凍結乾燥薬剤から薬液を形成するための移送システム
【課題】2つの容器の内容物を混合し、且つ混合した溶液を標準的なシリンジに移送するための簡易だが効率的な混合装置を提供する。
【解決手段】第一の容器20の第一の内容物と第二の容器30の第二の内容物とを混合して材料を形成できるように構成された移送システム100。混合された材料はシリンジ40に回収される。該移送システムは、容器とシリンジの間の流体の流れを制御するための第一17および第二18の流れ制御部材を備える。さらに、第一および第二の容器を含む容器ユニット、並びに、容器およびシリンジを受けるためのポートと複数の流れチャネルとを備えた移送ユニットを備えた薬剤混合キットに関する。容器ユニットおよび移送ユニットは、連結して薬剤混合キットを形成するように構成される。
【解決手段】第一の容器20の第一の内容物と第二の容器30の第二の内容物とを混合して材料を形成できるように構成された移送システム100。混合された材料はシリンジ40に回収される。該移送システムは、容器とシリンジの間の流体の流れを制御するための第一17および第二18の流れ制御部材を備える。さらに、第一および第二の容器を含む容器ユニット、並びに、容器およびシリンジを受けるためのポートと複数の流れチャネルとを備えた移送ユニットを備えた薬剤混合キットに関する。容器ユニットおよび移送ユニットは、連結して薬剤混合キットを形成するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の調製および投与に関し、特にこれらの生体、例えば人体への注入に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、手動プランジャによって加えられた圧力を用いて、皮下に挿入された針を介して液体がチャンバから送達されるシリンジといった様々な装置が、医薬の生体への経皮投与のために開発されてきた。
【0003】
また、血塊の溶解に用いられるグルカゴン等のある種の注入物質の保存寿命が、該物質が例えば粉末または凍結乾燥状態で保存された場合に延びることは、当業者に周知である。これらの凍結乾燥物質(つまり薬剤または化合物)は現在、凍結乾燥しなければ不安定な材料の注入に使用されている。凍結乾燥は例えば、非常に低い温度で材料を急速冷凍した後に高真空での昇華により急速脱水することである。その結果得られる凍結乾燥化合物は、典型的にはガラス製のバイアルまたはカートリッジ内に保存され、該瓶またはカートリッジはゴム栓またはセプタム等のキャップで閉じられる。
【0004】
凍結乾燥化合物といった粉末または固体の材料は投与前に再構成する必要がある。これは、固体化合物を適切な希釈剤または液体と混合することによって達成される。再構成は典型的に、針を備えたシリンジを用いて、希釈剤を別のバイアルから取り出して化合物の入ったバイアルに注入することを伴う。化合物は次いで、典型的には手でバイアルを振ることによって十分に混合され、針を備えた別のシリンジによって、患者に注入される所望量が取り出される。2つの別個の容器が使用されるため、化合物を再構成する人は、適切な濃度の混合物ができるように間違いなく正確な量を混合しなければならない。希釈剤と薬剤の混合にシリンジを用いる場合、正確な体積比の希釈剤と薬剤を得ることが難しい。よって、投与薬剤の正確な濃度レベルは危うくなりうる。
【0005】
さらに、希釈剤と化合物が別個の無菌容器に入っているため、希釈剤のシリンジを介した手作業での取り出し、および粉末または凍結乾燥薬剤といった固体の材料の入った容器への該希釈剤の再注入は、シリンジの使用によって無菌状態と安全性が危うくなりうる。
【0006】
粉末化合物または凍結乾燥薬剤の使用の増加により、例えば、専門家および素人の両方に、再構成された薬剤のデリバリーシステムを提供することが望まれる。正確な用量の再構成された化合物の調製および安全なデリバリーを容易にする、簡易で信頼性のあるシステムが所望される。加えて、作業全体を通して無菌状態を維持しながら凍結乾燥薬剤を再構成するシステムの提供が望ましい。また、概してユーザによる安全で効率的なデリバリーを行う、医薬の経皮デリバリーの改善を提供することが望まれる。
【0007】
US特許第6364865号は、それぞれ凍結乾燥化合物と希釈剤の入った一セットのバイアルからの構成物質で溶液を形成する、医薬デリバリーシステムおよび移送システムの様々な異なる実施態様を開示している。
【0008】
時に、薬液の望ましい一回分用量が、単一のバイアルセットに入っている薬剤に相当する量よりも多いことがある。この場合、2または複数のバイアルセット、つまり所望の一回分用量に対応する数のバイアルセットから凍結乾燥薬剤を用いて総用量を作成しなければならない。これは例えば、各バイアルに液体溶剤を連続的に適用し、一つの共通のリザーバまたはシリンジに再構成された薬剤を回収することによって行われる。全てのバイアルの薬剤がこのようにして再構成されると、総用量が、共通のリザーバまたはシリンジから人に投与される。しかしながら、このようにして2または複数のバイアルから凍結乾燥薬剤を再構成することは、比較的時間が掛かる。さらに、複数回開口部が開けられ自由周囲空気または埃に晒されるため、薬剤が汚染されるリスクがある。
【0009】
したがって、2または複数のバイアルから凍結乾燥薬剤を用いて一回分の用量を混合することを容易にし、且つ結果として得られた薬剤の汚染リスクを低減する薬剤混合装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US特許第6364865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した問題および欠点を考慮して、本発明の目的は、2つの容器の内容物を混合し、且つ混合した溶液を標準的なシリンジに移送するための簡易だが効率的な混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の態様において、本発明は:
−ハウジング;
−第一内容物の入った第一容器を受けるように構成された、前記ハウジング内の第一ポート;
−材料を形成するために第一内容物と混合される第二内容物の入った第二容器を受けるように構成された、前記ハウジング内の第二ポート;
−シリンジに連結される第三ポート、ここで該第三ポートは第二ポートと流体連通している;
−第二内容物を第二容器から第一容器に移動させることができる第一チャネル;
を備えた移送システムであって、さらに、
−第一容器の内容物を第三ポートに移動させることができる第二チャネル;
−シリンジが第三ポートに連結されたとき、該シリンジと第二ポートの間で流体が一方向へ流れることを可能とする、第三ポートと第二ポートの間に配された第一流れ制御部材;および
−第一ポートから第三ポートに連結されたシリンジへ、前記第二チャネルを介して流体が選択的に流れることを可能とし、それにより、第一容器の第一内容物と第二容器の第二内容物とを混合して形成された材料がシリンジへ流入することを可能とする、第二流れ制御部材;
を備えることを特徴とする移送システムを提供する。
【0013】
本明細書において、用語「ハウジング」は、少なくとも第一ポート、第二ポート、および第三ポートを保持するように構成された、システムの一部を意味するものと解釈されるべきであり、ここでこれらポートの相互空間位置は該保持によって実質的に固定されている。さらに、ハウジングは好ましくは、複数のチャネルを収容するように構成され、その場合、適切な容器とシリンジが各ポートに配置されたとき、容器とシリンジの間の適切な流体連通が確立される。
【0014】
好適には、第一内容物は、粉末または凍結乾燥薬剤といった乾燥物質であり、第二内容物は、第一内容物の溶剤として適切な希釈剤等の液状物質である。この場合、第一内容物と第二内容物が混合されて形成される材料は、例えば輸液または注入によってユーザに送達する準備ができている再構成薬剤である。あるいは、第一内容物が第二内容物と同様に液状物質であってもよい。
【0015】
第一容器は、バイアルや、袋等の可撓性のある容器など、任意の適切な種類の容器であってよい。同様に、第二容器も、上記で定義したような任意の適切な種類の容器であってよい。
【0016】
第三ポートは第二ポートと流体連通している。したがって、第三ポートに連結されたシリンジと、第二ポートに連結された容器との間で流体を移動させることができる。当該移送システムの特定の構成では、第三ポートと第二ポートの間でいずれか一方向に流体を移動させることができる。例えば該システムの操作手順中の異なったタイミングで、流体を両方向に選択的に移動させることもさらに可能であってよい。
【0017】
第一チャネルは、第二内容物を第二容器から第一容器へ移動させることができる。したがって、第一チャネルは、第一容器と第二容器の間の直接的な流体連通を確立し、第二内容物が第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動されたとき、第一内容物と第二内容物が混合し、よって材料が形成される。
【0018】
第二チャネルは、第一容器の内容物を第三ポートへ移動させることができる。よって、第二チャネルは、第一ポートと第三ポートの間の流体連通を確立する。第一内容物と第二内容物が混合された結果得られる材料は、これにより、第一容器から、第三ポートに連結されたシリンジへ移送されうる。しかして、該材料は続いて、シリンジを用いて送達されうる。さらに、第二チャネルは、第一容器内の圧力を低減するために、第一容器からシリンジへ空気を移動させるために用いられてよい。このような減圧は、第二内容物を、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動させるのに役立ちうる。
【0019】
第二チャネルはまた、逆方向、つまり第三ポートから第一ポートへ流体が流れることを可能とすることに注目すべきである。これにより、流体を、シリンジから、第一ポートに連結された容器へ移送することが可能となりうる。
【0020】
第一流れ制御部材は、第三ポートに連結されたシリンジと、第二ポートの間で、流体が一方向へ流れることを可能とする。このように、第一流れ制御部材は、シリンジから第二ポートへの一方向か、または第二ポートからシリンジへの一方向のいずれかへ流体が流れることを可能とする。第一流れ制御部材がシリンジから第二ポートへの方向の流体の流れを可能とする場合、これは有利には、流体、例えば空気をシリンジから第二容器へ移送して、第二容器内の圧力を上昇するために用いられうる。こういった圧力の上昇により、第二内容物が、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動することができる。第一流れ制御部材が第二ポートからシリンジへの方向の流体の流れを可能とする場合、これは例えば、第二内容物を第二容器からシリンジへ移送するために用いられうる。第二内容物は次いで、シリンジから第一容器へ移送されうる。第一流れ制御部材は、例えば移送システムの操作手順中の異なったタイミングで、一方向への流体の流れを両方向で可能とするように構成されうることに注目されたい。
【0021】
第二流れ制御部材は、第一ポートから、第三ポートに連結されたシリンジへ、第二流れチャネルを介して流体が選択的に流れることを可能とする。それにより、第一内容物と第二内容物の混合により形成された材料が、シリンジへ流入することができる。これは、その後、混合された材料をシリンジを用いて送達できるため有利である。さらに、第二流れ制御部材は、混合された材料の移送が、所望のタイミング、例えば確実に第一内容物と第二内容物が適切に混合された後で行われることを確実にする。
【0022】
第二流れ制御部材は、ゲート弁を備えうる。
【0023】
一実施態様によると、第二流れ制御部材を通る選択的な流体の流れは、第三ポートの流体圧力が所定の陰圧を越えたときに可能となってよい。当該実施態様によると、混合された材料は有利には、第三ポートでの減圧により第一容器からシリンジへと移動されうる。こういった減圧は、シリンジのピストンを引き戻すことにより達成されうる。この場合、第二流れ制御部材は有利には、例えばバイアスバネの種類のチェック弁でありうる。第一ポートでの圧力レベルと第三ポートでの圧力レベルの圧力差がバネ力を上回るほど十分大きくなると、弁が開き、よって混合された材料の第一容器からシリンジへの移動が可能となる。
【0024】
第一流れ制御部材は、第一流れ制御部材を通る選択的な流体の流れを提供しうる。この場合、第一流れ制御部材を通る選択的な流体の流れは、第三ポートでの流体圧力が所定の流体圧力を超えたときに可能となりうる。これは、上述した状況と類似している。あるいは、第一流れ制御部材を通る流体の流れは、第二流れ制御部材を通る流体の流れが可能となったときに遮断されてもよい。この場合、第二流れ制御部材を通る流体の流れが可能となり、よって混合された材料の第一容器からシリンジへの流れが可能となったとき、第一流れ制御部材を通る流体の流れが自動的に遮断される。それにより、混合された材料の第一容器からシリンジへの移送中、流体がシリンジと第二容器の間で流れられないことを確実にできる。
【0025】
第一ポートおよび/または第二ポートは、穿孔可能な膜を有するバイアルに取り外し可能に連結するようにできていてよく、それにより、バイアルが第一および/または第二ポートに連結されたとき流体がバイアルとの間を流れることができる。当該実施態様によると、両ポートに連結されたバイアルを取り替えることが可能で、よってバイアルの貯留が非常に容易になる。
【0026】
第一流れ制御部材は、シリンジから第二容器へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材によって可能となった流体の流れは、第二容器内の圧力上昇を引き起こす。こういった圧力上昇は通常、第二容器の第二内容物の第一容器への押し流しを助ける、つまり、この場合、第一容器と第二容器の間の圧力レベルの差異により第二内容物が移動することになる。
【0027】
あるいは、第一流れ制御部材は、第二容器からシリンジへ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材によって可能となった流体の流れは、第二内容物の、第二容器からシリンジへの移動を引き起こす。当該実施態様によると、第二内容物が、第一流れ制御部材を介してシリンジへと吸い込まれる。その後、第一内容物と第二内容物が混合されるように、第二内容物はシリンジから第一容器へ移送されうる。
【0028】
よって、第二内容物は、第一容器内の圧力と第二容器内の圧力の圧力差により、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動することが可能となってよい。圧力差は、第二容器内の圧力上昇により少なくとも部分的に提供されてよく、および/または、圧力差は、第一容器内の減圧により少なくとも部分的に提供されてよい。代替的または付加的に、圧力差は、低圧力で届けられる、つまり最初から真空下に置かれている第一容器を用いて少なくとも部分的に提供されてよい。
【0029】
移送システムはさらに、第三ポートとハウジングの入口の間の流路に配された第一フィルタを備えうる。これは、第二容器内の圧力を上昇させるために空気がシリンジによって第二容器へ送り込まれるように移送システムが機能する場合、特に有利である。こういった空気は最初、シリンジへと吸い込まれなくてはならないのだが、周囲空気は汚染されている、および/または望ましくない不純物を含みうるため、フィルタを介してシリンジへと吸い込まれることが有利である。それにより、薬剤の汚染リスクが最小限に抑えられる。
【0030】
代替的または付加的に、移送システムはさらに、第二チャネルに配された第二フィルタを備えうる。こういったフィルタは有利には、混合された材料がシリンジへ移送されるときに不純物が第一容器からシリンジへ移送されることを防ぐために用いることができる。こういった不純物は、例えばバイアルの栓から出る、栓の穿孔時に生じるゴム粒子、および/または適切に溶解されなかった乾燥内容物である。注入可能な薬剤がこういった不純物を含むことは望ましくなく、したがってそれらをフィルタによって除去することが有利である。
【0031】
本発明の第二の態様によると、薬剤を形成するための方法であって:
移送システムを提供すること;
第一内容物の入った第一容器と、第二内容物の入った第二容器を提供すること;
移送システムの第一ポートに第一容器を、および移送システムの第二ポートに第二容器を挿入すること;
第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせること、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器から、移送システムの第三ポートに連結されたシリンジへ移動させること;
を含む方法が提供される。
【0032】
移送システムは有利には、本発明の第一の態様による移送システムでありうる。しかしながら、本発明の第一の態様と組み合わせて述べた一または複数の機構が、本発明の第二の態様によって提供される移送システムにおいて省略されてよい。
【0033】
圧力差を生じさせる段階は:
シリンジ内の所定の空気量を測量し、シリンジを第三ポートに連結すること;および
シリンジ内に含まれる空気の少なくとも一部を放出し、放出された空気を第二容器に受け入れられるように移動させ、それにより第二容器内の圧力を上昇させること;
を含みうる。
【0034】
当該実施態様によると、圧力差は、少なくとも部分的に第二容器内の圧力上昇によって生じ、圧力上昇は、シリンジによって空気を第二容器内に押し流すことによって達成される。
【0035】
代替的または付加的に、圧力差を生じさせる段階は、第一容器内の圧力を低減することを含みうる。これは例えば、シリンジを用いるなどして第一容器から空気を吸い出すことによって達成されうる。
【0036】
本発明はさらに:
−第二流れ制御部材の動作を停止させ、それにより第二流れ制御部材を通る流体の流れを遮断する段階;
−第一ポートから第一容器を取り外し、および第二ポートから第二容器を取り外す段階;
−第一内容物の入った新規の第一容器と、第二内容物の入った新規の第二容器を提供する段階;
−第一ポートに新規の第一容器を、および第二ポートに新規の第二容器を挿入する段階;
−第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせる段階、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
−第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器からシリンジへ移動させる段階;
を含みうる。
【0037】
当該実施態様によると、2または複数の容器のセットが連続的に第一および第二ポートに連結され、それらの内容物が混合されて材料が形成され、該材料がシリンジに移送される。したがって、作業終了時にシリンジ内にある混合された材料の結果として得られる量は、2または複数の容器のセットの内容量に対応する。よって、当該実施態様によると、容器の単一のセットの内容量に相当する量よりも多い一回分の薬剤を混合してシリンジに集めることができる、つまり複数の容器の内容物の貯留が可能である。さらに、当該方法の段階は、所望量の一回分の薬剤を混合するために必要な回数繰り返されてよい。
【0038】
当該方法はさらに:
−第三ポートからシリンジを分離する段階;
−新規の移送システムを提供する段階;
−第一内容物の入った第一容器、第二内容物の入った第二容器、およびシリンジを提供する段階;
−移送システムの第一ポートに第一容器を、および移送システムの第二ポートに第二容器を挿入する段階;
−移送システムの第三ポートにシリンジを連結する段階;
−第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせる段階、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
−第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器からシリンジへ移動させる段階;
を含みうる。
【0039】
当該実施態様はまた、2または複数の容器セットの内容物の貯留も可能とする。しかしながら、この場合移送システムは再利用されない。
【0040】
当該方法はさらに、第三ポートからシリンジを分離する段階を含みうる。それにより、シリンジを用いて混合された材料を続いて送達することができる。これは例えば:
−輸液セットを提供すること;および
−輸液セットをシリンジに連結することによって、流体デリバリー装置を形成すること;
によって為されうる。
【0041】
本発明の第三の態様によると:
−第一内容物の入った第一容器と、第一内容物と混合されて材料を形成する第二内容物の入った第二容器とを備えた容器ユニット;および
−容器ユニットの第一および第二容器を受ける第一および第二ポート、およびシリンジに連結するための第三ポートを備えた移送ユニットであって、さらに複数の流れチャネルを備え、該流れチャネルの少なくともいくつかは第一ポート、第二ポートおよび第三ポートの2つを対相互連結する、移送ユニット;
を含む薬剤混合キットが提供され、ここで容器ユニットおよび移送ユニットがともに連結されて薬剤混合キットを形成する。
【0042】
当業者であれば、本発明の第一の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第二または第三の態様と組み合わせてよく、本発明の第二の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第一および第三の態様と組み合わせてよく、本発明の第三の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第一および第二の態様と組み合わせてよいことを容易に認識するであろうことに注目されたい。
【0043】
容器ユニットは第一および第二容器を保持する。複数の容器は、製造業者によって容器ユニットに配置され、それにより、第一内容物および第二内容物の、例えば量および種類の点での適合を確実とできる。したがって、第一内容物と第二内容物の混合時に、内容物混合中に起こる誤りのリスクが最小限に抑えられる。
【0044】
移送ユニットは、本発明の第一の態様による移送システムであるかまたは備えうる。しかしながら、他の種類の移送ユニットを用いることも想定されうる。例えば、本発明の第一の態様を参照して述べたものと異なる形で流れチャネルがポートに相互連結してもよい。
【0045】
容器ユニットと移送ユニットは、ともに連結されて薬剤混合キットを形成する。これらのユニットは有利には、一つのパッケージでともに送達されうる。第一内容物と第二内容物を混合するために、ユーザは該ユニットを連結し、場合によっては、第一内容物が第二容器に、または第二内容物が第一容器に移動するように、例えば一または複数の流れ制御部材および/またはシリンジのピストンといった移送システムの一または複数の機構を操作しなければならない。それにより、容器ユニットは、保管中、密封状態で維持されうる。これは、容器の内容物の耐用年数を延ばし、内容物の汚染を防ぐ。
【0046】
さらに、容器ユニットと移送ユニットをキットとして提供することにより、移送ユニットが第一および第二容器の内容物の混合に実質的に適していることを確実とできる。
【0047】
容器ユニットおよび移送ユニットは、それらがそれぞれ所定の相互位置に配置されているときにのみ連結できるような形状を有することができる。当該実施態様によると、容器ユニットおよび移送ユニットが連結されたとき、第一容器が第一ポートに連結され、第二容器が第二ポートに連結されることが確実とできる。よって、第一容器、第二容器およびシリンジが流れチャネルによって正確な形で相互連結されること、および、第一および第二内容物の混合時の移送ユニットにおける流体の流れが予想通りとなることもまた確実である。したがって、第一内容物と第二内容物の正確な混合が確実とできる。
【0048】
上述した機構は、例えば真っ直ぐな端部と、該真っ直ぐな端部の反対側に湾曲した端部とを有する非対称な形に容器ユニットと移送ユニットを形成することにより、例えば提供されうる。
【0049】
移送ユニットは、第一ポートおよび第二ポートを流体的に連結する第一チャネルを備えてよく、それにより、第二ポートに受けられた第二容器の第二内容物が、第一ポートに受けられた第一容器へ移動することが可能となる。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。
【0050】
代替的または付加的に、移送ユニットは、第一ポートおよび第三ポートを流体的に連結する第二チャネルを備えてよく、それにより、第一ポートおよび第三ポート間の流体の流れが可能となる。当該実施態様によると、第一ポートに連結された第一容器内で形成された混合された材料が、第三ポートに連結されたシリンジへ移送されうる。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。移送ユニットは、第二チャネルに配された第二流れ制御部材を備えてよく、該第二流れ制御部材は、第一ポートおよび第三ポート間の選択的な流体の流れを可能とする。
【0051】
代替的または付加的に、移送ユニットは、第二ポートおよび第三ポートを流体的に連結する第三チャネルを備えてよく、それにより、第二ポートおよび第三ポート間の流体の流れが可能となる。移送ユニットは、第三チャネルに配された第一流れ制御部材を備えてよく、該第一流れ制御部材は、第二ポートおよび第三ポート間の選択的な流体の流れを可能とする。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。
【0052】
また、本発明のさらなる態様において、移送システムは、本明細書で開示した実施態様のいずれかによる移送装置、希釈剤容器、および凍結乾燥薬剤を収容する薬剤容器をそれぞれ備えた複数の組立済み移送システムを含み、ここで該2つの容器は移送装置のハウジング内に挿入されて組立済みユニットを形成しているが、バイアルとの間の流体連通はまだ確立されていない。使用時に、好適には一定量の空気の入ったシリンジが移送装置に連結され、その後特定の組立済み移送システムのバイアルとの間の流体連通が確立され、再構成物形成シーケンスが行われる。
【0053】
必要な一回分用量が、単一の組立済み移送システムでは達成できない場合、シリンジが薬剤溶液の適切な総量を収容できる容積であるという条件で、一または複数の追加の組立済み移送システムを同じシリンジで連続的に使用することができる。こういったシステムの場合、好ましくは、組立済み移送システムセットの様々なセットをユーザに供給することができ、ここで該様々なセットは、複数の予め選択された用量に相当する一回分用量を含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下で、図面を参照して本発明をさらに説明する。
【図1】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図2】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図3】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図4】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図5】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図6】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図7】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図8】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図9】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図10】図1に示した実施態様の斜視図を示す。
【図11】本発明のさらなる実施態様の斜視図を示す。
【図12】分解状態にある、本発明の実施態様による薬剤混合キットの斜視図である。
【図13】組立状態にある、図12の薬剤混合キットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、薬剤デリバリーシステムおよび方法を対象とする。薬剤デリバリーシステムは概して、加圧下での溶液中の薬剤の送達を提供し、特に再構成を必要とする粉末または凍結乾燥薬剤の注入を対象とする。薬剤デリバリーシステムは、再構成システム、薬剤デリバリーを容易にする加圧システム、移送システム、および注入システムを含む。本発明の様々な実施態様は、記載した複数のシステムのうち一つだけを用いるものであってよく、別の実施態様においては、様々な用途の要件に基づいてこれらのシステムを組み合わせて使用することもできる。例えば、ある好適な実施態様は液状の薬剤を送達し、再構成を必要としないものであってよい。よって、薬剤送達システムおよび方法は、以下に記載するシステムまたはプロセスのいくつかまたは全ての組み合わせである。
【0056】
まず、図1、10および11を参照して、薬液を形成するための移送システムの実施態様を、直接ユーザに指向した特徴に主に焦点を合わせて説明する。
【0057】
図1は、所定量の凍結乾燥薬剤または粉末の入った第一容器20、所定量の希釈剤の入った第二容器30に連結された移送システム100の概略図である。また、図1には移送システム100のシリンジ40も示されている。
【0058】
図示した実施態様では、2つの容器20および30が、バイアルを閉じる穿孔可能な栓と、栓を固定して保持するための保持キャップとをそれぞれ有する標準的なバイアルとして形成されている。
【0059】
移送装置100は、必要な流路、制御部材および容器20および30を収容するハウジング10(図10参照)を備える。ハウジング10は、ハウジング10内に部分的または完全に収容されるように2つの容器20および30を受け入れるように設計されうる。あるいは、ハウジング10は、バイアルのキャップ部分を取り囲むようにだけ設計されてもよい。
【0060】
移送装置100は、容器20に連結するための第一ポート11と、容器30に連結する第二ポート12とを備える。ポート11および12の連結は、第一状態と第二状態で2つの容器のそれぞれを受けるようにできていてよい。第一状態において、2つの容器はハウジングに保持されるだけで、2つの容器の内部への流体連通は確立されていない。この第一状態で、2つの容器を含み移送システムは長期間保存可能である。第二状態においては、移送装置100と容器20および30との流路間で流体連通が確立される。
【0061】
連結ポート11および12は、容器20および30の内部との流体連通を提供する任意の手段、例えば中空針、中空スパイク等を含みうる。好適には、膜を貫通する針またはスパイクが使用された場合、該針またはスパイクは、液体が容器20および30内部に実質的に残留しないように形成される。
【0062】
ハウジング10はさらに、バレル42内にスライド可能に取り付けられたシーリングプランジャ41を有するシリンジ40を取り外し可能に連結するための第三ポートの形の連結手段を備える。好適には、シリンジ40の開口(遠位)端は、取り外し可能なコネクタによって取り外し可能に導管を取り付けるための手段、例えば輸液セットのルアコネクタを備える。したがって、ハウジング10は、シリンジ40を取り外し可能に第三ポート13に連結するための対応する連結手段を備える。
【0063】
図1はさらに、第一容器20と第二容器30との間の流体連通を可能とする第一チャネル14を示す。さらに、第一ポート11および第三ポート13は、第二チャネル15を介して流体連通する。また、第二ポートおよび第三ポート13は、第三チャネル16を介して流体連通する。
【0064】
第三チャネル16に沿った一箇所に、好ましくはチェック弁または逆止め弁の形の第一流れ制御部材17が設けられ、ポート13からポート12への一方向の流れを形成する。
【0065】
第二チャネル15に沿った一箇所には、好ましくはチェック弁の形の第二流れ制御部材18が設けられる。該部材が閉じた位置では流体連通が遮断され、開いた位置ではポート11からポート13への流体の流れが可能となる。
【0066】
移送装置および容器の残りの部分は、ここでは図示も説明もしないが、本明細書に示した方法に沿って当業者が実施する通常の設計手順の対象であると考えられる。
【0067】
図10は、移送システム100の部分的に透視の斜視図であり、ここで容器20および30はハウジング10に受けられている。
【0068】
操作時、シリンジ40に連結する前に、ユーザはピストン41を引き戻し、シリンジ40内への所定量の空気を測る。空気量は、容器30内の希釈剤量に少なくとも対応しうる。
【0069】
その後、シリンジ40の遠位端を第三ポート13に連結することにより、シリンジ40が移送システム100に連結される。また、容器20および30が、ポート11および12への流体連通を生じさせる状態に置かれる。第二流れ制御部材18の状態は閉位置となっている。シリンジ40から空気を放出することにより、空気がチェック弁17、チャネル16を通って第二容器30へと移動する。容器30内の圧力が上昇するため、希釈剤が第一チャネル14を通って、凍結乾燥薬剤の入った容器20へと移送される。移送システム100内に押し入れられる空気量に応じて、一部の希釈剤が第一容器20へと送り込まれる。容器30内の希釈剤量に概して対応する量の空気が放出された場合、希釈剤の約半分が第一容器20へと送り込まれる。一旦再構成されると、第二流れ制御部材18を制御するボタンまたはノブ19を操作することで第二流れ制御部材18の状態を開いた状態に適切に切り替えることによって、溶液を第一容器20からシリンジ40へ移動させることができる。システム内に生じた圧力上昇により、溶液は自動的に第三ポート13を通ってシリンジ40へ送り込まれ、それによりまた、ピストン41が近位端へと移動する。しかしながら、手動でピストンをシリンジ40の近位端へと引っ張ることもまた、移送システム内に残っているいかなる流体もの流体移送を促進する。
【0070】
形成された再構成溶液が第一容器20からシリンジ40へと移送されると、第二容器30内に残っている希釈剤が第一容器20へ移送される。連続的な溶液の希釈は、容器20の内壁、および第一ポート11および第三ポート13間に設置された流れ要素の内壁に付着したいかなる残留溶液をも押し流す効果を確実とする。
【0071】
第三ポート13から第二ポート12に繋がる流体チャネルには、ゲート弁が設けられてよく、それによりいかなる溶液もチェック弁17を通らないようにされる。該ゲート弁(図示せず)は、操作可能な制御ボタンといったもので手動で操作されうる。好ましくは、該ゲート弁は、第二流れ制御部材18の操作時に同時に制御される。2つのゲート弁の操作は、任意の適切な機械的接続により実行されうる。
【0072】
さらなる変形において、第三ポート13から第二ポート12に繋がるチャネルには、チャネル16の流体圧力により制御される流れ制御弁が設けられる。流れ制御弁は、流体圧力が一定限度を下回るときは閉じられたままで、当該限度を上回るときに流体連通を可能とするように設計できる。
【0073】
また、第二流れ制御部材18は、第三ポート13の流体圧力が一定の流体陰圧の限度を超えたときにのみ流体連通を可能とするように構成されうる。
【0074】
上述の再構成された溶液の量が一回の投与に十分でない場合、シリンジ40内の再構成溶液の内容物は、混合を続けることによって貯留されうる。これは、同一の移送システム100を用いた、または一または複数の類似の移送システム100’および100’’を用いた複数のスキームによって実行されうる。
【0075】
上述した最初の混合手順で既に使用したものと同一の移送システム100が使用される場合、シリンジ40は、その後に続く全ての混合手順のために十分な空気を収容できるように初めに調整されうる。その後、空の容器20および30を取り外して新しい容器20および30を挿入することにより容器20および30を交換することができ、上述と同じ方法で混合手順が繰り返されうる。
【0076】
代替的実施態様が図11に示されており、該図は3つの移送システムから3つのバイアルの内容物を収容できるサイズの一つのシリンジ40を示す。好適には、当該実施態様において、各移送システムは、バイアルセット20および30を含む組立済み移送システムとしてユーザに供給され、ここで特定のバイアルセットは複数の利用可能な一回分用量から選択された一回分用量に相当する。図11に示したように、シリンジ40は最初に、含まれていたバイアル20および30の再構成溶液をシリンジ40へ移送するための移送システム100に連結される。次いでシリンジは、新規の移送システム100’に連結され、移送システム100’のバイアル20および30の再構成溶液をシリンジ40に貯留し、そして最後にシリンジ40は、当該組立済み移送セットの内容物を貯留するために移送システム100’’に連結される。
【0077】
先述した再構成スキームの前に、シリンジ40は、移送システム100、100’および100’’の全内容物を押し込むために必要な量に相当する空気が満たされる。あるいは、シリンジ40を新規の移送システムに接続する前に、次の移送システムの内容物をシリンジ40に押し込むために必要な量だけの空気を、シリンジ40に満たしてもよい。
【0078】
必要な一回分用量が貯留されたら、シリンジ40が特定の移送システムから取り外され、その後、シリンジ40に入った医薬の投与が行われる。
【0079】
上述した移送システムは、移送システム100のハウジング10に配置済みで、ポート11および12との流体連通の準備ができた容器20および30を含むキットとして包装されていてよい。また該キットは、所与のサイズのシリンジ、翼状針、埋め込み型(port a cath)セット、あるいはシリンジ40に接続するための針を備えた輸液セットを備えうる。
【0080】
さらなる代替的態様として、本発明の移送システム100は、輸液セットを移送システム100に直接連結するための連結手段を備えてよい。こういったシステムにおいて、ポート13は、放出された再構成溶液を、まだ移送システム100に接続されているときにシリンジ40から輸液セットに向かわせる弁手段を備えうる。
【0081】
図2は、本発明による移送システム100の第二の実施態様の概略図である。図2の実施態様は図1の実施態様に非常に類似しているため、移送システム100の基本操作はここではさらに詳述しない。
【0082】
図2の第二流れ制御部材18は、第一ポート11および第三ポート13での圧力差によって作動される一般的なチェック弁である。したがって、シリンジ40のピストン41が引き戻されると、第二制御部材18が開き、再構成された薬剤が第一容器20からシリンジ40へと移送される。
【0083】
図3は、本発明による移送システム100の第三の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図3の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0084】
図3の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、第二流れ制御部材18が閉じていることをまず確実とする。その後、シリンジ40のピストン41を引き戻す。それにより、チェック弁21が閉じたままでチェック弁17が開くことになる。したがって、液体が第二容器30から吸い出され、第三チャネル16を通ってシリンジ40へと吸い込まれる。さらに、周囲空気がフィルタ22を通って第二容器30へ吸い込まれる。チェック弁21は、当該操作中に、空気または材料が第一容器20からシリンジ40へ吸い込まれないことを確実とする。フィルタ22に接続された入口が、第三チャネル16に接続された出口よりも上に配されていることによって、気泡が液体とともに第二容器30からシリンジ40へ移送されないことが確実となる。
【0085】
十分な量の液体がシリンジ40へ移送されると、ピストン41を押し込む。それによりチェック弁17が閉じ、チェック弁21が開く。したがって、液体がシリンジ40から第一容器20へ移送され、それにより第一内容物と第二内容物の混合が可能となる。液体が第一容器20へ移送されることにより、第一容器20内の圧力が上昇する。チェック弁21と閉じた第二流れ制御部材18が、液体が第一容器20から出るのを防ぐ。
【0086】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、第二流れ制御部材18が開かれ、第一容器20内の圧力上昇により、混合された材料が第一容器20から第二チャネル15を通ってシリンジ40へと押し流される。
【0087】
図4は、本発明による移送システム100の第四の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図4の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0088】
図4の移送システムは、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、まずピストン41を引き戻して空気をシリンジ40に吸い込み、その後シリンジ40を第三ポート13に連結する。次いで、ピストン41を押し込む。それにより、チェック弁17,18が開き、空気がシリンジ40からチャネル16を通って第二容器30へ移送され、それにより第二容器30内の圧力が上昇する。第二容器30内の圧力上昇により、第二内容物が第一チャネル14を通って第二容器30から第一容器20へと移送され、それにより第一内容物と第二内容物の混合が可能となる。当該操作中、第一容器20内の圧力は上昇する。
【0089】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、ボタン23を押して流れ制御部材17、18を手動で開く。その後、容器20,30内の圧力上昇により、混合された材料がチャネル14,16を通ってシリンジ40へと移送される。容器20,30とシリンジ40の間の圧力差を、ピストン41を僅かに引き戻すことによってさらに大きくしてよい。
【0090】
図5は、本発明による移送システム100の第五の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図5の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0091】
図5の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、バルブ24が閉じていることをまず確実とし、その後、シリンジ40のピストン41を引き戻す。それにより、チェック弁18が開き、空気が第一容器20からチャネル15を通ってシリンジ40へと引き込まれ、それにより、第一容器20内の圧力が低減する。次いで、バルブ24が開き、第一容器20と第二容器30の間の圧力差により、液体がチャネル14を通って第二容器30から第一容器20へ移送される。この間、周囲空気がフィルタ22を介して第二容器へと吸い込まれる。
【0092】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、ピストン41を引き戻し、それにより混合された材料がチャネル15を通って第一容器20からシリンジ40へ移送される。
【0093】
図6は、本発明による移送システム100の第六の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図6の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0094】
図6の移送システムは、図1の移送システム100と非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図6の移送システムでは、最初にピストン41を引き戻すことによりフィルタ22を介して周囲空気がシリンジ40内に吸い込まれる。それにより、確実に空気がシリンジ40内に入るので、移送システム100が汚染されない。続いて空気が上述したように第二容器30内に押し込まれるとき、チェック弁25が、空気がフィルタ22を通って移送システム100から出ないことを確実とする。
【0095】
図7は、本発明による移送システム100の第七の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図7の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0096】
図7の移送システム100は、図1および6の移送システム100に非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図7では、フィルタ22が第三チャネル16に配されている。したがって、既にシリンジ40内に吸い込まれている周囲空気が、第二容器30に入る前にろ過され、よって汚染のリスクが低減される。
【0097】
図8は、本発明による移送システム100の第八の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図8の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0098】
図8の移送システム100は、図6の移送システム100に非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図8の移送システム100では、第二の流れ制御部材18が、第二チャネル15または第三チャネル16のいずれかの一部を形成しうる種類のものである。したがって、第二流れ制御部材18が第一容器20からシリンジ40への流体の流れを可能とするように操作されるとき、シリンジ40と第二容器30の間、およびシリンジ40とフィルタ22の間の流体連通は自動的に遮断される。それにより、混合された材料の第一容器20からシリンジ40への移送中、ピストン41を引き戻すときに、周囲空気がフィルタ22を介してシリンジ40へ吸い込まれることが防止される。
【0099】
図9は、本発明による移送システム100の第九の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図9の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0100】
図9の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、移送システム100が図9に示した位置にある、つまり容器20,30が上方を向いていることをまず確実とする。次いで、シリンジ40のピストン41を引き戻し、それにより弁24を開き、液体がチャネル14,15および第一容器20を通って第二容器30からシリンジ40へ吸い込まれる。この間、周囲空気がフィルタ22を介して第二容器30に入り、それによりシステム内の減圧が防止される。移送システム100が上述した位置にあるため、第一容器20の内容物が第一容器20の底に留まり、液体が第一容器20の内容物と接触することはない。
【0101】
液体がシリンジ40内に留まっているとき、容器20,30が下方を向くように移送システム100を回転する。その後ピストン42を押し込み、それにより、液体がシリンジ40から第一容器20へ移送され、よって液体が第一容器20の内容物と混合される。この間、弁24は閉じており、よって液体が第二容器30に入ることを防ぐ。空気が弁31を介して第一容器20から出て、それにより、システム内の圧力上昇が防止される。
【0102】
内容物が適切に混合されると、移送システム100を図9に示した方向に再度回転させ、ピストン41を再度引き戻し、それにより、混合された材料をシリンジ40内に吸い込む。周囲空気がフィルタ22を介してシステム内に吸い込まれ、それにより、システム内の減圧が防止される。
【0103】
図12は、本発明による薬剤混合キット200の斜視図である。薬剤混合キット200は、容器ユニット26および移送ユニット100を備え、該容器ユニット26および移送ユニット100は、連結されて薬剤混合キット200を形成する。
【0104】
容器ユニット26は、乾燥薬剤の形状の第一内容物の入った第一容器20と、希釈剤の形状の第二内容物の入った第二容器30とを備える。容器20,30は容器ユニット26内に固定され、それにより、第一内容物および第二内容物の、例えば量および種類の点での適合が確実となる。容器20,30のそれぞれが、取り外し可能なキャップ27を備える。
【0105】
移送ユニット100は、第一容器20を受ける第一ポート11、第二容器30を受ける第二ポート12、およびシリンジ(図示せず)に連結される第三ポート13を備える。移送ユニット100はさらに、移送ユニット100と容器ユニット26が連結されたときに、第二内容物が第二容器30から第一容器20へ移動して第一内容物と第二内容物が混合できるような形で、および混合された材料が続いて第三ポート13に連結されたシリンジに移動できるような形でポート11,12,13を繋げる複数の流れチャネル(不可視)を備える。
【0106】
第一内容物と第二内容物の混合が望ましいとき、キャップ27を取り外し、第一容器20が第一ポート11に受けられ、第二容器30が第二ポート12に受けられるような形で移送ユニット100が容器ユニット26の上に載せる。容器ユニット26は、容器ユニット26上に非対称的に設けられた壁部28を備える。移送ユニット100は、壁部28を収容する対応する溝29を備える。それにより、第一ポート11が第二容器30に、第二ポート12が第一容器20に連結されるような形で容器ユニット26と移送ユニット100を連結できないことが確実となる。したがって、組立済み薬剤混合キット200内の正確な流体の流れが確実となる。
【0107】
図13は、組立済み状態の図12の薬剤混合キット200の斜視図である。
【0108】
上述の例示的実施態様において、単に記載した機能性を移送システムの様々な構成要素に付与する手段として、様々な構成要素間の望ましい関係を提供する様々な構造体を、本発明の概念が技能のある読者には明確である程度に説明した。様々な構造体についての詳細な構造および仕様は、本明細書に示した方法に沿って当業者が実施する通常の設計手順の対象であると考えられる。
【0109】
ここで引用した公報、特許出願、および特許を含む全ての参照物は、参照によりその全体が、各参照物が個別且つ明確に参照により組み込まれるべきことを示され且つその全体が本明細書において説明された場合と同程度に(法的に認められる最大範囲まで)、本明細書に組み込まれる。
【0110】
全ての見出しおよび小見出しは、本明細書において単に便宜上使用されているものであり、発明を何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【0111】
本明細書に記載のいずれかまたは全ての実施例、または例示的な言葉(例えば「例えば」)は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、請求項においてそうでない旨の記載がない限り本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の言葉はいずれも、請求されていない要素が本発明の実施に必須であると示すものではないと解釈されるべきである。
【0112】
本明細書における特許文献の引用および組み込みは、単に便宜上行われるものであり、こういった特許文献の有効性、特許性、および/または実施可能性を示すものではない。
【0113】
本発明は、適用法によって許容される範囲で、本明細書に添付の請求項に記載した主題の全ての改変および均等物を含む。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の調製および投与に関し、特にこれらの生体、例えば人体への注入に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、手動プランジャによって加えられた圧力を用いて、皮下に挿入された針を介して液体がチャンバから送達されるシリンジといった様々な装置が、医薬の生体への経皮投与のために開発されてきた。
【0003】
また、血塊の溶解に用いられるグルカゴン等のある種の注入物質の保存寿命が、該物質が例えば粉末または凍結乾燥状態で保存された場合に延びることは、当業者に周知である。これらの凍結乾燥物質(つまり薬剤または化合物)は現在、凍結乾燥しなければ不安定な材料の注入に使用されている。凍結乾燥は例えば、非常に低い温度で材料を急速冷凍した後に高真空での昇華により急速脱水することである。その結果得られる凍結乾燥化合物は、典型的にはガラス製のバイアルまたはカートリッジ内に保存され、該瓶またはカートリッジはゴム栓またはセプタム等のキャップで閉じられる。
【0004】
凍結乾燥化合物といった粉末または固体の材料は投与前に再構成する必要がある。これは、固体化合物を適切な希釈剤または液体と混合することによって達成される。再構成は典型的に、針を備えたシリンジを用いて、希釈剤を別のバイアルから取り出して化合物の入ったバイアルに注入することを伴う。化合物は次いで、典型的には手でバイアルを振ることによって十分に混合され、針を備えた別のシリンジによって、患者に注入される所望量が取り出される。2つの別個の容器が使用されるため、化合物を再構成する人は、適切な濃度の混合物ができるように間違いなく正確な量を混合しなければならない。希釈剤と薬剤の混合にシリンジを用いる場合、正確な体積比の希釈剤と薬剤を得ることが難しい。よって、投与薬剤の正確な濃度レベルは危うくなりうる。
【0005】
さらに、希釈剤と化合物が別個の無菌容器に入っているため、希釈剤のシリンジを介した手作業での取り出し、および粉末または凍結乾燥薬剤といった固体の材料の入った容器への該希釈剤の再注入は、シリンジの使用によって無菌状態と安全性が危うくなりうる。
【0006】
粉末化合物または凍結乾燥薬剤の使用の増加により、例えば、専門家および素人の両方に、再構成された薬剤のデリバリーシステムを提供することが望まれる。正確な用量の再構成された化合物の調製および安全なデリバリーを容易にする、簡易で信頼性のあるシステムが所望される。加えて、作業全体を通して無菌状態を維持しながら凍結乾燥薬剤を再構成するシステムの提供が望ましい。また、概してユーザによる安全で効率的なデリバリーを行う、医薬の経皮デリバリーの改善を提供することが望まれる。
【0007】
US特許第6364865号は、それぞれ凍結乾燥化合物と希釈剤の入った一セットのバイアルからの構成物質で溶液を形成する、医薬デリバリーシステムおよび移送システムの様々な異なる実施態様を開示している。
【0008】
時に、薬液の望ましい一回分用量が、単一のバイアルセットに入っている薬剤に相当する量よりも多いことがある。この場合、2または複数のバイアルセット、つまり所望の一回分用量に対応する数のバイアルセットから凍結乾燥薬剤を用いて総用量を作成しなければならない。これは例えば、各バイアルに液体溶剤を連続的に適用し、一つの共通のリザーバまたはシリンジに再構成された薬剤を回収することによって行われる。全てのバイアルの薬剤がこのようにして再構成されると、総用量が、共通のリザーバまたはシリンジから人に投与される。しかしながら、このようにして2または複数のバイアルから凍結乾燥薬剤を再構成することは、比較的時間が掛かる。さらに、複数回開口部が開けられ自由周囲空気または埃に晒されるため、薬剤が汚染されるリスクがある。
【0009】
したがって、2または複数のバイアルから凍結乾燥薬剤を用いて一回分の用量を混合することを容易にし、且つ結果として得られた薬剤の汚染リスクを低減する薬剤混合装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US特許第6364865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した問題および欠点を考慮して、本発明の目的は、2つの容器の内容物を混合し、且つ混合した溶液を標準的なシリンジに移送するための簡易だが効率的な混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の態様において、本発明は:
−ハウジング;
−第一内容物の入った第一容器を受けるように構成された、前記ハウジング内の第一ポート;
−材料を形成するために第一内容物と混合される第二内容物の入った第二容器を受けるように構成された、前記ハウジング内の第二ポート;
−シリンジに連結される第三ポート、ここで該第三ポートは第二ポートと流体連通している;
−第二内容物を第二容器から第一容器に移動させることができる第一チャネル;
を備えた移送システムであって、さらに、
−第一容器の内容物を第三ポートに移動させることができる第二チャネル;
−シリンジが第三ポートに連結されたとき、該シリンジと第二ポートの間で流体が一方向へ流れることを可能とする、第三ポートと第二ポートの間に配された第一流れ制御部材;および
−第一ポートから第三ポートに連結されたシリンジへ、前記第二チャネルを介して流体が選択的に流れることを可能とし、それにより、第一容器の第一内容物と第二容器の第二内容物とを混合して形成された材料がシリンジへ流入することを可能とする、第二流れ制御部材;
を備えることを特徴とする移送システムを提供する。
【0013】
本明細書において、用語「ハウジング」は、少なくとも第一ポート、第二ポート、および第三ポートを保持するように構成された、システムの一部を意味するものと解釈されるべきであり、ここでこれらポートの相互空間位置は該保持によって実質的に固定されている。さらに、ハウジングは好ましくは、複数のチャネルを収容するように構成され、その場合、適切な容器とシリンジが各ポートに配置されたとき、容器とシリンジの間の適切な流体連通が確立される。
【0014】
好適には、第一内容物は、粉末または凍結乾燥薬剤といった乾燥物質であり、第二内容物は、第一内容物の溶剤として適切な希釈剤等の液状物質である。この場合、第一内容物と第二内容物が混合されて形成される材料は、例えば輸液または注入によってユーザに送達する準備ができている再構成薬剤である。あるいは、第一内容物が第二内容物と同様に液状物質であってもよい。
【0015】
第一容器は、バイアルや、袋等の可撓性のある容器など、任意の適切な種類の容器であってよい。同様に、第二容器も、上記で定義したような任意の適切な種類の容器であってよい。
【0016】
第三ポートは第二ポートと流体連通している。したがって、第三ポートに連結されたシリンジと、第二ポートに連結された容器との間で流体を移動させることができる。当該移送システムの特定の構成では、第三ポートと第二ポートの間でいずれか一方向に流体を移動させることができる。例えば該システムの操作手順中の異なったタイミングで、流体を両方向に選択的に移動させることもさらに可能であってよい。
【0017】
第一チャネルは、第二内容物を第二容器から第一容器へ移動させることができる。したがって、第一チャネルは、第一容器と第二容器の間の直接的な流体連通を確立し、第二内容物が第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動されたとき、第一内容物と第二内容物が混合し、よって材料が形成される。
【0018】
第二チャネルは、第一容器の内容物を第三ポートへ移動させることができる。よって、第二チャネルは、第一ポートと第三ポートの間の流体連通を確立する。第一内容物と第二内容物が混合された結果得られる材料は、これにより、第一容器から、第三ポートに連結されたシリンジへ移送されうる。しかして、該材料は続いて、シリンジを用いて送達されうる。さらに、第二チャネルは、第一容器内の圧力を低減するために、第一容器からシリンジへ空気を移動させるために用いられてよい。このような減圧は、第二内容物を、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動させるのに役立ちうる。
【0019】
第二チャネルはまた、逆方向、つまり第三ポートから第一ポートへ流体が流れることを可能とすることに注目すべきである。これにより、流体を、シリンジから、第一ポートに連結された容器へ移送することが可能となりうる。
【0020】
第一流れ制御部材は、第三ポートに連結されたシリンジと、第二ポートの間で、流体が一方向へ流れることを可能とする。このように、第一流れ制御部材は、シリンジから第二ポートへの一方向か、または第二ポートからシリンジへの一方向のいずれかへ流体が流れることを可能とする。第一流れ制御部材がシリンジから第二ポートへの方向の流体の流れを可能とする場合、これは有利には、流体、例えば空気をシリンジから第二容器へ移送して、第二容器内の圧力を上昇するために用いられうる。こういった圧力の上昇により、第二内容物が、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動することができる。第一流れ制御部材が第二ポートからシリンジへの方向の流体の流れを可能とする場合、これは例えば、第二内容物を第二容器からシリンジへ移送するために用いられうる。第二内容物は次いで、シリンジから第一容器へ移送されうる。第一流れ制御部材は、例えば移送システムの操作手順中の異なったタイミングで、一方向への流体の流れを両方向で可能とするように構成されうることに注目されたい。
【0021】
第二流れ制御部材は、第一ポートから、第三ポートに連結されたシリンジへ、第二流れチャネルを介して流体が選択的に流れることを可能とする。それにより、第一内容物と第二内容物の混合により形成された材料が、シリンジへ流入することができる。これは、その後、混合された材料をシリンジを用いて送達できるため有利である。さらに、第二流れ制御部材は、混合された材料の移送が、所望のタイミング、例えば確実に第一内容物と第二内容物が適切に混合された後で行われることを確実にする。
【0022】
第二流れ制御部材は、ゲート弁を備えうる。
【0023】
一実施態様によると、第二流れ制御部材を通る選択的な流体の流れは、第三ポートの流体圧力が所定の陰圧を越えたときに可能となってよい。当該実施態様によると、混合された材料は有利には、第三ポートでの減圧により第一容器からシリンジへと移動されうる。こういった減圧は、シリンジのピストンを引き戻すことにより達成されうる。この場合、第二流れ制御部材は有利には、例えばバイアスバネの種類のチェック弁でありうる。第一ポートでの圧力レベルと第三ポートでの圧力レベルの圧力差がバネ力を上回るほど十分大きくなると、弁が開き、よって混合された材料の第一容器からシリンジへの移動が可能となる。
【0024】
第一流れ制御部材は、第一流れ制御部材を通る選択的な流体の流れを提供しうる。この場合、第一流れ制御部材を通る選択的な流体の流れは、第三ポートでの流体圧力が所定の流体圧力を超えたときに可能となりうる。これは、上述した状況と類似している。あるいは、第一流れ制御部材を通る流体の流れは、第二流れ制御部材を通る流体の流れが可能となったときに遮断されてもよい。この場合、第二流れ制御部材を通る流体の流れが可能となり、よって混合された材料の第一容器からシリンジへの流れが可能となったとき、第一流れ制御部材を通る流体の流れが自動的に遮断される。それにより、混合された材料の第一容器からシリンジへの移送中、流体がシリンジと第二容器の間で流れられないことを確実にできる。
【0025】
第一ポートおよび/または第二ポートは、穿孔可能な膜を有するバイアルに取り外し可能に連結するようにできていてよく、それにより、バイアルが第一および/または第二ポートに連結されたとき流体がバイアルとの間を流れることができる。当該実施態様によると、両ポートに連結されたバイアルを取り替えることが可能で、よってバイアルの貯留が非常に容易になる。
【0026】
第一流れ制御部材は、シリンジから第二容器へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材によって可能となった流体の流れは、第二容器内の圧力上昇を引き起こす。こういった圧力上昇は通常、第二容器の第二内容物の第一容器への押し流しを助ける、つまり、この場合、第一容器と第二容器の間の圧力レベルの差異により第二内容物が移動することになる。
【0027】
あるいは、第一流れ制御部材は、第二容器からシリンジへ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材によって可能となった流体の流れは、第二内容物の、第二容器からシリンジへの移動を引き起こす。当該実施態様によると、第二内容物が、第一流れ制御部材を介してシリンジへと吸い込まれる。その後、第一内容物と第二内容物が混合されるように、第二内容物はシリンジから第一容器へ移送されうる。
【0028】
よって、第二内容物は、第一容器内の圧力と第二容器内の圧力の圧力差により、第一チャネルを介して第二容器から第一容器へ移動することが可能となってよい。圧力差は、第二容器内の圧力上昇により少なくとも部分的に提供されてよく、および/または、圧力差は、第一容器内の減圧により少なくとも部分的に提供されてよい。代替的または付加的に、圧力差は、低圧力で届けられる、つまり最初から真空下に置かれている第一容器を用いて少なくとも部分的に提供されてよい。
【0029】
移送システムはさらに、第三ポートとハウジングの入口の間の流路に配された第一フィルタを備えうる。これは、第二容器内の圧力を上昇させるために空気がシリンジによって第二容器へ送り込まれるように移送システムが機能する場合、特に有利である。こういった空気は最初、シリンジへと吸い込まれなくてはならないのだが、周囲空気は汚染されている、および/または望ましくない不純物を含みうるため、フィルタを介してシリンジへと吸い込まれることが有利である。それにより、薬剤の汚染リスクが最小限に抑えられる。
【0030】
代替的または付加的に、移送システムはさらに、第二チャネルに配された第二フィルタを備えうる。こういったフィルタは有利には、混合された材料がシリンジへ移送されるときに不純物が第一容器からシリンジへ移送されることを防ぐために用いることができる。こういった不純物は、例えばバイアルの栓から出る、栓の穿孔時に生じるゴム粒子、および/または適切に溶解されなかった乾燥内容物である。注入可能な薬剤がこういった不純物を含むことは望ましくなく、したがってそれらをフィルタによって除去することが有利である。
【0031】
本発明の第二の態様によると、薬剤を形成するための方法であって:
移送システムを提供すること;
第一内容物の入った第一容器と、第二内容物の入った第二容器を提供すること;
移送システムの第一ポートに第一容器を、および移送システムの第二ポートに第二容器を挿入すること;
第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせること、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器から、移送システムの第三ポートに連結されたシリンジへ移動させること;
を含む方法が提供される。
【0032】
移送システムは有利には、本発明の第一の態様による移送システムでありうる。しかしながら、本発明の第一の態様と組み合わせて述べた一または複数の機構が、本発明の第二の態様によって提供される移送システムにおいて省略されてよい。
【0033】
圧力差を生じさせる段階は:
シリンジ内の所定の空気量を測量し、シリンジを第三ポートに連結すること;および
シリンジ内に含まれる空気の少なくとも一部を放出し、放出された空気を第二容器に受け入れられるように移動させ、それにより第二容器内の圧力を上昇させること;
を含みうる。
【0034】
当該実施態様によると、圧力差は、少なくとも部分的に第二容器内の圧力上昇によって生じ、圧力上昇は、シリンジによって空気を第二容器内に押し流すことによって達成される。
【0035】
代替的または付加的に、圧力差を生じさせる段階は、第一容器内の圧力を低減することを含みうる。これは例えば、シリンジを用いるなどして第一容器から空気を吸い出すことによって達成されうる。
【0036】
本発明はさらに:
−第二流れ制御部材の動作を停止させ、それにより第二流れ制御部材を通る流体の流れを遮断する段階;
−第一ポートから第一容器を取り外し、および第二ポートから第二容器を取り外す段階;
−第一内容物の入った新規の第一容器と、第二内容物の入った新規の第二容器を提供する段階;
−第一ポートに新規の第一容器を、および第二ポートに新規の第二容器を挿入する段階;
−第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせる段階、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
−第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器からシリンジへ移動させる段階;
を含みうる。
【0037】
当該実施態様によると、2または複数の容器のセットが連続的に第一および第二ポートに連結され、それらの内容物が混合されて材料が形成され、該材料がシリンジに移送される。したがって、作業終了時にシリンジ内にある混合された材料の結果として得られる量は、2または複数の容器のセットの内容量に対応する。よって、当該実施態様によると、容器の単一のセットの内容量に相当する量よりも多い一回分の薬剤を混合してシリンジに集めることができる、つまり複数の容器の内容物の貯留が可能である。さらに、当該方法の段階は、所望量の一回分の薬剤を混合するために必要な回数繰り返されてよい。
【0038】
当該方法はさらに:
−第三ポートからシリンジを分離する段階;
−新規の移送システムを提供する段階;
−第一内容物の入った第一容器、第二内容物の入った第二容器、およびシリンジを提供する段階;
−移送システムの第一ポートに第一容器を、および移送システムの第二ポートに第二容器を挿入する段階;
−移送システムの第三ポートにシリンジを連結する段階;
−第一容器の圧力と第二容器の圧力の間に圧力差を生じさせる段階、該圧力差は、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネルを通って第二容器から第一容器へ移動し、第一容器内で溶液を形成することを可能とする;および
−第二流れ制御部材を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器からシリンジへ移動させる段階;
を含みうる。
【0039】
当該実施態様はまた、2または複数の容器セットの内容物の貯留も可能とする。しかしながら、この場合移送システムは再利用されない。
【0040】
当該方法はさらに、第三ポートからシリンジを分離する段階を含みうる。それにより、シリンジを用いて混合された材料を続いて送達することができる。これは例えば:
−輸液セットを提供すること;および
−輸液セットをシリンジに連結することによって、流体デリバリー装置を形成すること;
によって為されうる。
【0041】
本発明の第三の態様によると:
−第一内容物の入った第一容器と、第一内容物と混合されて材料を形成する第二内容物の入った第二容器とを備えた容器ユニット;および
−容器ユニットの第一および第二容器を受ける第一および第二ポート、およびシリンジに連結するための第三ポートを備えた移送ユニットであって、さらに複数の流れチャネルを備え、該流れチャネルの少なくともいくつかは第一ポート、第二ポートおよび第三ポートの2つを対相互連結する、移送ユニット;
を含む薬剤混合キットが提供され、ここで容器ユニットおよび移送ユニットがともに連結されて薬剤混合キットを形成する。
【0042】
当業者であれば、本発明の第一の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第二または第三の態様と組み合わせてよく、本発明の第二の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第一および第三の態様と組み合わせてよく、本発明の第三の態様と組み合わせて述べたいかなる特徴も、本発明の第一および第二の態様と組み合わせてよいことを容易に認識するであろうことに注目されたい。
【0043】
容器ユニットは第一および第二容器を保持する。複数の容器は、製造業者によって容器ユニットに配置され、それにより、第一内容物および第二内容物の、例えば量および種類の点での適合を確実とできる。したがって、第一内容物と第二内容物の混合時に、内容物混合中に起こる誤りのリスクが最小限に抑えられる。
【0044】
移送ユニットは、本発明の第一の態様による移送システムであるかまたは備えうる。しかしながら、他の種類の移送ユニットを用いることも想定されうる。例えば、本発明の第一の態様を参照して述べたものと異なる形で流れチャネルがポートに相互連結してもよい。
【0045】
容器ユニットと移送ユニットは、ともに連結されて薬剤混合キットを形成する。これらのユニットは有利には、一つのパッケージでともに送達されうる。第一内容物と第二内容物を混合するために、ユーザは該ユニットを連結し、場合によっては、第一内容物が第二容器に、または第二内容物が第一容器に移動するように、例えば一または複数の流れ制御部材および/またはシリンジのピストンといった移送システムの一または複数の機構を操作しなければならない。それにより、容器ユニットは、保管中、密封状態で維持されうる。これは、容器の内容物の耐用年数を延ばし、内容物の汚染を防ぐ。
【0046】
さらに、容器ユニットと移送ユニットをキットとして提供することにより、移送ユニットが第一および第二容器の内容物の混合に実質的に適していることを確実とできる。
【0047】
容器ユニットおよび移送ユニットは、それらがそれぞれ所定の相互位置に配置されているときにのみ連結できるような形状を有することができる。当該実施態様によると、容器ユニットおよび移送ユニットが連結されたとき、第一容器が第一ポートに連結され、第二容器が第二ポートに連結されることが確実とできる。よって、第一容器、第二容器およびシリンジが流れチャネルによって正確な形で相互連結されること、および、第一および第二内容物の混合時の移送ユニットにおける流体の流れが予想通りとなることもまた確実である。したがって、第一内容物と第二内容物の正確な混合が確実とできる。
【0048】
上述した機構は、例えば真っ直ぐな端部と、該真っ直ぐな端部の反対側に湾曲した端部とを有する非対称な形に容器ユニットと移送ユニットを形成することにより、例えば提供されうる。
【0049】
移送ユニットは、第一ポートおよび第二ポートを流体的に連結する第一チャネルを備えてよく、それにより、第二ポートに受けられた第二容器の第二内容物が、第一ポートに受けられた第一容器へ移動することが可能となる。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。
【0050】
代替的または付加的に、移送ユニットは、第一ポートおよび第三ポートを流体的に連結する第二チャネルを備えてよく、それにより、第一ポートおよび第三ポート間の流体の流れが可能となる。当該実施態様によると、第一ポートに連結された第一容器内で形成された混合された材料が、第三ポートに連結されたシリンジへ移送されうる。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。移送ユニットは、第二チャネルに配された第二流れ制御部材を備えてよく、該第二流れ制御部材は、第一ポートおよび第三ポート間の選択的な流体の流れを可能とする。
【0051】
代替的または付加的に、移送ユニットは、第二ポートおよび第三ポートを流体的に連結する第三チャネルを備えてよく、それにより、第二ポートおよび第三ポート間の流体の流れが可能となる。移送ユニットは、第三チャネルに配された第一流れ制御部材を備えてよく、該第一流れ制御部材は、第二ポートおよび第三ポート間の選択的な流体の流れを可能とする。これは、本発明の第一の態様に関連して既に上述されている。
【0052】
また、本発明のさらなる態様において、移送システムは、本明細書で開示した実施態様のいずれかによる移送装置、希釈剤容器、および凍結乾燥薬剤を収容する薬剤容器をそれぞれ備えた複数の組立済み移送システムを含み、ここで該2つの容器は移送装置のハウジング内に挿入されて組立済みユニットを形成しているが、バイアルとの間の流体連通はまだ確立されていない。使用時に、好適には一定量の空気の入ったシリンジが移送装置に連結され、その後特定の組立済み移送システムのバイアルとの間の流体連通が確立され、再構成物形成シーケンスが行われる。
【0053】
必要な一回分用量が、単一の組立済み移送システムでは達成できない場合、シリンジが薬剤溶液の適切な総量を収容できる容積であるという条件で、一または複数の追加の組立済み移送システムを同じシリンジで連続的に使用することができる。こういったシステムの場合、好ましくは、組立済み移送システムセットの様々なセットをユーザに供給することができ、ここで該様々なセットは、複数の予め選択された用量に相当する一回分用量を含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下で、図面を参照して本発明をさらに説明する。
【図1】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図2】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図3】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図4】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図5】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図6】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図7】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図8】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図9】本発明の様々な実施態様による移送システムの概略図である。
【図10】図1に示した実施態様の斜視図を示す。
【図11】本発明のさらなる実施態様の斜視図を示す。
【図12】分解状態にある、本発明の実施態様による薬剤混合キットの斜視図である。
【図13】組立状態にある、図12の薬剤混合キットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、薬剤デリバリーシステムおよび方法を対象とする。薬剤デリバリーシステムは概して、加圧下での溶液中の薬剤の送達を提供し、特に再構成を必要とする粉末または凍結乾燥薬剤の注入を対象とする。薬剤デリバリーシステムは、再構成システム、薬剤デリバリーを容易にする加圧システム、移送システム、および注入システムを含む。本発明の様々な実施態様は、記載した複数のシステムのうち一つだけを用いるものであってよく、別の実施態様においては、様々な用途の要件に基づいてこれらのシステムを組み合わせて使用することもできる。例えば、ある好適な実施態様は液状の薬剤を送達し、再構成を必要としないものであってよい。よって、薬剤送達システムおよび方法は、以下に記載するシステムまたはプロセスのいくつかまたは全ての組み合わせである。
【0056】
まず、図1、10および11を参照して、薬液を形成するための移送システムの実施態様を、直接ユーザに指向した特徴に主に焦点を合わせて説明する。
【0057】
図1は、所定量の凍結乾燥薬剤または粉末の入った第一容器20、所定量の希釈剤の入った第二容器30に連結された移送システム100の概略図である。また、図1には移送システム100のシリンジ40も示されている。
【0058】
図示した実施態様では、2つの容器20および30が、バイアルを閉じる穿孔可能な栓と、栓を固定して保持するための保持キャップとをそれぞれ有する標準的なバイアルとして形成されている。
【0059】
移送装置100は、必要な流路、制御部材および容器20および30を収容するハウジング10(図10参照)を備える。ハウジング10は、ハウジング10内に部分的または完全に収容されるように2つの容器20および30を受け入れるように設計されうる。あるいは、ハウジング10は、バイアルのキャップ部分を取り囲むようにだけ設計されてもよい。
【0060】
移送装置100は、容器20に連結するための第一ポート11と、容器30に連結する第二ポート12とを備える。ポート11および12の連結は、第一状態と第二状態で2つの容器のそれぞれを受けるようにできていてよい。第一状態において、2つの容器はハウジングに保持されるだけで、2つの容器の内部への流体連通は確立されていない。この第一状態で、2つの容器を含み移送システムは長期間保存可能である。第二状態においては、移送装置100と容器20および30との流路間で流体連通が確立される。
【0061】
連結ポート11および12は、容器20および30の内部との流体連通を提供する任意の手段、例えば中空針、中空スパイク等を含みうる。好適には、膜を貫通する針またはスパイクが使用された場合、該針またはスパイクは、液体が容器20および30内部に実質的に残留しないように形成される。
【0062】
ハウジング10はさらに、バレル42内にスライド可能に取り付けられたシーリングプランジャ41を有するシリンジ40を取り外し可能に連結するための第三ポートの形の連結手段を備える。好適には、シリンジ40の開口(遠位)端は、取り外し可能なコネクタによって取り外し可能に導管を取り付けるための手段、例えば輸液セットのルアコネクタを備える。したがって、ハウジング10は、シリンジ40を取り外し可能に第三ポート13に連結するための対応する連結手段を備える。
【0063】
図1はさらに、第一容器20と第二容器30との間の流体連通を可能とする第一チャネル14を示す。さらに、第一ポート11および第三ポート13は、第二チャネル15を介して流体連通する。また、第二ポートおよび第三ポート13は、第三チャネル16を介して流体連通する。
【0064】
第三チャネル16に沿った一箇所に、好ましくはチェック弁または逆止め弁の形の第一流れ制御部材17が設けられ、ポート13からポート12への一方向の流れを形成する。
【0065】
第二チャネル15に沿った一箇所には、好ましくはチェック弁の形の第二流れ制御部材18が設けられる。該部材が閉じた位置では流体連通が遮断され、開いた位置ではポート11からポート13への流体の流れが可能となる。
【0066】
移送装置および容器の残りの部分は、ここでは図示も説明もしないが、本明細書に示した方法に沿って当業者が実施する通常の設計手順の対象であると考えられる。
【0067】
図10は、移送システム100の部分的に透視の斜視図であり、ここで容器20および30はハウジング10に受けられている。
【0068】
操作時、シリンジ40に連結する前に、ユーザはピストン41を引き戻し、シリンジ40内への所定量の空気を測る。空気量は、容器30内の希釈剤量に少なくとも対応しうる。
【0069】
その後、シリンジ40の遠位端を第三ポート13に連結することにより、シリンジ40が移送システム100に連結される。また、容器20および30が、ポート11および12への流体連通を生じさせる状態に置かれる。第二流れ制御部材18の状態は閉位置となっている。シリンジ40から空気を放出することにより、空気がチェック弁17、チャネル16を通って第二容器30へと移動する。容器30内の圧力が上昇するため、希釈剤が第一チャネル14を通って、凍結乾燥薬剤の入った容器20へと移送される。移送システム100内に押し入れられる空気量に応じて、一部の希釈剤が第一容器20へと送り込まれる。容器30内の希釈剤量に概して対応する量の空気が放出された場合、希釈剤の約半分が第一容器20へと送り込まれる。一旦再構成されると、第二流れ制御部材18を制御するボタンまたはノブ19を操作することで第二流れ制御部材18の状態を開いた状態に適切に切り替えることによって、溶液を第一容器20からシリンジ40へ移動させることができる。システム内に生じた圧力上昇により、溶液は自動的に第三ポート13を通ってシリンジ40へ送り込まれ、それによりまた、ピストン41が近位端へと移動する。しかしながら、手動でピストンをシリンジ40の近位端へと引っ張ることもまた、移送システム内に残っているいかなる流体もの流体移送を促進する。
【0070】
形成された再構成溶液が第一容器20からシリンジ40へと移送されると、第二容器30内に残っている希釈剤が第一容器20へ移送される。連続的な溶液の希釈は、容器20の内壁、および第一ポート11および第三ポート13間に設置された流れ要素の内壁に付着したいかなる残留溶液をも押し流す効果を確実とする。
【0071】
第三ポート13から第二ポート12に繋がる流体チャネルには、ゲート弁が設けられてよく、それによりいかなる溶液もチェック弁17を通らないようにされる。該ゲート弁(図示せず)は、操作可能な制御ボタンといったもので手動で操作されうる。好ましくは、該ゲート弁は、第二流れ制御部材18の操作時に同時に制御される。2つのゲート弁の操作は、任意の適切な機械的接続により実行されうる。
【0072】
さらなる変形において、第三ポート13から第二ポート12に繋がるチャネルには、チャネル16の流体圧力により制御される流れ制御弁が設けられる。流れ制御弁は、流体圧力が一定限度を下回るときは閉じられたままで、当該限度を上回るときに流体連通を可能とするように設計できる。
【0073】
また、第二流れ制御部材18は、第三ポート13の流体圧力が一定の流体陰圧の限度を超えたときにのみ流体連通を可能とするように構成されうる。
【0074】
上述の再構成された溶液の量が一回の投与に十分でない場合、シリンジ40内の再構成溶液の内容物は、混合を続けることによって貯留されうる。これは、同一の移送システム100を用いた、または一または複数の類似の移送システム100’および100’’を用いた複数のスキームによって実行されうる。
【0075】
上述した最初の混合手順で既に使用したものと同一の移送システム100が使用される場合、シリンジ40は、その後に続く全ての混合手順のために十分な空気を収容できるように初めに調整されうる。その後、空の容器20および30を取り外して新しい容器20および30を挿入することにより容器20および30を交換することができ、上述と同じ方法で混合手順が繰り返されうる。
【0076】
代替的実施態様が図11に示されており、該図は3つの移送システムから3つのバイアルの内容物を収容できるサイズの一つのシリンジ40を示す。好適には、当該実施態様において、各移送システムは、バイアルセット20および30を含む組立済み移送システムとしてユーザに供給され、ここで特定のバイアルセットは複数の利用可能な一回分用量から選択された一回分用量に相当する。図11に示したように、シリンジ40は最初に、含まれていたバイアル20および30の再構成溶液をシリンジ40へ移送するための移送システム100に連結される。次いでシリンジは、新規の移送システム100’に連結され、移送システム100’のバイアル20および30の再構成溶液をシリンジ40に貯留し、そして最後にシリンジ40は、当該組立済み移送セットの内容物を貯留するために移送システム100’’に連結される。
【0077】
先述した再構成スキームの前に、シリンジ40は、移送システム100、100’および100’’の全内容物を押し込むために必要な量に相当する空気が満たされる。あるいは、シリンジ40を新規の移送システムに接続する前に、次の移送システムの内容物をシリンジ40に押し込むために必要な量だけの空気を、シリンジ40に満たしてもよい。
【0078】
必要な一回分用量が貯留されたら、シリンジ40が特定の移送システムから取り外され、その後、シリンジ40に入った医薬の投与が行われる。
【0079】
上述した移送システムは、移送システム100のハウジング10に配置済みで、ポート11および12との流体連通の準備ができた容器20および30を含むキットとして包装されていてよい。また該キットは、所与のサイズのシリンジ、翼状針、埋め込み型(port a cath)セット、あるいはシリンジ40に接続するための針を備えた輸液セットを備えうる。
【0080】
さらなる代替的態様として、本発明の移送システム100は、輸液セットを移送システム100に直接連結するための連結手段を備えてよい。こういったシステムにおいて、ポート13は、放出された再構成溶液を、まだ移送システム100に接続されているときにシリンジ40から輸液セットに向かわせる弁手段を備えうる。
【0081】
図2は、本発明による移送システム100の第二の実施態様の概略図である。図2の実施態様は図1の実施態様に非常に類似しているため、移送システム100の基本操作はここではさらに詳述しない。
【0082】
図2の第二流れ制御部材18は、第一ポート11および第三ポート13での圧力差によって作動される一般的なチェック弁である。したがって、シリンジ40のピストン41が引き戻されると、第二制御部材18が開き、再構成された薬剤が第一容器20からシリンジ40へと移送される。
【0083】
図3は、本発明による移送システム100の第三の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図3の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0084】
図3の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、第二流れ制御部材18が閉じていることをまず確実とする。その後、シリンジ40のピストン41を引き戻す。それにより、チェック弁21が閉じたままでチェック弁17が開くことになる。したがって、液体が第二容器30から吸い出され、第三チャネル16を通ってシリンジ40へと吸い込まれる。さらに、周囲空気がフィルタ22を通って第二容器30へ吸い込まれる。チェック弁21は、当該操作中に、空気または材料が第一容器20からシリンジ40へ吸い込まれないことを確実とする。フィルタ22に接続された入口が、第三チャネル16に接続された出口よりも上に配されていることによって、気泡が液体とともに第二容器30からシリンジ40へ移送されないことが確実となる。
【0085】
十分な量の液体がシリンジ40へ移送されると、ピストン41を押し込む。それによりチェック弁17が閉じ、チェック弁21が開く。したがって、液体がシリンジ40から第一容器20へ移送され、それにより第一内容物と第二内容物の混合が可能となる。液体が第一容器20へ移送されることにより、第一容器20内の圧力が上昇する。チェック弁21と閉じた第二流れ制御部材18が、液体が第一容器20から出るのを防ぐ。
【0086】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、第二流れ制御部材18が開かれ、第一容器20内の圧力上昇により、混合された材料が第一容器20から第二チャネル15を通ってシリンジ40へと押し流される。
【0087】
図4は、本発明による移送システム100の第四の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図4の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0088】
図4の移送システムは、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、まずピストン41を引き戻して空気をシリンジ40に吸い込み、その後シリンジ40を第三ポート13に連結する。次いで、ピストン41を押し込む。それにより、チェック弁17,18が開き、空気がシリンジ40からチャネル16を通って第二容器30へ移送され、それにより第二容器30内の圧力が上昇する。第二容器30内の圧力上昇により、第二内容物が第一チャネル14を通って第二容器30から第一容器20へと移送され、それにより第一内容物と第二内容物の混合が可能となる。当該操作中、第一容器20内の圧力は上昇する。
【0089】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、ボタン23を押して流れ制御部材17、18を手動で開く。その後、容器20,30内の圧力上昇により、混合された材料がチャネル14,16を通ってシリンジ40へと移送される。容器20,30とシリンジ40の間の圧力差を、ピストン41を僅かに引き戻すことによってさらに大きくしてよい。
【0090】
図5は、本発明による移送システム100の第五の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図5の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0091】
図5の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、バルブ24が閉じていることをまず確実とし、その後、シリンジ40のピストン41を引き戻す。それにより、チェック弁18が開き、空気が第一容器20からチャネル15を通ってシリンジ40へと引き込まれ、それにより、第一容器20内の圧力が低減する。次いで、バルブ24が開き、第一容器20と第二容器30の間の圧力差により、液体がチャネル14を通って第二容器30から第一容器20へ移送される。この間、周囲空気がフィルタ22を介して第二容器へと吸い込まれる。
【0092】
第一内容物と第二内容物が適切に混合されたことが確認されると、ピストン41を引き戻し、それにより混合された材料がチャネル15を通って第一容器20からシリンジ40へ移送される。
【0093】
図6は、本発明による移送システム100の第六の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図6の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0094】
図6の移送システムは、図1の移送システム100と非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図6の移送システムでは、最初にピストン41を引き戻すことによりフィルタ22を介して周囲空気がシリンジ40内に吸い込まれる。それにより、確実に空気がシリンジ40内に入るので、移送システム100が汚染されない。続いて空気が上述したように第二容器30内に押し込まれるとき、チェック弁25が、空気がフィルタ22を通って移送システム100から出ないことを確実とする。
【0095】
図7は、本発明による移送システム100の第七の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図7の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0096】
図7の移送システム100は、図1および6の移送システム100に非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図7では、フィルタ22が第三チャネル16に配されている。したがって、既にシリンジ40内に吸い込まれている周囲空気が、第二容器30に入る前にろ過され、よって汚染のリスクが低減される。
【0097】
図8は、本発明による移送システム100の第八の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図8の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0098】
図8の移送システム100は、図6の移送システム100に非常に類似しており、ほぼ同様に操作される。しかしながら、図8の移送システム100では、第二の流れ制御部材18が、第二チャネル15または第三チャネル16のいずれかの一部を形成しうる種類のものである。したがって、第二流れ制御部材18が第一容器20からシリンジ40への流体の流れを可能とするように操作されるとき、シリンジ40と第二容器30の間、およびシリンジ40とフィルタ22の間の流体連通は自動的に遮断される。それにより、混合された材料の第一容器20からシリンジ40への移送中、ピストン41を引き戻すときに、周囲空気がフィルタ22を介してシリンジ40へ吸い込まれることが防止される。
【0099】
図9は、本発明による移送システム100の第九の実施態様の概略図である。ここまでの図を参照して既に説明した部分と同様の、図9の移送システム100の部分は、ここではさらに詳述しない。
【0100】
図9の移送システム100は、以下のように操作されうる。第一容器20の内容物と第二容器30の内容物の混合が望ましいとき、移送システム100が図9に示した位置にある、つまり容器20,30が上方を向いていることをまず確実とする。次いで、シリンジ40のピストン41を引き戻し、それにより弁24を開き、液体がチャネル14,15および第一容器20を通って第二容器30からシリンジ40へ吸い込まれる。この間、周囲空気がフィルタ22を介して第二容器30に入り、それによりシステム内の減圧が防止される。移送システム100が上述した位置にあるため、第一容器20の内容物が第一容器20の底に留まり、液体が第一容器20の内容物と接触することはない。
【0101】
液体がシリンジ40内に留まっているとき、容器20,30が下方を向くように移送システム100を回転する。その後ピストン42を押し込み、それにより、液体がシリンジ40から第一容器20へ移送され、よって液体が第一容器20の内容物と混合される。この間、弁24は閉じており、よって液体が第二容器30に入ることを防ぐ。空気が弁31を介して第一容器20から出て、それにより、システム内の圧力上昇が防止される。
【0102】
内容物が適切に混合されると、移送システム100を図9に示した方向に再度回転させ、ピストン41を再度引き戻し、それにより、混合された材料をシリンジ40内に吸い込む。周囲空気がフィルタ22を介してシステム内に吸い込まれ、それにより、システム内の減圧が防止される。
【0103】
図12は、本発明による薬剤混合キット200の斜視図である。薬剤混合キット200は、容器ユニット26および移送ユニット100を備え、該容器ユニット26および移送ユニット100は、連結されて薬剤混合キット200を形成する。
【0104】
容器ユニット26は、乾燥薬剤の形状の第一内容物の入った第一容器20と、希釈剤の形状の第二内容物の入った第二容器30とを備える。容器20,30は容器ユニット26内に固定され、それにより、第一内容物および第二内容物の、例えば量および種類の点での適合が確実となる。容器20,30のそれぞれが、取り外し可能なキャップ27を備える。
【0105】
移送ユニット100は、第一容器20を受ける第一ポート11、第二容器30を受ける第二ポート12、およびシリンジ(図示せず)に連結される第三ポート13を備える。移送ユニット100はさらに、移送ユニット100と容器ユニット26が連結されたときに、第二内容物が第二容器30から第一容器20へ移動して第一内容物と第二内容物が混合できるような形で、および混合された材料が続いて第三ポート13に連結されたシリンジに移動できるような形でポート11,12,13を繋げる複数の流れチャネル(不可視)を備える。
【0106】
第一内容物と第二内容物の混合が望ましいとき、キャップ27を取り外し、第一容器20が第一ポート11に受けられ、第二容器30が第二ポート12に受けられるような形で移送ユニット100が容器ユニット26の上に載せる。容器ユニット26は、容器ユニット26上に非対称的に設けられた壁部28を備える。移送ユニット100は、壁部28を収容する対応する溝29を備える。それにより、第一ポート11が第二容器30に、第二ポート12が第一容器20に連結されるような形で容器ユニット26と移送ユニット100を連結できないことが確実となる。したがって、組立済み薬剤混合キット200内の正確な流体の流れが確実となる。
【0107】
図13は、組立済み状態の図12の薬剤混合キット200の斜視図である。
【0108】
上述の例示的実施態様において、単に記載した機能性を移送システムの様々な構成要素に付与する手段として、様々な構成要素間の望ましい関係を提供する様々な構造体を、本発明の概念が技能のある読者には明確である程度に説明した。様々な構造体についての詳細な構造および仕様は、本明細書に示した方法に沿って当業者が実施する通常の設計手順の対象であると考えられる。
【0109】
ここで引用した公報、特許出願、および特許を含む全ての参照物は、参照によりその全体が、各参照物が個別且つ明確に参照により組み込まれるべきことを示され且つその全体が本明細書において説明された場合と同程度に(法的に認められる最大範囲まで)、本明細書に組み込まれる。
【0110】
全ての見出しおよび小見出しは、本明細書において単に便宜上使用されているものであり、発明を何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【0111】
本明細書に記載のいずれかまたは全ての実施例、または例示的な言葉(例えば「例えば」)は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、請求項においてそうでない旨の記載がない限り本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の言葉はいずれも、請求されていない要素が本発明の実施に必須であると示すものではないと解釈されるべきである。
【0112】
本明細書における特許文献の引用および組み込みは、単に便宜上行われるものであり、こういった特許文献の有効性、特許性、および/または実施可能性を示すものではない。
【0113】
本発明は、適用法によって許容される範囲で、本明細書に添付の請求項に記載した主題の全ての改変および均等物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ハウジング(10);
−第一内容物の入った第一容器(20)を受けるように構成された、前記ハウジング内の第一ポート(11);
−材料を形成するために第一内容物と混合される第二内容物の入った第二容器(30)を受けるように構成された、前記ハウジング(10)内の第二ポート(12);
−シリンジ(40)に連結されて、第二ポート(12)と流体連通する第三ポート(13);
−第二内容物を第二容器(30)から第一容器(20)に移動させることができる第一チャネル(14);
を備えた移送システム(100,100’,100’’)であって、さらに:
−第一容器(20)の内容物を第三ポート(13)に移動させることができる第二チャネル(15);
−シリンジ(40)が第三ポート(13)に連結されたとき、該シリンジ(40)と第二ポート(12)の間で流体が一方向へ流れることを可能とする、第三ポート(13)と第二ポート(12)の間に配された第一流れ制御部材(17);および
−第一ポート(11)から第三ポート(13)に連結されたシリンジ(40)へ、前記第二チャネル(15)を介して流体が選択的に流れることを可能とし、それにより、第一容器(20)の第一内容物と第二容器(30)の第二内容物とを混合して形成された材料がシリンジ(40)に流入することを可能とする、第二流れ制御部材(18);
を備えることを特徴とする、移送システム(100,100’,100’’)。
【請求項2】
前記第二流れ制御部材(18)を通る選択的な流体の流れが、第三ポート(13)の流体圧力が所定の陰圧を越えたときに可能となることを特徴とする、請求項1に記載の移送システム。
【請求項3】
前記第一流れ制御部材(17)を通る選択的な流体の流れが、第三ポート(13)の流体圧力が所定の流体圧力を越えたときに可能となることを特徴とする、請求項1または2に記載の移送システム。
【請求項4】
前記第一流れ制御部材(17)を通る流体の流れが、第二流れ制御部材(18)を通る流体の流れが可能となったときに止まることを特徴とする、請求項1または2に記載の移送システム。
【請求項5】
第一ポート(11)および/または第二ポート(12)が、穿孔可能な膜を有するバイアルに取り外し可能に連結し、それにより、バイアルが第一(11)および/または第二ポート(12)に連結されたとき流体がバイアルとの間を流れることができることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項6】
第一流れ制御部材(17)が、シリンジ(40)から第二容器(30)へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材(17)によって可能となった流体の流れが、第二容器(30)内の圧力上昇を引き起こすことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項7】
第一流れ制御部材(17)が、第二容器(30)からシリンジ(40)へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材(17)によって可能となった流体の流れが、第二容器(30)からシリンジ(40)への第二内容物の移動を引き起こすことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項8】
第一容器(20)内の圧力と第二容器(30)内の圧力の圧力差により、第二内容物が、第一チャネル(14)を介して第二容器(30)から第一容器(20)へ移動することが可能となることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項9】
薬剤を形成するための方法であって:
移送システム(100)を提供すること;
第一内容物の入った第一容器(20)と、第二内容物の入った第二容器(30)を提供すること;
移送システム(100)の第一ポート(11)に第一容器を、および移送システム(100)の第二ポート(12)に第二容器を挿入すること;
第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を形成し、該圧力差により、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動し、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とすること;および
第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)から、移送システム(100)の第三ポート(13)に連結されたシリンジ(40)へ移動させること;
を含む方法。
【請求項10】
圧力差を生じさせる段階が:
シリンジ(40)内の所定の空気量を測量し、シリンジを第三ポート(13)に連結すること;および
シリンジ(40)内に含まれる空気の少なくとも一部を放出し、放出された空気を移動させて第二容器(30)に入れ、それにより第二容器(30)内の圧力を上昇させること;
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
圧力差を生じさせる段階が、第一容器(20)内の圧力を低減することを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
さらに:
−第二流れ制御部材(18)の動作を停止させ、それにより第二流れ制御部材(18)を通る流体の流れを遮断する段階;
−第一ポート(11)から第一容器(20)を取り外し、第二ポート(12)から第二容器(30)を取り外す段階;
−第一内容物の入った新規の第一容器(20)と、第二内容物の入った新規の第二容器(30)を提供する段階;
−第一ポート(11)に新規の第一容器(20)を、および第二ポート(12)に新規の第二容器(30)を挿入する段階;
−第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を生じさせる段階であって、該圧力差によって、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動して、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とする段階;および
−第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)からシリンジ(40)へ移動させる段階;
を含む、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらに:
−第三ポート(13)からシリンジ(40)を分離する段階;
−新規の移送システム(100’,100’’)を提供する段階;
−第一内容物の入った第一容器(20)、第二内容物の入った第二容器(30)、およびシリンジ(40)を提供する段階;
−移送システム(100’,100’’)の第一ポート(11)に第一容器を、および移送システム(100’,100’’)の第二ポート(12)に第二容器を挿入する段階;
−移送システム(100’,100’’)の第三ポート(13)にシリンジを連結する段階;
−第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を生じさせる段階であって、該圧力差により、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動し、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とする段階;および
−第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)からシリンジ(40)へ移動させる段階;
を含む、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
−第一内容物の入った第一容器と、第一内容物と混合されて材料を形成する第二内容物の入った第二容器とを備えた容器ユニット;および
−容器ユニットの第一および第二容器を受ける第一および第二ポート、およびシリンジに連結するための第三ポートを備えた移送ユニットであって、さらに複数の流れチャネルを備え、該流れチャネルの少なくともいくつかが第一ポート、第二ポートおよび第三ポートの2つを対相互連結する、移送ユニット;
を含む薬剤混合キットであって、容器ユニットおよび移送ユニットが連結されて薬剤混合キットを形成する、薬剤混合キット。
【請求項15】
容器ユニットおよび移送ユニットが、それぞれ所定の相互位置に配置されているときにのみ連結できるような形状を有する、請求項14に記載の薬剤混合キット。
【請求項1】
−ハウジング(10);
−第一内容物の入った第一容器(20)を受けるように構成された、前記ハウジング内の第一ポート(11);
−材料を形成するために第一内容物と混合される第二内容物の入った第二容器(30)を受けるように構成された、前記ハウジング(10)内の第二ポート(12);
−シリンジ(40)に連結されて、第二ポート(12)と流体連通する第三ポート(13);
−第二内容物を第二容器(30)から第一容器(20)に移動させることができる第一チャネル(14);
を備えた移送システム(100,100’,100’’)であって、さらに:
−第一容器(20)の内容物を第三ポート(13)に移動させることができる第二チャネル(15);
−シリンジ(40)が第三ポート(13)に連結されたとき、該シリンジ(40)と第二ポート(12)の間で流体が一方向へ流れることを可能とする、第三ポート(13)と第二ポート(12)の間に配された第一流れ制御部材(17);および
−第一ポート(11)から第三ポート(13)に連結されたシリンジ(40)へ、前記第二チャネル(15)を介して流体が選択的に流れることを可能とし、それにより、第一容器(20)の第一内容物と第二容器(30)の第二内容物とを混合して形成された材料がシリンジ(40)に流入することを可能とする、第二流れ制御部材(18);
を備えることを特徴とする、移送システム(100,100’,100’’)。
【請求項2】
前記第二流れ制御部材(18)を通る選択的な流体の流れが、第三ポート(13)の流体圧力が所定の陰圧を越えたときに可能となることを特徴とする、請求項1に記載の移送システム。
【請求項3】
前記第一流れ制御部材(17)を通る選択的な流体の流れが、第三ポート(13)の流体圧力が所定の流体圧力を越えたときに可能となることを特徴とする、請求項1または2に記載の移送システム。
【請求項4】
前記第一流れ制御部材(17)を通る流体の流れが、第二流れ制御部材(18)を通る流体の流れが可能となったときに止まることを特徴とする、請求項1または2に記載の移送システム。
【請求項5】
第一ポート(11)および/または第二ポート(12)が、穿孔可能な膜を有するバイアルに取り外し可能に連結し、それにより、バイアルが第一(11)および/または第二ポート(12)に連結されたとき流体がバイアルとの間を流れることができることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項6】
第一流れ制御部材(17)が、シリンジ(40)から第二容器(30)へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材(17)によって可能となった流体の流れが、第二容器(30)内の圧力上昇を引き起こすことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項7】
第一流れ制御部材(17)が、第二容器(30)からシリンジ(40)へ流体が流れることを可能とし、第一流れ制御部材(17)によって可能となった流体の流れが、第二容器(30)からシリンジ(40)への第二内容物の移動を引き起こすことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項8】
第一容器(20)内の圧力と第二容器(30)内の圧力の圧力差により、第二内容物が、第一チャネル(14)を介して第二容器(30)から第一容器(20)へ移動することが可能となることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項9】
薬剤を形成するための方法であって:
移送システム(100)を提供すること;
第一内容物の入った第一容器(20)と、第二内容物の入った第二容器(30)を提供すること;
移送システム(100)の第一ポート(11)に第一容器を、および移送システム(100)の第二ポート(12)に第二容器を挿入すること;
第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を形成し、該圧力差により、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動し、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とすること;および
第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)から、移送システム(100)の第三ポート(13)に連結されたシリンジ(40)へ移動させること;
を含む方法。
【請求項10】
圧力差を生じさせる段階が:
シリンジ(40)内の所定の空気量を測量し、シリンジを第三ポート(13)に連結すること;および
シリンジ(40)内に含まれる空気の少なくとも一部を放出し、放出された空気を移動させて第二容器(30)に入れ、それにより第二容器(30)内の圧力を上昇させること;
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
圧力差を生じさせる段階が、第一容器(20)内の圧力を低減することを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
さらに:
−第二流れ制御部材(18)の動作を停止させ、それにより第二流れ制御部材(18)を通る流体の流れを遮断する段階;
−第一ポート(11)から第一容器(20)を取り外し、第二ポート(12)から第二容器(30)を取り外す段階;
−第一内容物の入った新規の第一容器(20)と、第二内容物の入った新規の第二容器(30)を提供する段階;
−第一ポート(11)に新規の第一容器(20)を、および第二ポート(12)に新規の第二容器(30)を挿入する段階;
−第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を生じさせる段階であって、該圧力差によって、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動して、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とする段階;および
−第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)からシリンジ(40)へ移動させる段階;
を含む、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらに:
−第三ポート(13)からシリンジ(40)を分離する段階;
−新規の移送システム(100’,100’’)を提供する段階;
−第一内容物の入った第一容器(20)、第二内容物の入った第二容器(30)、およびシリンジ(40)を提供する段階;
−移送システム(100’,100’’)の第一ポート(11)に第一容器を、および移送システム(100’,100’’)の第二ポート(12)に第二容器を挿入する段階;
−移送システム(100’,100’’)の第三ポート(13)にシリンジを連結する段階;
−第一容器(20)の圧力と第二容器(30)の圧力の間に圧力差を生じさせる段階であって、該圧力差により、第二内容物の少なくとも一部が、第一チャネル(14)を通って第二容器(30)から第一容器(20)へ移動し、第一容器(20)内で溶液を形成することを可能とする段階;および
−第二流れ制御部材(18)を作動させることによって、形成された溶液を、第一容器(20)からシリンジ(40)へ移動させる段階;
を含む、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
−第一内容物の入った第一容器と、第一内容物と混合されて材料を形成する第二内容物の入った第二容器とを備えた容器ユニット;および
−容器ユニットの第一および第二容器を受ける第一および第二ポート、およびシリンジに連結するための第三ポートを備えた移送ユニットであって、さらに複数の流れチャネルを備え、該流れチャネルの少なくともいくつかが第一ポート、第二ポートおよび第三ポートの2つを対相互連結する、移送ユニット;
を含む薬剤混合キットであって、容器ユニットおよび移送ユニットが連結されて薬剤混合キットを形成する、薬剤混合キット。
【請求項15】
容器ユニットおよび移送ユニットが、それぞれ所定の相互位置に配置されているときにのみ連結できるような形状を有する、請求項14に記載の薬剤混合キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−228522(P2012−228522A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−138823(P2012−138823)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2009−507046(P2009−507046)の分割
【原出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138823(P2012−138823)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2009−507046(P2009−507046)の分割
【原出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】
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