冷陰極蛍光ランプおよびバックライトユニット
【課題】取り付けが簡単かつ長寿命でありながら、十分なランプ輝度を有する冷陰極蛍光ランプを提供する。
【解決手段】ガラスバルブ10と、ガラスバルブ10の両端部に封着された一対のホロー電極20と、ガラスバルブ10の両端部の外側に設けられ、ホロー電極20のリード線22と接合された給電端子30とを備え、給電端子30と接合される部分のリード線22には、ガラスバルブ10との封着部分側のリード線22の外径より大きい肉だまり部27を有し、かつ、その肉だまり部27がガラスバルブ10の両端部に密接しており、給電端子30は、リード線22との接合部分以外がガラスバルブ10の外表面上に形成された薄膜である。
【解決手段】ガラスバルブ10と、ガラスバルブ10の両端部に封着された一対のホロー電極20と、ガラスバルブ10の両端部の外側に設けられ、ホロー電極20のリード線22と接合された給電端子30とを備え、給電端子30と接合される部分のリード線22には、ガラスバルブ10との封着部分側のリード線22の外径より大きい肉だまり部27を有し、かつ、その肉だまり部27がガラスバルブ10の両端部に密接しており、給電端子30は、リード線22との接合部分以外がガラスバルブ10の外表面上に形成された薄膜である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプおよび当該冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図11に示すような、ガラスバルブ201の端部にキャップ状の給電端子202が設けられた冷陰極蛍光ランプ200がある(特許文献1)。給電端子202は電極203のリード線204と電気的に接続されているため、冷陰極蛍光ランプ200の端部をバックライトユニット等の点灯装置のソケット(不図示)に嵌め込めば、冷陰極蛍光ランプ200を前記点灯装置に固定し、かつ、冷陰極蛍光ランプ200と前記点灯装置の点灯回路とを電気的に接続することができる。したがって、冷陰極蛍光ランプ200を前記点灯装置へ取り付ける際に、リード線204の半田付け等が不要であり、給電端子202が設けられていない冷陰極蛍光ランプと比べて取り付けが容易である。
【0003】
一方、図12に示すような、有底筒状の電極本体301とリード線302とからなる所謂ホロー電極303を備えた冷陰極蛍光ランプ300もある(特許文献2)。当該冷陰極蛍光ランプ300は、図12において矢印で示すように、電極本体301の内側で放電が起こるため、放電により飛散するスパッタ物質が、ガラスバルブ304の内面に付着しにくく、比較的長寿命である。
【特許文献1】特開平7−220622号公報
【特許文献2】特開2002−289138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11に示すような給電端子202を備えた冷陰極蛍光ランプ200においても、長寿命化を図るためにはホロー電極を採用することが望ましいが、ホロー電極を採用するとランプ輝度が低下する。その理由は以下の通りである。
【0005】
電極本体205が棒状の場合は、図11において矢印で示すように電極本体205の外表面の全体で放電が起こるため、放電の一部がリード線204側に回り込んでリード線204およびその付近が加熱される。したがって、リード線204に接合されている給電端子202がリード線204の温度を下げるヒートシンクの役割を果たしても、リード線204およびその付近の温度が低下し過ぎることはない。
【0006】
一方、ホロー電極の場合は、リード線204側に放電が回り込むことが少なく、放電によってリード線204およびその付近が加熱されることが少ないため、給電端子202の放熱作用によりリード線204およびその付近の温度が低下し過ぎる。その結果、リード線204の周囲に水銀蒸気が多く集まってしまい、放電路の水銀蒸気が不足して、ランプ輝度が低下する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、取り付けが簡単かつ長寿命でありながら、十分なランプ輝度を有する冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、ガラスバルブと、前記ガラスバルブの両端部に封着された一対のホロー電極と、前記ガラスバルブの両端部の外側に設けられ、前記ホロー電極のリード線と接合された給電端子とを備え、前記給電端子と接合される部分の前記リード線には、前記ガラスバルブとの封着部分側の前記リード線の外径より大きい肉だまり部を有し、かつ、その肉だまり部が前記ガラスバルブの両端部に密接しており、前記給電端子は、前記リード線との接合部分以外が前記ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料又は鉄で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケルメッキで形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の肉だまり部は、前記ガラスバルブ端部に埋設されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記薄膜は、膜厚が5〜120μmであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線は、前記ガラスバルブの外表面から前記ガラスバルブの管軸方向に向けて突出する突出部分で前記給電端子と接合されており、前記突出部分の前記管軸方向の長さが1mm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記給電端子は、少なくとも前記接合部分が半田で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明に係るバックライトユニットは、光源として、上記冷陰極蛍光ランプが搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、給電端子におけるリード線との接合部分以外が、ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜である。そのため、給電端子は、外表面の面積が小さく、従来の給電端子と比べて放熱作用が小さい。したがって、リード線の温度が低下しにくく、前記リード線の周囲に水銀蒸気が集まりにくいため、放電路の水銀蒸気が不足して冷陰極蛍光ランプのランプ輝度が低下する現象が起こりにくい。また、リード線の外径より大きい肉だまり部がガラスバルブの両端部に密接しているため、肉だまり部からホロー電極部までの寸法を一定にでき、つまりホロー電極の底部と対向するガラスバルブの内面との隙間を小さくして有効発光長を長くすることができ、かつ、リード線の外部への突出部分がぶつかった際、肉だまり部に掛かる力がガラスバルブの両端部で吸収されるので、リード線が封着されたガラスバルブ端部の破損によるリークを防止することができる。
【0020】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料又はニッケルメッキで形成されていることで、リード線と給電端子との半田での接続を確実に行うことができる。
【0021】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部は、ガラスバルブ端部に埋設されていることにより、リード線の外部への突出部分がぶつかった際、肉だまり部に掛かる力がガラスバルブの両端部でさらに吸収されるので、リード線が封着されたガラスバルブの破損によるリークを防止することができる。
【0022】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることにより、さらにリード線が封着されたガラスバルブの破損によるリークをさらに防止することができる。
【0023】
また、上記構成において、給電端子の薄膜は、膜厚が5〜120μmであることにより、薄膜の膜厚が5μmよりも薄いと、薄膜がガラスバルブから剥がれ易く実使用に耐えない。一方、薄膜の膜厚が120μmよりも厚いと、給電端子の外表面の面積が大きくなり過ぎ、ひいては前記給電端子の放熱作用が大きくなり過ぎるため、リード線の温度が従来の冷陰極蛍光ランプよりも低くなり易い。したがって、十分なランプ輝度を得ることができない可能性がある。
【0024】
また、上記構成において、リード線の突出部分の管軸方向の長さが1mm以下である場合は、後述するような一般的なサイズの冷陰極蛍光ランプにおいて、前記突出部分が冷陰極蛍光ランプ全体からみて突出し過ぎることがない。したがって、突出部分がぶつかって折れ曲がったり、前記突出部分が折れ曲がる際の応力によってリード線が封着されたガラスバルブの破損を低減することができる。
【0025】
また、上記構成において、給電端子の少なくとも接合部分が半田で形成されている場合、公知のディップ法等で給電端子を形成することができる。特に、給電端子全体が半田で形成されている場合は、前記ディップ法で前記給電端子を形成し易い。そのため、部品の組み立てが必要な従来の給電端子と比べて、より簡単かつ安価に冷陰極蛍光ランプを製造することができる。加えて、半田は、キャップ状の給電端子に使用される鉄・ニッケル合金よりも一般的に熱伝導性が低いため、前記給電端子の放熱作用をより小さくすることができる。そのため、ランプ輝度がより低下しにくい。
【0026】
さらに、上記構成において、ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることにより、暗黒始動特性を改善することができる。
【0027】
さらにまた、上記構成において、ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることにより、暗黒始動時間が約1秒以下に改善することができる。
【0028】
本発明に係るバックライトユニットは、光源として、上記冷陰極蛍光ランプが搭載しているため、点灯装置への取り付けが簡単かつ長寿命でありながら、十分なランプ輝度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(冷陰極蛍光ランプの説明)
以下、本発明の実施の形態にかかる冷陰極蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷陰極蛍光ランプを示す一部破断斜視図であり、図2は、冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。冷陰極蛍光ランプ1は、バックライトユニットの光源として用いられるものであって、ガラスバルブ10と、ガラスバルブ10の両端部に封着された一対のホロー電極20と、ガラスバルブ10の両端部の外側に設けられた給電端子30とを備える。
【0031】
ガラスバルブ10は、ホウケイ酸ガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−K2O−TiO2)製のガラス管を加工したものであって、全長は730mmである。ガラスバルブ10は、管状のガラスバルブ本体11と、ガラスバルブ本体11の長手方向両側に位置する一対の破線で示すガラスビーズ11aを用いて形成された封着部12とからなる。なお、ガラスバルブ10の材料にホウケイ酸ガラスを使用したが、これに限らず、例えば、ソーダガラスを使用してもよい。そして、ソーダガラスの加工性や暗黒始動特性が改善を考慮すると、ソーダガラスに含有する酸化ナトリウムの含有率は、3(%)以上20(%)以下の範囲が好ましい。なお、酸化ナトリウムの含有率をさらに5(%)以上にすると、暗黒条件下での暗黒始動時間が約1秒以下となる。逆に、酸化ナトリウムの含有率が20(%)を越えると、長時間の使用によりガラスバルブが白色化して輝度の低下を招いたり、ガラスバルブ10自体の強度が低下したりするなどの不具合が発生するからである。また、環境対策を考慮した場合、アルカリ系金属の含有率が前記3(%)以上20(%)以下の範囲内のソーダガラスであって、かつ、鉛の含有率が0.1(%)以下のガラスが好ましく(所謂、「鉛フリーガラス」である。)、さらには、鉛の含有率が0.01(%)以下のガラスがより好ましい。
【0032】
ガラスバルブ本体11は、断面が円環形状であって、外径が4mm、内径が3mm、肉厚が0.5mmである。封着部12は、図2に示すように、ガラスバルブ10の管軸A方向における最大幅Wが2mmであって、ホロー電極20が封着されている。
【0033】
なお、ガラスバルブ10の構成は上記構成に限定されない。但し、冷陰極蛍光ランプ1を細長くするためには、ガラスバルブ10が小径かつ薄肉であることが望ましいため、一般的には、ガラスバルブ本体11の外径が1.8mm(内径1.4mm)〜6.0mm(内径5.0mm)であることが好ましい。
【0034】
ガラスバルブ10の内面には蛍光体層13が形成されている。蛍光体層13は、例えば、赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)および青色蛍光体(BaMg2Al16O27:Eu,Mn)からなる希土類蛍光体で形成されている。また、ガラスバルブ10の内部には、例えば、約1200μgの水銀、および、希ガスとして約8kPa(20℃)のネオン・アルゴン混合ガス(Ne95%+Ar5%)が封入されている。
【0035】
なお、蛍光体層13、水銀および希ガスの構成は上記構成に限定されない。例えば、希ガスとしてネオン・クリプトン混合ガス(Ne95%+Kr5%)が封入されていても良い。希ガスとしてネオン・クリプトン混合ガスを用いると、ランプ始動性が向上し、冷陰極蛍光ランプ1を低い電圧で点灯させることができる。
【0036】
ホロー電極20は、円柱状のガラスビーズ11a(破線で示す)の軸心に固着されたリード線22とリード線22の一端に溶着された電極本体21とで構成され、ガラスバルブ10内にガラスビーズ11aを挿入し封着することで、ガラスバルブ10内に密閉されている。
【0037】
電極本体21は、ニッケル(Ni)材料であって、筒部23と底部24とからなる有底筒状である。なお、電極本体21は、ニッケル製に限らず、例えばニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、或いは、モリブデン(Mo)の材料にすることが考えられる。
【0038】
筒部23は、全長が5.2mm、外径が2.7mm、内径が2.3mm、肉厚が0.2mmである。ホロー電極20は、筒部23の管軸とガラスバルブ10の管軸とがほぼ一致するように配置されており、かつ、筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔が筒部23の外周全域に亘ってほぼ均一となっている。
【0039】
筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔は、具体的には0.15mmである。このように前記間隔が狭いと、その間隔に放電が入り込まず、ホロー電極20の内部のみで放電が起こる。したがって、放電により飛散するスパッタ物質が、ガラスバルブ10の内面に付着しにくく、冷陰極蛍光ランプ1は長寿命である。一方、放電がリード線22側へ回り込まないため、リード線22が放電によって加熱されにくい。
【0040】
なお、筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔は、必ずしも0.15mmである必要はないが、その間隔に放電が入り込まないようにするためには0.2mm以下であることが好ましい。
【0041】
リード線22は、ガラスバルブ10の熱膨張係数とほぼ同じ材料であるタングステン(W)製の内部リード線25と、内部リード線25とほぼ同径で、かつ、半田等に付着し易いニッケル製の外部リード線26とを溶接接合し、その接合部には内部リード線25の外径より大きい肉だまり部27が形成されている。そして、ガラスバルブ10の両端面と対向する肉だまり部27がガラスバルブ10の両端部に密接するように設けられている(つまり、外部リード線26及び肉だまり部27はガラスバルブ10の外表面よりも外側に位置する)。この構成により、肉だまり部27からホロー電極20部までの寸法を一定にでき、つまり、ホロー電極20の底部と対向するガラスバルブ10の内面との隙間εを約0.5mmに小さくして有効発光長Lを長くすることができ、かつ、外部リード線26の突出部分が外部とぶつかった際、肉だまり部27に掛かる力がガラスバルブ10の両端部で吸収されるので、内部リード線25が封着されたガラスバルブ10の封着部12の破損によるリークを防止することができる。なお、肉だまり部27は外部リード線26と同じニッケル材料で形成したが、これに限らず、例えばFe−Ni合金、Cu−Ni合金、或いは、ジュメット線の材料等にすることが考えられる。
【0042】
内部リード線25は、断面が略円形であって、全長が3mm、線径が0.8mmである。また、内部リード線25は、肉だまり部27側の端部がガラスバルブ10の封着部12に封着され、外部リード線26側とは反対側の端部が電極本体21の底部24の外側面略中央に接合されている。
【0043】
外部リード線26および肉だまり部27は、ガラスバルブ10の外表面から管軸A方向に向けて突出する突出部分であって、給電端子30と接合されている。そして、外部リード線26および肉だまり部27は、断面が略円形であり、合計全長σが1mmであり、外部リード線26の軸心とガラスバルブ10の管軸Aとがほぼ一致している。
【0044】
外部リード線26および肉だまり部27の管軸A方向の合計全長σは、1mm以下が好適である。また、肉だまり部27の外径は、封着部12の破損や部品価格を考慮すると内部リード線25の外径の1.5倍〜4倍が好ましい。上述したように、冷陰極蛍光ランプ1を細長くするためにはガラスバルブ本体11の外径が1.8mm〜6.0mmの範囲内であることが好ましいが、このようなサイズの冷陰極蛍光ランプ1において、外部リード線26および肉だまり部27の管軸A方向の合計全長σが1mm以下であれば冷陰極蛍光ランプ1全体からみて外部リード線26が突出し過ぎない。したがって、外部リード線26が外部にぶつかって、外部リード線26を折り曲げたり、封着部12を破損させたりすることが少ない。例えば、冷陰極蛍光ランプ1をバックライトユニット100に取り付ける際に、外部リード線26がバックライトユニット100にぶつかって折れ曲がったり、ぶつかった際に外部リード線26に加わる応力によって封着部12が割れたりするおそれが少ない。
【0045】
給電端子30は、ガラスバルブ10の両端部にそれら両端部を覆うようにして設けられている。当該給電端子30は、半田製であって、外部リード線26および肉だまり部27と接合された接合部分31と、前記接合部分以外の部分としての薄膜部分32とからなる。
【0046】
接合部分31は、給電端子30が内部リード線25と電気的に接続されている部分であって、外観視略円錐体形状である。そのため、接合部分31の外表面の面積は、外部リード線26の外表面全体を完全に覆っているにも拘わらず小さい。したがって、給電端子30の外表面の面積も小さく、放熱作用も小さいため、内部リード線25の温度が低下しにくい。また、外部リード線26が給電端子30で完全に覆われているため、外部リード線26が折れ曲がったり、外部リード線26に応力が加わって封着部12が破損したりするおそれが少ない。なお、接合部分31の外表面の面積は、できるだけ小さいことが好ましい。
【0047】
薄膜部分32は、ガラスバルブ本体11の外表面上における封着部12側の所定の領域、および、封着部12の外表面上におけるガラスバルブ本体11側の所定の領域に形成されている。給電端子30の放熱作用を小さく抑えるためには、薄膜部分32が形成される領域ができるだけ狭いことが好ましい。
【0048】
給電端子30は、公知のディッピング法で形成することができる(例えば、特開2004−146351号公報)。ディッピング法で給電端子30を形成する方法を簡単に説明すると、例えば、ホロー電極20が封着されたガラスバルブ10の封着部12を、溶融槽内の溶融半田に浸漬させて行う。溶融半田に封着部12を浸漬させる際には、超音波を加えてもよい。このようなディッピング法は、給電端子30を簡単かつ安価に形成することができるため、冷陰極蛍光ランプ1を安価に製造することができる。
【0049】
なお、給電端子30は、ディッピング法以外の方法で形成しても良い。例えば蒸着、メッキ等の方法によって形成しても良い。
【0050】
給電端子30の構成は上記構成に限定されず、例えば変形例1乃至3に示すような構成とすることが考えられる。なお、変形例1乃至3に係る冷陰極蛍光ランプは、給電端子および電極の構成が異なる他は、基本的に本実施の形態の冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。したがって、共通する部分には本実施の形態と同じ符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
図3は、変形例1に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。図3に示す冷陰極蛍光ランプ50の給電端子51は、接合部分52と薄膜部分53とからなる。また、リード線22は、例えば、タングステン材料の内部リード線25の一端にニッケル材料の肉だまり部27を溶接して形成したものである。そして、接合部分52は、外観視略半球形状であって、リード線22の肉だまり部27の外表面全体を覆っている。
【0052】
この構成によれば、接合部分52によって、肉だまり部27が完全に覆い隠され、冷陰極蛍光ランプ50の端部が滑らかに丸められているため、冷陰極蛍光ランプ50の端部が外部にぶつかっても、外部リード線26が折れ曲がったり、封着部12が破損したりするおそれが少ない。
【0053】
なお、肉だまり部27は、ニッケル材料で形成したが、これに限らず、例えば、タングステン材料の内部リード線25と同じ材料で一体形成した後、肉だまり部27の表面の一部又は全部を半田付けし易いニッケルメッキ等で形成したものでもよい。
【0054】
図4は、変形例2に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。図4に示す冷陰極蛍光ランプ60の給電端子61は、接合部分62と薄膜部分63とからなる。また、リード線22は、例えば、タングステン材料の内部リード線25の一端にニッケル材料の肉だまり部27を溶接して形成したものである。また、肉だまり部27は、ガラスバルブ10端部に埋設されている。そして、接合部分62は、リード線22の肉だまり部27の外表面を薄膜で覆っている。その薄膜の膜厚は、薄膜部分63と同じ10μmである。
【0055】
この構成によれば、肉だまり部27がガラスバルブ10端部に埋設されていることにより、肉だまり部27が外部にぶつかることが無く、封着部12の破損を防止することができる。また、給電端子30全体を薄膜とすることによって、半田の使用量を減らすことができ、より安価に冷陰極蛍光ランプ60を製造することができる。
【0056】
なお、上記変形例2では、肉だまり部27の全体が完全にガラスバルブ10端部に埋没されているが、これに限らず、肉だまり部27の一部が埋没してもよい。つまり、肉だまり部27は、ガラスバルブ10端部への埋没量が多くなればなるほど、外部とのぶつかる確率が少なくなるからである。
【0057】
図5は、変形例3に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図であり、図5は、給電端子を構成する薄膜部材を示す斜視図である。図5に示す冷陰極蛍光ランプ70の給電端子71は、半田製の接合部分72と、薄膜部分としての鉄・ニッケル合金製の薄膜部材73とからなる。このように、給電端子71は、必ずしもその全体が同じ材料で構成されていなくても良い。
【0058】
図6に示すように、薄膜部材73は、断面略C字形に形成された肉厚120μmの筒体であって、ガラスバルブ10の端部に外嵌されている。薄膜部材73の内径はガラスバルブ10の外径よりもやや小さく、また薄膜部材73にはスリット74が設けられている。したがって、薄膜部材73の内径とガラスバルブ10の外径との間に多少の寸法誤差が生じても、薄膜部材73の内面が前記ガラスバルブ10の外面に密着するように設計されている。
【0059】
なお、薄膜部材73は、断面略C字形の筒体に限定されず、断面が略三角形や略四角形等の多角形、或いは楕円の筒体に、スリットを設けたものであっても良い。また、スリットを設けない場合も考えられる。
【0060】
外部リード線26及び肉だまり部27の合計全長σは1mmであり、そして外部リード線26及び肉だまり部27を収納した部分の薄膜部材73の長さL1が1.5mmである。接合部分72は、外部リード線26及び肉だまり部27を厚肉領域(L1部の領域)である。
【0061】
給電端子71を上記構成とした場合、外部リード線26が外側に突出していないため、給電端子71を外部にぶつけてもガラスバルブ10の封着部12へ応力が加わらないので、封着部12が破損しにくい。
【0062】
なお、給電端子30、51、61を形成する材料は半田に限定されず、少なくとも導電性を有する材料であれば良い。但し、給電端子30、51、61の放熱作用が大きくならないように、熱伝導率の低い材料であることが好ましい。
【0063】
一般に半田は、導電性が良く、熱伝導率も低く、その上、低価格であるため、給電端子30、51、61の材料として好適である。特に、スズ(Sn)、スズ・インジウム(In)合金、スズ・ビスマス(Bi)合金等を主成分とする半田は、機械的強度の高い給電端子30を形成することができるため、より好適である。それらに、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、金(Au)、鉄(Fe)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1種類を添加した半田は、ガラスとの馴染みが良いために、ガラスバルブ10から剥がれ難い給電端子30、51、61を形成することができ、さらに好適である。加えて、鉛を含まない半田は、環境に配慮した冷陰極蛍光ランプ1を作製することができるため好適である。
【0064】
上記冷陰極蛍光ランプ1は、点灯周波数40〜120kHz、ランプ電流3.5〜8.5mAで動作される。
【0065】
以上、本発明に係る冷陰極蛍光ランプを実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、上記の実施の形態に限定されない。例えば、冷陰極蛍光ランプは、直管形に限定されず、例えばU字形等の屈曲形冷陰極蛍光ランプであってもよい。
【0066】
また、給電端子の外表面を、導電性を有し熱伝導率の低い材料で覆うことが考えられる。例えば、半田製の給電端子の外表面を、例えば図6に示すようなタンタル製の筒状部材で覆うことが考えられる。これにより、給電端子を剥がれ難くすることができる。
【0067】
(実験の説明)
冷陰極蛍光ランプの温度特性を測定し、給電端子の放熱作用について検討した。図7は、冷陰極蛍光ランプの温度特性を示す。
【0068】
図7において、実施例の冷陰極蛍光ランプは、給電端子30の薄膜部分32の膜厚が50μmである点を除き、本実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。
【0069】
比較例1の冷陰極蛍光ランプは、図12に示すように、給電端子を備えていない冷陰極蛍光ランプであって、電極および給電端子に関する構造を除き本実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。
【0070】
実験では、各冷陰極蛍光ランプについて、ガラスバルブの管軸方向中央部(以下、「管中央部」と称する)の表面温度、および、前記ガラスバルブの電極付近の表面温度を測定した。
【0071】
実施例の冷陰極蛍光ランプと比較例1の冷陰極蛍光ランプとは、電極付近および管中央部の温度が同程度であり、かつ、電極付近の温度と管中央部の温度との温度差も同程度である。したがって、電極付近および放電路に集まる水銀蒸気もそれぞれ同程度であり、ランプ輝度も同程度である。これは、放熱作用が同程度だからであると推測できる。この結果から、給電端子の薄膜部分の膜厚が50μm以下であれば、給電端子を備えていない冷陰極蛍光ランプと同程度のランプ輝度を得られることがわかる。
【0072】
図8は、実施例の冷陰極蛍光ランプにおいて、給電端子の薄膜部分の膜厚と、電極付近の温度との関係を示す図である。図8に示すように、給電端子30の薄膜部分32の膜厚が120μmになると、電極20付近と管中央部との温度差がなくなる。したがって、薄膜部分32の膜厚は、電極20付近の温度が管中央部よりも低くならないように、膜厚120μm以下であることが好ましい。本発明では、薄膜を、膜厚が120μm以下の膜と定義する。
【0073】
(バックライトユニットの説明)
図9は、本願発明の一実施形態にかかるバックライトユニット等の概略構成を示す分解斜視図であり、図10は、冷陰極蛍光ランプの取り付け状態を説明する図である。
【0074】
図9に示すように、本発明の一実施形態にかかるバックライトユニット100は、液晶テレビ用の直下方式のバックライトユニットであって、その構造は、基本的に従来のバックライトユニットの構造に準ずる。
【0075】
バックライトユニット100は、外囲器110、拡散板120、拡散シート130およびレンズシート140を備え、液晶パネル150の背面に配置して用いられる。
【0076】
外囲器110は、白色のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製の箱体であって、図10に示すように、略方形の反射板111と、反射板111の周縁を囲む側板112〜115とからなる。外囲器110の内部には複数の冷陰極蛍光ランプ1が並設されており、それら冷陰極蛍光ランプ1の光は、外囲器110の開口116から拡散板120に向けて放出される。
【0077】
反射板111には、各冷陰極蛍光ランプ1の取り付け位置に対応する位置に、それぞれ一組のソケット160が配置されている。各ソケット160は、例えばりん青銅等の銅合金製或いはアルミニウム製の板材を折り曲げて加工したものであって、一対の挟持片161、162と、それら挟持片161、162を下端縁で連結する連結片163とからなる。挟持片161、162には、冷陰極蛍光ランプ1の外形に合わせた凹部が設けられており、前記凹部内に冷陰極蛍光ランプ1を嵌め込めば、挟持片161、162の板ばね作用によって冷陰極蛍光ランプ1がソケット160に保持されるとともに、ソケット160と給電端子30とが電気的に接続される。バックライトユニット100に取り付けられた冷陰極蛍光ランプ1には、バックライトユニット100の点灯回路(不図示)からソケット160を介して電力が供給される。
【0078】
拡散板120は、ポリカーボネート(PC)樹脂製の板体であって、外囲器110の開口116を塞ぐように配置されている。拡散シート130は、ポリカーボネート樹脂製であり、レンズシート140は、アクリル樹脂製であって、それぞれ拡散板120に順次重ね合わせるようにして配置されている。
【0079】
以上、本発明に係るバックライトユニットを実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係るバックライトユニットは、上記の実施の形態に限定されない。例えば、直下方式のバックライトユニットに限定されず、液晶パネルの背面に導光板を配置し、前記導光板の端面に冷陰極蛍光ランプ1を配置したエッジライト方式(サテライト方式または導光板方式ともいう)のバックライトユニットであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプはバックライトユニットの光源として、本発明に係るバックライトユニットは、液晶テレビや液晶ディスプレイ用として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態にかかる冷陰極蛍光ランプを示す一部破断斜視図
【図2】冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図3】変形例1に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図4】変形例2に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図5】変形例3に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図6】給電端子を構成する薄膜部材を示す斜視図
【図7】冷陰極蛍光ランプの温度特性を示す図
【図8】給電端子の薄膜部分の膜厚と、電極付近の温度との関係を示す図
【図9】本願発明の一実施形態にかかるバックライトユニット等の概略構成を示す分解斜視図
【図10】冷陰極蛍光ランプの取り付け状態を説明する図
【図11】キャップ状の給電端子を備えた従来の冷陰極蛍光ランプの端部を示す断面図
【図12】ホロー電極を備えた従来の冷陰極蛍光ランプの端部を示す断面図
【符号の説明】
【0082】
1 冷陰極蛍光ランプ
10 ガラスバルブ
20 ホロー電極
22 リード線
27 肉だまり部
30 給電端子
31 接合部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプおよび当該冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図11に示すような、ガラスバルブ201の端部にキャップ状の給電端子202が設けられた冷陰極蛍光ランプ200がある(特許文献1)。給電端子202は電極203のリード線204と電気的に接続されているため、冷陰極蛍光ランプ200の端部をバックライトユニット等の点灯装置のソケット(不図示)に嵌め込めば、冷陰極蛍光ランプ200を前記点灯装置に固定し、かつ、冷陰極蛍光ランプ200と前記点灯装置の点灯回路とを電気的に接続することができる。したがって、冷陰極蛍光ランプ200を前記点灯装置へ取り付ける際に、リード線204の半田付け等が不要であり、給電端子202が設けられていない冷陰極蛍光ランプと比べて取り付けが容易である。
【0003】
一方、図12に示すような、有底筒状の電極本体301とリード線302とからなる所謂ホロー電極303を備えた冷陰極蛍光ランプ300もある(特許文献2)。当該冷陰極蛍光ランプ300は、図12において矢印で示すように、電極本体301の内側で放電が起こるため、放電により飛散するスパッタ物質が、ガラスバルブ304の内面に付着しにくく、比較的長寿命である。
【特許文献1】特開平7−220622号公報
【特許文献2】特開2002−289138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11に示すような給電端子202を備えた冷陰極蛍光ランプ200においても、長寿命化を図るためにはホロー電極を採用することが望ましいが、ホロー電極を採用するとランプ輝度が低下する。その理由は以下の通りである。
【0005】
電極本体205が棒状の場合は、図11において矢印で示すように電極本体205の外表面の全体で放電が起こるため、放電の一部がリード線204側に回り込んでリード線204およびその付近が加熱される。したがって、リード線204に接合されている給電端子202がリード線204の温度を下げるヒートシンクの役割を果たしても、リード線204およびその付近の温度が低下し過ぎることはない。
【0006】
一方、ホロー電極の場合は、リード線204側に放電が回り込むことが少なく、放電によってリード線204およびその付近が加熱されることが少ないため、給電端子202の放熱作用によりリード線204およびその付近の温度が低下し過ぎる。その結果、リード線204の周囲に水銀蒸気が多く集まってしまい、放電路の水銀蒸気が不足して、ランプ輝度が低下する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、取り付けが簡単かつ長寿命でありながら、十分なランプ輝度を有する冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、ガラスバルブと、前記ガラスバルブの両端部に封着された一対のホロー電極と、前記ガラスバルブの両端部の外側に設けられ、前記ホロー電極のリード線と接合された給電端子とを備え、前記給電端子と接合される部分の前記リード線には、前記ガラスバルブとの封着部分側の前記リード線の外径より大きい肉だまり部を有し、かつ、その肉だまり部が前記ガラスバルブの両端部に密接しており、前記給電端子は、前記リード線との接合部分以外が前記ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料又は鉄で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケルメッキで形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の肉だまり部は、前記ガラスバルブ端部に埋設されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記薄膜は、膜厚が5〜120μmであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記リード線は、前記ガラスバルブの外表面から前記ガラスバルブの管軸方向に向けて突出する突出部分で前記給電端子と接合されており、前記突出部分の前記管軸方向の長さが1mm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記給電端子は、少なくとも前記接合部分が半田で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る冷陰極蛍光ランプでは、前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明に係るバックライトユニットは、光源として、上記冷陰極蛍光ランプが搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、給電端子におけるリード線との接合部分以外が、ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜である。そのため、給電端子は、外表面の面積が小さく、従来の給電端子と比べて放熱作用が小さい。したがって、リード線の温度が低下しにくく、前記リード線の周囲に水銀蒸気が集まりにくいため、放電路の水銀蒸気が不足して冷陰極蛍光ランプのランプ輝度が低下する現象が起こりにくい。また、リード線の外径より大きい肉だまり部がガラスバルブの両端部に密接しているため、肉だまり部からホロー電極部までの寸法を一定にでき、つまりホロー電極の底部と対向するガラスバルブの内面との隙間を小さくして有効発光長を長くすることができ、かつ、リード線の外部への突出部分がぶつかった際、肉だまり部に掛かる力がガラスバルブの両端部で吸収されるので、リード線が封着されたガラスバルブ端部の破損によるリークを防止することができる。
【0020】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料又はニッケルメッキで形成されていることで、リード線と給電端子との半田での接続を確実に行うことができる。
【0021】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部は、ガラスバルブ端部に埋設されていることにより、リード線の外部への突出部分がぶつかった際、肉だまり部に掛かる力がガラスバルブの両端部でさらに吸収されるので、リード線が封着されたガラスバルブの破損によるリークを防止することができる。
【0022】
また、上記構成において、リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることにより、さらにリード線が封着されたガラスバルブの破損によるリークをさらに防止することができる。
【0023】
また、上記構成において、給電端子の薄膜は、膜厚が5〜120μmであることにより、薄膜の膜厚が5μmよりも薄いと、薄膜がガラスバルブから剥がれ易く実使用に耐えない。一方、薄膜の膜厚が120μmよりも厚いと、給電端子の外表面の面積が大きくなり過ぎ、ひいては前記給電端子の放熱作用が大きくなり過ぎるため、リード線の温度が従来の冷陰極蛍光ランプよりも低くなり易い。したがって、十分なランプ輝度を得ることができない可能性がある。
【0024】
また、上記構成において、リード線の突出部分の管軸方向の長さが1mm以下である場合は、後述するような一般的なサイズの冷陰極蛍光ランプにおいて、前記突出部分が冷陰極蛍光ランプ全体からみて突出し過ぎることがない。したがって、突出部分がぶつかって折れ曲がったり、前記突出部分が折れ曲がる際の応力によってリード線が封着されたガラスバルブの破損を低減することができる。
【0025】
また、上記構成において、給電端子の少なくとも接合部分が半田で形成されている場合、公知のディップ法等で給電端子を形成することができる。特に、給電端子全体が半田で形成されている場合は、前記ディップ法で前記給電端子を形成し易い。そのため、部品の組み立てが必要な従来の給電端子と比べて、より簡単かつ安価に冷陰極蛍光ランプを製造することができる。加えて、半田は、キャップ状の給電端子に使用される鉄・ニッケル合金よりも一般的に熱伝導性が低いため、前記給電端子の放熱作用をより小さくすることができる。そのため、ランプ輝度がより低下しにくい。
【0026】
さらに、上記構成において、ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることにより、暗黒始動特性を改善することができる。
【0027】
さらにまた、上記構成において、ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることにより、暗黒始動時間が約1秒以下に改善することができる。
【0028】
本発明に係るバックライトユニットは、光源として、上記冷陰極蛍光ランプが搭載しているため、点灯装置への取り付けが簡単かつ長寿命でありながら、十分なランプ輝度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(冷陰極蛍光ランプの説明)
以下、本発明の実施の形態にかかる冷陰極蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷陰極蛍光ランプを示す一部破断斜視図であり、図2は、冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。冷陰極蛍光ランプ1は、バックライトユニットの光源として用いられるものであって、ガラスバルブ10と、ガラスバルブ10の両端部に封着された一対のホロー電極20と、ガラスバルブ10の両端部の外側に設けられた給電端子30とを備える。
【0031】
ガラスバルブ10は、ホウケイ酸ガラス(SiO2−B2O3−Al2O3−K2O−TiO2)製のガラス管を加工したものであって、全長は730mmである。ガラスバルブ10は、管状のガラスバルブ本体11と、ガラスバルブ本体11の長手方向両側に位置する一対の破線で示すガラスビーズ11aを用いて形成された封着部12とからなる。なお、ガラスバルブ10の材料にホウケイ酸ガラスを使用したが、これに限らず、例えば、ソーダガラスを使用してもよい。そして、ソーダガラスの加工性や暗黒始動特性が改善を考慮すると、ソーダガラスに含有する酸化ナトリウムの含有率は、3(%)以上20(%)以下の範囲が好ましい。なお、酸化ナトリウムの含有率をさらに5(%)以上にすると、暗黒条件下での暗黒始動時間が約1秒以下となる。逆に、酸化ナトリウムの含有率が20(%)を越えると、長時間の使用によりガラスバルブが白色化して輝度の低下を招いたり、ガラスバルブ10自体の強度が低下したりするなどの不具合が発生するからである。また、環境対策を考慮した場合、アルカリ系金属の含有率が前記3(%)以上20(%)以下の範囲内のソーダガラスであって、かつ、鉛の含有率が0.1(%)以下のガラスが好ましく(所謂、「鉛フリーガラス」である。)、さらには、鉛の含有率が0.01(%)以下のガラスがより好ましい。
【0032】
ガラスバルブ本体11は、断面が円環形状であって、外径が4mm、内径が3mm、肉厚が0.5mmである。封着部12は、図2に示すように、ガラスバルブ10の管軸A方向における最大幅Wが2mmであって、ホロー電極20が封着されている。
【0033】
なお、ガラスバルブ10の構成は上記構成に限定されない。但し、冷陰極蛍光ランプ1を細長くするためには、ガラスバルブ10が小径かつ薄肉であることが望ましいため、一般的には、ガラスバルブ本体11の外径が1.8mm(内径1.4mm)〜6.0mm(内径5.0mm)であることが好ましい。
【0034】
ガラスバルブ10の内面には蛍光体層13が形成されている。蛍光体層13は、例えば、赤色蛍光体(Y2O3:Eu)、緑色蛍光体(LaPO4:Ce,Tb)および青色蛍光体(BaMg2Al16O27:Eu,Mn)からなる希土類蛍光体で形成されている。また、ガラスバルブ10の内部には、例えば、約1200μgの水銀、および、希ガスとして約8kPa(20℃)のネオン・アルゴン混合ガス(Ne95%+Ar5%)が封入されている。
【0035】
なお、蛍光体層13、水銀および希ガスの構成は上記構成に限定されない。例えば、希ガスとしてネオン・クリプトン混合ガス(Ne95%+Kr5%)が封入されていても良い。希ガスとしてネオン・クリプトン混合ガスを用いると、ランプ始動性が向上し、冷陰極蛍光ランプ1を低い電圧で点灯させることができる。
【0036】
ホロー電極20は、円柱状のガラスビーズ11a(破線で示す)の軸心に固着されたリード線22とリード線22の一端に溶着された電極本体21とで構成され、ガラスバルブ10内にガラスビーズ11aを挿入し封着することで、ガラスバルブ10内に密閉されている。
【0037】
電極本体21は、ニッケル(Ni)材料であって、筒部23と底部24とからなる有底筒状である。なお、電極本体21は、ニッケル製に限らず、例えばニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、或いは、モリブデン(Mo)の材料にすることが考えられる。
【0038】
筒部23は、全長が5.2mm、外径が2.7mm、内径が2.3mm、肉厚が0.2mmである。ホロー電極20は、筒部23の管軸とガラスバルブ10の管軸とがほぼ一致するように配置されており、かつ、筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔が筒部23の外周全域に亘ってほぼ均一となっている。
【0039】
筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔は、具体的には0.15mmである。このように前記間隔が狭いと、その間隔に放電が入り込まず、ホロー電極20の内部のみで放電が起こる。したがって、放電により飛散するスパッタ物質が、ガラスバルブ10の内面に付着しにくく、冷陰極蛍光ランプ1は長寿命である。一方、放電がリード線22側へ回り込まないため、リード線22が放電によって加熱されにくい。
【0040】
なお、筒部23の外周面とガラスバルブ10の内面との間隔は、必ずしも0.15mmである必要はないが、その間隔に放電が入り込まないようにするためには0.2mm以下であることが好ましい。
【0041】
リード線22は、ガラスバルブ10の熱膨張係数とほぼ同じ材料であるタングステン(W)製の内部リード線25と、内部リード線25とほぼ同径で、かつ、半田等に付着し易いニッケル製の外部リード線26とを溶接接合し、その接合部には内部リード線25の外径より大きい肉だまり部27が形成されている。そして、ガラスバルブ10の両端面と対向する肉だまり部27がガラスバルブ10の両端部に密接するように設けられている(つまり、外部リード線26及び肉だまり部27はガラスバルブ10の外表面よりも外側に位置する)。この構成により、肉だまり部27からホロー電極20部までの寸法を一定にでき、つまり、ホロー電極20の底部と対向するガラスバルブ10の内面との隙間εを約0.5mmに小さくして有効発光長Lを長くすることができ、かつ、外部リード線26の突出部分が外部とぶつかった際、肉だまり部27に掛かる力がガラスバルブ10の両端部で吸収されるので、内部リード線25が封着されたガラスバルブ10の封着部12の破損によるリークを防止することができる。なお、肉だまり部27は外部リード線26と同じニッケル材料で形成したが、これに限らず、例えばFe−Ni合金、Cu−Ni合金、或いは、ジュメット線の材料等にすることが考えられる。
【0042】
内部リード線25は、断面が略円形であって、全長が3mm、線径が0.8mmである。また、内部リード線25は、肉だまり部27側の端部がガラスバルブ10の封着部12に封着され、外部リード線26側とは反対側の端部が電極本体21の底部24の外側面略中央に接合されている。
【0043】
外部リード線26および肉だまり部27は、ガラスバルブ10の外表面から管軸A方向に向けて突出する突出部分であって、給電端子30と接合されている。そして、外部リード線26および肉だまり部27は、断面が略円形であり、合計全長σが1mmであり、外部リード線26の軸心とガラスバルブ10の管軸Aとがほぼ一致している。
【0044】
外部リード線26および肉だまり部27の管軸A方向の合計全長σは、1mm以下が好適である。また、肉だまり部27の外径は、封着部12の破損や部品価格を考慮すると内部リード線25の外径の1.5倍〜4倍が好ましい。上述したように、冷陰極蛍光ランプ1を細長くするためにはガラスバルブ本体11の外径が1.8mm〜6.0mmの範囲内であることが好ましいが、このようなサイズの冷陰極蛍光ランプ1において、外部リード線26および肉だまり部27の管軸A方向の合計全長σが1mm以下であれば冷陰極蛍光ランプ1全体からみて外部リード線26が突出し過ぎない。したがって、外部リード線26が外部にぶつかって、外部リード線26を折り曲げたり、封着部12を破損させたりすることが少ない。例えば、冷陰極蛍光ランプ1をバックライトユニット100に取り付ける際に、外部リード線26がバックライトユニット100にぶつかって折れ曲がったり、ぶつかった際に外部リード線26に加わる応力によって封着部12が割れたりするおそれが少ない。
【0045】
給電端子30は、ガラスバルブ10の両端部にそれら両端部を覆うようにして設けられている。当該給電端子30は、半田製であって、外部リード線26および肉だまり部27と接合された接合部分31と、前記接合部分以外の部分としての薄膜部分32とからなる。
【0046】
接合部分31は、給電端子30が内部リード線25と電気的に接続されている部分であって、外観視略円錐体形状である。そのため、接合部分31の外表面の面積は、外部リード線26の外表面全体を完全に覆っているにも拘わらず小さい。したがって、給電端子30の外表面の面積も小さく、放熱作用も小さいため、内部リード線25の温度が低下しにくい。また、外部リード線26が給電端子30で完全に覆われているため、外部リード線26が折れ曲がったり、外部リード線26に応力が加わって封着部12が破損したりするおそれが少ない。なお、接合部分31の外表面の面積は、できるだけ小さいことが好ましい。
【0047】
薄膜部分32は、ガラスバルブ本体11の外表面上における封着部12側の所定の領域、および、封着部12の外表面上におけるガラスバルブ本体11側の所定の領域に形成されている。給電端子30の放熱作用を小さく抑えるためには、薄膜部分32が形成される領域ができるだけ狭いことが好ましい。
【0048】
給電端子30は、公知のディッピング法で形成することができる(例えば、特開2004−146351号公報)。ディッピング法で給電端子30を形成する方法を簡単に説明すると、例えば、ホロー電極20が封着されたガラスバルブ10の封着部12を、溶融槽内の溶融半田に浸漬させて行う。溶融半田に封着部12を浸漬させる際には、超音波を加えてもよい。このようなディッピング法は、給電端子30を簡単かつ安価に形成することができるため、冷陰極蛍光ランプ1を安価に製造することができる。
【0049】
なお、給電端子30は、ディッピング法以外の方法で形成しても良い。例えば蒸着、メッキ等の方法によって形成しても良い。
【0050】
給電端子30の構成は上記構成に限定されず、例えば変形例1乃至3に示すような構成とすることが考えられる。なお、変形例1乃至3に係る冷陰極蛍光ランプは、給電端子および電極の構成が異なる他は、基本的に本実施の形態の冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。したがって、共通する部分には本実施の形態と同じ符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
図3は、変形例1に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。図3に示す冷陰極蛍光ランプ50の給電端子51は、接合部分52と薄膜部分53とからなる。また、リード線22は、例えば、タングステン材料の内部リード線25の一端にニッケル材料の肉だまり部27を溶接して形成したものである。そして、接合部分52は、外観視略半球形状であって、リード線22の肉だまり部27の外表面全体を覆っている。
【0052】
この構成によれば、接合部分52によって、肉だまり部27が完全に覆い隠され、冷陰極蛍光ランプ50の端部が滑らかに丸められているため、冷陰極蛍光ランプ50の端部が外部にぶつかっても、外部リード線26が折れ曲がったり、封着部12が破損したりするおそれが少ない。
【0053】
なお、肉だまり部27は、ニッケル材料で形成したが、これに限らず、例えば、タングステン材料の内部リード線25と同じ材料で一体形成した後、肉だまり部27の表面の一部又は全部を半田付けし易いニッケルメッキ等で形成したものでもよい。
【0054】
図4は、変形例2に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図である。図4に示す冷陰極蛍光ランプ60の給電端子61は、接合部分62と薄膜部分63とからなる。また、リード線22は、例えば、タングステン材料の内部リード線25の一端にニッケル材料の肉だまり部27を溶接して形成したものである。また、肉だまり部27は、ガラスバルブ10端部に埋設されている。そして、接合部分62は、リード線22の肉だまり部27の外表面を薄膜で覆っている。その薄膜の膜厚は、薄膜部分63と同じ10μmである。
【0055】
この構成によれば、肉だまり部27がガラスバルブ10端部に埋設されていることにより、肉だまり部27が外部にぶつかることが無く、封着部12の破損を防止することができる。また、給電端子30全体を薄膜とすることによって、半田の使用量を減らすことができ、より安価に冷陰極蛍光ランプ60を製造することができる。
【0056】
なお、上記変形例2では、肉だまり部27の全体が完全にガラスバルブ10端部に埋没されているが、これに限らず、肉だまり部27の一部が埋没してもよい。つまり、肉だまり部27は、ガラスバルブ10端部への埋没量が多くなればなるほど、外部とのぶつかる確率が少なくなるからである。
【0057】
図5は、変形例3に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図であり、図5は、給電端子を構成する薄膜部材を示す斜視図である。図5に示す冷陰極蛍光ランプ70の給電端子71は、半田製の接合部分72と、薄膜部分としての鉄・ニッケル合金製の薄膜部材73とからなる。このように、給電端子71は、必ずしもその全体が同じ材料で構成されていなくても良い。
【0058】
図6に示すように、薄膜部材73は、断面略C字形に形成された肉厚120μmの筒体であって、ガラスバルブ10の端部に外嵌されている。薄膜部材73の内径はガラスバルブ10の外径よりもやや小さく、また薄膜部材73にはスリット74が設けられている。したがって、薄膜部材73の内径とガラスバルブ10の外径との間に多少の寸法誤差が生じても、薄膜部材73の内面が前記ガラスバルブ10の外面に密着するように設計されている。
【0059】
なお、薄膜部材73は、断面略C字形の筒体に限定されず、断面が略三角形や略四角形等の多角形、或いは楕円の筒体に、スリットを設けたものであっても良い。また、スリットを設けない場合も考えられる。
【0060】
外部リード線26及び肉だまり部27の合計全長σは1mmであり、そして外部リード線26及び肉だまり部27を収納した部分の薄膜部材73の長さL1が1.5mmである。接合部分72は、外部リード線26及び肉だまり部27を厚肉領域(L1部の領域)である。
【0061】
給電端子71を上記構成とした場合、外部リード線26が外側に突出していないため、給電端子71を外部にぶつけてもガラスバルブ10の封着部12へ応力が加わらないので、封着部12が破損しにくい。
【0062】
なお、給電端子30、51、61を形成する材料は半田に限定されず、少なくとも導電性を有する材料であれば良い。但し、給電端子30、51、61の放熱作用が大きくならないように、熱伝導率の低い材料であることが好ましい。
【0063】
一般に半田は、導電性が良く、熱伝導率も低く、その上、低価格であるため、給電端子30、51、61の材料として好適である。特に、スズ(Sn)、スズ・インジウム(In)合金、スズ・ビスマス(Bi)合金等を主成分とする半田は、機械的強度の高い給電端子30を形成することができるため、より好適である。それらに、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、金(Au)、鉄(Fe)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1種類を添加した半田は、ガラスとの馴染みが良いために、ガラスバルブ10から剥がれ難い給電端子30、51、61を形成することができ、さらに好適である。加えて、鉛を含まない半田は、環境に配慮した冷陰極蛍光ランプ1を作製することができるため好適である。
【0064】
上記冷陰極蛍光ランプ1は、点灯周波数40〜120kHz、ランプ電流3.5〜8.5mAで動作される。
【0065】
以上、本発明に係る冷陰極蛍光ランプを実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、上記の実施の形態に限定されない。例えば、冷陰極蛍光ランプは、直管形に限定されず、例えばU字形等の屈曲形冷陰極蛍光ランプであってもよい。
【0066】
また、給電端子の外表面を、導電性を有し熱伝導率の低い材料で覆うことが考えられる。例えば、半田製の給電端子の外表面を、例えば図6に示すようなタンタル製の筒状部材で覆うことが考えられる。これにより、給電端子を剥がれ難くすることができる。
【0067】
(実験の説明)
冷陰極蛍光ランプの温度特性を測定し、給電端子の放熱作用について検討した。図7は、冷陰極蛍光ランプの温度特性を示す。
【0068】
図7において、実施例の冷陰極蛍光ランプは、給電端子30の薄膜部分32の膜厚が50μmである点を除き、本実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。
【0069】
比較例1の冷陰極蛍光ランプは、図12に示すように、給電端子を備えていない冷陰極蛍光ランプであって、電極および給電端子に関する構造を除き本実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ1と同様の構成を有する。
【0070】
実験では、各冷陰極蛍光ランプについて、ガラスバルブの管軸方向中央部(以下、「管中央部」と称する)の表面温度、および、前記ガラスバルブの電極付近の表面温度を測定した。
【0071】
実施例の冷陰極蛍光ランプと比較例1の冷陰極蛍光ランプとは、電極付近および管中央部の温度が同程度であり、かつ、電極付近の温度と管中央部の温度との温度差も同程度である。したがって、電極付近および放電路に集まる水銀蒸気もそれぞれ同程度であり、ランプ輝度も同程度である。これは、放熱作用が同程度だからであると推測できる。この結果から、給電端子の薄膜部分の膜厚が50μm以下であれば、給電端子を備えていない冷陰極蛍光ランプと同程度のランプ輝度を得られることがわかる。
【0072】
図8は、実施例の冷陰極蛍光ランプにおいて、給電端子の薄膜部分の膜厚と、電極付近の温度との関係を示す図である。図8に示すように、給電端子30の薄膜部分32の膜厚が120μmになると、電極20付近と管中央部との温度差がなくなる。したがって、薄膜部分32の膜厚は、電極20付近の温度が管中央部よりも低くならないように、膜厚120μm以下であることが好ましい。本発明では、薄膜を、膜厚が120μm以下の膜と定義する。
【0073】
(バックライトユニットの説明)
図9は、本願発明の一実施形態にかかるバックライトユニット等の概略構成を示す分解斜視図であり、図10は、冷陰極蛍光ランプの取り付け状態を説明する図である。
【0074】
図9に示すように、本発明の一実施形態にかかるバックライトユニット100は、液晶テレビ用の直下方式のバックライトユニットであって、その構造は、基本的に従来のバックライトユニットの構造に準ずる。
【0075】
バックライトユニット100は、外囲器110、拡散板120、拡散シート130およびレンズシート140を備え、液晶パネル150の背面に配置して用いられる。
【0076】
外囲器110は、白色のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製の箱体であって、図10に示すように、略方形の反射板111と、反射板111の周縁を囲む側板112〜115とからなる。外囲器110の内部には複数の冷陰極蛍光ランプ1が並設されており、それら冷陰極蛍光ランプ1の光は、外囲器110の開口116から拡散板120に向けて放出される。
【0077】
反射板111には、各冷陰極蛍光ランプ1の取り付け位置に対応する位置に、それぞれ一組のソケット160が配置されている。各ソケット160は、例えばりん青銅等の銅合金製或いはアルミニウム製の板材を折り曲げて加工したものであって、一対の挟持片161、162と、それら挟持片161、162を下端縁で連結する連結片163とからなる。挟持片161、162には、冷陰極蛍光ランプ1の外形に合わせた凹部が設けられており、前記凹部内に冷陰極蛍光ランプ1を嵌め込めば、挟持片161、162の板ばね作用によって冷陰極蛍光ランプ1がソケット160に保持されるとともに、ソケット160と給電端子30とが電気的に接続される。バックライトユニット100に取り付けられた冷陰極蛍光ランプ1には、バックライトユニット100の点灯回路(不図示)からソケット160を介して電力が供給される。
【0078】
拡散板120は、ポリカーボネート(PC)樹脂製の板体であって、外囲器110の開口116を塞ぐように配置されている。拡散シート130は、ポリカーボネート樹脂製であり、レンズシート140は、アクリル樹脂製であって、それぞれ拡散板120に順次重ね合わせるようにして配置されている。
【0079】
以上、本発明に係るバックライトユニットを実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明に係るバックライトユニットは、上記の実施の形態に限定されない。例えば、直下方式のバックライトユニットに限定されず、液晶パネルの背面に導光板を配置し、前記導光板の端面に冷陰極蛍光ランプ1を配置したエッジライト方式(サテライト方式または導光板方式ともいう)のバックライトユニットであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプはバックライトユニットの光源として、本発明に係るバックライトユニットは、液晶テレビや液晶ディスプレイ用として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態にかかる冷陰極蛍光ランプを示す一部破断斜視図
【図2】冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図3】変形例1に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図4】変形例2に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図5】変形例3に係る冷陰極蛍光ランプの一端部を示す拡大断面図
【図6】給電端子を構成する薄膜部材を示す斜視図
【図7】冷陰極蛍光ランプの温度特性を示す図
【図8】給電端子の薄膜部分の膜厚と、電極付近の温度との関係を示す図
【図9】本願発明の一実施形態にかかるバックライトユニット等の概略構成を示す分解斜視図
【図10】冷陰極蛍光ランプの取り付け状態を説明する図
【図11】キャップ状の給電端子を備えた従来の冷陰極蛍光ランプの端部を示す断面図
【図12】ホロー電極を備えた従来の冷陰極蛍光ランプの端部を示す断面図
【符号の説明】
【0082】
1 冷陰極蛍光ランプ
10 ガラスバルブ
20 ホロー電極
22 リード線
27 肉だまり部
30 給電端子
31 接合部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスバルブと、前記ガラスバルブの両端部に封着された一対のホロー電極と、前記ガラスバルブの両端部の外側に設けられ、前記ホロー電極のリード線と接合された給電端子とを備え、前記給電端子と接合される部分の前記リード線には、前記ガラスバルブとの封着部分側の前記リード線の外径より大きい肉だまり部を有し、かつ、その肉だまり部が前記ガラスバルブの両端部に密接しており、前記給電端子は、前記リード線との接合部分以外が前記ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケルメッキで形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項4】
前記リード線の肉だまり部は、前記ガラスバルブ端部に埋設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項5】
前記リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項6】
前記薄膜は、膜厚が5〜120μmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項7】
前記リード線は、前記ガラスバルブの外表面から前記ガラスバルブの管軸方向に向けて突出する突出部分で前記給電端子と接合されており、前記突出部分の前記管軸方向の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項8】
前記給電端子は、少なくとも前記接合部分が半田で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項9】
前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項10】
前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項11】
光源として、請求項1から10のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプが搭載されていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項1】
ガラスバルブと、前記ガラスバルブの両端部に封着された一対のホロー電極と、前記ガラスバルブの両端部の外側に設けられ、前記ホロー電極のリード線と接合された給電端子とを備え、前記給電端子と接合される部分の前記リード線には、前記ガラスバルブとの封着部分側の前記リード線の外径より大きい肉だまり部を有し、かつ、その肉だまり部が前記ガラスバルブの両端部に密接しており、前記給電端子は、前記リード線との接合部分以外が前記ガラスバルブの外表面上に形成された薄膜であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケル材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
前記リード線の材料は、前記ガラスバルブとの封着部が前記ガラスバルブの熱膨張係数とほぼ同じ材料で形成され、かつ前記リード線の肉だまり部の少なくとも一部がニッケルメッキで形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項4】
前記リード線の肉だまり部は、前記ガラスバルブ端部に埋設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項5】
前記リード線の肉だまり部は、断面が円形状であり、前記リード線の外径の1.5倍〜4倍であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項6】
前記薄膜は、膜厚が5〜120μmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項7】
前記リード線は、前記ガラスバルブの外表面から前記ガラスバルブの管軸方向に向けて突出する突出部分で前記給電端子と接合されており、前記突出部分の前記管軸方向の長さが1mm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項8】
前記給電端子は、少なくとも前記接合部分が半田で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項9】
前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が3%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項10】
前記ガラスバルブは酸化ナトリウムの含有率が5%以上20%以下の範囲のソーダガラスから構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプ。
【請求項11】
光源として、請求項1から10のいずれかに記載の冷陰極蛍光ランプが搭載されていることを特徴とするバックライトユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−351460(P2006−351460A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178786(P2005−178786)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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