説明

凝集剤注入機構における計量装置

【課題】凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる、凝集剤注入機構における計量装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る凝集剤注入機構における計量装置は、凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測する計量装置を、注入管に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる、凝集剤注入機構における計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、懸濁している微粒子をまとめて大きな固まりにして沈降させるために用いる薬剤として、種々の凝集剤が使用されている。
【0003】
この凝集剤を、所定の液体を搬送しているメインパイプに注入するときは、例えば、凝集剤を貯蔵しているタンクと、メインパイプを注入管により接続した凝集剤注入機構を構成し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入していた(図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特に無し
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した凝集剤注入機構において、メインパイプに注入する凝集剤の量が極めて微量であるときは、その凝集剤の量を正確に確認することができないという弊害が生じている。
【0006】
メインパイプに注入する凝集剤は、所定の液体中に懸濁している微粒子をまとめて大きな固まりにして沈降させるのに好ましい量の凝集剤を、適宜注入するものである。
【0007】
この凝集剤の量が多すぎると、微粒子の固まりができ過ぎて、パイプが詰まってしまうことがある。また、凝集剤の量が少ないと、微粒子をまとめて固まりにして沈降させる効果が薄れてしまう。
【0008】
そして、メインパイプに注入する好ましい凝集剤の量が、例えば、1分間に10ミリリットル程度である場合等のように、極めて微量であるときは、凝集剤を貯蔵しているタンクにおいて、その凝集剤の量を正確に確認することができなかった。
【0009】
凝集剤を貯蔵しているタンクにおいては、その周壁面に、内部の凝集剤の液面が見える、目盛の付いた縦長の窓部を設け、この窓部を介してタンクから送り出される凝集剤の量を観察することが可能である。
【0010】
しかし、タンクから送り出される凝集剤の量が極めて微量であるときは、タンク内において、凝集剤の液面の位置が明確に変動せず、一見した所、液位変動が無いように見えるので、タンクから送り出される凝集剤の量を、目盛の付いた縦長の窓部を介して計測することができないのである。
【0011】
そこで、本発明は上述のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる、凝集剤注入機構における計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る凝集剤注入機構における計量装置は、凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、
メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測する計量装置を、注入管に接続したことで、上述した課題を解決した。
【0013】
また、凝集剤注入機構は、凝集剤を貯蔵しているタンクと注入管の間に第1バルブを配置すると共に、注入管とメインパイプの間に第2バルブを配置し、第1バルブ・第2バルブ間に所定のポンプを設置すると共に、計量装置は、所定量の凝集剤を収容している計量器と、この計量器と注入管を接続する連絡管により構成され、注入管と連絡管の間に第3バルブを配置していることで、同じく上述した課題を解決した。
【0014】
さらに、メインパイプへの凝集剤の注入量の計測は、第1バルブを閉鎖し、第2バルブ・第3バルブを開放した状態において、所定の時間内に、計量器からメインパイプに注ぎ込まれる凝集剤の量を計量器により計測することで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る凝集剤注入機構における計量装置は、凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、注入管に計量装置を接続したことから、この計量装置により、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる。
【0016】
即ち、凝集剤を貯蔵しているタンク自体の周壁面に、内部の凝集剤の液面が見える、目盛の付いた縦長の窓部を設け、この窓部を介してタンクから送り出される凝集剤の量を観察することが可能であるが、タンクから送り出される凝集剤の量が極めて微量であるときは、タンク内において凝集剤の液面の位置が明確に変動せず、液位変動が無いようにも見えるので、タンクから送り出される凝集剤の量を、正確に計測することができなかった。
【0017】
そこで、本発明においては、タンクの近傍に計量装置を設置し、この計量装置に所定量の凝集剤を収容し、計量装置からメインパイプに凝集剤を注入するので、計量装置を観察することにより、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる。
【0018】
また、凝集剤注入機構は、凝集剤を貯蔵しているタンクと注入管の間に第1バルブを配置すると共に、注入管とメインパイプの間に第2バルブを配置し、第1バルブ・第2バルブ間に所定のポンプを設置していることから、タンクからメインパイプに凝集剤を注入するルートを確保できる。
【0019】
即ち、第1バルブ・第2バルブをいずれも開放している状態で、ポンプを作動させることにより、タンクからメインパイプに凝集剤を注入できるのである。
【0020】
さらに、計量装置は、所定量の凝集剤を計量できる計量器と、この計量器と注入管を接続する連絡管により構成され、注入管と連絡管の間に第3バルブを配置していることから、第3バルブを閉鎖した状態で計量器に凝集剤を収容する。そして、その後、第1バルブを閉鎖した状態で、第2バルブ・第3バルブを開放した状態にすることにより、所定の時間内に、計量器からメインパイプに注ぎ込まれる凝集剤の量を計量器により計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】凝集剤注入機構における注入管に、計量装置を接続している状態を説明した概略の平面図である。
【図2】凝集剤注入機構における注入管に、計量装置を接続している状態を示す斜視図である。
【図3】所定量の凝集剤を収容している計量器と、この計量器と注入管を接続する連絡管により、計量装置を構成している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る凝集剤注入機構Aにおける計量装置1は、図1・図2に示すように、凝集剤を貯蔵しているタンクTと、所定の液体を搬送しているメインパイプMを注入管Lにより接続し、注入管Lを介して所定量の凝集剤をメインパイプMに注入する凝集剤注入機構Aにおいて、メインパイプMに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測する計量装置1を、注入管Lに接続したものである。
【0024】
凝集剤注入機構Aにおいては、図1・図2に示すように、凝集剤を貯蔵しているタンクTと注入管Lの間に、第1バルブV1を配置している。また、注入管LとメインパイプMの間に第2バルブV2を配置している。さらに、第1バルブ・第2バルブ間に、所定のポンプPを設置している。
【0025】
凝集剤注入機構Aに接続する計量装置1は、図1・図2に示すように、所定量の凝集剤を収容している計量器2と、この計量器2と注入管Lを接続する連絡管3により構成されている。また、注入管Lと連絡管3の間に、第3バルブV3を配置している。
【0026】
そして、タンクTからメインパイプMに凝集剤を注入するときには、この第3バルブV3を閉鎖しておく。
【0027】
これに対し、計量装置1からメインパイプMに凝集剤を注入するときには、第1バルブV1を閉鎖し、第2バルブV2・第3バルブV3を開放した状態にする。この様にして、計量装置1からメインパイプMに凝集剤を注入すると、所定量の凝集剤を収容している計量器2において、凝集剤の量が減り、計量器2内において凝集剤の液面の位置が下方に移動する。
【0028】
この他、計量装置1は、図3に示すように、所定量の凝集剤を収容している計量器2の上方側に、大気開放管4を備えている。この大気開放管4は、例えば、計量器2の上部に連設している水平管部分と、水平管部分の先端に連設している下向きの短管部分により構成されている。この短管部分の先端部は、開放されて大気開放部5を形成している。
【0029】
大気開放管4は、例えば、計量器2内に凝集剤を入れる際に、大気開放部5を介して計量器2内から大気側に圧力を吐き出して、計量器2内への凝集剤の収容を可能としている。
【0030】
また、計量器2内から凝集剤を送り出す際に、大気開放部5を介して計量器2内に圧力を吸い込むことにより、凝集剤の送り出しを可能としている。
【0031】
尚、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での改良・変形等は、本発明に全て包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測することができる、凝集剤注入機構における計量装置であるが、凝集剤以外の様々な液体について、注入する微量の液体の量を正確に計測するものとして、幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
T…タンク
L…注入管
M…メインパイプ
P…ポンプ
V1…第1バルブ
V2…第2バルブ
V3…第3バルブ
1…計量装置
2…計量器
3…連絡管
4…大気開放管
5…大気開放部
S1…レベル部分
S2…目盛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤を貯蔵しているタンクと、所定の液体を搬送しているメインパイプを注入管により接続し、注入管を介して所定量の凝集剤をメインパイプに注入する凝集剤注入機構において、
メインパイプに注入する微量の凝集剤の量を正確に計測する計量装置を、注入管に接続したことを特徴とする、凝集剤注入機構における計量装置。
【請求項2】
凝集剤注入機構は、凝集剤を貯蔵しているタンクと注入管の間に第1バルブを配置すると共に、注入管とメインパイプの間に第2バルブを配置し、第1バルブ・第2バルブ間に所定のポンプを設置すると共に、計量装置は、所定量の凝集剤を収容している計量器と、この計量器と注入管を接続する連絡管により構成され、注入管と連絡管の間に第3バルブを配置している請求項1に記載の凝集剤注入機構における計量装置。
【請求項3】
メインパイプへの凝集剤の注入量の計測は、第1バルブを閉鎖し、第2バルブ・第3バルブを開放した状態において、所定の時間内に、計量器からメインパイプに注ぎ込まれる凝集剤の量を計量器により計測する請求項2に記載の凝集剤注入機構における計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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