説明

出産の過程を観測するための方法

本方法は、妊娠した女性の出産の過程を観測するためのものである。測定過程(12)において膣分泌液の乳酸濃度(15a)が測定される。比較過程(14)において、測定された乳酸濃度が所定の乳酸濃度(13)よりも大きいかどうかが判断され、それは妊娠した女性の羊膜から羊水が出たことを示唆している。測定過程(26)において乳酸濃度(15b)が測定される。比較過程(28)において、測定された乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)よりも大きいかどうか判断される。乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)以下であるときには、妊娠した女性は刺激過程(34)で刺激され、出産する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妊娠した女性の出産の過程を観測するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の出産方法の1つの問題は、女性が陣痛の間に分娩障害(dystocya)に苦しむということである。これは出産が望んだように進行せず、成功裏に自然な出産することなく陣痛が起こるという結果をもたらす。妊娠した女性はくじかれてしまい、新生児を出産するのに吸引、鉗子、又は帝王切開術などの方法を使用することが必要となるかもしれない。妊娠した女性の分娩障害は、胎児も障害と疲労に曝すことになるかもしれない。
【0003】
胎児の血中の乳酸濃度は従来、胎児が酸素不全とならないように制御する目的で測定されてきた。しかし、胎児の乳酸濃度は妊娠した女性の状態を示すものではない。分娩障害に苦しんでいる女性の状態を早期により効果的に判断して調節し、外科的な代替の出産の方法を用いる前の不必要な陣痛を避ける必要性がある。
【0004】
(発明の概要)
本発明の方法は、上記の問題に対する解決を提供するものである。より特異的には、本方法は妊娠した女性の出産の過程を観測するための方法である。最初の測定過程では、膣分泌液の最初の乳酸濃度が測定される。比較過程では、測定された乳酸濃度が所定の乳酸濃度の値より大きいかどうか測定され、その値は、妊娠した女性の羊膜から羊水が出て、その膜が破裂したことを示す。第二の測定過程では、第二の乳酸濃度が測定される。第二の比較過程では、測定された第二の乳酸の値が乳酸の閾値間隔(threshold interval)よりも大きいかどうか判断される。第二の乳酸濃度が乳酸の閾値間隔よりも小さいならば、その妊娠女性は刺激過程で刺激されて出産する。第二の乳酸濃度が乳酸の閾値間隔よりも大きく、陣痛が正常に進行しないときには、その女性は外科的な出産など代替の出産の選択肢にかけられ、不必要な苦痛と出産する努力が引き伸ばされることが回避される。
【0005】
(詳細な説明)
図1を参照にすると、本発明の方法10は、膣分泌液などの分泌液中の乳酸濃度15aを測定する測定過程12を含み、妊娠と関連して、羊水が羊膜から出たか、あるいは羊膜から出てくる過程にあるかどうかを判断する。一般的には、妊娠した女性の子宮の筋肉は乳酸を産生するので、膣分泌液の乳酸濃度を測定すると、子宮の筋肉によって産生された乳酸量が測定される。妊娠していない女性の膣分泌液には多くの場合、乳酸が全くないか、あるいは殆どない。
【0006】
もし乳酸濃度15aが、比較過程14に示したように、4-5mmol/L、より好ましくは4.5mmol/Lの所定の乳酸濃度13よりも高いならば、膜は破裂して羊水が出たようであり、待機期間16の後に出産の陣痛が開始するようだ、という結論が得られる。4-5mmol/Lは多くの女性に適用される例示であって、本発明は実施例において使用されたその値に限定されるものではない、ということを理解するべきである。
【0007】
もし乳酸濃度が4.5mmol/L以下であるならば、羊水はまだ羊膜中に保たれている可能性が高い。待機期間18の後に、測定過程20で乳酸濃度を再び測定する。比較過程14において、乳酸濃度が4.5mmol/L以上であるか又はそれ以下であるか、ということが再び判断される。もし乳酸濃度が再び4.5mmol/L以下であるならば、第二の測定は後に行われ、乳酸濃度が4.5mmol/L以上となるか、又は羊水が出たことが自明となるまで、適切な時間間隔で測定が繰り返される。
【0008】
上記で示したように、測定過程12で測定された乳酸濃度が4.5mmol/L以上であるならば、次の過程は約2日間くらい待って、その女性が彼女自身で陣痛を開始するかどうかを見ることである。判断過程22において、陣痛が始まったかどうかを判断する。もし陣痛が始まってそれが正常に進行しているならば、出産処置24が進行する。もし判断過程22において、陣痛が開始していないか、又は陣痛が正常に進行していないと判断されるならば、測定過程26において乳酸濃度15bが測定される。
【0009】
比較過程28において、測定過程26において測定された乳酸濃度15bが、約8-10mmol/Lかもしれない乳酸の閾値間隔29の中にあるかどうかを判断する。もし過程26において測定された乳酸濃度が閾値間隔29の中にないならば、比較過程30において、乳酸濃度が閾値間隔29又は約8mmol/L以下であるかどうかを判断する。過程26で測定された乳酸濃度が閾値間隔29よりも大きいならば、例えば数時間の待機過程32が開始し、陣痛が正常に進行するかどうかを見る。もし陣痛が正常に進行しないならば、代替の出産の選択肢が考慮されるが、そのような選択肢には帝王切開術、鉗子、又は吸引具の使用などがあり、それらは吸引して新生児を取り出すことに結びついている。本発明の重要な特徴は、女性が自然な出産をしそうであるか、又はそうでないかをを予測するために、乳酸濃度の観測を使用し、妊娠した女性に出産のための長くて苦しい努力の体験を強いることがないことである。そこで比較的早期の段階で、代替の出産の選択肢を使用することが可能である。ここで、8-10mmol/Lというのは多くの女性に適用される例示であって、本発明は実施例で使用されたその値に限定されるものではないことを理解するべきである。
【0010】
もし過程26で測定された乳酸濃度が閾値間隔29よりも低かったら、刺激過程34においてその女性は薬剤又は他の助力により刺激を受け、出産するであろう。判断過程36において、陣痛が正常に進行しているかの判断がなされる。もし陣痛が正常に進行しているならば、その女性は出産38に進むであろう。もし陣痛が正常に進行していないならば、測定過程26で乳酸濃度が再び測定され、上記で述べたように、比較過程28でこの過程は継続する。
【0011】
もし比較過程28において、過程26で測定された乳酸濃度は、8-10mmol/Lの間などの閾値間隔29にあると判断されたら、陣痛が正常に進行しているかどうか、判断過程40で判断されるであろう。もし陣痛が正常に進行していたら、その女性は出産42へ進むであろう。もし陣痛が正常に進行していなかったら、その女性は出産するために刺激過程34で刺激され、その過程は上記で述べたように判断過程36へ続くであろう。
【0012】
その女性が自分自身で出産するか、又は代替の出産の選択肢にかけられるかのいずれかまで、種々の処理のループが継続する。上記で示されたように、本発明の重要な特徴は、代替の出産の選択肢が使用される前の苦しくて長い出産の努力から、女性が回避されることにある。自然に出産する結果とならずに子宮筋肉が乳酸の閾値以上に作動していると、乳酸濃度が示しているときには、より早い段階で代替の出産の選択肢を使用することもできる。
【0013】
好適な組み立てと実施態様に従って本発明を述べてきたが、請求項の精神及び範囲から離れることなく、それに特定の置換や改変を行うことができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の方法の過程の幾つかを示す模式的な流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
測定過程(26)において、乳酸濃度(15b)を測定し、
比較過程(28)において、測定された乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)より大きいかどうかを判断し;そして
乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)よりも大きいときには、妊娠した女性を出産の代替の選択肢(32)にかける、
という過程からなる、妊娠した女性の出産の過程を観測するための方法。
【請求項2】
乳酸濃度(15a)が乳酸濃度(13)よりも大きいときには、待機期間(16)を待つ過程を更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
乳酸濃度(15a)が乳酸濃度(13)よりも小さいときには、待機期間(18)を待ち、そして、測定過程(20)で乳酸濃度を再び測定する過程を更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項4】
待機期間(16)に続いて、判断過程(22)で陣痛が正常に進行しているかを判断する過程を更に備える、請求項2記載の方法。
【請求項5】
判断過程(22)において判断されたように、陣痛が正常の開始しないか又は正常に進行していないときに、乳酸濃度(15b)を測定する過程を更に備える、請求項4記載の方法。
【請求項6】
乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)以下であるときに、刺激過程(34)で妊娠した女性を刺激して出産させる過程を更に備える、請求項5記載方法。
【請求項7】
陣痛が正常に進行しているかどうかを判断する過程を判断過程(36)で更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項8】
判断過程(36)において判断されたように陣痛が正常に進行していないときに、乳酸濃度(15b)を測定する過程を更に備える、請求項7記載の方法。
【請求項9】
乳酸濃度(15b)が乳酸の閾値間隔(29)内にあるときに、陣痛が正常に進行しているかどうかを判断過程40で判断し、その判断過程で陣痛が正常ではないと判断されたときに、妊娠した女性に刺激を与える過程を更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項10】
膣分泌液中の乳酸濃度(15a)を測定過程(12)で測定し;測定された乳酸濃度が所定の乳酸濃度(13)よりも高いかどうかを比較過程(14)で判断する過程を更に備え、所定の乳酸濃度よりも高いと、膜が破裂し、妊娠した女性の羊膜から羊水が出ていることを示唆している、請求項1記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−505689(P2007−505689A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526903(P2006−526903)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026888
【国際公開番号】WO2005/034762
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506088779)オブストケア インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】