説明

出力装置

【課題】電気回路を収納する保持部の温度上昇により、使用者に不快感を与えない出力装置を提供する。
【解決手段】ヘッドマウントディスプレイは、両耳を左右から押さえてヘッドマウントディスプレイを頭部に固定するイヤーパッド1、2を備えている。各イヤーパッド1、2は、自在ヒンジ5、6を介して保持部7、8に固定されている。左右の保持部7,8は、ヘッドバンド部9内に摺動自在に差し込まれ、ヘッドバンド部9により連結されている。保持部8の筐体内部には、電気回路13が取り付けられている。自在ヒンジ6は、線バネの弾性力を受けながら、自在に回動可能とされているが、自在ヒンジ6は、熱伝導率が低い材料でできているので、電気回路13から発生した熱は、イヤーパッド2に伝達されにくく、イヤーパッド2の温度の上昇は無視できる程度に留まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホーンやヘッドマウントディスプレイ等、頭部に装着して使用し、音声を出力する出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネル(LCD)等のディスプレイ上に表示された映像を、接眼レンズやハーフミラー等を有する光学系を介して拡大した虚像として観察する眼鏡タイプの映像表示装置が種々提案され、ウェアラブルディスプレイと呼ばれている。このようなウェアラブルディスプレイの例は、例えばWO2004/061519A1公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
この映像表示装置は、多くの場合、頭に巻いた形で頭部に装着する構成とされ(ヘッドマウントディスプレイと呼ばれている)、両眼に対応する位置に映像表示系を形成した両眼タイプと左右眼の一方の眼に対応する位置に映像表示系を形成した片眼タイプとがある。このようなウェアラブルディスプレイは、通常は、映像を表示する表示部と音声を出力するヘッドホーンとを有している。又、ヘッドホーンは、音楽観賞用等の音声出力機器として、広く使用されている。
【特許文献1】WO2004/061519A1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような出力装置は、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ、自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有しているものが多い。そして、その中に電気回路を収納する場合には、保持部内に収納することが多い。
【0005】
このような場合に、電気回路の発熱により、電気回路を収納する保持部の温度が、危険ではない程度に上昇することがある。この熱が、自在ヒンジを伝わってイヤーパッドに伝えられると、イヤーパッドの温度が上昇し、使用者が不快感を覚えることがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電気回路を収納する保持部の温度上昇により、使用者に不快感を与えない出力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の手段は、頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジが、熱伝導率が低い材料で形成されていることを特徴とする出力装置である。
【0008】
前記課題を解決するための第2の手段は、頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジと前記イヤーパッドの接触部分に断熱材料が挟み込まれていることを特徴とする出力装置である。
【0009】
前記課題を解決するための第3の手段は、頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジと前記イヤーパッドの接触部分が点接触とされていることを特徴とする出力装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気回路を収納する保持部の温度上昇により、使用者に不快感を与えない出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態であるヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。このヘッドマウントディスプレイは、両耳を左右から押さえてヘッドマウントディスプレイを頭部に固定するイヤーパッド1、2を備えている。各イヤーパッド1、2の中にはスピーカー3、4が設けられ、それぞれの耳に音声を出力する。各イヤーパッド1、2は、自在ヒンジ5、6を介して保持部7、8に固定されている。左右の保持部7,8は、ヘッドバンド部9内に摺動自在に差し込まれ、ヘッドバンド部9により連結されている。ヘッドバンド部9は弾力性を有し、イヤーパッド1、2を左右から耳部に押し付ける付勢力を与える。保持部8の筐体内部には、電気回路13が取り付けられている。
【0012】
表示部10は、表示部アーム11に保持され、表示部アーム11は、回動部12を介して保持部8に結合されていて、装着時の前後方向に回動可能となっている。
【0013】
図2に、図1のA部拡大図を示す。自在ヒンジ6は、線バネ14の弾性力を受けながら、自在に回動可能とされているが、自在ヒンジ6は、熱伝導率が低い(約10W/m・K以下の低熱伝導率材料(断熱材料)でできているので、電気回路13から発生した熱は、イヤーパッド2に伝達されにくく、イヤーパッド2の温度の上昇は無視できる程度に留まる。自在ヒンジ6を低熱伝導率材料で形成する代わりに、図2に示すように、自在ヒンジ6とイヤーパッド2と間に、断熱材料15を挟み込むようにしてもよい。又、自在ヒンジ6とイヤーパッド2との接触を点接触で行い、伝熱面積を少なくして、電気回路13の発熱がイヤーパッド2に伝達されにくいようにしてもよい。
【0014】
以上のようにすれば、イヤーパッド2の温度の上昇が防止でき、使用者に不快感を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態であるヘッドマウントディスプレイの概要を示す図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【符号の説明】
【0016】
1…イヤーパッド、2…イヤーパッド、3…スピーカー、4…スピーカー、5…自在ヒンジ、6…自在ヒンジ、7…保持部、8…保持部、9…ヘッドバンド部、10…表示部、11…表示部アーム、12…回動部、13…電気回路、14…線バネ、15…断熱材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジが、熱伝導率が低い材料で形成されていることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジと前記イヤーパッドの接触部分に断熱材料が挟み込まれていることを特徴とする出力装置。
【請求項3】
頭部に装着して使用し、音声及び映像の少なくとも一方を出力する出力装置であって、頭部側面と接触する左右のイヤーパッドと、前記イヤーパッドをそれぞれ自在ヒンジを介して保持する左右の保持部と、前記保持部を連結して、前記イヤーパッドを頭部側面の左右に押し付けるような付勢力を与えるヘッドバンド部とを有し、前記保持部のうち少なくとも一方に電気回路が内蔵されているものにおいて、前記電気回路が内蔵されている側の前記自在ヒンジと前記イヤーパッドの接触部分が点接触とされていることを特徴とする出力装置。

【図1】
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【図2】
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