説明

出入口用額縁

【課題】意匠性を高めるために用いられる出入口用の額縁に新たな機能を付加することを目的とする。
【解決手段】ドアによって開閉される建物の出入口の側縁に沿って設けられる出入口用額縁であって、建物の外壁に取り付けられ、内部に空間が形成された本体部と、この本体部に形成された空間内に配され、前記本体部の周面に形成された吸引口より空気を吸引しつつ前記本体部の周面に形成された吹出口より空気を吹き出す送風手段と、を備える出入口用額縁とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出入口(玄関等)の周囲に設けられる額縁に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるように、建物の出入口には意匠性を高めるための額縁(特許文献1の化粧性ドア枠に相当する)が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−247376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような額縁は、通常、出入口の意匠性を高める以外の機能を有するものではない。上記特許文献1には、表札やインターホンなどの要素を額縁(化粧ドア枠)に含ませた構成が記載されているが、出入口がすっきりとした印象となる以上の効果(外観を向上させる以外の効果)を発現するものではない。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明は、意匠性を高めるために用いられる出入口用の額縁に新たな機能を付加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、ドアによって開閉される建物の出入口の側縁に沿って設けられる出入口用額縁であって、建物の外壁に取り付けられ、内部に空間が形成された本体部と、この本体部に形成された空間内に配され、前記本体部の周面に形成された吸引口より空気を吸引しつつ前記本体部の周面に形成された吹出口より空気を吹き出す送風手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記出入口用額縁は、額縁本体を構成する本体部内に、本体部に形成された吹出口から空気を吹き出す送風手段を備える。したがって、出入口を通って屋内に進入しようとする人に付着した花粉や埃、放射性物質などの物質(以下、このような物質を屋外物質と総称する)が、人が屋内に進入する前に吹き飛ばされる。このように、上記出入口用額縁は、建物の出入口の意匠性を高めるためだけでなく、人に付着した屋外物質を除去する装置としても機能する。
【0008】
この場合、前記本体部の外側の面に前記吸引口が形成され、前記本体部の内側の面に前記吹出口が形成されていればよい。
【0009】
かかる構成によれば、本体部の内側の面に吹出口が形成されているから、屋内に進入しようとする人に付着した屋外物質を効率よく吹き飛ばすことができる。また、本体部の外側の面に吸引口が形成されているから、内側の面から吹き出す空気、すなわち吹き飛ばされた屋外物質を含む空気が再び吸引されにくい。また、本体部に形成された吹出口や吸引口は、出入口正面からは目立たないため、これらが意匠性の低下を引き起こすこともない。
【0010】
またこの場合、前記本体部の内側の面は、その少なくとも一部が先端にかけて外側に広がる方向に傾斜しており、前記吹出口は、この傾斜した面に沿って形成されていればさらによい。
【0011】
このように、本体部における内側の面の少なくとも一部が先端にかけて外側に広がる方向に傾斜していれば、額縁によって出入口が狭められている(圧迫されている)ような印象ではなく、出入口が広く開放している印象を与える。そして、この傾斜した面に吹出口が形成されていれば、屋外物質を吹き飛ばした空気は、屋外の方向に流れ、屋内に入り込みにくい。このように、上記構成によれば、額縁としての意匠性を高めるための構成(本体部の内側の面が傾斜している構成)を巧みに利用して、屋外物質の進入を防止する効果をさらに高めることができる。
【0012】
また、屋外における出入口近傍の所定の範囲内に人が存在することを検出する人検出センサにより、当該所定の範囲内への人の進入を検出したことを契機として、前記送風手段を駆動させるようにするとよい。また、出入口を開閉するドアがロックされた状態からそのロックが解除されたことを検出するロック解除センサにより、屋外側からロックが解除されたのを検出したことを契機として、前記送風手段を駆動させるようにしてもよい。
【0013】
上記構成を採用すれば、人センサ検出範囲内に入ったり、ドアのロックを解除したりすれば自動的に送風手段が駆動し、吹出口より吹き出された空気によって屋外物質が吹き飛ばされる。したがって、帰宅する度にスイッチを操作するといった必要がなくなるため使い勝手がよい。また、送風手段を駆動させることを忘れてしまうこともない。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる出入口用額縁は、建物の出入口の意匠性を高めるためだけでなく、人に付着した屋外物質を除去する装置としても機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態にかかる出入口用額縁の外観図である。
【図2】本実施形態にかかる出入口用額縁の断面図(図1におけるA−A線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向とは図1における上下(Y方向)をいい、左右方向(幅方向)とは、図1における左右(X方向)をいうものとする。
【0017】
出入口用額縁は、ドア90によって開閉される建物の出入口(開口部)の側縁に沿って設けられる。本実施形態にかかる出入口用額縁1は、出入口の左側縁および右側縁に沿って設けられており、本体部10および送風手段20を備える。なお、出入口の左側縁に設けられたものと右側縁に沿って設けられたものは、出入口を幅方向に二分する中央線に関し、左右対称である。
【0018】
本体部10は、出入口の側縁に沿って延びる内側に空間101が形成された角筒状の部材である。この本体部10を構成する板材(化粧板)の柄(模様)が、額縁としての意匠を決定する。この本体部10は、建物の外壁91(屋外側)に固定される。具体的には、本体部10の底面11が外壁91に密着した状態で固定される。この本体部10の周面には、吸引口121および吹出口131が形成されている。本実施形態では、本体部10の外側の面12(幅方向外向きの面、すなわち出入口とは反対側の面)に吸引口121が形成され、本体部10の内側の面13(幅方向内向きの面、すなわち出入口側の面)に吹出口131が形成されている。吸引口121と吹出口131の高さ方向位置は略同じに設定されている。詳細を後述する送風手段20によって吸引口121から吸い込まれた空気は、吹出口131より吹き出される。つまり、空気は、本体部10の外側から吸い込まれ、内側に向かって吹き出される。
【0019】
図2から分かるように、この本体部10の内側の面13は、その少なくとも一部が先端(先端面14)にかけて外側に広がる方向に傾斜している(先端面14に繋がる傾斜面13aが形成されている)。別の見方をすれば、本体部10は、内側の面13と先端面14とによって形成される稜角を削るように面取りされた断面形状となっている。なお、ここでいう「先端」とは、最も屋外寄り(屋内から離れた)の面(底面11の反対側の面)のことである。このように内側の面13が先端にかけて外側に広がる方向に傾斜していれば、額縁で囲まれる領域が屋外方向に向かって段々と広がっているということであるから、額縁の存在による圧迫感が低くなる。そして、本実施形態では、この内側の傾斜した面に沿って吸引口121が形成されている。したがって、送風手段20によって吹き出される空気の流れ(吹き出す向き)は、屋外寄りに傾斜した方向(屋内から離れる方向)となる。
【0020】
送風手段20は、本体部10に形成された空間101内に配された少なくとも送風機21を含む構成である。送風手段20が有する送風機21としては、いわゆるクロスフローファンが好適である。このようなクロスフローファンを、上下方向に沿って配置すれば、上下方向に長い風を発生させることができる。なお、吹出口131から吹き出される風圧を大きくするため、吸引および吹出のための流路を確保した送風機21を囲む箱状の送風機収容部を別途設けてもよい。かかる構成とすれば、吹出口131から吹き出されず本体部10内に逃げてしまう空気の量を小さくすることができるから、吹出口131から吹き出される風圧が大きくなる。
【0021】
以上説明した出入口用額縁1によれば、次のような作用効果が奏される。出入口用額縁1は、額縁本体を構成する本体部10内に、本体部10に形成された吹出口131から空気を吹き出す送風手段20を備える。したがって、出入口を通って屋内に進入しようとする人に付着した屋外物質が、人が屋内に進入する前に吹き飛ばされる。このように、上記出入口用額縁1は、建物の出入口の意匠性を高めるためだけでなく、人に付着した屋外物質を除去する装置としても機能する。
【0022】
また、吹出口131は本体部10の内側の面13に吹出口131が形成されているから、人に付着した屋外物質を効率よく吹き飛ばすことができる。さらに、本体部10の外側の面12に吸引口121が形成されているから、内側の面13から吹き出す空気、すなわち吹き飛ばされた屋外物質を含む空気が再び吸引されにくい。また、本体部10に形成された吹出口131や吸引口121は、出入口正面からは目立たないため、これらが意匠性の低下を引き起こすこともない。
【0023】
また、本体部10における内側の面13の少なくとも一部が先端にかけて外側に広がる方向に傾斜している(傾斜面13aが形成されている)ため、額縁によって出入口が狭められている(圧迫されている)ような印象ではなく、出入口が広く開放している印象を与える。そして、この内側の面13の傾斜面13aに吹出口131が形成されているため、屋外物質を吹き飛ばした空気は、屋外の方向に流れるから、屋内に入り込みにくい。このように、本実施形態にかかる出入口用額縁1は、額縁としての意匠性を高めるための構成(本体部10の内側の面13に傾斜面13aが形成されている構成)を巧みに利用して、屋外物質の進入を防止する効果を高めている点で優れる。つまり、本体部10の内側の面13に傾斜面13aが形成されている構成を利用して、額縁としての意匠性、人に付着した屋外物質を吹き飛ばす装置としての性能の両方を向上させた点で優れる。
【0024】
このような出入口用額縁1は、送風手段20を駆動させるための構成(契機(トリガー)となる構成)をさらに備える。かかる構成としては、様々なものが考えられる。例えば、単純な機械的に操作されるスイッチを、出入口用額縁1自体や出入口近傍に設け、当該スイッチを操作することにより送風手段20を動作させる構成としてもよい。
【0025】
また、出入口用額縁1や出入口近傍の外壁91などに、出入口付近の所定の範囲内に人が存在することを検出する人検出センサを設置し、当該センサが所定の範囲内への人の進入を検出したことを契機として、送風手段20を駆動させるようにしてもよい。かかる構成とすれば、帰宅する度にスイッチを操作するといった必要がなくなるため使い勝手がよい。また、送風手段20を駆動させることを忘れてしまうこともない。
【0026】
この場合、外から帰宅したケースにのみ送風手段20が駆動するようにするため、出入口のドア90がロックされている条件下において、前記所定の範囲内への人の進入を検出したことを契機として、送風手段20を駆動させるようにしてもよい。このようにすれば、外出しない場合(単に庭先に出るだけのような場合)に送風手段20は駆動しないため都合がよい。
【0027】
また、出入口を開閉するドア90がロックされた(鍵が掛けられた)状態からそのロックが解除されたことを検出するロック解除センサを設置し、当該センサが屋外側からロックが解除されたのを検出したことを契機として、送風手段20を駆動させるようにしてもよい。かかる構成とすれば、上記人検出センサを利用した場合と同様に、帰宅する度にスイッチを操作するといった必要がなくなり、送風手段20を駆動させることを忘れてしまうこともない。なお、「屋外側」からロックが解除されたことを契機とするのは、帰宅時にのみ送風手段20を駆動させるため(屋内側からロックが解除された場合に送風手段20を駆動させないようにするため)である。このように「屋外側」からロックが解除されたことを検出するためには、出入口付近に人が存在することを検出する人検出センサを設置すればよい。つまり、出入口付近に人が存在し、かつ、ドア90のロックが解除された場合には、「屋外側」からロックが解除されたことになる。なお、鍵が二以上設けられている場合には、そのうちいずれか一つでもロックが解除されたときに送風手段20が駆動される構成としてもよいし、全てのロックが解除されたときに送風手段20が駆動される構成としてもよい。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0029】
例えば、上記実施形態にかかる出入口用額縁1は、出入口の左側縁および右側縁に沿って設けられているものとしたが、出入口の上側縁や下側縁に沿って設けられる場合であっても同様の技術的思想が適用できる。
【符号の説明】
【0030】
1出入口用額縁、10本体部、101空間、12外側の面、121吸引口、13内側の面、13a傾斜面、131吹出口、20送風手段、90ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアによって開閉される建物の出入口の側縁に沿って設けられる出入口用額縁であって、
建物の外壁に取り付けられ、内部に空間が形成された本体部と、
この本体部に形成された空間内に配され、前記本体部の周面に形成された吸引口より空気を吸引しつつ前記本体部の周面に形成された吹出口より空気を吹き出す送風手段と、
を備えることを特徴とする出入口用額縁。
【請求項2】
前記本体部の外側の面に前記吸引口が形成され、前記本体部の内側の面に前記吹出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の出入口用額縁。
【請求項3】
前記本体部の内側の面は、その少なくとも一部が先端にかけて外側に広がる方向に傾斜しており、前記吹出口は、この傾斜した面に沿って形成されていることを特徴とする請求項2に記載の出入口用額縁。
【請求項4】
屋外における出入口近傍の所定の範囲内に人が存在することを検出する人検出センサにより、当該所定の範囲内への人の進入を検出したことを契機として、前記送風手段を駆動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の出入口用額縁。
【請求項5】
出入口を開閉するドアがロックされた状態からそのロックが解除されたことを検出するロック解除センサにより、屋外側からロックが解除されたのを検出したことを契機として、前記送風手段を駆動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の出入口用額縁。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−24022(P2013−24022A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171357(P2011−171357)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(399019696)株式会社三恵ネット (1)
【Fターム(参考)】