説明

凹凸模様を有する化粧板の製造方法

【課題】スクリーン印刷法にて形成した塗膜の立体形状に曲線的な変化をもたせることによって、意匠性に優れた化粧板の製造方法を提供する。
【解決手段】基材若しくは下層塗膜を施した基材表面に、粘度(温度25℃)が2.0〜12.0Pa・s、チクソトロピックインデックス(TI値=温度25℃で回転数2rpmにおける粘度/温度25℃で回転数20rpmにおける粘度)が2.0〜6.0である紫外線硬化型被覆組成物を、30〜200メッシュの版を用いてスクリーン印刷して所望の模様に凹凸を形成させ、紫外線照射により塗膜を硬化させ、その塗膜上にクリアー塗料を塗布し、硬化させることを特徴とする立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性に優れ、立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインテリア材や建築物の内外装基材等において意匠性を付与するために模様を施したものが広く採用されている。それら基材に模様を施す方法として、スクリーン印刷法にて立体感のある凹凸模様を塗膜で形成する方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
このスクリーン印刷法とは、適当なメッシュ数の紗に、必要な模様部分以外を樹脂等にて隠蔽したスクリーン版上を、スキージを用いて塗料を移動させ、隠蔽していない模様部分の紗の網の目にのみ塗料を刷り込んだ後、スクリーン版を上げる方法により盛り上げ、模様状の凹凸を形成させる方法である。
【0004】
このスクリーン印刷法によって形成する立体的模様は、通常、基板に対する塗膜の有無によって形成されているが、凸部の模様を形成する塗膜部分はすべて一定の厚みを有しており、かつ塗膜の角が垂直の形状となっている。このように凸部と凹部の高低差が一定であり、直線的となっているので、立体的模様の中に曲線的な変化がなく単調となり、意匠性に乏しい面があった。
【特許文献1】特開平9−201929号公報
【特許文献2】特開2005−231103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような諸問題を解決するものであり、スクリーン印刷法にて形成した塗膜の立体形状に曲線的な変化をもたせることによって、意匠性に優れた化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記の構成を有する製造方法により、本発明の上記目的を達成することができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、基材若しくは下層塗膜を施した基材表面に、粘度(温度25℃)が2.0〜12.0Pa・s、チクソトロピックインデックス(TI値=温度25℃で回転数2rpmにおける粘度/温度25℃で回転数20rpmにおける粘度)が2.0〜6.0である紫外線硬化型被覆組成物を、30〜200メッシュの版を用いてスクリーン印刷して所望の模様に凹凸を形成させ、紫外線照射により塗膜を硬化させ、その塗膜上にクリアー塗料を塗布し、硬化させることを特徴とする立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法からなる。
【0008】
さらに、前記クリアー塗料が、着色されたクリアー塗料である前記記載の立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によって、スクリーン印刷法にて形成した塗膜の立体形状に変化をもたせることによって、意匠性に優れた化粧板の製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に関してさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明において使用される基材とは、鋼板、非鉄金属、無機建材、木質系材料、プラスチック、陶磁器類、ガラス等が挙げられる。例えば、鋼板としては、黒皮鋼板、ダル鋼板、みがき鋼板、ステンレス鋼板、鋳物鋼板の他に、ブリキ板、亜鉛メッキ鋼板、塗装鋼板、ラミネート鋼板等の表面処理鋼板を含み、非金属としてアルミニウム、銅等とそれらの合金板を含む。無機建材としては石綿スレート板、ケイカル板、石膏スラグ板、押し出し成形石綿セメント板、GRC板、石膏ボード、モルタル板、軽量気泡コンクリート板、ロックウール板、ガラス板、セラミック板に適用できる。木質系材料としてはブナ、ラワン、アガチス等の天然木板の他にベニヤ合板、パーティクルボード、ハードボード、チップボード、化粧合板等を用いることができる。プラスチックとしてはアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ガラス繊維強化のエポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド等を用いることができる。なお、これらの基材には、必要に応じて基材の目止め、基材と下塗塗膜との密着性を確保することを目的としたシーラー、または下層塗料を塗装することが可能である。シーラーとしては、塗装対象の基材に応じて通常使用されているシーラーを用いることが可能であり、水系、溶剤系の別を問わない。また、結合剤として使用する樹脂に関してもその種類は問わない。下層塗膜の塗料は、水系、溶剤系の別を問わず、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂を結合剤とし、さらに着色顔料、体質顔料、水、有機溶剤及びその他の各種添加剤等を配合することができる。前記着色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー、カーボンブラック等が代表的な例として挙げられる。前記体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、石英粉等が代表的な例として挙げられる。また、前記有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が代表的な例として挙げられる。前記その他の各種添加剤としては、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いられる紫外線硬化型被覆組成物の成分は、従来から通常使用されているものが特に制限なく使用できる。即ち、本発明における紫外線硬化型被覆組成物は、紫外線重合性化合物、光開始剤を必須成分とし、さらに必要に応じ体質顔料、着色顔料、溶剤、添加剤等からなるものである。
【0013】
さらに詳しく説明すると、前記「紫外線重合性化合物」としては、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物が用いられる。具体的には、比較的低分子量のポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル系オリゴマーまたはプレポリマー及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性モノマーの単独または混合物が代表的なものとして挙げられる。また紫外線重合性化合物としてカチオン開環重合型のビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルデシルエーテル、1,2−エポキシシクロヘキサン、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ソルビトールポリグリシジルエーテル等も使用できる。
【0014】
また、「光開始剤」としてはベンゾイン、ベンゾフェノンまたはこれらのエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジサルファイド、N−メチルジエタノールアミン、アシルフォスフィンオキサイド、2,5−ジエトキシ−4−(p−トリルチオ)ベンゼンアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチロフェノン、α,α−ジメチル−α−ヒドロキシアセトフェノン等の通常の反応開始剤が例として挙げられる。
【0015】
「体質顔料」としては、珪砂、珪酸塩、タルク、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、粉末状、フレーク状、ファイバー状のガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂粉末等が代表的なものとして挙げられる。
【0016】
「着色顔料」としては、通常の無機・有機染顔料が使用できる。具体的には、酸化チタン、硫化亜鉛、亜鉛華、鉛白、リトポン、カーボンブラック、油煙、紺青、フタロシアニンブルー、群青、カーミンFB、黄鉛、亜鉛黄、ハンザイエロー、オーカー、ベンガラ、不溶性含金属アゾ染料等やその他、パール顔料、アルミフレーク等が挙げられる。
【0017】
「溶剤」としては、トルオール、キシロール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が代表的なものとして挙げられる。
【0018】
さらに厚膜塗膜の形成を可能とするために、中心粒径100μm以下、好ましくは10〜60μmの透明な球状ガラスビーズ及び/または透明なガラス粉末を全被覆組成物固形分中に20〜80重量%の量で含有することができる。具体的には、ソーダライムガラス、ソーダライム・鉛ガラス、カリ・鉛ガラス、カリ・ソーダ・鉛ガラス、硼珪酸ガラス、高アルミナガラス、カリ・ソーダ・バリウムガラス等が具体例として挙げられ、特に低アルカリガラスが耐加水分解性が良好なので望ましい。
【0019】
本発明の紫外線硬化型被覆組成物は、粘度(温度25℃)が2.0〜12.0Pa・sであり、5.0〜10.0Pa・sであることが好ましい。
【0020】
粘度が2.0Pa・s未満である低粘度の場合には塗膜が流れて滲みやすくなるので、立体感のある凹凸模様が得られない。2.0〜5.0Pa・sの範囲では塗膜が流れて滲みやすい傾向にはあるが、後述するTI値が3.5以上であれば立体感のある模様を得ることができる。他方、10.0Pa・sを超える高粘度の場合には被覆組成物がスクリーン版を通過し難くなる。そのため印圧(スキージにかける圧力)を高くする必要があるのでスキージと版との摩擦が大きくなり版の早期の劣化を生ずるが、立体感のある凹凸模様は得られる。しかし、12.0Pa・sを超えるとさらに被覆組成物が版を通過し難く塗膜の流動性が低くなるので、1回のスキージングでは印刷抜けや飛びを生じると同時に、塗膜の角が比較的に直角となってしまい、本発明の特徴である曲線的な形状が得られない。
【0021】
さらに本発明では、被覆組成物のTI値を2.0〜6.0とすることが重要である。ここで、TI値とは、被膜組成物の温度を25℃に調整した後、BH型粘度計を用いて測定した値であり、下記式により求めた値である。
【0022】
TI=η(回転数2rpmでの粘度)/η20(回転数20rpmでの粘度)
【0023】
TI値が2.0未満である場合には塗膜が流れて滲みやすくなるので模様が不明瞭となり、6.0を超える場合には、被覆組成物がスクリーン版を通過し難く塗膜の流動性が低くなるので、1回のスキージングでは印刷抜けや飛びを生じると同時に、塗膜の角がほぼ直角となってしまい、本発明の特徴である曲線的な形状が得られない。
【0024】
本発明において、意匠性のある立体的な凹凸模様を得るためには紫外線硬化型被覆組成物が上記粘度とTi値を同時に満たすことが必要である。たとえば、粘度(温度25℃)が2.0〜12.0Pa・sの範囲であっても、TI値が2.0未満であった場合は、塗膜が流れて滲みやすくなるので模様が不明瞭となってしまうのである。つまり、粘度が2.0〜12.0Pa・s、なおかつTI値が2.0〜6.0である紫外線硬化型被覆組成物を塗布することによって得られた塗膜は適度な流動性を有しているので、塗膜の角がなだらかとなり、塗布されていない面から徐々に膜厚が増す、凹凸面が緩やかな連続的な立体形状を得ることができるのである。これら連続的な膜厚を有する立体形状によって、視覚的に自然な風合いを表現することができるので、意匠性に優れた模様を得ることができるのである。
【0025】
粘度、チクソトロピックインデックス値の調整には、微粒子酸化チタン、微粒子炭酸カルシウム、微粒子シリカといった吸油量が高い粒子や、ポリアマイド系増粘剤のような会合性のものが適当である。これらのものを配合することで、粘度、チクソトロピックインデックス値を上昇させることができるが、樹脂固形分に対して50%以上配合すると流動性が無く、固化した状態となり塗料として成り立たないため、好ましくない。
【0026】
本発明で使用するスクリーン版は30〜200メッシュのものであり、50〜200メッシュのものが好ましい。30メッシュ未満であると模様が大きくなるので、微細な模様塗膜が表現できない。200メッシュを超えるとメッシュの線径が細いので糸の伸びが生じて厚付けが困難であり、また、1回のスキージングでは印刷抜けや飛びを生じる。さらに、スクリーン版の総厚が80〜400μmであることが好ましく、さらに120〜400μmであることがより好ましい。ここで、総厚とは、紗厚(版を構成する糸の厚み)と乳剤厚(版から被塗物が出ないように目止めした部分)を合わせた値である。総厚が80μm未満であると、凹凸がはっきりせず、仕上がりも模様が不明瞭となりやすいので、好ましくない。。400μmを超えると、紫外線硬化型被覆組成物が紗を通過し難くなるため、印刷抜けや飛びを生じやすいので、好ましくない。
【0027】
本発明で用いるクリアー塗料は、水系、溶剤系、無溶剤系の別は問わず、またその塗料組成は代表的には、上記紫外線硬化型被覆組成物から着色顔料を除いたもの、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を1種単独で用いても、これらの樹脂の2種以上を併用しても、またはこれらの樹脂と硬化剤とを併用してもよい。
【0028】
さらに、上記クリアー塗料に着色顔料を加えたクリアー塗料(以下「着色クリアー塗料」という)を用いることにより、上記立体的模様を強調することができる。この着色クリアー塗料は、標準的な塗装膜厚で下地を隠蔽するものではなく、隠蔽性の低いクリアー塗料である。凹凸の立体的形状を有する基材に該着色クリアー塗料を塗布すると、凹部に着色クリアー塗料が溜まることによりクリアー膜厚が増加し、凸部は着色クリアー塗料が流れることによりクリアー膜厚が減少する。これら凹部と凸部の膜厚の違いから、凹部では凸部より色みが強くなり、凹部から凸部にかけてグラデーションを呈するので、立体的形状を強調することができるのである。
【0029】
ここで、着色クリアー塗料は15μmの膜厚で隠蔽率が30%以下であり、80μmで隠蔽率が20%〜90%であることが好ましい。15μmの膜厚で隠蔽率が30%を超えると凸部と凹部との色の差が明確ではなく、好ましくない。80μmでの隠蔽率が20%未満では凹部の色が薄くなり、90%を超えると凹部で隠蔽してしまうため、共に効果が乏しくなるため、好ましくない。本発明でいう隠蔽率とは、隣接して白部と黒部が印刷された隠蔽率試験紙(JIS K5600−4−1に準拠)に所定の膜厚になるように塗装し、乾燥後、試験紙の白部の三刺激値(Y)と黒部の三刺激値(Y)を測定しY/Yを百分率で表したものである(JIS Z8722に準拠)。
【0030】
上記クリアー塗料の着色顔料としては、通常の無機・有機染顔料が使用できる。具体的には、酸化チタン、硫化亜鉛、亜鉛華、鉛白、リトポン、カーボンブラック、油煙、紺青、フタロシアニンブルー、群青、カーミンFB、黄鉛、亜鉛黄、ハンザイエロー、オーカー、ベンガラ、不溶性含金属アゾ染料等が代表的なものとして挙げられる。特に着色クリアー塗料に紫外線硬化型被覆組成物を使用した場合は、紫外線吸収率の小さな硫化亜鉛、油煙、群青、フタロシアニンブルー、カーミンFB、黄鉛、オーカー、ベンガラ、不溶性含金属アゾ染料等が好適である。その他、添加することが可能な着色顔料としては艶消し材を含む体質顔料、染料、パール顔料、アルミフレーク等の各種の着色剤が挙げられる。
【0031】
また、クリアー塗料に対して必要に応じ各種溶剤を添加することが可能であり、具体的にはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸正プロピル、酢酸正ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、石油ベンジン、ゴム揮発製油などの脂肪族炭化水素系溶剤及び水等が代表的なものとして挙げられる。
次に、本発明の凹凸模様を有する化粧板の製造方法について説明する。
【0032】
本発明においては、まず、基材表面に前記の下塗塗料を塗布、硬化させて下塗塗膜を形成する。下塗塗料の塗布は、具体的には、基材表面に、前記下塗塗料を塗布、含浸させ、素地固めをし、かつ、基材中の空隙部の空気を塗料で置換、充填することにより行われる。前記下塗塗料にはシーラーとしての機能も持たせているが、場合により、無機質基材に予めシーラーを塗布、含浸させ、その後前記下塗塗料を塗布してもよく、そのような態様も本発明の製造方法に含まれるものである。塗布された下塗塗料は、常温乾燥または強制乾燥により硬化させるが、予熱した基材を使用することにより乾燥を早めることも可能である。このようにして下塗塗膜が形成される。ただし、鋼板等の基材の種類によっては、下塗塗料を必要としない場合もある。
【0033】
次いで基材若しくは得られた下塗塗膜上に全面若しくは部分的に前記紫外線硬化型被覆組成物をスクリーン印刷し、所望の模様状凹凸塗膜を形成する。
【0034】
スクリーン印刷の後、紫外線を照射して光重合反応を誘起させて、塗膜を硬化させ、スクリーン印刷塗膜を形成する。尚、紫外線を照射するために用いられる光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプ等を使用することができる。
【0035】
所望の模様を形成させた後、クリアー塗料または着色クリアー塗料を全面または一部表面に塗装することによりクリアー仕上げを行う。クリアー塗料の塗装方法としては、塗料において従来から用いられている塗装方法を採用することが可能である。具体的には、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装、ロールコーター塗装、フローコーター塗装等が代表的なものとして挙げられる。クリアー塗料の乾燥方法としては、塗料の形態に応じて任意に選択することが可能である。具体的には、常温乾燥、強制乾燥、焼き付け乾燥、活性エネルギー線照射等の方法から、使用したクリアー塗料の形態に基づいて任意に選択する。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は重量基準である。
【0037】
<紫外線硬化型被覆組成物の調整>
表1に示す割合で、アクリルウレタンオリゴマー(i)、エポキシアクリレート樹脂オリゴマー(ii)、トリメチロールプロパントリアクリレート、N−ビニルピロリドン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等を配合し、紫外線硬化型被覆組成物1〜10を調整した。ここで、アクリルウレタンオリゴマー(i)は、平均分子量500でありイソホロンジイソシアネート1モルと2−ヒドロキシエチルアクリレート2モルを常法により付加反応させ得た。エポキシアクリレート樹脂オリゴマー(ii)は、酸価20であり、エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製ビスフェノールA型ジエポキシ化合物、分子量380)1モルとアクリル酸2モルを常法により付加反応させ得た。なお、粘度の測定には、リオン株式会社製のビスコテスタVT−04F(高粘度用)を使用し、チクソトロピックインデックスの測定には、東機産業株式会社製のBH型粘度計を使用した。
【0038】
<着色クリアー塗料の調整>
ルーセン#300クリアー(大日本塗料株式会社製、商品名:アクリルウレタン樹脂系紫外線硬化型クリアー)97部に対してフタロシアニンブルー3部を練合し、15μmでの隠蔽率15%、80μmでの隠蔽率37%の着色クリアーを作成した。ここで、隠蔽率を算出するための三刺激値はコニカミノルタ株式会社製色彩色差計CR−400を用いて測定した。
【0039】
<基材の調整>
無石綿スレート板(JIS−A−5430(繊維強化セメント板)フレキシブル板)表面に、下塗塗料としてエポニックス#10 白(大日本塗料株式会社製エポキシ樹脂塗料)を乾燥膜厚30μmになるように塗装し、80℃×30分間乾燥させ、下塗スレート板を得た。
【0040】
板厚0.5mmのクロメート処理した電気亜鉛メッキ鋼板にVニット#160プライマー(大日本塗料株式会社製ポリエステル樹脂プライマー)を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、最高板温204℃になるように熱風乾燥炉で60秒間乾燥させた。その後、Vトップ#400 白(大日本塗料株式会社製ウレタン樹脂塗料)を乾燥膜厚25μmになるように塗装し、80℃×30分間乾燥させ、下塗鋼板を得た。
【0041】
<目視評価>
クリアー塗装、乾燥後の塗膜表面における凹凸模様の意匠性について目視にて評価した。
◎ 意匠性に優れた曲線的な凹凸模様が形成されている。
○ 意匠性に問題のない程度に曲線的な凹凸模様が形成されている。
× 塗膜が流れて凹凸模様が形成されていない、若しくは、印刷抜けや飛びを生じており曲線的な凹凸模様が形成されていない。
【0042】
(実施例1)
基材に紫外線硬化型組成物1を100メッシュ、総厚150μmのスクリーン版を用い、立体柄スクリーン印刷を行い、紫外線照射により硬化させ、膜厚80μmの凹凸模様塗膜を形成させた。さらにその上に、透明クリアー塗料としてルーセン#300クリアー(大日本塗料株式会社製、商品名:アクリルウレタン樹脂系紫外線硬化型クリアー)を用い、硬化膜厚50μmとなるように塗装し、紫外線照射により硬化させ、模様化粧板を作成した。
【0043】
使用したスクリーン版のメッシュ数及び目視評価結果を表2に示す。
【0044】
(実施例2〜11、比較例1〜7)
表2に示した基材、紫外線硬化型被覆組成物、クリアー塗料及びメッシュを使用した以外は、実施例1と同様に模様化粧板を作成した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材若しくは下層塗膜を施した基材表面に、粘度(温度25℃)が2.0〜12.0Pa・s、チクソトロピックインデックス(TI値=温度25℃で回転数2rpmにおける粘度/温度25℃で回転数20rpmにおける粘度)が2.0〜6.0である紫外線硬化型被覆組成物を、30〜200メッシュの版を用いてスクリーン印刷して所望の模様に凹凸を形成させ、紫外線照射により塗膜を硬化させ、その塗膜上にクリアー塗料を塗布し、硬化させることを特徴とする立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法。
【請求項2】
前記クリアー塗料が、着色されたクリアー塗料である請求項1記載の立体感のある凹凸模様を有する化粧板の製造方法。

【公開番号】特開2009−56429(P2009−56429A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227794(P2007−227794)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】