せた。外被材54のラミネート構成については、前記材質の4層構成としたが、同等のガスバリヤ性,耐熱,突き刺し強度を有したポリアミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム等であれば前記構成に限定するものではない。
【0039】
また、芯材7は、バインダーで固形化せずに、後述する原綿10を内袋8に入れ減圧すると共に圧縮状態にして板状にしたものである。
【0040】
ここで、原綿10は、一般的に無機繊維の場合、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維或いは木綿等の天然繊維を用いる。
【0041】
次に、図3をもって繊維集合体11について説明する。尚、この繊維集合体11を構成する原綿10は、ロール状に巻かれた、例えば厚みが100mm、幅が500mmあるロール上原綿から必要寸法に切り出したものである。
【0042】
図3に示す繊維集合体11は、長さT1の原綿10a層、長さT2の原綿10b,10c層を重ねたものである。長さT1の層の原綿10aは、長さT2の原綿10b,10c層よりも外側に位置するようにして積層したものである。
【0043】
また、T1とT2の差は、30mm〜60mmにしておく。この寸法30mm〜60mm分、突出している箇所を、本実施例においては突出部12と称している。
【0044】
尚、ロール状原綿の切断により端材が生じるが、この端材を使用し繊維集合体を製作することも可能である。
【0045】
端部を30〜60mm延長して突出部12とした二つ以上の繊維集合体を、突出部12が中間に空間を形成するように組み合わせて内袋内に入れて、圧縮して板状の芯材とし外包材に入れ減圧する。これにより、突出部及びその他の部分の原綿で空間13を埋めるように変形した真空断熱材が得られる。これにより、大型冷蔵庫の広い断熱平面に組み込み対応できる。
【0046】
また、突出部12を30mm〜60mmとする理由は、原綿が積層状態で300mm以上となり、突出部の寸法が小さい場合、原綿の切断寸法や積層のバラツキで原綿の乗り上げが生じてしまうためである。また、大きすぎると断熱性能の低下が懸念されるためである。
【0047】
このように製作される板厚15mmを有する真空断熱材は、冷蔵庫において断熱空間が30mm〜40mm程度の所に配設される。断熱空間が30mm以下の所であると、流動性を改善した発泡断熱材であっても発泡時のウレタンの流れを阻害することが懸念されるためである。
【0048】
繊維集合体11,11を図3に示す如く組み合わせた時、突出部12及び原綿10bの端部で囲まれた空間13が形成される。同じ製造ラインで作られた同形状の繊維集合体11を2つ使用し、繊維集合体の一方を反転させて組み合わせることで、容易に真空断熱材を拡幅することができるものである。
【0049】
また、厚み100mmの原綿を3層重ねとすることで、板厚15mmの真空断熱材とすることができるものである。
【0050】
このように組み合わせられた繊維集合体11,11を内袋8内に入れ、該内袋8を脱気圧縮して、突出部12及びその他の部分の原綿、例えば原綿10a,10bで空間を埋めると共に、減圧時にも原綿の圧縮により空間を埋めるものである。
【0051】
図5は、図4のP部拡大図である。図3の状態で、突出部12及び原綿10bの端部で囲まれた所に空間13がある状態で、内袋8、外包材9内を減圧すると空間13内の空気が引かれ突出部12が空間13側に引かれるのは勿論であるが、原綿10bの端部も空間13側に引かれ、図5の如く空間13を埋める。なぜならば、原綿10はバインダーや熱等で固形化されていない為に、原綿は空間13の負圧によって変形するためである。
【0052】
このことにより、空間13は従来例の図8で説明した急激な窪みとならず、使い勝手や断熱性能を悪化させることがないものである。
【0053】
次に図6、図7において、繊維集合体の組み合わせ方を説明する。尚、図6は図3の原綿の組み合わせ方を説明する図であり、図7は図5を説明する為に、図5と異なる原綿の組み合わせ方を説明する図である。
【0054】
図において、11は繊維集合体、12は突出部、13は空間を示す。真空断熱材6の拡幅、例えば750mm程度まで拡大することに伴い、T3寸法が400mm、T4寸法が50mmの二つの繊維集合体11を用意する。この繊維集合体11を外包材9内に入れる時、外包材9の開口より、繊維集合体11の縦方向の合わせ部(空間13)が見えるように作業工程を組むものである。
【0055】
このことにより、組み合わせ状態を見ながら、真空パック装置に配置し封止を行うことが出来るので組み合わせ時の乗り上げ等の不良を低減することが出来るものである。即ち、従来例の図7に示すものは、外包材の開口より繊維集合体の縦方向の合わせ部(空間13)が見えない作業工程であるため、位置合わせが難しく不良が拡大する可能性がある。
【0056】
ここで、真空断熱材の芯材は断熱性能の確保と板厚確保の役目がある。これを確保する為に、板状に芯材を構成する原綿の目付け量は約1200g/m2で管理されている。通常、板厚5mmの真空断熱材は、原綿一層を5mmに圧縮することにより製造されている。従って、板厚10mmの真空断熱材を得ようとすれば、原綿は二層積層し、板厚15mmの真空断熱材を得ようとすれば、原綿は三層積層する。
【0057】
本実施形態は、上記の通り板厚15mm程度より厚い真空断熱材を得る場合に適用される。尚、一層が4mmの場合は、板厚が12mm程度の真空断熱材を得ることが可能である。
【0058】
次に、図8に基づいて真空断熱材6の合わせ部と放熱パイプを組み合わせた例を説明する。
【0059】
図において、1は箱体、2は外箱、2bは背面板、2dは側板、3は内箱、5は発泡断熱材、5aは発泡断熱材5の原液、6は真空断熱材、12は突出部である。
【0060】
14は放熱パイプであり、この放熱パイプ14は側板2dに取り付けられて、側板2dを放熱板としている。しかし、この放熱パイプ14は第2の真空断熱材15を貼り付ける時に障害となる。この為、第2の真空断熱材15には上記放熱パイプ14を吸収する為の溝16が図の如く設けられている。
【0061】
本発明の真空断熱材6であれば、専用の溝を設けなくとも断熱ブロックの継ぎ目に当たる所に形成される凹部17を利用して、放熱パイプ4を配置できる。即ち、図6で説明したように、繊維集合体11の突出部12間に空間13を形成するように組み合わせ、内袋8に入れ圧縮したものであれば、突出部12の外面に凹部17が形成されて、ここに放熱パイプ14を配置できる。
【0062】
減圧時、突出部12は全体的に空間13側に窪むが、原綿10b、10c側より空間13部に入り込む原綿がある為、1〜3mm程度の凹部17となる。凹部17を利用すれば、直径が4mm程度の放熱パイプ14を配置することができるものである。
【0063】
通常、冷蔵庫の箱体1への発泡断熱材5の充填は、背面板2bが上になるよう発泡治具内にセットし、原液5aを背面板2d側に注入し、矢印の如く外箱2と内箱3との間、或いは真空断熱材と内箱3との間を上方に向かって発泡を開始させ、断熱空間内にウレタンフォーム等の発泡断熱材を充填していくものである。
【0064】
この過程において、先に説明した真空断熱材6は断熱空間内に配設固定されているものである。
【0065】
本発明は以上の如く構成したので次の効果が得られるものである。
【0066】
すなわち、真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮した。
【0067】
また、前記複数の繊維集合体は、長辺方向に前記突出部間の前記空間を形成するように配置してから内袋に収納して、該内袋に収納した状態で前記外包材内に収納して、厚み12mm以上、幅500mm以上とした。
【0068】
これにより、冷蔵庫の大型化に合わせ、特別な設備を準備することなく、幅の広げた真空断熱材を得ることができるものである。
【0069】
また、最外層に位置する原綿を他の原綿より30〜60mm幅広とし突出部を形成する構成としたので、内袋内への挿入時には突出部を位置合わせの基準として組み合わせればよく、作業性が向上して、断熱空間内に配設した時発泡断熱材の流れを阻害しない。また、大きな窪みのない真空断熱材を備えた冷蔵庫が得られるものである。
【0070】
また、前記突出部の外面に凹部が形成され、該凹部に放熱パイプを配設した。このことにより、放熱パイプを避ける溝を特別に真空断熱材側に加工して設ける必要がないものである。
【符号の説明】
【0071】
1 箱体
2 外箱
2a 天板
2b 背面板
2c 底板
2d 側板
3 内箱
4 断熱空間
5 発泡断熱材
5a 原液
6 真空断熱材
7 芯材
8 内袋
9 外包材
10 原綿
11 繊維集合体
12 突出部
13 空間
14 放熱パイプ
15 第2の真空断熱材
16 溝
17 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、
前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記複数の繊維集合体は、長辺方向に前記突出部間の前記空間を形成するように配置してから内袋に収納して、該内袋に収納した状態で前記外包材内に収納して、厚み12mm以上、幅500mm以上としたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記突出部の外面に凹部が形成され、該凹部に放熱パイプを配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項1】
真空断熱材及び発泡断熱材を断熱部に備えた冷蔵庫において、
前記真空断熱材は、30〜60mmの突出部を有する複数の繊維集合体と、該複数の繊維集合体をそれぞれの前記突出部間に空間を形成するように組み合わせた芯材と、該芯材を収納した外包材とを備え、前記突出部間の前記空間を埋めるように前記外包材内を圧縮したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記複数の繊維集合体は、長辺方向に前記突出部間の前記空間を形成するように配置してから内袋に収納して、該内袋に収納した状態で前記外包材内に収納して、厚み12mm以上、幅500mm以上としたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記突出部の外面に凹部が形成され、該凹部に放熱パイプを配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−24439(P2013−24439A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157401(P2011−157401)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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