凍結工法
【課題】冷媒が保有する冷熱を凍結するべき箇所に対して、無駄なく、満遍なく伝達することが出来る様な凍結工法の提供。
【解決手段】凍結するべき領域(G)にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過する凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路を流れるブラインを撹乱せしめる。
【解決手段】凍結するべき領域(G)にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過する凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路を流れるブラインを撹乱せしめる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凍結工法に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結工法には、二重管を用いる工法(図20参照)と、貼り付け凍結管(単管)を用いる工法(図21参照)とが存在する。
【0003】
図20の二重管を用いる工法(二重管方式)は、外管11Wと外管11Wの内部に挿入された内管12Wとで構成されている。内管12Wの地上側の端部から注入されたブライン(冷媒)は、内管12Wの底部Bで折り返し、外管11Wと内管12Wの間における環状の領域を流れて、地上側に戻る。その際、ブラインが保有する冷熱を、外管11Wを介して周囲の土壌に投与することによって、当該周囲の土壌を凍結させるのである。
なお、外管11Wの地上側の端部(図20では上方端部)は、排出接続管13Wを取り付けたプラグPで閉塞されている。
【0004】
図21の貼り付け凍結管を用いる工法(単管方式)では、凍結管10Mが用いられる。
凍結管10Mは、例えば、気密で且つ細長い直方体形状の箱状体1Mで構成され、両端部に流入接続管1aと排出接続管1bとを取り付けており、流入接続管1aと排出接続管1bとは同一面に設けられ且つ箱状体1Mの長手方向と直交する方向に突出している。
【0005】
この凍結管10Mを凍結させたい領域に貼り付ける様に設置して、凍結管10M内にブラインを流過させることで、当該施工箇所(凍結管10Mを貼り付けた領域)を凍結させるのである。
なお、図21において、符号Z15−1で示すのは凍結管10Mの側面であり、符号Z15−2で示すのは同正面であり、符号Z15−3は同底面を示している。
【0006】
ここで従来の凍結工法では凍結管内を流過するブライン(冷媒)の流速が比較的遅く、凍結管内内では層流として流れてしまうので、ブラインの凍結管半径方向位置が変化しない。そのため、凍結管の内壁に接触するブラインと接触しないブラインとが存在し、凍結管の内壁に接触しないブラインは、その保有する冷熱が凍結管の管壁を介して周囲の土壌に伝達されない、という問題がある。
すなわち、ブラインの流路断面において、土壌側を流れるブラインのみが冷熱を土壌に供給し、流路中心側を流れるブライン(図20を例にとれば、内管12Wに近い側を流れるブライン)は保有する冷熱を土壌に供給できないのである。そして、流路の半径方向中央を流れるブラインは、冷熱を土壌側に投入することなく、地上側に戻ってしまうので、その保有する冷熱は凍結に有効利用出来ない。
【0007】
その他の従来技術として、例えば、凍結しようとする土壌に当接される当接部を有し、当該当接部に冷媒を循環せしめて凍結を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る技術は、湧水が生じた際に湧水箇所を凍結して対処するための技術であり、上述したような問題を解消するものではない。
【特許文献1】特開2005−16225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、冷媒(ブライン)が保有する冷熱を、凍結するべき領域に対して、効率的に満遍なく伝達することが出来る様な凍結工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の凍結工法は、凍結するべき領域(G)(二重管方式の場合)或いはその近傍(単管方式の場合)にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路を流れるブラインを撹乱せしめることを特徴としている(請求項1)。
【0010】
前記ブラインの流路、特に地上側に向って流れるブラインの流路には、流れの撹乱手段(2、2A、3、4、5、5A、3A、JM、12WJ)が設けられているのが好ましい(請求項2)。
【0011】
ここで、前記流れの撹乱手段(2、2A、4、5、5A)は絞り機構で構成されているのが好ましい。
或いは、前記流れの撹乱手段(3、3A)はブラインの流路中に配置された螺旋状部材であるのが好ましい。
また、ブラインの流路を形成する部材(単管或いは二重管)のブラインと接触する管壁には、ブラインの流れを撹乱させるための凹凸が形成されているのが好ましい。
【0012】
さらに、前記流れの撹乱手段としては、障害物(板状のじゃま板JM・・・)で構成することが可能である。
ここで、ブラインの流路を形成する部材を二重管で構成する場合には、当該障害物(板状のじゃま板JM・・・)を内管(12W)に設けても、外管(11W)に設けても、或いは、内管及び外管の双方に設けても良い。
これに加えて、凍結管内部に長手方向に延在する湾曲部材(3A)を配置したり、或いは、二重管の内管(12WJ)自体を湾曲させることにより、ブラインの流れを撹乱する事が出来る。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明の凍結工法によれば、凍結するべき領域(G)或いはその近傍にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路(凍結管内)を流れるブラインが流れの撹乱手段(例えば、絞り機構や、らせん状部材、板状のじゃま板、湾曲した部材)によって撹乱した状態で流過するように施工されている。
ブラインが流路(凍結管内)を撹乱した状態で流過するので、流路におけるブラインの半径方向位置が常に変化し、ブラインは凍結するべき領域側と万遍無く接触して、保有する冷熱を凍結するべき土壌へ供給することが出来る。そして、冷熱を保有したまま地上側に戻されるブラインが激減する。
その結果、従来工法に比して当該凍結施工箇所の凍結率(凍結する領域の大きさ)が格段に向上する。
【0014】
それに加えて、撹乱せしめるための手段、例えば絞り機構(2、2A、4、5、5A)や、螺旋状部材(3、3A)や、じゃま板(JM・・・)、湾曲した部材(3A、12WJ)は、構造が極めて簡単で且つ凍結管内への設置も容易なため、少ない設備投資で大きな効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ここで、図示の実施形態では、凍結管の内部に流れの撹乱手段を設け、凍結管を流過するブライン(冷媒)に撹乱を起こさせる様に構成されている。
【0016】
先ず、図1、図2(図1の変形例)を参照して、第1実施形態を実施する装置について説明する。
尚、工法を含めた総体的な実施形態(第3実施形態)についての説明は、図7〜図9を参照して後述する。
【0017】
図1、図2で示す装置(第1実施形態に係る装置)は、凍結管は単管方式で、その内部に設ける流れの撹乱手段として絞り機構を用いている。
図1において、全体を符号10で示す装置では、凍結管として単管1Sが使用される。その単管1Sの内部には、単管内壁11に嵌合するように、中央に貫通孔21が穿孔された複数の円柱部材(絞り部材)2が設置されている。
【0018】
絞り部材2の軸方向(図1では上下方向)の長さL2は、図1の例では単管1Sの内径Dと同一に設定されている(L2=D)。又、絞り部材2における貫通孔21の径dは、図示の例では単管1Sの内径の1/4に等しくなる様に設定されている(d=D/4)。
【0019】
ここで、単管1Sの内径Dと、隣接する絞り部材2、2の対向する端面間の軸方向距離Lとの最適の比率(L2/D)は、1/5である。そして、図1における設定値(L2=D、d=D/4)は、 L2/D=1/5 の場合における数値である。
【0020】
上述したような形状、寸法の絞り部材2を上述した態様で凍結管1S内に設置した場合、凍結管1S内に冷却材であるブラインを流すと(ブラインの流れを符号Fで示す)と、絞り部材2を通過したブラインの流れFは、絞り部材2の貫通孔21の出口において剥離し、その剥離をきっかけに(絞り部材2の貫通孔21の)出口以降では撹乱した流れFrとなる。
撹乱した流れFrが形成されることにより、単管1S内を流過する多くのブラインが管壁と接触することとなり、ブラインの保有する冷熱が、単管1Sを介して、効率良く施工領域の土壌に投与されるのである。
【0021】
次に、図2を参照して、第1実施形態の変形例に係る装置を説明する。
図2において全体を符号10Aで示す装置は、図1と同様に、単管方式の凍結管1Sを備えている。ここで、図1の変形例では絞り部材2の貫通孔21が同一内径の円筒状に(ストレートな円筒形)に構成されていたのに対し、図2の変形例では、絞り部材2Aにおける貫通孔21は、流入側の径が大きく出口側の径が小さいテーパー状に形成されている。なお、図2においては、貫通孔21の拡径した部分には、符号Yが付されている。
【0022】
図2の変形例においては、絞り部材2Aの流入側をテーパー状(Y)に拡径することによって、貫通孔21の断面積が軸線方向位置により異なることとなり、ブライン(冷媒)の流速も相違する。その結果、貫通孔21の出口における剥離が生じ易くなり、ブラインの流れの撹乱がより効率的に行われる。
【0023】
図2の絞り部材2Aにおける軸方向長さL2は、図1の絞り部材2と同様、凍結管1Sの内径Dと同じである(L2=D)。
又、図2の貫通孔21におけるテーパー状の拡径部Yの勾配δは、30°とした場合に、凍結効率が最大となることが、発明者の実験により確認されている。
【0024】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る装置を説明する。
図3の(第2実施形態に係る)装置10Bは、凍結管1Sの内部に螺旋状部材3を挿入して構成されている。
【0025】
螺旋状部材3を凍結管1S内に挿入することにより、凍結管1S内を流過するブラインは撹乱された状態となり、ブラインの流れの全ての部分が凍結管1Sの内壁に接触可能となり、ブラインの保有する冷熱が凍結管の内壁に効率良く伝達されるのである。
ここで、図1では、1条の螺旋状に構成された螺旋状部材3は1本の曲線によって表現されているが、実験或いは実施に際しては、所定の幅を有する材料、例えば金属製或いは樹脂製の薄板等を、1条の螺旋として形成したものが、螺旋状部材3として用いられる。
【0026】
次に、図4を参照して、第3実施形態に係る装置を説明する。
図4の装置(第3実施形態に係る装置)は、凍結管は二重管方式で構成されており、二重管方式で構成された凍結管の内部に、流れの撹乱手段として絞り機構を設けている。
【0027】
図4において、第3実施形態の装置全体は、符号10Cで示されている。装置10Cに使用される凍結管である二重管1Wは、半径方向寸法が大きい外管11Wと、半径方向寸法が小さい内管12Wとで構成されている。
【0028】
図4では、図示の簡略化のため、外管11Wの地中側(図4では下側)における端部が開放して示されているが、実際には閉塞されている(図5でも同様)。
内管12Wは外管11W内に挿入され、地中側の端部が開放され、その開放された端部は、外管11W(図4では下側)の底部とは所定の隙間λを形成するように配置されている。換言すれば、図示しない外管11Wの底部は、内管12Wにおける地中側(図4では下側)の端部から、寸法λだけ地中側(図4では下側)の位置に存在する。
【0029】
内管12Wの外周には、絞り部材である円筒状部材4が複数個所に設けられており、各円筒状部材4は、その内周が内管12Wの外周部に密着するように取り付けられている。
【0030】
図4の例では、円筒状部材4を円柱と看做した場合の断面積(換言すれば、円筒状部材4と同一の外周部である円柱の断面積)が、外管11Wの断面積(管内径の断面積)の3/4の大きさに形成されている。
換言すれば、円筒状部材4の外周と外管11Wの内周との間における環状の隙間(流路)の断面積は、外管11Wの断面積(管内径の断面積)の1/4となる様に形成されている。
【0031】
円筒状部材4の軸方向の長さL4は、図4の例では、外管11Wの内径Dの2倍に形成されている(L4=2D)。なお図4の例では、内管12Wの外径dは、外管11Wの内径Dに対して、0.38倍(=10.5/27.6)となっている。
また、図4において、隣り合う円筒状部材4、4の対向する端面間の距離Lと、円筒状部材4の軸方向の長さL4との比率(L4/L)は、2/3である。
発明者の実験によれば、図4においては、上述してきた面積比及び寸法比率に設定した場合が、最も良い凍結結果を示した。
【0032】
上述したような構成の装置10C(第3実施形態に係る装置)において、内管12Wを流れるブラインが、外管11Wの地中側端部(図4の下端部)で折り返すように流れる(図4における矢印F参照)。
外管11Wの地中側端部(図4の下端部)で折り返したブラインは、円筒状部材4の外周と二重管1Wの外管11Wの内周とで形成される環状の狭い流路(流れの撹乱手段)で絞られる結果、円筒状部材4の端部(図4の上方端部)において剥離を生じ、その剥離をきっかけに当該端部(円筒状部材4の上方端部)より下流側の領域(図4では情報の領域)では、ブラインの流れは撹乱した流れFrとなる。
【0033】
そのようにして発生した撹乱した流れFrも、長さL(隣り合う円筒状部材4、4の対向する端面間の距離)だけ流れる間に次第に収まる。しかし、円筒状部材4を再度通過することで、ブラインの流れは撹乱された状態が維持され、場合によっては乱流状態となる。
ブラインの流れが撹乱される状態が維持される結果、単位質量あたりのブラインは半径方向位置を変動しながら流れることとなり、外管11Wの内周へ均等に接触するので、ブラインが保有する冷熱が、万遍無く外管11Wを介して半径方向外方へ伝達されることとなる。
【0034】
次に、図5を参照して、第3実施形態の変形例に係る装置について説明する。
図5の装置10Dは、図4と同様に凍結管1Wが二重管方式である。
図5において、凍結管1Wの外管11Wと内管12Wの間の領域には、数箇所において、図2(第1実施意形態の変形例で用いられる装置)と類似した構成を有し且つ中央に貫通孔51を有する絞り部材5を配置している。そして、貫通孔51内周と内管12Wの外周とで形成される環状の流路によって、絞り部が形成されている。
【0035】
図5の装置において、絞り部材5の流入側には、テーパー状の拡径部Yが形成されている。係る拡径部Yを設けることにより、貫通孔51の断面積が軸線方向位置(図5の上下方向位置)により異なるので、貫通孔51におけるブラインの流速も相違する。その結果、貫通孔51の出口における剥離が生じ易くなり、ブラインの流れの撹乱がより効率的に行われる。
【0036】
図5で示す絞り部材5の軸方向の長さL5は、外管11Wの内径Dと同じである(L5=D)。
テーパー状の拡径部Yの勾配δは、図5の例では30°である。
又、隣り合う円筒状部材5、5の対向する端面間の距離Lは、絞り部材5の軸方向の長さL5に対して、5倍の長さとなっている(L/L5=5)。
係る寸法や比率に設定された場合が、後述する実験では、最も良い凍結結果を得ている。
【0037】
次に、図6を参照して、第4実施形態に係る装置(10E)を説明する。
図6で示す装置(第4実施形態に係る装置)では、二重管1Wにおける外管11Wと内管12Wの間の領域に、管長手方向(図6の上下方向)に延在させて螺旋状部材3Aを挿入している。
ここで、螺旋状部材3Aは内管12Wに固着させても良いし、外管11Wの内周に固着させても良いし、或いは、外管11Wの内周及び内管12Wの外周の何れとも接触しない状態で配置しても良い。
【0038】
図6の装置10E(第4実施形態に係る装置)、図3の装置10B(第2実施形態に係る装置)と実質的に同じ作用効果が得られる。
すなわち、螺旋状部材3を二重管1W内に挿入することにより、凍結管1W内を流過するブラインは撹乱されて(場合によっては乱流状態となって)、ブラインの流れの全てが外管11Wの内周に接触可能となり、ブラインの保有する冷熱が凍結管の内壁に効率良く伝達される。
【0039】
次に、図7〜図9を参照して、図4の第3実施形態に係る装置10Cを用いて行われる施工について説明する。
換言すれば、図7〜図9を参照する以下の説明は、第3実施形態を用いた施工全般の説明である。
【0040】
図7の工程において、ボーリングマシーン6を用いて凍結工法を施工するべき領域の地盤Gに、ボーリング孔(凍結用孔)7を穿孔する。
次の図8の工程では、図4で示す装置10Cを、削孔したボーリング孔7に挿入する。
前述したように、装置10Cは、外管11Wと内管12Wと内管12Wに取り付けられた円筒状の絞り部材4とで構成されている。
尚、ボーリング孔7の径は、装置10Cの二重管1Wの外管11Wと概略同じ寸法に削孔されている。
【0041】
次の図9の工程では、地上側から、内管12Wに冷媒であるブラインを注入する(矢印F1)。内管12Wに注入(矢印F1)されたブラインは、二重管1Wの底部まで下がり(矢印F2)、底部で折り返されて隙間λから外管11Wと内管12Wの間の領域に入り(矢印F3)、外管11Wと内管12Wの間の領域を地上側(図9では上方)に向かって流れる(矢印F4)。
【0042】
ブラインが地上側(図9では上方)向かって流れる(矢印F4)際に、絞り部材4の外周と外管11Wの内周の間における環状の領域(図4参照)を通過するときに、流路の断面積が減少するためブラインの流速が増加(増速)する。そして、流速が増速する結果として、絞り部材4の地上側端面(図9では上端面)の位置で急激に流路面積が増大することにより剥離を起こし、その剥離が起因となって、ブラインの流れは撹乱された流れFrとなる。
【0043】
ブラインの流れが撹乱される結果、ブラインの流れにおける全ての単位質量のブラインは、二重管1Wの外管11Wの内周面と確実に接触し、ブラインの保有する冷熱を外管11Wの内周面に効率良く与えることが出来る。
ここで、二重管1Wは熱伝導率の良い金属が使用されており、外管11Wの内周面に効率良く与えられた冷熱は、土壌Gに確実に伝達し(矢印Fh)し、二重管1の周囲の土壌を短時間の内に凍結させる。
【0044】
発明者は、単管方式の実施形態(図1、図2の実施形態)及び二重管方式の実施形態(図4、図5の実施形態)について、凍結効果を実験によって測定している。
以下、単管方式及び二重管方式の各々について、実験装置及び上述した各実施形態の実験結果を説明する。
【0045】
先ず、単管方式の実験装置及び実験結果について、図10及び図11を参照して説明する。
単管方式では、図10において、概ね立方体状の被測定土壌である模擬土槽Gxの中央を、単管式凍結管1Sが貫通するように配置する。
凍結管1Sの下端側は、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt1を横に倒すようにして接続する。T字状継ぎ手Jt1の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph2が接続されている。そのストレート管Ph2の他端側には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp1を取り付ける。
【0046】
凍結管1Sの下端側における前記T字状継ぎ手Jt1の下向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して別のT字状継ぎ手Jt2が倒立するように接続されている。倒立するように接続したT字状継ぎ手Jt2において、水平方向の一方(図10では左方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介してストレート管Ph1が接続されている。一方、当該T字状継ぎ手Jt2の他方(図10では右方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、実験装置に流入する冷媒(ブライン)の温度を計測するための熱電対Sfが取り付けられている。
【0047】
前記凍結管1Sの上端側には、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt3が、横に倒すようにして接続されている。T字状継ぎ手Jt3の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph3が接続されている。そのストレート管Ph3の他端側(図10では右側)には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp2が取り付けられている。
【0048】
前記凍結管1Sの上端側におけるT字状継ぎ手Jt3の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、別のT字状継ぎ手Jt4が接続されており、T字状継ぎ手Jt4の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph4が接続されている。
T字状継ぎ手Jt4の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、熱電対Srが取り付けられており、該熱電対Srは、実験装置から排出する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
【0049】
図10の実験装置では、ブラインは、図示しないブライン供給源からストレート管Ph1から注入されて、ストレート管Ph4を介して、図示しないブライン受け入れ手段へ排出され、図示しない冷却手段で排出されて、図示しないブライン供給源へ戻される。
図10において、領域Gzは冷却されて凍結した領域を示している。
【0050】
図11は、上述した実験装置を用いて、前述した第1実施形態の変形例(図2:テーパー状の入り口を持つ変形例)を用いた場合(太い実線N1)と、流れの撹乱手段を持たない従来方式の冷凍管の場合(点線N2)との、冷凍実験結果を比較して示している。
縦軸には冷凍管1Sの中心から模擬土壌Gxの凍結半径をとり、横軸にはブラインを流し始めてからの経過時間をとっている。
【0051】
図11から明らかな様に、1時間(3600秒)経過時点では、従来方式(点線N2)に対して、第1実施形態の変形例(図2)の凍結装置を用いた場合(太い実線N1)は、約1.75倍の凍結効果を得ている。
【0052】
次に、二重管方式の実験装置及び実験結果について説明する。
二重管方式では、図12において、概ね立方体状の被測定土壌である模擬土槽Gxの中央を二重管式凍結管1Wで貫通するように配置する。その凍結管1Wの上端側に、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt11を横に倒すようにして接続する。T字状継ぎ手Jt11の水平方向の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介してストレート管Ph1を接続する。そのストレート管Ph1の他端側(図12の左端側)に、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp1を取り付ける。
【0053】
前記横に倒されたT字状継ぎ手Jt11の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介してT字状継ぎ手Jt12が、横向きに倒して接続されている。T字状継ぎ手Jt12の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、更に別のT字状継ぎ手Jt13をT字状態に接続する。
T字状継ぎ手Jt13の水平方向の接続部(図12では右端側の接続部)には、ストレート継ぎ手Jsを介して熱電対Srが取り付けられており、熱電対Srは、実験装置から排出する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
更に、T字状態に接続したT字状継ぎ手Jt13の下向の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介して、ブラインを実験装置外に排出するためのパイプPL(図12ではL字状のパイプとして表現されている)を接続する。
【0054】
T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt12の上方の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt14を接続する。T字状継ぎ手Jt14の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph2が接続されている。
そのストレート管Ph2の他端側(図12の左端側)には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp2が取り付けられている。
【0055】
T字状継ぎ手Jt14の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手Jt15が接続されている。T字状継ぎ手Jt15の水平方向の一方(図12では右方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ブライン流入用のストレート管Ph3が接続されている。
T字状継ぎ手Jt15の水平方向の他方(図12では左方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して熱電対Sfを取り付けており、熱電対Sfは実験装置に注入する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
【0056】
図13は、図12の実験装置によって冷凍実験結果を行った場合に、図4の第3実施形態を用いた場合(太い実線N3)と、図5の変形例であるテーパー状の入り口を持つ場合(太い点線N4)と、流れの撹乱手段を持たない従来方式の冷凍管を用いた場合(細い実線N5)とを比較して示している。
縦軸には冷凍管1Wの中心から模擬土壌Gxの凍結半径をとり、横軸にはブラインを流し始めてからの経過時間をとっている。
【0057】
図13で示す実験結果によれば、1時間(3600秒)経過時点では、従来方式に対して、図4の第3実施形態の凍結装置は約1.4倍の凍結効果を得ている。
また、図5の(第3実施形態の)変形例の凍結装置は、約1.5倍の凍結効果を得ている。
図13から明らかな様に、流れの撹乱手段である絞り機構を設けると凍結効果は向上する。そして、絞り機構の流入側にテーパー状の拡径部を設ければ、凍結効果はさらに向上する。
【0058】
次に図14を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図14において、全体を符号10Gで示す冷凍管は単管1Sで構成されており、その内部に複数の板状のじゃま板JM・・・が配置される。そして、係るじゃま板JM・・・により、単管1S(或いはその内壁面)の内側を流れるブラインの流れ(図14では流線のみを矢印Fで示す)は撹乱されて、その条件如何によっては乱流状態となる。
【0059】
図14では、明示されていないが、じゃま板・・・を内壁面11から単管1S中央側に突出する様に設けることが可能である。或いは、図14で示すじゃま板JM・・・と、内壁面11から単管1S中央側に突出するじゃま板・・・を両方とも具備していても良い。
図14の第5実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、上述した各種実施形態と同様である。
【0060】
次に、図15を参照して、第6実施形態を説明する。
第6実施形態に係る冷凍管は全体が符号10Hで示されており、外管11Wと内管12Wとを備えた二重管方式で構成されている。
内管12Wには、半径方向外方へ突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が設けられている。
【0061】
内管12Wを流過したブラインは、内管12Wと外管11Wとの間の環状領域を流過して地上側(図15では上方)へ向って流れるが、その流れは複数のじゃま板JM・・・によって撹乱され、条件によっては乱流状態となる。
図15の第6実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0062】
図16は、図15の第6実施形態の第1変形例を示している。図16において、当該第1変形例に係る冷凍管は、全体を符号10Jで示されている。
図15の冷凍管10Hは内管12Wに複数のじゃま板JM・・・が設けられているのに対して、図16の冷凍管10Jでは、半径方向内方へ向けて突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が、外管11Wに設けられている。
その他の構成及び作用効果については、図16の第1変形例は、図15の第6実施形態と同様である。
【0063】
図17で示すのは、図15の第6実施形態の第2変形例である。
図17において、全体を符号10Kで示す冷凍管は、その内管12Wに半径方向外方へ突出する複数の板状のじゃま板JM・・・を設けていると共に、外管11Wには半径方向内方へ向けて突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が設けられている。
その他の構成及び作用効果については、図17の第2変形例は、図15の第6実施形態、図16の第1変形例と同様である。
【0064】
図18は、本発明の第7実施形態を示している。
図18において、第7実施形態に係る冷凍管は全体を符号10Lで示されており、単管1Sで構成されている。
単管1S内部には、単管1Sの長手方向に延在している湾曲したじゃま板3Aが配置されている。
【0065】
単管1S内を流過するブラインは、じゃま板3Aによってその流れ(矢印Fで示す)が撹乱され、場合によっては乱流状態となる。
図18で示す第7実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0066】
図19は、本発明の第8実施形態を示している。
図19において、第8実施形態に係る凍結管は全体を符号10Mで示されている。そして、凍結管10Mは、外管11Wと内管12WJとを有する二重管方式に構成されている。
【0067】
ここで、図19の第8実施形態においては、内管12WJは連続して湾曲した管となっている。
内管12Wを流過して、内管12WJと外管11Wとの間の領域を地上側(図19では上側)へ向って流れるブラインの流れ(矢印F)は、湾曲した内管12WJによって撹乱され、条件如何によっては乱流状態となり、排出接続管13Wから図示しないブライン用設備に送られる。
図19の第8実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、前述した実施形態と同様である。
【0068】
図22〜図25は、本発明の第9実施形態を示している。
図22において、第9実施形態に係る凍結管は全体を符号10Nで示されている。そして、凍結管10Nは、外管11Wと内管12Wとを有する二重管方式に構成されている。
【0069】
外管11Wの下端は、図4〜図9、図15〜図17、図19、図20の実施形態と同様に閉塞されており、下端部近傍には円柱状部材5Aが配置されている。
円柱状部材5Aは、図23に示すように、中心部に内管12Wの下端が挿入される内管挿入孔51が形成されている。内管挿入孔51の周囲には、等ピッチで複数(図示では4)の絞り孔52が形成されている。
ここで、図22では凍結管10Nの下端部近傍に円柱状部材5Aが配置されているが、円柱状部材5Aの位置は、図22で示す位置に限定されるものではない。例えば、凍結させたい領域の直下の位置に、円柱状部材5Aを位置させることが好ましい。
【0070】
絞り孔52は、図24に示すように、円筒状部材5Aの中心軸Lcに対して、所定の傾斜角度θで傾斜して延在している。ここで、傾斜角θが小さ過ぎると旋回流が発生しない。
一方、傾斜角θが大き過ぎると、円柱状部材5Aの長さが短くなり過ぎる(通常の長さでは、円柱状の直径内に絞り孔の出入り口が収まらない)。さらに傾斜角θが大き過ぎると、旋回流が強くなり過ぎて、ブラインの流れを阻害してしまう。
そのため、所定の傾斜角度θとしては、10°〜40°が好ましい。
【0071】
後述する第9実施形態を用いた実験では、軸方向寸法Lが100mm、絞り孔52の直径が11mm、絞り孔の傾斜角θが20°の円筒状部材5Aが用いられている。
図25は、図24のY矢視を示している。
【0072】
再び図22において、凍結管10Nを用いて凍結工法を施工するに際して、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、円筒状部材5Aの複数の絞り孔52を通過した後、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。ブラインが外管11Wと内管12Wの間に形成された環状隙間を流過する際に、螺旋状の乱流Frが発生する。
図22では凍結管10Nは鉛直方向に配置されているが、水平方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。凍結管10Nを水平方向や斜め方向に配置する場合には、円柱状部材5Aは、凍結させたい領域の上流側(ブラインが流れる方向の上流側)に配置されるのが好ましい。
図22〜図25で示す第9実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0073】
図26〜図29は、本発明の第10実施形態を示している。
図26において、第10実施形態に係る凍結管は全体を符号10Pで示されている。そして、凍結管10Pは、外管11Wと内管12Wとを有する二重管方式に構成されている。
【0074】
図27、図28で示すように、外管11Wの下端部は、図4〜図9、図15〜図17、図19、図20、図22〜図25の実施形態と同様に閉塞されている。そして下外管11Wの端部近傍には、所定の間隔Lに配置された複数段のじゃま板JMが配置されている。
ここで、図26では外管11Wの下端部近傍に複数段のじゃま板JMが配置されているが、複数段のじゃま板JMの位置は、図26で示す位置に限定されるものではない。例えば、凍結させたい領域の直下の位置に、複数段のじゃま板JMを位置させることが好ましい。
各じゃま板JMの中心部には、内管12Wの下端が挿入される内管挿入孔JMHが形成されている。じゃま板JMの内管挿入孔JMHと外縁との中間部には、逃げ孔JMhが1箇所形成されている。
図29は、図28のY矢視を示している。
【0075】
隣接するじゃま板JMの逃げ孔JMh同士は、じゃま板JMの中心点に対して、180度反対側になるように配置されている。
ここで、逃げ孔JMhの直径は小さい程、抵抗が大きくなり乱流は発生しやすいが、逃げ孔JMhの直径が小さ過ぎると、逃げ孔JMhを通過した後にブラインの流量が小さくなり、凍結工法に必要な冷凍能力が得られなく恐れが存在する。それに加えて、逃げ孔JMhの直径が小さ過ぎると、ブラインの流れに生じる乱れがブラインの流路全般に伝播しなくなってしまう。
【0076】
後述する第10実施形態を用いた流れの試験においては、じゃま板JMの総数が3枚、隣接するじゃま板JMの所定間隔Lが50mm、逃げ孔JMhの直径が30mmのものが用いられている。
【0077】
再び図26において、凍結管10Pを用いて凍結工法を施工するに際して、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、各じゃま板JMの逃げ孔JMhを通過して、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。複数段のじゃま板JMを通過して環状隙間を流過する際に乱流Frが生じる。
図26では凍結管10Pは鉛直方向に配置されているが、水平方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。凍結管10Pを水平方向や斜め方向に配置する場合には、複数段のじゃま板JMは、凍結させたい領域の上流側(ブラインが流れる方向の上流側)に配置されるのが好ましい。
図26〜図29で示す第10実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0078】
図30は、第9実施形態の凍結管10Nを用いた実験を示しており、図31は第10実施形態の凍結管10Pを用いた実験を示している。
ここで、図30の実験と図31の実験は、同じ条件で行われている。
【0079】
図30で示す凍結管10Nによる実験(第9実施形態)では、内管12W内部を下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、複数の絞り孔52を通過した後、絞り孔52から外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。環状隙間を流過する際に発生した螺旋状の流れ(乱流)Frは、凍結管10Nの略全域にわたって、きれいな旋回流を発生せしめている。
【0080】
図31で示す凍結管10Pによる実験(第10実施形態)では、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部底部7bで折返し、3段のじゃま板JMの逃げ孔JMhを通過した後、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。環状隙間を流過する際に、乱流Frが発生する。
図31と図30とを比較すれば明らかな様に、図31で示す乱流Frは、図30で示す様な均一な旋回流を発生せず、凍結管10Pの全般にわたり非一様な流れを発生している。そのため、流路におけるブラインの半径方向位置をより変化せしめることが出来るので、ブラインは凍結するべき領域側と万遍無く接触し、保有する冷熱を凍結するべき土壌へ効率的に供給することが出来る。
【0081】
図示はしないが、従来型を含め、その他の数例の撹乱手段を用いた実験を行ったが、第9実施形態及び第10実施形態では、ブラインの流れを二重管の全体にわたって変化させて、乱流の影響を進行方向へ長く持続させることができた。
特に第10実施形態では、乱れの程度、持続距離共に最も大きい結果を得ている。
【0082】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、各種の変形例を包含することを付記する。
例えば、明確には図示されてはいないが、図1〜図19を参照して説明した各実施形態において、或いは、通常の単管或いは二重管において、ブラインと接触する管壁に凹凸を形成して、ブラインの流れを撹乱する様に構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図2】図1に対する変形例を示す部分断面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図4】本発明の第3実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図5】図4に対する変形例を示す部分断面図。
【図6】本発明の第4実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図7】第3実施形態におけるボーリング孔を削孔する工程図。
【図8】第3実施形態における冷凍管をボーリング孔に立込む工程図。
【図9】第3実施形態におけるブラインを冷凍管に流過させる冷凍工程。
【図10】単管式冷凍管の冷凍実験装置の模式図。
【図11】単管式冷凍管の冷凍実験結果を示した試験データ。
【図12】二重管式冷凍管の冷凍実験装置の模式図。
【図13】二重管式冷凍管の冷凍実験結果を示した試験データ。
【図14】本発明の第5実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図15】本発明の第6実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図16】第6実施形態の第1変形例に係る冷凍管の部分断面図。
【図17】第6実施形態の第2変形例に係る冷凍管の部分断面図。
【図18】本発明の第7実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図19】本発明の第8実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図20】従来技術である単管式冷凍管の三面図。
【図21】従来技術である二重管式冷凍管の断面図。
【図22】本発明の第9実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図23】図22における冷凍管の要部(下端部)の斜視図。
【図24】図22における冷凍管の要部(下端部)の断面図。
【図25】図24のY矢視図。
【図26】本発明の第10実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図27】図26における冷凍管の要部(下端部)の斜視図。
【図28】図26における冷凍管の要部(下端部)の断面図。
【図29】図28のY矢視図。
【図30】第9実施形態による凍結実験の際のブラインの流れを示した実験データ。
【図31】第10実施形態による凍結実験の際のブラインの流れを示した実験データ。
【符号の説明】
【0084】
1S・・・単管/冷凍管
1W・・・二重管/冷凍管
2・・・送泥配管
3、3A・・・螺旋状部材
4・・・円筒状部材
5・・・絞り部材
5A・・・円筒状部材
6・・・ボーリングマシーン
7・・・ボーリング孔
10、10A〜10E・・・凍結装置
11W・・・外管
12W、12WJ・・・内管
21、51・・・貫通孔
JM・・・じゃま板
【技術分野】
【0001】
本発明は凍結工法に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結工法には、二重管を用いる工法(図20参照)と、貼り付け凍結管(単管)を用いる工法(図21参照)とが存在する。
【0003】
図20の二重管を用いる工法(二重管方式)は、外管11Wと外管11Wの内部に挿入された内管12Wとで構成されている。内管12Wの地上側の端部から注入されたブライン(冷媒)は、内管12Wの底部Bで折り返し、外管11Wと内管12Wの間における環状の領域を流れて、地上側に戻る。その際、ブラインが保有する冷熱を、外管11Wを介して周囲の土壌に投与することによって、当該周囲の土壌を凍結させるのである。
なお、外管11Wの地上側の端部(図20では上方端部)は、排出接続管13Wを取り付けたプラグPで閉塞されている。
【0004】
図21の貼り付け凍結管を用いる工法(単管方式)では、凍結管10Mが用いられる。
凍結管10Mは、例えば、気密で且つ細長い直方体形状の箱状体1Mで構成され、両端部に流入接続管1aと排出接続管1bとを取り付けており、流入接続管1aと排出接続管1bとは同一面に設けられ且つ箱状体1Mの長手方向と直交する方向に突出している。
【0005】
この凍結管10Mを凍結させたい領域に貼り付ける様に設置して、凍結管10M内にブラインを流過させることで、当該施工箇所(凍結管10Mを貼り付けた領域)を凍結させるのである。
なお、図21において、符号Z15−1で示すのは凍結管10Mの側面であり、符号Z15−2で示すのは同正面であり、符号Z15−3は同底面を示している。
【0006】
ここで従来の凍結工法では凍結管内を流過するブライン(冷媒)の流速が比較的遅く、凍結管内内では層流として流れてしまうので、ブラインの凍結管半径方向位置が変化しない。そのため、凍結管の内壁に接触するブラインと接触しないブラインとが存在し、凍結管の内壁に接触しないブラインは、その保有する冷熱が凍結管の管壁を介して周囲の土壌に伝達されない、という問題がある。
すなわち、ブラインの流路断面において、土壌側を流れるブラインのみが冷熱を土壌に供給し、流路中心側を流れるブライン(図20を例にとれば、内管12Wに近い側を流れるブライン)は保有する冷熱を土壌に供給できないのである。そして、流路の半径方向中央を流れるブラインは、冷熱を土壌側に投入することなく、地上側に戻ってしまうので、その保有する冷熱は凍結に有効利用出来ない。
【0007】
その他の従来技術として、例えば、凍結しようとする土壌に当接される当接部を有し、当該当接部に冷媒を循環せしめて凍結を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る技術は、湧水が生じた際に湧水箇所を凍結して対処するための技術であり、上述したような問題を解消するものではない。
【特許文献1】特開2005−16225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、冷媒(ブライン)が保有する冷熱を、凍結するべき領域に対して、効率的に満遍なく伝達することが出来る様な凍結工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の凍結工法は、凍結するべき領域(G)(二重管方式の場合)或いはその近傍(単管方式の場合)にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路を流れるブラインを撹乱せしめることを特徴としている(請求項1)。
【0010】
前記ブラインの流路、特に地上側に向って流れるブラインの流路には、流れの撹乱手段(2、2A、3、4、5、5A、3A、JM、12WJ)が設けられているのが好ましい(請求項2)。
【0011】
ここで、前記流れの撹乱手段(2、2A、4、5、5A)は絞り機構で構成されているのが好ましい。
或いは、前記流れの撹乱手段(3、3A)はブラインの流路中に配置された螺旋状部材であるのが好ましい。
また、ブラインの流路を形成する部材(単管或いは二重管)のブラインと接触する管壁には、ブラインの流れを撹乱させるための凹凸が形成されているのが好ましい。
【0012】
さらに、前記流れの撹乱手段としては、障害物(板状のじゃま板JM・・・)で構成することが可能である。
ここで、ブラインの流路を形成する部材を二重管で構成する場合には、当該障害物(板状のじゃま板JM・・・)を内管(12W)に設けても、外管(11W)に設けても、或いは、内管及び外管の双方に設けても良い。
これに加えて、凍結管内部に長手方向に延在する湾曲部材(3A)を配置したり、或いは、二重管の内管(12WJ)自体を湾曲させることにより、ブラインの流れを撹乱する事が出来る。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明の凍結工法によれば、凍結するべき領域(G)或いはその近傍にブラインの流路を形成する工程(図7、図8)と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程(図9)とを含み、該凍結工程(図9)では、流路(凍結管内)を流れるブラインが流れの撹乱手段(例えば、絞り機構や、らせん状部材、板状のじゃま板、湾曲した部材)によって撹乱した状態で流過するように施工されている。
ブラインが流路(凍結管内)を撹乱した状態で流過するので、流路におけるブラインの半径方向位置が常に変化し、ブラインは凍結するべき領域側と万遍無く接触して、保有する冷熱を凍結するべき土壌へ供給することが出来る。そして、冷熱を保有したまま地上側に戻されるブラインが激減する。
その結果、従来工法に比して当該凍結施工箇所の凍結率(凍結する領域の大きさ)が格段に向上する。
【0014】
それに加えて、撹乱せしめるための手段、例えば絞り機構(2、2A、4、5、5A)や、螺旋状部材(3、3A)や、じゃま板(JM・・・)、湾曲した部材(3A、12WJ)は、構造が極めて簡単で且つ凍結管内への設置も容易なため、少ない設備投資で大きな効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ここで、図示の実施形態では、凍結管の内部に流れの撹乱手段を設け、凍結管を流過するブライン(冷媒)に撹乱を起こさせる様に構成されている。
【0016】
先ず、図1、図2(図1の変形例)を参照して、第1実施形態を実施する装置について説明する。
尚、工法を含めた総体的な実施形態(第3実施形態)についての説明は、図7〜図9を参照して後述する。
【0017】
図1、図2で示す装置(第1実施形態に係る装置)は、凍結管は単管方式で、その内部に設ける流れの撹乱手段として絞り機構を用いている。
図1において、全体を符号10で示す装置では、凍結管として単管1Sが使用される。その単管1Sの内部には、単管内壁11に嵌合するように、中央に貫通孔21が穿孔された複数の円柱部材(絞り部材)2が設置されている。
【0018】
絞り部材2の軸方向(図1では上下方向)の長さL2は、図1の例では単管1Sの内径Dと同一に設定されている(L2=D)。又、絞り部材2における貫通孔21の径dは、図示の例では単管1Sの内径の1/4に等しくなる様に設定されている(d=D/4)。
【0019】
ここで、単管1Sの内径Dと、隣接する絞り部材2、2の対向する端面間の軸方向距離Lとの最適の比率(L2/D)は、1/5である。そして、図1における設定値(L2=D、d=D/4)は、 L2/D=1/5 の場合における数値である。
【0020】
上述したような形状、寸法の絞り部材2を上述した態様で凍結管1S内に設置した場合、凍結管1S内に冷却材であるブラインを流すと(ブラインの流れを符号Fで示す)と、絞り部材2を通過したブラインの流れFは、絞り部材2の貫通孔21の出口において剥離し、その剥離をきっかけに(絞り部材2の貫通孔21の)出口以降では撹乱した流れFrとなる。
撹乱した流れFrが形成されることにより、単管1S内を流過する多くのブラインが管壁と接触することとなり、ブラインの保有する冷熱が、単管1Sを介して、効率良く施工領域の土壌に投与されるのである。
【0021】
次に、図2を参照して、第1実施形態の変形例に係る装置を説明する。
図2において全体を符号10Aで示す装置は、図1と同様に、単管方式の凍結管1Sを備えている。ここで、図1の変形例では絞り部材2の貫通孔21が同一内径の円筒状に(ストレートな円筒形)に構成されていたのに対し、図2の変形例では、絞り部材2Aにおける貫通孔21は、流入側の径が大きく出口側の径が小さいテーパー状に形成されている。なお、図2においては、貫通孔21の拡径した部分には、符号Yが付されている。
【0022】
図2の変形例においては、絞り部材2Aの流入側をテーパー状(Y)に拡径することによって、貫通孔21の断面積が軸線方向位置により異なることとなり、ブライン(冷媒)の流速も相違する。その結果、貫通孔21の出口における剥離が生じ易くなり、ブラインの流れの撹乱がより効率的に行われる。
【0023】
図2の絞り部材2Aにおける軸方向長さL2は、図1の絞り部材2と同様、凍結管1Sの内径Dと同じである(L2=D)。
又、図2の貫通孔21におけるテーパー状の拡径部Yの勾配δは、30°とした場合に、凍結効率が最大となることが、発明者の実験により確認されている。
【0024】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る装置を説明する。
図3の(第2実施形態に係る)装置10Bは、凍結管1Sの内部に螺旋状部材3を挿入して構成されている。
【0025】
螺旋状部材3を凍結管1S内に挿入することにより、凍結管1S内を流過するブラインは撹乱された状態となり、ブラインの流れの全ての部分が凍結管1Sの内壁に接触可能となり、ブラインの保有する冷熱が凍結管の内壁に効率良く伝達されるのである。
ここで、図1では、1条の螺旋状に構成された螺旋状部材3は1本の曲線によって表現されているが、実験或いは実施に際しては、所定の幅を有する材料、例えば金属製或いは樹脂製の薄板等を、1条の螺旋として形成したものが、螺旋状部材3として用いられる。
【0026】
次に、図4を参照して、第3実施形態に係る装置を説明する。
図4の装置(第3実施形態に係る装置)は、凍結管は二重管方式で構成されており、二重管方式で構成された凍結管の内部に、流れの撹乱手段として絞り機構を設けている。
【0027】
図4において、第3実施形態の装置全体は、符号10Cで示されている。装置10Cに使用される凍結管である二重管1Wは、半径方向寸法が大きい外管11Wと、半径方向寸法が小さい内管12Wとで構成されている。
【0028】
図4では、図示の簡略化のため、外管11Wの地中側(図4では下側)における端部が開放して示されているが、実際には閉塞されている(図5でも同様)。
内管12Wは外管11W内に挿入され、地中側の端部が開放され、その開放された端部は、外管11W(図4では下側)の底部とは所定の隙間λを形成するように配置されている。換言すれば、図示しない外管11Wの底部は、内管12Wにおける地中側(図4では下側)の端部から、寸法λだけ地中側(図4では下側)の位置に存在する。
【0029】
内管12Wの外周には、絞り部材である円筒状部材4が複数個所に設けられており、各円筒状部材4は、その内周が内管12Wの外周部に密着するように取り付けられている。
【0030】
図4の例では、円筒状部材4を円柱と看做した場合の断面積(換言すれば、円筒状部材4と同一の外周部である円柱の断面積)が、外管11Wの断面積(管内径の断面積)の3/4の大きさに形成されている。
換言すれば、円筒状部材4の外周と外管11Wの内周との間における環状の隙間(流路)の断面積は、外管11Wの断面積(管内径の断面積)の1/4となる様に形成されている。
【0031】
円筒状部材4の軸方向の長さL4は、図4の例では、外管11Wの内径Dの2倍に形成されている(L4=2D)。なお図4の例では、内管12Wの外径dは、外管11Wの内径Dに対して、0.38倍(=10.5/27.6)となっている。
また、図4において、隣り合う円筒状部材4、4の対向する端面間の距離Lと、円筒状部材4の軸方向の長さL4との比率(L4/L)は、2/3である。
発明者の実験によれば、図4においては、上述してきた面積比及び寸法比率に設定した場合が、最も良い凍結結果を示した。
【0032】
上述したような構成の装置10C(第3実施形態に係る装置)において、内管12Wを流れるブラインが、外管11Wの地中側端部(図4の下端部)で折り返すように流れる(図4における矢印F参照)。
外管11Wの地中側端部(図4の下端部)で折り返したブラインは、円筒状部材4の外周と二重管1Wの外管11Wの内周とで形成される環状の狭い流路(流れの撹乱手段)で絞られる結果、円筒状部材4の端部(図4の上方端部)において剥離を生じ、その剥離をきっかけに当該端部(円筒状部材4の上方端部)より下流側の領域(図4では情報の領域)では、ブラインの流れは撹乱した流れFrとなる。
【0033】
そのようにして発生した撹乱した流れFrも、長さL(隣り合う円筒状部材4、4の対向する端面間の距離)だけ流れる間に次第に収まる。しかし、円筒状部材4を再度通過することで、ブラインの流れは撹乱された状態が維持され、場合によっては乱流状態となる。
ブラインの流れが撹乱される状態が維持される結果、単位質量あたりのブラインは半径方向位置を変動しながら流れることとなり、外管11Wの内周へ均等に接触するので、ブラインが保有する冷熱が、万遍無く外管11Wを介して半径方向外方へ伝達されることとなる。
【0034】
次に、図5を参照して、第3実施形態の変形例に係る装置について説明する。
図5の装置10Dは、図4と同様に凍結管1Wが二重管方式である。
図5において、凍結管1Wの外管11Wと内管12Wの間の領域には、数箇所において、図2(第1実施意形態の変形例で用いられる装置)と類似した構成を有し且つ中央に貫通孔51を有する絞り部材5を配置している。そして、貫通孔51内周と内管12Wの外周とで形成される環状の流路によって、絞り部が形成されている。
【0035】
図5の装置において、絞り部材5の流入側には、テーパー状の拡径部Yが形成されている。係る拡径部Yを設けることにより、貫通孔51の断面積が軸線方向位置(図5の上下方向位置)により異なるので、貫通孔51におけるブラインの流速も相違する。その結果、貫通孔51の出口における剥離が生じ易くなり、ブラインの流れの撹乱がより効率的に行われる。
【0036】
図5で示す絞り部材5の軸方向の長さL5は、外管11Wの内径Dと同じである(L5=D)。
テーパー状の拡径部Yの勾配δは、図5の例では30°である。
又、隣り合う円筒状部材5、5の対向する端面間の距離Lは、絞り部材5の軸方向の長さL5に対して、5倍の長さとなっている(L/L5=5)。
係る寸法や比率に設定された場合が、後述する実験では、最も良い凍結結果を得ている。
【0037】
次に、図6を参照して、第4実施形態に係る装置(10E)を説明する。
図6で示す装置(第4実施形態に係る装置)では、二重管1Wにおける外管11Wと内管12Wの間の領域に、管長手方向(図6の上下方向)に延在させて螺旋状部材3Aを挿入している。
ここで、螺旋状部材3Aは内管12Wに固着させても良いし、外管11Wの内周に固着させても良いし、或いは、外管11Wの内周及び内管12Wの外周の何れとも接触しない状態で配置しても良い。
【0038】
図6の装置10E(第4実施形態に係る装置)、図3の装置10B(第2実施形態に係る装置)と実質的に同じ作用効果が得られる。
すなわち、螺旋状部材3を二重管1W内に挿入することにより、凍結管1W内を流過するブラインは撹乱されて(場合によっては乱流状態となって)、ブラインの流れの全てが外管11Wの内周に接触可能となり、ブラインの保有する冷熱が凍結管の内壁に効率良く伝達される。
【0039】
次に、図7〜図9を参照して、図4の第3実施形態に係る装置10Cを用いて行われる施工について説明する。
換言すれば、図7〜図9を参照する以下の説明は、第3実施形態を用いた施工全般の説明である。
【0040】
図7の工程において、ボーリングマシーン6を用いて凍結工法を施工するべき領域の地盤Gに、ボーリング孔(凍結用孔)7を穿孔する。
次の図8の工程では、図4で示す装置10Cを、削孔したボーリング孔7に挿入する。
前述したように、装置10Cは、外管11Wと内管12Wと内管12Wに取り付けられた円筒状の絞り部材4とで構成されている。
尚、ボーリング孔7の径は、装置10Cの二重管1Wの外管11Wと概略同じ寸法に削孔されている。
【0041】
次の図9の工程では、地上側から、内管12Wに冷媒であるブラインを注入する(矢印F1)。内管12Wに注入(矢印F1)されたブラインは、二重管1Wの底部まで下がり(矢印F2)、底部で折り返されて隙間λから外管11Wと内管12Wの間の領域に入り(矢印F3)、外管11Wと内管12Wの間の領域を地上側(図9では上方)に向かって流れる(矢印F4)。
【0042】
ブラインが地上側(図9では上方)向かって流れる(矢印F4)際に、絞り部材4の外周と外管11Wの内周の間における環状の領域(図4参照)を通過するときに、流路の断面積が減少するためブラインの流速が増加(増速)する。そして、流速が増速する結果として、絞り部材4の地上側端面(図9では上端面)の位置で急激に流路面積が増大することにより剥離を起こし、その剥離が起因となって、ブラインの流れは撹乱された流れFrとなる。
【0043】
ブラインの流れが撹乱される結果、ブラインの流れにおける全ての単位質量のブラインは、二重管1Wの外管11Wの内周面と確実に接触し、ブラインの保有する冷熱を外管11Wの内周面に効率良く与えることが出来る。
ここで、二重管1Wは熱伝導率の良い金属が使用されており、外管11Wの内周面に効率良く与えられた冷熱は、土壌Gに確実に伝達し(矢印Fh)し、二重管1の周囲の土壌を短時間の内に凍結させる。
【0044】
発明者は、単管方式の実施形態(図1、図2の実施形態)及び二重管方式の実施形態(図4、図5の実施形態)について、凍結効果を実験によって測定している。
以下、単管方式及び二重管方式の各々について、実験装置及び上述した各実施形態の実験結果を説明する。
【0045】
先ず、単管方式の実験装置及び実験結果について、図10及び図11を参照して説明する。
単管方式では、図10において、概ね立方体状の被測定土壌である模擬土槽Gxの中央を、単管式凍結管1Sが貫通するように配置する。
凍結管1Sの下端側は、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt1を横に倒すようにして接続する。T字状継ぎ手Jt1の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph2が接続されている。そのストレート管Ph2の他端側には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp1を取り付ける。
【0046】
凍結管1Sの下端側における前記T字状継ぎ手Jt1の下向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して別のT字状継ぎ手Jt2が倒立するように接続されている。倒立するように接続したT字状継ぎ手Jt2において、水平方向の一方(図10では左方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介してストレート管Ph1が接続されている。一方、当該T字状継ぎ手Jt2の他方(図10では右方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、実験装置に流入する冷媒(ブライン)の温度を計測するための熱電対Sfが取り付けられている。
【0047】
前記凍結管1Sの上端側には、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt3が、横に倒すようにして接続されている。T字状継ぎ手Jt3の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph3が接続されている。そのストレート管Ph3の他端側(図10では右側)には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp2が取り付けられている。
【0048】
前記凍結管1Sの上端側におけるT字状継ぎ手Jt3の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、別のT字状継ぎ手Jt4が接続されており、T字状継ぎ手Jt4の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph4が接続されている。
T字状継ぎ手Jt4の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、熱電対Srが取り付けられており、該熱電対Srは、実験装置から排出する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
【0049】
図10の実験装置では、ブラインは、図示しないブライン供給源からストレート管Ph1から注入されて、ストレート管Ph4を介して、図示しないブライン受け入れ手段へ排出され、図示しない冷却手段で排出されて、図示しないブライン供給源へ戻される。
図10において、領域Gzは冷却されて凍結した領域を示している。
【0050】
図11は、上述した実験装置を用いて、前述した第1実施形態の変形例(図2:テーパー状の入り口を持つ変形例)を用いた場合(太い実線N1)と、流れの撹乱手段を持たない従来方式の冷凍管の場合(点線N2)との、冷凍実験結果を比較して示している。
縦軸には冷凍管1Sの中心から模擬土壌Gxの凍結半径をとり、横軸にはブラインを流し始めてからの経過時間をとっている。
【0051】
図11から明らかな様に、1時間(3600秒)経過時点では、従来方式(点線N2)に対して、第1実施形態の変形例(図2)の凍結装置を用いた場合(太い実線N1)は、約1.75倍の凍結効果を得ている。
【0052】
次に、二重管方式の実験装置及び実験結果について説明する。
二重管方式では、図12において、概ね立方体状の被測定土壌である模擬土槽Gxの中央を二重管式凍結管1Wで貫通するように配置する。その凍結管1Wの上端側に、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt11を横に倒すようにして接続する。T字状継ぎ手Jt11の水平方向の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介してストレート管Ph1を接続する。そのストレート管Ph1の他端側(図12の左端側)に、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp1を取り付ける。
【0053】
前記横に倒されたT字状継ぎ手Jt11の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介してT字状継ぎ手Jt12が、横向きに倒して接続されている。T字状継ぎ手Jt12の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、更に別のT字状継ぎ手Jt13をT字状態に接続する。
T字状継ぎ手Jt13の水平方向の接続部(図12では右端側の接続部)には、ストレート継ぎ手Jsを介して熱電対Srが取り付けられており、熱電対Srは、実験装置から排出する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
更に、T字状態に接続したT字状継ぎ手Jt13の下向の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介して、ブラインを実験装置外に排出するためのパイプPL(図12ではL字状のパイプとして表現されている)を接続する。
【0054】
T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt12の上方の接続部に、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手(三方向継ぎ手)Jt14を接続する。T字状継ぎ手Jt14の水平方向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ストレート管Ph2が接続されている。
そのストレート管Ph2の他端側(図12の左端側)には、ストレート継ぎ手Js及びエルボ継ぎ手JLを介して、圧力センサSp2が取り付けられている。
【0055】
T字状継ぎ手Jt14の上向の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、T字状継ぎ手Jt15が接続されている。T字状継ぎ手Jt15の水平方向の一方(図12では右方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して、ブライン流入用のストレート管Ph3が接続されている。
T字状継ぎ手Jt15の水平方向の他方(図12では左方)の接続部には、ストレート継ぎ手Jsを介して熱電対Sfを取り付けており、熱電対Sfは実験装置に注入する冷媒(ブライン)の温度を計測する。
【0056】
図13は、図12の実験装置によって冷凍実験結果を行った場合に、図4の第3実施形態を用いた場合(太い実線N3)と、図5の変形例であるテーパー状の入り口を持つ場合(太い点線N4)と、流れの撹乱手段を持たない従来方式の冷凍管を用いた場合(細い実線N5)とを比較して示している。
縦軸には冷凍管1Wの中心から模擬土壌Gxの凍結半径をとり、横軸にはブラインを流し始めてからの経過時間をとっている。
【0057】
図13で示す実験結果によれば、1時間(3600秒)経過時点では、従来方式に対して、図4の第3実施形態の凍結装置は約1.4倍の凍結効果を得ている。
また、図5の(第3実施形態の)変形例の凍結装置は、約1.5倍の凍結効果を得ている。
図13から明らかな様に、流れの撹乱手段である絞り機構を設けると凍結効果は向上する。そして、絞り機構の流入側にテーパー状の拡径部を設ければ、凍結効果はさらに向上する。
【0058】
次に図14を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図14において、全体を符号10Gで示す冷凍管は単管1Sで構成されており、その内部に複数の板状のじゃま板JM・・・が配置される。そして、係るじゃま板JM・・・により、単管1S(或いはその内壁面)の内側を流れるブラインの流れ(図14では流線のみを矢印Fで示す)は撹乱されて、その条件如何によっては乱流状態となる。
【0059】
図14では、明示されていないが、じゃま板・・・を内壁面11から単管1S中央側に突出する様に設けることが可能である。或いは、図14で示すじゃま板JM・・・と、内壁面11から単管1S中央側に突出するじゃま板・・・を両方とも具備していても良い。
図14の第5実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、上述した各種実施形態と同様である。
【0060】
次に、図15を参照して、第6実施形態を説明する。
第6実施形態に係る冷凍管は全体が符号10Hで示されており、外管11Wと内管12Wとを備えた二重管方式で構成されている。
内管12Wには、半径方向外方へ突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が設けられている。
【0061】
内管12Wを流過したブラインは、内管12Wと外管11Wとの間の環状領域を流過して地上側(図15では上方)へ向って流れるが、その流れは複数のじゃま板JM・・・によって撹乱され、条件によっては乱流状態となる。
図15の第6実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0062】
図16は、図15の第6実施形態の第1変形例を示している。図16において、当該第1変形例に係る冷凍管は、全体を符号10Jで示されている。
図15の冷凍管10Hは内管12Wに複数のじゃま板JM・・・が設けられているのに対して、図16の冷凍管10Jでは、半径方向内方へ向けて突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が、外管11Wに設けられている。
その他の構成及び作用効果については、図16の第1変形例は、図15の第6実施形態と同様である。
【0063】
図17で示すのは、図15の第6実施形態の第2変形例である。
図17において、全体を符号10Kで示す冷凍管は、その内管12Wに半径方向外方へ突出する複数の板状のじゃま板JM・・・を設けていると共に、外管11Wには半径方向内方へ向けて突出する複数の板状のじゃま板JM・・・が設けられている。
その他の構成及び作用効果については、図17の第2変形例は、図15の第6実施形態、図16の第1変形例と同様である。
【0064】
図18は、本発明の第7実施形態を示している。
図18において、第7実施形態に係る冷凍管は全体を符号10Lで示されており、単管1Sで構成されている。
単管1S内部には、単管1Sの長手方向に延在している湾曲したじゃま板3Aが配置されている。
【0065】
単管1S内を流過するブラインは、じゃま板3Aによってその流れ(矢印Fで示す)が撹乱され、場合によっては乱流状態となる。
図18で示す第7実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0066】
図19は、本発明の第8実施形態を示している。
図19において、第8実施形態に係る凍結管は全体を符号10Mで示されている。そして、凍結管10Mは、外管11Wと内管12WJとを有する二重管方式に構成されている。
【0067】
ここで、図19の第8実施形態においては、内管12WJは連続して湾曲した管となっている。
内管12Wを流過して、内管12WJと外管11Wとの間の領域を地上側(図19では上側)へ向って流れるブラインの流れ(矢印F)は、湾曲した内管12WJによって撹乱され、条件如何によっては乱流状態となり、排出接続管13Wから図示しないブライン用設備に送られる。
図19の第8実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、前述した実施形態と同様である。
【0068】
図22〜図25は、本発明の第9実施形態を示している。
図22において、第9実施形態に係る凍結管は全体を符号10Nで示されている。そして、凍結管10Nは、外管11Wと内管12Wとを有する二重管方式に構成されている。
【0069】
外管11Wの下端は、図4〜図9、図15〜図17、図19、図20の実施形態と同様に閉塞されており、下端部近傍には円柱状部材5Aが配置されている。
円柱状部材5Aは、図23に示すように、中心部に内管12Wの下端が挿入される内管挿入孔51が形成されている。内管挿入孔51の周囲には、等ピッチで複数(図示では4)の絞り孔52が形成されている。
ここで、図22では凍結管10Nの下端部近傍に円柱状部材5Aが配置されているが、円柱状部材5Aの位置は、図22で示す位置に限定されるものではない。例えば、凍結させたい領域の直下の位置に、円柱状部材5Aを位置させることが好ましい。
【0070】
絞り孔52は、図24に示すように、円筒状部材5Aの中心軸Lcに対して、所定の傾斜角度θで傾斜して延在している。ここで、傾斜角θが小さ過ぎると旋回流が発生しない。
一方、傾斜角θが大き過ぎると、円柱状部材5Aの長さが短くなり過ぎる(通常の長さでは、円柱状の直径内に絞り孔の出入り口が収まらない)。さらに傾斜角θが大き過ぎると、旋回流が強くなり過ぎて、ブラインの流れを阻害してしまう。
そのため、所定の傾斜角度θとしては、10°〜40°が好ましい。
【0071】
後述する第9実施形態を用いた実験では、軸方向寸法Lが100mm、絞り孔52の直径が11mm、絞り孔の傾斜角θが20°の円筒状部材5Aが用いられている。
図25は、図24のY矢視を示している。
【0072】
再び図22において、凍結管10Nを用いて凍結工法を施工するに際して、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、円筒状部材5Aの複数の絞り孔52を通過した後、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。ブラインが外管11Wと内管12Wの間に形成された環状隙間を流過する際に、螺旋状の乱流Frが発生する。
図22では凍結管10Nは鉛直方向に配置されているが、水平方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。凍結管10Nを水平方向や斜め方向に配置する場合には、円柱状部材5Aは、凍結させたい領域の上流側(ブラインが流れる方向の上流側)に配置されるのが好ましい。
図22〜図25で示す第9実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0073】
図26〜図29は、本発明の第10実施形態を示している。
図26において、第10実施形態に係る凍結管は全体を符号10Pで示されている。そして、凍結管10Pは、外管11Wと内管12Wとを有する二重管方式に構成されている。
【0074】
図27、図28で示すように、外管11Wの下端部は、図4〜図9、図15〜図17、図19、図20、図22〜図25の実施形態と同様に閉塞されている。そして下外管11Wの端部近傍には、所定の間隔Lに配置された複数段のじゃま板JMが配置されている。
ここで、図26では外管11Wの下端部近傍に複数段のじゃま板JMが配置されているが、複数段のじゃま板JMの位置は、図26で示す位置に限定されるものではない。例えば、凍結させたい領域の直下の位置に、複数段のじゃま板JMを位置させることが好ましい。
各じゃま板JMの中心部には、内管12Wの下端が挿入される内管挿入孔JMHが形成されている。じゃま板JMの内管挿入孔JMHと外縁との中間部には、逃げ孔JMhが1箇所形成されている。
図29は、図28のY矢視を示している。
【0075】
隣接するじゃま板JMの逃げ孔JMh同士は、じゃま板JMの中心点に対して、180度反対側になるように配置されている。
ここで、逃げ孔JMhの直径は小さい程、抵抗が大きくなり乱流は発生しやすいが、逃げ孔JMhの直径が小さ過ぎると、逃げ孔JMhを通過した後にブラインの流量が小さくなり、凍結工法に必要な冷凍能力が得られなく恐れが存在する。それに加えて、逃げ孔JMhの直径が小さ過ぎると、ブラインの流れに生じる乱れがブラインの流路全般に伝播しなくなってしまう。
【0076】
後述する第10実施形態を用いた流れの試験においては、じゃま板JMの総数が3枚、隣接するじゃま板JMの所定間隔Lが50mm、逃げ孔JMhの直径が30mmのものが用いられている。
【0077】
再び図26において、凍結管10Pを用いて凍結工法を施工するに際して、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、各じゃま板JMの逃げ孔JMhを通過して、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。複数段のじゃま板JMを通過して環状隙間を流過する際に乱流Frが生じる。
図26では凍結管10Pは鉛直方向に配置されているが、水平方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。凍結管10Pを水平方向や斜め方向に配置する場合には、複数段のじゃま板JMは、凍結させたい領域の上流側(ブラインが流れる方向の上流側)に配置されるのが好ましい。
図26〜図29で示す第10実施形態のその他の構成及び作用効果は、上述した各実施形態と同様である。
【0078】
図30は、第9実施形態の凍結管10Nを用いた実験を示しており、図31は第10実施形態の凍結管10Pを用いた実験を示している。
ここで、図30の実験と図31の実験は、同じ条件で行われている。
【0079】
図30で示す凍結管10Nによる実験(第9実施形態)では、内管12W内部を下降したブラインの流れFは、二重管の下端部7bで折返し、複数の絞り孔52を通過した後、絞り孔52から外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。環状隙間を流過する際に発生した螺旋状の流れ(乱流)Frは、凍結管10Nの略全域にわたって、きれいな旋回流を発生せしめている。
【0080】
図31で示す凍結管10Pによる実験(第10実施形態)では、内管12Wを下降したブラインの流れFは、二重管の下端部底部7bで折返し、3段のじゃま板JMの逃げ孔JMhを通過した後、外管11Wと内管12Wとで形成される環状隙間を流過する。環状隙間を流過する際に、乱流Frが発生する。
図31と図30とを比較すれば明らかな様に、図31で示す乱流Frは、図30で示す様な均一な旋回流を発生せず、凍結管10Pの全般にわたり非一様な流れを発生している。そのため、流路におけるブラインの半径方向位置をより変化せしめることが出来るので、ブラインは凍結するべき領域側と万遍無く接触し、保有する冷熱を凍結するべき土壌へ効率的に供給することが出来る。
【0081】
図示はしないが、従来型を含め、その他の数例の撹乱手段を用いた実験を行ったが、第9実施形態及び第10実施形態では、ブラインの流れを二重管の全体にわたって変化させて、乱流の影響を進行方向へ長く持続させることができた。
特に第10実施形態では、乱れの程度、持続距離共に最も大きい結果を得ている。
【0082】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、各種の変形例を包含することを付記する。
例えば、明確には図示されてはいないが、図1〜図19を参照して説明した各実施形態において、或いは、通常の単管或いは二重管において、ブラインと接触する管壁に凹凸を形成して、ブラインの流れを撹乱する様に構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図2】図1に対する変形例を示す部分断面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図4】本発明の第3実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図5】図4に対する変形例を示す部分断面図。
【図6】本発明の第4実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図7】第3実施形態におけるボーリング孔を削孔する工程図。
【図8】第3実施形態における冷凍管をボーリング孔に立込む工程図。
【図9】第3実施形態におけるブラインを冷凍管に流過させる冷凍工程。
【図10】単管式冷凍管の冷凍実験装置の模式図。
【図11】単管式冷凍管の冷凍実験結果を示した試験データ。
【図12】二重管式冷凍管の冷凍実験装置の模式図。
【図13】二重管式冷凍管の冷凍実験結果を示した試験データ。
【図14】本発明の第5実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図15】本発明の第6実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図16】第6実施形態の第1変形例に係る冷凍管の部分断面図。
【図17】第6実施形態の第2変形例に係る冷凍管の部分断面図。
【図18】本発明の第7実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図19】本発明の第8実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図20】従来技術である単管式冷凍管の三面図。
【図21】従来技術である二重管式冷凍管の断面図。
【図22】本発明の第9実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図23】図22における冷凍管の要部(下端部)の斜視図。
【図24】図22における冷凍管の要部(下端部)の断面図。
【図25】図24のY矢視図。
【図26】本発明の第10実施形態に係る冷凍管の部分断面図。
【図27】図26における冷凍管の要部(下端部)の斜視図。
【図28】図26における冷凍管の要部(下端部)の断面図。
【図29】図28のY矢視図。
【図30】第9実施形態による凍結実験の際のブラインの流れを示した実験データ。
【図31】第10実施形態による凍結実験の際のブラインの流れを示した実験データ。
【符号の説明】
【0084】
1S・・・単管/冷凍管
1W・・・二重管/冷凍管
2・・・送泥配管
3、3A・・・螺旋状部材
4・・・円筒状部材
5・・・絞り部材
5A・・・円筒状部材
6・・・ボーリングマシーン
7・・・ボーリング孔
10、10A〜10E・・・凍結装置
11W・・・外管
12W、12WJ・・・内管
21、51・・・貫通孔
JM・・・じゃま板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結するべき領域或いはその近傍にブラインの流路を形成する工程と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程とを含み、該凍結工程では、流路を流れるブラインを撹乱せしめることを特徴とする凍結工法。
【請求項2】
前記ブラインの流路には流れの撹乱手段が設けられている請求項1の凍結工法。
【請求項1】
凍結するべき領域或いはその近傍にブラインの流路を形成する工程と、当該流路にブラインを流過させる凍結工程とを含み、該凍結工程では、流路を流れるブラインを撹乱せしめることを特徴とする凍結工法。
【請求項2】
前記ブラインの流路には流れの撹乱手段が設けられている請求項1の凍結工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2007−218079(P2007−218079A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5322(P2007−5322)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]