説明

出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システム

【課題】 暖房性能を維持しつつ、暖房装置を開閉窓の窓際をはじめ所望する場所に設置可能であるとともに、使用しない場合には暖房装置を収納してその設置場所を有効利用することのできる出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システムを提供する。
【解決手段】 床下または壁内に設けられた器具収納庫2に収納される放熱器5と、前記器具収納庫2内で前記放熱器5に連結されているとともに前記放熱器5を前記器具収納庫2内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で入庫または出庫する器具出入庫手段6とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱器を床下または壁内に入庫および出庫することを可能とした出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物には、断熱性を高めるために壁内等に断熱材が設けられている。しかし、窓には断熱材を入れることはできないため、窓際の空気は壁等と比べて外気の影響を受け易い場所となっている。そのため、外気温が室内温度と比べて低いときには、窓際の空気は冷やされ、コールドドラフトと呼ばれる冷気の下降流となって室内を流れ、部屋全体を冷やしてしまうという問題があった。
【0003】
従来、上記コールドドラフトの防止策として、窓際に放熱器を設置し、窓際の空気を暖めることで、冷気とは逆方向の上昇流を発生させる試みが行われてきた。
【0004】
しかしながら、窓の用途として、バルコニーに繋がる掃き出し窓等、室外との出入口として用いられる開閉窓があり、このような開閉窓の窓際は小さな窓に比べてコールドドラフトの効果が強いにもかかわらず、人の出入りの妨げとなるため放熱器が設置できなかった。また、放熱器を設置した場所には家具等を置くことができず、デットスペースとなっていた。
【0005】
以上のような問題点に対し、特開2004−116974号公報では、掃き出し窓の室内側隣接床面部に溝が設けられ、この溝内に放熱源が設置され、溝は蓋で閉じられ、放熱源の発する熱が蓋を介して上方に伝えられるように成されている掃き出し窓におけるコールドドラフト防止システムが提案されている(特許文献1)。また、前記蓋は、ガラリ状の通気板とすることにより、放熱フィンとしての効果を有することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−116974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、放熱部の上方の空気を暖めるだけであるため、上昇流が起こりづらいという問題がある。そのため、コールドドラフトの防止効果は低く、暖房効率はあまり高くない。
【0008】
また、蓋をガラリ状にすると、ゴミが溝に落下し易いという問題がある。落下したゴミを掃除するには、蓋のみならず、放熱源となるパイプ等を外す必要があり、作業が面倒であった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、暖房性能を維持しつつ、暖房装置を開閉窓の窓際をはじめ所望する場所に設置可能であるとともに、使用しない場合には暖房装置を収納してその設置場所を有効利用することのできる出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る出入庫機能付暖房装置は、床下または壁内に設けられた器具収納庫に収納される放熱器と、前記器具収納庫内で前記放熱器に連結されているとともに前記放熱器を前記器具収納庫内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で入庫または出庫する器具出入庫手段とを有する。
【0011】
また、本発明における一様態として、前記放熱器の底部には、前記放熱器を出入庫する際に前記器具収納庫の内壁面に摺接して前記放熱器の出入庫動作を案内するガイド部材が設けられていてもよい。
【0012】
さらに、本発明における一様態として、前記放熱器の底部には、前記放熱器と前記器具収納庫との間に生じる隙間を覆うための目隠し板が回動自在に設けられており、この目隠し板は、前記放熱器が収納位置に入庫される際に前記放熱器の側面方向に回動されて前記放熱器の側面に沿って収納されるとともに、前記床上または前記壁外の使用位置に出庫される際には前記隙間方向に回動されて前記隙間を覆うように構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明における一様態として、前記放熱器の底部の外周面には、前記放熱器と前記器具収納庫との間に生じる隙間より毛足の長い起毛部材が設けられており、前記器具収納庫の内側面には、前記放熱器が収納位置にある場合に前記起毛部材の毛先を収納する第一起毛収納凹部と、前記床上または前記壁外の使用位置にある場合に前記起毛部材の毛先を収納する第二起毛収納凹部とが設けられていてもよい。
【0014】
さらに、本発明における一様態として、前記放熱器と前記器具出入庫手段とは、ヒンジ手段を介して連結されており、このヒンジ手段は、前記放熱器の出庫状態において前記放熱器を横に回動させて倒し、前記器具収納庫の内部を開放するように構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る出入庫機能付暖房システムは、床下または壁内に開口されて放熱器を収納可能に設けられた器具収納庫と、この器具収納庫に収納される放熱器と、この放熱器に連結されているとともに前記放熱器を前記器具収納庫内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で出入庫する器具出入庫手段と、前記放熱器に温水または蒸気を供給する熱源供給手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、開閉窓等の窓際をはじめとして所望する場所に設置可能であるとともに、使用しない場合には暖房装置を収納してその設置場所を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る出入庫機能付暖房システムの第一実施形態を示す概略模式図である。
【図2】本発明に係る出入庫機能付暖房装置の第一実施形態における収納位置に入庫させた状態を示す正面縦断面図である。
【図3】本第一実施形態における器具収納庫を示す平面図である。
【図4】図2における4A−4A断面図である。
【図5】本第一実施形態の出入庫機能付暖房装置を使用位置に出庫させた状態を示す正面縦断面図である。
【図6】図5における6A−6A断面図である。
【図7】本第一実施形態における器具出入庫手段および回動力伝達手段を示す平面図である。
【図8】本第一実施形態における出入力機能付暖房装置の放熱器を横に倒した状態を示す側面図である。
【図9】本第一実施形態における放熱器の転倒を防止するロック機能を示す平面図である。
【図10】本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置および器具収納庫の収納位置における状態を示す側面縦断面図である。
【図11】本第二実施形態における放熱器が収納位置から使用位置に出庫する際の起毛部材の先端を示す一部拡大側面断面図である。
【図12】本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置および器具収納庫の使用位置における状態を示す側面縦断面図である。
【図13】本第二実施形態における出入力機能付暖房装置の放熱器を横に倒した状態を示す側面図である。
【図14】本第二実施形態における放熱器が使用位置から収納位置に入庫する際の起毛部材の先端を示す一部拡大側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システムの第一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本第一実施形態の出入庫機能付暖房システム1を示す概略模式図である。また、図2は、本第一実施形態の出入庫機能付暖房装置3Aを示す正面縦断面図である。
【0019】
本第一実施形態の出入庫機能付暖房システム1は、図1に示すように、床下または壁内に設けられる器具収納庫2と、この器具収納庫2内に収納可能に設けられた暖房機能を備えてなる出入庫機能付暖房装置3Aと、この出入庫機能付暖房装置3Aに温水または蒸気を供給する熱源供給手段4とを有する。また、本第一実施形態の出入庫機能付暖房装置3Aは、図2に示すように、器具収納庫2内から出入庫可能に支持されているとともに暖房機能を備えてなる放熱器5と、前記器具収納庫2から前記放熱器5を入庫または出庫する器具出入庫手段6とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0020】
器具収納庫2は、床または壁の所望位置において放熱器5を収納可能な大きさに形成されている。本第一実施形態では、図1に示すように、バルコニーへと繋がる開閉窓の窓際の床に開口部21を備えるように設けられている。また、図2および図3に示すように、開口部21には着脱自在の蓋22と、この蓋22を取り外し易くするためのフックを備えた小蓋23とが設けられている。また、本第一実施形態における器具収納庫2内には、図4に示すように、出入庫機能付暖房装置3Aを収納する空間とは別に、前記蓋22を収納する蓋収納部24が設けられている。なお、蓋収納部24は、後述する第二実施形態のように、出入庫機能付暖房装置3Bを収納する空間内に設けられていてもよい。
【0021】
出入庫機能付暖房装置3Aは、放熱器5と器具出入庫手段6とを有しており、図1に示すように、器具収納庫2内に収納されるとともに、熱源供給手段4に連結されている。
【0022】
なお、本第一実施形態の出入庫機能付暖房システム1における器具収納庫2および出入庫機能付暖房装置3Aは、一箇所に設置されるものに限定されるものではなく、図示しないが、リビング、ダイニング、寝室等の複数箇所に設置してもよい。
【0023】
放熱器5は、周囲の空気と熱交換を行うことで室内を暖めるものである。本第一実施形態における放熱器5は、いわゆる温水ラジエータであり、図示しないが、熱源供給手段4から供給される温水を流通させる温水パイプやこの温水パイプの外周に設けられる放熱板等から構成されている。また、本第一実施形態における放熱器5は、図2および図4に示すように、底部51に器具収納庫2を塞ぐ底板52が固定されている。
【0024】
なお、放熱器5は、温水を用いるものに限定されるものではなく、蒸気を用いるものや電気ヒータを用いるものでもよい。また、熱交換効率を高めるための、電動ファン等を備えていてもよい。
【0025】
器具出入庫手段6は、放熱器5の底板51に連結されており、その放熱器5を器具収納庫2内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で出入庫するものである。本第一実施形態では、主として、2つのジャッキにより構成されており、図2および図4に示すような収納位置と、図5および図6に示すような使用位置との間を伸縮可能に設けられている。
【0026】
なお、本第一実施形態におけるジャッキは、いわゆるパンタグラフジャッキであり、左右および上下に対称となる4節リンク機構からなる。ジャッキの下の節61が、器具収納庫2の底面に固定されているとともに、ジャッキの上の節62が、放熱器5の底部51に連結されている。
【0027】
また、左右の節にはそれぞれ雌ネジが形成された螺進部63,63が設けられており、それらの螺進部63,63は雄ネジが設けられた回転軸64により連結されている。この回転軸64は、正逆方向に回転可能であり、任意の方向に回転されることで左右の節の螺進部63,63を中央方向または外側方向に螺進させ、上下の節61,62を伸縮させることができる。
【0028】
また、回転軸64には、回動力伝達手段65が接続されている。本第一実施形態における回転力伝達手段65は、図2および図7に示すように、電動ドリル、レンチやスパナ等により回動可能な断面略六角形の回転頭部66と、この回転頭部66と前記回転軸64とを接続して回転力を伝達するフレキシブルシャフト67を有する。回転頭部66は、器具収納庫2内の端部近傍において回転自在に設置されている。
【0029】
なお、本第一実施形態における回動力伝達手段65は、上述のとおり、回転頭部66等により構成されているが、これに限定するものではなく、回転電動モータ等を用いてもよい。
【0030】
また、本第一実施形態における放熱器5の底部51には、放熱器5の出入庫を案内するガイド部材7と、使用位置において放熱器5と器具収納庫2との間の隙間を覆う目隠し板8と、放熱器5を横に倒して器具収納庫2を開放するためのヒンジ手段9と、暖房として使用しているときに放熱器5が前記ヒンジ手段9により倒れないようにロックしておくロック手段10とが設けられている。
【0031】
ガイド部材7は、湾曲状に形成されており、器具出入庫手段6によって放熱器5を収納位置と使用位置との間で出入庫する際に、器具収納庫2の内壁面に摺接することにより、前記放熱器5の器具収納庫2内における出入庫動作を案内するものである。本第一実施形態では、図2、図4ないし図6に示すように、放熱器5の底板52の前方および後方において外方向に湾曲された状態で設けられている。
【0032】
目隠し板8は、放熱器5が出庫されて使用位置にある場合に、前記放熱器5と器具収納庫2との間に生じる隙間を覆うためのものである。本第一実施形態における目隠し板8は、器具収納庫2内の蓋収納部24上の隙間を覆うため、放熱器5の底板52の後方側に沿って回動自在に設けられている。
【0033】
よって、目隠し板8は、放熱器5が器具出入庫2内の収納位置に入庫されているときには、図4に示すように、放熱器5の底部51を基点に放熱器5の側面方向に回動されて放熱器5の側面に沿って収納されているとともに、放熱器5が床上の使用位置に出庫された際には、図6に示すように、底部51を基点に隙間方向に回動されて前記放熱器5と器具収納庫2との隙間を覆うようになっている。
【0034】
ヒンジ手段9は、放熱器5と器具出入庫手段6との連結部に設けられており、前記放熱器5を横に倒すことで、前記放熱器5により塞がれていた器具収納庫2の内部を開放するものである。本第一実施形態におけるヒンジ手段9は、放熱器5の底板52と2つのジャッキの上の節62,62との間にそれぞれ設けられた蝶番91からなり、図8に示すように、放熱器5を後方側に横倒しするようになっている。これにより器具収納庫2内を掃除しやすくなる。
【0035】
また、本第一実施形態における放熱器5と器具出入庫手段6との連結部には、上記ヒンジ手段9とともに、前記放熱器5を暖房として使用しているときに前記放熱器5が倒れないように固定するためのロック手段10が設けられている。
【0036】
本第一実施形態におけるロック手段10は、図9に示すように、左右のジャッキの上の節62,62に設けられた係止穴11と、放熱器5の底板52に設けられた前記係止穴11に係止させる鉤棒12とからなる。鉤棒12は、ツマミ13を有しており、底板52の底面側において前記底板52の長手方向にスライド可能に設けられている。
【0037】
熱源供給手段4は、放熱器5に温水または蒸気を供給するものであり、前記放熱器5に温水または蒸気を供給可能に接続されている。本第一実施形態における熱源供給手段4は、灯油ボイラーが用いられており、温水が放熱器5を介して循環するようになっている。なお、熱源供給手段4は、特に限定されるものではなく、ガス式のボイラーや電気式のボイラー等から適宜選択されるものである。
【0038】
なお、複数の出入庫機能付暖房装置3A,3A・・・が設置されている場合、熱源供給手段4は、各出入庫機能付暖房装置3A,3A・・・に熱源を供給するようにしてもよい。また、熱源供給手段4は、室温等に応じて各出入庫機能付暖房装置3A,3A・・・への熱源の供給量を制御できるようにしてもよい。
【0039】
次に、本第一実施形態の出入庫機能付暖房装置3Aおよび出入庫機能付暖房システム1における、各構成の作用について説明する。
【0040】
まず、放熱器5が、図2ないし図4に示すように、収納位置にある場合について説明する。
【0041】
放熱器5が収納位置にある場合、器具出入庫手段6は上下方向に縮んだ状態である。また、本第一実施形態における器具収納庫2の開口部21は、蓋22により閉じられた状態である。よって、器具収納庫2内にゴミ等が入るのを防ぐことができるとともに、蓋22の上は開放スペースとして確保できるため、通行や他の物を置くこと等も可能となり、設置場所を有効利用できる。
【0042】
次に、放熱器5を使用位置に上昇させて出庫する場合について説明する。まず、器具収納庫2の開口部21に設けられている蓋22を取り外す。本第一実施形態においては、小蓋23をフックを利用して持ち上げ、手が入る隙間をつくる。前記小蓋23を取り外すことで隙間に手を入れることができ、容易に蓋22を外すことができる。そして、取り外された蓋22は、器具収納庫2内に設けられた蓋収納部24内に収納することができる。
【0043】
放熱器5を使用位置まで上昇させて出庫するには、電動ドリル、レンチやスパナ等によって回転力伝達手段65の回転頭部66に回転力を与えればよい。付与される回転力はフレキシブルシャフト67を介して回転軸64に伝達される。
【0044】
回転軸64は、回転力伝達手段65により伝達された回転力により任意の方向に回転する。回転軸64が任意の方向に回転することにより、ジャッキの左右の節の螺進部63,63は、相互に中央方向に螺進し、それに伴い上下の節61,62は上下方向に伸長される。
【0045】
これにより、図2および図3に示すように、収納位置にあった放熱器5は、ジャッキが上下方向に伸長することで上昇し、図5および図6のように、床上の使用位置まで出庫される。このとき、ガイド部材7が器具収納庫2の内壁面と摺接することにより放熱器5の上昇動作を案内し、上昇時の傾斜を防止して安定的に出庫させられる。
【0046】
熱源供給手段4は、放熱器5が使用位置に配置されているときに温水を供給する。これにより放熱器5では、温水を熱源として放熱し、周囲の空気を暖めることにより室内の暖房が行われる。
【0047】
また、放熱器5が使用位置まで上昇すると、前記放熱器5の底部51に設けられている底板52によって器具収納庫2の開口部21を塞ぐため、前記器具収納庫2内へゴミ等が落下するのを防止できる。また、目隠し板8は、放熱器5の使用位置において、底部51を基点に下方へ回動され、前記放熱器5と器具収納庫2との隙間を覆うことができ、前記器具収納庫2内へのゴミ等が落下するのを防止している。
【0048】
一方、放熱器5はヒンジ手段9により底板52とともに横方向に倒すことができる。放熱器5を底板52とともに横に倒すことにより、器具収納庫2の内部が開放され、器具出入庫手段6が故障した際の修理やメンテナンス、器具収納庫2内を容易に清掃することが可能となる。本第一実施形態では、ロック手段10である鉤棒12のツマミ13を掴んで横にスライドさせることにより、前記鉤棒12の先端がジャッキの上の節62,62に設けられた係止穴11から外れるため、放熱器5を横方向に倒すことができる。
【0049】
次に、放熱器5を使用位置から収納位置に下降させて入庫させる場合について説明する。
【0050】
放熱器5を再び収納位置に降下させて入庫させる場合は、回転力伝達手段65に対し、前記放熱器5を上昇させた方向とは逆方向の回転を与えることにより、ジャッキの左右の節の螺進部63,63が相互に外側方向に螺進し、それに伴い上下の節61,62は上下方向に縮小する。
【0051】
この際、ガイド部材7が器具収納庫2の内壁面と摺接することにより放熱器5が前記器具収納庫2内に収納される動作を案内する。また、目隠し板8は、収納位置において、図2および図4に示すように、放熱器5の側面方向に回動されて折り畳まれる。
【0052】
放熱器5が収納位置まで下降して入庫された後に、蓋収納部24に収納されていた蓋22と小蓋23により器具収納庫2の開口部21を閉じる。これにより、再び、器具収納庫2の防塵および設置場所の有効利用が可能となる。
【0053】
以上のような本第一実施形態の出入庫機能付暖房装置3Aおよび出入庫機能付暖房システム1によれば、以下の効果を奏することができる。
1.従来の暖房装置における暖房性能を維持しつつ、放熱器5等を所望する場所に設置することができる。
2.特に、窓際に設置できるためコールドドラフトの防止効果が期待できる。
3.夏季等において暖房を使用しないときには、放熱器5を器具収納庫2内に収納することにより設置場所を有効利用することができる。
【0054】
次に、本発明に係る出入庫機能付暖房装置および出入庫機能付暖房システムの第二実施形態について図面を用いて説明する。なお、本第二実施形態のうち、前述した第一実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0055】
図1に示すように、本第二実施形態の出入庫機能付暖房システム1は、第一実施形態と同様に、器具収納庫2と、本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置3Bと、熱源供給手段4とを有する。また、本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置3Bは、図10に示すように、放熱器5と、器具出入庫手段6とを有するとともに、放熱器5の底部51の外周面には、前記放熱器5と前記器具収納庫2との間に生じる隙間より毛足の長い起毛部材14が設けられている。以下、各構成について詳細に説明する。
【0056】
本第二実施形態における器具収納庫2は、図10に示すように、開口部21、蓋22、小蓋23および蓋収納部24とともに、第一起毛収納凹部25、第二起毛収納凹部26および摺接凸部27を備えている。
【0057】
第一起毛収納凹部25は、前記放熱器5が収納位置にある場合に前記起毛部材14の毛先を収納するとともに、前記放熱器5が収納位置から使用位置に出庫される際に、前記起毛部材14の毛先が前記器具収納庫2の内側面に沿って進行方向と逆方向を向くように前記毛先の方向を案内するものである。本第二実施形態では、前記放熱器5が収納位置における前記起毛部材14が前記器具収納庫2の内側面と接する位置に、前記起毛部材14の毛先を収納可能な縦断面略凹状に形成されている。
【0058】
第二起毛収納凹部26は、前記放熱器5が使用位置にある場合に前記起毛部材14の毛先を収納するとともに、前記放熱器5が使用位置から収納位置に入庫される際に、前記起毛部材14の毛先が前記器具収納庫2の内側面に沿って進行方向と逆方向を向くように前記毛先の方向を案内するものである。本第二実施形態では、前記開口部21の前記蓋22を納める切り欠き部分が第二起毛収納凹部26を兼ねている。
【0059】
また、摺接凸部27は、前記放熱器5が使用位置にある場合にガイド部材7と摺接することで、前記放熱器5を使用位置で固定するものであり、前記器具収納庫2の内側面の開口部21近傍に略凸状に設けられている。
【0060】
さらに、本第二実施形態における蓋収納部24は、出入庫機能付暖房装置3Bを収納する空間内に設けられている。
【0061】
本第二実施形態における出入庫機能付暖房装置3Bは、放熱器5と器具出入庫手段6とを有している。また、放熱器5の底部51には、器具収納庫2を塞ぐ底板52が固定されている。さらに、第二実施形態における器具出入庫手段6は、第一実施形態と同様に、ジャッキからなり、ジャッキの下の節61が、器具収納庫2の底面に固定されているとともに、ジャッキの上の節62が、放熱器5の底部51に連結されている。
【0062】
器具出入庫手段6の左右の節61,62にはそれぞれ雌ネジが形成された螺進部63,63が設けられており、それらの螺進部63,63は雄ネジが設けられた回転軸64により連結されている。また、回転軸64には、回動力伝達手段65が接続されている。回転力伝達手段65は、回転頭部66と、フレキシブルシャフト67とを有する。
【0063】
また、本第二実施形態における放熱器5の底部51には、放熱器5の出入庫を案内するガイド部材7と、放熱器5を横に倒して器具収納庫2を開放するためのヒンジ手段9と、放熱器5が倒れないようにロックしておくロック手段10ととともに、起毛部材14が設けられている。
【0064】
本第二実施形態における起毛部材14は、放熱器5の底部51に設けられたガイド部材7の上端側の外周縁に沿って、毛先が外側に向くように設けられている。また、起毛部材14の毛足は、前記放熱器5と前記器具収納庫2との間に生じる隙間より長く形成されている。
【0065】
なお、起毛部材を設ける場所は、ガイド部材7の上端側の外周縁に限定されるものではなく、放熱器5の底板51等に設けてもよい。
【0066】
また、本第二実施形態におけるロック手段10は、第一実施形態と同様に、係止穴11と、鉤棒12とを有している。
【0067】
次に、本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置3Bおよび出入庫機能付暖房システム1における、各構成の作用について説明する。
【0068】
図10に示すように、本第二実施形態において、放熱器5が収納位置にある場合、器具出入庫手段6は上下方向に縮んだ状態にある。また、器具収納庫2の開口部21は、蓋22により閉じられた状態にある。さらに、起毛部材14は、器具収納庫2の内側面に設けられている第一起毛収納凹部25内に収納されている。
【0069】
次に、本第二実施形態において放熱器5を使用位置に上昇させて出庫する場合には、まず、器具収納庫2の開口部21に設けられている小蓋23を開けてから蓋22を取り外す。そして、回転力伝達手段65の回転頭部66に回転力を与え、放熱器5を使用位置まで上昇させて出庫させる。
【0070】
このとき、起毛部材14の毛先は、図11に示すように、器具収納庫2の内側面に沿って進行方向とは逆方向へ向くように屈曲される。そして、使用位置に出庫された場合には、図12に示すように、第二起毛収納凹部26内に収納され、起毛部材14の毛先は真っ直ぐ伸びた状態になる。
【0071】
使用位置における起毛部材14は、放熱器5と器具収納庫2との間に生じる隙間を覆い、前記器具収納庫2内へのゴミ等が落下するのを防止している。
【0072】
また、本第二実施形態におけるガイド部材7は、器具収納庫2の内壁面に設けられた摺接凸部27と摺接することで、放熱器5を使用位置で固定することができる。
【0073】
さらに、本第二実施形態における蓋22は、器具収納庫2内の出入庫機能付暖房装置3Bを収納する空間内に設けられた蓋収納部24内に収納される。具体的には、図13に示すように、放熱器5をヒンジ手段9により底板52とともに横方向に倒すことにより、器具収納庫2の内部を開放して、蓋収納部24に蓋22を収納する。
【0074】
放熱器5を再び収納位置に降下させて入庫させる場合は、器具収納庫2内の蓋22を取り出し、回転力伝達手段65に対し、前記放熱器5を上昇させた方向とは逆方向の回転を与えることで行われる。
【0075】
この際、起毛部材14は、図14に示すように、器具収納庫2の内側面に沿って進行方向とは逆方向へ向くように屈曲される。そして、使用位置に出庫された場合には、図10に示すように、第一起毛収納凹部25内に収納され、起毛部材14の先端は真っ直ぐ伸びた状態になる。
【0076】
以上のような本第二実施形態の出入庫機能付暖房装置3Bおよび出入庫機能付暖房システム1によれば、第一実施形態における効果とともに、以下の効果を得ることができる。
1.起毛部材14により器具収納庫2内へのゴミ等が落下するのを防止することができる。
2.第一起毛収納凹部25および第二起毛収納凹部26は、起毛部材14が器具収納庫2の内側面に沿って屈曲された毛先がそのまま上方向または下方向に癖がついてしまうのを防止することができる、また、前記起毛部材14の毛先が前記器具収納庫2の内側面に沿って進行方向と逆方向を向くように前記毛先の方向を案内するため、毛先が進行方向に対して逆立って放熱器5の出入庫の際に抵抗となるのを防止することができる。
3.蓋22を器具収納庫2内に収納することにより、器具収納庫2を小さくすることができるため、出入庫機能付暖房装置3Bの設置場所の自由度を増すことができる。
4.摺接凸部27を設けることにより、ガイド部材7が摺動する区間を短くすることで、放熱器5の出入庫の際の抵抗を少なくすることができる。
【0077】
なお、本発明に係る出入庫機能付暖房装置3A,3Bおよび出入庫機能付暖房システム1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0078】
例えば、器具出入庫手段6は、ねじ式のジャッキに限定されるものではなく、油圧式、空気式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 出入庫機能付暖房システム
2 器具収納庫
3A,3B 出入機能付暖房装置
4 熱源供給手段
5 放熱器
6 器具出入庫手段
7 ガイド部材
8 目隠し板
9 ヒンジ手段
10 ロック手段
11 係止穴
12 鉤棒
13 ツマミ
14 起毛部材
21 開口部
22 蓋
23 小蓋
24 蓋収納部
25 第一起毛収納凹部
26 第二起毛収納凹部
27 摺接凸部
51 底部
52 底板
61 ジャッキの下の節
62 ジャッキの上の節
63 螺進部
64 回転軸
65 回動力伝達手段
66 回転頭部
67 フレキシブルシャフト
91 蝶番


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下または壁内に設けられた器具収納庫に収納される放熱器と、前記器具収納庫内で前記放熱器に連結されているとともに前記放熱器を前記器具収納庫内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で入庫または出庫する器具出入庫手段とを有する出入庫機能付暖房装置。
【請求項2】
前記放熱器の底部には、前記放熱器を出入庫する際に前記器具収納庫の内壁面に摺接して前記放熱器の出入庫動作を案内するガイド部材が設けられている請求項1に記載の出入庫機能付暖房装置。
【請求項3】
前記放熱器の底部には、前記放熱器と前記器具収納庫との間に生じる隙間を覆うための目隠し板が回動自在に設けられており、この目隠し板は、前記放熱器が収納位置に入庫される際に前記放熱器の側面方向に回動されて前記放熱器の側面に沿って収納されるとともに、前記床上または前記壁外の使用位置に出庫される際には前記隙間方向に回動されて前記隙間を覆うように構成されている請求項1または請求項2に記載の出入庫機能付暖房装置。
【請求項4】
前記放熱器の底部の外周面には、前記放熱器と前記器具収納庫との間に生じる隙間より毛足の長い起毛部材が設けられており、前記器具収納庫の内側面には、前記放熱器が収納位置にある場合に前記起毛部材の毛先を収納する第一起毛収納凹部と、前記床上または前記壁外の使用位置にある場合に前記起毛部材の毛先を収納する第二起毛収納凹部とが設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の出入庫機能付暖房装置。
【請求項5】
前記放熱器と前記器具出入庫手段とは、ヒンジ手段を介して連結されており、このヒンジ手段は、前記放熱器の出庫状態において前記放熱器を横に回動させて倒し、前記器具収納庫の内部を開放するように構成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の出入庫機能付暖房装置。
【請求項6】
床下または壁内に開口されて放熱器を収納可能に設けられた器具収納庫と、
この器具収納庫に収納される放熱器と、
この放熱器に連結されているとともに前記放熱器を前記器具収納庫内の収納位置と床上または壁外の使用位置との間で出入庫する器具出入庫手段と、
前記放熱器に温水または蒸気を供給する熱源供給手段と
を有する出入庫機能付暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−72567(P2013−72567A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210232(P2011−210232)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(595136966)旭イノベックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】